「純潔のマリア(TVアニメ動画)」

総合得点
70.5
感想・評価
866
棚に入れた
4486
ランキング
1507
★★★★☆ 3.7 (866)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

OZ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

戦争と宗教を題材にした魔女(処女だけど)の恋物語

原作の漫画は読んでおり
『もやしもん』の作者 石川 雅之さん原作で
谷口 悟朗さんが監督を務めるとの事から
期待を込めて観てみる事にした2015冬アニメ

■戦争と宗教を題材にした魔女(処女だけど)の恋物語■
中世ヨーロッパ イングランドとフランスによる 百年戦争を舞台に
平和を願う魔女 マリアが争いを止めるべく
自らの信念に基づき大暴れする『純潔のマリア』

まず 舞台設定がしっかり出来ている為
中世ヨーロッパの世界観にファンタジー要素が
違和感無く溶け込んでいるのは好印象。

戦争に宗教と扱っている題材は重く
一見お固い印象を受けるストーリーだけれど
シリアスとコメディの匙加減が絶妙で
暗くなり過ぎず取っ付き易さが今作品の魅力と言えるだろう。

また アニメ版は傭兵のガルファ 修道士ベルナール等
数人のオリジナルキャラクターが登場し
メインで出てくるものの
原作では一切描かれていない展開が広げられ
漫画版を既読している人からは
賛否の分かれる事もあるだろうけれど
世界観に沿ったオリジナルエピソードを
原作の雰囲気を損ねる事なく組み込んだ点は
アニメ版ならではと大いに評価したい。

中世ヨーロッパ+ファンタジーの作品は数多く有るが
戦争においての泥臭さであったりと
とりわけリアリティ面が
丁寧に描き出されている作品は珍しい。

一方で今作品の"らしさ"である下ネタが
評価を分ける事となりそうだ。
「処女」や「童貞」等の単語が頻繁に飛び交う為
その手の言葉に抵抗があると若干厳しいだろう。

観方によっては「宗教批判」とも捉えられるが
宗教観 神話を踏まえた上で展開される
魔女 マリアの恋物語なのである。

■純潔のマリア exhibition■
これから読もうとする人のネタバレになってしまうので
詳細は隠させてもらいますが
今作品が楽しめた人には
ビブ マリア ジョセフ エゼキエル
各4人のエピソードが収められた
外伝的短編集『純潔のマリア exhibition』を
是非 手に取ってもらいたいところだ。

●ビブ編
まだ魔女になって日の浅い
ビブの若かりし頃が描かれており
彼女が何故マリアを気にかけているのか?
その理由が明かされるエピソード。

他は1話ずつなのに対し
ビブ編だけは3話を費やしているので
読み応えもバッチリだ。

本編では夜の秘め事に快楽を覚えた
妖艶な魔女として描かれているビブだが
この時はまだ処j(ry

●マリア編
マリアと使い魔達の誰が水汲みをするか?
彼女達の何気ない日常が描かれ
本編には無かった穏やかな空気が漂う。

マリアの監視を命じられたエゼキエルが
彼女達とじゃれ合う日々を過ごす内
かくして次第に情がわいてしまったのだなと
感じさせてくれるエピソードだ。

些細な会話のやりとりも面白く
もしも今作品が日常系だったのなら
こういった様子の作品になっていたのかもしれない。

●ジョセフ編
マリアとジョセフの出会いが描かれ
何かと初々しい二人を見ては
もどかしく感じるエピソード。

「君ら中学生かっ!」と
ツッコミを入れたくなる事請け合いだ。

今作品はマリアの恋物語でもある為
このエピソードをアニメで観たかったものである。

●エゼキエル編
唯一 本編ラストからその後にあたる後日譚であり
マリアとジョセフの娘として転生したエゼキエルが
大天使 ミカエルと出会うエピソード。

表情一つ変えなかったミカエルだが
笑みを浮かべたりと
本編では見られない人間味が感じられ
心の隙間を垣間見る事が出来る。

また 娘の名前を本当に「エゼキエル」にしており
楽しく暮らしているであろう
マリア達の近況を窺い知れるのだ。

なお アンの成長した姿も少しだけ描かれていて
このエピソードは中でも感動させられたもの。
エゼキエル編を以って
『純潔のマリア』が完結を迎えたと捉えても良いだろう。

本編をしっかりと補完し
読み終えた後は充実感で満たしてくれる
非常に上手く纏まった一冊となっているのだ。

■あとがき■
派手さのない地味な印象の作品ですが
原作を読んでいても
充分に満足出来る全12話でした。

序盤の展開がかなり早く
原作が全3巻なので
観始めた当初は「これで1クール持つのかな?」と
不安もありましたが
オリジナルエピソードを盛り込みつつ
1クール内で綺麗に収まったね。

もっとも印象に残ったが
やや残念だったなと感じた場面は
第7話「BELLUM SE IPSUM ALET 戦争は戦争を食う」にて
エゼキエルが負傷したマリアに泣きながら謝るシーンかな。

原作ではアルテミスとプリアポスの二人が
殺意の刃をエゼキエルに向け
見かねたマリアがいざこざを止めた後
3人を抱きしめるシーンとして描かれていた。

マリアに向けた使い魔達の
忠誠心と情が特に表されている名場面なので
原作でも1番お気に入りのシーンだけに
そこを変更されていたのは少々心残りだね。

とは言え オリジナル要素が多い分
別物になっている感はあるけれど
原作の雰囲気を損ねない程度に
シリーズ構成 脚本を務めた
倉田 英之さんには本当に脱帽です。

尺の使い方も然り見事な構成でした。

『純潔のマリア exhibition』込みで
完成度が高く 満足出来る作品でした。

満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7)

投稿 : 2015/04/18
閲覧 : 364
サンキュー:

54

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