空知 さんの感想・評価

3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

恋愛をメンドクサイと感じる男が増えていることの理由に対して問題提起をしている作品であり、良い意味で、男のサガという悲劇を笑えるように工夫した絶妙なくだらなさに拍手

原作未読。

下ネタ満載の作品は得意ではなく、下セカは見送りましたが、当作品の評価が高いので、それなりに理由があるのだろうと視聴。結果、観て損はない作品でした。

しかし、レビューしようと思っても、これがなかなかにして難しい。下品な描写もたくさんあるし、卑猥な言葉やエロ的な比喩も含めると、女性もいるあにこれなので、下手なことは書けないんだ・・・・よ！「エッチ」を通り超して、「汚い！」部分もあるのでござるゆえ（笑）。


まず、絵の描写だが、不思議とエロエロな感じを受けさせなかった理由は、{netabare}副会長の盛りすぎた「胸」と代謝の良さ（笑）。あの胸がもう少し小さかったら、完全にエロになって笑えなかったと思う。ホルスタインレベルを超えて、お尻に近く、笑いを誘うように作画されている。書記の花（CV. 花澤香菜）の一見優しそうな風貌なのに、空手技による暴力と、まだ経験も浅いのに変態的な何かが笑いを誘う。

エロなのに笑えるのは、上記の理由以外にも、男子5人が監獄から逃げだそうとして様々な作戦を繰り広げ、そのシナリオが絶妙だからでしょうね。{/netabare}


ちなみに、私はこの作品の評価が高い理由は、男の性（サガ）を見事に描いているからだと感じました。女風呂を覗いたために監獄に入れられたわけですが、男というのは、危険を犯してでも女性の裸を見たいという悲壮な運命を負わされた生き物。だから「プリズン」という作品名なんだろうな。男の女性に対する欲望は、生命力の源であり、欲望が強い男ほど社会的にも成功する例があるのはそのためです。もし男が女性に興味を持たなかったら、男は虫取りの延長として、長じても仕事、趣味など打ち込める何かに一生懸命になり、女性という感情的で厄介な存在(全ての女性ではないですが）は無視して生きていくことでしょう。当然、子孫もいなくなってしまう。男子5人が救われたのは、理事長の判断でもあり、この理事長が尻好きとして描かれているのも、男のサガを象徴するためでしょうね。

一方で、女性にだって欲望はあるわけで、女性もプリズン内にいることは間違いない。{netabare}裏生徒会のメンバ－、副会長と書記を含め監獄に入れられたのは、女性にも男を愛する裏には欲望があるということに気付いたことの比喩でしょうね。{/netabare}生徒会長だけは、よく分からない。もしかして、百合？

最近、一部の男が盗撮など変態的犯罪をやらかすため、男のエッチなところを笑って許容できない女性も増えてますよね。{netabare}裏生徒会というのは、男を許せない女性を比喩したもので、それを本能的に許容しているのが、千代ちゃんと杏子ちゃん。女性を二つに大別して、千代ちゃんと杏子ちゃんを可愛らしく描いているのは{/netabare}、「男の気持ちも分かってくれる女性もいるし、そっちのほうが愛せる」というメッセージでしょうな。

EDの『罪深き俺たちの賛歌』の歌詞を読むと、「もっと女心を分かってよ」という一方的な要求に対して、男側から「それなら、男の気持ちも分かれよ」という気持ちがこの作品に込められた一要素であることが分かります。

「誰かを好きになることは 遺伝子に仕組まれたワナ」「あなたが欲しい　全てを知りたい　俺たちの夢、許可してよ　愛などいらない　やっぱりください　思春期にかける手錠などないのだ」「こんな時代に生まれてきたけど　やっぱりオスでよかったぜーー」


花役の花澤さん、すごい演技です。かなりキワドイことを言ったり、ビックリしました(^^;) 作画も、過剰な可愛らしさを抑えた千代の描写が効果的ですし、EDでの杏子の成人漫画か？と思えるほどの色っぽい目を見ると、ドキッとするほど上手いなぁと思いました^^

良い意味で笑え、男のサガに対して共感しつつ、最後まで苦手なジャンルの作品でしたが視聴できました。制作陣に拍手を送りたいと思います。

OP『愛のプリズン』もいいですね。男子5人を前面からズームし、カメラが後方へ回り、夕日に向かう場面で常に笑ってしまいます。