「下ネタという概念が存在しない退屈な世界(TVアニメ動画)」

総合得点
71.2
感想・評価
1252
棚に入れた
6842
ランキング
1358
★★★★☆ 3.5 (1252)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.4
キャラ
3.6

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ある意味サイコパスと同系統のディストピア系SF。「健全なテロリズム」はかくあるべし!?

性知識や用語を徹底的に排除弾圧した社会体制に、反抗するヒロインと主人公たちの戦いを描いたシモネタエロコメディー。
怒涛のシモネタやエロ単語の乱舞!
とにかくお下品なギャグアニメなのですが…
ジャンルは「ディストピア社会風刺」。「図書館戦争」めいた言論・思想の自由に対するアプローチが面白い。
抑圧され過ぎてエロスが狂気に陥った、強烈な女性キャラも凄まじい。
とことん評価が割れそうな作風、下品さ嫌いな方はオススメしません。
…ずばり、本作は「テロリズム」がテーマです。

※本作が遺作となった、松来未祐さんのご冥福をお祈り申し上げます。

{netabare}『物語』
シモネタお馬鹿ギャグ…としては、よくぞここまでヤッちゃったと称賛したい。
この作品それ自体が、現代の過剰な表現規制社会に対する反逆である。
…と大真面目に言わなくても、単純にギャグ作品と割り切るのが妥当な楽しみ方かと。
ジャンルとしては思想・言論の自由が弾圧される「ディストピア」系SFでしょう。
近年だと「PSYCHO-PASS(サイコパス)」みたいな。
本作がSFなのは、PM(ピースメーカー)と呼ばれる高度な情報端末社会を利用した言論監視システム、を下敷きにした世界観の故。
通常のディストピア系は大真面目にコワイ社会に疑問符投げかけるシリアスなお話なのですが…
本作はそれをギャグとして面白可笑しく風刺、そこから怒涛のシモネタテロのお下劣ネタ乱舞で押してきます。
比較的常識人な主人公・奥間狸吉(おくま たぬきち)のツッコミが素晴らしいです♪

過ぎたるは及ばざるが如し。
過剰なまでに「公序良俗」を取り締まり、思想や言論・表現の自由を抑圧した結果生まれた「綺麗で健全な社会」…とやらの滑稽さ、可笑しさ、そして狂気を、まざまざと見せてくれる。
…終始面白可笑しくお下品なギャグで笑わせつつ、闘争は過剰な暴力を使わない。
風刺も嫌味にならない絶妙な世界観が素晴らしいです。

「雪原の青」こと華城綾女率いるシモネタテロ組織「SOX」(ソックス)の思想や活動方針に、本作が訴える主張の在り方が窺えます。
暴力は(なるべく)使わない。
大衆への啓蒙と意識改革を目指す。
その為には体制側内部に同調するもいとわない。(ここが、こすりちゃんとの差)
…SOXの敵はあくまで「思想・言論を抑圧する」…という「思想そのもの」であって、決して権力体制そのものでは無い点にも注目したい。
本作の体制側のキャラクターも基本善人ばかりな点に注目、つまり本作は彼らを決して敵視していない。
よって、反社会的活動で大衆だけでなく権力体制側とも決定的な対立を生むことは望まない。
「公序良俗健全育成法」を妄信する体制側の人々は華城綾女にとって打倒すべき敵ではなく、敵は「公序良俗健全育成法」という妄執そのものなのだから…。
その意味で「SOX」の在り方は、ちょっと語弊を承知で言いますと…
「理想的なテロリズム」なのでは!?
本来、テロリズムはこうであってほしい。
アニメ(原作ラノベ)は現実には不可能な事を表現してくれるのが醍醐味、その意味で本作は理想のテロリズムを見事に見せてくれた点で喝采したいです。
…といっても、結局やってる事はどう見てもアホそのものなんですけどね!
その大馬鹿な行為を正々堂々と規制用語乱舞でヤッちゃいつつ、上記のような結構鋭い風刺も盛り込まれている、そこにシビれる憧れるゥ!


話が進むと、シモネタ派の中にも華城綾女とは温度差のある活動家が二人登場、その対比でもSOXの考え方が浮き彫りに。
鬼頭鼓修理(おにがしら・こすり。ひどい名前だw)は有能なテロリストではあったが、彼女のやり方は「思想」ではなく「思想を支えている社会」そのものを敵対対象にしてしまっている点で、(悪い意味での)本物のテロリズムになってしまった。
「群れた布地」率いる頂の白はバスジャックという本物の武力テロをやってしまった。
…いけませんねぇ。彼らのやり方はダメなテロリズムですよ。
悲しい事に、現実の悲惨な反社会的テロリズムに近い。
やってる事のおバカさは互角でも、雪原の青の目指す理想の高尚さとは相容れない。
いやいや、華城先輩は高尚さとは対極なんですけど!
それでも、SOXの目指すテロリズムの方がステキだなぁ~と思ってしまう。

…総じて(いや全然総じて無いけど!)
怒涛のシモネタおバカギャグとして終始面白かったです。
ディストピア系SFとしての風刺のアプローチのユニークさをこそ高評価したいです。
あえて言おう、稀有な名作(迷作)であると。


『作画』
意外とエロ萌え的にはそこまであざとくは無い感じ。
萌えよりもギャグに昇華してしまっている。
シモネタ描写は色々と酷い(褒め)です。
女性陣は可愛い。びんかんちゃんかわいい。

『声優』
小林裕介さんの忙しいツッコミ頑張りました。
同時期アルスラーン殿下でもあり、(汚い殿下)と…いやいや、狸吉は汚くないでしょう!?
石上静香さんの活き活きとした怒涛のシモネタ乱発はお見事という他なし。
新井里美さんは生徒会役員共の畑さん彷彿とします。新井さんあっての早乙女先輩、まさにはまり役。
堀江由衣さんの小悪魔っぽさ大変良し。
びんかんちゃんの小倉唯さん…小倉唯さんになんてことを…

特筆すべきは速水奨さん。OPにナレーションで大真面目に解説ッッ!
アホらしい作品にシリアスなイケメンボイスが!
まさかのラスボスも速水さんとは…!
そういえば本作はガガガ文庫、「俺ツインテールになります」のラスボス・スパイダギルディーも速水さんでした。
速水さんになんちゅう変態役ををををを!
はやみんファンとしてはこれも5点に十分な驚きですよ!

声優陣の熱演多かった本作ですが、やはりMVPはアンナ・錦ノ宮役の松来未祐さんでしょう。
清楚で完璧なお嬢様…と思いきや、回が進むほどに凄まじい狂気を熱演されました。
…本作が松来未祐さんの遺作となってしまいました。
人生の最期の間際までアニメに魂を吹き込んだ、素晴らしいです。
松来未祐さんのご冥福をお祈り申し上げます。


『音楽』
OP「B地区戦隊SOX」ED「Inner Urge」
どちらも凄まじく酷い歌でありました…。(絶賛)

『キャラ』
この世界で唯一の常識人として奮闘した奥間狸吉よく頑張った…。
唯一の視聴者と近い視点での彼のツッコミが本作支えてました。
頭も良く、頼りになる主人公なのも良い。

華城綾女は怒涛のシモネタ乱舞の変態…だが、意外と清純な一面が可愛い。
意外にメインヒロインとしても十分可愛かった。
一見バカげているシモネタテロの、筋の通った方針は見事。
注目すべきは体制側の親友・アンナを利用する事もいとわないやり方でしょうか。

こすりちゃんは非常に狡猾で有能な妹系テロリストであった。
可愛いんですけど…髪型がお下品w
他テロリストはド変態で大爆笑w

早乙女先輩の存在感も絶大、彼女のありかたは「思想の為の戦いなんぞより、自分がやりたい事の為に情熱燃やす」それが本来の思想。表現の自由だという事を見せてくれる。
いかに体制側が規制しても、掻い潜る方法はある!(お口で春画)

不破氷菓は陰気だが結構可愛い、知的好奇心は抑圧されても止められない事を代表するキャラなのだ!
いや、でもハエの交尾はちょっと…。
でも終盤大活躍でした。

びんかんちゃんはあざとく可愛い。
轟力先輩は本当に良い人ですね…ホモだけど。

本作を代表するキャラは生徒会長のアンナ・錦ノ宮。
怖い!怖すぎます!これもヤンデレというものなのか…
回が進む程に人間離れしていった…!
いや~、エロかったですねぇ♪{/netabare}

投稿 : 2015/11/04
閲覧 : 426
サンキュー:

48

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