「乱歩奇譚 Game of Laplace(TVアニメ動画)」

総合得点
61.7
感想・評価
663
棚に入れた
3148
ランキング
5155
★★★★☆ 3.3 (663)
物語
3.1
作画
3.4
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.2

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

乱歩は必要だったか?

 江戸川 乱歩作品は一時読み漁った時期があったけど、本作は原案を謳っていながら、
ストーリー自体はほぼオリジナルで、名称やモチーフの特徴などを拝借しただけといった感じ。
 ただ乱歩作品はエログロ要素を(当時としては)強く押し出した作品が多く、本作ものっけから
登場するバラバラ死体を初め、残虐性の強い描写が多く、そういった共通点はあるかも。
 面白いのはグロ要素が強く、ストーリーもシリアス主体でありながら、全体的にポップ感覚や
ユーモア性が漂っており、そういった部分は同じ岸 誠二監督の「ダンガンロンパ」に通じる
テイストを感じる。

 基本的には数々の事件を高校生探偵のアケチ コゴロウが解決していくという形を主軸として
いるが、探偵の推理から犯人特定に至る過程を見せ場としてはいないようで、いわゆる
ミステリーものとは違った印象。
 むしろ数々の事件を通して、現実の社会問題に通じる問題提示を強く打ち出しているみたい。
 その最たるものが全体を通じて描かれる怪人二十面相関連の事件で、ワタヌキによる連続幼女
誘拐事件や、カガミ ケイスケの妹が殺害される事件など、その結果は視聴者にも納得が
いかないような描写をすることで、それでも法を遵守すべきか、ナミコシが計画したような
新たな抑止力を肯とするかを視聴者に問いかけているかのよう。
 このナミコシに対峙する存在となったアケチだが、彼自身はナミコシを救うために行動
したのであって、自身は遵法者という意識はなさそう。

 犯人にしろ、それを追う側にしろ、キャラは大なり小なり、精神に異常性を感じさせる者が
多いが、その中でも印象的だったのがコバヤシ。
 女性のような容姿など外見でも目を引くが、ごく普通に異常性を感じさせる発言をするところ
などはかなり歪んだ印象。
 多くのキャラが精神に歪みが生じる理由がある中、純粋に狂気を感じさせるところなど、
考えようによっては犯人キャラより薄気味悪いものを感じる。
 そんな彼を救うのが一番普通であるハシバというのも面白い。彼の場合、コバヤシに対する
友情からの行動なのだろうが、コバヤシの外見が外見なだけに単なる友情以上のものを
感じさせてしまうんだけど。

 江戸川乱歩没後50年ということで乱歩ありきの企画だったのだろうけど、結果として乱歩
要素なくても成り立つような作品に仕上がってしまったみたい。

投稿 : 2016/09/12
閲覧 : 287
サンキュー:

3

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