「Re:ゼロから始める異世界生活(TVアニメ動画)」

総合得点
91.2
感想・評価
4053
棚に入れた
16675
ランキング
37
★★★★☆ 4.0 (4053)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.0

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Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「ただそれだけの物語」は…これでは絶対に終わ"れ"ない。

この作品の原作は未読ですが、2016年春から夏に放送されたアニメの中で最も世間を賑わせた作品の一つといっても過言ではないと思います。
そのくらい強烈なインパクトのある作品でした。

この物語の主人公は、引きこもり高校生のナツキ・スバル…物語は、彼がコンビニ帰りに突如異世界に召喚されるところから始まるのですが、異世界に来て早々にトラブルに巻き込まれて命を落としてしまうんです。

…命を落とした筈だったのですが、ふと気が付くと目の前には見覚えのある風景が広がっていました。
そこはスバルが異世界に召喚された場所だったんです。

やり直し…それは全てがリセットされて最初の状態に戻る事…
でも、スバルはトラブルに巻き込まれて命を落とした記憶がリセットされていませんでした。
だからこれはやり直しとは少し違う…所謂「死に戻り」

一方、スバルが異世界に着いて最初の窮地を救ったのが銀髪のハーフエルフの美少女であるエミリアでした。
突然異世界に飛ばされ、右も左も分からない場所で手を差し伸べてくれた彼女…
彼女との出会いが、これまで引きこもっていた生活とは真逆な展開が訪れる事になるのです。

この作品の凄いところはたくさんあるのですが、何よりも強く惹きつけられたのは、2クール全25話の中で1話たりとも捨て回が無い上、各話に必ず盛り上がる展開が織り込まれている事です。
作り手のインタビューで、「非常に情報量の多い作品なので、どの部分を抽出するかは悩みました。」
この様な話を聞きました。
私は原作未読なので、端折られている気はしませんでした。
むしろ、変幻自在な展開に圧倒され、毎週の視聴が一番楽しみな作品になっていました。

この作品は原作の第3章までアニメ化されましたが、正直第1章ではそれほど琴線に触れる作品ではありませんでした。
能登さん演じるエルザや、赤崎さん演じるフェルト…何よりヒロインである高橋李依さん演じるエミリアなど魅力あるキャラが縦横無尽に駆け回る展開…
何もかもが手探り…何かを得る代償は自分の生命…もう一度戻ってこれる保証だってありません。
それでもスバルは、正解のカードを手繰り寄せようと必死に足掻き続けるんです。
もう二度と見たくない場面を繰り返さないために…

きっと第1章でも琴線には触れていたんだと思います。でも第2章での触れ方が余りにも強烈だったために、第1章で感じた感覚が薄れてしまったのだと思います。

第2章で登場したメイドの双子姉妹であるラムとレムが、今この作品に抱いている感情の根源になっています。
メイドとしての仕事をしっかりこなす二人はとても立派です。
ピンク色の髪がお姉さんのラム…毒舌家ですが、面倒見の良い性格の持ち主です。
そして水色の髪が妹のレム…普段は感情をあまり表に出す事なく、ロズワール邸の家事のほぼ全般を引き受けており完璧にこなしています。

レムとラムはスバルがロズワール邸にやってきても、何も変わらずこれまで通りメイドの仕事をこなしていました。
…そう、淡々とこなしていたが故に物語が大きく動く事になるのですが、ここで感じる苦しみは正直半端ありませんでした。

スバルの「死に戻り」は、記憶を引き継げる特徴があります。
第1章ではその特徴が功を奏したといえるでしょう。
でも第2章では、それが良い事ばかりじゃ無い事を痛感させられます。
自分と相手との間に感じる決して埋められない温度差…時には凶器にもなり得るんですね。
そしてその凶器は確実に心を壊していく…

恐怖に支配され、一歩踏み出す勇気も無くし…それでも覚悟を決めてリスタートするスバル…ボロボロなのに咄嗟に動いた身体は止められなくて…
そして止まらないのは現在進行形の悲劇も同じ…
でも例えそれがどんな状況でも薄情なスバルではありませんでした。
だからこそ2章の終幕が最高の形になったんだと思います。

そして第3章…苦しみは質を変えてスバルに襲い掛かってきます。
その苦しみがスバルの人としての生き様や人間性…そして存在すら否定するところから始まります。
そしてここではスバル本人だけでなく、周りにも苦しみが伝染し始めるのです。
この章の中盤から登場する松岡さん演じる「怠惰」担当 ペテルギウス・ロマネコンティが登場すると、苦しみは痛みへと形を変えてきます。
松岡さんが演じる無双系のキャラは恰好良くて大好きですが、ペテルギウスを見てはっきりと松岡さんは敵に回してはいけない人だと実感しました。

八方塞がり…四面楚歌…誰もスバルの言う事に耳を貸さず、誰の力も借りられない…
手を尽くそうとすればするほど目にしたくない光景ばかりが目の前に突き付けられる…
手詰まりとなったスバルでしたが、半ば強引に活路をこじ開けられて再び顔を上げる事になります。
底辺まで突き落とされて…でもそこから這い上がってくるのがスバルの真骨頂…
誰もが実現し得なかった事がスバルにとっての通過点…
誰よりも人間臭く、自分の弱さも空虚さも自分にはね返ってきているような…そんな胸の痛む思いの先で待っているのは…気になる方は本編を是非ご覧下さい。
ラストの展開も巷で評判の通り良かったと思います。

作り手の皆さんはエミリアがヒロインだと言っていました。
キャラの立ち位置からみてもそれで間違いは無いと思います。
でも、すみません…私にとって、この作品のヒロインは水瀬さん演じるレムでした。
全ては最終話に向けた布石…だったのかもしれません。
けれど、私はどうしても過程をないがしろにする事ができません。
だって…そう思えるだけの時間を二人は共有しているのですから…

最初に見た時は可愛らしい双子のメイドさん…くらいでした。
普段は無口で、表情もあまり表に出さないレム…
きっと彼女のガードは鉄壁なのでしょう…
でも一度彼女の内面に触れると…燃えるように熱くて、自分の大切を守るためなら何も厭わず、何をおいても大切を優先する…
そんな彼女を物語っているのが「15話 狂気の外側」です。
一瞬見せてくれた笑顔が眩しくて…そしてレムはどんなになっても誰に何と言われようと自分の本分を全うする事に微塵の揺らぎも無いのが彼女の決意表明のほんの一端…
でも、レムといえば「18話 ゼロから」は絶対に外せませんよね。
「レムも考えてみました…」のくだりから始まるあの一節は優しさと愛情が溢れんばかり…
これだけでもグッとくるのに、レムの歌う「Wishing」が背景に流れるのですから容赦ありませんよね。
こうしてみると3章は15話から21話まで泣きっぱなしでした。
中でも21話終盤の「嫌なんです…苦しいんです…耐えられないんです…」から始まる一節は私の涙腺解放スイッチと化しています。

オープニングテーマは、鈴木このみさんの「Redo」と、MYTH & ROIDさんの「Paradisus-Paradoxum」
エンディングテーマは、MYTH & ROIDさんの「STYX HELIX」とエミリアの「Stay Alive」
MYTH & ROIDさんの楽曲は「オーバーロード」のエンディングの時から好きでしたが、この作品で完全な虜になってしまいました。

今は見終えたばかりで興奮が冷めていませんが、私がこれまで視聴してきた作品の中でもトップクラスだと思えるくらい、毎週の視聴を待ち続け何度も視聴して何度も号泣した作品でした。
もちろんお気に入りの棚行き決定の作品です。
2クール全25話の作品ですが、時間をかけた分以上の見返りが貰える作品だと思います。
作り手の皆さまには本当に感謝…感謝です。

気になるのはこれからです。物語としては完全に途中で回収されていない伏線もたくさん残っています。
原作に追いついてしまったから…というのが理由のようですが、それなら原作を端折らずにアニメ化してくれても良かったように思いますけれど…
このレビューのタイトルにも記載しましたが、これでは絶対に終わ"れ"ないですよね。
続報を楽しみに待ちたいと思います。

投稿 : 2016/09/25
閲覧 : 432
サンキュー:

67

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