「あの夏で待ってる(TVアニメ動画)」

総合得点
83.9
感想・評価
2731
棚に入れた
13511
ランキング
304
★★★★☆ 3.7 (2731)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.7

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「ベタ」故に普遍性を持ちうる、青春恋愛群像劇の良作。カンナちゃんかわいい♪

「おねがい☆ティーチャー」「おねがい☆ツインズ」の黒田洋介脚本&音羽たらくさん(キャラデザ)が組んだ、青春ラブコメです。(監督は長井龍雪さん)
全12話+特別編。
舞台の長野県小諸(こもろ)市の美しい風景を活かした、SF(すこしふしぎ)要素もある、ひと夏の恋物語。
高校生の男女5人が片思いしつつ、甘酸っぱくも爽やかなラブストーリーでした。

ラブコメとしては優等生的でやや地味なタイプですが、王道が欠点にならないだけの完成度と魅力あり。
※修正 監督カン違いしてました…fumiさんご指摘感謝。

{netabare}『物語』
謎のメガネ美少女・イチカ先輩と衝撃的に出逢った主人公の霧島海人。
先輩の事情はともかく、同居するうちに、互いを意識していく…
そこに男子1人、女子2人+イチカ先輩よりも謎なレモン先輩も加わり、自主映画撮影を通して、すれ違う恋のドラマが始まる…
初っ端から宇宙人というSF展開も、無理なく組み込みつつ、王道な青春群像劇ラブコメに。
…鉄腕バーディーだったら二身同体になってた。

ベタな王道お約束多用する事でテンポ良く構図が常に分かり易く、また「5人のラブコメ」の純度を高めているのが特徴でした。
少女漫画ではなく、ライトノベルか恋愛ゲーム(が原作の深夜アニメ)寄りのフォーマット多用しつつ、ドラマの焦点を群像劇ラブコメ(と楽しい雰囲気)に集約。
例えば海人が先輩と同居する流れや、柑菜(かんな)ちゃんに誤解されたり、沖縄編で先輩にライバル(海人の幼馴染)登場などなど、テンプレ多用。
…このベタさこそ本作の魅力で、やや地味になりがちな繊細な片思いの連続が、観易いです。

自主映画作りを恋の状況とシンクロさせる構成も分かり易い。
映画制作は青春劇としても機能、気の置けない仲間内で青春謳歌する楽しい雰囲気が良い感じ。
特に前半は海で遊ぶ水着回含め、日常系の楽しさ重点…しつつも、常に現在進行形の恋の構図を示して、後半怒涛の片思い恋愛劇の下地になっていた。
そして8ミリフィルムの存在が、ラストのステキな余韻にも繋がっていく。

後半以降、前半から丁寧に(というよりベタで分かり易く)描かれてきた片思いの切なさが連鎖爆発、目が離せない。
ヒロイン(主人公が気になるけれど…)←主人公(先輩すき)←Bちゃん(主人公がすき)←C君(Bちゃんがすき)←Dちゃん(C君がすき)
複雑なようでいて非常~にキレイに、ベタに片思い。大変分かり易い。
全員優しい世界で恋の駆け引きとかは皆無、でも真剣に悩み切なさが高じていくピュアラブコメ…
構図はドロドロなのに終始ピュアさを失わない稀有な青春ラブコメ、小諸の夏の情景と合わさり、綺麗な物語に昇華。
全員優しいけれど、決して妥協せず相手に向き合い、ちきんと自分の気持ちに決着付けて成長していくドラマでした。

終盤の超展開は、何となく劇場版アニメっぽい流れ。
皆それぞれ泣いて、恋して、成長した仲間達が結束していく集大成が熱い。
地に足が着いたドラマの積み重ね故のカタルシスとても良いです。
ラストも「あの夏で待ってる」のタイトルに相応しい切なさと余韻あり。


総じて欠点の少ない、好感の持てる青春恋愛群像劇です。
アニメ的なベタ多用する事で1クールのアニメ作品として観易く、好ましい雰囲気の中で好ましいラブコメ、完成度高いです。
「恋愛漫画や小説ドラマのアニメ化」ではなく、最初から「(深夜)アニメの持ち味活かしたオリジナルアニメ」
という意味で、アニオタ的に親しみ易い良作でした。
ベタであっても、いやそれ故に、後々振り返っても、色褪せない確かな輝きがある(大袈裟かもですが)

…強いて難を挙げるならば、優等生過ぎて派手な面白味は乏しいかも。
感情のすれ違いで必然的に発生する汚さがほぼ無いです。
ベタで分かり易さ綺麗さと引き換えに波乱は乏しい(超展開の終盤も、ラブコメ的には超予定調和)
それと、主人公&ヒロインのふたりは片思いの葛藤少なく、切ないドラマは他3人に一歩譲る印象も。
ここら辺、良作だけどやや物足りないと見る方も多いのでは。
…そういうタイプの作品。そこを差し引いても、時を置いて視聴したくなる。
私的に名作の第一条件「時を置いての繰り返しの視聴に耐えうる」
大体の作品は初見では十分楽しめる、5年後10年後それ以上経ても輝き保っていたアニメは(自分の中での)名作級です。


『作画』
羽音たらくさん&田中将賀さんのキャラデザが好き、特にショートヘアで貧乳な柑菜ちゃんが好みです。
喜怒哀楽の表情豊かで可愛さ満点。
小諸の夏の情景も綺麗で雰囲気を盛り上げていた。
作画は全編に渡り高クオリティー…とは言えない面もありますが、特に問題ないです。

『声優』
柑菜役の石原夏織さんが光った。未だに石原夏織さん一番のはまり役。
実力派の荻原秀樹さんも良かったです。
イチカ先輩の戸松遥さんの破壊力も高し。
レモン先輩はいかにもな田村ゆかりさんでした。

『音楽』
OP「sign」が主題も雰囲気もバッチリで好印象。
やや地味な印象ながら、結構しみじみと来ます。
BGMも良い感じ。


『キャラ』
全員良い子で悪意のキャラがいない。
それでいて等身大の活き活きとした感情が伝わる良キャラ多し。
あとやたらメガネ率が高い。

最萌は…谷川柑菜(たにがわかんな)ちゃんでしょう!
見た目からして好み、貧乳気にするベタさもかわいい。
ツンデレ気味でくるくる変わる表情もかわいい、それでいて一番奥ゆかしい(大人しく見えた美桜ちゃんが実は…なので)
本作の恋愛劇では一番辛い立ち位置、切ない恋する少女でした。
終盤、イチカ先輩に活を入れるシーンは名場面。

北原美桜(きたはらみお)ちゃん、巨乳担当の裸族、あざとい。
一番大人しいと思いきや…後半怒涛の成長で魅力急上昇。

飄々としたメガネ男子、石垣哲朗の方が、男子組の主人公っぽい。
社交的で、海人よりも器用…前半思わせての、実は不器用の極みだった葛藤…怒涛のロマンスはドラマチック。

霧島海人(きりしまかいと)と貴月イチカ(たかつきイチカ)特にイチカ先輩は眼鏡先輩美少女で魅力申し分ないのですが、恋愛劇の葛藤少な目な分、やや地味でした。
それでもイチカ先輩は感情豊かで可愛い側面が沢山、海人が惹かれるに足るヒロインでした。

…そして本作の狂言回し、宇宙人のイチカ先輩以上に謎が多過ぎる檸檬(レモン)先輩いったい何者なんだ!?
恋愛劇の輪の外から謎の存在感…かわいいです。

沖縄編の幼馴染ちゃんと友達もあざとカワイイ。
海人姉など、ベタな恋愛劇をスムーズに支える脇役も良い感じ。{/netabare}

投稿 : 2017/08/27
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サンキュー:

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