「ダーリン・イン・ザ・フランキス(TVアニメ動画)」

総合得点
84.8
感想・評価
1072
棚に入れた
4675
ランキング
267
★★★★☆ 3.7 (1072)
物語
3.5
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.7

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ネタバレ

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

手垢まみれでは撃ち抜けない

まず最初に言っておきたいのは、いろいろツッコミどころはあるにせよ、
本作はそこまで悪い出来ではないと、そのように思っています。

手垢のついた諸々はご愛嬌ですし、
残念な超展開と言えども物語が破綻している訳ではないですし、
余韻の残るハッピーエンドもまぁいいんじゃないでしょうか。

これまでどれだけ(特にガイナックス)の作品に触れてきたかどうかで、
本作に対する印象もまた変わってくるかもしれません。
まぁ一言苦言を呈するなら、ゼーレごっこは今見せられるとかなり滑稽ですw

さて、本作の主題は、
摩擦のない永続的な安寧を求めるオトナたちと、
もがき、苦しみ、葛藤し、衝突してでも人間の営みを全うしようとするコドモたち
という対立構造だと思います。

オトナたちに関していえば、VIRMという真のラスボスがいて、
最終的には肉体を放棄し、
思念体として凪のような快楽を得るというとろこにまで話が展開していきますが、
基本的なテーマは一貫しています。

他人(特に異性)との関わりを極力回避し、
ストレスフリーな自分だけの世界に閉じこもる現代の風潮に対する警鐘なのかもしれません。

ただ、この対立構造は、典型例でいえば、
「新世紀エヴァンゲリオン」で取り扱ってきたテーマですし、
他にも似通った作品はいくらでもあります。
いくら手垢のついた諸々はご愛嬌と言っても、
正直「またか・・・」と思ったのも事実です。

ここで、本作におけるオトナの描かれ方に注目してみます。
第10話「永遠の街」に登場したオトナは、
見た目はおばあちゃんで、快楽への興味も枯渇した無機質な生命体という描かれ方がされています。
まるでくたびれた現実世界の大人のようですが、
いくら永続的な安寧を得られると言えども、こうはなりたくないですw

次に、肉体を放棄し、思念体として凪のような快楽を得るということですが、
ここまで話が大きくなると、もはや想像の範疇を超えていますw
人類補完計画? う~ん、別にそこまでは望んでいないかも・・。

では、次のように言い換えてみます。
肉体を放棄して、仮想世界の中で永遠の命と若さを得ることができる。
仮想と言っても、現実世界と寸分違わない感覚を楽しむことができます。
なんだったら自分の都合の悪い感覚は削除しちゃってもいいくらいです。

このような提示をされた時に、
それでも肉体的、精神的な煩わしさを受け入れて、
仕事をして、結婚して、子供を育てて、年老いて死んでいく方がいいと
言い切れる人はどれだけいるのだろうか?
正直、私は仮想世界で生きることを選ぶと思いますw

かつて宮崎駿監督や庵野秀明監督は視聴者に、
「アニメを捨てよ、現実を生きよう」というメッセージをぶつけてきましたが、
当時よりも将来に希望を見出しづらい世相に、
VRやARの発展による虚構と現実の接近と、環境は目まぐるしく変化していきました。
このような時代だからこそ人間の営みの崇高さを唱えることに意味があるのかもしれませんが、
SFとしての斬新さだとかなにかこれまでにないモデルで提示しないと、
もはやこのメッセージは届きづらくなっているのかもしれません。
深夜アニメ視聴者層には殊更でしょう。

そして、この時代に、これまで幾度となく唱えられてきたこの大人の説教を押し通すには、
本作はいろいろと力不足だったと思います。

投稿 : 2018/07/26
閲覧 : 390
サンキュー:

32

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