「ロウきゅーぶ!SS (第2期)(TVアニメ動画)」

総合得点
73.5
感想・評価
905
棚に入れた
5205
ランキング
990
★★★★☆ 3.8 (905)
物語
3.6
作画
3.7
声優
4.0
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ハマれる人には最高なのだろうけど。

アニメーション制作:project No.9
2013年7月 - 9月に放映された全12話のTVアニメ。

原作は、電撃文庫レーベルのライトノベルであり、原作者は蒼山サグ。
監督は柳伸亮。総監督は草川啓造。

【概要/あらすじ】

6年生の女児5人だけの慧心学園初等部女子ミニバスケットボール部があった。
対外試合経験がなく、基礎やチームとしての連携の練度を上げるといった、
強くなるための練習をろくにせず玉遊びしているだけと言われていて、
そんな女バスが体育館を週3日使えるのは無駄であると見なされていた。
大会実績があり、もっと強くなりたい男バスチームが体育館を使える曜日を増やしたいという思惑から、
女バスチームを体育館から追い出そうとしていた。女バスの月・水・金の体育館使用権を賭けて、
女バスと男バスで試合をすることになり試合当日を目前にして、
臨時コーチを引き受けることになってしまった高校1年生の主人公・長谷川 昴。
熱血バスケマンである昴の指導と作戦がハマり、僅差で試合を制して女バスは練習場所を守った。

期限付きのコーチの約束であったが、部内唯一の経験者であり、
バスケがめちゃくちゃ上手い小6のヒロイン・湊 智花の熱意を受けて、コーチを続けることになった昴。
5人の女児を見守る彼の姿は傍目には不審人物の誹りを受けても仕方ないのだが、
彼自身は至って真面目?な指導者であり、そんな昴を女子バスケ部の5人は慕うのだった。

そして、はじめての対外試合・全国レベルの強豪である硯谷女学園との練習試合を通じて、
女子ミニバスケ部の5人がメキメキと強くなっていることが実証されるのだった。

【感想】

スポーツを題材とした作品としては挫折と栄光はセットなのであるが、挫折成分が不足気味であるように見える。
6年生チームがあっという間に強くなりすぎだし、そこは『スラムダンク』のオマージュなのか?
『スラムダンク』の場合は高名な安西先生を慕って、
万年予選1回戦レベルの公立校には似つかわしくないレベルの高い選手が集まっていたし、
レギュラー勢が出揃った時点で湘北高校バスケ部は全国レベルのチームだったけどね。
こっちは萌え萌えしてて泥臭さが無いが、
成長感覚としては素人が数ヶ月で甲子園で準優勝した『名門!第三野球部』みたいなものか?
昴が受け持った6年生5人は素直でいい子な美少女たちで成長チート持ちというスポ根としてはイージーモード過ぎる。

6年生チームが数ヶ月で全国レベルに育ちきってしまった優等生過ぎて弄る部分が無い面白みの無さから、
そこで2期では対比として反抗的で、プレイヤーとして未熟なうえにギスギスしてる5年生チームが登場。
未熟な下級生目線の結束と成長の姿を通して1期と比べて普通のスポーツもの志向が強めに見える。
ただ、義務的に成長イベントをこなしてるだけの感があって、見ていてワクワクが無かったし、
やはりスポーツものとして見てみてると物足りない作品ではある。

スポーツジャンル作品の面白さは試合の描写によって決まる。
試合そのものは割と楽しめるのだが作画と演出によるものかな?

魅力的なライバルとの凌ぎ合い、ライバルの掘り下げ、勝負することによって生まれるドラマも重要な要素。
しかし、どれも全部が浅い。特にライバルのキャラ立ちのして無さと魅力の無さが致命的にだめだと思った。
やな感じのボスキャラ登場 → 勝負を通じて改心するのワンパターンではある。

『スラムダンク』の飄々とした仙道彰のコートを支配する存在感。
『あさひなぐ』の薙刀の鬼のような一堂寧々の物語に与える緊張感と心理変化が起こすドラマ性。
といった丁寧さが、この作品には全く見当たらないのだが、

スポーツとロリ萌えのハイブリット作品なので楽しむポイントが本質的に違うのだろうし、
作者の脳内にあるキャラ人格の引き出しが多くないのかもしれない。

男女の恋愛描写もかなり、おざなりではある。11歳の智花の15歳の昴に対する憧憬に比べて、
昴に片思いしてる幼馴染の荻山葵の扱いや感情描写がテキトー過ぎる。

惚れた弱みで無自覚に昴にこき使われているだけの良い人。あと、ときどきエロコメ要員。
どうも、昴という男の都合で女キャラの性格や感情が作られてる感じで、
人間の心理描写という点で丁寧でない作品だと思った。

これも、極端な例ではあるが比較として石田敦子の『アニメがお仕事!』を読むと、
“神経質で恨み深く複雑で怖い思考回路をしている”女性のサガが窺える。

自分を理解してくれない男に対する怒りの思考ロジック。
赤本を読みながら答え合わせをするが如くに、
自分が思ってることを完全に理解して謝ってくれないと相手を絶対に許さないという、
女性の情の部分をリアルに描写してしまうことを作者が意図的に避けてるのか、
想像力がないのか、単に描けないだけなのかはわからないが、人間描写が浅いと思った。
女は男に見つめられてモジモジしてるのが可愛い!で完結していては男女関係の機微に遠すぎる。
それは作者と読者が自分に都合のいい女性の姿をした偶像を作って自分を慰めているだけなのだよ。

ただ、女への甘い夢を見ていたい男のためだけに作られたロリータファンタジー作品に、
男女の痴情のもつれを持ち込みすぎるとジャンル違いではあるが。

他にも思ったこととして、正直言って、これはバスケである必要はあったのだろうか?
スポーツをしてるよりは異世界で剣を振るってスライムと戦ったり、
魔法や召喚術を使ってるほうがお似合いのキャラデザではある。
これはロリっ娘萌えを引き立てるためのツールとしてのバスケであり、バスケそのものは作品の主食ではない。
今更感のある言葉ではあるが、作品全体を通してのしっくり感の無さの正体が正にそれである。

作者が楽しんで欲しいと思って描いたことが、ことごとく個人的にはしっくりこないことが多い。
ここは、タイトルの“SS”に倣って『小学生は最高だぜ!』と無心で楽しむべきなのだろうが。

二次ロリ萌えアニメとしては有能なのではあろうが、作者と自分の嗜好の違いから、
それほど評価の高い作品には一期と同じく、なりえなかったのが正直なところである。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2018/08/27
閲覧 : 436
サンキュー:

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