「SSSS.GRIDMAN(TVアニメ動画)」

総合得点
84.7
感想・評価
991
棚に入れた
3992
ランキング
275
★★★★☆ 3.8 (991)
物語
3.6
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.8

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

tag さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:今観てる

六花

4話視聴終了時の感想(予想)です。

この世界が何らかの意味でバーチャルなのは間違いないだろう。一夜にして町が再生され、記憶が都合よく書き換えられる世界が現実であるわけはない。

すべての焦点は意図的にアカネに向けられている。アカネが怪獣を作り、自らにとって都合の悪い人間を殺し、そして、街を破壊し、その後で、記憶の書き換えが行われ、町が再生されるのだから、アカネがすべての元凶に見える。

だが、これは意図的なミスリードだろう。単に都合の悪い人間を消すためだけに怪獣を作り、街を壊してから、再生して記憶を修正する。目的に比べて手段が大げさすぎる。よく考えてみよう。あれだけの破壊行為が行われたのに死んだのはアカネが憎んだ人間だけ。おかしくないか。もっとたくさん死んでいるはずだ。実際、裕太は全員を助けられなかった非力を嘆いている。その人たちはどうなったのか? トンコやトン川のようにいなかったことにされた? だが、それについては一言も触れられていない。1話で体育館に火球が落下した時、もっと多くの生徒がいたはずだ。トンコやトン川以外の生徒は「死ななかったことに」なった、つまり、再生された、としか考えようがない。

アカネはいったいなんのために怪獣なんか持ち出すのか? 人間の生死さえコントロールできるなら怪獣など必要ない。つまり、見た目はどうあろうと、あれはアカネの意思によっておきていることではない。じゃあ、誰の?

それは多分、六花なのだ。六花は、なぜ、オタクでもないのにグリットマンという非日常に身をゆだねられるのか? いかにも真面目でまっすぐで正直な彼女がなぜグリットマンという非現実だけをやすやすと受け入れるのか?

ありえないだろう。まともな神経だったら、彼女は気が狂うはずだ。オタクの内海のようにもともと現実と架空の区別があいまいなニンゲンでもなく、裕太のように逃れようもなく巻き込まれた人間でもなく。店にあるジャンクにグリッドマンがいるというだけですべてを受け入れることができるだろうか? あり得ない。

その答えは1つしかない。この(非)現実は、これを作り出したのは六花なのだ。裕太が記憶喪失のまえに六花に対してやった何かが六花には受け入れがたいことだったのだ。だから、彼女は裕太の記憶を消した。すべての非現実はそこから始まった。

おそらく、トン川やトンコは本当に死んでいたのだ。中学の時に。おそらく六花のせいで。アカネが殺している人たちは、過去、六花のおそらくは過失で死んだ人たち。六花はその現実を受け入れられず、死んだはずの人たちが生きている世界を作って世界を捻じ曲げたのだ。

そして、アカネはそのねじ曲がった現実をもとに戻すために戦っている。アレクシス・ケリブの力を借りて。グリッドマンは「現実」に世界を引き戻そうとするアカネの奮闘に対する六花の抵抗が生み出した幻覚だ。だからこそ六花はこの非現実をやすやすと受け入れる。怪獣が、六花の見たくない現実を再生し、それを阻害するのがグリッドマンだから。

4話のラストで六花は「怪獣はわたしのせい?」とつぶやく。多くの視聴者はそれが六花がアカネの正体にきづく伏線ととらえるだろう。だが、それは違う。六花は自分が無意識に捻じ曲げた現実に、現実を捻じ曲げたのが自分なのだ、と気づき始めたのだ。

アカネはおそらく本当に六花の親友なのだ。そして六花に現実を受け入れてほしいと奮闘している。そして裕太は六花が現実を受け入れざるを得ない「何か」をしてしまった。そしてそれを「なかったこと」にするために記憶を奪われたのだ。

きっとこれはそういう凄まじい話なのだ。


============
付記:5話放映前に。

六花の部屋:
みなさんは、4話まで一度も六花の部屋が画面に映っていないことにお気づきだろうか? 女子高生がヒロインで店舗とはいえ自宅が主な舞台なのに4話まで部屋にいる描写がないアニメなんておかしくないか。お定まりの就寝前のベッドでの友人とのSNSのシーンさえない。

なぜなのか。答えは六花には自分の部屋が無いのだ、なぜか?

その前にもう一つ考えることがある。アカネのゴミ部屋だ。アカネの住んでいる豪邸とアカネのフィギュアだらけの部屋はあまりにもアンバランスだ。アンバランスと言えば、高価な靴を履き、レストランの食事のような豪華メニューを家で食し、都心でショップモデルまで務めたという六花の日常と、母子家庭で客が来ないジャンク屋という設定もアンバランスではないだろうか?

アカネのゴミ部屋は、豪邸と一階がジャンク屋を営む家のどちらがふさわしいのか?いうまでもない。アカネのゴミ部屋はジャンクショップの二階にこそ相応しいだろう。

この不釣り合いはしかし、六花は現実を捻じ曲げて非現実を作り上げた時、親友で美少女だったアカネの容姿と境遇を奪った、と思えば納得がいく。OPラストにワンシーンだけ映る、クレージーな暗い目をしたアカネ似の少女が、六花愛用のイヤーフォーンをつけていることはすでに各所で指摘されている。あれが、アカネではなく「現実の」六花の姿だったら? なぜ、アカネが六花のイアフォーンをつけているのかなどという面倒な推測は不要になる。

この仮定は同時にこの世界がアカネの妄想だという仮説に対する大きな矛盾を1つ解決してくれる。グリッドマン対怪獣という妄想世界をオタクではない六花がつくれるわけはない。だが、ゴミ部屋が六花の部屋で容姿をアカネとすり替えたなら合点がいく。六花がフィギュアまみれのオタク部屋の住人ならSSSS.GRIDMANの世界を妄想するなど造作もない。

六花はつらい現実から逃げ出してSSSS.GRIDMANの世界を作るとき、自分の容姿にも改変を加えた。おそらく、六花の異様な趣味に引くこともなく親友でいてくれたアカネの容姿を、だ。そして、ちゃっかりその座に座り込んだのだ。

六花の部屋がジャンク屋の2階に存在しないのはおそらく、現実世界の六花がアカネの部屋にいったことがないからだろう。六花の属性はよく考えると「同級生として知りうること」以上のものは一個もない。六花は家に帰っても外着のままだ。入浴も就寝もせず、(絵のいらない)ボイスドラマを除いたら食事シーンさえない。それは六花が知っているアカネの情報の中にそれらが全くないからだろう。

対するアカネは六花のゴミ部屋を訪れたことがあるのだ。いや、もっと言えば、アカネのゴミ部屋がアカネの豪邸の内部にある、というシーンさえ一度もない。アカネは豪邸に入り、階段を上がるが、ドアを開けて中に入るシーンは一度もないのだ。次のシーンではいきなり、アカネが部屋の中にいる

おそらく、アカネのゴミ部屋は豪邸にはなく、今でもジャンク屋の2階にある。そして、そこで一人、なんらかの方法でそこにもぐりこんだアカネが、六花に現実を取り戻させようと日々、奮闘している、きっとそうに違いない。だから、グリッドマンは六花ではなくアカネを救いにこの世界に来たことに最終的にはなるのだろう、歌詞の通りに。

投稿 : 2018/11/04
閲覧 : 304
サンキュー:

7

SSSS.GRIDMANのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
SSSS.GRIDMANのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

tagが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ