oxPGx85958 さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
つまらなかったが、最後まで見た
これ、凡庸なグループ・スポーツ根性ものの構成と演出・演技だし、物語は率直に言って面白くありません。「作者はこの作品でいったい何を言いたかったのか」というしょうもない問題提起をしたくなってしまうぐらい、焦点が定まらない感じです。思うに、大勢の登場人物がそれぞれ異なる意識で駅伝に関わっている、そのあり方の交通整理ができていないのでしょう。結果として、どの人についても説得力のある動機付けがなされないまま終盤を迎えたという感があります。
なんだけど、最後の最後に、5エピソードをかけて実際に箱根駅伝を走る様子が描かれるわけですが、その部分には説得力と魅力がありました。これを見るためにそれまでの18話を見ることはお勧めしかねるので、要するに全体としてはお勧めできません…
長距離を走っている選手をただただ描くということに、これだけの尺を割き、大団円に向けて盛り上げていくという発想は、きわめて野心的なのだと思います。実験的といってもいい。理想的には、10人の選手たちのモノローグを通して、ある人についてはそれまでの思いの総決算が提示され、ある人についてはそれまでになかった側面が提示され、ある人についてはレース中に新たな事件が発生し、それぞれの長距離走との関わり方の微妙なニュアンスの違いが描かれる、みたいな終わり方になっていればよかった。
実際にはそれが50%ほど実現されていた、という感じでした。
スポーツ・アニメという点では、誰かが上げたトスを打つまでの、実時間にして3秒ぐらいのあいだに、複数のキャラクターが合計で30秒ぐらい自分の心情を語る、というようなタイプの作品の対極にあります。視聴者としてどっちの方が「真剣に」受け止められるかというと、こっちの方ですね。『長距離ランナーの孤独』ってのもありますし、持久型のスポーツの方が、選手の内面を扱うタイプの物語には適しているわけです。そう思うと、やっぱりこれはもったいなかった。