「私、能力は平均値でって言ったよね!(TVアニメ動画)」

総合得点
70.5
感想・評価
440
棚に入れた
1692
ランキング
1505
★★★★☆ 3.3 (440)
物語
3.1
作画
3.3
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.3

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

FUNA作品としては外れてるような。

【概要】

アニメーション制作:project No.9
2019年10月 - 12月に放映された全12話のTVアニメ。

原作は、『小説家になろう』が出自でアース・スターノベルから刊行されている、
FUNAによるライトノベル作品。ねこみんと作画のコミカライズもあります。
監督は、太田雅彦。

【あらすじ】

人より出来る子であった女子高生の栗原海里は、高校の卒業式の日、
自転車で転倒してトラックに轢かれそうな少女を救出して身代わりで死んでしまう。
海里が目を覚ますと、この世ではなく創造主が目の前に立っていた。
後に人類の歴史に重要な意味を持つようになる少女を身を挺して守ったご褒美として、
異世界で記憶を持ったままの転生を持ちかけられる。

『こんな力が欲しい…とか何か望みはありますか?』と、転生ボーナスを創造主が尋ねると、
海里は優秀であるがゆえの窮屈で孤独な生前を思い返し、
『能力は平均値でお願いします』
ごく普通の女の子として自分で幸せになってみせると言う。

転生先は空中に散布されているナノマシンの能力で魔法が発現する一見ファンタジーな世界。
海里は、アデル・フォン・アスカムとして子爵家で生を受ける。
アデル(海里)は10歳で前世の記憶を思い出し、
自分の魔力量が転生先の世界で最強の魔力を持つ生物古竜の半分で、
通常の人間の6,800倍であることを知るのだった。

お家の複雑な事情で不遇な扱いを受けながらエクランド学園に進学し、
「普通の女の子」として生きることを画策するが失敗。

祖国を離れたアデル(海里)はマイルを名乗り、ハンター養成学校に通うことに。
マイルにとって重要な人物となる3人の少女と出逢うことになる。

力を隠して普通の冒険者として生きるのが目標のマイルではあったが、
なかなか思い通りに行かないのであった。

【感想】

原作付きアニメは、原作の忠実コピーとは限らないのは当たり前で、
放送話数に物語の長さを合わせたり、アニメ向けの調整が必要になってきますよね。

当時は神アニメと評されていた『AIR』では日常会話パートを大幅に削らざるを得なかったですし、
原作の精神性を重視した『ARIA』では第1話でオリキャラを登場させたり、
原作の複数のエピソードを組み合わせたり、レギュラーキャラの登場を早めたりと再構成。

極端すぎるキャラデザが個人的に好みではないのですが、
『幼女戦記』を原作者のカルロ・ゼン先生は満足しており、
原作の長い話を区切りのいいところで1クールに解りやすくまとめきった構成や、
アニメのギミックなどをコミカライズ担当の東條チカ先生も絶賛。

原作を元に作り変えたことで評価されているアニメ作品は世の中にいくらでもあるのですね。
さて、この『私、能力は平均値でって言ったよね!』はどうなんだろう?と言いますと、
基本的に1話完結方式で各エピソードを圧縮して、
原作の登場人物がアニメ版オリキャラに変更されたり、
登場人物自体を大幅に削除されることが平常運転。
そこは1クールアニメとしてのシリーズ構成の範疇にある処置なのでしょうけど、
異世界の人たちの描写がよりコミカルになる一方で、理性や心意気の部分が下がっていて、
原作と話のイメージが変わってしまったことが少なくありませんね。

主人公のマイルは常識の差異で奇行をやらかす→お説教を食らうことがよくあるのですが、
前世で優等生だった知識を引き継いでいるので魔力とは無関係に非常にハイスペックな人材なのです。
それが、アニメの場合では独自の要素としてパロディギャグをくどいほど盛り込んでいる影響なのか、
原作にないパロディ台詞などの数々で、独り言が絶えない情緒不安定で頭が残念な子にしか見えない。
え?誰?マイルってこんな子だったっけ?という違和感が強烈過ぎて、
見ていてあまり楽しいとは思えませんでしたね。

原作者のFUNA先生作品の共通のフォーマットがあります。

・好意的で協力的な人物には利益を分配して報いる。
・美少女は正義。
・裏切り者や敵に対しては一切の容赦をしない。

マイルが所属するパーティ“赤き誓い”の少女たちは正義感もありますがビジネスライク。
不正を行う相手を理屈と恫喝を以てやり込め、悪人に対しては人道は適用範囲外で躊躇がない。

例えば、アニメ4話で詭弁で騙して岩トカゲを不当に安く買い叩こうとした悪徳商人には、
直後にギルドで事実に基づく悪評を広めて商人として信用を根こそぎ破壊して、
破滅以外の未来が無いという制裁を更に加えています。

盗賊に殺意を持つレーナの過去話に対する反応も、
ヒューマニズムやアニメなどでありがちな不殺主義ではなく、
仲間や味方や無関係な人たちを危険に晒すくらいなら躊躇なく手を下すけど、
何が何でもわざわざ殺すことに拘る必要がないという類のもの。
襲ってくる悪党は欠損させてもいいし、治癒魔法で治せる。
鉱山に犯罪奴隷(平均寿命3ヶ月の使い捨て労働力で死刑と大差ない)として売れるし、
生かして捕らえた方がお金になるし長期間後悔させられるからと、甘さとは無縁の思考と価値観。

↑それらがアニメだと幾分温くなっていると言いますか、
“赤き誓い”のメンバーが原作展開から乖離するほど話の都合に合わせて、
知能と精神年齢が低下していたり、情に流されている考えなしのお人好しになっていたりと、
彼女らの持つ強かさが薄まって、
コテコテなリアクションの萌えギャグアニメキャラでしかないのですよね。
シリアス気味の最終エピソードでは、キャラがもとに戻っているのと合わせてみると、
ギャグアニメとしてのアレンジの数々でキャラがブレブレになっているのではないかと思いました。

これがオリジナルアニメであるなら、どうでもいいのですが、
アニメの都合でキャラをいじくり回しすぎたという点で、ちょっと印象が良くないですね。
特に、えたんだーるさんご指摘の第6話なんかキャラ崩壊が甚だしく大きな減点要素でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/01/04
閲覧 : 424
サンキュー:

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