「啄木鳥探偵處(TVアニメ動画)」

総合得点
65.0
感想・評価
98
棚に入れた
349
ランキング
3455
★★★★☆ 3.2 (98)
物語
3.1
作画
3.3
声優
3.5
音楽
3.3
キャラ
3.1

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

文芸オールスター戦的な

 原作は未読。
 明治・大正時代を舞台にした探偵もので、石川 啄木がシャーロック・ホームズなら、
金田一 京助はジョン・H・ワトスンといったところ。
 当然、内容的にはフィクションだが、メインの二人を始め主要キャラは実在した文芸家ばかりと
いうのが面白い。
 文芸家と言ってもジャンルは多岐に渡り、この辺が単に作品内のキャラの造形だけでなく、
その実像の著作の印象などから、よりバラエティに富んだ印象を与えていたような感があった。
 ただ、この文芸家キャラ達の交流もフィクションで、実際は同時代に生きたというだけで、
本作のように顔を合わせるようなものではなかったのだろう。啄木と京助は本当に交流が
あったようだが。
 この文芸キャラ達だが、その発言や行動が本人の著作を思わせるもの、あるいは作中での
出来事が著作物へのヒントになることがあったりで、その辺の知識があるとより
楽しかったりする。
 とはいえ、あくまでメインの啄木と京助を中心とした構成のため、他のキャラは賑やかし役の
域を超えていないといった印象。

 肝心の推理ものとしての部分は今ひとつといった印象。
 告発状を巡る全体を貫く要素があり、黒幕が身近な存在ということもあって、改めて見返すと
伏線めいた部分が随所にあって面白い。
 ただ、その真相は個々のピースを合わせた大掛かりな犯罪といった類のものではないため、
それほど盛り上がることなく終わってしまった感じ。
 盛り上がりに欠けたという点では、悩める啄木の人間ドラマの部分が推理ものの
エンターテイメント性の足を引っ張っていた感もあった。

 あと個人的には主役の啄木にあまり魅力を感じなかった。
 ある才能に秀でた人が社会不適合者だったりするのは古今東西よくあることで、実際の啄木も
金には相当だらしなかったようだが、本作は実名を使用しこそすれフィクションであるのだから、
もうちょっと啄木に可愛げがあっても良かったと思うのだが。
 何も聖人君子のようにすることはなく、ダメだけど憎めないやつみたいなキャラだったら、
印象が変わったかも。
 時代背景描写は楽しく、材料は面白そうなものが多かっただけに勿体ない印象。

 時代背景描写と言えば、喫煙シーンがやたらと目に付く。
 喫煙シーンに関しては「喫煙を助長する」として批判的に意見もあったりするが、個人的には
喫煙に限らず、当時の価値観、道徳観、社会正義感に合わせた描写を好むたちなので、喫煙が
ありふれた習慣であるこの時代の描写としてはよしといったところ。
 ただ、かっては喫煙者で現在は非喫煙者の身としてはあまりにも美味そうに煙草を吸うので、
いささか誘惑的ではあった。

2020/07/07
2022/07/19 追記・修正

投稿 : 2022/07/19
閲覧 : 293
サンキュー:

5

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