pister さんの感想・評価

2.4
物語 : 2.0 作画 : 2.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態：観終わった

“けだまのゴンじろー”履修者向け

原作未読。
一応前情報として「あっち方向のなろう系」というのは踏まえつつ、いざ見てみたらシリ構が市川十億衛門って…えっマジ？
変な名前だからつい覚えちゃうこともあって“けだまのゴンじろー”でチェックしてた人で、他にはゲゲゲの鬼太郎6期の妖怪チン○の回が有名？その回を担当された方。
密かに“けだまのゴンじろー”が流行らないかなぁと思ってた自分としては“ムテキング”の高橋良輔よりもビックリ、ってかあっちは名義貸しだけか？
で、十億衛門氏自体はゴンじろー本編というよりはおまけコーナーの「けだまだけチャンネル」の方が筆が乗ってた気がする。
けだまだけチャンネルはお子さんと一緒に見る親御さん向けなのか、オッサン向けネタが多かった。
で、そのノリそのまんまで深夜アニメを手掛けたのがコレって感じ。
ギャグっつーか「キッズ向け内オッサン向け（いい歳したコロコロキッズ向け）」、そういうノリであると気付かないとこれは面食らうって。
実際、これで経歴に傷が付くんじゃなかろうかと1話の段階で思ってしまいました。
いやだって…酷いもん。
わざわざ自滅の道に進んできたというか、キッズ系作品の減少によりそっち畑の人も深夜作品に係わらないと食っていけないのか？という世知辛さを感じた。

…のだけど、だけど…2話見る頃にはすっかり慣れちゃったｗアハハーｗｗｗ
ゴンじろー履修してたってのがデカいのか？
キャラの認識速度というか思考回路というか、話運びのペースや展開の幅というか、明確にコレって言えなくて結局「ノリ」としか言い様が無いのだけど、それがまるっきりけだまのゴンじろー。
まぁゴンじろーに限らず「くだらなさを笑うキッズ向け作品」…アレだ、うんこちんこゲラゲラーって精神を持ち合わせてて、うんこちんこの部分を「なろうテンプレ」に差し替えたモノだと思えばそこまで悪くはない。
もうちょいかしこまった言い方をすればなろうテンプレを皮肉ったギャグ作品かと。

記憶に新しいってことで終盤からの抽出になるけど、具体例としては…
11話のギルドメンバー大活躍が「くっそ臭い」と思ったら一応12話で主人公の新魔法では害悪認定されたり──
同じく12話、オリガが頭を撫でてくれとねだって喜ぶ展開が「果てしなく臭い」と思ったらバーバナスが同じ事をしてみせるとか。
ああそれと次回予告のステータス表示、バカみたいに文字の羅列を見せつけて「こんなの気にするヤツはアホ」とおちょくってる様。
そういう意味では都合のいい所で都合良くスキルを習得して主人公が呆れる（※）のも悪くはない。
ここら辺って臭い部分（＝なろうのアレな部分）を削除することはできないが、どうにかして臭み消ししようと頑張った姿勢は感じる。

ってかコレ、逆に考えてみよう。
原作の段階でその方向性なのかどうかは知らないけど、原作がアレすぎてどうにもならずアニメスタッフ側が苦肉の策として付け焼刃のギャグに逃げたのではなく、アニメスタッフを決めるより前の企画段階からキッズ向け（っぽい）のを狙ったのかも？
餅は餅屋というか、本職のキッズ作品畑のスタッフ起用ってそういうことだよね？
「くだらないからダメ」ではなく「くだらなさを笑うギャグ」としては普通に成立してて（それを深夜アニメ視聴者が受け入れられるかどうかは別だが）、お偉方がこの原作をそう認識してるのは業界的には喜ばしいことなのかも知れない。
個人的に辛いのは無能（バカ）が有能ぶった作品であり、最初からバカな作風を目指したのであるならむしろウェルカムですんで。


と誉めはしたものの、所詮限界はある。
臭み消しをどんなに頑張っても消し去るには至ってない（多分不可能）。
というか妙に大人しい、カオス分が足りない。
キッズアニメより深夜アニメの方が倫理コードが厳しいってことは…あるのか？
よくよく考えてみると※の様なツッコミが弱かった気がする、ゴンじろーは逆にしつこく感じるくらいだったのに。

「物語の連続性の無さ」もそうで、主人公が街に来てギルドを訪ねたのは他の転生者の情報を得る目的だったハズ。
であるなら、王都レース出場もそれを目的（のひとつ）にすればいいのにそれはしない、優勝した情報がクラスメートに届く素振りも無い。
オリガが幼少の身で暗殺者として教育されて実働されてカワイソウといって保護するクセに、他にも一杯居るであろう「同じ境遇の子」には思いを馳せない。
それと、カイゼル帝国側は計画が失敗しても隷属の首輪で口封じ出来ると語ってたのに、それが解除されたことを知るor知らない、知った時どう反応するかが描かれてない。
まぁクラスメイトご一行、カイゼル王を狙った弓使いの話等、あっても無くてもいいエピが多かったのはそこら辺を誤魔化すための雑音として配置した（臭み消し）のだとしたら…う～んそれでも小手先が過ぎるか。

また、キッズ向けが大らかな気持ちで見れるのは映像ソフトではなく玩具（グッズ）販売がメインなので、多少ストリーや展開がおかしくてもグッズ紹介が優先なら仕方無いと思える部分が大きい。
翻ってなろう原作の深夜アニメとなると…その逃げ道が無いじゃん？
例えば1話で猿の持ってた回復薬の瓶がそこだけ作画頑張ってて「ハーイ、これグッズで出まーす」感をプンプン匂わせてたら苦笑しつつも楽しめたんじゃないかな。
実際回復薬は5話でさり気なく再登場してるので、そういうネタを仕込むにはうってつけだったと思うのだが…まぁそれを言ったら「新化の実」自体もそうか。
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↑こんな感じのね、劇中からは明らかに浮いてるデザインだったらそれはそれでギャグとして成立したと思う。
──という点から、ゴンじろーを見てた時よりもずっとキツいものがあった。

ああ、あと「進化」の解釈については──
転生（転移のが正しい？）させた奴がそうなのかは知らんが、この世界には神様が実在して、それが人の姿、しかも美形──と仮定したら、進化すると人型になるというのは…か、辛うじて納得はできるかな？
けど、そうであるなら羊は一体何なの？になってしまい、なんか作ってる側が勝手に墓穴掘ってる様に思えたり思えなかったり。


ということで総評。
キッズ向け作品として見る分には、まぁ…。
キッズ向けといっても「子供に道徳を教えよう」「夢を与えよう」みたいな教条めいた系ではなく、「うんこちんこゲラゲラー」のくだらなさを笑う系。
コロコロキッズってのがシックリ来るのかな？
でも正直それ目当てで見るなら銀魂を見たほうが百倍楽しいだろう。
もしくは…“ゴンじろー”見よう、モルカー好きだったら20話Bパートとエンディングだけでも見る価値アリ（ダイマ）。