エイ8 さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

命名「デス美」←これを受理した役所

『恋は世界征服のあとで』（こいはせかいせいふくのあとで）は、野田宏原作、若松卓宏作画による日本の漫画作品。略称は「恋せか」。『月刊少年マガジン』（講談社）にて2019年11月号より連載中。
2022年4月から6月までAT-Xほかにて放送された。ナレーションは立木文彦。野田の作品としては、初めて映像化される作品となる。(wikipedia)

秘密結社「ゲッコー」、さすが世界征服を目論んでるだけあって既にその魔の手を役所にも回していたということでしょうか。通常ならあんな名前が受理されるとは到底思えません。

本作のヒロインに当たる禍原デス美さんの一家ってもうアレですね、立派なカルト一家ですね。娘が怪人に改造されそうになるのを一家そろって涙流しながら喜ぶだなんて異常にも程があります。どんな洗脳を受ければあーいう発想になるのでしょうか。

そういう視点で見ればやられ役であるかのように見える「ゲッコー」の社会への浸透って結構やばい領域にまできている気がします。主人公のレッドジェラート（1）こと相川不動が盲腸で入院した時もお見舞いを送ってたりしますし世界平和を目指す5人組のヒーロー戦隊「ジェラート5」とも案外裏では通じているマッチポンプ状態なのかも。そういやデス美父も敗北の美学とか言ってましたしやられるの前提。どこぞのバーローなとこにいる博士と同様に白髭のおじさんが真の黒幕ではないかと自分は睨んでおります。

さて本作はそんな空気の読めない裏読み深読みなど全く必要としない極めてポップなラブコメです。昼ドラ的（イメージ）な悲恋を匂わせる陰鬱としたタイプではありません。大体お約束のフリの後に定番のオチが来る連続で、展開読めちゃうけど面白い的な、ぶっちゃけ先に笑っちゃってるという予祝ならぬ予笑ができる案外希少な作品でもあります。捻りたがりな作品が多い昨今でここまでどストレートに王道をひた走る作風に好感が持てました。

それにしても主人公とヒロインがまさかの高校生設定……あんなえちえちなJKがいてたまるか！なんて空気読めないこと言ったら8割近いアニメが死滅してしまいますかね。まあ海外にはいそうですしこの辺はとやかく言わないことにしておきましょう。

当初は高校生設定には特に意味がないと思っていたのですが、なるほど黒帝高校とやらの中に主に王女シリーズを押し込めるためですか。確かにそれだと色々使いどころもありそうですね。それにイエロージェラート（3）こと神宮寺美咲姉さんあたりの年齢設定にしてしまうとどうしても恋愛がただれてしまうような気もしますし、やっぱり未成年設定の方が何かとお茶を濁せて良いのかもしれませんね。

結局のところ純情路線のせいで割を食わされたのか、当初お色気要員かと思われていた美咲姉さんの影は非常に薄いです。同様に薄いのがブルージェラート（2）こと王子野隼人。「ジェラート5」の中ではこの二人だけ個別イベントが用意されておらずブルーに関しては魔獣王女こと魔島忌々の尻を追っかけるぐらいしか見せ場はなく美咲姉さんに至っては温泉シーンをほんの少しチラ見せさせるのが関の山とはちょっと可哀そうではありました。

グリーンジェラート（5）こと轟大吾の両親離婚設定に何か意味あんの？とか思ったりもしましたが、どうやらそうすることでデス美が「大吾兄ちゃん」に気づかなかった理由としたようです。それにしても「ジェラート5」って実名公表制なんですよね。普通に危なくないですかね？一体何のために変身してコードネームまでつけてるのやら。

ピンクジェラート（4）こと有栖川ハルに関してはもっと三角関係的な立ち位置になるかと思ったのですが……速攻で陥落、以降不動とデス美のサポート役に。どうやらこの作品では恋のライバル的ポジションは現れないのかもしれませんねえ。不動くんは完全にデス美一筋ですしデス美はデス美ですぐに拗ねちゃって扱いが難しいですし。大きな声では言えませんが彼女結構めんどくさそうです。「可愛さよ」なんて言ってる場合じゃありません。

ちなみに個人的一番の女子キャラはやっぱり忌々ちゃんですよね～。あのタイプのキャラ描写で突っ込み担当アンドいじられ役だなんてこれぞほんとの「可愛さよ」ってやつだと思います。
……なのにどーしてモテないんでしょうかね？やっぱ改造志願があるからですかね？

そういや一人だけ明らかに素人っぽい声のキャラがいて、あえてそういう風にしてるのかなと思ったりもしましたが一応調べてみるとコスプレイヤー/女優さんらしくやっぱり本職声優ではない模様。まあほぼチョイ役扱いで大勢に影響ないのでこれによる「声優の評価」は下げてません。