「彼女、お借りします(第2期)(TVアニメ動画)」

総合得点
70.1
感想・評価
205
棚に入れた
748
ランキング
1597
★★★★☆ 3.5 (205)
物語
3.3
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.4
キャラ
3.6

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

これは千鶴のラブコメかもしれない

『彼女、お借りします』(かのじょ おかりします)は、宮島礼吏による日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』(講談社)で2017年32号から連載中。話数カウントは「満足度〇」。略称は「かのかり」。
第2期は第1期の最終回放送後に制作が発表され、2022年7月から第1期と同じ枠にて放送された。(wikipedia)

千鶴←胸があそこまで大きくなく劇団に年上の彼氏がいるとかなら案外いそう
麻美←普通にいそう
瑠夏←相手の男がハイスペなら割といそう
墨←可愛くなくていいなら結構いそう

1期を視聴した時の感想としては主人公の木ノ下 和也(きのした かずや)の等身大なDT男子大学生感が印象的でした。まあ大体こんなもんだよね~と思いつつもどことなく違和感があったんですが、当時はレビューなんか書いてませんでしたし特に考察要素のある作品でもなかったのでそのまま流し見ました。

今はこうやってレビュー書くようにしてるので、さて何書こっかな~とか思いながら観てたんですが更科瑠夏(さらしな るか)が和也の寝込みを襲うような形となった時にふわっと脳裏をよぎったのが名作「いちご100%」でした。正直こんなシーンなんて珍しくもないだろうに何故内容もほとんど覚えてないような過去の作品が頭に浮かんだかというと、これは主人公からすればラッキースケベ的なものではなく単なる試練だということに気づいたからです。

本作は一見してハーレムラブコメの様相を呈してますが、その実態は完全にメインヒロインである千鶴との関係に焦点が当てられており、結果として他のキャラは二人の関係を邪魔する(言葉は悪いですが)一種の障害のような存在となっています。ですので、DT大学生にとっては拷問とも思えるようなあの時間を和也は何とか乗り切るわけですが、では何故あえて瑠夏という名の据え膳に手を付けなかったかといえば、実情としてはほとんど千鶴に操を捧げているようなものだからです。どうでしょう?こうやって見るととても貞淑な男に思えてきませんか?少なくとも自分はそう感じましたw(尚、瑠夏はそのことに納得しますがあれは結局のところ和也が彼女のことを気遣ってのことに感動したのではなく、自分のことであれだけ苦しむ彼を見てプライドが満たされた、というのが実際のところでしょう。まあなんというか、どっちもどっちな疑似カップルではあります。)
にもかかわらず聞こえてくる彼への評価は「キモイ」というものがほとんど……なんでや和也ようやっとるやろ。ヤっとらんけど。

確かに1期の頃の和也の印象はぶっちゃけ「ヤれる」女を探してるだけとしか見れない、まあ等身大といえば等身大なのですがあまり好感度の高い存在とは言い難かったように記憶してます。それだけに瑠夏との逢瀬を乗り切ったことは逆転して大した偉業と言っていいと思うのです。もっともタクシーを呼んで何としてでも家に帰すとか、隣の千鶴に瑠夏を泊めてくれるよう頼むとかする方が正解だったとは思いますが。二人は知らない仲ではありませんしね。

彼は元々初カノである麻美には一生大事にするみたいなことを考えてましたし、疑似カップル状態である瑠夏とも正式に付き合おうとしましたが、結果的にどちらも反故にしています。勿論これは麻美からは振られており、瑠夏相手にも事情が変わったからという理由はありますが、逆に言えば状況次第で覚悟がころころ変わる軽薄な男とも言えるわけで、少なくとも自分はそう見ていました。
ですが、前述したように彼女達サブヒロインを千鶴との恋路を阻む障害のように捉えてみると別の様相を呈してきます。つまり、それほど愛した女性であり未練もあった麻美は現在既に「過去の女」でしかなく絡むこと自体邪魔な存在と成り果ててしまっており、瑠夏はどこまでいっても単なる「スペア」でしかないのです。本作は現状の流れを見るに、他のヒロインとゴールすることは無いと思います。あったとしてもそれは千鶴を忘れるためにだとか、千鶴に迷惑をかけないためにだとかという千鶴中心的なものでしかなく、他のヒロインが千鶴よりも大きな存在となるという気配は一切見受けられませんでした。和也がサブヒロイン達に翻弄されるのはあくまで彼の人柄によるもので、良いか悪いかは別にして傷つけまいとするやさしさから来るものがほとんどだと思います。もっともそれが八方美人のように映るのも事実でしょうが。

先ほどは「いちご100%」を挙げましたが、本作は類型としてはどちらかというと「めぞん一刻」の方に近いと思います。どちらも主人公が高嶺の花であるヒロインを何とかしてオトすために奮闘する流れのわけですが、ぶっちゃけヒロインに外見以外の魅力が乏しいのも似通っています(個人の感想です)。一応千鶴の方には夢に向かってひた走るというアピールポイントはありますが、そういうのは確かに人としては尊敬できますし就活では有利かもしれませんが同業者でもない限り恋愛にはあまり向かないと思います。会える時間も減るわけですしね。理解してくれる男性はいるでしょうがプラスポイントというよりはどちらかというとマイナスポイントなんじゃないでしょうか。

ところが本作では和也がそんな彼女のために全力のサポートを惜しみません。彼は彼女が女優になるという夢を叶えるために最低でも数百万はする企画を立ち上げようとまでします。惚れた女のために粉骨砕身するといえば聞こえはいいですが、正直ほとんどただの都合の良い男に成り果ててしまっています。

彼の陰に隠れているためあまり目立ちませんが、千鶴は千鶴でかなり自己中心的です。和也がようやく二人の関係を清算しようと腹を決めたのに、こともあろうに彼女の方からそれを阻止します。本作は基本的に和也目線で見るため単純に千鶴との関係にまだ芽があることを喜ぶシーンなのでしょうが、千鶴視点で見ると実に身勝手な行為です。
それは千鶴からすれば祖母のためなのでしょうが、いずれにしろ彼女の身内のことでしかなく和也の人生に干渉する権利は本来ありません(この偽りの関係はそもそも和也が始めたことであることを差し引いてもです。何故ならそれは元々彼女のビジネスが発端でもあるからです。)
しかも、この後に及んでも尚正式に付き合うことを提案しないのは和也の優しさ、或いは弱みに付け込んだとすらいえると思います。逆の言い方をすれば、この期に及んで尚和也と正式に付き合いたくないという意志表明だということです。千鶴は千鶴で彼に対して少なからず好意を抱いていることは明らかであるにもかかわらず何故なのでしょうか?素直になれないだけとか瑠夏に悪いとか色々理由はつけられるでしょうが、結局のところただの慢心だと思います。和也の方から自分を見放すわけがないという自惚れから、万が一にも彼が離れてしまうことを想像できないのです。
このシーンは千鶴にそのような提案をさせて、和也の側から「そういうのは誠実じゃない」などと言った理由で拒否することの方が良かったと思います。それをしなかったため、ここで千鶴の驕りがついに浮彫になってしまいました。

本作の第一回気投票を観たのですが、千鶴は圧倒的1位(5,581票)ながらも実は4位(1,126票)に麻美がつけているんですよね。正直本作での麻美の役割は完全なヒールでありしかも陰湿、人気が出る余地などまるでないように思えるのにもかかわらずこれだけの票を集めたのは(ひょっとしたら原作では神回でもあったのかもしれませんが)こういった千鶴の欺瞞に気づいた層が流れているんじゃないかなと邪推してます。(ちなみに2位(3,201票)瑠夏、3位(2,887票)墨、そして5位(319票)に和也……和也さん、まるでわかってもらえてないねw)

もっとも、本作は実に注意深く千鶴にヘイトが向かないよう設定されているとは感じます。彼女が女優を目指しているというのはレンタル彼女をやる上でこれ以上……というかこれ以外無いとすらいえる動機です。また家族構成に祖父母を大きく際立たせることにより和也との関係を切るに切れないようにしてるのも見事だと思います。和也の実家を訪れた時まず初めに仏壇に向かうなど並みの二十歳では思いつかない行為だと思います。見方によれば変にこなれていることにあざとさを感じるシーンでしたが、これも彼女の祖父への強い想いから打ち消され逆に瑠夏に引け目を感じさせまでしました。(もっともこの場に麻美がいたら滅茶苦茶キモがられてたでしょうがw)
誕生日プレゼントとして梅干しを送られた際もこの祖父母属性により素直に受け入れさせることに成功しています。普通ならば極端過ぎてありえない贈り物ですが、結果として和也のこの突飛な発想が功を成した、ということになるのでしょう。

本作は男性向け作品と思われるため和也を中心とした構成になっていますが、千鶴を主人公にした作品としても充分転用可能だと思います、というか多分そっちの方が自然の流れになりそうで、これが本作が実質千鶴のラブコメではないかと思った所以です。その時和也はさわやかメガネキャラで千鶴は他のハイスペ客や劇団のイケメン俳優のどれを選ぼうかという流れになりそうな気が。或いは映画『ラ・ラ・ランド』のようなオチになるかですね。(この作品名作扱いされてますけど男女の役割が逆だったら無茶苦茶叩かれていたと思いますw)

それにしても千鶴さんってちょっと着ぶくれしすぎてません?あの体形であそこまで乳を強調させようと思ったら最低Gは必要な気がしますが水着状態とかではそこまででもないですよね。まあ自分にはあまり鑑定力は無いのでここはプロのおっぱいソムリエさんの判定を待ちましょうw

投稿 : 2023/02/03
閲覧 : 115
サンキュー:

9

彼女、お借りします(第2期)のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
彼女、お借りします(第2期)のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

エイ8が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ