しゅりｰ さんの感想・評価

4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

そらとみんなの　すごい　夢への翼

2003年、GONZO制作のテレビ東京系アニメ。
サーカスの発展系のようなエンターテイメント、カレイドステージ。
そのカレイドステージのキャストを目指して日本から1人で渡米した
16歳の少女、苗木野そらがトップスター(カレイドスター)に成長するまでの物語。

監督は佐藤順一さん。(途中から平池芳正さんもクレジットされています。)
全51話ですが、29話からは副題がついて第2期のような雰囲気になります。
そのため27話、28話は26話までの総集編になっています。


さてさて、私は昔からピエロにトラウマがあってサーカスのような
エンターテイメントを観に行ったことがほとんどなかったりします。
そんな訳で実在するそうしたステージとの比較は出来ませんがステージの演出、
キャラクターの動作などが要所要所でかなりしっかりと描かれていて本編の中の
ステージやパフォーマンスはとても見応えがありました。

また子安武人さんが演じるステージの精霊、フールのコミカルな扱われ方の
おかげでピエロ的なモノへのトラウマも少しは和らいだ気分です。
{netabare}個人的な願望ですが、占いはタロットで通した方が面白かったような…。{/netabare}

窪田ミナさんの手掛ける音楽はコメディパートから特訓時やステージ等の
シリアスパートまでメリハリの利いた曲がとても印象に残ります。
そもそも以前「ももへの手紙」で窪田ミナさんの名前が気になったことが
本作を観ようと思った原因の一つになっています。
OP、EDも物語の雰囲気に合う曲が何曲かあって良かったです。
個人的には米倉千尋さんの「約束の場所へ」が1番気に入っています。


続いて本編ですが、簡単に書くとそらが次々と困難にぶち当たりながらも
周囲の人々や自らの想い出に後押しされて、ひたすら真っ直ぐに
真のカレイドスターを目指して成長していく物語になっています。

本編でやっている事や1、2話あたりのキャラクター達を見ていると、
何だか理不尽な展開のあるスポ根になりそうな雰囲気を感じるかもしれません。
しかし、そらに影響を与えるほぼ全てのキャラクター達が時間を使って丁寧に
活き活きと描かれていることで物語の説得力が高まり、どんな辛く理不尽そうな
特訓をしていても乗り越えた先に成功が見えているように思えてしまうのが
このアニメの持つ大きな魅力の一つだと感じています。

また、レイラの演者としてのプライド、そらやメイの技を完成させるための執念、
レオンやユーリの抱えてきた確執、ステージに関わる人々それぞれの持つ
ステージへのこだわり、憧憬などの溢れ出る感情の渦に毎回心を動かされて
個人的には全51話が思ったより短く感じるほど物語に引き込まれました。
演者である彼女等/彼等がステージで体を使って表現していることは、
日常のコミュニケーションにも関わる強いメッセージを
持っているように思えてきます。

{netabare}しかし、後半に出てくる「誰とも争わないで真のカレイドスターを目指す」
という台詞はその字面だけ見るとどうしても納得出来そうにない台詞ですね。
個人的には48話の次回予告で語られた内容がその答えになると考えています。
本編でもそう考えられるような内容がしっかりと描かれていますが、
実際に本編でそのままの内容を語った台詞はなかったように記憶しています。
そこを物語作りの妙ととるか、ちょっと不親切に思うかで印象は変わりそうです。{/netabare}


最近の私は競技やステージなどの聴衆の前で自らの技を発揮する類のアニメに
感化されすぎていて、本作も観なければいけないような気分がして観ていました。
というわけで、本作はかなり贔屓目に観てしまったと言わざるを得ません。
ですが、スポ根や王道展開を愛する方であればしっかり楽しめるアニメであると
断言できますので、未視聴で気になられた方には是非観てほしいと推薦します。


もし観終わってもカレイドスターをもっと観たいという方がいらっしゃったら
「笑わない　すごい　お姫様」と「Legend of phoenix ～レイラ・ハミルトン物語～」
というOVAもおもしろいので一緒にどうぞ。