「花咲くいろは HOME SWEET HOME(アニメ映画)」

総合得点
80.8
感想・評価
1281
棚に入れた
7233
ランキング
430
★★★★★ 4.1 (1281)
物語
4.0
作画
4.3
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「輝く」ということ

 正直なところ、テレビシリーズが完成されたストーリーであったために「これ以上付け足す
ことがあるかな?」という思いがあったり、上映時間が1時間ぐらいと劇場公開版にしては
短いかなという感もあったため、あまり期待はしていなかった。テレビシリーズはかなり好き
だったため、「一応は目を通しておくか」ぐらいの気持ち。
 しかし、実際に鑑賞してみると、思いの外面白かった。

 話自体がうまくまとめられており、かつ密度も濃い印象で、前述の上映時間の短さからくる
物足りなさはまったく感じなかった。
 各キャラの心情などは、テレビシリーズの描写をうまく引用することにより、テレビ
シリーズで積み重ねてきたキャラの掘り下げを持ち込むことで説得力を増している感じ。
 それでいて、キャラのバックボーンなどは劇中の会話などでさりげなく判るようにしてある
ため、テレビシリーズ未見の人でもそれなりに楽しめるようなものに仕上がっており、決して
置いてきぼりにはしていない。
 もっとも「ホビロン」や「ぼんぼる」などの枝葉の部分などは、未見の人には「何の
こっちゃ?」と思うかもしれませんが(笑)。

 ストーリー自体は、喜翆荘のある日々を描いたもので、そこに偶然見つけた過去の業務
日誌を軸に現在と過去を描く。
 続編でも、前日譚(過去自体は描かれたけど)でも、総集編でも、スピンオフでもなく、テレビ
シリーズの中に挟み込まれても、何ら違和感のないもの。
 いわゆる劇場公開版らしいスペシャル感はないが、それゆえに「また、喜翆荘に帰って
きたな」と思えるようなものがあった。
 そのためか、改めてテレビシリーズの良さを再確認してしまう感も強かった。
 本作でも旅館が停電になってしまうトラブルに見舞われるが、こういう時の女将である
四十万 スイの頼もしさ、スタッフの結束力、そして、デメリットを逆にメリットに変えて
しまうところなどは、喜翆荘の真骨頂といった感じ。

 テレビシリーズにおいては松前 緒花の「輝きたい」という思いが印象的だったが、これは
本作品でも色濃く描かれている。
 特に緒花の母である皐月の少女時代が描かれ、緒花と同じく「輝きたい」という気持ちを
持っていたことが判るが、後に夫になる年上のカメラマンから「充分に輝いている」と
言われて、「ああ、そうだな」と思ってしまった。
 何かを見つけて、それを得るに至らなくても、試行錯誤しながらでも何かを見つけようと
前を向いて進んでいる段階で、既に輝いているよね。そういう意味では、緒花を始め、押水
菜子や鶴来 民子なども既に輝いているんじゃないかと。
 この前を向いて進むというのを映像的に象徴しているのが「走る」という行為。テレビ
シリーズでも走ってばかりいた印象があったが、本作でもよく走る。終盤では現在の緒花と、
過去の皐月の走る描写で、母娘それぞれの心情をよく描いていた感じ。

 もう一つテレビシリーズで印象的だったのは、スイ、皐月、緒花の親子三代の関係性。仲が
いいんだか、悪いんだか、という感じだが、言葉にできない何かが確実に子供に
伝わっている感じで、本作では皐月の過去を描くことで、スイと皐月の目に見えない絆の
ようなものがよく描かれていたように思えた。
 それにしても改めて思うのは立場や考え方は違うが、この三人は根っこの部分はよく似て
いるなと。やはり血は争えないのかな。

 テレビシリーズにおいては、自然が溢れる「湯乃鷺温泉街」の背景画が美しくて大好き
だったが、本作でも相変わらずいい感じ。

投稿 : 2013/05/15
閲覧 : 211
サンキュー:

5

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