「びんちょうタン(TVアニメ動画)」

総合得点
62.8
感想・評価
154
棚に入れた
709
ランキング
4584
★★★★☆ 3.6 (154)
物語
3.6
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.9

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

Byakhee さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

欝アニメじゃないよ

このアニメは、よく『キャラクターが可愛いから見始めたらとんだ欝アニメだった。やられたぜ』みたいな評価を受けているのを目にします。

でも私にはとても欝アニメというくくりでまとめちゃっていいアニメだとは思えません。欝アニメが嫌いな訳じゃありませんが、この作品はもっとこう希望を掴み取ろうとする力強さのあるお話だと感じました。

例えば私の好きな『第8話 むすんでひらいてびん』ですが寂しい描写が畳み掛けるように続きます。
{netabare}
両親も無く山奥の小屋に一人で暮らすびんちょうタン。自分で働き、日々の糧を得て慎ましい生活を送っていました。もちろん生活に余裕もありません。そんなびんちょうタンのご飯茶碗はぼろぼろに欠けてしまうまで使い込まれていました。ある日、お店で小さな花柄の可愛らしいお茶碗見つけます。しかし買おうとがま口を開きますがお金が足らなくて買えません。そんなびんちょうタンに店の主人は当たり前のように『お母さんはどうしたの?』と訊ねます。びんちょうタンはうつむき去って行くのでした。

幼稚園で園児達が『むすんでひらいて』をしています。その楽しそうな様子に誘われて、びんちょうタンも柵の外側で一緒になってやり始めます。しかし途中の手を開く動作のところで我に返り動きが止まってしまいます。アカギレだらけ傷だらけのびんちょうタンの手でした。それは園児達と自分との境遇の差を思い出させずにはいられない手であり、その柵は住む世界を隔てる柵でもありました。

びんちょうタンはお母さんが夕飯を整えて自分を帰り待っていてくれたという一人芝居をしています。『ただいま』『おかえりなさい』たった二言の短い寸劇。この時のお母さん役を演じているときに見せるびんちょうタンの表情がこちらの胸をえぐり直撃します。
{/netabare}
でも私がこの作品を好きな理由は2つありますが、可哀相な女の子が出てきてそれを上から目線で同情し愛でて楽しむという所ではありません。

1つはびんちょうタン自身が恵まれない境遇だから不幸、一人きりで寂しいから不幸だとは思っていないところです。自分の境遇をまっすぐ受け止め、自然体でただ毎日を真剣に生きています。なかなか出来る事じゃないと思います。私なんかもつい自分の不幸をこの世界の一大事のよう考えてしまい、それに囚われて視野が狭くなって動けなくなってしまう事があるように思います。幼女にして人間が出来ているびんちょうタンに真剣に頭が下がる思いです。

もう1つはそんなびんちょうタンを取ってつけたような安易な善意で救ってしまわないところです。降って沸いたような救いの手ではなく、びんちょうタンは自分自身の手で生きる喜びを掴み取ります。
{netabare}
第8話の終わりにびんちょうタンはあの買えなかった小さな花柄のお茶碗を手に入れることができます。第5話で登場した学校の用務のチシャノキ女史に仕事ぶりを認められ収入を得たからです。
仕事には厳しそうなキツイ感じのチシャノキ女史に認められるという描写は本当に良い落ちだと思いました。寂しいから誰かが唐突に友達になるというようなお話ではなく、自分の頑張りが認められた喜びとか、お茶碗の事のように小さくとも自分の望みを自分の力で勝ち取る喜びとかが大きな救いになっていると思います。
また新たな道切り開いた事がクヌギたんと友達になるきっかけを作り出したんだというところもお気に入りです。
{/netabare}

この作品は、見て『痛い』と感じる人こそ見て欲しいと願います。その痛さはきっとこの作品からだけでは無く自分自身に起因するものだと思うから。
お互い、痛い思いをしながら真剣に毎日を生きられたらいいなと思いませんか?

ただ第9話の終わりの{netabare}』私は生きているのが好~き~』{/netabare}はねーよ(笑)と思いました。

ちくタン、ちくリン姉妹は見ていて頬が緩みます。

投稿 : 2013/08/22
閲覧 : 336
サンキュー:

4

びんちょうタンのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
びんちょうタンのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

Byakheeが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ