「言の葉の庭(アニメ映画)」

総合得点
85.8
感想・評価
1995
棚に入れた
9506
ランキング
215
★★★★★ 4.1 (1995)
物語
3.9
作画
4.6
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
3.8

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missing31 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 3.5 作画 : 2.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

求)脱 村上春樹

「ほしのこえ」は、エロゲーのオープニングを制作していた
新海が、まったく同じ手法でアニメを自主制作したものだった。

これは、批評家・東浩紀との対談で本人が語っていた事だ。
どういう事かというと、エロゲーやゲームのオープニングというのは、
大量にあるゲーム本編の映像やストーリーから、一部を抜粋して
おいしいところだけをつないで見せるという事だ。
映画の予告のような作り方、とも言える。

ほしのこえで言うところのその「本編」というのは
新海がそれまで溜め込んできた「世界系」の基になるような妄想だ。

さて、順調に「物語」に重きを置くようになっていった新海作品は、
ついに来る所まできた、という感じがする。

映画界の神、ジャンリュックゴダールいわく、
「女と男と車があれば映画は撮れる」という言葉を彷彿とさせる
この映画のシンプルな構造。女と男と靴で映画を撮っている。

村上春樹作品にあるような、回りくどい男女のやりとりと
ナルシズム全開の寒い台詞のやりとりは「文学」ならば許容範囲だが
「アニメ」となるとそうはいかない。はっきり言って寒い。

いわゆる叙述トリックに近いような複線もあるのだが…
なんというか本当に雰囲気だけで映画を撮っている人だなと感じた。
驚きも、悲しみも、暖かさも、何もかもが希薄。この人は
まったくリアルな人間を知らないのでは無いだろうかと思わせる。

村上春樹の代表作「ノルウェイの森」の映画版を観た人は分かるだろうが、
小説では名シーンであったはずのシーンも噴飯物の喜劇と化したように、
ただただ「小説」のような寒い台詞がずっと続いていく。

ラストはそこそこ好きだったが、それまでの過程がひど過ぎる。
前述した対談で本人も村上春樹の影響を語っていたが、
小説の幻想を追い続けるのをやめて「アニメ」を作ってほしいものだ。

投稿 : 2014/07/11
閲覧 : 371
サンキュー:

7

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