サイバーパンクで警察なTVアニメ動画ランキング 6

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早速見ていきましょう!

77.0 1 サイバーパンクで警察なアニメランキング1位
シリアルエクスペリメンツ・レイン[serial experiments lain](TVアニメ動画)

1998年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (880)
3884人が棚に入れました
コミュニケーション用コンピュータネットワーク端末「NAVI」(ナビ)が普及した現代、中学生の岩倉玲音は、死んだはずの四方田千砂からのメールを受け取る。その日以来、玲音は見えないはずのものを見るようになる。四方田千砂のメールの言葉に興味を持ち、大型の「NAVI」を手に入れるが、それ以来更に奇怪な事件に巻き込まれていく。物理世界(リアルワールド)と電脳世界(ワイヤード)、二つの世界・二人の玲音(lain)が混濁し錯綜する果てにあるものは? 「人は誰しも“繋がれて”いる」「私は遍在する」

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

観るものを究極に選ぶ作風の前衛カルト作品 

視聴後これは何か書かないといけないという使命感に駆られた本作ですが...
一体何から書けばいいんでしょうね。。
この作品に関して自分ができるネタバレ無しのレビューを書くという事は、
非常に表面的で浅い駄文になってしまうとは思いますが、
今更この作品に関しての新たな考察、など自身の見解を書くことに意味は無いだろうと感じるので、
本作を観たことが無い人、興味はあるが観てない人、にどんな作品かが伝わるように、
率直な感想を書いてみようかと。


色々なところで「難解アニメ」の代表ともいうべき扱いをされている本作ですが...
あにこれの成分タグでも「難解」ランキング1位。
確かに言われている通り難解だと思います。

自分は視聴前にある程度そういう情報を得て視聴に臨んだので、
講義を受ける要領でメモを取りながらの視聴となりましたが、
(視聴間隔が空くと難解なものはより訳が分からなくなるので)
正直一度目の視聴では物語のごく表面的な部分のあらすじをたどるくらいで、
本作の本質やメッセージには辿り着いておらず、なんとなく解った気になっていたつもり、で居ました。。

その後やっぱり気になって、本作に関する考察のサイトを読んだりして、
なんとなく解っていた、と思った部分も言葉で説明されることによって、
より具体的に頭を整理することができました。
(今思えば止めときゃ良かったなと思います。というのも、どうしても観る時に意識しなくても、
他人の考えや意見に左右される面があるので。この作品は特に自分で考え想像し、
頭を悩ませる事自体が醍醐味だと感じるので)

そして、2回目の視聴。
この時も1回目の視聴で足りなかったと思う部分のメモ書きを追加しながらの視聴となりましたが、
1回目の視聴では最終話観ても「ふ~ん」って感じであまり感じるものがなかったんですが、
2回目の視聴では全く異なった印象で、感慨深く観終えることが出来ました。
まぁそれでも最後までぶつ切りで観るものを感動させるようなベタな演出は一切無しなんですが笑
この辺りが本当にカルト的であり、万人受けなんか全く狙っていないというのが逆に清々しく思えます。


本作がなぜ難解なのか?と言うと、まぁ1話観ればすぐ解るとは思うんですが、
殆ど具体的な説明という説明がなく(後半に矢継ぎ早に唐突に説明されるものが一般人にはおよそ馴染みのない、
シューマン共鳴やら、ザナドゥ計画、ロズウェル事件などのカルト的なものだったりする)
設定自体もかなりマニアック、表現が抽象的であらゆる出来事が唐突に感じ、
現実なのか幻覚、幻想なのかさえも判らないような描写や台詞だったり...
場面場面の切り替わりや各話の引きも毎回ぶつ切り、
終始まぁそんな感じで展開するんですよね。。

なぜそんな描き方をするのか、作品をある程度理解すればそれなりには納得できるんですが、
普段放送されてるような作品とは全く異質なものと言えるでしょうし、
そりゃ1回観て理解しろ、という方が土台無理な話。。
今ならこんな作品を作ったら大目玉食らいそうですが、当時は今ほど円盤売上至上主義の風潮がなく、
ある程度自由な製作環境だからこそ作れたのかもしれません。
いやはや、こんな作品が世に出てきたというのはある意味奇跡的とも思えますね。


で、まだこれから観るという人へのアドバイスとしては...
本作を理解するためには、とにかくまずはシンプルに何が起こってどうなったのか、だけ、
細かい部分はあまり気にせずに観ていくのがいいでしょう。

もっと言うと、結局主人公レインとは一体どういう存在なのか?レインは何をやったのか?
もう一人の重要人物である英利政美はどういう存在で、何をやろうとしたのか?
この辺りだけに集中して観ていけば良いのでは、と思います。
それを踏まえたうえで、一体本作が何を言いたかったのか?ここを考えれば良いのではないでしょうか。
人によっては解釈が異なる事もあるかと思いますが、
本作の醍醐味はテーマ&メッセージの意味を自分なりに解釈することにあるんだと思います。

でもまぁ正直言うと、自分はこの作品を観るのはかなりしんどかったですね笑
混乱する頭を整理し、想像力で補いながら毎話観ていかないといけないし、
終始どんよりとして陰鬱な雰囲気に包まれているんですから。

ハッキリ言ってしまうと、観ていて全く楽しくはないですね笑
それでも、惹きつけられる魅力があり...また観たくなる。。
自分はこの作品の「物語」に関する評価としては、
今まで観たアニメの中でも最高評価に値する作品の一つであると思っています。

よく言われていることですが、やはり当時まだインターネットが今ほど普及していない90年台後半に、
(自分がパソコンを初めて購入してネットにダイヤルアップ回線で接続していた頃)
SNSが普及し世界中のあらゆる人同士が繋がり合うようになった現在のインターネット世界を見据えた、
先見性のある内容は特筆すべき点であり、またさらにその先をSFで描いた内容は、
時代を先取りしすぎている、とはまさにその通りかと思います。

恐らく放送当時観た人はなんのこっちゃ?という印象しか持たなかった人が多かっただろうと推測しますが、
時代が本作で描かれている内容に追い付いてくるにしたがって、
どんどん評価が高まってくる、こういった作品は本当に珍しいと言えるでしょうね。

昨今ではインターネットを題材にしたような作品も物珍しくはなく、
大抵はネットゲームの世界に入ってどうのこうの、といった内容ばかりで正直オリジナリティに欠ける印象を持ちますが、
本作はワイヤード(今で言うインターネット、ネットワーク)と現実世界、
2つの世界に於ける「情報」や「記憶」「存在」「繋がり」、
などといったある意味概念的な側面に焦点を当てて描かれており、
カルトな作風含め、唯一無二のオリジナリティを持った物語として、
観る者の好き嫌いは別にして高く評価されるべき作品だと思います。


☆声優☆

レインの声優さんに関しては客観的にみれば演技が上手いとは思いません。
というのも、演じている清水香里さんは当時現役中学生でこの作品がデビュー作なんですよね。
制作側が敢えて「不安定」な存在であるレインを演じさせるためにオーディションでかなりの人数の中から抜擢した、
というのを制作秘話として何かで読んだことが有ります。
収録はかなり大変だったようですが...制作側の意図が解ると納得できるキャスティングだと思います。

その他、速水奨さんや中田譲治さんのようなベテラン実力派も起用してバランスを取ってますが、
子役の演技には少々難があるように思います。


☆キャラ☆

この部分の客観的な評価は難しいですね。
キャラそのものが物語、と言っても過言ではないような気もしますし。。
極端な話、観方によっては1点か5点どちらでも間違いはないようにも思います。
レインに関しては、こんな登場人物の描かれ方をした作品は自分の知る限りは思いつかないので、
敢えてそこを評価して5点としたいと思います。


☆作画☆

セル画アニメの晩年期にあたる作品ですが、
自分の観たものは恐らくOPに関しては色彩が鮮やかで、後に?デジタル化されたものなんじゃないかなと思います。
作中は如何にもセル画な絵柄ではありますが、ところどころ実写映像を挟んだり、
ちょこちょこと実験的な試みがなされているように思います。 

人物の描き方(特に引きの画)などは、やはり現在のものと比べると劣ります。
背景に関しては独特の暗さ、陰鬱さをよく伝えるもので、
張り巡らされた電線など、個人的には好きですが、結構同じ場面を使い回したりもしてますね。
(OP後のシルエットと自動車の場面、たぶん敢えてやってるんでしょうけどね)
恐らく当時としても予算的にはたぶんそこまで掛けれなかったのかもしれません。


☆音楽☆

OPのインパクトは数あるアニメの中でも上位に来るものだと思います。
歌詞も抽象的でありながら、レインを歌ったものであるというのは、OPアニメーションからも明らか。
ていうか、あのPlesent Day,Plesent Time Hahahaha...ってのが頭から離れませんね笑

これに対するEDは、個人的にはなんで?と思う選曲。。
制作側の好みが濃く反映されてそうなブルース系の曲。
渋いけど歌詞含めてどうもあまり作品には合ってなさそうな気も...

作中BGMはハウリングのような電気的なノイズ、ギターのノイズなど、映像と相まって暗さと陰鬱さをより助長してますね。
まぁこの辺も低予算なんだろうな~と思いますが、如何にもなカルト臭がしますね。


純粋なクオリティー面は高い作品ではありませんが、
逆に言うとあまり綺麗でゴージャスに作っても、このカルト的でイッちゃってる作風には合わないような気もします。

オススメかと言われると、「すべての人にオススメ」とは到底言えません。。
今敏監督や幾原邦彦監督作品のような難解系のものが好物の人にオススメしたいですが、
有名な作品ですし、まぁそういう人は既に観ている人が殆どでしょう。。

色々な作品を観て、王道的なアニメは展開が読めるし飽きたなぁ、くらいに思ってる人が観た方が良いでしょうね笑
しかしながら、観るならある意味本気で理解しようと思って観ないと、ハッキリ言って時間の無駄です。
一切笑いもないし、楽しくもありません。終始暗く陰鬱です。
ギャグも萌えもありません。
大多数の人にとっては面白く無いでしょう。

でも、面白く無いからといって、つまらない作品であるとは思いません。
今まで観てきた作品の中でもただ単に「感動した」、とか「泣ける」、とかいう類のものじゃなく、
心から「これは凄い」と思える数少ない作品の中の一つですね。
(成分タグの最多が「鬱」となっていますが、観方によっては感動的な物語、とも受け取れると思います)
日本より海外のコアなアニメファンには非常に高く評価されている作品ですが、
人によっては人生最良の一作になりうる、そんな魅力が詰まっていると思います。

ある意味究極に観る者を選ぶ作風なので、名作とは言えませんが90年代を代表する傑作だと言えるでしょう。
因みに本作は「文化庁メディア芸術祭 優秀賞」(1998年度)を受賞しています。

※追記※

ずっとどっかで似たような雰囲気のものを味わったことがあるなぁ、と思ってましたが、ようやく思い出しました。
つげ義春の「ネジ式」「ゲンセンカン主人」辺りの前衛的な漫画ですね。
(絶対製作陣は影響受けてると思う笑)
たぶんつげ義春の世界観にハマれる人なら、本作を観て損はないでしょう。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

問題意識は、攻殻S.A.Cにほぼ引き継がれているのでは

 2004年ぐらいになってから、人から「見ておいたほうがいいよ」と言われて視聴。

 うーん。
 「難しい」っつーか、文脈の提示の仕方が全体にフリーダムだな、っていう印象。
 だから、まあぶっちゃけ、筋を解説されないとさっぱりよくわかんなかったんだけれども、まあ、この手法の問題はさておき。確かに、けっこうグネグネとした問題意識も背景にはありそうなんだけれども。…

(注:下記、読み手に対して、非常に不親切なテキストになっております。)

 ただ当時、思ったのは「うーん、ヘーゲルとサイバーパンクが好きな人とかがつくったのかな。ヘーゲル的世界観によって、サイバースペースの到来を、予見しなおすとこんな感じになるのかしら」みたいな感じ。あとから、小中 千昭さんは、クトゥルフ好きでもあるということ聞いて、なんか納得。そうですか、と。
 他の方も書いているように98年でこういう想像力をもちえていたのは、確かにすごいのだと思います。

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 で、下記、作品の演出とかそういう問題はぜんぶすっとばして、単に思想的評価だけのはなしですけれども、
 わたしの見立て=「特殊なヘーゲル的世界観によるサイバースペースの未来予見」という感想をベースに強引に考えをすすめてしまうと、基本的には、この作品で描かれようとしていた問題設定は、『攻殻S.A.C』のほうで、ほぼ見事に発展的に描写されおえている、と言ってしまって問題ないんじゃないでしょうか。
 一言で言ってしまうと「ベースとなる概念がちょっと古いんじゃないの?それ」ということを思ったということです。サイバーパンクとか、SF的世界観は新しいところを衝いていたとは思うけど、仮にヘーゲルが下敷きだとすると、それはちょっとなぁ…みたいな。

 も少し、長く言うと「インターネットだとかの情報システムによって、社会の構成が変化する」とか「様々な人が、<なぜか>同一の行動をとりはじめる」ということを説明するためのモデルに、ヘーゲルの想像力をベースに使うか、複雑系とかの想像力をベースに使うか、というところで。
 lainは、(たぶん。たぶんだけれども)200年前のえらい哲学者であるヘーゲルあたりが下敷きで。
 攻殻S.A.Cは、(これも、たぶんだけど)比較的あたらしい複雑系とか、サイバーカスケードの議論とかを一定程度踏まえている感触。

 わたし、古典をきちんと読んでない人なので、古典をきちんと読んでるようなスーパー教養人だと、古いものをベースとすることの意味まで含めて味わったりできるのかもしれないけれど、わたしはそこまで舌が肥えてないので。
 えー、うーん、古くしか見えないわぁ…みたいな。

 まあ、あと、ヘーゲルっぽいけど、ヘーゲルそのものでもないだろうというのも、あって。そこらへんが、まあ、こういうもの評価するときに、こういう話もちだすとめんどくさいところもいろいろあるんだけれども…
 

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下記、もうちょっとだけ、詳しいコメント
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 たぶん、この作品の問題意識を「古い」と感じるかどうか、というのは、おそらくヘーゲル的歴史観を古いと感じるかどうか、みたいな論争と、おそらく一緒なんじゃないか、と思っています。
 わたしは、そこらへんの論争の非常に込み入った話は、正直ものすごく遠巻きにしかわかってないので、けっこう表層的な理解かもしれないけれど、わたしの理解の範囲で、キーワード散りばめる程度に、少し書いておきます。



 ヘーゲル大先生は、200年以上も前に「時代精神」とか「世界精神」って言っていたわけです。
(ここらへんは、興味ある人は、「ツァイトガイスト」とか「ヴェルトガイスト」とかでググッてみて、よくわからんと思ったら、ヘーゲルの入門書を図書館で手にとってください。わたしもあまりわかってませんので)

 で、ヘーゲルのそういう話って、ある種の歴史記述とか、巨大な「世界史」みたいな運動記述としては、確かに200年前の時点だと「イイわ、コレ」みたいなところがあったとは思うのですよ。今みても、さすが、ヘーゲル先生するどい!みたいなところは、あるとは思うんだけど。200年前は、資本主義経済とか、出版文化とか、その手のテクノロジーや制度の変化によって社会メカニズムが高速に変わっていくことを説明する概念がなかったので、その時はすごくよかったんだと思うんだけど…。
 でも、それって要するに現代の理論的にはいえば、進化ゲーム理論とか、生態論のメタファーあたりをコアにして議論されている、カスケード・メカニズムの話とか、文化の生態論的な発展プロセス記述とか、そういうもので代替可能な議論になっちゃっているんじゃないのかしら?素朴に。もう、ヘーゲル的な歴史記述とか、世界把握の仕方は限界含みな感じがありありと出てきてしまっているのでは?と、わたしは思っているわけです。…わたしは思っている…というよりか、まあ、別にそう思ってる人はわたしだけじゃなくて、ものすごくたくさんいるとは思うけど…。



 ただ、この手の議論の難しいのは、Вистерияさんが書いているリチャード・ドーキンスの「ミーム」みたいな話を持ちだされると、ミームの話って、ある種ヘーゲル的な発想を、現代の比較的新しい理論と接続しているような印象があるので、わたしが先述したような、「古い理論 vs 新しい理論」みたいな対立構造は難しくなっていて、すごく評価に困るんだけれども。
 まあ、ミームの話もわたしは話半分ぐらいしかよくわかってなくて、「ミーム」という説明形式を採用することによって見えてくるものもあるとは思うんだけど、なんか「ミーム」って概念としての使い方が、まだなんかちょっと難しいつーか、提唱してる人たちは細かいロジックを構築してるとは思うんだけど。なんか、細部の概念の彫琢の仕方がよくわかんないです。



 わたしも、この手の社会/文化生成プロセスの説明理論についてガチで興味あるわけでもないので、ヘーゲルと、アクセルロッドと、ドーキンスが全部好きです!(+サイバーパンクも好き)みたいな人がいたら…というか、それはもはや、何かの専門家みたいな人だと思うけど。そういう人にlain見せたら、なんか、面白いコメントしてくれたりするのかも?
 まあ、わたしも、これ書きながらヘーゲルとか、ひさびさに勉強しなおしてみようかな、みたいな気分にはなった。

 lain好きの人は、まあとにかくそこらへんの論争フォローしてみると、たぶん、面白いと思います。


追記:
・適当に、「serial experiments lain」「ヘーゲル」でググってみたところ
 あんま、ヘーゲルと絡めて書いてる人だれもいないのね…わたしの見方が偏ってたんだろうか…うーん

・「『攻殻機動隊 Ghost in the shell』の話のほうこそ、ヘーゲルのガイストの話じゃんか」と書いてらっしゃる方がいて、ああ、そういう見方もあるのね、と思った。
 まあ実際『攻殻機動隊 Ghost in the shell』のゴースト概念はけっこう適当なので、『lain』の批判対象として機能するのは『攻殻S.A.C』のほうだと思います。

・あと、lainの命名の由来は『引き裂かれた自己』のロナルド・デイヴィット・レインなのか…。じゃあ、何、基本的には精神分析系のメタファーでこれ作ってんのか?いや、でもサイバースペース全般の話かいてるんだから、やっぱり、精神分析=個体の話がベースなので、社会的なメカニズムの話にメタファーひろげると、それはやっぱりヘーゲルに見える…のはそんなに変じゃないと思うんだけどな…。

・あと、アンサイクロペディアの解説が一番おもしろかった。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

LAIN Complete Review: The meaning of existance

非常に難しい作品です。多分、満足いく理解など一生得られないのでしょう。
シーンが所々なんの因果関係も無くぶっ飛んだり、訳の分からんセリフを放ったりと、もうなんのこっちゃ。
またストーリー自体突然の神の出現で一気に世界観が歪みますし。

そんな難解な作品なんですが、メッセージ性は非常に強いです。
一番注目するべきはこの作品が面白いか、理解できるものかではなく自分なりに作品のメッセージを把握して実生活に生かすことだと思います。


☆物語
簡単な物語の説明をしましょう。
レイン(またはlain、玲音)は人間の自立進化を成し遂げる為に作られた実験用プログラムです。ワイヤード(現代でいうインターネット)上に完全なる自意識を具現化することができれば、我々は肉体という原始的障害を乗り越え全人類で共感という総合的意識で束ねることができるのではないか?というのが現代の自立進化です。

自立→肉体からの解放です。

レインは自我を持たないワイヤード上に存在する普遍的存在でした。それをどこかの科学者が肉体を構築し、そこに玲音という自我を入れた。

レインはワイヤード上の普遍的存在(作品上の定義では「神」となっていた)で、玲音はリアルワールド(現実世界)に存在する一個人です。

実験では玲音にワイヤードの接触させ、玲音がレインと同一化した時に起こる自我の形成という点を研究したかったのだと思われます。

しかし、本編で実際の起こったのは完全なる「神」の出現でした。

現実世界にある筈の自我の意識というものをワイヤード上に完璧に具現化できるようになると、情報操作どころか人間、歴史の改竄ができてしまうということでした。


これの理由はシューマン共鳴とミームにあります。シューマン共鳴(共振)とは地球の地表と電離層の間に存在する電磁波みたいなものです。
本編ではこの共振を電線が常に微量の音を発するということで表現していました。

ミームとは自己複製子の可能性としてかの有名なドーキンス氏が定義した一種の理論上だけで存在する総合意識のようなものです。遺伝子とは似て非なるものです。
ミームは人間の進化に関わってきたとされるもので、自然淘汰から生まれる遺伝子の適応性(ダーウィンの進化論)以外にも人間の総合的に左右する無意識下での伝達があるのではないか?という仮説から生まれました。

簡単な例を「ジーパンを履く」という風習を使って説明しましょう。有る時期に人がジーパンを履くようになった。これをミームを使って説明すると以下の様になります。

『1840年代後半のアメリカで「ジーパンを履く」というミームが突然変異により発生し、以後このミームは口コミ、商店でのディスプレイ、メディアなどを通して世界中の人々の脳あるいは心に数多くの自己「情報」の複製を送り込むことに成功した。』

この人間の無意識下で影響を及ぼすミームというものがシューマン共鳴によって引き起こされていると考えるとどうでしょうか。
そしてワイヤードというインターネットが己の自意識を具現化できるようになるというのはネット上にミームを展開できるということです。

そして、ミームはシューマン共鳴で繫がっている。つまり、自分の脳内でネットの接続できるということです。
レインが最終的に本編でしていたことは自我というものを全人類の中に偏在化させ、情報操作をするということです。
これが、レインは神だと言われる所以です。


この作品が理解しにくい理由として「世界観」というものが挙げられます。
レイン(主人公)が特別な存在であった為見る側にもその変な世界観がダイレクトに伝わってきます。

一つ簡単そうで簡単じゃない本編に関係する思考を提示してみましょう。
「あなたたちすべてが私の自己だ」
これはユングが彼の生徒に自己の概念の説明に使った言葉です。
己の自我というのは自分に服するものであり、それ以外の何ものでもないと考えるのが普通かも知れませんが、ユングは自己などという意識を超えた存在を仮定しました。

あなたは、自分の意識、意思を自分のものだとどう証明しますか?

自分が自分がここにいるなんて普段考えませんが、ちょっと考えてみると意外と面白いものです。一つの考え方として存在は「認識」によって生まれるという説があります。

例えばあなたの目の前に「机」があったとする。あなたはそれを「認識」して、机だと判断する訳なんですが、この机をもし透明にしたらあなたはそこに机が存在すると分かりませんよね?透明ってのは物理的には存在してるんですけど、人間に五感では感じられないという意味で言っています。

別の例を出しましょう。ある誰もいない森の中で松ぼっくりが落ちたとする。しかし、それを誰も見てもいなかったし、音も聞いていなかったとする。では、松ぼっくりが落ちたというのは事実なんでしょうか?「認識」されなければそれがたとえ本当に落ちたとしても「現実」という世界の中では表現されないんですね。

つまり、人間が「認識」したものが個人の世界である。そして、その「認識」されたものを人間の総合的な意志として集約させたものが「現実」です。

これは科学的には裏づけされている話でもあります。粒子力学の世界ではアトムより小さい単位を研究するにあたってある現象を観測しています。トンネル現象もその一つで、物理的に通るはずの壁をその極小の単位がすり抜けることです。他にもその単位が急に消えたり観測できなくなったりと、「認識」による観測だけでしか仮定できない現象が起こります。
有る意味「認識」によって物体の存在が肯定されるというのは間違いではないんですね。

で、このセオリーがどうこの作品と関連付けられるのかというと、色々あり過ぎてちょっと説明できないかもです・・・汗
神の存在は認識から肯定できるのか?だったり意識を具現化したときに「認識」の定義はどうなるのか?など、この作品自体オカ
ルトなので様々な方向に広げていくことができそうです。

そこら辺は視聴者の皆さんにお任せしますねw

難しくて理解出来ない作品ですが、私にとってアニメの可能性というものを教えて貰った作品でもあります。やはり、こういう実験作みたいなものを表現する媒体としてはアニメが一番優れていますね。

皆さんも一度、レインの世界に浸かっては如何でしょうか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

64.2 2 サイバーパンクで警察なアニメランキング2位
紅殻のパンドラ(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (360)
1839人が棚に入れました
先進国では、一部ではあるが、サイボーグや自律ロボットが一般に出回り始め──
戦争や災害をはじめ、世界はあらゆる災厄に覆われ、救いをもとめて人々がさまよっていた時代。
これはそんな時代に──全く関係なく、『彼女が、彼女に出会う物語』

声優・キャラクター
福沙奈恵、沼倉愛美、田中敦子、森田順平、松田颯水、村川梨衣
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

TEXHNOLYZEのカウンター作品 と言えなくも無い(汗)

 思うところ有ってテクノライズを再視聴してて、若干設定面では差異はあるしその視点と未来への展望は対極では有るものの肉体の置き換えという部分に関しては意外と近い作品だなと感慨深いものを感じたので点数見直します。
片や理想郷、片やディストピアの極みですが比較すると結構面白いですw
セナンクル島{netabare}(後のオリュンポス){/netabare}
と流9洲{netabare}(統括第九小地獄){/netabare}とか。
もっとも対比ならば流9洲じゃなくて地上かもですが・・・

島の通信障害による混乱と、流9洲のオベリスクの機能停止とか。

 全身義体(無機質サイボーグ)とシェイプスの表現の差に至っては、作り手のビジョンの違いが明確すよね。
士郎作品は最早人の姿に固執しなくなった時代のサイボーグに関してもブリアレオスや双角等とても愛嬌が有るデザインなのに、シェイプスなんて虫の腹みたいなのがぶら下がった骸骨すもんね。とても不快なグッドデザインだと思う。
(ジェイムスン型サイボーグの阪華精機社長とかも攻殻にゃ居ましたが、葉巻吸う姿がラブリーですしね)

んで福音と違って、ある意味スタンドアローンの極みとも言える櫟士w


 テクノライズは記憶の外部化・自我の境界云々に関しては物語には盛り込まれてないですが、紅殻は電脳化・義体化と言うテクノロジーに対して(戸惑いはありつつの)とても前向きで希望を感じさせる世界観が私は最高に心地良かったんですよね。その点では無二の作品なのは間違い無い。
そこは士郎正宗作品全般の事であって紅殻の特色ではないかもしれませんが、其処を示唆する表現は多分に盛り込まれていた作品であったにも関わらずほぼスルーされちゃってるっぽいのがこの作品の不幸と言うかw
{netabare}
 10歳で肉体を失った少女が元の肉体の動かし方を捨てて「しっぽをふるように」「はねをはばたかせるみたいに」全身義体に対応し、「はじめてものをみるみたいに」システム補助無しで情報の海にダイブしてゆくこの時代では常識を外れた驚異の適応者と言う側面。

「初めて歓迎してもらえたよ」「私は私を(両親以外から)もらったの」
最先端の技術で社会や周囲のおかげで"生かされている"現実と負い目。常にロボットと間違われる疎外感。

 そしてクラりんから問いかけられる"力の行使と持てる者の義務"
未来を作れってのは士郎正宗作品にはよく出てくる言葉ですし、攻殻新劇場版のラストでも引用されてた部分ですが、この作品にもきちんと盛り込まれている。
{/netabare}

 汲み取ろうと言う気さえあれば、哲学的とは言わないけど十分中身の有る作品だと思うんですけどねぇ。まぁこの手の意見は多勢に無勢なのは判ってるつもりですが。
パンドーラデバイスのアクセスのシーンがエロくて気に入らないという事ならば、ドラえもんの四次元ポケットにのび太が手を突っ込んでると置換えて見る事をお勧めします。

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以下、視聴時のレビューです
{netabare}
最終話視聴。
 アニメとしての総合的な質と言う点では、正直駄目な作品とは私も思ってます。お勧めもしません。
ですが個人的には今期一番楽しませてもらった作品でした。本放送中の期間に何度も繰り返し観返した作品は久しぶりですし、原作も何度も読み返しちゃいまして。正直見る気の無かったARISEの円盤買う切欠にもなりましたし。

 設定面も士郎正宗作品に馴染んでいないと"あぁ"とすら気付けない所も多々ある為、攻殻→アップルシードに連なる作品では無く単独の作品として見た場合は面白味の無い話と思われるのも止むを得ないかと。
"光学迷彩では無く熱光学迷彩"とか、クラりんのナイフ夜龍・灰虎の"MADE IN P.I.A"の刻印とか、普通はスルーしちゃうと思います。そもそもクルツの背後にポセイドンが居ると言う点ですら、士郎作品観てなければ「何ソレ?」で終わっちゃうでしょうし

 絵に関しても残念すね。低予算だったでしょうし、名和監督自身がCGを生かしたメカ物作品の経験が無くて色々と相談しながら作ってた旨を公言してますもんね。アクションのスピード感も欠けてるし、かんたんクラりんとは別にマンガ的記号に頼ったとこも多い。
そこは個人的には止むを得ないかなと割り切って観てましたが、それ以上に残念だったのはコメディとしての印象を左右する大事なシーンを再現しきれなかった点が多かった。代表的なのがフィアーの目前での変身シーンの"場違いな面白さ"をクルツの怒りと部下の赤面だけで済ませちゃった点とこですかね。
日常系等で女の子をかわいく見せる点では手練れだったであろう制作側の良改変も有りましたから、痛し痒しのトコは有ると思いますが。猫王子のトコは良かったですね。「耳に触っていいニョ」のトコは声優の沼倉さんが声変えたのもあってバカバカしくて良かったかと。

 原作とのラストの展開の差異の大きさは正直残念でしたが、制作時期的に原作無しの状態だった訳でその点を加味すれば無難に纏めたかなと思います。
距離を置いて見ればアニメとしてのクオリティも高くは無く、中盤の昔の魔法少女モノみたいな部分が無駄回に思えても仕方のない1クール内の構成の悪さから世間的に低評価も止む無しですね。やはりニッチ過ぎたと思います。
本来ここでの評価点を付けるとすれば低くすべき作品とは思いますが、個人的な思いで高い点付けちゃいます。


原作と比較しての不満点ですが

・福音の全身義体故の世間に対する引け目がさほど表現出来ていなかった。
原作もけしてその点に関しては表現は多くないですが、アニメでは誇張すべき要素だった気がします。全身義体の可能性の裏の側面として"高度なメンテが有ってこその体"という社会への感謝と恩返しが福音の社会への貢献と世界平和への願いの根の一つですので、表現が皆無では無いですがもっとアピールすべきだったかなと。

・クラりんの福音に対する認識
原作では事件の終息後に、福音との共同作業が自分の計算上は不可能な事を可能とした事に戸惑い「・・・ありが・・・とう・・・」とやっとデレるんですよね。アルゴリズムでは生まれ得ないノイズとしてゴーストの発生を匂わせている。
アニメのラストも悪くないですが、クラりんのアンドロイドとしての書き方がかなり人寄りかなと。福音も本来彼女たちには目の洗浄液でしかない"涙"を流して泣きますし。
多分、制作側の方々はあまり士郎正宗作品思い入れは無い気がします。
福音達を尾行してたゲルツェコマの光学迷彩を"熱光学迷彩"と言わせた件はweb上でも色々指摘されてましたし。私もアレは台詞のミスだと解釈しました。

・ロバートとの共闘と太鼓の達人・キノコとタケノコを描けなかった。
アニメの制作時期的には原作と併せる事が出来なかったのは止むを得ないんですけど、やはり原作では福音のチート能力の最大の見せ場でしたしロバートが事態収束の当事者の一人としてこそ前段の繋がりが生きたと思います。

福音「これだーーーーーって、私の何かが囁いたんですよーーーー!!」
クラりん・ロバート・クルツ:「お前は一体何を言ってるんだ・・・」

をアニメで見たかったんですよね。福音役の福さんもキャラにマッチしてましたし。
このアニメをコメディとして観るかSFとしてシリアス多めで見たいかは個人差有るかと思いますが、私は終始コメディで通して欲しかったです。


実は今期アニメに関しては、コレにご執心過ぎて他のアニメがかなり印象薄いです。私、かなり趣味が変かもですねw

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10話視聴
 正直、残2話だと原作通りにクルツとの決着迄を消化するのはかなり厳しいような。公式HPにもアニメのオリジナルの展開になる様な事書いて有りましたが・・・
OPから予想すれば目だけ書かれてたランドメイトとの戦闘は要れるでしょうし、当然クラりんへの電子戦闘支援も外さないでしょうから。
描かれていない福音のシステム補助無しでのシステムのハックを削るのだとしたら、一番攻殻らしいシーンだけにガッカリかも。11話のサブタイからすると外さないでしょうが(汗)
 個人的には原作終盤の展開が好きだったもんで、あのヒドいオチも含めて原作に忠実にやって欲しかった気はします。

それにしてもニッチなアニメすね、ホント。好みにカスリもしない層が多いのも止むを得ないというかw
私は今期手をつけたアニメでは、質は別の話として一番好きです。

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8話視聴
 今期の一番のお気に入りですので、何故かマメに書きたくなっちゃうと言うか。今期は他にいい作品いっぱいあるのにコレが一番好きな自分は変わり者だなとは思うんですけどね。恐らく円盤の売り上げも撃沈でしょうから、私は買う事にしましたw

 こういう各話の内容の書くのって個人的には好きじゃないんですが、ちと判り辛い回だった気もするので敢えて。流し見でなければ判る程度の事ですが、この作品の場合真剣に観て貰えてない可能性高そうですし(汗)

・火災の原因はクルツのハックで"くしゃみした"ブエル(大)の荷電粒子砲。
もしかすると敢えて火災とラストのシーンの関連の表現は次回に回したのかもしれませんが、人によっては紐付けできなくて訳ワカメにしか見えないような。
ブリ(ドカーン)のノース君の着ぐるみがなんで突然燃えだしたのも、原作ではこの時点でちゃんと火線が絵に描かれてるんですけど・・・・

・デパートの売り物だった耐火布をクートゥリエのスキルで袋にしてその袋に入って身を守り、周りが見えない袋の中から電動カートと携帯ゲーム機と自らの機能を利用して視覚情報では無く音響情報(エコー)を視覚化する事で移動。

・取り残された子供に、全身義体(サイボーグ)の福音は自らの体内残留分の酸素で人工呼吸。
福音は脳だけ生身ですので、本来必要な酸素は脳の維持分のみで済むため僅かの酸素しか必要でなく1話も含めこのような過酷な状況で1時間程活動が可能。
しかし、そのわずかな量を通常の人間に供給したため急激に残量が減った。
クラりんはアンドロイド(ロボット)なので酸素が無くても活動が可能の筈(1話は海底でタンク背負わず調査活動)
ただアニメでは酸素ボンベで吸引してましたね。原作ではクラりんは吸ってるシーンは無いんですが。多分ミステイクかなと。

・耐火布の袋に風船用のヘリウムガスを貯め、地上にダイブ。
そのまま地上に落下するにはロバートが言ったように速度が出過ぎだったが、議長のリムジンの屋根に着地した事で変形のエネルギーを利用して緩衝した。でも原作ではその前に建物の壁を蹴る事で減速もしてるんですよね。

 通常の人間では無理だがサイボーグである福音とアンドロイドのクラりんだから出来る事(可能性)とは何かがこの作品の総体のキモの一つであり、その意味でわざわざ他の"料理の鉄人""ジャグリング"等の「便利だね~」程度のスキルを前半でやって"人形遣い"とこのエピソードを話の山場のクルツとの対決の直前にこのエピソード持ってきたんだと思いますが。
 けど、流石に1話の短い尺で原作の絵の情報量を全て詰め込むのはこのエピソードに関しては苦しいかも(汗)
ブリ(ドカーン)の突撃インタビューや議長の抱えた"大きな問題"のシーン自体は話の本筋には無駄ですが、彼の政治家としての暗部の表現のシーンでもあるので削れなかったんでしょね。

 クラりんのロジカルで合理性を優先する思考と福音の人間的行動原理の話でもあった回でしたので、ラストのクラりんが自らの判断を誤りだったと認めるシーンを原作より長めにしたのは好印象でしたです。

 初期の原案でも阪神淡路の被災者である体験からか、基本的な緊急救命を盛り込んだ作品にしたいと言う思いは有った作品らしいので、ある意味本作らしい回ではあったのかもですね。
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7話まで視聴
 相変わらずアニメとしてのクオリティはアレだと思いますが、私的には今期のアニメで何度も繰り返し視聴してるのはコレだけでして(汗)
原作も読んじゃったので今後の展開も判っちゃってるんですけどね。
恐らく大半の方が何の面白味も感じないと切ってるんでしょうし、その気持ちも判りますホント。
この作品を脳内変換してでも楽しむ気持ちでいないと、アホらしくなると思います。今期だと小麦ちゃんRに近いかもしれませんねw
この後8話の火災の話以降は結構派手な展開なんですが・・・
もちっと金掛かった作りならばとも思わないでもないんですが。

 この作品のせいで久しぶりに士郎正宗熱が上がっちゃったもんで、14年発売のPIECESGem01買っちゃいまして。
本作に関しても言及されてまして、別にアニメのネタバレには当たらないと思いますが
やっぱりオリュンポスに関連してましたw
初期設定ではオリュンポス形成の初期実験の物語として設計されてたそうでして。もっともマンガの六道氏がそれを使うかは別な話なんでしょうけど。
7話の福音のお勉強のシーンでの講師のお話もよ~く聞くと、士郎正宗ファンなら「やっぱりそういう時期ね」と納得なんですよね。

webで見ましたが日常系が多い名和監督自身は自らこの手のSFは畑違いと思われてたとの事で、実際魔法少女モノ風にアレンジする事も視野に入れてたみたいですが・・・
にしては意外と士郎正宗の原案と言うものを大事にされてるんだなと感心したのと共に、であればこそ士郎正宗のマンガのテイストが感じられるんだなと納得しましたです。もちろんマンガの六道氏が有っての作品だと思いますが、"アニメの攻殻"という商売に染まってないカドカワと制作会社で作られた事の福音なのかもですね。

士郎正宗の読み物なんて攻殻2.0巻読んで以来なんですが、PIECESGem01読んでアニメの攻殻って色んな意味で色々有った作品なの知って「あぁなるほどね」って感じでして。正直、押井版も含めアニメとしての出来は別として"コレ、士郎正宗じゃねぇよね"と言う違和感感じてたのは私だけでは無い筈。
 紅殻のパンドラと言う作品が変化球なのは間違い無いですが、こういう形でもテイストを継承した作品が出てきてくれた事が嬉しく思います。

もっとも、今でも士郎正宗って名だけでときめくなんてのは古い世代だけなのかもですが(汗)
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意外と原作に書かれて無い部分足してたりするんですね。

原作は現時点7巻でフィアーとの戦闘のクライマックスで、これでほぼ一区切りかと思ってたんですが。
OP見てて気付いたんですが、クルツの背後にフィアー以外の目が光ってますよね。ラストに更にもうひと山作るって事なんでしょうか?(汗)

 個人的には今期のアニメで一番好きで観返すのも多いんですよね。
別に賛同求めはしませんがw
アニメの1作品としての出来云々で言えば低評価なのは納得なんですけど、個人的にはこういうのツボなんすよね。

世界でこの時点で10人と居ない適合者の福音が"肉体の代替品"に留まらない全身義体のその可能性をパンドーラデバイスと言う"最高のスキルの取り込み"で更に広げるってプロットが正に士郎正宗というか。電脳化が世界を変える新技術と言う認識は有っても未だ倫理的に抵抗の残る時代と崑崙八仙も劇中で言ってましたし、私は今となっては大昔の本のアップルシード・データブックの年表読み返したりして楽しんでます。
本作の段階では連合・米帝の大戦中の様ですが、ムンマ教国の台頭の時期且つMMによる"日本の奇跡"の前なのかなと思って観てるんですが。劇中の宿題の職場訪問のエピソードで浮遊MM云々なんてセリフも有りましたしね。
セナンクル島って意外とオリュンポスの原型だったりするのかな~とか思ったりして。ガチの士郎正宗ファンの方の見解聞きたいすね。
 んで、そんな士郎正宗の世界の中で繰り広げられるサイボーグの福音とアンドロイドのクラりんのユルい百合とブエル(小)の暴走というギャップが堪らないw
フィアーとの戦闘ですらアレですしね。
 士郎正宗のお膳立てだけで楽しめる人にはナカナカな御馳走だと思うんですが、そうでない人にとっては雑な三流以下でしかないというニッチな作品というかw
 
 別にクラりんのデフォルメで作画リソース節約は私は気にしてないんですが、義体の関節部分を線足しだけで済ましちゃってるのが残念なんすよね。
もうちょっと手間かけて欲しかったとは思います。2ndGIGの素子の少女時代と見比べるとガッカリ。
作画金掛かってたら個人的には円盤迷わず買ったんですが・・・

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 面白そうなんで原作読みはじめましたけど、士郎正宗自身が自分の作品の色では今時はウケないからと六道氏にお任せって感じなんすね。マンガ本編と士郎正宗のあとがきのテイストの違いが変な感じw

部分義体に出来る事の限界と全身義体の可能性の違いとかってアップルシードの頃から書いてたし、スキルの外部記憶化というパンドーラデバイスとの相性の良さなんて要素もとても士郎正宗っぽいすよね。
(そいえば無彩限のファントムワールドでも3話で外部化された記憶・体験の共有ネタやってましたね)
崑崙八仙の傘下の企業の名前もメガテク・セブロとかお馴染の社名出てきたり、マンガの方では福音がヘカトンケイルシステムの実験させられてたりするし。
そういう懐かしさもあって、なんか個人的には好きなんすよね~。

 自称"魔界の哲学者"ブエルも五本目の脚がイイ味出てるし、かわいい全身サイボーグとロボットのコンビでユルい感じってのも個人的には好きなんでその気に入った気持ちを評価に反映します。

まぁ明確に"彼女と彼女の出会いの物語"と深~い話じゃ無い事は明言してますし、客観的にアニメの出来として観れば切る人多発なのは納得ですんで私もお勧めはしないですけどねw
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 個人的にはなんかカオスな出来が楽しい気がするんですよね。お勧めはしないし多分切る人多発だろうけどw

絵も動きも雑だし変なアニメなのは間違い無いんですが、意外とドミニオンのマンガにテイストに近い気はします。コンフリクト編じゃなくて初めの方ね。SFベースのドタバタ劇と言う点で。
まぁ本作品自体の原作は士郎正宗では無い訳ですが、マンガのドミニオン・オリオンが有りの人は別に抵抗無く見れると思いますけどね。

何度もくどいですが、お勧めはしません(汗)

士郎正宗というとアニメの攻殻・アップルシードというイメージの人は耐え難いかも。
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 攻殻以前との話ですので、古い世代の士郎正宗ファンなもんで個人的には期待しちゃうんですけど最近はエロばっかですしねw
全身義体(無機質サイボーグ)の黎明期のお話みたいなので、希望としては攻殻→アップルシードの流れに繋がるミッシングリンクがちょっと埋まる作品だと最高にうれしいんですが・・・多分ふつうに萌えですね(汗)

まぁ別にかわいくて面白ければOKかなと。
1話目の印象は絵は崩れないけど、電車や船等のオブジェクト動きがイマイチすかね。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 26
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

stodio五組最新作!今回もゆりゆりしてます!でも実は・・・

攻殻機動隊のスピンオフ作品です

・・・と聞いて興味が湧いた人は残念ながら向いていない可能性が高いです
おそらくレビューで呪いの言葉を吐露することになるでしょう

逆に攻殻と聞いて硬派なSFはちょっと・・・
と敬遠しようとする層のほうが
どちらかというとこのアニメに順応しやすいと思うのですが
そういう人たちは0話で切ってたりするんじゃないでしょうかね?

原作士郎正宗とか攻殻機動隊スピンオフとか
そういった情報よりももっと端的にこの作品を表すステータスは
レビュー題の通りです

咲の製作中に母体のGONZOが吸収合併された際に独立
以来Aちゃんねる、きんもざ。ゆゆゆと
ヒットさせたアニメはどれもソフトな百合描写を含むものばかり
今回もその流れを汲む作品で
そこにSFバトル的な味付けが添加されていると思えば
まぁ大体この作品の大雑把な方向性がわかると思います

しかし、主人公の七転福音(ねね、以下福音)は事故の影響で全身義体で
脳核以外は全て機械になっています
ヒロイン(?)のクラリオンはもともとアンドロイドなので
そこに萌を見出すのは
俗にいうピグマリオン・コンプレックスにあたるのでしょうか?
さらにくらりんには猫耳メイドとかいう属性までつけたられており
さすがにいろいろやり過ぎ狙い過ぎに感じる面は否めず
そういう意味でレベルの高いというか適合者を選ぶ作品なのは確かです

しかし二人の機械設定のおかげで
湯煙規制0のシャワーシーンや下着描写
さらには、くらりんの股間に福音が指を挿入するシーンが毎週のように流れたりと
生身の人間だったら絶対NGなレベルのシーンが
堂々と放送されているのにはびっくり
パンツじゃないから(以下略
的な発想ですね
こやつら天才か!

もし仮に誰かがこれに性的過ぎると苦情を入れようものなら
その人は自分がお人形に欲情する変態さんだと宣言しているようなものです
昨今。アニメの肌色が厳しく規制されるなかで
これだけ全裸の女の子を堂々と描くアニメはなかなかありません
よく理解していない人から見れば福音もくらりんも人形かもしれませんが
クラリオンはともかく福音は歴とした人間の女の子ですからね!

いやしかし、よくよく考えてみると福音は本当に全裸と言っていいのでしょうか?
全身義体というのはいわば究極のウェアラブルPC
つまり本来の彼女の全裸は脳核だけの状態であり
全身義体を着ているのだと考えることもできます
だとすると全裸どころか
フルメタルアーマーもびっくりの鉄壁の防御で
彼女の裸はガードされていることになります

はたして義体は彼女そのものなのか?
それとも義体を身に着けているだけなのか?
これは非常に難解で哲学的な命題でもあります
すなわち自分と世界の境界線は何処に線引きされるべきなのか?
はたして自己とは一体何なのか
人類はいまだにこの究極の問いに普遍的な解答を見つけることができていません

古来人類は、精神と物質をはっきりと分離せずに考えていました
万物に魂が宿るとする日本のアニミズムでは特に顕著ですが
それは日本に限ったものではありませんでした
近代科学はその二つを無理やり引きはがすことで
現在の物質文明を築きあげてきましたが
ここにきて精神もまた物質世界の一部としてメスを入れられる時代が到来しつつあります

その一つが脳波入力インターフェイス
つまり心の中で念じるだけでいろいろなデバイスを操作できる装置です
実際に脳波でキーボードを入力したり、ドローンを飛ばしたり
といった実験にはすでに成功しており
一部は実用化されています
しかし、この装置の扱いはなかなか難しく
何も練習せずともすんなり動かせる人もいれば
幾ら練習しても全く動かせない人もいるようです

作品世界に話を戻しましょう
こちらでも似たような話が出てきたのを覚えていますか?
発展途上の技術全身義体
福音は世界でも希少な成功例
適合者(アデプタ)の1人だそうな
幼いころに難病を患い電脳化し
10歳の時事故に巻き込まれ両親を失い全身義体となった彼女
機械の身体を自分の身体と認識し駆動する能力は
生きるため全てを奪われた少女が
生きていくために身に着けた、たった一つの希望です

11話で彼女は {netabare}自己の定義をさらに拡張し
基地のシステムをも自身の一部として取り込んでしまいました

あるけどわからない・・・昔と同じだ

わからない

わたしがあるけどわからない

1からやり直したらいいんじゃないかな?
1番初めの最初の最初から

生まれて初めて体を動かすみたいに
生まれて初めて物を見るみたいに

近くて遠いたくさんのきらきらした何か

なんだろう?一度にたくさん見えてるのに全部わかる
{/netabare}
彼女の世界認識は自他の境界が極めて曖昧
あるいはそもそも存在しない主客未分の状態にあるようで
拓美もそれをどこまで見抜いているのかわかりませんが
「福音ちゃんの世界観は興味深い」
と評しています

このアニメを低俗で悪趣味な萌アニメだと思っている人達がいるようです
悪趣味な萌アニメという部分に関しては何も返す言葉はありませんが
これだけ科学的・哲学的に最先端の話題まで踏み込んだ作品を
低俗の一言で片づけるのは
受け手の見識が低すぎるだけのように思います

実際には作り手サイドにそんな深遠な主張などなく
私の個人的見解というか無理やりなこじつけただけの妄言ではなないか?
と疑っている方もいるかもしれませんので
11話のアレが作品の主題であるという証拠を上げておきましょう

もともとこの作品はGHOST URNの題名で士郎正宗が企画し
攻殻ARISEのキャラを登場させ
ARISEの数年後を舞台にした作品となる予定でしたが
企画そのものがいったん没になり
再始動する際に色々な変更点が加えられ今の形となりました
GHOST URNという単語はこの作品のルーツであり
物語の核心に最も近い部分です
そして11話のサブタイトルが
「心の在処 -ゴーストURN-」であることを考えれば
このアニメが精神と身体の関係をメインテーマにしていることは
だれの目にも一目瞭然ですね

しかし、硬派なアニメファンの大半は
11話までたどり着かづに脱落するか
低俗なクソアニメと決めつけてちゃんと見ていないでしょうし
逆にこの作品をメカっ娘たちの繰り広げるレズレズアニメ
として観ている変態紳士の皆様方は
そんなメッセージ性をそもそも求めていなかったりで
どれだけの人にこのテーマが届いているのか
正直疑問に思うところではありますねw

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「世界平和は小さな親切の積み重ね」

この作品の原作は未読ですが、原作が士郎正宗さんである事、「紅殻」と「攻殻」の読みが同じことから何か関連はあるんだろうとは思っていましたが、それ以上突っ込む事はしませんでした。
後から「攻殻機動隊」好きな友人から教えて貰いましたが、この作品は「攻殻機動隊」より時代設定は前なんだそうです。
それでも「全身義体」のキャラは登場しますけれど^^

この物語の主人公は、脳以外の全身を義体化した七転 福音(ナナコロビ ネネ)。
彼女は遠い親戚である崑崙八仙 拓美(コロバセ タクミ)に引き取られてセナンクル島にやってきたところ、ウザルという女性科学者に遭遇し・・・いきなりブエルと呼ばれる巨大兵器の暴走トラブルに巻き込まれてしまいます。

でもそこで福音はウザルが製造した戦闘用アンドロイドであるクラリオンと運命的な出会いを果たし・・・物語が動いていきます。

物語は大きく2つの流れで動いていきます。一つは福音とクラリオンの日常パート・・・もう一つは巨大兵器であるブエルを我が物にしようとする輩が秘密裏に動いていくパートです。

ブエル絡みの展開は、身体の各部を義体化した敵との白熱したバトルやいかにも電脳系・・・という感じで物語が進んでいくので、こちらも息を呑む感じなんですが、個人的に圧倒的な面白さを感じたのは日常パートです。

「夢が世界平和」という福音は自己犠牲も厭わないスタンスで人を助け、それをクラリオンがサポートする・・・一つ一つの出来事は大きいことばかりではありません。中には命の危険を賭して人助けを行ったりする事もありましたが、公園での炊き出しの手伝いなど些細な事でも心が温かくなるような一幕を見る事ができるんです。

でもセナンクル島の住民は決して善人ばかりではありません。
例えばこの時代、アンドロイドは高価なモノとして盗難事件が起こったり・・・
福音とクラリオンは全身義体・・・きっととんでもなく高価なんだと思います。
それでもそんな悪党に屈する二人ではありません。
詳しくは本編で確認頂きたいと思いますが、キーワードはパンドーラデバイスです^^

セナンクル島に住むのは善人ばかりでは無い・・・と先述しましたが、ちゃんと善人も住んでいます。根が素直で正直な福音の周りに集まるのは、心優しい人達ばかり・・・

義体って・・・部分的でも動かすのが難しいんだそうです。
全身が義体化された身体を普通に動かしている福音はきっと過酷な訓練と調整に耐えてきたんだと思います。
皆んなが福音の様に義体を動かせる訳ではありません。
でも、病気やケガで身体の機能の一部を失って・・・これまでと同じ様な生活が送れなくなる・・・
それが義体を使うことで日常が取り戻せるなら・・・頑張りたいと思いますよね^^
福音の分け隔てない優しさも相まって、そういう「これからの人」に対し福音は希望だったと思います。

一方、物語の中で良く分からなかったキャラもいます^^;
一番分からなかったのが、福音の遠い親戚である拓美ちゃんです。
まず彼女の口調・・・これまで様々な口調を聞いてきましたが、語尾に「〜だや」を聞いたのは今回が初めてだと思います^^;
「何故、だやなの・・・?」
正直言いにくいと思います^^;
それに普段の生活において出不精なのかそうじゃないのかが不明ですし・・・^^;
でもクラリオンへの足枷は・・・クラリオンにとっては厳しい条件でしたが福音の事を思う親心なんだろうな・・・と思いました。

色々書きましたが、基本的に福音とクラリオンが普通に可愛いので、愛でながら視聴していると30分なんてあっという間に過ぎてしまう・・・そんな作品だったと思います^^

オープニングテーマは、ZAQさんの「hopeness」
エンディングテーマは、七転福音、クラリオンの「LoSe±CoNtRoL」
EDの制作もZAQさんでした・・・OP、EDともZAQさんらしい曲だったのではないでしょうか^^
リフの曲調がちょっと難しいけれどサビが抜群に格好良い・・・そんな印象です^^
個人的にはEDのサビのメロディが好みでした^^

1クール12話の作品でした。「こうかく」の文字が変わるだけで作品の雰囲気が全く別物になっていましたが、この作品も毎週の視聴が楽しみでした。
「ガール・ミーツ・ガール」の物語・・・良かったと思います^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

76.5 3 サイバーパンクで警察なアニメランキング3位
アクダマドライブ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (360)
1228人が棚に入れました
遙か昔、カントウとカンサイの間で戦争が起き、世界は分裂した。カンサイはカントウの属国となり、独自の発展を遂げていった。しかし、政治と警察力は衰退し、犯罪が横行。その犯罪者を“アクダマ"と呼ぶ――。 本作品の舞台となるのは、高度に発達しながらも歪んだ社会。その中で、アクダマたちはいかにして自分らしくあろうとするのか。一堂に会したアクダマたちの美学がぶつかり合う。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、梅原裕一郎、武内駿輔、堀江瞬、緒方恵美、木村昴、櫻井孝宏、大塚明夫、花守ゆみり、榊原良子、内田真礼
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

わ~るいことす~る度に刑期延びちゃう

1話感想{netabare}
タイトルからカゲプロやクビキリサイタルみたいなのを想像したけど全然違ってブレードランナーでした。
というか…別に対立煽りをしたいワケじゃないのであんまり声高に言いたくないのだけど、前期“ノーガンズライフ”で「足りてないなー」と思ってた部分がガッツリ詰め込まれてた。
丁度飢えてたところにスコーンとこんな作品が出てきたモンだから引き込まれないワケがない。
ノーガンズライフだけ槍玉に上げても悪いので…“ニンジャスレイヤー”もトリガー逃げずにこのクオリティで作ったらなぁ、とか。
他に似てるなぁと感じたのは“ハンドシェイカー”のジグラート(大阪が舞台だからか?)、“P5”の誰だったかのメメントス、“ダグ&キリル”…ここら辺の「目指してた先」はコレなんじゃない?とさえ思えたり。
いやぁ“ドロヘドロ”で「テレビアニメでもここまで頑張れるのか」と驚いたモンだけど、まさかまた出てくるとはねぇ。

但し目を引いたのは背景や小物、それを見せるギミック、演出で、肝心のストーリーはまだなんとも言えない。
まさか黒沢ともよがレプリカントってオチは無いだろうけど、巻きこまれ型で派手にドッカンバッキンやるだけだと飽きちゃうかも。
いや、そんなことは無いと信じたい、頼みますよマジで…。{/netabare}

5話までの感想{netabare}
2話以降、じわじわと作画が…うーん。
悪くはないのだけど1話に比べるとってことね。
それとダンロンスタッフということである程度覚悟してたけど、話の腰を折る展開が目立つ様な?
2話「新幹線を襲撃してもらう」からの『詳しくは場所を変えてってことで、バス奪ってホテルに突撃して』、そこでちょろっと新幹線の詳細について語るけどすぐに『処刑課の襲撃があって戦闘して廃墟に逃げ込んで』3話になってようやく「ミッションの概要を説明」。
どうにも『』で括った部分が邪魔というか、「新幹線を襲撃してもらう」からすぐに「ミッションの概要説明」に行ってくれないと勿体ぶってる感を抱いてしまう。
同様に5話、依頼人の正体を問い詰める医者に一般人が横槍入れるのも勿体ぶってる感が…。
ドラマなんかでたまにある、敵の手下を捕まえて「誰の差し金だ」「く、黒幕は…(物陰から何者かが狙撃)うっ」「しまった!」ってやつと同じ、引っ張るにしてももうちょいやり方ありそうな、尺稼ぎくせぇってやつ。
これも文句ってことじゃなくて、これ以上こういうのが増えると困るギリギリのラインってことね。
ってか何億イエンも報酬払えるヤツを見た目子供だというだけで庇おうとする精神がよくワカラン。
まぁ一般人自身が超アヤシイのでウラがあってそういう行動したのかも知れんので、その件については様子見だけど…。
というか依頼者(兄)が“トイレの花子くん”に見えて仕方ないのだけどどうしよう、医者役でオガメグも居るしw

声優ネタといえばNHK風の解説パート、サメくんの声が「たんけんぼくのまち」でお馴染みのチョーさん。
NHK風を演出する上でこれ以上の適役は存在しない…かも?青野武が存命だったらなぁ。
一方のウサギちゃんは聞いただけでは誰か分からなかったけど…エフェクトかかってるせいもあるのかな?ところどころで藤田淑子っぽく聞こえるような?
「関東って知ってるーぅ↑?」のイントネーションなんてすっごく藤田淑子(「私も北に住みたいわーぁ」は久野三咲っぽいけど)。
“デジモンアドベンチャー”や“ダイの大冒険”のリメイクが放送され、藤田淑子ボイスに飢えてたところにコレでちょっとウルっと来てしまった。
で、確認してみたところ間宮くるみでした…えっ、こんな声だっけ!?へけっ。
ダンロンスタッフだったら声優ネタあるのかな?と思ってたが、これがそれに当たるのかな?{/netabare}

6話感想{netabare}
1話で「お、これは!?」と感じるも、それ以降ビビっとクるものはなく5話までなだらかな下降線だったのだが…6話で盛り返したかな?
やっぱ消耗戦は熱いねぇ。
それぞれの得意分野を駆使した協力プレイでミッションクリアーもいいけど、消耗するものが何も無く常に全力プレイできるのと、リソースが限られててどうやり繰りするかの要素アリだと、後者の方が盛り上がるかな、と。

実は5話最後、処刑課はどうしてアクダマの進入口が分かったの?ってのが不満だったのだけど、ああ、上の連中は結構お見通しなのね。
関東がどうなってるとか積荷はナンなのかとか、現場の処刑課師匠弟子も把握してないっぽい(弟子に至っては死にたがりを繋ぎとめるためのツーマンセル制度だったことも知らなかったみたいだし)。
今後それらの秘密に触れることでアクダマ側に肩入れしてくって展開に…なるかな?どうかな?
師匠死んじゃったしなぁ(ホントかな?)。{/netabare}

総評(これだけ見ればいいかも){netabare}
悪くはないのだけど何か物足りない。
「5話までの感想」でも触れたけど、アクションシーンはよく描けてるのだが、それがどうにも話の腰を折る余計なシーンに感じることが多かった。
9話の「殺人鬼に追われてトイレに閉じこもる」も、どうして居場所がバレるのか分かってるのにワザワザ密室に逃げ込むかなぁ?
ホラー映画演出をしたかったのは分かるんだけど、そういうシーンを描きたいがためにキャラに不自然な行動をさせてる感がバリバリ。
って感じで、各話サブタイトルにも見られる様に映画のオマージュ(主に演出面)に走って肝心のシナリオが弱くなってしまった気がする。
詐欺師が供物にそこまで肩入れする動機の描写も弱い気がするし、眼帯ちゃんの心の揺れ動きももうちょっと踏み込んで欲しかった。
「アクションシーンが邪魔に感じる」ってのはアニメとしてどうなの?とは思うけど、内容のうっすいドッカンバッキン見た目だけ派手な娯楽として見る分にはいいかも?
あ、でも医者の最期は大好きw
「ワルモノ」の末路はこれくらいやってくれなきゃねー、聞いてるか?炎炎。

ところで、市民をコロコロして一旦は暴動を鎮圧するも最後市民によって制圧される処刑課とか、これ…中国じゃ放送できんだろうなぁと思ったり。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ふむふむ。。見応えはあるけど好みは分かれそうな?

 
正直、ジャンル的に優先度は低かった作品ですが、利用しているサブスクでは軒並み配信されず。
Tverで期間限定配信というのを聞き、優先度を上げて視聴しましたが果たして・・・

世界観はいいですね。
絵とかOP/ED、チカラ入ってる感じがします。
この感じ、オリジナルの感触・・
 
 原作:オリジナル
 製作:studioぴえろ
  ニルス/うる星やつら/きまぐれオレンジ☆ロード
  /平成天才バカボン/おれは直角/幽☆遊☆白書
  /はじめ人間ゴン/十二国記/キングダム
  /凪のあすから/転スラ・・・
  結構、老舗なんですね。
 放送:2020年秋(全12話)
 視聴:2020年冬(Tver)


▼あらすじ(公式イントロダクションより)
{netabare}本作品の舞台となるのは、高度に発達しながらも歪んだ社会。
遙か昔、カントウとカンサイの間で戦争が起き、世界は分裂した。
カンサイはカントウの属国となり、独自の発展を遂げていった。
しかし、政治と警察力は衰退し、犯罪が横行。
その犯罪者を アクダマ と呼ぶ ―。
▲{/netabare}

ん~あらすじだけ見ると、やはりテンションは上がらないけど・・
ただ、この声は・・ほほ~
自分はcvだけで完走できる特異体質なのでいけそうw

▼キャラ/キャスト
{netabare}一般人(詐欺師):黒沢ともよ
 ハンコセンター職員の20歳。
 巻き込まれ体質?いやーおせっかい気質じゃんw
 黒沢さん、待ってましたヒロイン。
 やっぱり、演技、声ともに惹かれるものが。
 シリアスな世界に明るさを与えてくれました。
医者:緒方恵美
 豊満な肉体を持つ美女マッドサイエンティスト。
 中の人は、「エヴァ」とか「たまゆら」が印象的かな。
 メインキャラはレア感ありますね。
 担当キャラが突出して有名になると大変ですね。。
黒猫/兄:内田真礼
 アクダマに爆弾付きの首輪を装着し指示を与えた。
 cvマジ?男性役もこなすんですね。
妹:市ノ瀬加那
 兄と共に「カントウ」への供物として囚われていた少女。
 市ノ瀬さんは少し復習・・・
 色づく世界の明日から(風野あさぎ)、
 かぐや様(四条眞妃)、
 Dr.STONE(小川杠)、
 ゴールデンカムイ(エノノカ)、
 天気の子(佐々木巡査)・・
 お可愛いことw
処刑課弟子:花守ゆみり
 アクダマ排除に燃えている処刑課の若手女性。
 花守さんも復習しとこか・・
 ゆる△キャン(なでしこ)、
 オバロ(イビルアイ)、
 転スラ(シズ)、
 エガオノダイカ(ユウキ・ソレイユ)、
 かぐや様(早坂愛)、
 ハチナイ(宇喜多茜)、
 鬼滅の刃(白髪)/慎重勇者(ロザリー)、
 ランウェイで笑って(藤戸千雪)、
 ダーウィンズゲーム(スイ / ソータ/映像研(百目鬼)、
 グレイプニル(愛子)・・
 男性的な声もできるんですね。
▲{/netabare}

ヒロイン、初めは眼を見てロボットかと思った・・
サブ含めキャラの特徴は立ってるかな。
でもなぜか好きになるキャラは少ない・・

正直、視聴モチベーションは、ほぼヒロイン(のcv)w

▼エピソード
個人的にはアニメオリジナル作品って、
物語部分は色んなオマージュを感じたりして、
新鮮味が感じられない(つまり残念な思いをすることが多い)といった印象・・

この作品も、その範疇を超えることはなかったかな。

マンガや小説が原作の場合、原作が市場に出る前に編集部のチェックが入るし、市場で淘汰され人気がある作品がアニメ化されるワケだから、仕方ないっちゃ仕方ないですケドね。すでに原作ファンもいるわけだし。
だからこそオリジナルは絵や曲にチカラを入れる必要があるんだろうけど。
とはいえオリジナルアニメでも好きなものはあるので(すぐには思い出せないけどw)、ちょっと期待しました。

犯罪者視点でのミッションとバトルは、悪くない。
でも、気になるところが・・
~{netabare}
第六話、復習しに来た処刑課師匠はどうやってアクダマたちの居場所がわかったのか。。怪我してたんだしまず組織に報告じゃね。
私情で動くし過度な自信やプライドが身を亡ぼす事をわかってないのは・・美学でゴリ押ししてそうだけどプロと呼べるんかな。

前半は謎が気になって面白味もあったけど、
後半は謎部分が刺さらず、なんだかな~な感じも。。

他にもざっと挙げてみると。。
<cv>
 一部、ちょっとミスマッチというか気になった。
 本人というよりOK出してる方がどうなんだろ。。
<ヒロイン>
 序盤人物像が掴めず感情移入しづらかったかな。
 巻き込まれただけでここまでやる行動原理が不明。
 途中、運び屋に惚れたんだなーとは思ったけど、
 ここまで引っ張らずに視聴者にわかるように
 してくれれば、もうちょい感情移入できて楽しめたような。
 首に爆弾つけてアクダマ達を操ろうとした兄妹を、
 命張ってまで助けようとするのも人が良すぎ。
<その他>
 月に行く?電脳世界?う~ん。
 モブの処刑課、弱すぎ。
 処刑課女ボス、威張るだけで無能すぎ。
 何でも出てくる弁当箱、四次元ポケットすぎ。
 銃弾をはじくとか、人間じゃなさすぎw
 医者、真っ二つにされて手術とか不死身すぎ。
 殺人鬼、赤い糸イミフ。詐欺師の顔舐めんなしw。

途中は良かったけど、
終わってみれば、個人的にはなんだかなー感が強かったかな。
結局アクダマ達の命を犠牲に不老不死の兄妹が逃げおおせた。
よかったよかった・・とは思えない。

▲{/netabare}


設定や演出は光るものがあったし、作画は劇場レベルかと。
キャラとストーリーは好みが分かれそう。
黒沢さん、やっぱいい・・BEST10作り直そうかなw

ただ・・{netabare}ヒロイン殺すなしw{/netabare}
 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 18
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

浪花節な古事記

オリジナルアニメ 

“アクダマ”とは作中でいう犯罪者のこと。そう言えばいいのにしてないのはそういう世界だから。
その昔「カントウ」VS「カンサイ」で戦争勃発。カントウが新型爆弾を落として決着。焼け野原になったカンサイの復興を助けたりもしてカンサイ人はカントウに感謝するようになった、とのこと。

メタで馴染み深いものが仕込まれてそうですが、当該世界はオリジナリティあるんじゃないかしら。
2020秋スタート新作の中では第1話の引き込みがぶっちぎりで良かったのがこれ。構成がしっかりしてるとか心情描写が丁寧だとかいうのをいったん置いときまして

 {netabare}作った人の頭ン中を覗いてみたいぜ!{/netabare}

人間の想像力は際限ないなと実感できる“架空の世界”を堪能しちゃえばええじゃないかと思うのです。
“アクダマ”が疾走(ドライブ)する全12話。IF世界の近未来モノ。今年2020年でいえば『ドロヘドロ』と同じくどうも言葉に落とす作業が難儀な作品です。「1話観て合いそうかわかるよ」死体がゴロゴロ転がります。そこ本筋ではないもののそれ自体が嫌という方には撤退を推奨するくらいでしょうか。

【アクダマ's】
 詐欺師(CV黒沢ともよ)
 運び屋(CV梅原裕一郎)
 喧嘩屋(CV武内駿輔)
 ハッカー(CV堀江瞬)
 医者(CV緒方恵美)
 チンピラ(CV木村昴)
 殺人鬼(CV櫻井孝宏)

愚連隊は黒澤明の時代より七人と決まってるのかどうなのか。
その七人の通り名には当たり前だが意味がある。
そして通して観ると「進むべき道は自分の意志で決める」真っ当なメッセージも伝わってくる。
突拍子ない世界に私達が置き去りにされないのは基本的なお作法を心得ているのもあるやもです。

アニメに求めるものの一つは表現手段として実写ではしょぼくなると思しきものをいい意味で見せつけてもらうことだったりします。それを満たしてくれた良作ですね。

■むしろ…
『ダンガンロンパ』と比較される本作ですが、肝心のネタ元を知らない私です。
むしろ『PSYCHO-PASS』との既視感が強いかしら。アクダマ認定のオートマティックぶり。某執行官ばりに現場で処刑実行できる公務員の存在。そんな世の中に感じる居心地の悪さなんてのもそうです。
{netabare}さらにサイコな殺人鬼役に櫻井孝宏さん。ダメ押しで公機関の女ボス格に榊原良子さん。榊原さんがどーんと鎮座してると悪の組織風味が何倍か増しますよね。{/netabare}



※妄想劇場

■大大阪(だいおおさか)の衰退

大正末期~昭和初期。大阪が東京を凌駕していた時代を指してこう言う。何年か前に通天閣で大大阪展やっててそれで知ってました。約100年前の大阪イケイケどんどんぶりは白眉ものでしたよ。
そして現在…ってことになるわけでして結果は東京への一極集中。いろいろ理由はあるんでしょうが

{netabare}東海道新幹線開通{/netabare}

{netabare}東名高速道路その他インフラ投資が高度成長を後押ししました。導かれるはリアルでの大阪の没落そしてアニメでシンカンセンの神格化。なんとも皮肉が利いてます。
またこれ“財政健全化”“国民の借金いくら”“角栄の頃と違い公共工事に効果はない”と捉えてる層にとっては、公共工事アクダマ論に乗っかり「そんなのを神聖化するなんて…プークスクス」とさらにマウント取れることでしょう。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

蛇足で劇団☆新感線も出自が大阪芸術大学だったりするのもなにかの意図を感じます(しません)。


■暗喩なのか妄想なのか

大阪を好きなのか嫌いなのかよくわかりませんが、無関心ではいられないというのは伝わってきます。
く○るのたこ焼きが500円と現在より安価。デフレーションでも起きているのでしょうか。

{netabare}ハンコも消えてない(笑) このハンコで一元化って仕掛けは面白かったですね。きっと文化と認められての発展形をアニメで描いたのでしょう。そんな発展形ハンコのもたらす災厄を描いてたこともあって、マイナンバーみたいに“国民総背番号制”一元管理どうかと思う層には「ほら見たことか」とウケが良かったかもしれない。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

作品チュートリアルなウサギくんとサメくんの寸劇は有難かったですね。ウサギとサメの組み合わせで
{netabare}真っ先に思いつくのは“因幡の白うさぎ”だったりします。文章上のワニ=サメと解釈するのが一般的。その寓話の教訓とは?

1.思いやりの心をもっていると、幸せな結末が待っている
2.余計な振る舞いは災いを招く

といったところでしょうか。本作の展開結果に通ずるものがあります。{/netabare}


とここまでの垂れ流しをご容赦をば。
カンサイという近未来大阪風味な街で繰り広げられる大騒動。やや陰惨でディストピアな世界だからこそ他人様の優しさが沁みる。地でいく娘主人公の立ち居振る舞いに心打たれます。

 思いやりの心をもって迎える結末は幸せなのか不幸なのか?
 余計な振る舞いが招いたのは災いなのか未来への光なのか?

各々で捉えようのある結末も好感度高し。

 馬鹿な出会いが利口に化けて よせばいいのになんとやら

人生どう転ぶかわかんないもんですよね。


{netabare}結局のところ“医者”の年齢は不明のまま。おいくつだったのだろう?{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

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2020.12.30 初稿
2021.09.25 タイトル修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 50

52.7 4 サイバーパンクで警察なアニメランキング4位
EX-ARM エクスアーム(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★☆☆ 2.3 (125)
329人が棚に入れました
2014年、機械嫌いの高校生・夏目アキラは自分を変えたいと思い一歩を踏み出す。が、突如とトラックにひかれてしまう──。そして2030年。東京港湾部、未知の兵器「EX-ARM」取引現場に潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビを、「EX-ARM」No.08を装備した敵が襲う。彼女たちは起死回生を賭け、敵から奪った「EX-ARM」No.00を起動させるが……!?

声優・キャラクター
斉藤壮馬、小松未可子、鬼頭明里、浪川大輔、上坂すみれ、石川由依、八代拓、左座翔丸、小林ゆう、富田美憂、新井里美、遊佐浩二
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

みんな目が死んでる~

3話までの感想{netabare}
原作未読、前情報一切ナシ。
視聴した瞬間の第一印象は「お?忍者コレクションCG導入したんだ」。
うん、まぁ作画っていうか映像クオリティは酷い。
思い切ってフルCGなら“RWBY”みたいに「この世界はこういうもの」と、抵抗あるかどうかは別として没入できそうなところを中途半端に挟まれる手描きアニメがそれを阻止する、素に返る。
ってか手描き部分が標準レベルのアニメで、そこはCGに合わせて死んだ表情にすれば多少は違ったんじゃないかなー?
まぁRWBYに比べたらアクションもガッタガタでとても見てられない部分もあるんだけど…2話のヘリなんてもうなんだよと、劇場版ゴルゴ13かよと。

けど、あくまで個人的にはだけど、“ジビエート”よりは随分マシ。
ちゃんとした原作のあるなしの違いなのかな?ストーリーや台詞の掛け合いは普通に出来ている。
ジビエートなんて内容スカスカで30分もたないから会話の途中に妙な間が空いたり、カーナビやカレー等のお寒い尺稼ぎしたり、アップ多用で位置関係が謎だったりしたもんだけど、こっちではそういうことは…無い、多分。
先述の2話のヘリも、作画スタッフのアレ加減を見て急遽差し替えたような感じで、コンテ段階まではマトモだったんじゃないかな?と予感させる。
どのシーンを切り取るか、どのシーンに何秒取るか、そういった辺りは普通に出来てて、それに作画が追いついてないだけな気がする。
その…酷いこと言っちゃえば、画面見なければ楽しめるかも?
ジビエは画面見なくても不愉快だったからね、この差はデカいんじゃないかなー?(物凄い底辺の争いではあるけど)

一番残念なのは、アルマって“ビートレス”のレイシアや“プラメモ”のアイラみたいな役所ちゃうん?
もっと突っ込んで言えば“楽園追放”のアンジェラ的な、「なんでそういうキャラってレオタードなの?」「いいんだよ!好きなんだから!!」と押し通す熱意が画面からは微塵も感じない。
…って、これ中国スタッフが大きく係わってんの?意図的に扇情的な描写を避けてる?キスシーンが全然嬉しくないのもそれ??ま、まさかね…。


んでストーリー。
死んで目が覚めたら異世界に転生ではなく、脳だけになって未来に飛ばされてました。
エクスアームっていう異能を巡って犯罪が横行してるらしい。
んで主人公はハルモニエ使いで“ビッグオーダー”みたいな夢をちょいちょい見てるんだってさ。

ワザと投げやりな書き方したけど、実は結構好きな設定だったりw
3話なんてメイドロボがギュケスに乗って襲ってきたのでブリアレオスを駆って対抗だー!ってところでのヒキで、抑えるところはチキンと抑えてる…と思うんだよなぁ。
予想としては事故死した弟を蘇生させようと研究してたらエクスアームってのが開発できちゃって、封印してる間にアンドロイドの実用化まで技術が進んだ、とか?
果たして主人公は肉体を取り戻すことができるのでしょうかー、ってところが見所になると思うのだけど、果たしてアニメがそこまでやるかどうかは知らない。
ブリアレオスがメインボディで固定化しちゃったら面白さ半減するかも。{/netabare}

4話感想{netabare}
一度交わした約束を頑なに守るのが美徳とするなら、一度受けた指令を実行し続けるロボットはある意味人間なんかより尊い?
というテーマはありがちっちゃありがちだけど、やっぱり良いもんです。
今回のメイドロボがそれだったって話で、しかも元人間の主人公が暴走して人ならざるものになりかけたのを電脳世界?から連れ帰って来れたのが皮肉にもアンドロイドのアルマだったといのもエスプリが効いてる。
どこかで見た話とはいえ映像が他に類を見ないので独自性を感じる…ってのは好意的過ぎ?9割嫌味ッス。
いやホント映像は酷い。
そんなでも戦闘シーンにしっかり尺を取ってて、比較に上げるのは悪い気がするが戦闘シーンをカットするのをカッコいいと思ってそうだった“ノーガンズライフ”よりも好感が持てる。
ってか無理にでも戦闘シーンを入れるこのノリは…香港映画の流れ?なんかそれっぽさは感じる。
また、ただドッカンバッキンを続けるのではなく逆転送や衛星ズラしてGPSの座標を変える等、攻略の道を切り開く辺りも…これまた比較に上げるのはアレだけど、ほぼ1話戦闘に使っといて結局力押ししかしてない“蜘蛛ですが~”の4話よりも全然面白い。
やっぱコンテまではマシな作りなんじゃない?というか原作がよく出来てるのか??

で、上でも書いた様に原作未読なワケだけど、表紙を見てみた限りとっても士郎正宗wそれは構わない。
アップルシードのブリアレオスみたいなのはオーガって名前らしいが、いっそ開き直ってヘカトンケイレスで良かったんじゃ?とさえ思えるw
原作がマトモでお約束をしっかり守るのであれば…今度こそ多脚砲台を期待していいのかな?
やっぱクライマックスにデカブツは欲しいところで、映像はどうであれ話の方だけでもやって欲しいなぁ、と。

まぁその…原作者はスタジオ訴えていいんじゃね?{/netabare}

5話感想{netabare}
伝えたいことを文章だけで表すってのはホント難しい。
ってことで「文章だけ」は諦めて、「これ見てくれたら簡単に通じるかな」というのがあったのを思い出したので貼ってみる。
他にもっと参考になるモノが転がってそうな気もするけど、ここに貼っていいものかどうかワカランし、公式が上げてるヤツってことで──

モンストアニメができるまで-アーサー編-【モンストアニメTV】
https://www.youtube.com/watch?v=sIvCC8GtJow

全部手描き・CGと手描きの合成・フルCG作品とで工程違うし、現場や規模によってもまた違う(特にこういったのが公表されるのは劇場作品が多いと思うのだけど、劇場版はTVアニメへの参考としては…)のであくまで話のネタ程度に留めておいて欲しのだけど…。
エクスアームはここでいうレイアウトアニメーションを見させられてる気分。
ゲームの開発段階で「そこに村人が立ってる」って場所に、村人グラが完成してないので仮のオブジェクトを配置してる感じ(と言った方が通じるのかな?)。
当然「未完成品を見せるな」という主張は尤もだし否定はしないけど、「レイアウトアニメーションとしてはよくできてる」というのが個人的な感想。
何度も比較に上げてアレだけど“ジビエート”はコンテ撮の段階からおかしい、作画をどんなに頑張ってもどうにもならないクラス。
作画崩壊で有名な“いもいも”はコンテ撮まではマトモだったような気がする、指示がいい加減だったか上がった原画が指示通りじゃなかっただけのような?
同じく作画崩壊で有名な“はてなイリュージョン”はコンテ撮からおかしかった上に急遽差し替えが発生したかの様。
一方、作画は頑張ってるけどレイアウトがダメダメと感じる作品は枚挙に暇が無く…分かり易い例ではキャラがワープするとかカメラに映ってない間はフリーズしてそうとか。
──と、完成品の出来の良し悪しだけじゃなく、工程のどの段階からどうだったのかを想像するのもアニメの楽しみ方としてはアリでは?と思ったり思わなかったり。
まぁ事実は関係者しか分からないんだけどねー。

とはいうものの5話はちょっとフォローし切れんかも。
内容は悪くないのだけど、お色気シーンはやっぱ当局からストップがかかってるのかな?
アルマを轢きかけたトラックが画面外で処理というカメラアングルで、これはモデリングが間に合わなくて急遽変更した?(ロイヤルリムジン使えばいいのにw)
そしてなんといってもアクションシーン、もう、うん、もう…「画像は開発段階のものです」「お使いのテレビは正常に作動してます」と画面にテロップ出しておいて欲しい。
画面に映ってる絵がおかしいだけで間の取り方はマトモなのでMMDで作り直した方が完成度高いのが出来そう、誰かやってくれんか?モデリングからやり直しで。


それと…これは考えすぎだとは思ってるけど、それでもやっぱり言わずには居られない。
日本アニメの評判を落とすために中華が仕掛けてきたんじゃないか?
そこまでではないにしろ、原作潰しを狙ったんじゃないかと邪推したくなる、だってこれでちゃんとした“エクスアーム”のアニメ化は無くなったでしょ。
失礼なこと書くけど台無しにしても構わない程度の原作なんて他にもっとあるし、かといってスタジオ変えて作り直しするほどこの原作が超人気って訳でもなさそうだし。
指差して「クソだクソだ」と笑い飛ばして終わらせてしまうだけでいいのか?とちょ~~っと心のどこかに引っかかりを覚える。
更には“鬼滅”の大ヒットで、それまでアニメに係わったことのない企業が首突っ込んでくる可能性もあるワケで、なんともかんとも…。
考えすぎであって欲しいけどね。{/netabare}

総評{netabare}
アニメを作る工程の、どの段階でアレだとこうなってしまうのか。
それを探るには良い教材だったと思う。
要はコンテ撮?Vコン?そこまではしっかりと作られてた…ような気がする。
最終工程の「仕上げ」がキレイなだけでシナリオやコンテがヘンテコな作品よりは見れるんじゃないかなー?と。
言い方変えれば「画面は開発中のものです」として、完成品を想像しながら見る分にはそこまで変ではなかった。
…。
とはいえそれも中盤まで。
台本ではどう書かれてるか知らないけど「ハッ」だか「ウッ」だか、息を呑む・ハっとする時に出す声、これが中盤以降妙に増える。
場繋ぎのテクというか急場しのぎというか…作画が間に合わない影響がとうとうコンテ・台本にまで及んでしまった、そんな雰囲気が漂ってきてガックリ。

話ちょっとズレるけど、糞作画だった放送版を円盤で修正した例(最初から放送と円盤では違うってのとは別)っていくつか見たけど、基本直すのは作画だけでコンテ・レイアウトの段階から~ってのは私は知らない。
ましてや台本(セリフ)を修正ってのは無いんじゃないかな?私が知らないだけ?
で、大抵作画が糞な作品ってのはそれに合わせた「手間のかからないコンテ・レイアウト」になってるモンで、例えば──。
巨大な戦艦が登場してキャラクターが「なんて巨大な船なんだ」と呆気に取られるシーンがあったとして。
戦艦がどれだけ巨大か見せるシーン──町のビルと戦艦を同じ画面に入れて対比を見せるとか──を描く手間が無くて、ひたすら呆気に取られてるキャラの顔だけを映すことで誤魔化しました、と。
そこのキャラの顔が作画崩れてたってことで後で円盤で修正したところで「どれだけ戦艦が巨大か見せるシーン」が省かれたことには変わりが無かったり。

で、話を本作に戻すと、中盤以降は「想像上の完成品」も限度が知れた感じになってしまいました。
「ハッ」や「ウッ」の間の取り方だけでなく、ストーリーの方も…いやでもこれはどうなんだ?原作からこうなのか?
ユグとか登場しても一体何が出来るのかまだよく分かってない(キャラの掘り下げが浅い)状態で「もうよく知ってるでしょ?」って体で話が進んだり、アルマがプログラムを書き換えられて敵に寝返ってもそこまで思い入れが無いので「な、なんてこった」とは思えず「ふーん」としか感じなかったり。
一癖もふた癖もありそうだったオークション参加者(※)があっさり退場したり、イリヤ博士が目覚めた必要性や議事堂に突撃した課長の安否など、投げっ放しに感じるシーンもチラホラ。
話を複雑にしようとして複雑に出来なかった感。
なんか…週間連載漫画で「次回で打ち切り」ではなく「あと4回で打ち切り」ってなった時の畳み方を彷彿とさせる、この原作がどうかは知らないけど。
アニメは無理やり話を詰め込んだ?掘り下げが浅いというか必要なシーンがスッポ抜けてる気がする。

とはいえ、多脚砲台が出たりハッキング能力で〆たりとお約束はしっかり守ってて、エンタメとして軽く流して見る分には楽しめると思う。
少なくともノーガ…ノーガン…いや言うまい、あれよりは面白い、作画班入れ替えて欲しい、もしくはキャラがみんなニヤけてるから炎炎と…ゲフンゲフン。
但し軽く流して見るには作画がねぇ…「完成品を想像して」って集中力が要るワケで、ここで思い切り矛盾が発生w
いやぁ誰向けになるんだろう?



初登場時は手描きだったのにその後CGになるキャラが居て、「手描きのキャラはモデリングが間に合わなかった脇役だろう」という先入観を良い意味で裏切られました。
現場がゴタゴタしてたせいの偶然だろうけど、これは面白い副産物だったと思う。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

つまらない理由はCG(だけ)ではありません。元々の話が駄目です。

 アニメの研究としてあまりに酷評されるので本作を視聴しました。原作もチェックしました。

 脚本そのものは原作を端折って省略した感じですね。原作はエロシーン満載なので、まずその関係はバッサリいっています。また、肝心の犯人等を捕まえるためのプロセスに省略が多いので、原作が好きな人には不評になるかもしれません。
 ですが、私は原作そのものの出来がSFあるいは脳だけになった主人公の冒険譚としてはいかがなものかという出来でしたので、あんまり脚本に不満を抱きようがありませんでした。
 要はエピソードの一つ一つの作り込みがSFとして、あるいはストーリーとして原作の時点から甘いので、省略してくれたアニメ版もそう悪くはないかなあと。

 原作は要はエロイねーちゃんたちと、ドンパチやりながら最後はボスキャラと戦って…みたいな話でした。設定そのものもEXARMという「謎」と主人公の能力とかキャラ設定みたいのが全然しっくりこない感じで、ハッキング最強理論的なご都合主義に見えました。
 ですので、正直どっちもどっちという感じです。結局EXーARMという設定そのものが、まあ、未知の技術だったので、謎解きの深みがないです。


 CGですが、ひどいというのはわかります。プレステ2くらいの時代ならみんな喜んだかもね、という感じです。が、この物語の面白さがCGで台無しになったかといえば、先ほど申し上げたとおり、マンガ版も好みのストーリーではなかったので、そういう感じはありません。

 マンガ版の良いところは圧倒的な画力といいたいところですが、マンガ版の造形がCG的であまり堪能したいような個性を感じないので、そんなもんか、という感じです。

 絵柄に個性がないだけでなく、SF的な発想も画面からは感じられません。
 例えば黒い球体が出てきて街を飲み込む画って、どれだけ今まで描かれてきたでしょうか?脳だけ取り出してトランクに入っているって…あの多脚戦車的なものとか、どっから持って来たかは明らかです。ブラックジャックのシーンとか、機械を取り込んで大きな身体になるとか、ラストの宇宙空間で地球を見ながら終幕とか…まあ、オマージュと言っておきますが、出典をほぼ全部言えるような画面ばっかりです。
 つまり、原作の段階からオリジナリティが無いと言いますか、SFで大切なセンスオブワンダーを感じないと言うか、どこかで見た画、どこかで見た設定を組み合わせているだけでした。

 また人物もヌードばっかりですが、原作のヌードにはまったく色気がありません。ヌードのためのヌードで、100点満点で5点という感じです。その意味ではまだアニメCGのほうが100点満点で12点くらいの色気はあります。


「けものフレンズ」で分かると思いますが、CGが酷くても話が面白ければ面白いのです。それはアニメもマンガも一緒です。
 このアニメはSFとして流し見するにはそんなもんか、というレベルでは見られました。マンガ版を不当につまらなくしたのか、といえば、あまり違いを感じなかったという感想です。つまり、CGが酷いのではなく、話がもともと面白くないというのが本作の評価でしょうか。


 本作に関しては「CGひどい」という風評(とはいえ事実ですが)ありきで、批評されることが多いですが、つまらない原因はそこ(だけ)ではないと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

超常兵器犯罪バトル

この作品の原作は未読です。
みかこしや、あかりんが出演されると知り視聴を決めた作品でしたが、あかりんの演じているキャラがエンドロールを見るまで分からなかったのが唯一の心残りでした…^^;


2014年、機械嫌いの高校生・夏目アキラは自分を変えたいと思い
一歩を踏み出す。が、トラックに轢かれる──。

そして2030年東京港湾部、未知の兵器『EX-ARM』取引現場に
潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビを
『EX-ARM』No.08を装備した敵が襲う。彼女たちは起死回生を賭け、
敵から奪った『EX-ARM』No.00を起動させるが…!?


公式HPのあらすじを引用させて頂きました。

完走後にwikiをチラ見して知りましたが、原作の連載は既に完結しており、全14巻全98話で構成されているそうです。
今回はその中から12話分をチョイスしてアニメが制作されたようですが…
何と贅沢な原作の使い方をするんだろうと思いました。
最初と最後と間の幾つかの物語を抽出し、後は全部バッサリと切り捨てているのですから…

まぁ、私は原作を知らないのでアニメを見ていて違和感はありませんでしたが、原作者や原作のファンの方は複雑な心境だったのではないでしょうか。

確かに視聴していて違和感はありませんでしたが、唐突感はあったように思います。
物語の脈絡…というか物語同士の繋がりが希薄というか…

それに、伏線は完全に回収されていなかったと思います。
例えば、主人公の夏目アキラですが、彼は交通事故に遭ったところまでは理解できるのですが、その後、どうしてああなってしまったのでしょう。
公式サイトのキャラ紹介欄では「自身の失った記憶と身体を取り戻す」ため色々行動すると記載されていますが最終的にこの本来の目的には遠く及ばなかったのではないでしょうか。

一方で、バトルシーンは迫力があったと思います。
3DCGを駆使した、さながらマトリックスを彷彿させてくれるような感じ…
個人的な好みの分かれるところだと思いますが、私的には全然OKでした。

オープニングテーマは、AIRFLIPさんの「Rise Again」
エンディングテーマは、Dizzy Sunfistさんの「Diamonds Shine」

1クール全12話の物語でした。
もう少し尺を取ってそれぞれの物語を補完し合えば、もっと評価の変わる作品だったのではないでしょうか。
個人的には総じて楽しませて貰いましたが、強いて言うなら物語の構成が少々残念だったように思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

65.9 5 サイバーパンクで警察なアニメランキング5位
ノー・ガンズ・ライフ 第2期(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (64)
268人が棚に入れました
ベリューレン社により戦時中開発された新技術「身体機能拡張技術」。
その技術により身体の一部、もしくは全部を機械化された者は、拡張者(エクステンド)と呼ばれていた。

拡張者と生身の人間の非拡張者が混在する社会では常にいざこざが絶えず、それらの問題を解決する「処理屋」を、
乾十三(いぬいじゅうぞう)は生業としていた。

そして、十三自身も、頭部が巨大な銃の「拡張者」だった。

ある日、十三は、全身拡張者の大男から一人の少年の保護を依頼される。
その少年の名は荒吐鉄朗(あらはばきてつろう)。ベリューレン社から誘拐された少年だった。
だが、十三は依頼を受けたもののベリューレン社からの追手に、鉄朗を奪われてしまう。
十三はなりゆきで街を牛耳るベリューレン社と事を構えることになるのだが…

鉄朗を誘拐した全身拡張者の男は何者なのか? 
ベリューレン社と鉄朗の関係は?

「ウルトラジャンプ」にて大好評連載中のSFハードボイルド
ここに開幕!
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5

それウチのシマじゃノーガンだから

1期おさらい、これを読めば1期見てなくても大丈夫かも?{netabare}
まずこの世界は拡張という名の肉体のサイボーグ化が普通に行われている、拡張技術を受けた人間はエクステンドと呼ばれる。
但しこの拡張技術の発展の裏には黒い影がある模様。
拡張技術を開発したベリューレン社は世間に拡張技術は安全だと謳ってるが実はそうでもないみたいで、普及するか否かの分水嶺の時期に大きな事故があったらしいのだがベリューレンはそれを隠蔽している模様。
というのが大まかなバックグラウンド。

以下は原作未読・wikiも意地でも見ないでアニメの情報のみで私が解釈した内容、間違ってたらゴメン。
15年前に、拡張手術第一弾の被験体によって結成された部隊ティンダルスというのがありまして。
10年前「ノースコッドの悪夢」という事件が起き、調査に向かった復興庁所管の拡張者対策機関(のちのEMS、当時は前身の軍警察)の局長だったオリビアの父が殺される、他にも犠牲者多数っぽい。
どうやらノースコッドで行われてた実験(もしくは実験の失敗、拡張技術の致命的な欠陥もある?)を隠蔽するためにティンダルスの一人だったメガアームド斎がやった模様、他のティンダルスメンバーも加わってたのかはちと不明。
アームド斎自身もノースコッドでの非道な人体実験に愕然とはしたものの、ここで拡張技術が取り止めになったらそれまでの被害者が浮かばれないということで隠蔽をしたっぽい、多分(ノースコッドで何が行われてたのかまだ伏せられてるので推測)。
また本人が結構な英雄願望持ちで、ベリューレン社もこれ幸いにとバックアップをしてた。

そして現代、英雄として祭り上げられてたアームド斎の元に、元ティンダルスメンバーの一人がノースコッドの件でゆすりをかけて来て、アームド斎は返り討ちで殺してしまう。
そしてその隠蔽をベリューレンに頼み込み、ベリューレンの幹部チーム「ブルツェル」は配下のカニンガム(デブ)に、カニンガムは後述のガンスレイブユニットとハンズのセブン&ペッパーにハルモニエのレプリカを渡し、やっぱりティンダルスメンバーだったゴンドリーを操って連続殺人犯に仕立て上げてアームド斎の犯行を隠蔽する。
更に最後はアームド斎も口封じするつもりだったが、ここで主人公の十三の働きで阻止、ゴンドリーを戦闘不能に。
が、アームド斎は十三に助けられたものの十三も危険人物だと判断し殺そうとして、その時過去の犯行を喋り、それをオリビアに録音されてしまう。
そしてアームド斎はゴンドリーと共に逮捕され連行されるがその途中、輸送車がセブン&ペッパーにより狙撃され「ノースコッドの悪夢」の真相は闇の中に──。
と思いきや、オリビアは録音データを「信頼できる検事」に送ってて、だけどその検事も殺され、だけどデータは娘に預けてて、それを十三が手に入れたところで1期は終了。

でもって十三は何者かというと、エクステンドの中でも現在はEMCの認可が無くては町を歩けないオーバーエクステンドで、更にその中のガンスレイブユニットという機種らしい。
過去の記憶は無いらしいがティンダルスのことは覚えてたり、かつての戦争では機密事項に深く係わってたみたい(まぁボディ自体が機密の塊だし)。
もう片方の主人公の鉄郎は、ベリューレンの元CEOの息子らしいのだが過去の記憶は殆ど無く、ベリューレンの実験にされてハルモニエという新技術を搭載されてる。
ハルモニエとは拡張体の操縦を乗っ取る技術だそうで、シンクロ度が高いとフィードバックも起きるらしく、遠隔操作とは微妙に違うみたいでこれまた世間に公にしてはマズい技術らしい。
で、ガンスレイブユニットが本来の力を発揮する&制御するためにはハンドという相棒が必要で、鉄郎は一度ハルモニエで強引に制御しようとしたがプロテクトを突破することはできなかった。
今後哲郎が成長してハルモニエもパワーアップしてプロテクトを解除できるようになるのかな?と予想したりもしたけど、それもこれもぜ~んぶ2期以降へ持ち越し。


と、大雑把にこんな内容、キミは理解してたかな?
私は2週目メモ取りながら見てようやくでしたw
複雑・難解なのではなく、造語とノイズが多くて説明が不親切って感じ。
例えばキュウセイクツをシマとするキュウセイカイというヤクザの幹部にホワンというのが居るのだが、登場シーンにやたら尺を使った割にそれ以降出てこないせいでノイズにしか感じない。
なにより全ての謎は10年前のノースコッドの悪夢にあると思うのだけど、それを「隠蔽するために行われた工作」に触れる展開ばかりでなっかなかノースコッドで何が行われてたのかには踏み込まない。
更には隠蔽として反拡張団体「スピッツベルゲン」のやったことだと偽装するのが多々あるのだが、肝心の本物のスピッツベルゲンそのものが登場しない、規模も分からなければ本当に実在してるのかもよく分からない。{/netabare}

1話感想{netabare}
あ、続きやるの今期からなのか。

で内容は…前期見てないと全っ然分からない展開になってました。
かくいう私も前期の記憶が曖昧になってたり。

とりあえず反拡張団体が出てくれたのはありがたいかな?
確か前期では「そういう団体も居る」って台詞で説明しただけで、ついでにその団体がやったことに偽装しようとしたりと、物語に関わっていながらその姿は一切画面に出なくて不親切だなぁとは思ってまして。
って、今回登場したのもまたニセモノだったりして…さすがに無いよね?{/netabare}

16話(4話)までの感想{netabare}
おおう、作風的に質量を無視したのは止めて欲しいんだけどなぁ。
それやられるとSFというより魔法って感じがしちゃって…せめて亜空間から引き出すだったら納得できなくもないけど、そういうことではないっぽいし。
確か前期でも同じようなことがあって指摘したはずで、「何を今更、この作品はそうである」とこっちが覚悟しとかなきゃいけないんだろうけど…。{/netabare}

18話(6話)までの感想{netabare}
あれ?透視野郎は1話限りのゲストキャラ?
その力を使って十三達がピンチを切り抜けるための前フリか?と思ったのだが、次の回で完全に居なくなっちゃって…。
ホントこういうの多いなぁ、ノイズというか本筋に関わらないゲストキャラ…前期の針使いもどこ行ったんだ?
まだ途中なのでそのうち出てくると思いたいんだが…。

ローサは前期でオリビアから「信頼のおける検事」としてメガアームド斎との会話データを送られて殺されたジョージの娘。
オリビアは間接的に父親を殺してしまった立場なのでどんな気持ちだったんだろう?と思いを馳せるところだったのかな?
いや分かり辛いよw

スピッツベルゲンの幹部はまさかの拡張技術の生みの親と呼ばれるオシャウスキー博士、前期でも名前は一回だけ出てたハズ。
自分が開発したはいいけどその危険性に気付いて根絶する側に回った…ってことか?
ビクター(亡霊側)もそんなだったし、記憶無くす前の鉄郎も同じ感じか?
で博士はハルモニエを使って十三の内部を暴け、と伝えて鉄郎を解放した模様。
内部を見ればエクステンドは根絶するべきと考えるハズだ、って感じか。
ああやっぱりハルモニエでプロテクト解除目指すのね、前期見ればそういう方向に向かうのかな?と予感はさせてるのだけど、やっぱり分かり辛いよw
ってかエドムントはガンスレイブユニットのファイブの相棒と言ってるし、ひょっとしてハンズか?

ところで透視、物理的だけじゃなくて心を読めるなどのキャラクターが、謎の多い主人公の中を覗き見てビビるってのはものすごい鉄板。
と思ったら具体的に作品が出てこなくて我ながら記憶力の無さに困惑、あったよねぇ最近でも見た記憶があるのだが、なんだっけー?
とりあえず、中身覗いたらエクステンドになる前の生身の十三の顔があって「お前ではない」と言い放つとか、それくらいやって欲しかった(“ドロヘドロ”ネタ)。{/netabare}

19話感想{netabare}
オシャウスキーとしてはセブン&ペッパーがベリューレン打倒に於いて最大の障害だと思ってるってことかな?
セブン&ペッパーがどれだけ強いのか絵的に見せてないのでなかなかピンと来ない気が…。
ベリューレン側は幹部から直々にセブンに命令しないでカニンガムを挟んで指令を出してるため、そこまで重要視してる様に感じないんだよね。
で、オシャウスキーはセブン&ペッパーを倒すために十三をぶつけようとして、ハンズ代わりにハルモニエを利用しよう、と。
まぁ今回鉄郎は十三を乗っ取ってない気がする、けどハルモニエ発動中であることは確認取られてるので何を操ってるんだろ?
ファイブの元ハンズを操ったら十三のハンズは務まる?務まらない?

過去に大きな出来事があって、それらが全部バラバラで繋がりは無いのかな?いつか一つに繋がると思ってたんだけど…。
1、ノースコッドの悪夢(10年前)→これを隠蔽しようとしてメガアームド斎が云々、話題によく出る「あのデータ」はこれ絡み
2、ベクターが並列型補助脳で生み出した偽人格が研究所を破壊
3、戦後用済みになったガンスレイブユニットの反乱&それの鎮圧(6年前)

1と2はイコールなんじゃ?と睨んでたのだけど、それが明かされる前に3が出てきてそれぞれ別のこと?という可能性の方が高くなった予感。
ベクターは2が起きる前まで十三の専属医師として親しかったワケで、1とイコールの線は元から薄かったけどね。
気になるところはガンスレイブユニットを作ったのは誰?とその時期なワケだけど、少なくともメガアームド斎より後継機なハズで、1と関係あるんじゃないかなー?
十三のかつての相棒、ハンズは何者?というのはあんまり興味が沸かない。{/netabare}

23話感想{netabare}
エンタメ的に、もうちょっとざっくり言えばキッズアニメ的に「面白くなりそうな描写を避けるのがカッコイイ」と思ってそう。
いくらオシャウスキーがガンスレイブユニットがーと言ったところで「どれだけつおいの?」を見せてないのでピンと来ない。
町ひとつキノコに変えてしまったとか弱パンで山を吹き飛ばしたとか、そういうのが無いってどうなんだろ。
で、そんな中セブンとの対決!とやられても…全然盛り上がらない、“フェアリーゴーン”みたい。
しかもそれだけは止めてくれないかなぁと願ってた「質量無視」だし、お前ガラットかと。
散々スカしといてそこはキッズアニメなのね。
もういっそのこと最後に体内から多脚砲台とか出してくれんかなぁ、ブリュツェルにひと泡吹かせる展開は無さそうな予感…。{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
「原作がそうだから」と言われたらしょうがないのだけど、ひたすらアニメに合わない展開・演出の連続。
絵的に派手になりそうな展開になるとそれをかわす・すっ飛ばす。
そしてメモ取らなきゃ分からないような会話劇をダラダラ続けて、こんなの流し見しても眠いだけ。
ひょっとしてこのアニメフタッフはアニメが嫌いなんじゃないか?と思ってしまうほど。
まぁ私は

メモ取りながら見たんですけどね

↑で1期のあらすじ書いたし2期のあらすじも書こうと思えば書けるけど…やめときます、面倒臭い、3期がもしあったら書きます。
スタッフ的に「どう?これが一番気になるでしょ?」と言いたげなのが十三のハンズについてなのだけど、個人的にはそこには大して興味無くて興味のポイントがズレてるのもなかなかに痛い。
私が一番興味があったのは「ノースコッドの悪夢」の真相…というか2期始まって最初の頃はそれ絡み(メガアームド斎の音声データ絡み)だったハズなのに、何故か話が別方向に向かっちゃって…。
じゃあ次はベクターの居場所?と思ったらそれも中途半端にスルー。
その次はスピッツベルゲンの詳細と十三の過去(一部)になって…確かにスピッツベルゲンについては1期の頃疑問を抱いてた部分ではあるので助かるっちゃあ助かるのだけど、折角オシャウスキーが変形してひょうきんな姿になってくれたのにそれを活かした戦闘が無いってのはどうなんだ。
じゃあ絵的な部分では「本気を出したガンスレイブユニットの戦闘」に期待せざるをえなかったのだけど、そこはカット。
カットというか横槍による中断か?ブルツェルお付きのペアによって…もう消化不良もいいところ。
まぁ元々質量を無視したガッカリ兵器なので派手な戦闘を描いたところで盛り上がったかどうかは不明だけど、カットは無いよカットは。
なんていうかアレだ、話を振っておいて振った側が話をはぐらかすのをカッコいいと思ってそう、原作もそうなん?

そして最後は黒幕「ククク、計画通り」「世の均衡を司るアストライアの天秤」(うわぁ)、十三「戦う相手が分かったぜ」エンド。
わーお。
せめて、せめてカニンガムがギャフンという描写でもあれば…いやそれでも脱力感半端無かっただろうけどさ。
ブンダーベンダーはベリューレンでも手が出せないのか支配下なのか、それすら分からんので規模もワカラン。
最終回も、服を縫ったのがローサだローサだとセリフでは言うものの、ローサの絵は一枚たりとも出ない。
不親切を通り越して怠けてるような…視聴者が何週間も前の情報を細部まで覚えてると思うなよ?と思ったり思わなかったり。
ってかだったら透視野郎はどうした?1期で出たキュウセイカイの連中は?と、投げっ放しになったキャラの扱いに疑問が浮かぶ。

それとこれは細かい話になるけど、ハルモニエがエクステンドを操れるという設定、サイバーパンクでボディースナッチネタは鉄板だしそれはいい。
けどその後のビクターの遠隔操作、更には針使いによる人体操作と、原理を別とした「他人の体を操る」ネタが連発されるのはどうなんだろう。
“爆丸バトルブローラーズ”がやっぱり色んな手段で「他人の体を操る」ネタが続いて不満に思ったことがあるのだけど、こういうのって1作品1原理(手段)が限度じゃないかなー?
もしくは別の原理同士で衝突させようよ、ベクターに遠隔操作されてる拡張体にハルモニエ使うとどうなるの?とかね。


「興味を持ったところでどうせはぐらかされる」「見たいと思ったトコロを見せてはくれない」のは覚悟してたつもりだったけど、まさかここまでとは…ってのが率直な感想でしょうか。
ここまで来たら意地でも原作見ないぞ!と心に決めてるけど、果たして原作ファンはこれで満足だったのかはちょっと気になる。
折角アニメになったのに大したアクション無くて会話ばっかりって…。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

再び「弾丸(願い)」は込められた パート2

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ版第1期は視聴済です。
物語の内容に繋がりがあるので、前作未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

第2期を完走して気になったこと…
第2期までの放送で、原作のストックをどの程度使ったのか、ということです。

様々な攻防を見てきました。
ガンスレイブユニット同士、或いはベリューレン社やスピッツベルゲンなど、乾十三にとって安息の日など殆ど無かったほど、抗争に明け暮れていたと言っても過言ではありません。
ですが、十三と復興庁のオリビエは第2期のラストで「対峙すべき相手が明確になった」と言ってるんです。

これまで見てきたのは前座ってこと…!?
まさか、「本当の戦いはここから」なんて言わないよね…!?
などと思わずにはいられませんでした。

これまでの視聴も十分痛みを伴うモノでしたから…

それに、これまでもガンスレイブユニットを含む拡張者は虐げられてきました。
元々戦争の道具として生み出され、戦地で使うだけ使われて、戦争が終わったら今度は邪魔者扱い…
確かに人間を遥かに凌駕した戦闘力を秘めているので、拡張者に対して恐怖心があるのは仕方無いと思います。
ですが、そこで拡張者との共存を否定してしまったら、それこそ人間のエゴでしかありません。

そういう物語の展開の中、終始立ち位置が好ましかったのが、拡張技師であるメアリー(CV:ぬーさん)の存在でした。
人間と拡張者に分け隔てなく優しい…どちらかというと拡張者寄りだったのが好印象でした。
拡張技師になったのは兄との再会を強く願っていたから…
実際、兄との再会は実現するのですが、顛末には少し寂しさを感じずにはいられませんでした。
それでも明るく振る舞う彼女…頭のネジが2,3本ぶっ飛んだキャラばかりが登場するなか、私にとって心のオアシス的なキャラでした。

それと、第2期で強烈に印象に残っているのは、やっぱりベリューレンのペッパー(CV:いのりん)でしょう。
強烈な個性と果てしない独占欲…
正直キャラといのりんの声質が合っているか不安がありましたが、視聴を進める中で不安は解消されると共に、ペッパーの難しい役どころを踏まえると、今ではいのりんで正解だったと思っています。

ペッパー以外にも、麗奈ちゃん、石上さん、石見さんもベリューレン社の一味として登場するのですが、出番があまりにも少なかったのが個人的には残念でした。

一方、物語の方ですがベリューレン社とスピッツベルゲンの区別が個人的には難しかったかな。
視聴するとき十三の敵か味方かで区別していたので…^^;
それにどちらも荒吐鉄朗を狙っていたのが余計に混乱を招いた気がします。
加えて時折復興庁の連中も十三に襲い掛かるのですから、私の中の相関関係は完全に破綻していたと思います。
日笠さん演じるオリビエとか、分かりやすいキャラなら良いんですけどね。

オープニングテーマは、SawanoHiroyuki[nZk]さんの「Chaos Drifters」
エンディングテーマは、THIS IS JAPANさんの「new world」

1クール全12話の物語でした。
頭部が巨大なリボルバーという異質なキャラデザの物語でしたが、想像以上に堪能させて貰った気がします。
もし、続編が制作されるなら是非視聴したい思える作品でした。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7
ネタバレ

木村天祐 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

機械化された人間が出てくる。社会を裏で操る大企業が敵。二期

体が機械化された者「拡張者(エクステンド)」が出てくる世界観のお話です。
大戦時、秘密部隊にいたエクステンドである銃頭の主人公のところに、誘拐された少年がやってきてそれを助ける。その少年に大企業の極秘技術が組み込まれてる~って話の二期です。

一期の方が面白いですね。
二期は終盤、話が動くんですが、はっきり言って内容がよろしくないです。

具体的に言います。一期から出てるテロ組織の指導者であり、エクステンド研究の第一人者で、少年の過去を知る爺さんが、少年を引き入れようと出てくるんですが、{netabare}少年とそりが合わず、暴力の末負けて、しかも第三者(ライバルのコンビ)に殺されます。{/netabare}
少年と爺が意見交換をする場面がありますが、少年も爺さんも何が言いたいのか、結局何がやりたいのか、具体性が全くなく、{netabare}結局暴力で決着しました。
少年の過去を知る時点で超重要キャラのはずなんですが、全く中身のある内容を聞くことができませんでした。爺さんは、作者が敵を作るために脳死して描いてたんだと思います。とりあえず少年をアゲるために、老害出せばいいみたいな。最後は少年が暴力で勝って、ライバルコンビの乱入で死亡退場させられてるし、始めからいらないキャラだったんでしょうね。{/netabare}

この作品には主人公たちのライバルとして、銃頭と女の掃除屋コンビがいるんですが、こいつらとも決着をつけます。こいつらがアニメの実質的ラスボスなんですが、全く魅力がないです。
性格についてですが、ただの自己中な人たちです。女は、{netabare} 特に理由はなく主人公の銃頭のことを気に入って、自分の物にしたがってるだけのキャラです。相棒の銃頭くんはそれに嫉妬するだけのキャラです。
薄っぺらくありませんか?一期から登場してるのに全くキャラ掘り下げてませんでしたよね?この作品で貴重な女キャラだってのはわかるけど、一期から話数引っ張って生かしておくキャラではないと思います。普通なら一話でポッと出て消えるくらい浅いキャラです。こいつらラスボスにします?しかもちゃっかり女助けられてるし、脚本的な話、生かしておく必要ないと思いました。一期の中盤に出して、味方に変わるキャラだったんじゃないのこいつら。掃除屋(殺し屋)だから生かしておくのもどうかと思いますけどね。{/netabare}

これだったらエクステンド技術の第一人者である爺の方がいくらでも深く掘り下げられる余地があったと思うんですけどね。
この爺とライバルコンビの話、ラスト5話くらい使っているんです。爺が少年の極秘技術を欲しがって敗れて、ライバルコンビと戦って決着をつけるだけで、5話です。中身薄くないですか?

音楽はよかったです。OPは澤野弘之でしたから。

2期やって、黒幕の大企業の内情が全く出てこないとは思っていませんでした。もう少し原作進めてからアニメ化してほしいってのが本音ですね。以上です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

65.8 6 サイバーパンクで警察なアニメランキング6位
EAT-MAN 98 [イートマン](TVアニメ動画)

1998年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (15)
120人が棚に入れました
 クールな世界観と意外な展開が人気の吉富昭仁の同名コミックをTV化したSFアクションアニメ。冒険屋のボルト・クランクは、ネジや歯車など、バラバラにした機械部品を食べて、それを体内で再生できてしまうという特異能力の持ち主だ。再生した機械は、右手が出現させることができるのだ。その能力を使って、今までにさまざまなトラブルを乗り越え、事件を解決した来た彼は、世界一の冒険屋と呼ばれている。そして、今日も彼のもとに仕事の依頼が…。

Вистерия さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

時間切れだ…一時間の、契約だった。

深夜アニメ黎明期の傑作。の、続編。
前作無印EAT-MAN(ラヴィオン篇)と違い、ボルトが原作通りの渋さを醸しだすEAT-MAN'98。
原作に則っているのは性格だけではなく、ストーリー、キャラデザも原作を踏襲。
よりハードボイルドになっています。

金属片(ネジなど)を常に食べていて、
体内で銃等任意の形で再構築して体外に排出できる特殊能力をもっている寡黙で依頼は絶対に熟す伝説の冒険屋(殺し以外の依頼を請け負うなんでも屋)、ボルト・クランクが狂言回しとなり、様々な事件に依頼を通して関わっていくというスタイルは不変。

ですが監督が真下監督からエルドランシリーズの川瀬敏文監督に代わったこともあり
前作とは全く別のアニメになっていましたね。
個人的にお気に入りのストーリーが3話の「BODY GUARD」と
9話10話の「MEGA MIX」。
この2つのストーリーがEAT-MANの醍醐味である、大どんでん返しの気持よさと
見えない設定から悲哀を導きだす構成、ボルトが契約という制約の中でどう人を救っていくのかを最も美しく描いていると思います。
2段階3段階のどんでん返しとサイバーパンクのエッセンスがある後者が特にツボでした。

声優もこの時代ならでは。使い捨てキャラたちがこれでもかってくらい豪華です。
宮村優子、鈴置洋孝、高山みなみ、玉川砂記子、子安武人、銀河万丈などなど。

無印に比べると全体の重さが減り、無印でハマった人や
原作を一度読んでいる人には少しもの足りないと思いますが、
初めて観る人にはオススメできますね。
特に攻殻機動隊やCOWBOY BEBOP系統が好きでまだ見ていない人は一期と併せて是非チェックしてみて下さい。
レビューどころか評価さえついていなかったので書いてみました。
あにこれは利用者層が若めみたいなのでおっさん寂しいです…

シャーリフ!シャーリフ!シャーリフ!シャーリフ!


投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

ウィラード さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

opが凄くいいね

漫画はキャラクターの絵柄が被って同じキャラのように思えていて
書き分け出来てる感じが薄く思ったけど

ハードボイルドをライトにした感じのあの単話完結なエピソードが面白かった
アニメは、その中のエピソードを厳選してる?のか知りませんが
まあ面白かったです

アニメを見てから漫画見たんですけど
漫画が簡素的な進み方するんで
すらすら読みやすかったんで面白いです

ライトハードボイルドって感じですかね

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0

マックス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ハードボイルドな主人公がイカす

原作でもそうですがとにかくボルトがクールです
ボルトが万能すぎる面もありますがそれが嫌味無くそしてカッコ良く決まるので観てて爽快です
またアニメでは音楽も相まってかなりカッコイイ
ファンタジー要素に加えSF、サイバーパンク、ハードボイルドな要素など濃いアニメです
コミックもそうですがEAT‐MANはもっと世界的に評価されても良い傑作だと思います

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1
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