takumi@ さんの感想・評価
4.5
7分で思い出せるさまざまなこと
何度観ても泣いてしまう新海誠監督の7分のショートアニメ。
幼い頃は何を見ても大きな発見で、何かができるようになれば
それは親も子も大きな喜びだったはずなのに、
いつのまにか喜びは外からやってくるようになる。
それが成長というものだから、と親は諦め半分喜び半分。
子どもにとっても段々と親は疎ましい存在になっていく。
本音と真実、嘘と事実。裏腹な気持ち。
親の想い、子の想い。
何も言わなくても伝わるものと、何か言っても伝わらないもの。
親子のそんなせつなさを見事に描き出していて、
自分の小さい時のこと、学生時代、1人暮らしの日々や
親とのことをいつのまにか重ね合わせてしまう。
そして誰かがいつも見守ってくれていたことに気づいて
思わず涙が溢れてしまう。
7分だが30分くらいは観た気になる。
でもその気持ち的30分の中には、
描かれる家族の20年以上もの年月が凝縮されている。
桜の花びらの舞うまばゆい都会の景色。
新海監督の描く風景は相変わらず美しく、繊細だ。
やさしい音楽もとてもいい。
そしてあれだけ写実的に描かれながら仔猫だけがいつも
イラストチックなのが「らしく」て良い♪