ドロドロで百合なおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのドロドロで百合な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月27日の時点で一番のドロドロで百合なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

83.1 1 ドロドロで百合なアニメランキング1位
クズの本懐(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (1023)
5251人が棚に入れました
報われない恋 切ない恋 片想い それってそんなに美しい物ですか 高校二年生の安楽岡花火は、叶わぬ恋に身を焦がしていた。大事な人を傷つけ、傷つけられながらも求めてしまう人のぬくもり。これは、あまりにも純粋で歪んだ恋愛ストーリー。

声優・キャラクター
安済知佳、島﨑信長、戸松遥、井澤詩織、野島健児、豊崎愛生

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

正直者の本能。言葉が巧み。あとエロい

原作、ドラマは未視聴です。

安楽岡 花火(やすらおか はなび)と、粟屋 麦(あわや むぎ)にはそれぞれ好きな人がいる。
だけど、寂しさを紛らわせるがごとく、カップルのように振る舞うのだった。


開始2分でわかるドロドロ感。
人間関係の矢印は複雑です。

一般的な恋愛作品では、登場人物が「いい人」なことが多いです。
いい人だからこそ、片思いは辛いし、破局は苦しい。

でも、この作品ではちょっと違ったアプローチをしています。
それが、「クズ」というワード。


ここで「クズ」という言葉の意味を考えてみます。
似たような言葉に「ゲス」がありますが、

クズ:社会的に良くない人のこと
ゲス:人格的に良くない人のこと

という意味を持っています。

つまり、「一般的にはふさわしくない行動・思考」というニュアンスです。
これが作品内でどう表現されているかというと、「心の声」です。

とことんまで心の声を言語化。
キャラクターがナレーションで心情をぶちまけまくります。
どんな人でもよろしくない考えをしてしまうものですが、それを隠さないんです。

もし私が、

「誰にでも好かれたいか」
「キープできる都合のいい人が欲しいか」
「お付き合いしている人がいても、ほかの人とカラダの関係を持ちたいか」

と言われれば「YES」と答えます。

だってそうだもん。
実際には理性やプライドで抑えるわけですが、本音は違う。

その本音をぶっちゃけて、

「無意識ではこう思ってるんだよね」
「社会的には良くない考えだけど、誰でも多少は思うよね」

果ては、

「理性やプライドで抑えてるんだよね」

と、根っこの部分を言葉巧みに語ります。
だからこそ、クズであり、説得力があり、同時に共感できる部分もある。


また、各キャラクターに「変化」が描かれており、話全体のテーマとなっています。

要するに、

* 社会的に良くない行動をする
* なぜそういうことをするのかを論理的に説明する
* それが本能的ながら、説得力がある
* 本音同士をぶつけあって、各キャラクターの行動が変わる

という仕掛け方をしたお話です。


欠点は、

* コメディは少なめで、基本は重い
* キャラクターを好きになりにくい
* 言葉が多く、集中する必要がある
* 次回に対する引きが弱い
* ストーリーそのものに衝撃はない

しかし、共感できれば満足感は強いでしょう。
一話一話、多くの言葉で心情を語るため長く感じますが、見た甲斐がありました。
お腹いっぱい。


絵はとてもきれいです。
キャラデザインも好み。

色は2~3色しか使われておらず、動きも少ないです。
ただ、ぼかし効果や白を混ぜた色調のため、清潔に見えます。
そして、瞳がしっかりと描き込まれているため、美しく見えるのだと思います。

OP・EDも曲・絵ともに素晴らしいです。
耳に残るしリズムも取っちゃう。
セックスを表現したEDは、非常に強いインパクト。


あと全体的にエロいです。
背徳的で官能的で本能的。

百合があるので苦手な方は注意です。
好きな方はおいしいかもです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 65

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

大人びた高校生たちのトレンディ恋愛ドラマ 子供っぽい制服に違和感あり

2017年放送のテレビアニメ ノイタミナ枠 全12話

原作 横槍メンゴ 監督 安藤正臣 構成脚本 上江州誠 キャラデザ 黒沢桂子
制作 Larche

この作品は、原作「月間ビッグガンガン」、ノイタミナのアニメ、フジテレビのドラマ(全12話)が同時に終了したそうで、幸せな作品ではあったと思います。

主要登場人物は少なく各人のモノローグで物語は進みます。

安楽岡花火 CV安西知佳 代表作は響け!ユーフォニアムの高坂麗奈
粟屋麦  CV島﨑信長 中堅声優 デートアライブの五河士道など
鐘井鳴海 CV野島健児 ベテラン セーラームーンCrystalのタキシード仮面など
皆川茜 CV豊崎愛生 中堅かな けいおんの平沢唯
絵鳩早苗 CV戸松遥 中堅 いまだに絶チルの三宮紫穂のイメージです
鴎端のり子 CV井澤詩織 中堅 ガルパンの園みどり子(そど子)

6人の登場人物のそれぞれの私小説風な青春群像劇と言うことで、前半は純文学風、語りが終わった後半はトレンディドラマ風と絶妙な構成ではあります。

高校生では分かりませんが、大学生レベルでは一般的な恋愛模様で、年齢層を下げたことによりやや衝撃性を加えたものかと思います。

そのため高校生ではありがちな、うぶな恋愛(失恋あるのみ)とは違った達観した感情が描かれてしまいます。

大学生と言うよりは大企業のOLに近いような恋愛を、自然なJK制服(エロゲ風ではない)の少女で描くことが、この作品のトリックでしょうか。

同時最終回と良いスタッフに恵まれ、名作アニメと言って良い作品に仕上がりましたが、個人的には好きなタイプでは無かったみたいです。

演出家出身の安藤監督はホワイトアルバム2が初監督で最良の人選だったと思います。
割と高予算作品のようでいろいろ目を奪われる豪華なシーンが多いです。

一見さんお断りのような高度な作品のようなので、近い内に観直して再評価必須のようですね。

好みはともかく良い作品で間違いないと思います。

ラストに向かって静かに揺れ動く花火の心模様が印象的でしたが、群像劇のため分散してしまったのが残念でした。

タイトル詐欺なので純な恋愛作品が好きな人なら必見だと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 42
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

めんどくさい男女間の恋愛模様を描いた作品…初恋の終わりと本物を探す答えを問う

高校生と先生の恋愛観を一人の女の子目線から描く物語といったところでしょうか。どろどろっぽいですが、単に「めんどくさい」恋愛と見た方がいいように思いました。
好きな相手に好きって言えず、ズルズルと似たような状況の男の子と恋愛にもならない付き合いをする日々。好きな先生の思い出に浸り、だからなんだ…と言いたくなります。その先生の相手の女性教師、どう見てもビッチでしょう。この流れだとそんな予感がします。

と、なんだかんだと言いながら見ちゃうんでしょうね…だって面白そうだし。

2話…どうしてこうなった?
{netabare}めんどくさい二人にさらにめんどくさい幼馴染みと親友が加わりました。
花火の麦に対する気持ち、最初とは違ってきているけど、気づかないという展開なんだろうか。ただ、最後にえっちゃんとやっちまってgdgdがさらに大きくなりそうな悪寒。どうしてこうなった。
麦は花火以上にめんどくさい男と見た。ビッチ先生一筋なんだろうが、イメージがでかすぎて花火にキス以上のことができない。のり子(自称モカ)は麦に何されても良い感じなのにキープにすらなっていない。据え膳食わぬは…と思うが、ピュアっていったらピュアだし、あ~めんどくせぇ~。{/netabare}

3話…花火「あ~めんどくせぇ」(視聴者の多くがそう思ってるっちゅうの)
{netabare}えっちゃんは花火に恋をしていた。花火はそれに気づかないまま泊めていたのだ。我慢しきれないえっちゃんはとうとう…(で、最後までいったかどうかは不明)。もやもやの花火、これまでの言動がブーメランとなっていて心を襲う。
一方の麦、厨房時代のことを思い出す。心が寂しい先輩にいいようにされていたこと。そこに花火が訪ねてくる。麦のベットに入り込む花火、麦は焦る、男全開だったからだ。(中略)。行為が終わったあと、二人でファミレスへ。そこにのこのことビッチ先生が若い男を連れてくる。疑う花火、麦は家庭教の教え子だという。ビッチ先生に向き合う花火、何だか火花散りそうなところで次週へ。

花火軸に展開しているから、花火の心の動きはよく分かります。形は違えど、いろいろフラフラしたり、気持ちが明後日に行ったりした覚えがあるし。麦もビッチ先生のことは全部分かっているんだけど、気持ちが否定しているのだろうと思います。
思っていた以上に青春のボロボロ感が出ていて面白いです。いよいよビッチ先生の本領が発揮されそうで、gdgdがさらに倍になりそうで…楽しみだったりします(変だろうか)。{/netabare}

4話…鳴海「あまりにも出来すぎている」(あんた、幸福者だわ)
{netabare}茜の過去が語られる。茜は他人のものを搾取するのがたまらないのだ。その為に美人であること利用する、可愛らしさを演出する。他人が評価しなくなった男には興味がなくなる。まさしくビッチ先生であった。花火を見て花火から奪うことを考えていた。同族と思ったようだ。
お兄ちゃん(鳴海)は茜と初対面で惚れた。母親を亡くしていた鳴海は心に穴があり、穴を埋める存在が茜だったということなんだろうか。そして茜に告白した。それを花火に見せつける茜。クズというより見事なクソ女っぷりである。
心が病んだ花火は麦の家に向かうが、躊躇して帰る。その時、えっちゃんが声をかける。完全にストーカーである。花火に迫るえっちゃん。花火は分かっていても止まらない。二人で家に向かい、ベットに押し倒すえっちゃん。もう止まらない(自己規制のため後略)。
再びビッチ先生こと茜と対峙する花火は問う、好きでもない男に好かれて楽しいかと。茜は答える「男から向けられる好意ほど気持ちいいものはない」と。

心が錯綜してるなぁ…。茜みたいなクズ女に穴に落とされる男が一番悪いんだけどね。気づけよ、っていっても夢中になったら男って見えなくなるからなぁ。これだけ荒いと過去に捨てた男とトラブルになっていそうなもんだが、さすがにそこまでは描かれないか。
花火はとうとうえっちゃんと一線を越えちゃった。本懐遂げたのはえっちゃんだった。花火は思っていたり、考えていたことがブーメランとなっていて刺さってくる。こういうところが茜に同族と見られちゃうんだろうな。
今週は麦なし。麦は茜のこと全部分かっていて好きなんだと思うんだが。一番大人なのは麦だったりするかも…いやいや、花火とのこと見ているとお子さまだし…。やっぱりこのアニメめんどくせぇ。{/netabare}

5話…花火「なんでかな」(知ったこっちゃない、勝手に悩め)
{netabare}花火がえっちゃんとともにベットで朝を迎えるなか、麦はビッチ茜のことを思い出していた。麦は全部を知っていた。それも含めて好きなのだ。何かモヤモヤするものを解消すべく麦は先輩を呼び、体を求めた。
モヤモヤしていた麦と花火が屋上で会う。キスをするが、今までとは違う感じで気持ちいいらしい。互いに別の人としていたことが分かった。麦に家に行く花火はしてほしいと願った。もはや約束はどうでもよくなったくらい心がモヤモヤだ。しかし、最後の一線は越えられなかった…。
一方、茜は心が空っぽだった。退屈感だけが残り、鳴海と飲みに行く。酔った茜が倒れそうになるのを鳴海が助ける。その時、鳴海から花火の名前が出たことに茜の心が燃えた。ホテルへ行き、鳴海と…。
翌日、茜が花火とスレ違い様に「昨日しちゃった」と言い次週へ。

茜が現実に先生やっていたとしたら、ビッチ先生としてとっくに学校中に噂広間って辞めていると思う。風俗行って男タブらかした方がいいでしょう。
鳴海と本当にしたのか?たぶん、してないんじゃないかなと思います。この作品なのにキスだけの描写だし、してない方が面白いです。茜にとって屈辱だと思うし。
麦と花火の関係も微妙だなぁ…。近いようで精神状態は全く逆です。花火の方がよりぐちゃぐちゃです。麦はなんだかんだで花火をよく見てます。どうなるんだろうね、この二人。{/netabare}

6話…麦「疼くよ、俺のクズ女レーダーが」(便利だな、そしてお前もクズだがな)
{netabare}クズ女から攻められる花火はどんどん迷走していく。麦に付き合おうと言い、えっちゃんとは友達に戻ると言う。しかし、えっちゃんは花火を逃さない。えっちゃんはえっちゃんで、堕ちていく花火が見たいし、すべてを受け入れるという考えだ。
ある日、クズ女とファミレスに来ていたクズの教え子とばったり。奪ってやると考えたものの、男はクズが二股どころでは無いことを承知で付き合っていたのだ。ぐちゃぐちゃな花火だが、最後の一線は越えられない。
麦はえっちゃんからカマをかけられるが、クズ女レーダーが反応した。モカが現れ、麦になんだかんだ言いながらデートの約束を取り付ける。

もう、ぐちゃぐちゃすぎて笑うしかないです。よくもまぁこれだけの男女関係を描けるものだ。でも、前回も書いた通り、ビッチ先生は噂流してしまえば簡単だと思うんだけどな、今ならSNSとかいろいろあるし。といっても、花火の人間関係が絶望的過ぎるからな…
最後、どうまとめるんだろうか。まとめ方で最後の印象全然違うでしょうね。ホント、めんどくせぇ…{/netabare}

7話…のり子(本人いわくモカらしい)「ハッピーエンドでなければ、消えた方がいい」(じゃあ消えるだろう)
{netabare}お嬢様気取りのモカ(のり子)、実は普通の家の子。自ら作ったキャラだ。麦とデートのためにいつも以上に可愛くいないといけないらしい。
一方の花火はビッチの教え子とデート(?)。このチャラ男、清々しいくらいのバカである。とにかく花火にやろうぜと迫る。「男の性欲なめんなよ」…実に清々しい。花火は難を逃れた(?)
モカとデートする麦。モカは麦が本気で好きだから…実は言い訳だった。モカは可愛いことを利用していた。麦にどうしても自分を好きでいてほしい、その一点だった。
家に連れ込む麦。頂けるものは頂く、男の本懐を実践する男である。が、寸前のところで止まる。モカは麦が本気では振り向いてくれないことを感じたのだ。
花火と会う麦、二人は邂逅し始めた。お互いに本気で好きな人にぶつかって砕けようと話し合うのだった。

のり子の回でした。どうしてもモカは言いたくないんですよね。正直、この子は嫌いなタイプ。一見、健気で麦を振り向かせようと可愛そうに見えるが、実のところ、自分の可愛いところを最大限に利用する茜と同じ。ただし、茜は奪うことに喜びを覚え、のり子は自分が好きな男のためだけのために他を利用するだけの話です。
当たって砕けろ…そう簡単には行かないさね。まためんどくさそう…{/netabare}

8話…麦「知っているのを知ってた」(はいはい…性欲には負けるくせに)
{netabare}えっちゃんこと早苗のいとこのアツシが登場。アツシはえっちゃんが好きだった、しかも本気で。えっちゃんには好きな人がいるのも分かっていたが、押す。えっちゃんは男は好きにならないと言い放つが、アツシは引かなかった。
麦と花火はいつも通りにキスをするが、今までとは違う。これまでは本命を思いながらだったのに、麦も花火も完全に互いを意識し始めていた。当たって砕けたあと、互いが思い重なる気になっていたのだ。
麦は鳴海に、麦は茜に連絡を取り、それぞれ告白する。麦は茜を罵ろうとするが、体がついていかない。完全に茜のペースだ。花火は鳴海に本気を伝えて鳴海の胸で泣いた。

麦よ、正直に生きよう。男は性欲の塊だ、花火にそう言え、言ってしまえ。なんだんかんだカッコつけてもやりたいだけだろうお前。どうもこの男には親近感と嫌悪感が同時に湧きます。麦の思いは分からないでもないんだな…。本気で好きだったわけだから、その目の前で近づけてしまったら、そうなるかも知れない。が、花火みたいな思い重ねる子ができたら、茜など勝手に拒否してしまうのも本当だと思う。本当に…めんどくせ~{/netabare}

9話…篤也「あんたさ、誰のことが好きなの?」(たぶん、ぐちゃぐちゃだろう…)
{netabare}待ち合わせに麦は来なかった。ダルくなっていた花火にえっちゃんから旅行の誘いがあり、受ける花火。しかし、このままずるずるえっちゃんと関係を続けるわけにもいかないと感じていた花火は決着をつけるつもりだった。
別荘に着くと、何故か篤也がいた。篤也は篤也で早苗の気持ちを察してのことだった。
二人で寝た翌朝、篤也から諭された花火の気持ちはぐらぐらしていた。街をブラブラした夜、花火は早苗と決着をつけようとしたが、早苗から話を切り出された。花火は友達でいたいと訴えるが、それは残酷な言葉でしかなかった。早苗は本気で花火が好きだったのだ。それでも引かない花火の言葉が早苗に届いた。翌朝、花火は帰っていった。
新学期、花火はボッチだった。のり子に渇を入れられ、ハッとする花火。一方、その頃、麦は茜の家庭訪問という名の…

花火はけりを着けたのですが、誰かに頼らないと、思いを寄せないとふらふらな娘。いるよね、こういう人。この感覚は分かりません。一人だって良いじゃない、人間だもの(かぜを) そうやって強くなっていけば良いのだけど…。
篤也が大きな鍵を握るとはね。あまりにもストレート過ぎて引いてしまうが、この作品のなかで一番の常識人に見えるから不思議。どんだけクズが揃っているだろう…。
さてさて…クズオまっしぐらな麦はビッチ女の虜。この二人、不幸にならないかな…そう思ってしまいます。ホント、クライマックスに近づいてもめんどくせ~。「冴え…」のCM見て、早く始まらないかなとマジで思ったこの回でした。{/netabare}

10話…考えが薄い男女がやっているだけ
{netabare}茜に翻弄される麦は茜の体から逃れない。茜にデートを申し込むも、簡単に突っぱねられた。茜曰く、その日は鳴海の日だという。茜の過去が語られる。(でも薄い、薄っぺら過ぎて腹が立つ)。モヤモヤした麦は行くなというが…。
鳴海とのデート、今度は茜がモヤモヤしていた。鳴海は体を求めてこないからだ。こんなタイプは今までいなかったので戸惑っているのだ。もういいやと思ったとき、過去に翻弄してやった男にばったり。鳴海の前での茜をくそビッチと罵って去っていった。鳴海に本当のことだと言い、去ろうとしたとき、鳴海は茜にそのままで良いからと言う。混乱する茜は麦を求めた。麦は分かっていた、茜が孤独で実は子供っぽいところを。そして自分を知り、自分が変わらきゃと思い、茜に本音をぶつけた。思わず赤面する茜だった。

ビッチとクズオの掛け合い、実にめんどくせ~。
茜みたいな性格はやっぱり理解不能。でも、麦の「子供じゃねぇか」は最もぴったりする感じがしました。体は大人で中身は子供、どこかの名探偵の逆を行っていると思います。
麦は麦で、茜を好きだと言うことがどういうものか、ようやく理解したのかな。嫌われるのが恐い、これは分かる気がする…。
さてさて、鳴海と麦に翻弄されるビッチ茜はこのあとどうなることやら…。どっちか選ばないと話が進まないし。{/netabare}

11話…(鳴海)「好きな人には元気で生きていてほしい」(この作品は最高の名言だと思ってしまった)
{netabare}鳴海と一泊旅行に向かう茜は調子が狂っていた。鳴海がこれまでの男とは違うからだ。自分のペースで進めようにも乗ってこない。鳴海は茜の上をいく自分のペースで進んでいたのだ。
茜は鳴海にぶっちゃける。しかし、鳴海は気に止めることもしない。茜は困惑する。鳴海の言葉に、気持ちに涙すら流す茜。もう鳴海を受け止めるしかなかった。というより、初めての気持ちになっていた。鳴海はプロポーズをし、茜は頷いた。
鳴海との旅行の後に、茜は麦とデートの約束をしており、律儀にもデートをした。楽しんでいる茜を見て、この人を変えたいと思う麦だったが、茜から結婚することを告げられる。不思議な感情がわき出す麦だったが、茜と別れるとき、本音をぶちまけた。茜はこれまで見せたことがない笑顔で麦と別れた。麦の恋は終わった。

茜が幸せになるのは解せない。が、鳴海みたいな男が合うのも分かります。実際に似たようなケースを見たことがあるので…。なので、けっこうリアルに感じてしまいました。
麦は思いっきり振られました。花火を思いながら、抜けきれなかった茜への思い…男ってバカだわ…って、自分にブーメランだわ…麦の気持ちが痛いほど分かるから…。う~ん…思い出してしまう、あの頃…。
もうラストだけだ。麦と花火はうまくはいかないと思う。互いに振られて、でも思いあっているから付き合う、安易すぎてそんな最後はどっちらけです。どうまとめるのか。{/netabare}

12話…(麦&花火)「でも…さようなら」(感情残したままだと将来つらいぞ…)
{netabare}月日が流れ、すでに秋深し。鳴海と茜の結婚を知り、麦とは話もしなくなっていた花火は、文化祭のステージ係された。空いた時間に校内を見て回ると、ファッションショーの出し物をしているクラスを見学。そこに、ドレスに身を包んだ美少女が登場し、会場がどよめく。のり子(自称モカ)だった。花火は曇りのなさそうなのり子を見て何かを感じた。
文化祭も佳境になり忙しく働く花火。体育館に物品を運んだついでに倉庫でサボる。ふと麦との会話を思い出す。するとそこに麦が…
月日はさらに流れて新学期。鳴海たちの結婚祝いをクラスで行うことに。またも働かされる花火。物運びでクラスの男子に手伝いをもらい、その子から告白される。戸惑っているところに現れたのは髪を短くしたえっちゃんだった。うまくフォローされ、花火も丁重に断った。えっちゃんとはまた友達になれたのだ。お祝い会。そこで茜から一輪の花を無理やり押し付けられる。「今度は取られちゃ駄目よ」と言われながら。
帰り、麦と鉢合わせになりそうなところだが、避けた。文化祭での出来事を振り返る。互いに思いを伝える。今までなら体を寄せ合っていたはずなのに避けるようにして会話する。互いに気持ちが通じ合っていることは分かったが、二人が出した答えは「でも、さようなら」だった。
桜舞い散る中気持ちを押さえながら歩き出す花火、何かを思い出したように振り返る麦。これが「二人のストーリー」だった。

まさに「平行線」な終わり方。この曲が最後の最後に生きた感じです。
これが正解ということはないのでしょうけど、これまでの流れ考えたら付き合わない答えは一番しっくり来ます。でも、最後のシーン、花火には笑ってほしかったな。この終わり方、麦も花火も思い残したままなんだもん。モカもえっちゃんもそれなりに答えだして、茜もなんだかんだ言いながらも最も幸せ掴んで、肝心の主人公がとりあえずの答えだしたけど、描写がやっぱり寂しい顔に感じたので…。うん、やっぱり笑顔だよ、笑顔。

全体を振り返ると、麦と花火の中に何が残ったのだろうと考えてしまいます。契約といいながら、互いのことを知っていくうちに気持ちが揺れて、それでも「初恋」にとらわれ、翻弄され、決着も思いっきり振られて、からっぽ。残ったのは互いを思う気持ち。実はこれが本物という気がしないでもありません。でも別れる選択をして。う~ん、最後の最後まで「めんどくせ~」{/netabare}

最初は「恋に恋しているだけ」と思ってみていましたが、そうではなく、ちゃんとした「恋心」が描かれ、それに合うような展開がされていました。深夜アニメらしく(?)、エロ描写が強かったのはもったいないけど、入れることによってより深く心情をあぶり出していたようにも思います。必要悪(もっといい表現はできないものだろうか…)なのかもしれません。

作画は綺麗でした。花火は可愛かったですね。止め絵を多用していましたが、言葉とマッチしていたので、かえって効果的ではなかったかと思います。中の人に関しては、花火はちょっと前まで麗奈でしたし、何かありそうな美少女の声が合うんですね。ほかのキャラもみんな合っていたと思います。OPの「嘘の火花」、EDの「平行線」もこの作品に本当に良く合っていて盛り上げていたと思います。

純愛でも恋愛でもない、リアルな心を表現した「心情系」または「感情系」という表現が合いそうな気がします。鬱展開の重い話に見えて、実はそうでもありません。作品通して「考える」ことが好きな人にお勧めしたいです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 69

75.8 2 ドロドロで百合なアニメランキング2位
ハッピーシュガーライフ(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (524)
1958人が棚に入れました
松坂さとうには、好きな人がいます。その人と触れ合うと、とても甘い気持ちになるのです。きっとこれが「愛」なのね。彼女はそう思いました。この想いを守るためなら、どんなことも許される。騙しても犯しても奪っても殺してもいいと思うの。戦慄の純愛サイコホラー。

声優・キャラクター
花澤香菜、久野美咲、花守ゆみり、花江夏樹、洲崎綾、石川界人、井上喜久子
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

愛と超越

「サイコホラー? 観ない方がいいかな・・・。」これが最初の反応。

散々逡巡した挙句、邪道とは思いつつもネタバレ上等でレビューを読み漁り、
ショッキング展開の予備知識を仕込んだうえで、危なくなったらいつでも切る態勢で
及び腰の視聴に臨んだのだった。

結果は、怒涛の如く二日で全話視聴完了、滅多に味わえないような感動に浸ったまではいいが、
ホラーでもサスペンスでもない、じゃあ一体何だろう、との疑問にはまってしまい、
手掛かりを求め原作にまで手を伸ばして、ついには以下の作品考察を書くに至った次第。

要するに、ホラーやスリラーに全く耐性のない自分のような者でも完走可能なレベルなので
視聴を迷っている方は是非挑戦してみてはいかがですか、と言いたいわけである。
観ないで後悔するよりも観て後悔した方が良い、などと無責任な勧奨をしたくなるほどの
これは世に稀な、貴重な作品である。


{netabare} 真実の愛は、それ自体がおそらく一つの狂気である。


月光が射し込むマンションの一室。差し向かいに床に座っている
まだ幼い少女と、年の離れた姉のような高校生くらいの少女。
小さい方が大きい方にヴェールを被せて、結婚の誓いの言葉を唱えはじめる。

病めるときも、健やかなるときも・・・死が二人を分かつまで・・・。

仲の良い姉妹が結婚式ごっこに興じているようにしか見えないだろう。
だが、この二人はこの上なく真剣なのだ。いや、真剣どころの騒ぎではない。
二人だけの世界を守るために、小さい方の少女は家族を捨て、
大きい方の少女は、人を殺し、奪い、傷つけ、ついにはたった一人の友人をも惨殺した。

彼女は言うのだ、それはすべて、漸く手に入れた本当の愛を守るためなのだと。
本当の愛のためならば、すべてが許されるのだと。


精神異常者の歪んだ愛が引きおこす、凄惨な犯罪の数々。
本作のキャッチコピー、「戦慄の純愛サイコホラー」はこの面を過度に強調したものだ。
勿論、自分はこうした予断に異議を差しはさむ意図をもって、これを書いている。

「異常」を前にしたとき我々は、精神病理学でも、犯罪心理学でも
それを合理的に説明する理論によって「理解」したい誘惑に駆られるものだ。
だが、この習慣を物語の解釈にまで持ち込もうとすると、往々真実から逸脱し、遠ざかってしまう。
だから、この誘惑に抗して、疾走する愛の軌跡を虚心に見届けてゆこう。
アニメレビューの本道からは外れるが、原作を踏まえた「越境的な」理解を敢て試みたい。


原作となったコミックは五年にわたって連載され、アニメ化の翌年に完結している。
連載開始の前年には、元型となった読み切り作品が発表されているが、
そのタイトルは、『ホワイトシュガーガーデン、ブラックソルトケージ。』というもの。
本作の二人のヒロイン、「さとう」と「しお」にこめられた暗示を解き明かす、第一の鍵。

さらに遡ると決定的な発見があった。原作者の初期作品、タイトルは『しろいろとくろいろ』。
白い女の子と黒い少年の、果てしない追いかけっこを描いた、メルヘン風の寓話だ。
白い子が黒い子に触れると死んでしまうので、慕って来る白い子から彼は逃げ続けなければならない。

無垢なものの、白。死と罪悪の、黒。この象徴的な二元性が
本作のさとうとしおの二人に受け継がれていることは明らかだろう。

「さとう」と「しお」。

この世の何物よりも甘い、満ち足りた愛の幸福と、
罪と恐怖が支配する現実世界の苦さとの、二つの極のあいだで
無残に引き裂かれた二人の悲劇的な宿命を、このネーミングが象徴しているのである。

同時にそれは、愛らしいものと酸鼻なもの、純粋なものとおぞましい不純なものとが
隣り合い、融合するグロテスクな本作の世界が、寓話的な象徴性をはらんだ独自の世界観に
基づいていることを示唆している。

「しおちゃんは天使。これは仮定じゃない、これは前提。
 だけど天使は弱くてはかない存在なの。
 だから、こんな穢れた世界から守ってあげなくちゃいけないよね。」

自然が真空を恐れるように、絶対的な純粋さはこの世界とは決して相容れない。
さとうの犯行動機は従って、一般的な犯罪者の心理に還元されて済むようなものではなく
この世界観からの必然的な帰結として捉えられなければならない。
穢れた世界から無垢なるものを守るために、自らが穢れを一身に引き受けようとして
避けがたく罪は重ねられる。純白だった砂糖はたちどころにどす黒く汚れてしまう。

あたかもこの世界には、反転と転落の力学が存在するかのようだ。
継起する異常な出来事は、異様に濃密なこの象徴性の磁場の作用だと考えるのが正しい。
登場人物が次々と狂気を露呈させていく展開もまた、このメカニズムによって説明されるだろう。


さらに、純愛と称されるさとうとしおの「ほんとうの愛」を問題にするとき、
そのきわめて特異な内実を、敢て「神学的」と形容したい想いに自分は駆られる。

「私はずっと一人ぼっちだった。何も感じない、常に何かが欠けていて、
 いつもどこか切なくて、このまま独り消えていくのかと思っていた。
 でも違った。しおちゃんが私を見つけてくれたから!」

最後の部分は、信徒によってしばしば語られる「神が私を見出した」という表現と一致する。
さとうにとってのしおの存在は、天使の域を遥かに超えた、救済そのものだったのだ。
そしてしおもさとうも、自分がいま生きていることの唯一の根拠を、互いの存在に見出している。

「私、お母さんに捨てられたあの日、一回死んじゃってたんだと思う。
 でも、さとちゃんのぬくもりでまた生まれたの。」

「私もだよ、しおちゃん、私も。
 なんにもなかった空っぽの私をしおちゃんが生かしてくれたの。」

互いの「新生」の経験が、まるで響き合うように言い交わされる。
これらの言葉は、新しい生命の源となった至高の愛の対象への、至純な信仰告白なのだ。
彼らの愛は、我々が通常経験するような、生存に付随した単なる心理現象ではなく
現世での死を経過して、新たに獲得された「いのち」そのものなのである。

「甘い」が迸る生命感の表現であるのに対し、「苦い」は現実世界における死の象徴である。
ひとたび死に、生まれ変わった彼らはすでにこの世界に属してはいない。
家族愛であれ友情であれ、世の慣習的な価値観はすべて忌避され、否定され、排除される。
微温的な愛、利己的な愛は、この絶対の愛によって裁かれ、容赦なく処罰される。

「ありがとう、しおちゃん。戦おう、命がけで。一緒に証明しよう、私たちの愛を。」

これが彼らの愛の神学である。それは命がけで証しされねばならない超地上的な真理だ。
従って、物語の結末はすでに予告されている。彼らの戦いの果てにあるもの、それは
この世界の外への、永遠へ向けての跳躍―ダイビングの他にあろうはずはないのだから…。



・・・そして、しおひとりが生き残る結末を迎える。

しおのために自分の命を捧げるという、究極の愛をさとうが実践してしまったことで
二人の愛がそのまま永遠へ移行する契機が失われてしまった。これは愛の挫折を意味するのか?
自分も当初は、作者が世間受けのために日和ったのかとも考えた。だが、そうではなかった。

この結末こそが愛の完成だったのだ。

「さとちゃんがどうして私のことを生かしたのかわからない
 考えても 考えても だから私は 考え続けるの
 どんな時も 何をしていても 何を感じても ずっと ずっと
 さとちゃんのぬくもりは私の中にある だから私は それと一緒に生きていく」

二人がこの世界で見つけるはずだった「お城」は、いま、しおの中にある。
{netabare}(原作では復活したさとうとしおが、また二人の生活を始める様子がはっきりと描かれている。){/netabare}
しおは世界と断絶し、彼女の内部でさとうとの、永遠の「ハッピーシュガーライフ」を生きる。
これが二人の愛の究極の証明であり、世界に対する彼らの戦いの完全な勝利に他ならない。


世界はこれを、無力な逃避、ないしは傲慢な自閉として断罪するだろう。
だが、一体それが何だというのか? 死ですら二人を分かつことはできなかったのだ。
ここにあるのは、現世をも死をも超越する、永遠のテスタメント(契約)。
恐ろしいことだが、これは冒涜的なまでに、新約聖書の福音と重なり合うのだ・・・。


自分は、果てしなく考え続けようとするしおの姿に、作者自身の投影を認める。

この作者にとって世界は自明ではなく、問い続けられるべきものであるような気がするのだ。
本作と初期作品とを結んだとき、そこに垣間見える原作者の心象風景、それは
何もない空無のなかで、ただひとすじに持続する「想い」だけが
何か驚くべき、唯一の確かなものとして存在するという、恐ろしくストイックなものだ。

自分は本作に、真に創造的な感性だけが表現することのできる、固有のリアリティーを感じる。
内面の衝迫に促された感性の疾走が、高翔する愛の神学を生み出す発条となったと考える。
そう、多分これは、孤独な思索が営々と紡ぎつづけた、この世界の真実をめぐる寓話なのである。
{/netabare}

(初投稿 : 2020/10/1)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 19
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

にがみのエッセンスが醸し出す「フロイト」的な世界観が気に入った!!

作品概要
▼原作:月刊ガンガンJOKER(スクウェア・エニックス)
▼原作者:鍵空とみやき
▼アニメーション制作:Ezo'la(ディオメディア)
▼話数:全12話{netabare}
▼総監督:草川啓造(ディオメディア)
・実績
(監督)
『魔法少女リリカルなのはA's以後のシリーズ』『迷い猫オーバーラン!』『ロウきゅーぶ!』『艦隊これくしょん』『風夏』『アホガール』他
▼監督:長山延好
・実績
(監督)
僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件
▼シリーズ構成:待田堂子
・実績
(シリーズ構成)
『らき☆すた 』『ティアーズ・トゥ・ティアラ』『おおかみかくし』『THE IDOLM@STER』『Wake Up, Girls!』
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『はるかなレシーブ』他多数
▼キャラクターデザイン:安田祥子
・実績
(キャラクターデザイン)
『銃皇無尽のファフニール』『sin 七つの大罪』『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』
▼音楽関係
音楽:亀山耕一郎
OP曲:「ワンルームシュガーライフ」(ナナヲアカリ)
ED曲:「SWEET HURT」(ReoNa)
挿入歌:「カナリア」(ReoNa)第9話
▼キャスト
【声優】項へ{/netabare}

原作未読
リアルタイム視聴済

☆エピローグ
普通のアニメは見飽きたぜ!糖質サイコホラーはドツボだ。
清々しいほどのバッドエンドや、スクイズやヨスガが大好物な私にとって、やっぱねーっ!これぐらいサイコパスで頭逝ってる作品がないとアニメはつまんねぇw
王道や名作、勧善懲悪ばかりじゃ肩が凝るもんね。
本作は世界線やら異世界やらと物理学分野のSFフアンタジー全盛なトレンドに対し、精神医学を世界観の基軸に据えた稀有な作品だ。
したがって、擬似リアリズムであっても、健常な精神感覚では一切のカタルシスを承認しない作品である。

異常心理に興味があったり、最近では『フリップフラッパーズ』を理解できる方々には面白いかも。
本作はストーリーが安定しているから分かり易い。
『ガリナン』もだが、アホアニメ制作会社の評価が定着して社会的には評価が厳しいディオメディアだが、たまに私のツボに入る作品を出すから、目を離せないw

主要キャラでマトモなのは「しょうこ」だけ。
他のキャラは悪い意味で個性が凄まじく、心の闇という健常と異常の行き交う「境界線」の想像どころではなく、真性の「精神病疾患者」であり、ペドフィリア、エフェボフィリア、パラノイア、火病、発達障害etc全員閉鎖病棟の患者でも不思議ではないような連中が繰り広げる異常人格者による基地外純愛群像劇(草)
共感できるキャラが見事に誰もいない稀有な作品ゆえに、様々な矛盾も精神異常が織りなす現象と見ているので許容の範囲であり、作中何が起こっても感情移入が生じることなく、エンタメとして割り切り楽しむことができた☆

タイトルの「フロイト」は精神医学の始祖。
世界的な心理学者「ユング」や「アドラー」の師匠でもある。
原作者はフロイト入門書の『精神分析入門』や『夢判断』を読んでいるな。
フロイトを読むと、読んだ側も精神をやれかねない危険物。
本作も視聴すると、そうなる方向性で演出されている。
異常心理の描写が精神医学的に考察されて「超自我」のメッセージがしっかりプロットされている。
さすがに1クールで精神医学界の巨匠フロイト的世界観を表現するのは厳しいのだが、そこに挑戦したことは評価されよう。
精神分析学的視点に立った考察はメンドクサイし、レビュー読まれる方々の気分を害するからしない。(いや、でも、気が向いたら追記をするかもw)
キャラ設定のベースがフロイト的価値観だから、基地外とは何かを問うているのと同様で、そりゃ陰鬱な世界観にもなるな。

とにかく可愛いOPや絵柄に騙されてはいけない。
マトモな神経では視聴できない作品だから、そこは覚悟した方がいいデス。はい。

それにしてもジエンコって『serial experiments lain』以来、この手の一風変わった作品のプロデュースが好きなんだな。
提供にバップもあったが、ジエンコ+バップ、あーあれか!w

ところで、最近ディオメディアはいろんな名義を使っているね。
「doA」に続いて今度は「絵空」か。
『BEATLESS』は綱渡りだったし、万策(略)に備えて、リスク分散でもしているのか?

【音楽】
OP曲はとてもインパクトがあり癖になる電波ソングだ。
不詳私、DLをいたしました。
OPの作画と楽曲『ワンルームシュガーライフ』で本作の世界観をしっかり視聴者に伝えた(伝わったかは別にして)好演出だ。
ED曲『SWEET HURT』は『GGO』の神崎エルザの曲を歌ったReoNa。
彼女のなんとも言えない切ない声質が、本作の無情で悲惨な末路を暗揄していてなかなか良い。これもDL。
EDの作画は折しも同じ精神異常系の『フリップフラッパーズ』と同様の演出。
「さとう」と「しお」が抱えている闇と二人の関係性を1分30秒でしっかりと表現している。
{netabare}「さとう」の幼少期から現在の描写、そこに「しお」が現れて、二人で城に向かって歩く。
ハッピーシュガーライフの描写と、スキップしながら城から旅立ち、二人で躓いたところで「さとう」が消える(さとうの死)でも「しお」の心には「さとう」が生きている、とこんな感じでEDはこの物語の顛末を分かり易い暗喩で演出している点は視聴者に優しい。{/netabare}
{netabare}しょうこが殺される{/netabare}9話の挿入歌『カナリア』も歌詞に込められたメッセージがそのシーンの演出にしっかりと映えていて良い曲だ。

{netabare}本作、9話は「しょうこ」の恋もあり内容が濃く相当の字数が必要だが、割愛して、挿入歌まで用意された「しょうこ(小鳥)」は本作にとって、さとちゃんの狂気を強調する意味でも重要なキャラだったし、彼女の存在が無ければ、ただの基地外ドラマで終わったな。
(7話の展開が殺される伏線だが)さとちゃんと向き合うタイミングを逸したとはいえ、幼女を「彼氏」として拉致しているさとちゃんの素顔を知った「しょうこ」がとった選択は極めて常識的だが、基地外相手には通じず、理不尽な結果となったが{/netabare}共感シーンが皆無な本作にとって唯一の救いだった。

【物語とキャラ】
キャラは本作一番の問題提議点だろう。
{netabare}よくもまー、あるゆるタイプの基地外を設定したものだと感心した。
しかし、「さとう」の叔母と「しお」を除き他のキャラのサイコパスの根源は抑圧され無意識下に封印された記憶、いわゆる「トラウマ」だ。
「さとう」、「太陽」、「あさひ」は過去エピソードの描写があるから分かり易いだろう。
今では「トラウマ」という言葉は普通に用いられるが、その概念を提唱したのがフロイトだ。{/netabare}
現在フロイトの【精神分析学】はポパーの科学定義にぶった斬られて【非科学】とされているが、なお、その研究は医学のほか哲学としても各方面に多大な影響を与えている。
因みに「トラウマ」と似た概念で「PTSD」があるが、こちら医学的な診断名、つまり科学。
医学的なフレームで論じるのが「PTSD」であると理解したらいいだろう。
そして、この三者の異常行動は明確に「PTSD」である。
「さとう」叔母は「トラウマ」の過去描写がないので、その異常性の因果関係は判別しないが、他人への関与が異常な博愛が動機である点から、所謂「離人性人格障害」であることは確かだろう。
{netabare}「しお」は年齢的に幼くまで認知能力が完成されてはいなから、母親との関係や「さとう」の死をきっかけとし「PTSD」を発症するのは想定内だろうし、「さとう」の狂気の正統後継者となるだろう。{/netabare}
基地外の成長物語を望むか望まないかは視聴者しだい。私は(怖いもの見たさで)今後も観察してみたいものだが。

以上、キャラの性格設定を多少考察したが、個人的に気になっているのはネーミング。
ここ突っ込んだレビューが少ないだよね。
物語と主人公とヒロイン?他女の子キャラのファーストネームの関係だが、「さとう」と「しお」。
これは、第三者視点で物語を俯瞰したときに醸される、二人のイメージなんだろう。
{netabare}さとちゃんの心が至福に満たせるときは「あまーい」、ストレスを感じたら「にがーい」と味覚で心理描写をしているのも本作の特徴だ。
これは丁度可知差異(物理学用語)が「フェヒナーの法則」による感覚量でも定式化されており、物理でメシを食っている私の心を擽った直喩だ。
「しお」の存在を「さとちゃん」から見た場合は「あまーい砂糖」だが、第三者視点ではさとちゃんに試練を与える文字通りの【塩】な存在。
自らの「あまーい生活」を守るためにさとちゃんは、せっせとバイトで生活費を稼ぎ、脅迫、傷害、詐欺、挙句の果てには殺人までやってのけた。
ある意味、これほどの純愛ドラマはスクイズ以来かもね。
これが、「しお」が【塩】である所以である。

そして「さとちゃん」の光に立候補し、人の道に戻そうとした「しょうこ」は「胡椒」の捩りで、そのお節介は、さとちゃんにとっては「辛い」味覚、はた迷惑で排除すべき存在として描かれているのではないのだろうか。{/netabare}

次に、苗字についてだが、「神戸」と「飛騨(飛騨しょうこ)」に共通するのは高級和牛ブランド。
さとちゃんの苗字「松坂」を「松阪」とすると、やはり高級和牛だが、これは作者の誤字なのかな?
他にサブキャラの宮崎すみれ、但馬みとりも高級和牛ブランド。
本作と高級和牛の相関関係は謎だが、キャラネーミングには法則があるようだね。

で、本作のキャラ設定だが、精神疾患と異常心理の掘り下げに作者の知識の限界からか詰めの甘さが残るが、これだけの基地外キャラをクリエイトし、物語をプロットした点は評価されよう。

{netabare}最終回はオリジナル展開だが、さとちゃんを「あさひ」に殺させ、それでも「しお」に切られ、自殺を図る展開も悪くないと思ったが、さとちゃんを死なせて、「しお」を生き残らせ、「あさひ」を切った展開は前述のとおり、{/netabare}これからの「しお」の異常人格発揮を十分妄想できる余韻を残した意味でも評価できる。

あと「しお」の失踪だが、{netabare}物語の通り捨て子であっても「しお」は小学生だ。
失踪すれば、社会的に何らかにリアクションがあるはずだが「あさひ」が述べたように警察で相手にされないのは不自然すぎる。{/netabare}
欠席が続けば「しお」の担任教師が家庭訪問をするし、親に不審な点があれば、児相とも連絡を取り合い世間にバレるはず。
その過程で事件性があれば警察が動くが、事件性はないとする裏設定でもあるのかな。
「しお」の境遇を考えると、無戸籍である可能性もあるが、視聴者が納得できる線で簡単にでも触れておくべきだったろう。

【作画】
全般的にディオメディアクオリティであり、動かす場面も少ないから、ボロも出ず可もなく不可もなくといったところだが、シャドーの用い方、基地外の表情など、サイコホラーとしての演出は頑張っていたと思う。
ただし、9話は{netabare}本作の神回であるにもかかわらず、作画が演出についていけていない。
挿入歌とナレーションを背景にCVを入れずに「さとう」と「しょうこ」の葛藤シーンが描かれた。
前述したとおり、演出は素晴らしかった反面「しょうこ」の表情が「棒」であり、迫力が全く伝わってこなかった。
基地外表現の作画に手一杯で、健常者の必死の訴えの表情演技まで手が及ばなかったようだ。
CVなしで映像表現のみを用いて視聴者へ訴えるのは、自信と相当の作画センスが要求される。
試しに、スクイズとの見比べで「誠」殺害後の「言葉」と「世界」の葛藤シーンを音声なしで視ると分かるが、迫力が全然違う。
ディオメディアの作画センスの限界が、この素晴らしい演出を削いでしまったと思うと残念でならない。

ただ、小鳥の演出を含めてだが「さとう」が文化包丁を「しょうこ」の首に突き刺し殺す描写は、頸動脈からの血飛沫には違和感を感じつつも、「さとう」を引っ掻き断末魔に喘ぐ描写や小鳥の死を比喩した痙攣描写など殺人過程はしっかり描ききっている。
ただし、グロ描写を強調し過ぎたことで視聴を打ち切った方々を出したという負の作用もあったが、{/netabare}これを斟酌して私的には高い評価をしたいと思う。

【声優】
原作を読んでいる方々には花澤さんはミスキャストだとの意見も多いが、原作を読んでいない私にとって可もなく不可もなしだ。
寧ろ、客寄せパンダ役も兼ねて、演技力が要求される「さとちゃん」役には適任だったのではないだろうか。
個人的には「しお」役の久野美咲さんの演技が輝いていた。
『WIXOSS』や『LOST SONG』でも思ったが、主役よりも準主役や重要キャラをやらせると巧いタイプかもしれない。
さとうの叔母役の井上喜久子さん。
『らんま1/2』から活躍しているだけあって、ベテランらしく味のある演技でサイコパスを演じていたのが印象的だ。
難しいキャラの「三星太陽」を演じた花江夏樹氏も好演だった。

ゆえに総じて高評価とする。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 62

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヤバい、面白い…。

語彙力ぅ!

そういえば天狼のレビューを書いたときにこいつの存在を忘れていました。

2018年7月期で原作付きの大物。観ますっていうか、観てますってだけで情報量ゼロです、すみません……。

2018.9.29追記:
とりあえず、虐待に傷ついた二人の少女が真実の愛を求めてあがいたあげくに、犯罪レベルの奇行に走るお話。

第12話(最終回)まで観終わったので、少し真面目に書いてみます。

まず、一見して松坂さとうが主人公のようで物語の中心は神戸しおですよね。それと「作中の登場人物が(飛騨しょうこを除いて)異常な人物ばかり」に見えはするんですけど、「罪無き者のみ石を投げよ」っていう感じで、みんなちょっとした行き違いや不幸(ちょっとしてないのもある)がきっかけでたまたま異常に見える行動が発現してしまったというだけの話で、メインキャラには理解不能レベルなことをやっている人物はいなかったです。

自分がはっきり嫌いと言えるのはしおちゃんの父親と、次点でさとちゃんの叔母さんくらいかなあ。

まあとにかく、他の人物に関しては共感まではいかないにしても理解は及ぶ感じでとても良く書けたお話だったと思いました。漫画原作ですけど小説っぽいストーリーでしたね。最終話、しおちゃんの言動によって受けたあさひのショックはいかばかりか想像を絶する…。

……って、これかなり面白かったけどウケないだろうなあ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 52

79.7 3 ドロドロで百合なアニメランキング3位
荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (602)
2244人が棚に入れました
あなたの“はじめて"を、わたしにください――。高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じたある一言……。その瞬間から、彼女たちは“性"に振り回され始める。

声優・キャラクター
河野ひより、安済知佳、麻倉もも、黒沢ともよ、上坂すみれ、土屋神葉、福山潤、広瀬裕也、咲野俊介、戸松遥、花江夏樹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生で最もへたくそな時期に捧ぐ

岡田麿里氏が原作から絡んで脚本やって、な作品。原作は未読です。

タイトルからして生々しく、しかも思春期男女(特に女)の心理描写には定評のある岡田氏の作品。

「岡田作品は苦手だけど荒乙は面白い」との推薦を複数いただいてて、楽しみにしてました。


作品自体は思春期の“性”をテーマに、右往左往する文芸部の女子高生5名が各々の答えらしきものを見つけるまでを追った青春群像劇です。

 吾輩は○○である 名前はまだない

整理しきれぬ名付けもできぬ感情は存在し、その多くは経験の蓄積によって落とし所が見つかるもの。

青春群像劇では私たちがかつて通過してきたであろう感情や衝動なりを作品の中に見つけて、自分の思考パターンや嗜好のルーツとなった立ち位置を確認する作業でもあります。
高校を卒業すれば進路はバラバラ。得られる経験も分岐して汎用性に乏しいことが、高校卒業以降を追った作品が少ない理由なのかもしれません。

そして汎用性があるようなないような題材が今回のテーマ。
“性”に対する考え方は個人によって差が相当あるもの。

そんな本人にしかわかり得ぬ感情。いや本人でさえわからない感情について同じようにバラバラだろう相手の感情とを擦り合わせる難儀なことを人生で初めてする作業が思春期世代の恋なんだと思います。

個人差があるのは当然で、ひとつの事象とっても男女で考え方も捉え方も違うことを想像できなかったり、違いはあると自覚しても何がなんなのか袋小路に迷い込んだり。
例えばこの連載は別冊マガジンですが『別マ』と言われて男子は『マガジン』を女子は『マーガレット』を想像し、お互いの前提がずれてる中言葉のキャッチボールを交わしてるうちに悶々としてしまう。
ほんの少し先になれば『マガジン』も『マーガレット』もあるって気づくものです。それがなかなかそうはならないもどかしさを作品で表現することは難儀なことでしょう。


前置き長くなりましたが、つまり、

 これまで数多語られてきたけどまとめられんのかいな?

好きだ惚れたから一層も二層も踏み込んで、本来同じカテゴリーなのにあえて切り離すことで物語を作りやすくしていた“性”なるものに焦点を当てちゃった本作。
個人差が激しいネタについて、きっとそんな時期を通過したであろう私たちにリアルな質感をもって届けてくれるかに着目したわけであります。

結果、文芸部員5名それぞれに異なる立ち位置を与え、かつそれぞれに対となるパートナーをあてがい、パズルのピースをはめていくようなストーリーに仕上がっていました。男はあくまで彼女たちを輝かせるための舞台装置。主役はあくまで乙女たちです。
よくパズル組めたな~。率直な感想です。一覧は以下。当然1対1とは限らないのですが詳細は本編参照。


【文芸部員】
小野寺和紗(CV河野ひより)
菅原新菜(CV安済知佳)
曾根崎り香(CV上坂すみれ)
須藤百々子(CV麻倉もも)
本郷ひと葉(CV黒沢ともよ)

【パートナー(仮)】
典元泉(CV土屋神葉):{netabare}対和沙要員{/netabare}
天城駿(CV広瀬裕也):{netabare}対曾根崎先輩要員{/netabare}
山岸知明(CV福山潤):{netabare}対本郷先輩要員{/netabare}
三枝久(CV 咲野俊介):{netabare}対菅原氏要員{/netabare}
杉本悟(CV花江夏樹):{netabare}対もーちん要員{/netabare}


実のところパズルが組み立てられた時点でおおむね満足しています。いいもの見せてもらいました。
リアルな質感があったかどうかは個人差によるものはあるでしょう。具体的にはこんなところが良かったなぁと私が思ったところは以下、


■OPを飛ばしちゃダメ

曲中に文芸部員たちの独白みたいな合いの手が入るわけですが、全OP一定ではなく変わっていきます。
作品世界をよく表したOPなので飛ばすのももったいないのもありーの、その回冒頭から集中を促す効果がありました。


■結局全員荒ぶる

キャラの掘り下げが全員できてたという意味ではなく、5名ともきちんと荒ぶってました。


■ざわつく

岡田脚本の特色なのか、円満にしときゃいーのにそれ要るかな?ってネタを挟んでおり、またそれがリアルな質感がありました。
安心安全なピュアピュアな恋愛を期待するのも野暮というほどさらりと毒を盛り込んできます。

{netabare}・部長の彼氏がちゃっかり前カノのおっぱい揉んでる事実
 ⇒経験者じゃないと曾根崎先輩を攻略する前に心が折れてたかもしれないという仮説
・あの杉本が女を連れている(最終話ED)
 ⇒地獄へ落ちろ!との視聴者の期待を嘲笑うかのようにしっかりキープ。なんだかんだ動く奴は強い
・本郷ちゃんが報われない
 ⇒いい子なのにね{/netabare}



最初はインパクトのある下ネタという飛び道具を織り交ぜながら、「おいおい大丈夫かよ」とくぎ付けになり、適度に乙女たちが荒ぶりながら最後の最後でぶつかり合ってという青春ど真ん中をいく良作でした。
端的に言えば序盤から終盤{netabare}10話{/netabare}までのわりと緻密な展開と打って変わっての後半の勢い。
慌てて畳んだ感が無くもないと言えますが、ここは『荒ぶる』感が出ていたと好意的に解釈してます。
{netabare}もう2話時点で和沙が自分の気持ちに気づくとか、5話で最も縁遠そうな部長がくっつくとか、その後どうするの?を長めに取る構成は良かったです。{/netabare}

個人差ありまくりの“性”の捉え方に関して、本作でのそれについてはノーコメント。
ただしきっと、登場キャラのうちに「あ、これ私だ!僕だ!」な子だったり言動行動が見つかるのではないか?と思えるほど網羅性は高いように見えますね。
現在進行形の方はがっつり共感して。はるか彼方の御仁は軽くキュン死しながら悶え狂いましょう。私も悶えました。おすすめです。




※ネタバレ所感

■パズルのピースについて
ほうぼう荒ぶっておきながらしっかり着地できたのって、主演女優5名と対になった野郎どもとが似たもの同士だったからではないかと思います。

・和沙VS泉
 {netabare}上半身と下半身が別の生き物同士

最終回でお互い似たもの同士だよねと分かり易く描かれてました。典型的な思春期のアンバランスさを体現した二人で主役にふさわしかったと思います。

{netabare}「泉。私ね。これからも不安になると思う。でも泉と同じ気持ちと同じ言葉、私はちゃんと持ってるんだって!分かったから…不安になっても、それを思い出せば…きっと大丈夫」{/netabare}
このセリフを言えたからこその主役でしょう。不安になると言葉に出せた時に大きな成長を感じました。{/netabare}


・曾根崎先輩VS天城
 {netabare}素直な者同士

お互い耐性ないので基本ちょろいです。考えてるようで実はそうではありません。よく言えば真面目で一途といったところでしょうか。浮気は絶対許しません。{/netabare}


・本郷ちゃんVSミロ
 {netabare}言葉先行で行動に移れない者同士

若さゆえに本郷ちゃん頑張りますが失敗重ねてるうちにそのうち諦観しそう。ミロ(三枝先生)がそのなれの果てかしら。言い訳先行でまたそれがもっともらしく聞こえるタイプ。
そんな本郷ちゃんが最も荒ぶってるように見えるというのが“荒ぶる季節”のアンバランスさを表わしてるようで心地よいです。{/netabare}


・菅原氏VS三枝
 {netabare}持てる者かつ特殊フェチ同士

周囲から羨ましがられてます。周囲からの見られ方と自身の嗜好にギャップがあるのが悩みどころ。医者や高級官僚がSMにハマるみたいな倒錯性を感じます。ちがう?{/netabare}


・もーちんVS杉本
 {netabare}相手が見えてないもの同士

自己中とも言います。杉本は言うに及ばず、もーちんもなかなかの猛者です。「なんで自分の思うとおり動いてくれないんだろう?」が先にあると恨みつらみが積み重なっちゃいますよね。{/netabare}



合ってるかどうかは知りませぬ。それは違うさーというのも笑いながらツッコんでみてください。



最後に、、、
なんだかんだ本郷先輩の今後が気になるところです。

{netabare}「止まらない電車に乗っちゃったんですよ我々は!」
ブルーハーツの伏線回収お疲れ様でした。{/netabare}

{netabare}あと真っ白になったと言い残して燃え尽きてましたが息してますよね?
自分で蒔いて自ら回収とはさすがです。

ぜったい素敵な女性になっておくれよー(^_^)/~{/netabare}



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------


2019.09.28 初稿
2020.04.10 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 72
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「みだらな和紗ちゃんは月がきれい」

<2019/7/16 初投稿>
原作未読
観始めなので評点はデフォルトの3.0です。

文学部の女子高生たちが文学で性の知識にあれやこれや荒ぶる話です。

自分で書いてて何言ってるかよくわかんねえ٩( ᐛ )و

「月がきれい」に「みだらな青ちゃん」を叩き込んだ感じ・・・なのかな


1話を観て
・THE BLUE HEARTSをそのまま流したのは素敵
 「見えない自由が欲しくて、見えない銃を撃ちまくる♪」
 まあ彼は銃を撃ちまくってたわけです。
・どうみても和紗さんより泉くんの方が傷は深いだろう。致命傷だよ 笑
・これまでずーっと「爪(つめ)」だと思ってた。「瓜(うり)」だったとは・・・でもなぜ瓜(うり)?
・総じて面白かったよ。でもマリー原作・脚本なので最後まで信用はしません 笑。

<2019/8/26 追記>
第2〜8話の感想です。

第2話
{netabare} 「S◯Xの別称」{/netabare} 大喜利大会
青春シーンだとへっぴり腰になる曾根崎さん。

第3話
強い子のミロ先生。{netabare} →「おまわりさん!この人です!」{/netabare}
泉くんの災難その2ですね。末広ひかるってありそう。

第4話
原稿用紙50枚の{netabare} ラブレター{/netabare} 笑。それもう原著論文だろ 笑。天城くんは立派。

第5話
{netabare} ロリコン{/netabare} 演出家登場。{netabare} →「おまわりさん、この人です!」{/netabare}
原稿用紙50枚の{netabare} ラブレター{/netabare} に{netabare} 校閲{/netabare} でお返事って。ありそうで絶対ない、もはやSF 笑。でも可愛らしいね。

第6話
合宿で第2回大喜利大会。
「この恩は絶対に軀で返す」あんま聞いたことない台詞出ました 笑

第7話
菅原さんは全身凶器だな
そして{netabare} 「おまわりさーん、現行犯です」{/netabare}

第8話
寸劇→内紛勃発からの{netabare} 告白大会{/netabare} であります。
菅原さんと百々ちゃんにはがんばれと言いたい。

マリーさんは本作、自分の書きたいこと自由に書いてる感じして良いですね。
和紗も菅原さんも曾根崎さんも本郷さんも百々ちゃんもホントに良いキャラしてる 笑

中間評価、付けてみました。

<2019/8/31 追記>
バトル展開の第9話(ウソ)

前回の盛り上がりから良い感じでお話が転がってます。

曾根崎さんのチョロいこと 笑
菅原さんはがんばってますね。つかあれはなんのプレイだ 笑。
あの引きだと本郷さんは次回、まさかあのシチュエーションで笑いを取りに行くのでしょうか 笑

<2019/9/7 追記>
第10話「穴」
「穴を覗くとき、穴もまたこちらを覗いているのだ」

いや、そういう話じゃないです 笑。
穴もいろいろありますが、パンツだったり股間だったり心だったり。

本格的に荒ぶってきました。
起承転結で言えば「転」の回かな。

あと2話でどうまとまるか楽しみです。

<2019/9/14 追記>
11話
最近のアニメではあんまり見かけない展開かな。

マリーさんと言えば広げた風呂敷をきれいに畳めず微妙な感じになること多い印象ですが・・・

今回の笑いのツボは{netabare} 「和紗のキス顔」{/netabare}
なまじ真面目な分笑えました。

あとあの体勢からの右フックは体重が乗らないと思う。

最終話はどうなるんでしょうね。

<2019/9/21 追記>
最終12話

マリーさんらしい変な着地だけど一応ちゃんと決まったと思います。
個人的にはもっと荒ぶって欲しかった人もいたり
{netabare}菅原さんとかもっと粘って欲しかった 笑。{/netabare}
つか結局{netabare}菅原さん{/netabare}の気持ちはどうなった?
あれ?

それは置いといて最終話の笑いのツボは{netabare} 泉くん{/netabare}のアホなカミングアウト 笑

Q.恋愛感情と性欲は切り離すことができるのか?
「恋愛感情に伴って概ね性欲も湧いてくる」
「恋愛感情がなくとも性欲を感じることはある」
「恋愛感情が強すぎたりすると相手を性の対象として見れなくなることもあったりする」
「性欲から恋愛感情に発展することもある」

いずれも性別や個々人の性格によって程度の差はあれ、多くの人はこういう感じなんじゃないでしょうか

全話通じていろいろ笑わせていただきました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 61
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

純潔の染まる色

アニメーション制作:Lay-duce
監督:安藤真裕、塚田拓郎、
原作・脚本:岡田麿里、音楽:櫻井美希
キャラクターデザイン・総作画監督:石井かおり、

少年少女たちの心をざわつかせる季節。
思春期特有の性的な悩みや思考を、
文芸部に所属する5人の女子高生の視点を通して
鮮やかに切り取ってみせた岡田麿里作品。

一人ひとりのキャラクターの心情を
女性脚本家らしい視点で論理的に解き明かしていく。
繊細な心理描写のリアリティは、
真似のできないオリジナリティがある。

昔は岡田麿里作品といっても、どこかぼんやりとした
「キャラに寄り添った作風」くらいに考えている人が
私も含めて多かったと思うが、自叙伝の出版によって、
作風の裏にある独自性の由来が明らかになったことで、
より作品が理解しやすくなったかもしれない。

岡田麿里の脚本は、徹底的な「他者に対する視線」と
でも言うべきものから成り立っている。
言わば、最近ブームの「なろう系」とは対極にある。
「他者」を客観視しながらも、集団のなかにあるときの
思考や交わりを丁寧に描くことで、アニメの世界にあっても
圧倒的なリアリティを感じさせる。
それは、小学生時代に「他者」になろうとした
経験によって形作られたもので、脚本家としての彼女の
原点のひとつなのだろう。

前置きが長くなったが、この作品もそういう岡田麿里の
視線が随所に感じられる。
しかも、アニメのためというよりは、
漫画原作がスタートだったため、最初から最後まで
しっかりと構成された物語となっており、
完成度は抜群に高い。
私にとっての岡田麿里作品は、細部はとても面白いのだが、
最後の締めになると、いつも何か物足りなさを感じさせたが、
今作は、ラストまでとても上手くまとめられている。

いちばんの特徴は女子高生5人全員が大人に向かって
変化する心の動きをつぶさに見せている点だろうか。
ストーリーの中心は小野寺和沙が「男子」を
受け入れられないと感じつつ苦悩し、最後にはその感情が
変化するというもの。そんななかで5人全員の
心の動きを追いながら、感情の変化を視聴者に
しっかり見せている。

例えば、文芸部部長の曽根崎り香が恋をしたことで、
眼鏡を外して、男に対する考え方が大きく変わるところや、
菅原新菜が大人ぶりながらも徐々に本心を表現していく
過程をコミカルにしかも丁寧に見せてくれる。
心の変化の機微をしっかりと描いている。

{netabare}キャンプファイヤーの影踏み、
り香に対する天城のレポート、
百々子の男を嫌いになる過程、
新菜の歪んだ感情と素直な感情、
ひと葉の野望から生まれた恋、
和沙の恋と友情の間で揺れる思い。{/netabare}
女子高生たちの心模様を実に上手く表現している。

{netabare}り香の退学を撤回させるために起こした
文芸部たちの人質立てこもり事件。{/netabare}
和沙たちは、自分たちが「青」の世界に
いることに気づく。
そこは、心地良いものだった。
「青」の中にいる少女たちは、大人になるために
自らの色を求めて必死に生きる。
時が過ぎ、環境が大きく変化したとしても、
彼女たちがこの季節を忘れることはないだろう。
(2019年11月3日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 81

62.5 4 ドロドロで百合なアニメランキング4位
捏造トラップ-NTR-(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (222)
923人が棚に入れました
私たちには、カレシに言えない秘密がある。

高校2年生の由真は、生まれて初めてできた彼氏にドキドキの毎日。幼馴染でモテる美少女、蛍につき合い方を相談した由真は、恋愛経験がないことをからかわれ、カレシともしたことがないようなイタズラを仕掛けられてしまい…。エスカレートしていく、蛍との秘め事。そんな関係を拒めず、いつの間にかハマっていく由真。そんなふたりのカレシ持ちJKが織り成す学園ドラマ。

声優・キャラクター
加隈亜衣、五十嵐裕美、小野大輔、逢坂良太

70.0 5 ドロドロで百合なアニメランキング5位
おにいさまへ…(TVアニメ動画)

1991年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (32)
175人が棚に入れました
『ベルサイユのばら』で有名な少女漫画界の巨匠・池田理代子の原作を、名匠・出崎統が監督した学園ロマン。出崎作品の多くで連携する名アニメーター杉野昭夫が、妖しくも美しい、そして胸にしみる作画を表現している。名門私立女子高・清蘭学園。そこではメンバー限定の学生社交グループ“ソロリティ”が絶大な権力を握っていた。その中に何故か入会を許された一少女・御苑生奈々子。彼女の学校生活は、徐々に思わぬ方向に向かう。

声優・キャラクター
笠原弘子、戸田恵子、小山茉美、島本須美、玉川砂記子、神田和佳、堀内賢雄、玄田哲章

イカちゃん☆休止中 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

☆ベルばらの池田先生作品

名門女子高校のドロドロの愛憎劇。

元祖百合アニメみたいな感じです。(*^^*)

「ソロリティ」という選ばれたメンバーのみが
入会できるサークルに選ばれた御苑奈々子と
ソロリティの個性的なメンバーの物語。

NHK 1991.7.14-1992.5.31(全39話)

原作/池田理代子

監督/出崎統


アニメーション制作/手塚プロダクション.NHK エンタープライズ


主観的評価(B)


追記欄_

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3
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