ファッションショーで女子高生なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのファッションショーで女子高生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月02日の時点で一番のファッションショーで女子高生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.5 1 ファッションショーで女子高生なアニメランキング1位
ランウェイで笑って(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (383)
1479人が棚に入れました
身長158cmの藤戸千雪の夢は、パリコレモデル。モデルとして致命的な低身長を理由に、周囲は「諦めろ」と言うが、それでも折れない。そんなとき、家族を養うためにファッションデザイナーの夢を諦めようとする都村育人に出会う。――これは一途に夢を追って走り続ける、2人の物語。

声優・キャラクター
花守ゆみり、花江夏樹

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

マガジン、恐ろしい子…。2期あるなら悪いけど制作会社変更で…。

マガジンといえば、メジャーなのは「はじめの一歩」か「金田一」くらいで少年漫画トップ3では最弱、そんな風に思ってた頃が私にはありました…。


最近ジャンプの弱体が著しく(ヒロアカや鬼滅が好きな人にはすいません)、サンデーなんてもう…って状態で、少年漫画自体が心配になってきてるのだが、マガジンが地味に新たな道を開拓していってるという予感を「進撃」や「声の形」では感じていたが本作でその想いは畏怖にすら変わってきた…。


本作は正直言って作画はあんま良くない。そんなに作画廚ではないが、ファッションを描く話でそれはどうなの?感があるし、原作ファンの方にすれば切りすぎて物足りないという意見もある。しかし、だからこそ私は恐怖ではない震えを覚えたのだ。だって、欠点があるのにこんなに面白いとか…、原作はどんたけ面白いんだよぉー!?。この作品を少年誌でやらせたマガジン編集部が怖い!、有能すぎて怖い。


本作のテーマは単純明快。現代日本で夢を追うなんて馬鹿なこと、身の程を知れ!、お前は天才でも特別でもない、最初から持ってない奴が努力したって無駄なんだ!という世界に対してFUCKサインを突き立てる、「ゾンビランドサガ」や「よりもい」に連なる夢追い人の物語である。


台詞がいちいち箴言を思わせる含みがあるし、キャラもみんな熱い!。千雪が薄っぺらな良い子じゃないのも感情移入できる(ちょっとシロバコのズカちゃんを連想しちゃったじゃねぇか)。展開も次々にピンチが現れて、それを乗り越える王道なものだが、バトルやスポーツと違って単純に勝敗が示しやすくないファッションでそれを成立させてるのは凄い。


シロバコもそうだが、本作も情熱と理想を捨ててない点で見事としか言いようがない。「ゾンビランドサガ」の11話のさくら状態で現実を受け入れたふりして諦めばそりゃ楽だろう。現実なんてこんなもん、自分なんてこんなもんと規定してふて腐れる人間を否定する気はない。しかし、自分の生き方を否定される気がするからって諦めない人を嘲笑するな!。


諦めない人間が必ず成功するとは限らない。しかし、諦めてる奴に成功は絶対ない。仮に夢が叶わなくても夢が変わるかもしれないし、鍛えて得た物は無意味じゃない、なにより自分で自分を恥じることはない。


本作は現実の辛い面を無視して子供じみた全能感に酔うのではなく、現実の苦しみも描く。しかし、彼等は諦めない。計算で考えるなら無謀な賭けを行う夢を追い人、そんな風にしか生きれない人々、でも私は彼等を愛する、彼等だけが無意味と不毛に思える大海を突っ切る偉大な航海者なのだから。どうか彼等に嘲りの笑いではなく喝采を…。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 40
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

やれることもやれないことも何でもやる

原作けっこう既読


「これだけの個性、誰が持ってる?」

一人の野球解説者がその年大注目のドラフト1位の選手について意見を求められこう答えた。
実はこの発言には少し驚いた。リアリズムに徹し、日本シリーズで完全試合目前の投手を9回交替。鉄板のストッパーを投入し勝利をもぎ取った采配。リップサービスとは無縁の人物と思ってたからである。
それまでにこの類まれな個性を持った高校生には「プロはそんなに甘くない」「一つに絞ったほうがいい」一流の元選手、元監督。解説者の多くがそんな言葉を投げかけていた。世間の盛り上がりをよそに“その世界に身を置いた者”だからこその説得力を武器に若者の挑戦を否定的に捉えていた。せいぜい「いいんじゃないんですか。頑張ってほしいですね(棒)」とマイクを向けられた現役選手が当たり障りなく言うくらい。

 {netabare}その道のプロが無理と言ったらそういうもんかと思う{/netabare}

本職の多くが否定的に言うもんで、徐々に投手と野手どっちがいいか?みたいな論へと流れていったのを覚えてる。ドラ1高校生の名は大谷翔平。大谷の挑戦に支持を表明した解説者は落合博満である。落合は続ける。

「あの年のピッチャーNO1ね。バッターNO1。大谷に勝る選手は1人もいなかったの。これは、誰が何を言おうが、これは事実だと思うの」
「じゃあ、どうするんだろうって考えた時に、どっちもトップクラスなんだったら、やりたいならやらせてみなければ。皆が言ってるのは、現場で何をやってるかじゃなくって、考えて、それは無理だろうとか、無茶やるなよって話なんであってね。本人がやるってものを止める必要もないだろうと」

と日本ハム・栗山監督の決断に賛同を示し、自分が監督でも二刀流に挑戦させるとした。リップサービスをする人物でないことは野球ファンなら誰でもおわかりになるだろう。
そして物語の主役大谷は当初の目標でもあったメジャーリーグに舞台を移し、“二刀流”に挑戦中。比較対象がベーブ・ルースだったりする凄さを我々は現在進行形で味わえているのです。


前置き長くなりましたが、この一連をファッションの世界に置き換えた話が本作『ランウェイで笑って』で展開されております。たぶん。

マガジン案件全12話。もの珍しいW主人公スタイル。
パリコレを目指す本作のヒロイン藤戸千雪(CV花守ゆみり)。彼女の身長は158cm。要件と言われる175cm以上を満たしておらず絶望的。救いは夢に向かって腹は据わっていること。「覚悟はいいか?オレはできてる」を地でいく娘。
デザイナー志望(だった)本作の主人公都村育人(CV花江夏樹)。大卒専門卒が要件の業界に於いて進学することを彼の家庭環境が許してくれません。超貧乏で妹たちの学費を稼ぐ使命があるのです。

下手に知ってると無茶なことにしか見えない二人の挑戦。
人事やリーダー経験のある方。才気溢れる都村くんを雇えるでしょうか?
現場で実際に働くとなるといろいろ知識が必要で、そこらへん空っぽです。知識ないから基本的な指示しても「できません」って言うだけだし、何よりこの手の子って繊細な子が多すぎ。となると手間かけて教育しても、勝手に自信喪失してフェードアウトしていったり。丁稚経験ないので理想と現実のギャップとか、学校で専攻してきた人の手際のよさとか見て心が折れちゃう。そんな新人を腐るほどみてきたことでしょう。
千雪の状況はもっと絶望的です。
タッパが要ることには理由があって、その常識は業界あまねく共有されているディシプリンのようなものです。つまり“身長が足りてない”ことでノーチャンス。落とされようが文句は言えません。読者モデルなど雑誌を主戦場にする手はありましょうが、彼女の目標はパリコレをゴールとするショーモデルというのでワンチャンないところからスタートです。

「喝っ!」と張○さんに秒殺されることは確実。まぁハリさんだけなら信憑性怪しくても、ノムさん、原辰徳の優勝経験監督。古田、仁志、谷繁らの理論派。総出で「お前はプロには向かん」と突きつけられる感じです。


という事情も考慮すれば、このお話は“藤戸千雪がパリコレモデルになるまでの物語”“都村育人がトップデザイナーになる物語”である以上に、

 {netabare}“二人の挑戦をご都合主義に見せない物語”{/netabare}

である必要が出てきます。そしてそのことはおおむね達成されています。いちいち気にしてられませんが、ジャイアントキリング要素のある作品は詳細設定をミスると目が当てられなくなりますもんね。
ここのサイトを見てる方でももしかすると甲子園出場経験者おるやもしれませんが、いちいち作品内の野球回ある度に噛みついてられないでしょう。その握り方であの飛距離はありえないみたいな(笑)


さて、原作組からみればアニメは相当端折ってました。アニメ組の方気づきましたか?
決定的な説明不足には陥らなかったまるで都村くんのパッチワークばりの職人技に拍手送りたいです。
そんな駆け足とはみせない駆け足の影響なのか、サブタイトルでの作品タイトル回収が早々{netabare}(第3話){/netabare}にやってきます。
そこで何の疑問も湧かなかったタイトルの意味を理解します。“禁忌”“ダメなもの”“無理なもの”二人が夢を叶えるには常識を覆す覚悟が必要で、それを一言で言い表したタイトルになっとるのです。
そのタイトル回収回はまさにモデルの常識をぶっ壊しながら二人にワンチャンあるかもと光さす前半の勝負回でした。たぶんこのへんまで観て合わないようでしたら撤退でいいんじゃないかと思います。
メインキャラにはあと二人。モデルの才にものすごく恵まれながらデザイナー志望の長谷川心(CV茅野愛衣)。日本のトップブランドのファウンダーでありデザイナーの孫でこれまたものすごく才能あるというか圧倒的な実力の持ち主綾野遠(CV木村良平)。がずっぷりと物語に関わってきます。


そもそもマガジン案件は個人的にいつも楽しんでますのでそれこそ「いつもお世話になっております」的な仕上がりでした。
駆け足だったことの功績で最終話を一区切りとしては最高の断面で幕を閉じられたと思います。中途半端な終わり方をさせずきっちり纏め続編も期待させる理想の“1期”という感じでした。続編を期待したい良作です。



※ネタバレ所感

■セイラさんに始まりセイラさんで終わる

人気モデルのセイラ(CV牧野由依)さん。
{netabare}芸華祭で「これからも頑張ってね。デザイナーとして」と心にトロフィーを渡したトップモデルのセイラさん。他の審査員が綾野にトップ票を入れる中で心に票を入れてます。いやー怖いですね~。とはいえセイラさんの何気ない“いいね”が千雪と育人の運命を変えたのでした。今後もキーパーソンです。

☆原作ネタバレ(重度):セイラさんその後
{netabare}「やっぱり…あの時、心ちゃんじゃなくてアンタを潰しておけばよかった…!!」
セイラさんが誰に向けて言ったかは内緒。{/netabare}{/netabare}



■オーラ

なにげに好きな回{netabare}(第7話){/netabare}
{netabare}雫さん曰くモデルのオーラは体型から放たれるものと心の姿勢(自信)から滲み出る二種類があるらしい。
千雪は後者で立ち向かおうとしたけど、モデルをやめたい心のオーラのほうが遥かに上でその場にいる全員を圧倒してしまったという現実が残酷でよい。手袋用意してたり準備万端で備えているのはチビのほうなのにね。
だいたい負の感情がオーラを遠ざけるなんて迷信みたいなもので、撮影後に千雪は心に悔しさをぶつけてしまったけれど「泣いてない」と必死の抵抗を見せるあたり、ただ可愛いってのではなくて、やれることは何でも実践しようというのが見て取れます。
そういえば、運を集めるとの趣旨でゴミ拾いを率先垂範する大谷選手と同じものを感じますね。小さい粒を一つずつ拾い上げる作業をストイックに実践していくことが夢への道なんでしょう。
そういえばのそういえばで大谷と同じ年のドラ1で4球団の指名を受けて某六甲おろし球団に入団したドラゴンじゃないふじ○み選手とよい比較になります。内容は省略。察しておくれ。

そんな千雪に寄りそう雫さんも良い。
「慰めるよ。ずっと。ずっと」
優しいだけじゃないんですよね。雫さんの覚悟です。

☆原作ネタバレ(中度):雫さんと五十嵐(心のマネージャー)の因縁
{netabare}二人はかつて先輩(五十嵐)後輩(雫)の間柄。当時の雫はバラエティ志望でモデルにやる気はなし。レッスン適当、減量無視で大メシ喰らい。それでも素質はあったので事務所のエースに成りかけていた。
それなのにいきなり雫が最大手の現事務所から無名の新興事務所(ミルネージュ)に移ると言い出す。五十嵐は当然キレて罵詈雑言吐き捨てる。
数年後、五十嵐は身長の伸び悩み(167cm)と共にモデルとしても伸び悩んでいた。そんな頃、雫のパリコレデビューの報。しかも五十嵐が夢見ていたブランド『ラーレフォン』での出演。
そして闇落ち。自分は夢を叶える為に手段など選べるような立場ではないと。それからの彼女は有力者に枕営業の末、憧れだった『ラーレフォン』のランウェイに立つ事に成功。
本番直前、彼女は自分に言い聞かせる。自分は夢を叶えた、自分は幸せなんだと。そう思わないとやってられないから。しかし実際に舞台に立って湧き上がった感情は「何だ、こんなものか」だった。五十嵐はこれを機にモデルを辞めマネージャーとなる。

手段を選ばず夢を叶えたが幸せになれなかった五十嵐。
こっから以降はアニメでも描かれてること。向いてない人間に出来る事は諦めて妥協すること、正面からぶつかって挫折すること、手段を選ばず夢を叶えることの3種類しかないと彼女は信じてる。
千雪は「正面からぶつかって夢を叶える」の4つめの選択肢の只中にいる。かつての自分がダブる五十嵐は雫に引導を渡すよう言うが、雫はすでに千雪と共に歩む覚悟を決めていた。
「慰めるよ。ずっと。ずっと。」にはそんな想いが込められている。{/netabare}{/netabare}



■綾野遠くんのノルマ

デザイナーとパタンナー両方できるのに分業へのプライドで優秀なパタンナー募集中だった綾野くん。
{netabare}目標の名刺53枚越えならずの52枚でした。これトランプでいうジョーカー1枚足りないだけみたいな。
53分の1とはいえそのジョーカー1枚が都村育人という強力なカードであり、ジョーカーを手に入れた綾野くんが今後どう羽ばたいてくかも楽しみな今後でしたね。

育人が11位というのもその理由も納得。才能だけでなんとかなっちゃう物語にしないことで千雪と育人とのバランスが取れ、まるで戦友のような二人の関係に説得力が出てきますもん。{/netabare}




※ここからオマケ

■ViVi

そのまんま名前出てたので協賛か協力してるんすね、きっと。
『ViVi』は女子大か短大っぽいイメージですけど合ってます?あと『CanCan』とかありましたね。そこで大学行った方。周りの女子何読んでました?ウチは『JJ』が圧倒的でしたね。私も買ってました。下手な男性誌買うより女の子と話を合わせやすいし、女の子が家に遊びに来ると雑誌をネタにいろんな駆け引きを楽しめるかも。現役の方はどうぞ!

それはそうとアニメのほうはもうチョイ被服に作画カロリーというかデザインカロリー割いてもよかったかもしれませんね。



■長男

花江さんってそういう運命なんでしょうか。
{netabare}「ああ~…泣きそう。頑張れ長男。負けるな長男」
この鬼滅臭。病弱な育人ママは桑島法子さんが声をあてられてました。{/netabare}

{netabare}別件。『ピアノの森』ではモノローグマシマシでショパンのバラ1を演奏してました。
言わずと知れた『四月は君の嘘』の最終回です。{/netabare}



■主題歌

わたくしややもすると姿勢が隣国に厳しいことを自覚してますが、是々非々でとは思っているのです。
以前ネットコミュニティで東○神起のファンに絡まれたのも嫌な思い出だったり。それは置いといてもEDはちょっといただけない感じでしたね。
ネイティブじゃないアーティストの日本語バラードって発音の違いが目立つもので違和感が残るものです。これは国籍問わず。そのうえ特にお隣の国のアーティストの印象を端的に表すと、

 オーディエンスをうっとりさせるのではなく、本人がうっとりしてる

なんだろう。好きな人ごめんね。あ、それとなんかこの方エイプリルフールでやらかしてたけど、無事ラナウェイ(run away)できてたらいいっすね。



それと最後に一個だけ。
心ちゃんはおそらくモデルとして売れる可能性高しなので、そっちの実績作って知名度上げてから30歳くらいでデザイナーに転身という世界線に身を投じたほうが稼げてると思います。
それに向けたお勉強ということにすれば五十嵐マネの説得材料にはなりそうですがどうでしょう?



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.04.04 初稿
2020.10.14 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 59

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ふたりで歩く奇跡のランウェイ

アニメーション制作:Ezo'la
監督:長山延好、シリーズ構成:待田堂子
キャラクターデザイン:金子美咲、
音楽制作:片山修志、鈴木暁也(Team-MAX)
原作:猪ノ谷言葉

幼いころからパリコレモデルになることを
夢見ていた少女、藤戸千雪。
父はモデル事務所ミルネージュを経営。
才能と環境に恵まれた、
モデルになるために生まれてきたような
少女だと誰もが思っていた。
しかし、彼女の身長は、小学4年生のときの
158センチのまま止まってしまったのだった。

一方、子供の頃から服を作るのが
大好きだった都村育人は、
抜群のファッションセンスとアイデアを持ち、
類まれなる才能を秘めていた。
ところが、母が病気で妹が3人いる
母子家庭の長男のため、服作りの勉強のための
専門学校に行くことは難しい状況。
ファッションデザイナーへの夢を諦めかけていた。

不遇なふたりが偶然に出会う。
そのことによって化学反応が起こる物語。

諦めと挑戦の間で揺れ動く表現がいい。
誰もが無理だと思ってしまう状況のなか、
小さな奇跡をひとつずつ起こすさまは、
観る者にある種のカタルシスを与えてくれる。

折れない心。
いい大人なら、誰もがそんなものは幻想だと知っている。
いくつもの挫折を経験した者は、
可能なことと不可能なことが分かってくる。
現実はそんなに甘くない。
ただ、知識や経験は行動する勇気を
失わせてしまうこともある。

私が好きなプロボクサーのひとりに
今では世界的に有名になった井上尚弥がいる。
彼がバンタム級に階級を上げて、
階級のトップを決めるトーナメントのWBSSに
参戦しようとしていたとき、
アメリカの興行でメインを張れるようになると
私が主張しても、周りの海外ボクシング通からは、
絶対にあり得ない、と断言される始末だった。

もちろん、こういうマイナスの意見は、
ボクシングに精通しているからこその主張でもある。
アメリカのボクシング界において、
バンタム級という軽量級で
メインを張るなんてことは、過去にほぼ例がないからだ。
体の小さい者は、アメリカボクシング界で
大成功することができない。
ある意味、常識のようなものだ。
アメリカに近いメキシコ系ならいざ知らず、
日本人ボクサーが人気になって成功することは、
人種的な興行面から言っても難しかった。
そして、これまでの日本のボクシング史においても
皆無といっていいことだった。

ところが、その話から2年後のWBSSが終わった現在、
「絶対にあり得ない」ことが実現されようとしている。
それどころか、世界のボクシング界の頂点の評価を
日本人が受けるという可能性すら見え始めている。
あまりにも当然のことながら、
挑戦する者だけが、夢を実現させることができる。
周りで騒ぐだけの者が、その挑戦や目標を
完全否定したり、笑うことは正しいのだろうか。

『ランウェイで笑って』は絶対に無理だと
言われることに無謀にも挑戦する
過程を見せる物語だと思う。
そこをどう表現するかがいちばんの見せどころだ。

ファッションデザイナーという職業についての
知識は全くないので、この作品について
どこまでリアリティがあるかは判断できない。
パターンナーを拒否して育人がこだわることや、
作っている服そのものに説得力があるのかも不明。
しかし、そういう細かい判断は関係なく、
最初の3話の流れや仕掛けは、抜群に面白かった。
この3話だけで完結していて、
タイトル回収まで行っている。
心情の変化や、勝負の見せどころの表現は、
リアリティ面は別にしてとても良かった。
しかも、駆け出しの雑誌編集者まで登場させて、
彼女の背景も見せた上で、心が動かされる描写を
入れたのが素晴らしかった。

また、育人が柳田の仕事場で揺れ動く心情を
見えない千雪の背中で押し返してくれる描写もいい。
どれだけ成功している人間でも
折れそうになる瞬間がある。
それを支えてくれるのは、
やはり身近な人たちのこれまでの言葉や
存在そのものなのだ。
人々の心の動きを実に丁寧に表現していた。

4話以降は、服飾芸華大学における
コンテストに参加する育人が中心となる。
そこに、モデルとしての才能に恵まれながらも、
デザイナーになることを切望する長谷川心や
ヨーロッパから帰国した千雪、
有名デザイナーを祖母に持つ綾野遠も加わり、
ラストへ向けて物語が展開される。

登場人物の描写が脇役についても丁寧なのが好感。
心のマネージャー・五十嵐優と
千雪の憧れでもある成岡雫の過去を含めた
掘り下げのシーンひとつとっても
きちんと表現されている。
千雪の歩いた道を後ろから付いていく雫の決意を
ふたりで歩く絵とともに見せる手法など、
心に響く描写がなされている。

個人的にはとても優れた作品だと思うが、
ファッションに対しての知識がない者に対して、
説得力を持たせるところまでは至っていない印象。
不可能なことに挑戦する物語の設定上、
ある程度は仕方がないが、
デザインや技術的なことに対する解説を
もう少し加えたほうが、より話に入り込めるだろう。

とはいえ、目指しているところがはっきりしていて、
キャラクターを深く掘り下げている点は好みだ。
ファッション業界にスポ根の要素を取り入れ、
それが上手く噛み合っている。

ランウェイという言葉には
「助走路」という意味もあるそうだ。
千雪と育人が歩き始めた奇跡のランウェイは、
パリまで届くのだろうか。
(2020年4月18日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 59

79.1 2 ファッションショーで女子高生なアニメランキング2位
僕の心のヤバイやつ 第2期(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (171)
551人が棚に入れました
重度の中二病で陰キャの市川京太郎と、クラスで人気者の山田杏奈。 美少女らしからぬ行動を繰り出す山田に、市川は目を離せずにいた。 そんな市川の恋心を知ってか知らずか、山田は天真爛漫に近づいて来る!! 全く違う世界にいたはずの2人。しかしその距離は、徐々に近づいていき……。

声優・キャラクター
市川京太郎:堀江瞬
山田杏奈:羊宮妃那
小林ちひろ:朝井彩加
関根萌子:潘めぐみ
吉田芹那:種﨑敦美
足立翔:岡本信彦
神崎健太:佐藤元
太田力:福島潤
原穂乃香:豊崎愛生
市川香菜:田村ゆかり
南条ハルヤ:島﨑信長
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

観た後にじんわりくるラブコメの名作 第二章

[2024.3.31見終わって]
最終話みてあらためて思ったこと。
山田さんのことを本気で心配して山田さんの一部になりたいって思う下心なしの純粋な気持ち。
市川くんの山田さんへの想いはもう恋じゃなくて愛だなぁって。

なんていうか、大人の普通の恋愛ものよりも、こういうピュアな恋愛もののほうがココロにくるのって、市川くんのお姉さんの放課後デートじゃないけど、思春期の恋心ってもう二度と味わえないものだから尊く思えちゃうんでしょうね。

市川くんは山田さんのおかげで成長できて、山田さんも市川くんのおかげでもっと自分を好きになれた。
ほんと、とても素敵なラブコメでした。原作者さん、アニメスタッフさんありがとうございました。

ラストで1期OPのヨルシカの「斜陽」が流れる粋な演出にまた涙腺が。。

[初回感想]
1期は私にとって名作でした。
原作の良さをうまく引き出してる演出とリズと青い鳥の音楽などを手掛けた牛尾憲輔さんの静かでエモい劇中曲、そして市川くんが山田さんと出会ってからのココロの動きと成長を丁寧に描かれてて、見てる私のココロを何度もヤバくさせていただきました。

そして待望の2期!!
実は原作も最新刊まで読んでまして、これからの展開はおおよそ知ってはいるんですが、でもだからこそ あの展開を1期と同じスタッフがどうエモく演出してくれて私のココロをヤバくしてくれるのか、楽しみで仕方ありません。

OPの二人のダンス、かわいいですね。スキロー思い出しました。
EDは1期に続いて こはならむさん。今期もまた本編の余韻をいい感じにしてくれそうな曲ですね。

各話感想は以下のとおりです。

ツイヤバ
{netabare}アマプラで12月から公開されてる短編集です。
2期のとこから入って一番上から見れます(^^♪
なんとなくタイトルの音楽とか高木さんっぽい感じしますね。
全部面白かったですけど、「おねえと買い物」「肉まん」が好きかも。
僕ヤバがお好きなら見て損はないと思いますよ☆彡{/netabare}

karte13「僕らは探している」
{netabare}「山田さんは仲いいとかじゃないんで・・」
男の子の照れ隠しあるあるなのかな。。
「・・でも一番・・頼りたいと思ってる・・」
1期の初めの頃に比べてここまでちゃんと自分の気持ちを山田さんに伝えることができるようになった市川くんにじんわり。
自分が載ってる雑誌を見せたい山田さんもかわいい。
「仕事、好きなんだな」
こういうこと好きな子から言われたらすごく嬉しいよね♡
失くしたキーホルダーを必死に探す市川くん。
「ある!絶対にあるから!だから気にするな」
こんな大きな声で山田さんを励ますようになるなんて。。
市川くんの想いと成長にちょっとうるっとしちゃいました。{/netabare}

karte14「僕は大人のなりかけ」
{netabare}好きな相手に自分をもっと知ってほしいって気持ち、よくわかる!
卒業アルバム見せたり、自分のココロの奥底にある思いを打ち明けたくなったり・・
その気持ちをちゃんと優しく受け止めてくれた市川くん。
でもそんな市川くんにもココロの奥底にある不安な気持ちがあって。
少しずつ大人になっていく二人のやりとりが甘酸っぱくてたまりません。。{/netabare}

karte15「僕は山田と」
{netabare}「中学生だから好きなこといっぱい増えて成長して・・環境も心だって変わるんだよ」
市川くんのお姉さんの言葉はそのとおりなんだけど、
「それはない!僕は・・ずっと山田が好きだと思う」
市川くんのこの想いも間違っていない。
2人がこの先どうなっていくかなんて誰にもわからない。
でも山田さんに嘘をつかせたくなくて、真っ直ぐに向き合っていたいって思う
そんなのいやだーって叫びたくなる、山田とつきあいたいってつぶやいて悶えてしまう
思春期の、初恋の、この想いにキュンとしちゃうんですよね。{/netabare}

karte16「山田は僕を」
{netabare}「勘違いしても・・いいよ」
二つに割ったチョコの文字がスから♡に見えたとき。
市川くんの中の、そうだったらいいな・・が確信に変わって。
先輩の言葉に言い返したり、負けずに手を振ったり。。
それも山田さんが自分のことを好きだと分かって、もっと素直に自分の気持ちを出せるようになったから。
早よ告白して付き合えとか思っちゃうかもだけど、こういうもどかしいけど少しずつ進んでいく二人の初初しい恋もいいなぁって思います。{/netabare}

karte17「僕は知りたい」
{netabare}山田は自分と違う景色を見ている・・
それでも・・僕の知らない景色を話す山田は美しいんだ

仕事が好きなんだなって言ってくれた
市川が気づかせてくれたんだよ。。すごく嬉しかった。。

もし山田が普通の中学生に戻ったら・・
もしそうだったらこんなに好きになってない!!
尊敬してるんです・・杏奈さんを

でもなぜかつらい
自分が子供すぎてくやしい

そんな真っ直ぐな市川くんがとても素敵だなって見てて思いました。
こういうところが山田さんも好きになったんだろなって。
自分が撮った山田さんの写真をすごく綺麗だろって素で言ったり。。

次回は原作読んでた時も好きなお話だったので、とても楽しみです♡{/netabare}

karte18「山田は僕が好き」
{netabare}市川くんの周りにくる人が増えて嬉しそうな表情したり、いい先生ですね。
中学生になって、自信が持てなくて自分を嫌いになっていた
でも今は・・
前よりも自分を好きになって信じることができたのは、光と出会ったから。。
二人の勇気のバトンとしての秋田けんたろうのやりとりも良かった。
それを手に握りしめながら、勇気をもらって自分の気持ちを話す山田さん。。
自分の気持ちにちゃんとケジメをつけたり、去り際にわざと連絡先の話したり、先輩も普通にいい人でした。{/netabare}

karte19「僕らは溢れ出る」
{netabare}市川くんのカラオケからのOPの流れ良かった♬
挙動不審になったり、相手の言動に敏感になったり
お互いの気持ちはわかってるのに・・わかってるからこそ落ち着かない気持ち。
お互いに好きだけどまだ恋人になりきれていない二人。
ほんと、ここまで少しずつ進んでく恋する気持ちを丁寧すぎるくらいに描いてるラブコメってなかなかないと思う。
市川くんがマフィンを渡して死ぬほどかわいいって言ったあたりでうるっときちゃいました。。{/netabare}

karte20「僕らは夜更かしした」
{netabare}山田さんが家にお邪魔して妙にテンション上がる市川のお姉さんかわいいw
今回あんまり書く感想ないので、関根のことでも。
関根って山田家でチョコ作りのとき彼女の振りを喜んでやってたり、わざと市川の机で義理チョコ配ったり。
行動の表面だけなぞると市川のことが好きみたいだけど、全然決してそんなことはなくて。
たぶん、モデルやってて彼氏みたいな存在もいる山田に対してのちょっとした思いの裏返しなのかな。。
でも山田のことは友達だと思ってるしちょっとした悪戯だと思うんですけどね。{/netabare}

karte21「僕らは約束した」
{netabare}素でうっまぁ。。って言われたら料理人としては嬉しくなるよねー。
でも本人への告白の前に親に告白って・・w
ラーメン二郎、昔連れてってもらったことあるけど、予想以上に量があって少し残しちゃいましたw
いつも山田さん側に立って気遣いしてる市川くんが素敵。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 34
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

話が重くなるのだから演出と音楽は抑えて欲しかった。

 2期は1期がラブコメ最高の傑作という評価に対して、通常の良作というイメージです。1期が良すぎて原作を読んで…読み込んでしまったというのはあると思います。自分なりの読み方とズレるところの違和感が大きくなったせいかもしれません。それがいいところもありましたけど。
 ただ「京アニ」的なマイナス要素「2期の過剰演出」がちょっとなあ、という感じは確かにあったと思います。

 誰でも、評価が高い作品の2期を作るなら1期の「いいところ」を強調したくなるのは分かります。が、作品の面白さは微妙なチューニングの上に成り立っているものです。それの部分で見辛くなっている気がしました。それとその演出は裏にスタッフの顔色が見えてどうしても距離感が出るというか、冷めてしまいます。

 2期のパートは、劣等感を克服し、相手をリスペクトしつつ成長する、成長を目指すという内容です。家族を巻き込んだり、関根が主人公の理解者になって行く素晴らしい話だと思います。そして最大のイベントもあります。

 つまり、1期の半分コメディだった部分が2~3割になって、恋愛とか内面の部分をクローズアップせざるを得ません。いいかえると内容的にもともとかなり感情的なのです。それを1期のいいところとして、演出と音楽を過剰にしたために非常に感情表現がくどく押しつけがましくなりました。2期はただでさえ、重くエモい話です。

 逆に9話が代表的ですが「面白いところ」のコメディ演出が甘くなって、バランス、チューニングを外している気がしてなりません。ホワイトデイの「可愛い」のところもですね。あとバレンタインチョコづくりの回も演出というか作画含めてよくなかったかなあという気がしています。
 お姉さんのたこ焼き屋の「制服デート」のセリフも、原作だともっと面白く感じたのですが…その辺、間延び…ではないのかもしれませんが、強調するポイントが少し私の感覚とズレている気がしました。

 内容的には11話の足立をキャラとして成立させようとしたのか、運動会とか結構無理もありました。ギャグ要員で終えるべきだったと思います。

 ということで、ストーリーが面白いのは今更ですし、作画も1期よりパワーアップして良くなっています。が、演出と音楽に不満が残りました。2期から後ろは延長戦みたいなものですからね。それでもかなり面白いですけど。まあ、いわゆる原作厨化している自覚はありますけどね。

 卒業までに一回別れる、みたいな大事件が無い限り、早めに終わらせた方がいいと思います。なお、私は関根エンドが見たいです(後日談でよりを戻すのは可。人生において中学時代の恋愛が一生続くのは不自然な気がしますので)。




1話 関根萌子萌え。雪の日のライティングが見事。ただ音楽がちょっと過剰かも。

{netabare} 話が面白いのは原作を読んでますし、いまマンガクロスまで手を出したので語るまでもないです。2期…いきなり関根萌子いいですねえ…私は山田より関根推しです。

 山田はいいんですけどちょっとキャラとして記号化してしまいますので、それを補うのが関根です。この子と姉がいるから2期は面白さが持続すると思います。
 原作の偶然要素を減らして、関根の女気をより鮮明に見せたんですね。この改変はとても良かったです。

 で、ちょっとエモいエピソードではありますが、音楽がうるさかったかも。感情盛り上げなくてもストーリーと声優さんでちゃんとできてるので、過剰な音楽演出は必要ないと思いまますが、1期と同じなんでしょうか?
 音楽に限らず、人気作ですから張り切るのはわかりますが、あまり過剰演出だとうるさくなりますので、チューニングをお願いします。

 一方、雪の日の教室のライティングは見事でした。拡散する光で窓の外の雪がわかる感じでした。シンエイ動画は「高木さん」を初めこのところライティングと撮影が見事です。構図もいいし、アニメらしいアニメを作り続けたシンエイ動画の面目躍如ですね。雪の日のオゾン臭まで感じるような素晴らしい画面でした。


追記 EDのスタッフロールを見たら、オープニングはWIT STUDIOがやったみたいですね。で、ダンスのモーションキャプチャをプロダクションIGみたいです。ダンサーの名前も振付師の名前もクレジットされてますので、このOPの作画カロリーというか制作のカロリーはすごかったですね。


再追記 なぜ秋田犬のキーフォルダーは親切な人に木に掛けられていたのか。雪が降っていたからというのはあるでしょうけど、ちょっと不自然な気もします。
 どうしても市川が山田を見上げる構図を作りたかったのでしょう。キーフォルダーは2人の気持ちのつながりの象徴。それを市川は見つける努力をした。市川は山田を「見上げていた」から「見つけられた」ですね。忘れてはいけないポイントだと思います。

 山田が仕事をしていることに市川が思うところがあるのも「見上げる」構図と関係あるのでしょう。
 親切な人とは関根そのものではないかもしれませんが、原さんなども含め、2人の関係だけではなく周囲の人たちに応援されているというアナロジーにもなっている気がします。

 この辺のエピソードはエモいですが、非常に緻密に物語を紡いでいると思います。{/netabare}


2話 見えているようで見えてなかった山田の内面に触れる回

{netabare}  さて、市川のモノローグで話が進行しますので、どうしても感情移入先は市川になる構造です。

 で、今まで視聴者側も山田について市川に気があるのはもちろんわかっていましたが、山田の内面って結構見えてませんでした。自分がユニークに見られることを喜び、泣き虫だけどネガティブな感情は人に見せないことくらいでしょうか?
(追記 そうそう紅茶花伝は忘れてはいけないポイントですね)

 それが、ここで分かりました。今まで山田のキャラを分かった気になっていましたが、ここで意表を突かれることになります。なるほどな、と。どう読み取るかは人それぞれでいいと思います。

 家にあげる=内面が見えるというアナロジーの効果もあったと思います。以前は山田のジャージを市川は結局着れませんでしたが、服を借りる=山田になってみるという意味もちょっとあるのかな?

 一方で、男である市川が山田を家族に紹介する意味と、女である自分が家族に市川を紹介する意味の差が分かっていない点で、山田がまだ子供だというのも分かります。

 臭いのを気にするというのも、外面は気にしなかった山田の初めての側面だったと思います。人を遠ざけるのを嫌がるという点で前半とつながっている感じです。
 対比として洗濯ものの匂いがありました。この辺は表現が微妙で、距離感が縮まる感じのエピソードはいいんですけど、読み取りずらい部分でした。
 
 今回、マンションのバスルームの描写に注目です。あのユニットバス、山田の家のは高級マンションに入っているタイプだと思います。広さも明確に市川家のとは違いました。原作も確認したら描き分けていましたので、結構細かいところの描写まで気を使っているのがわかります。

 (追記 両家の間取りがコミックに乗ってましたが、戸建て・マンションの違いはあっても全体の広さは同じくらいのイメージでした。ただ、作画を見ると山田家の方が広々と感じます)

 気になった点は、お鍋の具材の切り方が料理をやっている人の切り方でした。卵が割れない設定と矛盾はないのか?という気はしました。母親が用意しているとすると2人前近い分量なのはおかしいですし。{/netabare}


3話 え、作画崩壊?サブキャラがいい回なのに…残念です。

{netabare} ここに来て作画崩壊???というほどではないかもしれませんが、関根を初めサブキャラの作画明らかにおかしかった気がします。動きも少ないしスクロールでごまかしていた感じだし、構図もいまいちだし。

 ですので、ただでさえ原作の読み取りが分かりずらい回なのに余計よくわからない回になってしまいました。そして、関根とお姉さんを初め、サブキャラたちがいい回なのに残念でした。

 うーん…出来は脱落者がでてもおかしくないレベルだったのではないでしょうか?スタッフ大変なら休憩してもいいからクオリティは保ってほしいなあ。来週以降の持ち直しを期待します。 {/netabare}


4話 既刊9巻中で一番乗れなかったパートでしたが、そういう回もあります。

{netabare}  本命と義理の差、言葉なのかチョコの形状なのか。そして失敗してしまったチョコを渡せずにいる山田…と話はわかります。が、山田・関根の2人の言動が分かりずらい回かなと思います。

 山田については、チロルチョコ将棋とか、原さんを見せる、コンビニの場面等々意味はわかりますけど、何か非常に不自然な感じです。視聴者はその不自然さの裏の意図を読み取ってねという回だとは思いますが、心の動きにすんなりと同調できない感じです。

 関根の市川に対する言動はなんでしょうね?「だからイッチの机に…」が何度読んでも理解できませんしアニメでも補完無かったですね。市川の成長を横で見ていて見直しているという感じで来ていますので、友達だと認定したということでしょうか?応援なんでしょうか?

 これはアニメ云々ではなく原作からそうでした。むしろアニメで多少は分かりやすくなっている気もします。

 今回のパートは実は今のところ発売中の既刊9巻の中では一番乗れなかったですね。あともう1カ所あるのですが、まあ、そういう回もあるでしょう。作画が持ち直しているのは良かったと思います。


追記 そうそう、チョコまんを指で撫でたのとカップケーキをちぎった後がハートマークになっているのは、原作よりも非常に分かりやすく表現していました。そうかな、と思ってましたが確信が持ててなかったので、その点で理解は進みました。あとは関根なんですよね…関根がカッコイイんですけど分かりづらい。 {/netabare}


5話 今までの話が回収される回。構成やニュアンスの変更が素晴らしい。

{netabare} マネージャーの諏訪さんは名前が祐希だし、雰囲気的に原作で男か女か不明でしたが、本作を見ると男か?と思ったら声優さんは女性みたいですね…と思ったら、ご本人の写真を見ると…なかなか考えた人選ですね。

 で、お姉さんの制服デートのセリフが最高です。これは私も実感として思ったことがあります。本当に本作はお姉さんと関根を活躍させたのが成功していると思います。

 原作から微妙な修正をしてカーディガンのポケットのところ若干理解しやすいようになっていますね。雪の日の見上げるという表現とか、前回の山田の奇行は、原作だと非常に分かりずらかったです。読み取れているか不安だった部分がアニメで納得できました。

 山田の仕事=容姿もそうですが大人である、責任ある行動ができている…と言う市川の見方が尊敬というセリフになっていました。雪の日に犬が木に掛けられていたから、山田を見上げる構図になったシーンが伏線ですね。もっというと雑誌に写真が載っている…という場面の時系列を変えていました。市川が山田の外見だけでなく内面を理解したいという気持ちが非常に伝わってきたと思います。

 そして、バレンタインの時の言葉で伝える…が活きていました。そしてやっと「キレイ」までは言えました。山田が本当に欲している言葉は背が高のもコンプレックスがあるようで少し違いますけどね。こういうキャラ造形と内面・言動の一致は見事だと思います。

 一方で山田の鍋のところのセリフでは、自分に自信が持てないけど仕事はちゃんとできている。見捨てられる恐怖などが、仕事につながっていて、そういうところを市川には見て欲しい…という劣等感の裏返しでした。

 2期の1話~5話のところが2人の関係性となぜ惹かれ合うのが端的に表現されて好きな場面です。なので4話のチョコのハートや関根のチョコの意味が取りづらいのが勿体ないと思っていました。
 その点アニメで随分と分かりやすくなっていました。構成の変更や細かいニュアンスを変えて、原作で深いのだけど読み取りづらいところが理解しやすくなっていると思います。

 それと最近マンガ・ラノベ・アニメでは「家族」を意図的に排除して作品を作ることが多いですが、本作や「グイグイ」など家族を含めて描いているのがいいですね。主人公・ヒロインが人物が立体的になります。物分かりが良すぎる気もしますけど、トラブルメーカー要員ではないのが自然なのかもしれません。EDを見るとその辺を制作も意識している気がします。

 ただ、やっぱり音楽の使い方には不満があります。エモく作らなくてもいい話です。作品以外の過剰演出は感情の強制になるのでもっと上品に音楽は使って欲しいかな、と。

 前半の区切りになる話かなと思いますので総括です。 {/netabare}


6話 中学校の時って成績は劣等感の克服の役にたたないんですよね。

{netabare}  まあ、この原作者は本当に女性なのか?と思うくらい、中学生男子の気持ちを汲んできますねえ。

 中学生くらいの時って、成績が良い人間からすると成績なんてなんの自慢にもならないというか、だから敢えて関根に自慢するしかないマインドを表したのが見事でした。関根は成績については価値が分かってくれる同士ですからね。
 ここは中学校の時の成績とどういうポジションだったかでひょっとしたら今回6話以降の思い入れは随分と違ってくるかもしれません。
 お姉ちゃんもアホに見えて実は〇〇大学なので、原作者の成績も相当良かったのだと思います。

 小学校の時は素直に自慢できるんですけどね。中学になると他の価値観が目立ってきて成績なんて劣等感の補償にはならないんですよね…2番というのもまた絶妙な感じです。

 中学は女子側も価値観が成績ではなくて、面白さとかルックスとかスポーツとかになって行きますのでこうはなりませんが、山田と先輩との関係性で、劣等感の克服とラブストーリーが上手く物語になっています。

 本作はお互いが好きかどうかという問題はもう前提条件で、市川の成長物語ですから今回が真骨頂と言えます。この後の展開のポイントにもなる回でした。

 そして、過去のいろんな場面が伏線として機能しているのがいいですね。お菓子の袋のときに先生が市川に言ったセリフとか、大晦日の先輩との絡みの伏線を見事に回収してきました。一部アニメオリジナルですけど、この作品のアニオリは原作の意図を分かりやすい形で修正してくるので非常に見やすくなっています。

 やはり力が入った回なのでしょう。演出とか作画、特に後半は素晴らしかったです。

 で、その流れで卒業式の送辞というイベントのエピソードを持って来たのはすごい構成だと思います。決意表明とか過去との決別とかいろんな意味が乗ってきます。
 原作も素晴らしいし、それをアニメ化にあったっていろいろ工夫したところも素晴らしいです。{/netabare}



7話 話が濃すぎてアニメだと刺激が強すぎて見るのがきついです。

{netabare} 話が濃すぎて原作でも気持ち的にきつかったのに、アニメで見せられると刺激が強すぎです。全部見終えるのに何度途中で止めたことか。2期ってどこまでやるんでしょうね。どんどんエモくなるので…見るのが辛い。もちろん見ますけどね。{/netabare}


11話 9話~11話がちょっと…やっぱり1期に比べて落ちているかな

 うん。正直な感想を書くと初めの数話は良かったですけど、アニメ版2期の特に後半は見辛かったです。コミック10巻をもう注文しているファンだし、それは1期のおかげだからいいんですけど、エモさのチューニングを間違っているかな、と思います。

 2人の関係性が濃密でくどくなりますので、演出は意識的に淡白にするぐらいでちょうどよかったと思います。かと思えば9話の父親とのシーンは結構あっさりだったし…そう、9話があまり良くなかったですね。花見のシーンとラーメン屋のシーンはかなりの面白いポイントだったと思うのですが…

 10話の半沢さんももうちょっと魅力的に描けなかったの?と思いますし、11話もそもそも原作で必要あった?と思う回でした。9話~11話は良くなかったと思います。関根が良くなっていくはずなのに、関根の描写が7話以降ものたりないです。

 まあ、原作も後はこれ以上引き延ばすとどんどん凡作化していく懸念があると思います。3期、修学旅行…あるいはライブのシーンまでで良いのでは?という気がします。

 





ツイヤバ 突然のゼロ話でビックリしました。アマプラでどうぞ。

{netabare} 突然のゼロ話でびっくりしました。原作にはないオリジナル脚本がほとんどですので、既読勢としてはうれしい限りです。が、疑問が1つ。これ実質付き合ってるじゃん?

 2期は関根萌子とお姉さんに注目です。

 なお、ゼロ話と書きましたが、アマプラの僕ヤバのシーズン2の「ツイヤバ」をご覧ください。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 16

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

僕の心と君の心のヤバイやつ。私の好きな自己承認の物語。

 遂に来ました2期。最初から市川の誠が示される「カードキャプターさくら」の小狼みたいなエピソードから始まるクライマックスぶり。今回の部分は漫画を少し読んじゃったが、マジにヤベ〜展開になりそうで今から顔がニヤニヤして気持ち悪くなりそうな予感マシマシ。


2話にしてキモくてエモくて心もってくんじゃねぇ!。山田は単なるバカじゃないし、市川は単なる中2でもない。ちゃんと複層的な魅力があって、当たり前を当たり前にやる素晴らしさ。


 7話。ずっと見てきたけど改めて心が溢れ出るような表現の上手さと積み重ねが活きてグッときますね。原さんの可愛さもマシマシ。結局自分を救えるのは自分だけ。でも、周りの人々の助けが必要って点では「聲の形」とかに通じるテーマ性が1期から素晴らしい。それにしても「京太郎」や「キョー君」とか段階を踏んだ方がいいような。


結局キャラ造形の愛がちゃんとしてるからこそ彼等の心に物理的に触れられたような喜びがある。物語は、設定やなんとなくのシチュエーションじゃなくて、地道なわかりやすく目に見えない創作の底力があるかないかに尽きる。あと、井口さんは最高よ!。


 それにしても最終話の展開なんてやはり「聲の形」だなぁ〜。自分を否定してるからこそ世界を否定していた主人公が、人々との出会いの中で自分を受け入れれ、世界を受け入れるようになる。


karte26

「僕は」

「僕が好きだ」

「君とみんながいる世界の一部の」

投稿 : 2024/04/27
♥ : 26
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