めいろ* さんの感想・評価
4.5
お前に清麿の何がわかる
今の年代の方がどれだけ本作品を認知しているかどうか、それこそ僕の認知が及んでいない訳ですが、大衆作品の中から3つ好きな作品を選べと言われたら、必ず本作品を選ぶでしょう。
僕の世代から言わせてもらうと、本作品を見たことが無い人なんてまずいないと思っているのですが、もし、本作品を見たことが無い人がいるのであれば、それが衝撃的だと感じる程の事であります。
大衆作品と言うのは、対象となる年齢幅が広い作品に限られてそういったジャンルになるのだと思います。
しかしながら、大衆作品とは言っても、犬夜叉なんかはある年齢層の人間が真剣に見ると実に深い作品です。そんな作品も大衆向けに属してしまう事を僕は非常に勿体無いと感じるのです。
これはジブリでも言えることでしょう。
と言うのは、何だかその作品の本質は棚にあげられがちだという印象を僕は持っているのですが、これが一般的な印象と相違があれば申し訳ありません。
本作品を僕はもっと子供の頃に見ました。
その本質をきっと理解していないだろう子供の頃の僕が本作品を見て、毎週のようにボロボロと泣いたのです。
結婚して、子供もできた現在の僕が本作品をもう一度見返して、またしても良い大人がボロボロと泣いたのです。
突然ですが、題名に回帰します。
「お前に清麿の何がわかる」
というのは、ガッシュベルの放った台詞です。
主人公の清麿の想いを踏みにじった人間に対して、ガッシュベルがそれを言ったのです。
本作品の大きな特徴として、仲間を想う気持ちの強さが他作品と比べても尋常じゃなく大きい作品です。
誰かが傷ついている時は、身を呈しても、蔑まれたって、どんな事があっても必ず助ける。そういう強い想いです。
本作品には、そういった正義感について作者の想いがとても思い切りよく乗った作品だったと思います。
誰だって最初は弱くて、上手くいかない時もあるけれど、絶対に侵害してはいけないところを踏みにじられた時、果たしてそれを諦めることができるでしょうか。
これだけ強い想いで人間を想う事ができる世界がもしどこかにあるのなら、それこそ金色に輝く素敵な世界なんだと思います。
人間が持つべき根本的な想いを、大人になると忘れがちです。
だからこそ、今見るべきなんです。
本作品を当時と違った視点で、その本質を僕たちは今、感じるべきなんだと思うのです。