三途の川でスタジオディーンなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの三途の川でスタジオディーンな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月03日の時点で一番の三途の川でスタジオディーンなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.0 1 三途の川でスタジオディーンなアニメランキング1位
昭和元禄落語心中 助六再び篇(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (485)
2190人が棚に入れました
八代目八雲に弟子入りして早十年、ひよっこだった与太郎もいよいよ真打に昇進。襲名するのは、八雲の兄弟子であり小夏の父親でもある「助六」の名だった。順風満帆のようにも見えるが、そうもいっていられない。落語はいまや時代に取り残されつつある。父親がいないまま母親となった小夏のことも心配だ。三代目助六となった与太郎は自らがたぐり寄せた縁をしょって立つことができるのか……?

声優・キャラクター
関智一、石田彰、小林ゆう、小松未可子、牛山茂、関俊彦、土師孝也、加瀬康之、須藤翔、遊佐浩二、山寺宏一、林原めぐみ
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

とある落語家の一生と繋いでいく先の物語…人間ドラマのアニメとして傑作

待っていました落語心中。2期は八雲と与太郎改め3代目助六の物語ですね。また、助六と小夏の関係や小夏の子供のこと、昭和元禄の意味など明らかになっていくのでしょうか。本当に楽しみです。

1話…真打昇進でも与太郎は与太郎
{netabare}八雲師匠と先代助六の壮絶な昔話から一転、修行積んできた与太郎がとうとう真打に昇進です。しかも、助六を名乗ることになった。しかし、時はバブルの絶頂期、落語は古いものとして敬遠され客も少なくなり、寄席は1箇所だけになっていた。1期で助六が言っていたことが頭をよぎります。
そんな状況でも与太郎改め助六は相変わらず。人たらしで周りからも好かれ、客席と仲良くなるような感じ。でも落語はちゃんと学んでいて、師匠にきちんとした対応で先代とは大違い。しっかり筋も通す。
小夏にできた子供を引き取り、小夏との生活を決めた助六。いったん決めたら動かない性格も変わりません。
助六の前に現れた人気作家の樋口。助六は樋口と飲み、樋口が先代助六を見ていたこと、落語に対する造詣の深さに興味を引かれ、意気投合する。樋口はかつて、菊比古時代に弟子入り志願して断られた彼だった。樋口が落語の生き残る道として新作を助六に提案し、助六も興味を持つ。
八雲に助六がまた一緒に住むことを宣言し、八雲は諦めにも似た感じで了承するが、新作落語は否定した。八雲は「落語心中する」といい、自分の代で落語は終わらせることを思っていた。

最初の話とはいえ、いきなり深い感じで入るところがいかにも大人のアニメを感じさせます。これをアニメには興味のない親友と見たのですが、すぐに1期を見ると宣言してしまいました。アニメというよりドラマです。人の心情の移り変わりとかどんどん展開されるのでしょうね。毎週楽しみです。{/netabare}

2話…助六のもがき
{netabare}助六の入れ墨写真が週刊誌に載る。過去がばらされTVでも批判される。気にしない助六だったが、レギュラー番組を降板させられたりして仕事が減っていく。助六はもうひとつ悩んでいた。自分の落語が確立できていないこと。先代助六のマネも見破られてうけない、八雲のような色気も出せるわけではない。寄席も盛り上がらない。
樋口に励まされる飲みの席に八雲が。そこで助六は師匠から励まされ、前を向き始める。助六が帰ったあと、樋口と八雲が会話する。八雲は樋口を覚えていた。樋口は驚くが、八雲に言う。八雲の落語を伝えていくこと、新作を作ること、八雲と先代助六の話を伝えることを。

常に前向きにしか生きていない助六も悩むんだな…当たり前か、ひとつの道を極めるのは簡単なことではないし。
八雲も少し変わってきているのかも。小夏の子供がキーになりそうです。そして樋口の言葉の重さ。まだ過去の話に続きがありそうな…{/netabare}

3話…はたして誰の子なのか?
{netabare}助六は稽古と子育てを繰り返す毎日。樋口に誘われ花火見物に来たら、料亭でに親分が来ることを知り、小夏を追いかけ料亭に。
親分に挨拶するも、小夏の子供のことで問いかけ親分にぶん投げられる。殺されるかもしれないと抑えられるも、小夏の子は俺の子だと啖呵きって出ていく助六。小夏の悩みを全部受け止める助六。
八雲と親子会を願う助六に、八雲は居残りを覚えろという条件を出す。そして助六の前で披露するが、それは八雲ではなく、先代助六の話そのものだった。

助六の男気、親分と女将の大人の会話、八雲の落語、濃くて面白く感動もあるというしびれる回でした。助六が少しずつ自分の落語を見つけて感じです。
一期が濃すぎたので、二期の助六はどうかなとも思ったのですが、なんのなんの、とてつもなく魅力的でひかれます。{/netabare}

4話…寿限無教団現れる
{netabare}5年後、子どもは幼稚園に通うようになっていた。助六は人気者になり、寄席も常に満席に。小夏は下座で働いていた。
ある寄せの帰り、八雲の車に樋口が乗り込んだ。新作を見てもらおうとしたが、原稿は八雲に破られた。しかし、樋口も引く気がない。
幼稚園で落語をすることになった助六。子供番組で人気になっていたのは助六が演じていた寿限無。子供たちはすらすらと言え、ノリが良い。そこで助六は小夏を舞台に上げる。戸惑いながらも寿限無を始める小夏。そして客が一緒にノリ、小夏は話しきった。

今回は不思議な感動を覚える回でした。助六が男前なのと、八雲の影の部分が対照的で、一体八雲に何があるのかを知りたくなります。もうひとつ、八雲が子供にメロメロなことにビックリ。そう来たかという感じです。
小夏は落語家になりたいと言っていたことを思い出しました。この流れはそうなるのか?{/netabare}

5話…そこに見えたのはあっちの世界なのか?
{netabare}八雲と助六の親子会が開かれることになった。やりたいといっていた助六だったが、さすがに戸惑いを隠せない。
親子会までの間、助六は居残りについて考える。樋口から居残りだけを集めたテープを借りて勉強する。全員が全員、違うことに気づき、自分の場合を考える。
親子会当日、八雲から近頃の行動について問われる。助六は半端だった背中の刺青に色を入れて完成させたのだ。これが自分の決意だと。そして、居残りも我を出すのではなく、空っぽにして楽しむのだと。
親子会、先に上がった助六は客席を爆笑させる。続いて八雲が「反魂香」を語り始める。八雲の名人芸とも言うべき語りで客席は引き込まれていく。香が焚かれ怪しい雰囲気が包み込む。幕引き直前に異変が起こる。八雲の前に現れたのはみよ吉、それでも最後まで演じ幕が降りる。その瞬間、倒れる八雲。八雲の前に現れたのは先代の助六、助六は八雲の首を絞めるのだった。

八雲師匠の語りが怪しく、枯れ具合も相まって、本当に引き込まれました。石田さん、すごいです。
助六は先代と同じで人を引き付けますが、根本的に違うことがはっきりしました。先代は「客を楽しませる」を第一にしてました。これに対して三代目は自分が楽しまなきゃという心境に至りました。面白い対比です。後半にかけて、この当たりをクローズアップしてくれると面白いなと思います。{/netabare}

6話…そして助六は助六の落語を見つける
{netabare}舞台上で倒れた八雲はそのまま病院へ運ばれた。慌てる助六と小夏。客はこの事を知らず、助六は残って落語を続けることにした。
助六は「居残り」を語りはじめた。枕なし、気も焦るなか、助六は演じ続けた。この話に客はどんどん引き込まれ、笑いが包み込んだ。助六の居残りは最高の出来だった。移動の車中、最高の出来だったのに八雲に聞かせることができず、助六は松田とともに泣いた。
病院へ着くと小夏と萬月が待っていた。八雲は心筋梗塞で、医学部出身の萬月の初期処置が良かったために一命をとり止めたが、意識は戻らなかった。
八雲の意識が戻らないまま一週間が過ぎた。助六は八雲の分まで働いていた。高座上がりの時、席亭から寄席の建て替えを話を聞いた。そこには歴史を積んできた建物への愛情が溢れていた。電車で移動する助六のもとに樋口がやって来た。樋口は助六の演じた居残りを褒め、八雲とも先代とも違う、新たな助六の落語を見たと話した。別れ際、先代のフィルムが残っている可能性があるとと伝えた。
その頃、病院では八雲が意識を取り戻していた。

あという間の30分でした。居残りは圧巻です。聞きやすいし、何よりアニメの良いところを活かした演出がニクいです。
先代のフィルムが残っているということは、真実に迫るということなんでしょうか。ひとつのクライマックスになるのかな?
関西で大きな地震…阪神淡路大震災のことでしょうね。ということは、平成7年か。あれから22年。八雲が生きていたら90越えていたことになるのかな? あの建物が残っていたら、確実に文化財だったはず。{/netabare}

7話…真実を墓場まで持っていくとはこの事を言う(神回)
{netabare}八雲が意識を回復したものの、引退を口にしていた。勝手に病室を抜けてベンチに座っている八雲のもとに小夏が訪れる。八雲は窶れていた。引退する大きな理由は口が回らないということだった。
助六は松田とともに樋口の誘いで先代のフィルムが残る四国へ向かった。あの場所、亀屋旅館だ。亀屋の従業員が迎えにきていて、樋口を「坊っちゃん」と呼び親しげにしたのを見て、助六と松田が驚く。樋口は幼い頃に父親に連れてこられ、以来、ちょくちょく訪れていた場所だったのだ。しかも、ゆりえ(みよ吉)のことも知っていたのだ。みよ吉は亀屋旅館の女中していて、そこから満州に渡り、先代八雲の妾となって菊比古といい感じになっていたと言うのだ。そして、樋口はみよ吉が入れ込んだ菊比古の落語を見て、落語家になろうとして挫折し、現在に至ったのだ。
フィルムが上映される。そこには若き日の八雲が楽しそうに落語を演じていた。そして先代助六のフィルム。助六は観客の一人になっていた。助六の芝浜を見て、助六は泣いた。先代助六は小夏とみよ吉と一緒にいた時間が幸せだったのだろうと。
上映後、みよ吉の墓に向かう助六たち。そこで松田から驚きの話を聞く。助六の本当の最後の話だった。真実は残酷で、みよ吉に刺された助六を菊比古が介抱しているところに松田と小夏が出くわし、小夏は菊比古が指したと勘違いしてしまったところにみよ吉が小夏に謝り、小夏はみよ吉を押し込んでしまい、転落して助六が飛び込み、ともに落ちていったということだったのだ。つまり、二人を落としたのは小夏だったと言うのだ。小夏は気を失い記憶の断片が残り、八雲を親の敵として育ち、八雲は真実を隠したまま小夏を育てたのだ。松田は助六と樋口にこの事を口止めするとともに、八雲の心を救ってほしいと願う。
助六が家に帰ると小夏が待っていた。助六は泣きながら小夏を抱き締めた。

本当に濃い回でした。過去のフィルムで久しぶりに先代助六の落語を見ましたし、若い頃の菊比古の話もたっぷり聞けました。そのフィルムの質感、見事な再現。それと、銀杏並木の落葉風景も見事な色彩でした。
先代助六とみよ吉の最後があまりにも残酷すぎて…。松田さんが小夏に誰の子供か分からない子を宿した時に見たこともないほど怒ったというのも、この事があったからなんでしょうね。なにも言わず小夏に敵と思われても大事に育ててもらった訳ですし。ただ、もうひとつ疑問が。松田さんが話したのは刺された後のこと。刺した瞬間は見てないんですよね。途中まで真実なら、みよ吉に心中迫られた菊比古を庇って助六が刺されたということになりますが、果たして?
それにしても八雲の枯れっぷり、見事です。この八雲見ていると、なぜか歌丸師匠思い出すのですが、歌丸師匠はアクティブなので全然タイプ違いますね…。萬月さんは鶴瓶師匠がモデル?
ともかく、この回はこの作品の神回です。本当にすばらしいアニメです。{/netabare}

8話…この師匠にこの弟子あり
{netabare}萬月師匠と小さな会場で落語会を行う助六。片付けを行う若者は助六の一番弟子だという。いつの間にか弟子を持つようになっていたのだ。
体調の優れない八雲、そんなときに樋口が訪ねてきた。樋口は過去の資料を八雲に見せ、八雲に自分の芸を残すべきと訴え、八雲が残したくないのであれば消去するという。
忙しく働く助六と小夏、河原で佇んでいたときに助六が八雲が歩いているのに気づく。駆け寄る二人に弱気な発言をする八雲だった。
八雲は親分と会っていた。お互いに年老いて、気弱な二人だが、親分は八雲の落語を見たいという。兄貴もまた同じだったが、松田さんが機転を利かす。
八雲と松田が芝居を見物したあと、松田は車を料亭の方へ向けた。そこには助六が待っていて、そこで一席を興じてほしいほしいというものだった。襖を開けると、そこには八雲と親しい面々が揃っていた。まずは助六が話を始める。それは「芝浜」だった。そう、先代のフィルムを見た助六が自分の話として興じたのだ。芝浜を演じられた八雲は心が疼いた、逃げられないと悟り、話を始める決心をした。そして話始めた瞬間、警察が現れそこにいた親分を逮捕した。容疑は銃刀法違反だった…

今週もずっしりと重くなる話でした。枯れ行く八雲に、どんどん前に向かっていく助六の対比がなんとも言えない雰囲気を醸し出しています。
助六が話すのは居残りかと思ったら芝浜、これはさすがにやられました。しかも、上手いもの。あの事を思い出しながら話す助六が涙流すシーンはグッと来ました。そして、ラストの逮捕のシーン…思わず金八二期の加藤が逮捕されるシーンを思い出したのは…俺だけでしょうね…。{/netabare}

9話…そこに現れたのは…死神だった
{netabare}親分は懲役6年だった。八雲、信坊と助六が揃って銭湯に行き、そこで助六が慰問の落語に行こうと八雲を誘う。八雲は刑務所の慰問落語を行う、話は「たちきり」だった。その話は受刑者たちの涙を誘った。話しのなかでみよ吉を見る八雲、それに気づく小夏、さらに小夏が気になる助六だった。
助六の落語会に顔を出す八雲。その途中で抜け出す八雲に樋口が問いかけるが、八雲の助六の評は散々だった。そして樋口に助六へ扇子を渡して欲しいと願う。その扇子は二代目が使っていたあの扇子だ。
ある日、寄席に八雲がやって来た。そこにいた萬月と小太郎を追い出し、一人で舞台に向かった。誰もいない場内、舞台の蝋燭に灯をともし、話を始める。「死神」だった。その語りはその後の流れを案じるかのような枯れはて、怪しいものだった。話が終わろうとするとき、その人が客席に現れた、二代目助六。二人は話し始める。その話の終わりに助六が八雲を捕まえ、甘いと言って蝋燭を客席に投げる。助六は死神に変わっていた。客席が火の海になり、死神に押さえつけられる八雲に、三代目が助けにやってくる。八雲は「死にたくない」と本音を言い、助六に救われる。

枯れていく八雲師匠に追い討ちをかけるみよ吉と先代の助六。覚悟を決めていたのに、最後の最後に死にたくないといった八雲師匠の本当の気持ちが見れて泣けました。ようやく八雲師匠が救われたのではないかと思いたいです。
ここのところずっと重たいのだけど、引き込まれっぱなしで、本当に1話が早いです。石田さんの枯れっぷりの見事さ、やっぱり中の人は大事だと改めて思います。{/netabare}

10話…邂逅…その後に待っているもの
{netabare}寄席は燃え落ちた。間一髪で救われた八雲は病院へ、助六は寄席の後片付けに。席亭から「元気でいりゃ落語なんざどこでもできる」「お前がいてくれて本当によかった」と声をかけられる。
桜の咲く時期、小夏と話す助六。いつものとおりの会話の中で、小夏のお腹には助六の子供が宿ったことを知り喜ぶ二人。
樋口と助六が落語について話す。新作は師匠の目の黒いうちはやらないという。そして、師匠と自分の関係について語る。
病院から戻った八雲。小夏と話す。小夏がこれまで見せたこともない、八雲への思いと感謝を語る。八雲の表情もこれまでに見たこともないくらい柔らかいものだった。助六の落語がラジオから流れ、笑う二人。そこへ信之助が元気に帰ってくる。静かで暖かい時が流れる。
そして、場面は突然変わる。廊下と思しき場所に倒れた八雲に、再び先代助六が近寄ってきた…。

この回は30分、涙溜めっぱなしでした。席亭の言葉、小夏と助六の子供が宿ったこと、小夏と八雲の会話と、八雲の表情。ようやく小夏と八雲が邂逅した感じです。枯れ果てた八雲が、なにかツキが取れたようなやさしい表情をしたのがすごく印象的で、なんだかんだ言いながらも先代とみよ吉の子供を育ててきて、ぶっきらぼうでも、ちゃんと分かってくれたことが嬉しかったのか、本当に泣けました。
それにしても、またもや先代助六が現れたけど、今度ばかりは嫌な感じです。だって、次回予告に人物登場してないし…せっかく生き延びて、ようやく穏やかになれたというのに…。{/netabare}

11話…別れは悲しまないように
{netabare}倒れた八雲に寄ってきた先代助六は言う「おめぇさん、死んじまったんだよ」と。そう、ここは死後の世界への入り口だった。助六から死んでしまった理由が聞かされる。穏やかだった午後のひとときのあと、様態が急変し、逝ってしまったのだという。
助六から三途の川の渡船場を案内される。そこは賑やかな街場だった。人生全うした人は懐が多目に渡されすぐに渡れるのだが、助六は少ない上にあの性格である。懐が貯まるわけがなかった。
ここは死後の世界。容姿も変えられるということで助六は信さん、八雲は坊となって昔の二人の会話を始める。風呂場では助六と菊比古になり、会話のなかで助六が刺された本当の理由がさらりと明かされる。助六は小夏を残したことを悔いていたが、菊比古が育て上げたことに感謝した。
風呂上がり、みよ吉が助六のもとに来て文句をいう。そこに菊比古が居たもので助六を差し置いて二人っきりになり会話する。みよ吉は明るかった。そして、助六を大事に思っていた。菊比古の後悔はすうっと消えた。
助六が菊比古とみよ吉を連れて寄席に向かった。なんでも燃え落ちた寄席がここにやって来たのだという。そこには鬼籍の名人たちの名前がずらりと並び、連日演じられているのだという。早速「八代目八雲」の名前があり、八雲はやれやれと思う。
助六が舞台に上がり、話を始める。みよ吉と菊比古の間に子供の頃の小夏が座る。なんでも、最も話を聞かせたい人が一人座れるのだという。場を盛り上げる助六の落語。小夏もみよ吉の膝に座りニコニコ笑っている。
助六のあとを菊比古が話すことになる。助六のあとは嫌だという菊比古に、助六は背中を押す。菊比古は意を決し、八雲の姿となって話を始める。八雲が話を聞かせたかったのは信之助だった。
いよいよ八雲が三途の川を渡るときがきた。助六と八雲、永遠の別れである。二人はまたいつか会おうと約束し、船出する。船頭は松田さんだった。驚く八雲だったが、松田は八雲を見送るのが仕事だと言ってにっこり笑った。

悲しいはずの別れをこのような表現にするとは…かえって泣けました。助六と菊比古の話が全て繋がって、これで二人の物語が終わるんだなと実感しました。
二人のやり取りとみよ吉の話し。全てがきれいにまとまって、本当にいい話です。
最後の最後に松田さん、まさか連れていっていなよね?
もう一話、かなり現代っぽいけど、何年先のことなんだろう。どんな終わりかたにするのか、楽しみでもあり、寂しくもあります…{/netabare}

12話…大団円!この先も繋いでいく物語
{netabare}話は現代に進む。成長した信之助と八雲が亡くなったときには小夏のお腹にいた小雪は高校生になっていた。信之助は落語家になっていたが、どうやら天才と騒がれ、10人抜きで二つ目に昇進していた。
レコード会社との打ち合わせをすっ飛ばし、小夏からこっぴどく叱られる信之助、そこには樋口も同席していた。新之助と小雪が帰った後、樋口から八雲全集が完成しそうだと聞かされ、それに伴う評伝の内容で、どうしても小夏に確認しておきたいことがあったらしい。それは「信之助はひょっとして八雲の子供なのでは?」ということだった。小夏は八雲のことを語り「本当のことは墓場まで持っていく」と言って真実は話さなかった。
新しい寄席が完成し、また、助六は「九代目八雲」として大名跡を継ぐことになった。お練は神輿担いで賑やかに、いかにも与太らしいお練であった。寄席のこけら落とし。口上も軽やかに、これからの落語会のことを明るく話す、本当に明るい未来を描いている感じが伝わる。
先を務めたのは「五代目菊比古」こと信之助だった。そしてトリは「九代目八雲」である。死神を話す。そのクライマックス、八雲が見たものは先代だった。「お前にも見えるようになったかい、哀れだねぇ」と話しかける先代。ハッとなり締める八雲だった。
興行も終わり、桜を眺める八雲と樋口、それに松田さん。松田さんは95歳になっていた。これまでの思い出を話し、良かったと語る松田さん。
樋口と八雲、樋口は先代のことを、そして、与太のことを云々語るが八雲は流す。たった一言「こんなおもしれぇものが無くなるわけねぇべ」と言って。

終わった…。墓場まで持っていくと言った小夏。信之助の本当の父親のこと、先代助六の本当の最後、小夏も与太も互いに墓場まで持っていく話はあれど、たぶん、二人とも知りたくないだろうし、最後まで知らないままでいいのだろうと思います。この話には面倒なことは抜きにして進んでいく展開が似合います。にしても、信之助の姿が若いころの菊比古に似せたのがなんともね…
「助六が八雲になる」これは大きなテーマのひとつだったと思うのです。初代も二代もできなかったことを三代目で成し遂げた、与太郎という人物だからこそ成しえたのだろうと解釈します。
樋口が言っていた「一人で潰すこともできれば、一人で復活させることもできる」これは重い言葉だったなと思います。本当にそうですね、どこの世界にでもある話ではないかと思います。
これで千秋楽。すばらしい物語でした。{/netabare}

まずはこれをアニメにした製作陣に大拍手を贈ります。また、命を吹き込んだ声優陣にも大拍手です。中の人たちが一人でも違っていたら、まったく別の作品になったことでしょう。パーフェクトな陣容でした。

ちょっと感動しすぎて、何を書いたらいいのか戸惑っています。内容について書こうとしても、登場人物に書こうとしても、何を書いても陳腐な感じがして、少し間をとって、もう一度1期から見直して、加えようかと思います。

とある落語家の一生と出来事。昭和から平成をまたいだ時代の移り変わりも加わる人間ドラマです。ドラマ好きの人が見て損は感じない作品に仕上がっていますので、多くの人にお勧めしたいアニメです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 41

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

筆舌に尽くしがたい名作

☆物語&感想☆

近年稀に見る素晴らしい作品に出会えた2017年冬アニメの中でも、感想を書くのが遅くなった。
と言うより、最終話を観終えてから暫く書けなかった、というのが正直なところ。
(因みにこの文章を書くまでに、合計4回は通して鑑賞している)
今でもこの作品について、作品に相応しくない浅い文章しか書けない自分の能力では、
この作品の魅力や深みをどうやっても伝え切れない、というのが歯痒くて仕方がない。。
いっそのこと、書くのは辞めておこう...と思っていたのだが、
やはり、一人でも多くの人にこの素晴らしい作品を知ってもらいたいと思って、駄文ながらも思ったことを書いている。
独りよがり的な文章になってしまったが、思いが強すぎる作品ゆえご容赦願いたい。

あれほど素晴らしい1期があっての2期、視聴には本当に大きな期待を寄せていた。
と同時に、果たしてあの1期を越えることが出来るのか?という大きな不安も抱えていた。
しかし、その考えは誤りだった。
1期と2期、分割されてはいるものの、それは便宜上のもので物語としては何も分かれていない。
「あにこれ」でも別々に分けられているが、この作品を評価するにあたっては、
1期、2期という観方では推し量れない。
分割2クール、あくまでも継続した一つの物語、という捉え方をして観ないとまず評価自体が出来ない。

そういう観方をしていなかった当初は、2期は1期に比べてかなりシリアス&重くて地味な印象を持っていた。
作品としての面白さや楽しさ、という面でも1期には劣るんじゃないか、とも感じていた。
ある意味それは正しいとも思えるが、作品をしっかりと観ていくと、この作品の本質は2期に有るということが解る。
そして、それは1期を踏まえていないと理解できないものだ。
なので、そもそも1期と2期を比べること自体が間違っていた。

シリアスで重い場面が多くなったのは、1期があんな終わり方をしたのだから、当然といえば当然。
八雲、小夏、与太郎、三者の抱えているものを、観ている側が事前に踏まえて鑑賞に臨まなければいけない。
これから観る方は1期から観直す事ができるなら、それに越したことはないと思う。

物語の内容的に、心躍るような展開は少なくなったが、人間の業と因果、宿命、因縁、運命を描いた1期から、
2期は更に作品としての重みと深みが増しており、視聴者も半端な気持ちで向き合ってはいけないレベルになった。
キャラクターの一言一言に込められた「深すぎる思い」を慮って受け止めなければ、
到底この作品の良さなど理解できない。
そして、本気で向き合った視聴者は、この作品の一話一話の体感が短く感じ、
毎話もうエンド・クレジット?と時間の経過を早く感じたことだろう。

一見2期は地味なように思えるが、実は各話に名台詞、名シーンとも言える見せ場が必ずあり、
毎回のように涙を誘われる。EDへの引きの良さも1期同様に溜息の出る仕上がりだ。
振り返れば最初の1話で、既にこの作品が近年稀に見る傑作になるというのは充分に確信できた。
それほど、1話にはこの作品で原作者が描きたかったこと、落語への思いが込められている事が解る。
更に1期から通して振り返ってみても、2期の最終話まで1話たりとも中だるみせず、
全く無駄のない物語だということが解る。

是非作品を観て実際に感じてもらいたいので、内容には具体的にはあまり触れたくないのだが...
2期では1期の因果、宿命、因縁、運命、人間の業、それに加えて様々な形の「深すぎる愛」が描かれている。
簡単に言ってしまえば、師弟の愛、夫婦の愛、親子の愛、芸への愛、そして原作者自身の落語への愛...
また、その愛情表現が決して直接的な台詞で相手に伝えるのではない、という所が実に奥ゆかしい。
人間誰でも人に言えないこと、言いたくないことなんて生きていれば一つや二つはあるもの。。
この作品では敢えて言わないことが、相手への最大限の優しさであり、愛なのだ。

八雲の小夏への思い、愛情は最後まで面と向かって口に出すことはなくとも、
彼が背負って生きてきたものの重さははかり知れず想像を絶するもので、到底涙無しには観れない。
そして、恨み辛みを超え真に繋がり合えた矢先に八雲は...なんと人生の儚いことか。。

しかしながら八雲が可哀想、不幸な人生を送った、と考えるのは見当違いだ。
終盤11話12話の展開を観れば、「あの日」から落語と心中することを本懐とし生きてきたものの、
実際は捨てきれない未練、葛藤とともに生きてきた「結果」が実に巧く描かれている。
これが本当の人間らしさ、というものだろう。10話で八雲が小夏に対して最後に語った言葉がとても印象的だ。
八雲は落語と心中できたのか?与太郎と交わした3つの約束はどうなったのか?
是非ともその結末を確かめてみて欲しい。

主人公八雲に関して少しだけ触れてみたものの、
助六、小夏、みよ吉、松田さん...登場人物それぞれの思いを書いているとキリがない。
やはり文章では伝えきれないと思う。
移りゆく時代の中での落語という存在、師匠が弟子に繋いでいく名跡など、
キャラ以外の落語そのものの描かれ方だけでも、深すぎて全く書ける自信がない。
結局はとにかく観て感じてもらうしか無い、という事になるので、
ちゃんとしたレビューになっていないのは申し訳ないと思うのだが笑

誰もが気になるだろう、一つ大きな謎(信乃助の父親の件)は残されたが、
作家の先生の妄言に小夏が明確に否定しておらず、慎之介の姿が在りし日の菊比古を思わせるのが、
何とも夢のある話だが、観る者の想像(妄想)に任せる、というのは決して悪くないと思う。
(普通に考えるとあり得ないとは思うが、あれほど似ていると妄想してしまいたくもなる笑)
小夏もまた言わずに墓場まで持っていくというのは、彼女の愛に溢れた優しさ、粋な計らいではないか。

☆声優☆

石田彰の演技は1期の時点でも凄かったのに、2期ではより深みを増し、
もはや彼自身が演じた八雲同様に、名人芸とも言えるレベルに達している。
落語の場面だけでも凄すぎるのだが、年老いて枯れてゆく八雲という人物を見事に演じきっていて圧巻。
アニメの歴史上でも間違いなく語り継がれていく名演だろう。

1期では出番の少なかった関智一演じる与太郎改め3代目助六の落語も、
八雲、先代助六両方をリスペクトした素晴らしいものを見せてくれた。
自分の落語を見つけるまでの苦悩の過程、迷走する落語から自分の型を見つけた後まで、よく区別して演じられている。
8話の先代助六をコピーした芝浜には涙。。
そして最終話の八雲への手向けとして演じた死神では、最後にあんなオチまで。

小林ゆうは女性声優としては個性的過ぎる低音ハスキーボイスで、
作品によってはイロモノ的な役回りをこなしているが、それは演じる役どころが幅広いということであり、
むしろこの作品を観て、やはり演技派の声優であることを再認識した。
自身が取り組んでいる落語の実力を見事に発揮してみせた4話はとても感慨深く、
また、年月を経た熟女の演技では更にトーンを落とし懐の深さを示してみせた。
一つの作品の中で、幼女から熟女まで演じるというのは、実力の無い声優が到底演じれるべくもない。

2期で出てきた小松未可子も得意のショタ声を遺憾なく発揮しており、納得の配役。
アニメではなかなか聞くことの出来ない、本物の京都弁を操る遊佐浩二を選んだのもまた心憎い。
また、1期に比べ出番が少なく寂しく思っていた、山寺宏一と林原めぐみも、
11話ではじっくりと堪能させてもらった。
山ちゃんの演技、存在感、台詞の説得力は実力派揃いの声優の中でも、やはり抜きん出ていて惚れ惚れする。

この作品は1話毎にかなりの年月が過ぎていたりするのだが、
声優がその過ぎゆく年月に合わせて声のトーンを実に上手く演じ分けている。(石田彰が特に凄すぎる笑)
落語シーンばかりに目が行きがちだが、主要キャラ以外も含め、
やはり基本的な演技自体が素晴らしく文句の付けようがない。

唯でさえ実力のある声優が、それこそ一生懸命に何度も何度も繰り返し練習したのだろうな、
というのがしみじみと良く判る。
ここまで声優の努力と本気を窺い知れる作品は、今後もそう簡単には出てこないかも知れない。
多くの声優にとってもバイブル的な作品になったのではないだろうか。

☆キャラ☆

1期でも同様のことを書いていると思うが、
キャラクターの価値というものは、声優の演技と台詞の質によって決まってくると思っている。
優れた演技、深みのある台詞が観るものの心を動かすというのは、この作品を観れば明らかだ。
そして、各キャラクターの抱える思い、これが深すぎて駄文しか書けない自分には言葉で言い表すことが出来ない。
原作者の人間描写力と細やかさに、ただただ感嘆するばかりだ。

メインの人物ではないものの、2期で登場する作家の先生(1期で弟子入りを断られた人物)が、
物語上でかなり重要な役割を果たしている。弟子入りの場面だけでなく、みよ吉ともつながっている過去...
本当によく考えられたキャラクターだ。
彼の言葉から、原作者の落語への考えや思いが垣間見える。

☆作画☆

1期と特に変わりなく安心して観られるもので、
とりわけ派手な作画が要求される作品ではないが、キャラクターの細かい表情の変化などはしっかりと描写されている。
うつりゆく時代をノスタルジックに描く、背景のボカシ加減が実に味わい深い。

☆音楽☆

OPは1期に引き続き椎名林檎&林原めぐみが担当しているが、
最初聴いた時はOPにしてはなんちゅう辛気臭い曲だ、と1期に比べてあまり好意的ではなかったのだが、
不穏過ぎるOPアニメーションは、八雲に死神が見せている幻と解釈すると、曲調にも納得がいく。
それに対するED、こちらも1期同様のインスト曲で、
毎回のEDへの引きの良さも相まって、余韻に浸れる味わい深さがあり、
また、不穏なOPとは対照的な晴れやかさで、物語の結末を暗示しているかのような素晴らしいものだった。
そして12話のラスト、1期のEDと作中落語の名シーンが流れる演出&エンドロールには号泣必至。。

作中BGMも1期同様に澁江夏奈さんによるJAZZのエッセンスをベースとした、
様々な楽器が使われた豪華なもので、サントラが欲しくなる出来、実に渋く味わい深い。
自分はBGMの評価をする場合に重視しているのが、サンプリングの音源でパソコンで作れるものか、
生音を実際にレコーディングしているかどうか、という点。
(他の人はどうでも良いと思う所だろうが、一応自分も音楽をかじっている身なので)
昨今のデジタル技術ではちょっと聴いたくらいではなかなか判断できなかったりするものだが、
この作品の音楽を聞く限り、生音に拘った作りであることは明らかで、
相当な拘りと予算を使って制作されているというのが窺える。


この作品は多くの人に観てもらいたいと思うが、
これだけ重く深くシリアスな物語だから、
軽い気持ちでアニメを楽しみたい、という人には到底合わないだろうしオススメしない。
先程も書いた通り、台詞一言一言に集中してそのキャラの思いを慮って観なければ良さは理解できないし、
原作者&制作側の仕掛けた粋な演出や伏線にも気付けないだろう。
当然ながら年齢の低い方には共感できない部分が多いことと思うし、万人向けの作品でないのでそれは仕方がない。
一見取っ付きにくい落語という世界を扱っているので視聴は気が引ける、これも理解できる。
(落語の内容が解るかどうかはそんなに重要ではないし、知りたければググればすぐ出てくるが)

それでも10年20年経って、何かの縁で作品を思い出した時にでも観て欲しい。
この作品で描かれていることは、何十年経ったとしても色褪せることのないものだ。
自分はこの作品を、たとえジジイになっても愛しているだろうと自信を持って言える。
本当に名作と呼べるものは、そういうものではないだろうか。

2期だけでなく1期を通じて一つの物語として評価するに於いて、オリジナリティという面でも傑出しており、
自分がアニメに求めているもので、もはやこれ以上のものは望むべくもない。
原作者並びに製作に関わった方々の尽力には心から感謝したい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 23
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

刺繍だらけの鯔背な哥々

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
「粋」な八雲と、「いなせ」な与太郎、「小粋」な千夏。江戸時代の美意識によって生まれたようなキャラクターが魅力的でした。

相変わらずの「落語」の迫力(声優さんに拍手)!

1期のようなドロドロが減り、グッと観やすくなった印象。わりと(大人同士の)恋愛面がよくて、、、ていうか、小夏姉さん可愛いっす♪

序盤こそ停滞気味ですが、中盤以降はグッと惹き付けられますので、視聴を断念しないほうが吉です♪

1期から継続して、これだけガッチリとストーリーを魅せてくれるアニメもなかなかありませんので、絶讚オススメです(ただし、シリアス好きに限る)♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
紛らわしいので、三代目助六は「与太郎」。二代目助六は「助六」と表記します。

いや~、姉さん女房も良いな~と思いました(笑)

1期は正に「愛憎」を表現した名作でしたが、2期はその「憎」をぬぐい去った、「愛」の物語だと思いました。

与太郎が小夏や信之助に向ける愛。小夏が与太郎や信之助に向ける愛。与太郎や八雲が落語や助六に向ける愛。与太郎や小夏、松田さんらが八雲に向ける愛。そして、八雲が助六やみよ吉、小夏に向ける愛。

シンプルなものから複雑な(歪んだ)ものまであるけれど、「愛」という点で共通していたように思います。

10話(縁側で小夏が八雲に弟子入りを頼む回)は、それが結実した神回だと思います。

「ツンデレ」というのはアニメ定番の展開ですが、ある意味では八雲や小夏もツンデレw しかし、これほど幅と尺と深みがあるデレは記憶にありません。デレというより、「ほぐれた」という感じでしょうか。

栄枯盛衰を表す桜吹雪の中、古びた演芸場に代わり、ラジオで落語を披露する与太郎。育つ次の世代(信之助)。与太郎も予期した、女性落語家(小夏)の誕生。新たに宿る生命。それらを穏やかに微笑み見守る八雲。

おそらくあの瞬間、小夏による「八雲殺し」が実ったのだと思います。

でもそれは、八雲も小夏も予期せぬ「愛す」「認める」という方法で成されました。

殺された八雲は、過去に囚われていた八雲なのでしょう。眠るように、穏やかに往生を遂げた八雲の死に際が、それを示していると思います。

11話は、火事のくだりを生かす伏線回収と、高座に現れた八雲が年老いていたことが上手かったです。年齢を自在に変えられる死後の空間であることを考えると、それは八雲のピークが年老いてからきたということを示しているのでしょう。新しいものが台頭してくる中でも古いものにも価値を認めていく、そんな落語らしい温かさを感じました。

12話は、総括としての存在価値がありましたね。ついに物語が現代に繋がり、未来への希望も示しました。松田さん、本当に泣かせてくれます。与太郎が八雲を継ぎ、「死神」を演じるのも、作品の出発点に回帰するようで良かったです。

※ここから酷評です。

ただ、信之助の父親の話は、親分への恩や、信之助の容姿を観れば想像はつくわけで、ああはっきりと言うのは、「不粋」だと思いました。

信之助を、「八雲と助六という、本来交わることのない二人の血筋が混ざり会う存在」にしたかったのでしょうが、元々、「助六と血の繋がりのない与太郎が、助六の生き写しである」ということが出発点にある作品。血を超越した部分に流れる確かな師弟愛(や親子の情)を表現していたのに、「え? 結局血筋なの?」と思い、色んなことが台無しになりました。

「そういう設定を思い付いたから使いたい」「小夏の微妙な心理を表現したい」のはよく分かりますが、視聴(読)者の心理には寄り添えてないと思います。あのまま親分との子供、確実に芽生えていた親子愛、で充分でした(もしくは、「もしかしたら……?」と、視聴者の想像をかきたてるくらいで良かったと思います)。

本当は、評価5をつけようと思っていたけど、このシーンの不粋さで4にしました。危うく、3を付けるところでしたし。

とはいえ、この物語、10話、11話、12話と、3回の最終回があり、それでも感動が薄れないのは、やはりそれだけの厚みがあったということでしょうね。最終のひとつの不粋な展開で、全てを否定するのも、それはそれで不粋かな、とも思いまして。

ちなみに、レビュータイトルですが、「ほりものだらけのいなせなあにい」と読みます。

初代三遊亭圓楽の創作落語で、桂歌丸さんなどが得意にしていた、「塩原多助一代記」の有名な一節です(Wikiにも載っているくらいですから)。詳細は最後の余談で触れますが、この「塩原多助一代記」、妙に「昭和元禄落語心中」とかぶる部分があり、「刺繍だらけの鯔背な哥々(イレズミをしているきっぷの良い若い男)」は、主人公の与太郎(三代目助六)をよく表している気がして、レビュータイトルにしました。
{/netabare}

【余談 ~ 塩原多助一代記 ~】
{netabare}
塩原多助一代記は、江戸時代に実在した「塩原太助」という豪商をモデルにした、人情噺です。「塩原太助」は裸一貫から身を起こし、大商人へと成り上がった人物で、「本所に過ぎたるものが二つあり、津軽屋敷に炭屋塩原」という言葉ができるような人物でした。「塩原多助一代記」は、こうした「塩原太助」のサクセスストーリーを描いた立身出世の物語で、明治天皇の前で演じられたり、五代目尾上菊五郎によって歌舞伎の演目にされるなど、とてもヒットした噺です(Wikiを要約)。

さて、あらすじをだらだら書くのは大変なので、なんとなく「昭和元禄落語心中」と似ていると感じる部分を箇条書きにします。

①裸一貫からの立身出世の物語→主人公の与太郎の人生になぞらえられる。

②多助は、塩原家に養子として引き取られる→少年時代の八雲(菊比古)も養子として弟子入りしている。

③多助の嫁のお栄(とその母、お亀)は悪女で、浮気三昧です。→小夏の母親、みよ吉に被る部分もあります。そして、みよ吉や小夏を母や姉のように可愛がってくれた料亭の女将がお栄。

④多助の代わりに愛馬をひいていた多助の友達が、お栄の愛人に(多助と間違われ)殺されます。多助は江戸に逃げ、怒った愛馬はお栄を殺します。→登場人物の死は、1期ラストっぽい(こじつけ)?

→この後は、炭屋で一生懸命働き、自分の店を構え、一途な娘を妻に向かえ、炭屋として大成功を収める多助の人生が描かれますが、あまり本作には関係なさそうですね。

やっぱり、「昭和元禄落語心中」の「モデル」というには根拠が弱いと思います。でも、共通する部分や雰囲気は多々あり、それはつまり、本作自体が「落語らしいストーリーや設定である」ということなんだろうと思います。(どっかで公式に肯定や否定や公開をされているかは知りませんw)
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
冒頭から、落語風の1期紹介。ここから入る人にも、前作からの人にも良いし。与太郎と小夏のラブストーリーも良いね。一風変わってるところが。

2話目
子供が3人って、上手いこと言うね。冒頭からのシリアスに落語のフルサイズ、しかも上手くいかない落語を。これは、2期からの視聴者が振り落とされることもあるな~。

3話目
ほ~、なかなかドラマですな。魅せますな。なんか粋というか、いなせ ですな~。

4話目
小夏と与太郎がすっかり親バカにw 小夏にときめくな~♪

5話目
感想を忘れるくらい引き込まれた。5分に感じた。

6話目
今回も引き込まれた。寄席の建て替え話も心に響いた。

7話目
松田さん、正に「侍」ですな。ここで、1期の展開の裏切り(真実)か。泣けるな。

8話目
八雲を騙した時のこなつの舌だし、萌えたw 芝浜。筋は完璧に覚えたw

9話目
まあ、OPでなんとなく予想ついてた展開。心中失敗だね。

10話目
素直な八雲に素直な小夏。ある意味では「デレ」w このくらい幅と尺と深みがあるデレは観たことないな。

11話目
死後の世界、はともかく、寄席の火事がここで生きてくるのは上手いね。末席に八雲とか、粋だな~。最後に八雲が年老いた姿で現れたのは、その「年老いた時」こそが八雲の最盛期だってことでしょう。素敵な演出でした。松田さんも……。ちょっと泣きました。

12話目
松田さん、生きてた(笑) 信之助の父は……まあ、容姿的にも、組長への「恩」から言っても予想ついてたから、あえて言わなくても良かったかな。蛇足ですよ。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 38

71.1 2 三途の川でスタジオディーンなアニメランキング2位
地獄少女(TVアニメ動画)

2005年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (813)
5078人が棚に入れました
最近、巷に或る都市伝説めいた噂が流れていた…。
深夜0時にだけアクセスできる「地獄通信」に怨みを書き込めば、どこからともなく「地獄少女」が現れて、憎い相手を地獄に堕としてくれる。晴らせぬ怨みや世に不条理はつきもの。納得できない理由や状況に抗えぬままに悲惨な運命を辿る者は多い。
地獄少女=「閻魔あい」は彼らの悲痛な叫びを聞きとげ、依頼主に契約の証である藁人形を渡し、「地獄流し」へ至る方法を語る。ただし、「その代償として自分自身も死後は地獄で永遠に苦しむことになる」とも言う。
地獄少女は全てを見通すかの様な涼やかな瞳を相手に向け、ただ一言告げる。「あとは、あなたが決める事よ」と…。

声優・キャラクター
能登麻美子、松風雅也、本田貴子、菅生隆之
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

人の世は諸行無常

本作はスタジオディーンが3期に亙って手掛けた「地獄送り」をテーマとした作品の1期目である。
序盤6話までは同じような話で進展が全く無いが、パターンアニメではないことを留意して欲しい。6話からは話が進展してゆく。


基本的なコンセプトは『必殺シリーズ』を元に「法で裁けぬ、晴らせぬ怨みを依頼者から引き受け成敗する」というものである。
依頼方法は『ゲゲゲの鬼太郎』を彷彿させるもので、ネット上に深夜0時に怨みを持ったもののみアクセス出来る「地獄通信」に依頼者がアクセスし、
怨んでいる相手の名前を入力すると、即座に地獄少女が現れ、首に赤い糸が結ばれた「藁人形」を渡し、地獄送りの手順を説明するというものである。
本作はただ怨みを晴らして(相手を地獄送りにして)お仕舞いという安易なものでなく、
「依頼人自身も命に匹敵する代償を支払う」という本作独自の設定がある。
そうした作風について、制作側は「“人を呪わば穴二つ”の言葉の様に、依頼者の人の命を奪うという願いには、それ相応のリスクが必要である」と語っている。地獄流しに出来る相手は1人のみで、一生に一回しか使えない。

地獄流しの手順

①怨みを持つ依頼人が地獄通信へアクセス、名前を入力
②地獄少女が現れ「首に赤い糸が結ばれた黒い藁人形」を渡す
③相手は即座に地獄送りにされるが、依頼者も死後地獄へ行く旨を依頼者に伝え、依頼者の判断に任せる
④依頼者が糸を引いた場合、場合により対象者は三藁にパラレルワールドで仕打ちを受け、罪を認めるように促す。
(認めても認めなくても地獄には流される)
⑤対象者は舟で三途の川を越え、地獄へ流される

本作は観ていて不快になる回が非常に多く、怨み(他からの仕打ちを不満に思い、憤り憎むこと)ではなく憎しみ(自分に不利益をもたらすものを嫌うこと)や僻み(歪んだ考えをすること)、妬み(他人が自分より優れた状態を羨み憎むこと)による依頼も進んで引き受けている。また特筆すべきは依頼人に18歳未満が多く(15/22)、判断力に乏しい中、刹那的感情から依頼したり、安易な気持ちで依頼するケースが多く、これは必要悪の限度を越えた由々しきシステムである。
他にも、三藁によるパラレルワールドでの仕打ちが大甘なのが非常に残念。もっと厳しくやって恐怖のどん底に叩き落して欲しい。水木しげるを好んで読む私としては例えば1話のしゃれこうべは眼球の垂れた生首くらいにして欲しい。
また、怨みを晴らされた側も現世で罪を償わせるべき。
こんな事ばかり言ってもそういう作品なので仕方が無いが。
只、8話から本格的に登場し始めた柴田親子により作品に対する考えが若干変わった。地獄少女は自分の正義により依頼を受けているわけでなく(依頼の拒否は出来る)、誰でも良いから地獄送りにしているようで、それに対し柴田親子が間違いを正すべく活躍するという話に傾倒していった。この点は非常に評価できる。

怨みは怨みの連鎖を呼び、留まることを知らない。人の世が続く限り怨みは消えない。只、人を怨むことは楽しいことではないので、進んで行うことはない。よって余程の事が無い限り人を怨むことは無いのだ。本作は遊び感覚で地獄通信にアクセスする描写があるがこれはとんでもないことだ。
例え怨みを晴らしたとしても、傷ついた心が癒えることや、無くなったものがかえってくることは無い。そのことが分かっていながらも溜飲を下げるために、遣る瀬無い気持ちを鎮めるために、人は人を怨むのである。

人を呪わば穴二つ
一つ目の穴は「自責の念」。人を殺したという強い認識は死ぬまで付きまとい身を蝕んでゆく。怨みの元と成った傷が癒えることがあっても、この認識が消えることはない。
二つ目の穴は「怨んだ者の周囲の念」。自分が怨んだ相手が、誰に対しても腐れ外道であることはほぼ無く、相手にも家族が居て、信頼している仲間がいるのだ。その人たちの怨みも消えることは無い。

因みに本当の語源は依頼者と対象者二人とも地獄(穴)行きという意味。

本作はしかも怨みを晴らすことを他人まかせにし、自分では一切手を出さないという汚い手で怨みを晴らす。代償として死後地獄に送られるが、これでは安いものだ。他力本願は時に罪なことである(私は浄土真宗(笑))。
特に本作の場合
①自ら怨む相手を殺害することにより殺人の実感を得る。
(他人に依頼する場合、金銭で埋め合わせが必要。)
②殺人の罪に問われるまでは、逮捕に怯えること、
捕まってからは罪刑法定主義に則った裁きを受ける(刑事面の裁き)
③殺人者の家族、親類は必ずと言って良いほど世間で差別・迫害され、縁者への迷惑など社会的責任を負う(民事面の裁き)
④殺人者は死後、極楽浄土(キリシタンの場合、天国)へ行けず、地獄へ落ちる。

これらの①~④の項目の内、地獄少女に依頼する事により、①~③から免れることが出来るのである。しかも、地獄少女への依頼は、「積年の怨み」のような重い怨嗟でなく、「気に入らない」「嫌い」「邪魔」などの軽い憎悪でも簡単に行うことが出来ることも安易な依頼へ拍車をかけている。


終盤の地獄少女の過去に纏わる話は面白かった。
中盤から柴田一家は完全に地獄少女に目を付けられ、終盤では酷いことになっている。柴田一とつぐみの親子の絆も感じられた。恐らく、柴田一家が登場しなければ視聴を中断していただろう。

・地獄少女の過去について
{netabare}
閻魔あいは安土桃山時代に村のためと称して「七つ送り」の人柱にされた少女、あいである。
家族の意志で密かに人柱を免れ、幼馴染の仙太郎の協力により、山の祠で生きながらえた。しかし、作物の不作を不審に思った村人達によりあいの生存が暴かれ、罰として両親共に地中へ埋められて人柱とされる。その際、仙太郎が村人に強要されてあいへ土を被せてしまったことから、自らは仙太郎と村人達への強い恨みを抱きながら一旦は力尽きるが、その後に蘇って故郷・六道郷(むつみごう)へ火を放って村民を虐殺するという大罪を犯す。この罪はあまりにも重すぎて地獄でも償いきれず、罰として地獄少女として働く責務を課せられる。

柴田一は仙太郎の家系の末裔で、そのことから、娘の柴田つぐみに地獄少女の精神がリンクした。
{/netabare}


本作は観ていて余りに不快だった為、各話毎に私の主観によるコメントと評価を付けた。
{netabare}
あくまで"主観"であるので、一切のクレームには応じない。
また、視聴後で無いと全く理解出来ないので悪しからず。

依頼人=被疑者=疑とする
対象人=被害者=害とする
得点は善:悪とする
話数の脇にある(18)は依頼人が18歳未満の意

1話(18)
疑:橋本真由美 害:黒田亜矢 40:60
金の管理はしっかりすべき。担任の教師や親に相談すべき。
2話(18)
疑:鷹村涼子 害:如月 100:0
この被害者は腐れ外道なのでOK。殺される寸前だったのでこうするより仕方ない。
3話(18)
疑:岩下大輔 害:花笠守 80:20
この被害者も腐れ外道だが、放っておいても警察に捕まった。無駄骨。
4話(18)
疑:菅野純子 害:本條義之 40:60
この被害者も腐れ外道だが、犬が処置が遅れて病死した程度で人を殺すのはいかがなものかと。その医者を選んだ責任もある。助手もわざわざ客にそんなことを教える必要は無い。墓場まで持っていくべき。
5話(18)
疑:田村美沙里 害:海部美穂 70:30
この被害者も腐れ外道だが、こんな簡単に企業経営出来るなら皆やってるよ。ストーリーが稚拙過ぎ。
6話(18)
疑:安田遥 害:戸高奈美子 80:20
この被害者も腐れ外道だが、子供が哀れ。
7話
疑:来島薫子 害:紅彩花 70:30
この被害者も腐れ外道。養子は選べということだ。被害者が哀れ。
8話
疑:田沼千恵 害:石津吾郎 50:50
よくあること。
9話(18)
疑:春日由香 害:森崎伸也 40:60
発表前の菓子をライバル店の店長に見せるな。信用しすぎ。
但し被害者がまたまた腐れ外道。
10話(18)
疑:渋谷みなみ 害:赤坂詩織 10:90
あの程度で人を怨むとは恐ろしい。逆恨み甚だしい。
最終的に怨みでもなんでも無かった。介入すべきでない。
11話
疑:片岡雅也 害:稲垣隆史 40:60
この被害者も腐れ外道。しかし親父の贈賄は事実なので逆恨み?
12話(18)
疑:沢井茜 害:深沢芳樹 0:100
意味が分からない。この程度で受理するのか?先生が哀れ。終盤は説明不足。先生も死にたければ自殺すれば良い。
13話
疑:福本 害:大河内 100:0
こういう完璧なのは良い。
14話(18)
疑:桐野沙樹 害:楠木亮造 10:90
逆恨みだが、町長も部下の管理が甘かった。
15話
疑:湊三奈 害:湊藤江 80:20
関与すべきでなかった。駆け落ちしろよ。
16話(18)
疑:マミ 害:マキ 90:10
これは父親が悪い。父親が虐待する前に精査すべきだった。監督不行き届き。
18話(18)
疑:上川美紀 害:下野芽衣子 90:10
この被害者も腐れ外道。しかし法で裁けた。犬の躾はしかっりしとけ。また判断が稚拙。調べたり相談したりしろよ。
19話(18)
疑:氏家祈里 害:氏家鏡月 90:10
バアさん暫くしたら死ぬのでは?警察に相談しろよ。
20話
疑:エスパー☆ワタナベ 害:ジル・ドゥ・ロンフェール 10:90
ジルは地獄少女に会いたかっただけだろ。
21話(18)
疑:村井優子 害:関根良介 60:40
これは警察に相談のコース。
22話
疑:末次吾郎 害:林紀子 20:80
女を見る目が無かっただけだろ。
23話
疑:男 害:桜木加奈子 0:100
心中したかった気持ちの悪い男。可愛そうに。

26話
関係無いけど七童寺の住職が地獄少女に焼殺された。哀れ。
{/netabare}

観ていると不快になること間違いなし。しかし何処か引き込まれている自分が居る。鬱アニメと言うが私は鬱要素は全然無いと考える。胸糞悪いだけ。良くも悪くも人間は元来業の深い生き物だということだ。複雑な思いが交錯し、綺麗事で終わっていないのが救いである。愛情と怨嗟は表裏一体。
四苦八苦の内、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦が象徴的に現れていた。
2期、3期もあるので是非観てみようと思う。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 27
ネタバレ

くあれ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

一度は聞いたことがあるあのセリフ…「いっぺん○んでみる?」でお馴染みのミステリーホラー作品

あらすじはあにこれを参照。

一話一話メインとなるキャラが変わるので自由な展開が出来ていて退屈しなかった。内容のほとんどは不条理で胸糞悪いと思った。作画や音楽に関しては普通。

【第一話 夕闇の彼方より】
{netabare} 大人気作ということで知ってる人も多いからなのか、いきなり各話のメインとなるキャラの話が始まって理解が追いつかなかった。地獄少女について少し説明が欲しかったかも。作画は普通で音楽は地獄少女と正式に契約した後の終盤のBGMが恐怖感というより騒々しく感じた。 {/netabare}
【第二話 魅入られた少女】
{netabare} 序盤の進め方を観た時に話の結末が分かってしまい、案の定その通りだった。真に迫るとストーカーが誰なのかが分かった。登場キャラも限定的だったなので余計に。 {/netabare}
【第三話 汚れたマウンド】
{netabare} まだ三話目だったけど、一番胸糞悪かった。人を殺してその罪を他人に押し付けて自首してと言われたら何故?と開き直る。コイツは地獄に落ちた方がいいと思った。地獄少女(あいちゃん)ナイス。 {/netabare}
【第四話 聞こえぬ叫び声】
{netabare} 私も犬を飼っていたので自分と話のメインとなる少女(純子)を重ねてしまい、気分が悪くなった。
少女の場合は、実の親子も失っているので、私よりも辛い境遇だと思い、今後は頑張って強く生きてほしいと思った。 {/netabare}
【第五話 高い塔の女】
{netabare} 何故社長にまで上り詰めたのか理解できない。客観的に観ていたらただ無能としか思えない。人の弱みを握って自分の手は汚さない。完璧な悪役の立ち位置。 {/netabare}
【第六話 昼下がりの窓】
{netabare} 奥様の中でもスクールカーストのようなものがあるとテレビで観たことがある。夫が一流企業に勤めている奥様から取り巻き奥様が出来て中小企業に勤めている夫の奥様が下に見られるみたいな。本当に胸糞悪い。夫を支えるのが妻と聞くけど、妻を支えるのは?すごく困っていて今にも病みそうな姿見ていたら頭痛くなってきた。 {/netabare}
【第七話 ひびわれた仮面】
{netabare} あまり響かなかった話だけど養母のやり方は気に入らない。二人の少女がメインで人形も二人が持つという新しいパターン。一人の少女が圧倒的に悪役っぽかったから地獄に落ちる方は予想しやすく、やはりその通りとなった。 {/netabare}
【第八話 静寂の交わり】
{netabare} この話が一期の終盤にも大きく関わっている気がする。二人の親子がね。地獄少女(あいちゃん)の洗礼してるシーンがあって興奮。毎話欲しいね。 {/netabare}
【第九話 甘い罠】
あんまり覚えてないので、機会があったら観直す。
【第十話 トモダチ】
{netabare} サブタイみて思った。「私たち友達だよね?」こういう作品にありがちなセリフだから絶対言うと思ったら本当に言ってたからシリアスなシーンなのに少し笑ってしまった。 {/netabare}
【第十一話 ちぎれた糸】
あんまり覚えてないので、機会があったら観直す。
【第十二話 零れたカケラ達】
{netabare} 担任の先生が心配して家に来るのって普通なのか?私も不登校の時期に先生が家に来てくれたことがあった。この作品の場合は少しやり過ぎ感あったけど、部屋の扉強く叩いて不登校の少女(茜)を呼び出してた。流石に母親も「もうやめてください」って言ってたし。 あんなことされたら余計出たくなくなるよね{/netabare}
【第十三話 煉獄少女】
{netabare} 地獄少女(あいちゃん)の仲間きたこれと思ったら、ただの古本屋の本の作品名だったよ。少し残念。まぁ私は地獄少女(あいちゃん)一筋だけどね。 {/netabare}
【第十四話 袋小路の向こう】
{netabare} メインのキャラの進行と同時に八話から関わっている柴田家が前回に続き登場。地獄少女(あいちゃん)を探していて、理由が地獄に送るのはよくないからやめさせるらしい。けど、それだけ?なにか内に秘めてそう {/netabare}
【第十五話 島の女】
{netabare} 禁断の恋というものだね。恋の力って凄いよね。境遇にもよるけど地獄少女(あいちゃん)を頼るほどだからね。終盤では序盤から絡んでた柴田家が人形の糸を解かないように促してたけど、あえなく失敗。ハッピーエンドいけそうだと思ったんだけどなぁ。 {/netabare}
【第十六話 旅芸人の夜】
{netabare} 観てる中で不自然な動きがあったから引っ掛かってたんだけど、分からなかったなぁ。二人いますパターンだったか。私が表で輝いて私が影で生きる的なの。 {/netabare}
【第十七話 硝子ノ風景】
{netabare} 霧の中の館ほど怖いものはない。
しかもそこに少女(ニナ)がいる。怖いわ。
結論から言うと少女はニナではなくて、ニナが大切にしていた人形だったっていう。なんかありがちな展開だけど、予想出来なかったな。地獄少女(あいちゃん)が「あなたはニナじゃない」って言った時驚いたし。 {/netabare}
【第十八話 縛られた少女】
{netabare} 犬が関わるとこの作品碌な生き方しないから嫌だな。予想通り犬死んじゃったし。少女(美紀)が親か警察に相談してれば丸く収まったと思う。犬が人質みたいに囚われてたけど、芽衣子っていうおばさんが遺産目当てで家族を殺したことを美紀に知られたと思ったみたい。 {/netabare}
【第十九話 花嫁人形】
{netabare} こいつ人間か?と人間性を疑うほどに酷いことしてて胸糞悪い。この話にも柴田家が関わってる。というかほとんどの話に今のところ絡んできてる {/netabare}
【第二十話 地獄少女 対 地獄少年】
{netabare} 後半が進むにつれて地獄少女(あいちゃん)の心情が少しずつ変化しているように思える。
地獄少年についてだけど、地獄少女(あいちゃん)のライバルになるのか?と思ったらあっけなく地獄に流されてた。地獄に行くの2回目みたいだけど、正直なんとも思わなかった {/netabare}
【第二十一話 優しい隣人】
{netabare} 柴田家が大きく絡んでくる話、隣人というのは柴田家の隣人という意味。まさかの人形使わず終わるという珍しい展開。さすがの地獄少女(あいちゃん)の仲間たちも、このままでは邪魔になると意識を改めたみたい。 {/netabare}
【第二十二話 懺根の雨】
{netabare} ようやくたどり着いた。柴田家が地獄少女に関わる理由。母(あゆみ)が他界していて命日なので御墓参りに行くという話。回想が多めの話だったけど、回想がとても胸に刺さる。一生後悔が残ると思えるような内容。でも終盤では救われた気がしなくもない。 {/netabare}
【第二十三話 病棟の光】
{netabare} 納得いかない。すごくいい人だったのにモブキャラっぽいのに地獄送りされて、地獄少女(あいちゃん)と契約した本人は自殺。終盤でまたも胸糞悪いのぶっ込んできたよ。三途の川渡る時に地獄少女(あいちゃん)が少し揺らいでた気がした。 {/netabare}
【第二十四話 夕暮れの里】
{netabare} 柴田親子と地獄少女(あいちゃん)が立ち並ぶのは初めてじゃないか?お互いの因縁も明かされてもう話も終わりそう。 {/netabare}
【第二十五話 地獄少女】
{netabare} 回想みて思ったことは他作品の【黄昏乙女アムネジア】の回想思い出したってこと。村人から生贄にされて怨み、憎しみが生まれるって展開が似てる。本当に悲しい。こういうのって支えてくれていた人が裏切った時がより一層辛くなる。 {/netabare}
【第二十六話 かりぬい】
{netabare} 柴田親子が離れ離れになって地獄少女(あいちゃん)は昔の感情が再び芽生え覚醒して激おこ。能力も惜しみなく発動してて完全に我を失ってると思った。二十二話での回想を引っ張り出してきたな。ここで柴田親子は吹っ切れたみたい。地獄少女(あいちゃん)も間近で柴田親子の様子を見てなにか感じ取って正気に戻ったみたい。柴田親子は救われたみたいだけど、地獄少女(あいちゃん)はどうなんだろう。契約なしで地獄に送ると自身も地獄に行くらしくて、一度そうなりかけたはずだけどね… {/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3
ネタバレ

石川頼経 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

素直に名作と言える作品群です。

*別のところにも書いた文章ですが、なんだか、地獄少女を最近、四期の影響で見始めた人たちに「長い」とかいう批判が出てきたので反論と考察を長文でつらつらと書きます。

10年近く前のアニメたる地獄少女は三期までは一期につき「2クール×2=26話」が三期(計78話)続いたわけですが、それを今更、自分たちの基準で文句を言うのはどうかと思います。
この作品に限った事ではなく、最近のアニメ全体についてですが、「最近、アニメに対してせっかちな人が多すぎる」と思います。
最近のアニメは季節ごとの1クール作品主流ですが、たかだかそんな短い話しでも「展開が遅い」だの「中だるみする」だの文句を言う人が多すぎます。
そして2クール作品だと「長すぎる、1クールにまとめるべき」みたいな意見が出ます。
昔のアニメは基本的には4クール(一年)でしたし、ヒット作品や原作が長い作品だと二年以上(100話以上)やるなんてザラでした。
最近のアニメ視聴はたかだか一話や二話。たわいない話しや息抜き回があったくらいで騒ぎになり批判の嵐で「切る」とか言い出す人がいますよね?

なんだか、最近は「1クールアニメが基本」になってる人も多いようで、それを前提に批評している人も多すぎですね。
私は好きなキャラや作品が少しでも長く続くのは好きなので、長期アニメ肯定派です。
それに長期アニメなら多少、出来の駄作・凡作回、遊び回があっても、それはそれで「まあ、こんな回があっても良いか」と許容できる利点もありますしね。

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さて、作品の論評です。

個人的にはテレビシリーズのアニメとしては最高峰ともいえますし、
一部の作品は何度でも繰り返して見られます。
能登麻美子をはじめとした声優さんたちの怪演も良かったです。

強いて難を挙げると全ての回が傑作というわけではなく
「イマイチな回」が幾分あったというのが欠点ですか

まあ、それも2クール×3期という長丁場なので
イマイチ回があるのは仕方ないと言えない事もないです。

一期で個人的ベストは「硝子の風景」ですね。ただしいつもの地獄少女の構成を崩した異色回です。そういうのに良い話しがあるってのは実は結構よくある事だったりします。
他に「高い塔の女」「トモダチ」「袋小路の向こう」「縛られた少女」「病棟の光」なども好きです。
逆に一番、つまらないと思った話しは「優しい隣人」です。今更の盛り上がらない話しでしたね。

個人的には四期以降も作って欲しいですが、
それは難しいですね。と思ったら2017年7月から新シリーズが放映されるようです。

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特報です。
>「アニメ小冊子つき 地獄少女 傑作選 ~花鳥風月~
2017年7月より『地獄少女』新アニメシリーズが放送スタート!この新アニ>メの設定資料が入った小冊子を付け、『地獄少女』コミカライズシリーズの>人気ストーリーを集めたオムニバスを刊行。」

いやー、実に八年ぶりに新シリーズ実現とは・・・・
能登さんの声も大分変っただろうけど(悪く言えば劣化(?))、
幸い、閻魔あいはキャビキャピしたキャラではないので
能登さんが40になろうと50になろうと比較的。問題は少ないかもです

公式サイトでも発表されました。
http://www.jigokushoujo.com/

ただし、我々が期待していたようなものとはちょっと違っていて、
既成作の総集編六話+新作六話の一クールという事で、新作部分はわずか六話の短編ですね・・・
うーん、これでは早くも五期期待ですね。
とはいえ、これを応援しないと「本格的な地獄少女シリーズ」も始まらないので応援したいです。

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蛇足の考察
{netabare}「異色回ですが、そういうのに良い話しがある」について

全く関係ない知識披露ですが、
そうなんですよね。例えば推理小説などでシリーズ探偵が出てこない話しが代表作と言われるのはよくあるケースなんですよ(もしくは処女作=最高傑作になるケース)。
例えば探偵ポワロや老婦人探偵ミスマープルで有名なアガサ・クリスティですが、最高傑作はこの二人が出てこない「そして誰もいなかった」だったりします。
エラリ・クイーンも一番多く書いた「エラリー・クイーン探偵もの」ではなく四作しか出さなかったYの悲劇など悲劇シリーズが有名になってしまった。
ディクスン・カーもクロフツも同じ、シリーズ探偵ものが代表作とはならなかった。
名探偵シャーロック・ホームズで有名なコナン・ドイルは推理小説自体を「文学とも言えない低次の娯楽作品」とみなして、自分が「シャーロック・ホームズもので有名な推理小説家」と言われるのを非常に嫌ってた。
江戸川乱歩の場合、肝心の本格推理小説はあまり評価されず、子供向きに書いた「二十面相もの」が一番有名になってしまったという皮肉ぶり。
こういうケースって結構多いのです。
一生をかけた探求してきたものよりもちょっと目先を変えた番外的なものが評価されるのは作り手としてはさぞや不本意な気がします。
原因を考察すると「ノンシリーズものは構成に縛られず話しが自由に作れる」からかもしれません。{/netabare}

余談
普通、声優のキャスティングはオーディションで決めますが、閻魔あい役に関しては原案者のわたなべひろしさんが「この役は能登麻美子さん以外、考えられない」とオファーを出したそうです」

投稿 : 2024/06/01
♥ : 23

66.6 3 三途の川でスタジオディーンなアニメランキング3位
地獄少女 二籠 -ふたこもり(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (374)
2185人が棚に入れました
最近、巷に或る都市伝説めいた噂が流れていた…。深夜0時にだけアクセスできる「地獄通信」に怨みを書き込めば、どこからともなく「地獄少女」が現れて、憎い相手を地獄に堕としてくれる。地獄少女は全てを見通すかの様な涼やかな瞳を相手に向け、ただ一言告げる。「あとは、あなたが決める事よ」と…。掟に殉じて地獄流しを続ける地獄少女――だが、彼女の前世での出来事と相まって、いつしか少しずつ心境に変化が起こり始める。そして物語の終わりは誰も想像できない出来事だった…。
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

浮世は地獄 胸糞悪さ Level up!

本作はスタジオディーンが3期に亙って手掛けた「地獄送り」をテーマとした作品の2期目である。
本作からの視聴でも差し支えないが、出来れば1期からの視聴をお勧めする。
1期は6話から話の進展があったが、今回は22話まで殆どパターンアニメと同等の作りである。新たな登場人物「きくり」の登場や、1話ずつ三藁の過去に纏わる話が用意されている。
1期の視聴で慣れた所為か、憤りを覚える(理不尽なという意味ではない)展開が減少し、胸糞悪さが向上した。この点は非常に評価したい。シュールな演出も増えてよかった。
ただ、「きくり」が小生意気で小癪な子供で鬱陶しく感じた。



基本的なコンセプトは『必殺シリーズ』を元に「法で裁けぬ、晴らせぬ怨みを依頼者から引き受け成敗する」というものである。
依頼方法は『ゲゲゲの鬼太郎』を彷彿させるもので、ネット上に深夜0時に怨みを持ったもののみアクセス出来る「地獄通信」に依頼者がアクセスし、
怨んでいる相手の名前を入力すると、即座に地獄少女が現れ、首に赤い糸が結ばれた「藁人形」を渡し、地獄送りの手順を説明するというものである。
本作はただ怨みを晴らして(相手を地獄送りにして)お仕舞いという安易なものでなく、
「依頼人自身も命に匹敵する代償を支払う」という本作独自の設定がある。
そうした作風について、制作側は「“人を呪わば穴二つ”の言葉の様に、依頼者の人の命を奪うという願いには、それ相応のリスクが必要である」と語っている。地獄流しに出来る相手は1人のみで、一生に一回しか使えない。

地獄流しの手順

①怨みを持つ依頼人が地獄通信へアクセス、名前を入力
②地獄少女が現れ「首に赤い糸が結ばれた黒い藁人形」を渡す
③相手は即座に地獄送りにされるが、依頼者も死後地獄へ行く旨を依頼者に伝え、依頼者の判断に任せる
④依頼者が糸を引いた場合、場合により対象者は三藁にパラレルワールドで仕打ちを受け、罪を認めるように促す。
(認めても認めなくても地獄には流される)
⑤対象者は舟で三途の川を越え、地獄へ流される


怨みは怨みの連鎖を呼び、留まることを知らない。人の世が続く限り怨みは消えない。只、人を怨むことは楽しいことではないので、進んで行うことはない。よって余程の事が無い限り人を怨むことは無いのだ。本作は遊び感覚で地獄通信にアクセスする描写があるがこれはとんでもないことだ。
例え怨みを晴らしたとしても、傷ついた心が癒えることや、無くなったものがかえってくることは無い。そのことが分かっていながらも溜飲を下げるために、遣る瀬無い気持ちを鎮めるために、人は人を怨むのである。

人を呪わば穴二つ
一つ目の穴は「自責の念」。人を殺したという強い認識は死ぬまで付きまとい身を蝕んでゆく。怨みの元と成った傷が癒えることがあっても、この認識が消えることはない。
二つ目の穴は「怨んだ者の周囲の念」。自分が怨んだ相手が、誰に対しても腐れ外道であることはほぼ無く、相手にも家族が居て、信頼している仲間がいるのだ。その人たちの怨みも消えることは無い。

因みに本当の語源は依頼者と対象者二人とも地獄(穴)行きという意味。


本作はしかも怨みを晴らすことを他人まかせにし、自分では一切手を出さないという汚い手で怨みを晴らす。代償として死後地獄に送られるが、これでは安いものだ。他力本願は時に罪なことである(私は浄土真宗(笑))。
特に本作の場合
①自ら怨む相手を殺害することにより殺人の実感を得る。
(他人に依頼する場合、金銭で埋め合わせが必要。)
②殺人の罪に問われるまでは、逮捕に怯えること、
捕まってからは罪刑法定主義に則った裁きを受ける(刑事面の裁き)
③殺人者の家族、親類は必ずと言って良いほど世間で差別・迫害され、縁者への迷惑など社会的責任を負う(民事面の裁き)
④殺人者は死後、極楽浄土(キリシタンの場合、天国)へ行けず、地獄へ落ちる。

これらの①~④の項目の内、地獄少女に依頼する事により、①~③から免れることが出来るのである。しかも、地獄少女への依頼は、「積年の怨み」のような重い怨嗟でなく、「気に入らない」「嫌い」「邪魔」などの軽い憎悪でも簡単に行うことが出来ることも安易な依頼へ拍車をかけている。

・「悪魔の子」事件について
{netabare}
「あれれー可笑しいぞー?」な展開。今まで依頼人の精査と言って依頼人の素性を調査し、その怨みを引き受けるか否か、一々丁寧に考えて仕事を引き受けていたのに、流れ作業の如くガンガン依頼を受け入れていて、可笑しく感じたのは私だけではないだろう。以前にも増して「怨み」とは程遠い理由から地獄送りにする街の人々。「腐ってやがる」としか言いようが無い。何故失踪事件と「悪魔の子」を繋げようとするのか。
地獄送りは全て「悪魔の子」の所為にし、自分は安穏と暮らす(死後地獄行きなんですねどね)。「悪魔の子」という依り代の元、日頃の鬱憤が爆発し地獄通信に依頼が殺到した。自警団の組織も「悪魔の子」というブランドの保持の為。
我慢ならないのは、何故
蓮江保晴→飯合誠一
飯合蛍→紅林拓真
の怨みが成立するのか。全く怨んでなどいなかったろ。
ラストは飯合誠一は死亡。自警団は逃走し、蛍は植物状態というBAD ENDだった。蛍は自業自得かな。
集団真理の恐ろしさを描こうとしたのだろうけど、少々稚拙感が拭えなかった。

最期の地獄少女の決断には感動した。400年経ってやっと理解出来たようである。拓真がかつての自分とリンクして、ジレンマに苛まれたのも理解できる。
拓真に「人を怨んではいけない」ということを諭し、自らは虐げられている彼女は、村人を虐殺したころとは別人である。

柴田一の書籍の登場と、柴田つぐみの登場は嬉しかった。
つぐみの年齢から推測して、1期から少なくとも15年以上は経過している。

人間、些細なストレスに晒されることは当然なのだ。ストレスの捌け口として趣味を作ったり、旨い物を食べたり、酒を飲んだり、旅行に行ったりと楽しいことをする。
人生に於ける幸福と不幸の割合は、天寿を全うした場合、等しく分配されているのだ。今、不幸な人は近い将来、必ず幸福が待っている。今、幸福な人は近い将来、不幸が待っているかもしれない。人生を懸命に生きていれば至極当然の摂理であるのだ。会社の上司が憎い、姑が憎い、自分の気持ちを受け入れて呉れないあの人が憎いなどといっても、自分が憎んでいる対象が腐れ外道なことなど殆ど無く、その人も昔は憎い上司が居たり、憎い姑が居たり、自分の気持ちを受け入れて呉れない人が居たりしたはずなのだ。
あの程度の事で地獄送りに出来るのであれば、私も100回以上流されているのではないかと思ったりした(笑)。
{/netabare}

・地獄少女について
{netabare}
1期2期と視聴して、地獄少女が何故、この様な仕事をさせられているのかは大体理解出来た。人間誰しも自分が一番可愛い。自分の肉親を思うのも自分の遺伝子を守る為の愛情である(なんて言うと大袈裟なので取り消す)。地獄少女の憎悪は正に他人の不幸を知らなかった為に、「何故自分だけがこんな酷い仕打ちを受けなければならないのだ」という感情から生まれたものだ。「十二国記」でも出てきたが、自分が一番不幸であると妄信し、他人に否定されるとこの上なく憤るのである。「こんなに不幸な自分をこれ以上虐げるか」と思うのである。不幸であると思うことは幸福であると思うことと同じくらい気持ちのよいものだ。他人の不幸を知れば、自ずと自分との対比が出来る様になる。閻魔あいを地獄少女にした意図はここにあるのではないか。
{/netabare}




本作は観ていて余りに不快だった為、各話毎に私の主観によるコメントと評価を付けた。
{netabare}
あくまで"主観"であるので、一切のクレームには応じない。
また、視聴後で無いと全く理解出来ないので悪しからず。

依頼人=被疑者=疑とする
対象人=被害者=害とする
得点は善:悪とする
話数の脇にある(18)は依頼人が18歳未満の意

1話(18)
疑:恩田麻紀 害:神代瑛子 70:30
精神的に追い詰められただろうけど、親や教育委員会に相談出来たはず。理科準備室に入ってからは、もうしょうがない。塩酸掛けられちゃああする他無い。被害者は腐れ外道。
あの友達も・・・
2話(18)
疑:倉吉弥生 害:男 100:0
妹は何故犯人ではなく姉を怨んだのか。自分を守って呉れなかったからか。一緒に居てもどの道死んでたと思うが。
この娘もいつまでも両親に淡い希望を抱かせて無駄な時間を浪費させずに警察に通報して水死体揚げたらどうか。
3話(18)
疑:坂入多恵 害:花村弓枝 60:40
この依頼者の女の子は変わった愛のカタチを持っていた。
しかし、被害者の女も、向こうから惚れてきたのだから、そこまで酷い女でもないと思うが。
4話
疑:八木沢修一 害:翔貴 70:30
まず病室代が工面出来ないのなら素直に諦めるべきだった。別に病気を治す金が必要な訳では無かったのだから、犯罪に手を染めなくても良いだろ。被害者も腐れ外道だったが、犯行を提案している時点で気づけ。奥さん哀れな最期。
5話(18)
疑:山田麗音 害:橋爪力也 50:50
最近流行のDQNネーム。「名は体を表す」とはよく言ったもので、名の通りのDQN君だった。馬鹿なので憎めない?(それはないか)ところがあった(最期に犬を避けたこととか)。
女性を物扱いし、先輩を地獄送りにしたところまでは良いが・・・
最期のキクリの、死体に彼岸花撒いて「ウハハハハウヒヒヒヒ」という場面は不覚にも笑ってしまった。
6話(18)
疑:新田紀和子 害:杉田宏久 80:20
この被害者も腐れ外道。
ストーカーの細野颯太君が自分で怨みを晴らしにいったのは、大変評価している。やはり自らの手で晴らすのが一番道理に則っている。
7話(18)
疑:茂木恵美 害:茂木和子 70:30
被害者が腐れ外道で無いだけに胸糞悪い。
あの母親も哀れな人だが、あの息子も娘も哀れだった。
最終的に可愛そうなのは親父。地蔵の首接着しとくよーに。
8話
疑:馬場翔子 害:栗山真美 90:10
被害者腐れ外道。割と良い話だった。
9話(18)
疑:須崎真帆 害:須崎幹夫 60:40
これも割りと良い話。愛のカタチを間違えた兄妹の末路。
やっぱり兄妹ラヴコメのようにはいかんのだね。
10話
疑:豊田八六 害:根来哲郎 30:70
あの程度のことで流すな。哲ちゃんの周りに居た女性の方がよっぽど怨みを持っていて可笑しくないはずだったが、
哲ちゃんの人間性から怨まれることは無かった。
11話
疑:天城志津子 害:立花今日子 70:30
ネコステロ→ネコカエセにしていたら変わったかもしれない。
12話
疑:伊藤道郎 害:亀岡一人
今まで観てきた中で一番感動した。事故の要因はジイさんじゃなくて道路の方だろ。
13話
疑:久住喜八 害:牧村達彦 60:40
野次馬にハラが立つのは仕方が無い。死体を平気で写メにする様な腐った日本人が増えてしまった。これは戦後教育が影響し(ry(語ると1万字軽く越えるので)。犯行に串を使うのは足がつくから止めておいたほうが良いだろう。最期に娘の目が覚めるという展開は良かった。キクリNice!
14話
疑:吉原さやか 害:柿沼敏也 70:30
キクリ「怨んでるの?ギタギタにしたいの?流しちゃえ!流しちゃえ!」

「悪魔の子」事件の発端。柿沼のオッサンは只の僻み根性で友達を気取っていたのだ。自分で売り込んで仕事獲れよ。
あの性格じゃ怨まれるのは当然。逆恨みは止めなさいといいたいね。しかし、「悪魔の子」事件はあの男があのタイミングで消えたことが原因だから、あの男の責任は重い。
15話
疑:菅野春美 害:菅野郁志 80:20
この親父も腐れ外道。選挙の後援もいいけど仕事しろや。
あの奥さんもよく辛抱した。
16話
疑:辺見蘭 害:上月マツ 80:20
因果応報。男は選ばないとね。犯罪に手を染めた時点で負け。共犯者の目の前で「自首します」なんて言ったらああなるでしょ。
17話
疑:千脇穂波 害:千脇平太郎 90:10
親父がDVじゃ、流してもOKでしょ。しかし、娘に真実を話さなかったことは痛手に出た(まあまだ話すできではないが)。
母親として、あそこで死んだら娘が可愛そう。
18話
疑:武田公平 害:武田美千代 40:60
これは良い話だった。皆苦しんでいた。正解は無い。
19話(18)
疑:たみ 害:嘉平 90:10
疑:湯元百合江 害:藍田伊智子 80:20
悪いことは出来ないということだ。
20話(18)
疑:森内樹里 害:藤巻真理 50:50
愛情と憎悪は表裏一体。でも一緒に地獄に行くことを選択するとは。地獄ってそんなに生易しいもんじゃないはずなんだけどなぁ。
21話
疑:来生洋子 害:都丸誠 90:10
これは納得。
22話
疑:蓮江美鈴 害:水谷せり 40:60
悪いことは出来ないということだPart2。
{/netabare}

観ていると不快になること間違いなし。しかし何処か引き込まれている自分が居る。鬱アニメと言うが私は鬱要素は全然無いと考える。胸糞悪いだけ。良くも悪くも人間は元来業の深い生き物だということだ。複雑な思いが交錯し、綺麗事で終わっていないのが救いである。愛情と怨嗟は表裏一体。
四苦八苦の内、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦が象徴的に現れていた。余計な話を作らないで「悪魔の子」事件にもっと話数を裂いていたら評価は格段に向上しただろう。
3期も是非観てみようと思う。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 21
ネタバレ

makkotty さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あとはあなたが決めること・・・。

 すごく理不尽で、悲しくて憤りを覚えたり、マイナスな感情を揺さぶる作品です。
 これを見ると・・・これを見ちゃうと自分に起こった不幸なんて些細なことで大したこと無いと思えてくるから不思議です。

 今、幸せな人にはこの作品はおすすめ出来ないです。
 もし、自分のことを不幸だと思うならこれを見て見ると良いかも知れないです。救われたような気がします。
 
 恨んでもいい・・・でも人を恨んでも良いことは無い。

 前向きに生きていきたい人には必要ないけど後ろ向きに生きてきた人にはおすすめな作品です。
 人生、四分の一ちょっとしか生きてないけどそんな格言めいた事を言ってみました。



以下はネタバレなメモです。
見た直後に憤ったこととかを書いたものになっています。
内容に触れているので・・・。
見た人だけ見ていただければ幸いです。
{netabare}

 なんであの時ああしなかったんだと・・・思うところが多い。
 何であのとき悪い奴をすぐに地獄へ流さなかったんだ・・・。そうすれば後の不幸は全部無かったのに・・・と思ったり。
何でちゃんと話し合わなかったんだ・・・そうすれば解決出来たはずなのに・・・。
何であのときその場にいた奴全員を殺さなかったんだ。
武器を持ってたのに・・・妹が殺されそうになったのになんでしなかった。だから自分が地獄に流されたんだ・・・。
 そうすれば殺されずに済んだのに・・・。妹が植物状態にならずに済んだのに・・・。
 妹に罪を背負わせずに済んだかもしれないのに・・・。
 その悲しみは無かったかもしれないのに・・・。
 正義感でそれをしないなんてどういうことだって思った。



―――ここからネタバレであらすじを語ります。
 覚えておきたいストーリーだったので・・・。
 読んで見るかどうか・・・あとはあなたが決めること・・・。


 例えばアパートの隣人と猫を巡る話。
 一人暮らしを始めた生活が寂しい若い女性の唯一の楽しみが割とかわいい野良猫にエサをあげたり世話したりすることだった。
 ペットを飼ってはいけないアパートだったのでそういうことに対して良くないと言う人もいるかもしれない・・・。
 隣人はこの若い女性が猫の世話をするようになってからこの 人に対して物凄い嫌がらせをする。お寿司とかピザなどの出前を大量発注したり通販で勝手に多くの注文をしたり。
 無言電話をかけたり・・・。
 まるで憎んでいるかのような仕打ちをする。
 その一つ一つが若い女性を精神的に追い詰めていく・・・。
 若い女性もそれほど収入が多い訳ではなく。すぐには引っ越せない。だからお金が貯まるのを待って猫を連れてここから出ていくから許して欲しいと訴える。
 そして隣人はこの猫を殺してその生肉を女性の部屋の前にビニール袋に入れて置いておく・・・。
 そのスーパーのビニール袋の絵の顔の笑顔がすごく不気味だった。


 ここまで読んでくれた人でまだ見てない人はきっとこんな隣人なんて流されて当然だと思うかも知れない。
 でもそうじゃなくて、隣人は孤独で猫だけが寂しさを紛らわせてくれる存在だったのです。
 その猫が自分から離れて若い女性のところへ行ってしまったことが切なかったので嫌がらせをしたのです。
 話せば友人になれたかも知れないのに・・・隣人はそれができない・・・そんな気持ち悪いおばさんでした。
 ちなみに11話です。


 近所から嫌がらせを受けている家に住む少年は『悪魔の子』と呼ばれ、周囲から人が消えていく事件は全てこの少年が地獄通信を使って人を殺しているからだと言われるようになる。

 嫌がらせ(ゴミを投げ入れたり誹謗中傷するようなビラを作って近所に配ったりする)をしていたのは向かいに住む少年の父親の仕事の元パートナー。
 少年は嫌がらせをしてくる人物が誰でどんな奴なのか知らず、自分の家に嫌がらせをして家族を精神的に追い詰める人物を地獄へ流すよう地獄少女に依頼するも契約はせず藁人形を返す。その人物を地獄へ流したりしなかった。
 少年は他人を恨んではいけないと思っているから絶対にそういうことはしない。

 それでもこのお向かいさんは陰険で矮小な人物で少年の父に対して、自分の能力が足りないから仕事がないのにそれを見捨てられたからだと逆恨みしていて、少年の一家が引っ越す事にすると計画通りにボーガンで少年の母を殺害し(喉笛に矢が突き刺さって死ぬ・・・あまりにもむごい)少年に罪をなすりつける。

 少年は証拠不十分ですぐに釈放されるも近所の目はこの少年を犯人だと思い込んでいる。
 母の葬式で真犯人を知り父に話すもこいつがそんなことするはずがないと、確かめに行くが父は向かいに住む男(真犯人)に殺害される・・・(いや、生きてるんだけどね。その場では死んだみたいに見えたし植物状態になる。)
 現場に居合わせた少年の目の前で父が殺害され、少年もこの
真犯人に殺されそうになる。
 その瞬間にお向かいさんの元彼女が藁人形の糸を引き、こいつが間の悪すぎるタイミングで地獄に送られる。
 人間のクズみたいな奴だっただけに恨みを持つ人間が他にもいた事には納得できる。
 しかし、少年は父親の殺人未遂の容疑でも逮捕される事になった・・・。これも証拠不十分ですぐに釈放されるがやっぱり近所の目はこの少年を犯人だと思っているし、お向いさんが作ったビラの内容が少年は『悪魔の子』だという宣伝文句も手伝って『悪魔の子』と呼ばれるようになる。

その後の展開は本気で不幸だった。
少年と仲が良くなった少年より少し年上の未成年の女の子が恨んでいる相手から大金を奪おうとして逆に恨みを買い地獄に流されたり・・・。これだけでもかなり悲しいのにそれがきっかけで少年の周りでは不審な事件がたくさん起きるといわれるようになる。
少年は事件が起きても警察から証拠不十分で釈放される。当然少年は事件を起こしていないし、地獄通信で地獄少女に依頼して契約して流される事件では絶対に犯行現場に証拠が残らないからだ。
そういう証拠不十分な事件がこの『新興住宅街、ラブリーヒルズ』で多数発生するようになる。
それで、地獄通信を使っている人たちはみんなその罪を自分で背負うことなく全て少年に罪を着せ、地獄通信を使って人を呪っても今なら少年の性に出来るからと次々に人を呪い殺すようになったり、少年と目が合うだけで地獄へ流されてしまうと信じる人もどうせ死ぬならと人を呪い殺すようになる。
中でも一番許せないのは自らの罪が発覚することを恐れて自警団を作った連中だった。この呪いの連鎖というかパンデミックを作り出した張本人たちだ。
この人たちがしたことは目も当てられないほどに酷い。
少年の家の前で見張ったりとか何かある度に土足で踏み込んできて少年に暴力を振るうなど・・・。
そして自分たちが罪を着せたくせにその発覚を恐れてこの少年と真実を知り少年を守ろうとする刑事とその妹を殺せば全てうまくいくと信じ、それを実行に移したり・・・。
殺そうとした方法も酷いもので、冬の冷たい湖の手こぎのボートの上に大きな石を少年と少女に縛りつけて乗せ、ボートに穴を開けて押し出す・・・という方法を使って殺そうとした。雪が降り積もる真冬に凍える寒さの中溺れ死ねということだ。
そこに警察官の兄が登場し拳銃を上空に向かって発砲し自警団を追い払い、二人は救出される。
警察官のお兄さんに発覚したため、自警団は罪が発覚することを恐れてお兄さんを地獄通信を使って消す・・・。
そして少女は精神的に追い詰められた末に少年を地獄に流し、後を追って凍てつく湖に投身自殺する・・・。

14話と22話以降のあらすじです。

実は、地獄少女とこの少年はほとんど同じ目にあっています。すべての不幸を一人で背負わされるということです。
地獄少女はそれと同じようにいわれもない理由で村人から迫害を受け、愛する人からも見捨てられ、殺されたことを恨み死霊となって村人を、愛する人以外を皆殺しにしました。その罪で地獄少女になったのです。

同じ境遇を受けた少年を地獄に流そうとしたとき、地獄少女は自分の仕事に答えを出します。その答えが何なのかは良くわからない。見ていた一視聴者の私の答えとしては「何があっても人を恨んで殺したりしたらいけない・・・。こんなことは間違っている。」ということか・・・と思いますが分らないです。続編もあるので・・・それはそれで内容がいいので悪くは言いません。
それが理由で地獄少女はその業から解放され、人間に戻るのです。

結局少年も意識不明だった少年の父親もちゃんと回復しましたが少年の無実を知って一緒に逃亡した少女(女子高生)は意識不明のままどうなったんだろうとも思ったのでちょっと考えました。
地獄少女の世界観て多分神も仏もいると思う。少年は結局誰かを恨みに思っても呪ったりしなかったから少年の父はちゃんと元気になれたのかもしれない。
少年の無実を証明しようとするも地獄通信のことを警察官のお兄さんに聞かれて動揺してそのまま何もせず帰ったあのクズを流した女性が突然の事故で亡くなったり、ジャイアンをもっとジャイアンにしたような不良が女子高生をレイプ魔のヤクザから守るために(理由は「俺の女だから・・・」違うのに。相手の気持ちを無視してそれじゃレイプ魔と変わらないや・・・。)地獄に流したあと、ジャイアンし続けて交通事故で死んだりとか・・・(5話)。
あとVの惨劇とかも・・・。Vの惨劇はミステリな要素も楽しめるのであえて内容は言いません。見返したときなるほど・・・と思います(13話)。
この少年に関しては地獄少女のおかげで契約が切れたのだから多分少女が地獄に送られることはないと思うけれど別の罰を受けて意識不明の状態のまま回復しないのかも知れない・・・と思った。
その罰が罪と釣り合うまでは意識が戻らないのかも・・・。例えばこの事件で生き残った人がみんな死ぬまでとか。
少年が本当に幸せを感じた瞬間とかに目覚めるのかな・・・と思います。

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「ゆらりゆらりと業の影。哀れな掟め、迷い道。 憎み憎まれひび割れた、合わせ鑑の二籠。 時の交わる闇より来たりて、あなたの怨み・・・晴らします。」

この作品は、「地獄少女」1期の続編になります。
物語の展開上、基本的に1話完結型なので1期を未視聴でもこの作品を楽しめる事はできると思います。
ですが、所謂依頼を請け負って執行する「地獄流し」以外に登場人物のサイドストーリーが存在するのですが、このサイドストーリーは1期から視聴しないと話が通らないので、こちらも含めて堪能するなら1期からの視聴をお勧めします。

都市伝説として噂される地獄通信…夜12時にだけアクセスでき、そこに恨みの相手の名前を書き込めば自分の代わりに相手を地獄に送ってくれる…
でも、その代償として自分も死後地獄に行く事になるので、それを受け入れる事が地獄少女である閻魔あいとの契約の条件…

1期では、様々な地獄流しの中で執行者である閻魔あいが何故地獄少女になったのか…
その様な疑問に応えてくれる物語でした。

確かに1期は面白かったと思います。
オープニングテーマの「逆さまの蝶」も大好き…
ですが、2期を見てこっちの方が圧倒的に面白いと思いました。

地獄流しに至るまでに過程に幅ができ、「地獄少女に依頼=地獄流しの執行」という図式が成立しないこと…
地獄少女に依頼する動機が多様化したこと…
視聴者を飽きさせない工夫・配慮が随所に散りばめられていたと思いますが、一番印象深かったのが三藁の存在と言動でした。

三藁は閻魔あいの付き人で一目連、骨女、輪入道の3人の事を指します。
1期では三藁についてはあまり深掘りはされませんでしたが、2期ではしっかりと深掘りしてくれています。

閻魔あいの指示で執行を手伝うだけの存在…
決して自らの意志や思いを優先させる事は無く、あくまで閻魔あいの付き人に徹していた3人…
私の1期における三藁に対する印象です。

ですが、今期は少し路線が違っていて、三藁の思いや考えが前面に押し出されているんです。
依頼者をずっと見守ってきた3人は、何もかもを淡々とこなすほど、薄情なんかじゃありませんでした。
でも、それはごく普通の感情だと思います。
だって依頼者は閻魔あいとの契約に至るまで様々な葛藤に抗わないといけないんです。
今から自分が行う事は人の一生を左右すること…
藁人形を手にしている、という事は一度でも地獄送りにしたいと願った相手がいることの何よりの証拠…
でも、藁人形を手にすることと、正式に契約することとは雲泥の差があるんですよね。

きっと考えると思うんです…
その人の事は物凄く憎い…けれど、その人の家族まで憎いかというと、きっとそんな事は無いと思うんです。
その人が地獄に行ったら、その人の家族は絶対に悲しみます…
ややもすると、自分と同じ思いを持つ人を増殖させるだけの行為…と言っても過言では無いと思います。
同じ轍を踏むの…?
それともまた悲しみの連鎖を増やすの…?

そんな依頼者を三藁は傍らで見守っているんです。
中には思い入れのあったり、本気で契約して欲しくない…と思う依頼者がいても全然おかしくありません。
ですが依頼者に干渉できないという絶対の掟が三藁をがんじがらめにしている上、三藁がお互いを監視し合うという三竦み状態…

掟を破ったら、その先に何が待ち受けるのかは分かりません。
その殻を破って突き進んで欲しいと思った事も正直何度かありました。
そのくらい、2期は依頼者と三藁との関係がしっかり描かれていた訳ですけれど…

でも、この作品はそれだけじゃないんです…
閻魔あいと三藁との出会い…ここからしっかりと描かれているんです。
これはちょっと反則…なのかも?
確かに知りたい…いいえ、知っておくべき事だと思います。
それと同時に閻魔あいの足枷を感じ、忠実であり続ける必然性まで知る事になるのですけれど…

だから三藁は揺れるんだ…
無限ループで終わりが見えないこの禊の中で、胸を痛み続けてきたから…

無口を貫く閻魔あいの思いの行方…そこにはあっと驚く、という言葉では語り尽くせない程の展開が待ち受けていました。
きっと作品の根幹に関するくらいの衝撃を受けた気がしました。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、SNoWさんの「NightmaRe」
エンディングテーマは、能登麻美子さんの「あいぞめ」
今作はエンディングに軍配です。
どう転がってもハッピーエンドのあり得ない終幕…そこに能登さんの歌声が重なってくるんです。
物語の終幕からエンディングへの入りで何度も胸が締め付けられも、それは仕方の無い事だと納得していましたけれど…

2クール全26話に物語でした。
この作品から「きくり」という新キャラを擁したのも、物語の良いスパイスになっていたと思います。
1期から2期へと面白さは飛躍的に向上していましたし、時間を費やした分の見返りは十分過ぎる位でした。
こうなったら、3期にも期待せざるを得ません。
…という事で、これより3期を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10
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