世界の秘密で異世界なおすすめアニメランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月08日の時点で一番の世界の秘密で異世界なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.4 1 世界の秘密で異世界なアニメランキング1位
異世界の聖機師物語(OVA)

2009年5月22日
★★★★☆ 3.8 (1360)
8327人が棚に入れました
異世界の聖機師物語 1 [DVD] 「ジェミナー」には地球同様、多くの国々があり、互いに覇権を巡り争いが絶えなかった。当然、兵器にも亜法の技術が使われていたが、その主力は、古代遺跡で発見された「聖機神」と呼ばれる巨人体の複製、「聖機人」である。だが「聖機人」に搭載されている高出力亜法動力炉には、回転時に脳生理機能を阻害する、特殊な振動波を出す大きな欠点があった―――「聖機師」とはこの振動波に高い耐性を示す者の事であり、より高い耐性を示したのは、召還された異世界人であった……。

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

なにこの展開!?ぬるま湯シーンがこれほど心地よいと思わなかった

有名なシリーズ作品のスピンオフと知らずに初めてを見ましたが、が!が!
なんすかこのアニメ! 最高じゃないですか!

いきなりバトルからはじまって、そういう作品なんだろうと思ったら
ほぼ中盤までバトルのバの字のかけらもない平和な日常回のオンパレード。

最初はどうしちゃったんだろうと思って戸惑っていたんですが、
主人公ケンシの平和な心&男気&最強の下僕っぷり(最強の戦士でもあるはずなのに)
に何度か大笑いさせてもらっているうちに、この日常回がなんともステキに思えてきました。

そして後半の怒涛のバトルがはじまると、もう戦闘なぞいいから、あの平和だったころに早く戻って! 
と願うようになりましたw

悪い貴族が古代から伝わる最強ロボを発動させて世界征服を企み主人公たちが阻止する
とまぁ単純な話しですが、それをよくぞここまで練りに練ったなぁ~という感じです。

この作品のおもしろさを語る上で大事なのは2点。
物語がわかりやすく、登場するキャラのそれぞれの個性が抜群で素晴らしいこと。

主人公は異世界からやってきた都合上、この世界ではずば抜けた身体能力を持ち合わせていて、
メンタル重視なロボの操作技術にも優れているなど無敵な存在なんですが、本当に無敵なのはその性格。

心優しく気遣い上手、人望も厚くて頼りになるナイスガイ。
その主人公が周囲の引きたて役にまわることで、その他のキャラのエピソードが輝いて
印象にも残りやすく、見ているうちに誰一人欠けてはならない存在になってきます。

そして物語はといえば、これはできるだけシンプルに、そして味付けはひとつでいい。といった感じか。
異世界人たちの間における政争が領土戦争にまで発展しますが、ここに転生者のケンシという
未知の要素が加わるだけなんですよね。
ガンダムでいえば連邦とジオンの戦いにニュータイプというエッセンスを加えただけみたいな。
説明ベタで申し訳ないんですが、わかってもらえるでしょうかw

シナリオが長くなるのならば、本当、これくらいでいいんですよ。
後は個個のキャラのそれぞれが抱えるドラマを増やして、作品を肉厚にしていけばいい。

ただ、このアニメの場合はバトルだなんだというより、ケンシの日常エピソードの方が数倍おもしろくて、
こんな平和なアニメなら100話でも見続けられると思わせたところがスゴイのかもですね。

誰もが認めて感謝する存在とでもいうのかな。
前向きポジティブ、小間使い&下僕としても優秀で、なんでもてきぱきこなす姿は
見ていても想像以上におもしろい。

そんなケンシの姿は、
ある人からみれば無垢な少年であり、
ある人からみれば最強の戦士であり、
ある人からみれば最高の医者でもあり、
ある人からみれば夢の旦那候補であり、
ある人からみれば最大の金づるにもw 思われている。

キャラを評価するというのは、そのキャラに色をつけるということですが、
これは見る人により視点が違えばそれぞれ印象も違うもの。
本来、たくさんのキャラが登場すれば、その分だけ主人公の色もたくさんあっていいはずで、
それがこのアニメは普通に出来ているのがスゴイ。

単に戦闘に強い少年だとか、暗い過去をもつ少年だとか、彼らも人間ならそれだけではない
魅力があるはずでしょってことで。
最近のアニメはそのあたりが強引で、何かひとつ強烈なものを見せておけばいいだろう
くらいに思えて仕方なかったんで、こーいうオーソドックスな作品をみると安心します。

誠実で従順で怒られたときの泣き顔は犬そのものw
穴ほって水晶探しばかりしてるところも犬ぽいし、イメージとしては柴犬か~。

個人的には、ケンシの大好きなところとして野生児の本領発揮な“鼻のよさ”をあげたいですね。
マツタケかトリュフのイメージにも似たとあるキノコが貴重とされているようで、
それはもう珍味すぎて値がつかないほどらしいんですが、それをケンシは鼻をくんくんさせて
さも自然に探し当てちゃうスペシャリストなんです。
で、それを惜しげもなく分け与える気前のよさがこれまた最高。
どんなコワモテキャラでも笑顔にさせてしまう秘策でもあります。

最後のハッピーエンドへのもっていき方もうまく、他の天地無用シリーズも見たくなったしで、
これは文句なしお気に入りですね~。

極力人が死なない平和なバトルアニメだけに、撃退しても同じ相手からしつこく襲撃をうけたり
ちょっと理解できないところもありますが、見せ場はケンシの家事働きと思えばそれも愛嬌。
カゲキな作品になれ過ぎた目線にも優しいアニメで堪能できました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

アリア社長 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

異世界ファンタジーと聞いただけでワクワクしちゃうあなたへ

『ロボット・アクション!!×学園ラブコメ!?』をテーマとした異世界ファンタジーアニメ。

45分×全13話の実質2クールアニメ(OVA)
人気アニメ『天地無用!』シリーズの派生作品ですが、天地無用!を知らなくても基本楽しめます。
そもそも舞台が全く別な異世界なので。(自分も知らずに視聴しました)
ただ時々ちょっとした小ネタや会話に???となることはありました。

舞台である異世界の世界観・設定はかなりしっかり練られてます。
アニメではあえて紹介してない裏設定も多そう。
異世界ファンタジー好きとしては、それだけでワクワクしちゃいました。
2度目の視聴で色々と発見もある見応えのあるアニメとなってます。

魅力的なキャラが多い印象。特にヒロイン。自分は4人ほど好みのヒロインに出会いました。ヒット率高し。

主人公は清々しいほど俺TUEEEなハーレム主人公。
基本この手の主人公って苦手なんですが、このアニメに関しては不快感なく、むしろ好感を持って見れました(後述)
ただやはりどんな状況でも毎回最強主人公がなんとかしてくれる展開は見てて緊張感がありませんでした。

作画はさすがOVA。毎話気合入ってます。ロボの戦闘シーンは迫力満点。
ロボの描写に関して、ちょいちょい『新世紀エヴァンゲリオン』を髣髴とさせる描写がありました。
今作は2009年~2010年発表のアニメなのですが、今になってもエヴァの影響力の凄さを垣間見ました。

EDに関して、絵が『バッカーノ!』のイラストレーター「エナミカツミ」さんでびっくり(キャラクターデザイン原案もエナミカツミ)
個人的に好きなイラストレーターさんなので。

『異世界ファンタジー』『迫力あるロボットアクション』『ハーレム』
↑これらのワードにピンと来る方はぜひ見ることをオススメします。

【主人公に関して】
主人公・柾木 剣士(まさき けんし)は完全に俺TUEEEEのハーレム主人公。
自分は基本的に俺TUEEEのハーレム主人公って苦手。
なぜならそういう主人公にあまり魅力を感じないから。
主人公「ヤレヤレだぜ」→ヒロイン「キャーステキー」って流れが馬鹿馬鹿しく見えちゃう。

でもこのアニメはそういう嫌味を感じませんでした。
理由の一つは主人公がホントに心の底から良い奴で、こいつならハーレム築いてもしゃーないと思わせる魅力があるからだと思います。
ただ強いだけじゃないんですね。

もう一つの理由は主人公・剣士の声優を担当している下野紘さんの功績でしょうか。
思い返せば『神のみぞ知るセカイ』『GJ部』など、自分が好きなハーレムアニメの主人公って下野さん率高いです。
あの中性的な声が、角の立つこともなく、嫌味なく聞いてられるのかも。


異世界ファンタジーアニメとしてもハーレムアニメとしても理想的なアニメといった印象。
気楽に見れる作品なので興味持った方はぜひ。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

感情移入 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

集大成

1クール13話(1話約45分)のバトルアクションアニメです。

物語――――
主人公、柾木剣士はある目的のため異世界であるジェミナーへ召喚された。
自分の国へ戻るため、ババルン率いる反乱分子につき、ラシャラ皇女を殺そうとするが・・・!?

作画――――
キャラクターデザイン:渡辺はじめ
アニメーション制作:A.I.Cスピリッツ

キャラ画があまり安定はしていませんでしたが、悪くはないと思います。
声優――――
        柾木剣士:下野紘
ラシャラ・アース二十八世:米澤円
    キャイア・フラン:桑谷夏子
    メザイア・フラン:恒松あゆみ
   ダグマイア・メスト:佐藤拓也
  エメババルン・メスト:安元洋貴
    ユライト・メスト:鈴木達央
         ドール:後藤麻衣
     ネイザイ・ワン:恒松あゆみ
ネイザイ・ワン仮面なしの時:阿部彬名
  アウラ・シュリフォン:野田順子
    マリア・ナナダン:斎藤桃子
      ユキネ・メア:園崎未恵
   フローラ・ナナダン:松来未祐
  ワウアンリー・シュメ:中川里江
     ナウア・フラン:高橋研二
         学院長:赤池裕美子
   リチア・ポ・チーナ:大村歌奈
     ラピス・ラーズ:今野宏美
     セレス・タイト:笹田貴之
       コルディネ:阿部幸恵
          ラン:釘宮理恵

音楽――――
OP:Follow Me feat.Sound Around
ED:Destino

個人的にどちらも良曲です!
キャラ―――
物語の設定上、女キャラが多いので、それだけ色々なキャラがいました!

感想――――
見終わってから気づいたのですが、この作品は天地無用シリーズの最新作らしいです。
通りで観ていて少し引っかかる所があるなと思ったのですが、天地無用シリーズを少し調べればなるほど!となりました。
どちらにせよ設定は繋がっていても、ストーリーは全くの別物なので、これだけ見ても、とても楽しめました。
これは恐らく二期?があるのではと睨んでいます・・・。
まだ見てない方は見る事おすすめします!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 1

70.9 2 世界の秘密で異世界なアニメランキング2位
THE ビッグオー(TVアニメ動画)

1999年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (177)
1078人が棚に入れました
時は今から100年後、ところはかつてマンハッタンと呼ばれていた「記憶を失った街」パラダイム・シティ。この街の住人は、40年前に起きた“何か”によって、パラダイムシティを残し他全ては死滅、そしてそれまでの記憶(メモリー)を―その“何か”に関する事も含めて―全て失っていた。しかしメモリーは、時に思わぬ形でその姿を表す。
主人公のロジャー・スミスは、凄腕のネゴシエイターとしてパラダイム・シティで仕事をしている。過去の記憶を失って40年、ようやく再建されはじめた街の法秩序は完全ではなく、ネゴシエイションを必要とする場面は多い。だがしかし、そんな街において交渉だけで事が済む場合は少なく、荒っぽい暴力に訴えてくる相手も多い。そんな時、彼はメガデウス・ビッグオーを持ち出し、力に力で対抗する。そんなある日のこと、ロジャーはひとつの依頼を受ける事になる。令嬢誘拐犯とのネゴシエイトという、彼にとっては朝飯前の依頼だったが……。
やがて彼はこの世界の謎と向かい合い、過去のメモリーと相対することになる。パラダイムシティを支配するアレックス、謎の女エンジェル、存在するはずのない「異国」。ビッグオーとロジャーとの関係が深みを帯び始め、主人公であるロジャー、アンドロイドであるドロシー、全ての登場人物が自分を取り巻く世界を信じられなくなった時、ロジャーはこの謎だらけの世界と対峙する。

声優・キャラクター
宮本充、矢島晶子、清川元夢、玄田哲章、篠原恵美、辻親八、石塚運昇、堀勝之祐、納谷悟朗、大塚芳忠
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

難解だけど全部好き

1999年10月~2000年1月放送のテレビアニメ。1期全13話。
2002年11月~2003年9月に2期(second season)が放送。2期全13話。
1期と2期を一緒に評価しています。
ロボットのデザインはこの作品が一番好きだったり。

1期のストーリーは凄くシンプルで、毎話メモリーを巡る事件が起こりそれをロジャーとビッグオーが解決するお話。
2期では連続性が強くなり、メモリーと世界の謎が解き明かされていきます。ただ、1期の時点では2期を制作する予定は無く、大まかな部分は決着がついているものの、難解な部分もあり考察を必要とするため好みが分かれます。

少し暗く洒落た世界観、クラシックな街並み、雰囲気作りが上手いですね。
巨体感のあるレトロなビッグオーのデザインがかなり好きで、特に重量感を重視したロボットアクションも秀でています。サンライズらしい外連味の利いた戦闘は見所。モノクロのコントラストを活かした画面作りと演出は一見の価値ありです。

キャラクターも好きです。
ロジャーは本人が格好付けているのが若干滑稽に描かれていて、かえって嫌味がありません。
ドロシーもまた皮肉っぽさと可愛らしさが絶妙にブレンドされた秀逸なヒロイン。
エンジェルはトラブルメーカー的な役回りの前半、女性らしい弱さが露呈する後半でがらりとイメージが変わり、個人的にはとても共感できるキャラクター。
完璧超人でありながら飄々とした執事ノーマン、悩み多き堅物警察官ダストンもまた素晴らしいです。

何年か毎に繰り返し見るほど味わいが増し理解が深まる、個人的には名作です。
謎多き作風ですが本筋の解釈については色んな所で考察がなされているので、私が細かく書く必要もないかな。
なので私がこの作品を好きな理由をネタバレ全開でいくつか。


【ロボットのデザインについて】
{netabare}
2017年サンライズフェスティバルで本作のオールナイト上映が決まった際に片平一良監督のインタビューがアニメ雑誌に掲載されていました。

当時のスタンダードなロボットは「結局、行き着くところは四角いブロックの塊でしかないから、まずそれはやめようと思いました。」
「とにかく『今まで見たことないシルエットのロボットを作ろう』というのが目標でした」とのこと。
私もそこに惹かれたクチですねw
それに加えて、繰り返しになりますがロボットアクションの重量感、外連味のあるバトル。サンライズのアニメーションの特に良い所が凝縮されている感じ。{/netabare}


【世界観の表現とラストシーンについて】
{netabare}
上記のインタビューには世界観についても記載されていました。

記憶を失った街というアイデアについては、シリーズ構成の小中さんの仕掛けで、「あれは実は『方便』なんですよ。」とのこと。
細かな世界観の設定に尺を使いたくないので、語らずに済ませたい。だから最初から存在しないものとして、誰も覚えていないから語られないという形にしたと。本当は意味がなくて、あるはずのないもの(メモリー)にこだわる人が事件を起こしたり巻き込まれる構成になっている。
でもセカンドシーズンで「カートゥーンネットワークが製作に加わる時『その意味を描いて、世界観に決着をつけて欲しい』と言われて、みんなで頭を抱えました(笑)。」だそうですw


つまり謎はあるように見せているだけで本当は意味がないということが肝だったのですね。
それをどう表現するかが問題だったと思うのですが、1期の設定を極力使いながら謎を解き明かす作劇が出来ていてとても丁寧だったと思います。描きたいことはそのままに、枠物語というギミックを使うことで「メモリーは最初から存在せず意味がない」ことを描いて見せた。

枠物語とは、知っている人も多いと思いますが、劇中で別の物語が展開する物語。千夜一夜物語が有名ですね。
物語の中から外側を知ろうとする者たちの徒労、その無意味さ、それを知った者たちのアイデンティティの揺らぎが、この世界を揺さぶりました。

舞台の外には何も存在しないことに絶望したエンジェルは、その舞台をリセットしようとします。彼女が欲しかったのは自分の存在意義です。それをメモリーに求めましたが、物語の作者であり演者でもある彼女が知らないものはこの舞台には存在しない。
2期ではアンドロイドもメモリーを持つと言われています。その理由はアンドロイドが蓄積したデータは基本的には書き換えられることが無い、アンドロイドは忘れないからだと考えられます。それと同時に、ドロシーには心があり、「記録」と共に「記憶」も持っている。

肝なのは「記録」と「記憶」は似て非なる物だということではないでしょうか。
この世界には40年前より以前の記録がない。あるのは誰かが突然に思い出す記憶のみ。記録が無いのに個人の記憶は存在するという矛盾が発生する。


エンジェルとドロシーがなぜメモリーなのか。
二人はその特殊性により「記録(客観)」と「記憶(主観)」を両方持っているからではないでしょうか。

そして本作のロボットの呼称である「メガデウス」は物語を強制終了するデウス・エクス・マキナから来ています。

メモリーたるエンジェルとデウス・エクス・マキナ(ビッグヴィヌス)に交渉を持ちかけられるのは、同じくメモリーたるドロシーを同乗させたビッグオーを操るネゴシエイター、ロジャーのみだったのではないでしょうか。
エンジェルに対するロジャーの説得は、物語の中であっても自分たちのこれまでの生き方を肯定すること。自分たちが築いてきた関係性を拠り所に再び歩き出そうということです。
私はこのとても前向きな結論が好きなんですよね。
自身の記憶を捨て去りながらもその幻影に苦しめられたロジャーだからこそ、その言葉には説得力がありました。

表現や台詞回しこそ難解ですが、パラダイムシティは演劇の舞台でありその外にも過去にも何もないと理解すればそれで良い。
思わせぶりに挿入される謎の映像も、今は自覚せず登場人物を演じる役者が過去に演じた他の演目・他の役だと理解すればそれで良いのかなと思います。{/netabare}

ついつい考えてしまう人間にはとても面白いですし、何も考えず世界観を楽しむことも出来る作品です。(2018.6.11)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23
ネタバレ

しんばくん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

40年前以前の記憶が無い世界の物語【4.5】

物語:4.4 作画:4.4 声優:4.3 音楽:4.7 キャラ:3.8 【平均:4.3】                           (78.3)
物語:4.9 作画:3.9 声優:4.8 音楽:4.4 キャラ:4.8 【平均:4.6】second season                 (90.6)

ジャンル        :ロボットアニメ
話数          :全26話(first+second season)
原作          :矢立肇、片山一良
アニメーション製作 :サンライズ
監督          :片山一良
シリーズ構成     :小中千昭、片山一良
キャラデザイン    :さとうけいいち
製作          :バンダイビジュアル、サンライズ
音楽          :佐橋俊彦
主人公声優      :宮本充
OP           :「BIG-O!」歌・作詞・作曲・編曲 - 永井ルイ
             :「RESPECT」作曲・編曲 - 佐橋俊彦
             :「Big-O! Show Must Go On」歌・作詞・作曲・編曲 - 永井ルイ
              (2007年のアニマックス再放送時の新オープニング)
ED           :「and FOREVER…」歌 - ROBBIE DANZIE with 高尾直樹 / 作詞 - Chie / 作曲・編曲 - 島               健

参照元        :Wikipedia「THE ビッグオー」

【あらすじ】
 40年前に起こった「何か」によって、地球は壊滅に近い状態に陥り、同時にそれ以前の記憶(メモリー)を失った街「パラダイムシティ」。そのパラダイムシティで、随一のネゴシエイター“交渉人”として活動する男がいた。彼の名はロジャー・スミス。ある日、彼が大富豪のソルダーノから請け負った依頼は誘拐された令嬢の居場所をつきとめる事。だが、犯罪者から取り戻した少女は人間ではなく、精巧なロボット=アンドロイドだった―
 メガデウス・ビッグオーを操り、アンドロイドのドロシーと共に過去の記憶(メモリー)の謎に迫る。 THE ビッグオー公式ページ「Story」より一部抜粋

【特徴】
①巨大ロボット、アンドロイド
②ディストピア
③洋画的(セリフ等)
④渋い雰囲気
⑤1話完結(一部次回へ続く)
⑥考察を要する

【長所】
①一話完結型のストーリーが多いが、其々のストーリーの繋がりは強い
②ロボットでの戦闘シーンが小難しい話の緩衝材的役割を果たしている

【短所】
①一部考察を要する部分がある(人によっては長所)

【短評】
{netabare} 前半の謎は後半で解決する1話完結タイプの話で構成される物語。主人公のロジャーはパラダイムシティを守るために殆どの回でビッグオーに搭乗し、敵や問題を解決してゆきます。そして本筋は40年前以前の記憶が消えた謎に迫るという少しミステリアスな部分のある作品。

 まず長所①です。回を追うごとに視聴し終えた話の真実が徐々に明らかになるところに魅力を感じました。なので1話毎のストーリーを吟味しつつ、物語全体としても楽しめる作りにお得感を感じました。
 続いて②です。話の構成から対話シーンが謎解決シーンを理解出来るか否かの鍵となっています。その為、対話を聞き漏らしてしまうと良く理解出来ずに終わってしまうと思います。要するに、構えて視聴する必要があり、疲れてしまうという事です。一方、ロボットでの戦闘シーンは感覚的に視聴する事が出来、頭を使う必要が無いので息抜き出来る訳です。また、対話シーンとの温度差が大きく、マンネリ化防止に一役買っていると思いました。因みに、ビッグオーは重量感のあるロボットなので機敏な動きをしません。しかし、ロジャーの正義感溢れるセリフが熱く、それと同時に繰り出されるパンチは絶大な破壊力を持っており、爽快感の得られる戦闘シーンとなっていました。

 次に短所です。特徴⑥にも書きましたが、謎の解決を視聴者に委ねる部分もあります。そういった部分は確たる解を得られず、消化不良を起こす可能性があります。しかし、この様に考察を必要とする部分は本作の魅力のうちの一つでもあると思います。{/netabare} 

【総括】
 全体的に渋くてレトロな雰囲気でしたが、ロジャーがビッグオーを操縦し、正義の鉄槌を下すシーンは非常に熱いです。そして第1、第2シーズン共に1話完結の話は奥深く見応えがあります。また、第2シーズンは次回への引きが第1シーズンより強く、魅力的でした。尚、物語以外での魅力的な部分は渋い声の声優が多数出演しており、作品の渋い雰囲気作りに大分貢献していた事です。凝った物語、レトロな作画、熱い展開などを目当てに作品選びをしている人にはとてもお勧め出来ると思いました。



【思った事・蛇足】

難しかったです。


なので分かるまで何回も観直しました。
こういった捻りの利いたストーリーは
理解出来た時にとても面白く感じるので私は好きです。


1話ごとの構成は
『カウボーイビバップ』『蟲師』と似た
結末の部分で真実が明らかになるタイプの話が多かったです。


しかし、短評でも書いたように
1話ごとの繋がりが強く
全体としての物語がとても重厚感のある作品でした。


尚、辻褄の合わない部分が出てきますが
最期まで観る事で納得出来る・・・かもしれません。


けれど雰囲気で楽しむ事が出来れば
別段深く考える必要は無いかもしれません。


どうしても理解出来ない事が癇に障るという事であれば
考察をまとめたページを見てしまうのも良いかもしれません。


それと一応注意しておいた方が良い事は
公式ページのキャラクター説明はネタバレを含み
Wikipediaもネタバレを含みます。
なので最期まで観終えてからの閲覧が好ましいでしょう。




あと、どうでもいい事なんですけど
ロジャーのキャラデザイン
『逆転裁判』の主人公「成歩堂龍一」に似ているような。
というより
逆転裁判の方が後なので
成歩堂龍一がロジャーに似ているのかw


・・・


似てないですか?w

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

拒絶するという力

2期ラストまで通しての感想。
【話の流れで、例として他作品の名前を出しています。知らない方ごめんなさい】


どこか懐かしさを感じさせるような、1950年代アメリカ風の舞台。
直接知っているわけではないが、なんとなく聞きかじって覚えがあるような時間的な遠近感が、実体のない「懐かしさ」を醸しだし「記憶喪失の街」に絶妙に共鳴する。

数々の謎の回収が必ずしも明示されずに幕を閉じる物語だが、少なくとも、最大の謎「なぜ『ネゴシエーター』が巨大ロボットを操る主人公なのか」には、最終回ラストの5分間で回答が与えられる。

{netabare}メタ化が重層し、何が「実体」であるのか不明の、混沌のただなかに放り込まれる物語世界は、終幕、舞台となる記憶喪失の街が、文字通りの、人(?)工的な「舞台=ステージ」として設定されている(らしい)ことが明かされる。

ステージが崩壊を開始する中、再創造の前に立ち尽くす創造主に対し、ステージが自らの「世界」である登場人物=キャラクターの立場から背中を押す主人公は、まさにこのために配置された「ネゴシエーター」だ。

本作の独創を感じるのは、間接的な世界創造ともいえるこの「ネゴシエーション」で、主人公ロジャーが、再創造されたパラダイムシティもろとも、記憶消失の自分を引き受けることだ。

何度かこのような「ネゴシエーション」が行われてきたらしいと暗示される作品世界で、一種の安全装置らしい「ネゴシエーター」は、「世界の秘密」を知っていた方が、より機能的なはずだ。

「ネゴシエーション」を通じて、自らに秘密の記憶を残すよう働きかけることは、主人公にとってたやすい。
が、ロジャー・ザ・ネゴシエーターは、街とその全住民とともに、自らの記憶喪失を選択する。




ところで、どのような物語であれ、「物語=ストーリー」を動かすには、何らかの「力」、駆動力が必要になる。日常系のように「力」のない物語世界では、逆に「進行する物語」が無いことが作品の特徴になっていることを想起すれば、理解してもらえるだろうか。

バトルものに典型的だが、戦いを描くアニメ作品では、何らかの「秘密組織」が、その作品世界で物語を動かす「力」を持つことが圧倒的に多い。
『エヴァンゲリオン』が一番わかりやすい思うが、その作品世界内での「権力」を持つケースも少なくない。

これら「秘密組織」の「力=権力」の源泉は、「秘密」そのものだ。
いや、正確には、秘密を「知っている」こと。
組織自体が非合法な秘密のものでなくとも、「世界の秘密」を排他的に理解している、という事が力をもたらす。

この「秘密を知っている=他人は知らない」という非対称性が、自分(たち)は「知っている」が奴らは「知らない」という構造が、権力の根源だ。

したがって「秘密組織」は、必然的に「知らせない」ことが本能となる。
『攻殻機動隊』の「公安9課」が、事件の初動で例外なく情報の封鎖と操作を行おうとするのが、典型的だろう。
彼等が情報公開することは、絶対にない。
『ネルフ』が全人類に向けて「死海文書」を公開する日も、決して来ない。


本作で、ロジャーは記憶喪失を引き受ける。放棄された「記憶」は、すなわちパラダイムシティでの、作品世界での「権力」だ。
「世界の秘密」を「知ること」による「力」を、ロジャーは拒絶する。
万人が「秘密」を知ってしまえば「世界」が分解してしまう「ステージ」上で、「知らない」人々に「知っている」ことをもって君臨する立場を、否定する。

製作者による、「知ること」の非対称による権力性への拒否を、「力」を死守するために「秘密」を囲い込もうとする身振りの浅ましさへの強い批評性を、ここに感じる。

「秘密組織」によって駆動される物語が量産される限り、{/netabare}
この作品が視聴される意義も薄れることはないと思う。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5
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