人造人間で戦争なアニメ映画ランキング 1

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月10日の時点で一番の人造人間で戦争なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.3 1 人造人間で戦争なアニメランキング1位
スカイクロラ - The Sky Crawlers(アニメ映画)

2008年8月2日
★★★★☆ 3.6 (423)
1993人が棚に入れました
現代に似たもうひとつの世界。平和を実感するために“ショーとしての戦争”が行われる中、思春期のまま戦闘機のパイロットとなることを余儀なくされた通称“キルドレ”たちの運命を描く。
ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

Innocent Aces

原作は未読
ゲームはプレイ経験有です

数年前に
本作ゲームを
親戚の子(♂、当時小学5年生)を相手に興じ
年甲斐もなく悔しい思いをしたこの作品

当時を振り返ると
若気の至りというのか(そんなに若くないか^^!)
思考が単純なだけだったのか

悔しさのあまり
ゲームの攻略方法や
作中に出てくる戦闘機をネットで検索して
かなり本気でゲーム対策など練ったものです
(全く参考にならなかったけど^^)


そして最近になって
このアニメ作品を視聴

そのときの煽りなのでしょうか
空中戦のシーンでは
それこそ液晶画面に穴がいくつも開くくらいに
DVDが擦り切れるくらいに(そんなことには絶対ならないけど)
何度も何度も
空中戦のシーンを観察してしまいました


とにかく
空中戦
そして
戦闘機の描写がハンパないです

作画の細かさや綺麗さもさることながら
縦横無尽に動き回るカメラワークや
所々にスローモーションを入れたりして
戦闘機の動きを
よりダイナミックに見せる演出

さらに戦闘機の細部に至るまでの設定

いたるところに
細かくて
しかもツッコミを入れたくなるくらい

ある意味
マニアックな設定が施されていることが分かってしまい
数年前の無駄な努力がこんなところで日の目を見るなんて
ちょっと空しくなるくらいテンションがあがりました


特にすごいと思ったのは
主人公の「函南優一」(かんなみゆういち)くんが操る
「散香」(さんか)という戦闘機

「エンテ型」と呼ばれる
プロペラが機体の後方に設置されている
独特のスタイルの戦闘機で

Wikiによると
「実際に飛びそうな単発単座のプッシャ機を模索した結果、外観が旧日本軍の『震電』と似てしまった」
と記述されてますが

ホントは
その「震電」自体を”モチーフ”にしてるのでは・・・
と思われるような描写が随所に見られます

被弾してパイロットが緊急脱出するときは
パイロットが怪我をしないように
エンジンと本体を繋ぎ目で爆発させて切り離したり

プロペラへの損傷を防ぐため
機銃発射時に機体外部への薬莢の排出をしないなど
(他の戦闘機はジャラジャラとバラまいてる)

その独創的なスタイル故
実機で実際に取り入れられていた特殊な仕様を
とことん盛り込み映像化するこだわり
(って勝手に思い込んでるのですが^^)

さらには
作画描写が難しいはずなのに
あえて
実機には採用されなかった二重反転プロペラを
惜しげもなく採用し
運動性能の向上を図ったり

普通なら機体が空中分解してしまうくらいの
激しいマニューバ(急激な旋回)を
いとも簡単にやってのけてしまう
等々
(ここら辺になるとかなりテキト~に書いてますよ^^)

まあ
実際には
「震電」の機体については
試作機段階で終戦を迎え
実戦での運用実績がないので

想像の範囲内での無茶な設定くらいおおいにアリなんでしょう^^
(って超エラソ~なこと書いてしまった^^!)


反面
ここまで書いておいて
お話のほうは
よく分かりませんでした!(キッパリ!)

「大人」にならない(なれない?)
だけど
お酒を飲んだり
喫煙したりする
「キルドレ」と呼ばれる「子供」(?)

私にとっては超うらやまし~(歳取らないところが)
キルドレという運命を背負わされた
主人公のゆういちくんをはじめとする
戦闘機パイロット達の
戦闘に明け暮れる

現実からかけ離れた“日常”・・・

なのかな?

戦争や空中戦よりも
彼らの日々の生活や
キルドレである自身の苦悩や葛藤が
淡々と描かれており

表情の薄いキャラデザも手伝って
ちょっと気持ちが沈んでしまいそうになります


ストーリーは
ヒロインで指揮官
そして
こちらもキルドレの「草薙水素」(くさなぎすいと)(♀)の元に送られてきた
或る一人のパイロット(今回はゆういちくん)のエピソード
という感じ

最後は
{netabare}次の男の子が基地にやってきて
“ふりだしに戻る”
みたいな感じ{/netabare}

{netabare}すいとのおめがねにかなう
「どストライク」の男の子が現れるまで
このループが繰り返されるお話・・・{/netabare}

なのかな?

{netabare}何人もの若い男の子を吟味できるなんて
うらやまし~
な~んて{/netabare}

{netabare}ちょっとだけ筋違いな嫉妬をしてしまいました^^{/netabare}

抑揚のないエピソード・・・
戦争モノなのに日常モノみたいなお話・・・
いったいどこに主眼を置いてこの作品を観ればいいのか?


でも
よ~く考えたら
こんな展開そのものが
この作品の隠れたテーマなのかもしれません

作品を構成する要素
そのどれもが
途中経過
成長過程
そんな印象を受けます

出てくる飛行機のほとんどが
現実世界では
構想段階で終わったものや
開発途中で断念されたのものばかり

キルドレという
見た目は子供
頭脳は戦闘マシーンみたいな
中途半端な状態の子供達

そして
喜怒哀楽の
感情の起伏の少ない
途中経過のストーリー

なんだか
お話が醸し出す無限ループ展開のようなものに引き込まれていくような感じ

観ていて
ちょっと違和感を覚える作品でした

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19
ネタバレ

ワッキーワッキー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

音のしないメトロノーム

監督押井守作品に触れたのが、中学の頃で、私をアニメ好きに引き込んだ、または私にとってアニメの入り口となるので、評価の方は少し甘くなってしまっていると思います。

ですが、今作の映像美やテーマ性は一見の価値があったと思います。

物語は、近未来戦争がなくなり科学が発達し、人間の不老不死が現実となりつつある世界、人々は戦争をゲームやショウのように楽しむ、その戦争を行うのは会社であり、不老不死の子供「キルドレ」と呼ばれる存在でした。

登場人物として函南 優一が主人公でエースパイロット
草薙 水素が優一の所属部隊の隊長で、この二人を中心に描かれています。

また敵軍のエースにティーチャーと言う存在がいて、出会ってしまったら最後という、最強キャラ

他にパイロットや娼婦、喫茶の店長などが出演しています。

続いて作中の考察をさせていただくと

まず「キルドレ」と言う存在
{netabare}作中の表現から、キルドレとは新薬の製造過程で偶然生まれた不老不死で、新薬の名前をそのまま付けたのがキルドレという人種とされています。
では、その新薬がどういったものかと考えると、おそらくクローンを作る物だと推測できますが、さらに私は、細胞の培養速度を上げテロメアの問題も解決する薬品ではないかと考えました。
またキルドレという人種の製造には、「アクメツ」という漫画の装置の劣化版を創造しました。
そして、子供のままというのは、その新薬の弊害として、成長より、優先して状態の維持にタンパク質を使うから、子供のままであり、老化もしないといったところだと想像できると思います。
さらに、作中の表現から、記憶の操作も行われていて、無意味な戦争や殺人に対するストレスの軽減のため、忘れやすく、あまり執着しないように製造されたのが、「キルドレ」という商品ではないかと、私は勝手に考察しました。{/netabare}

作品のテーマについて
{netabare}私は、草薙水素のセリフがこの作品の伝えたかった事ではないかと考えています。
「人は、どこかで戦争が行われていないと、自分の幸せを実感できない」
(ちゃんと覚えていないので、こんな感じの言葉です)
これは、哲学や心理学の初歩的な考えですが、言葉をそのままとらえるのではなく、作られた人間「キルドレ」の言葉として観ると、空想の世界から私たちに投げられた言葉のように感じます。
時系列的におかしくなりますが、私はこの言葉から、東京都青少年の健全な育成に関する条例の非実在青少年の事を考えました。

創作のキャラクター達は、都合よく生み出され、殺されさらに凌辱されてきましたが、そのことが文学や創作には必要であった事は確かですし、
こういったものが、児童に見せてはいけないというのもわかりますので条例の賛否は置いておくとして、

キルドレも非実在青少年も人々の勝手な都合で次々に生み出され、殺され、不確かな過去しか持っていないという点で類似していると思います。

はじめ創作する事に疲れてしまったのでは、と考えましたが、後半になるにつれて違うように感じてきました。

そして、死にたいと言ったから存在が悪であるということでも、生きろと言ったから肯定でもなく、この作品は葛藤をするという事が伝えたかったテーマなのではないかと私は考えました。
(全く違うという、お叱りを受けるかもしれませんが、私の感想なのでご了承ください){/netabare}

ティーチャーについて
(ラストを書いているので未視聴の方はご遠慮ください)
{netabare}作中最強の存在として描かれており、優一のクローンの元として存在していますが、序盤では撃墜した爆撃機から脱出した人間も狙い撃ちしたり、ラストでは優一を撃墜後も執拗に打ち続けています。
これは、ティーチャーなりのキルドレに対する優しさなのではないかと思います。同じ遺伝子で同じ記憶を持っているキルドレですが、一人の人間として見て終わらせてあげているという事なのかもと思いました。

レビューのタイトルについて
この作品のキルドレという存在が、音のしないメトロノームのようだなと思っています。感情の起伏も少なく、同じところを行ったり来たりして、半永久的に動き続ける、そして音がしないので、観続けないと存在が理由づけられないといった事からです。

また今作は現代版違約のロミオとジュリエットの舞台なのではないかなといったことも考えました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

非常にテンポが悪い

この作品は、森博嗣氏原作の小説スカイ・クロラを原作とした
アニメ映画である。このアニメ映画を鑑賞した後に
小説の存在を知ったため原作についてのコメントはできない。
情報収集のために、スカイ・クロラの解説サイトもいくつか調べたが
小説とは異なる点が多いらしく、作者が否定しているようなので
別物として考えた方がいいようだ。

おおまかなあらすじとしてはこんな感じ。
戦争が、見世物のショーとしてのビジネスに変化した世界が舞台。
そこでは、殺されない限り永遠に若い姿のまま生き続ける
キルドレが戦争の駒として利用されていた。
そして、そんな生活が日常として認知されるようになってきた。
そんな中、基地に赴任してきた若きエースパイロット函南優一と
元エースパイロットの女性指揮官・草薙水素が出会う。

今作においては、気になった点がかなり見受けられた。
只、良かった点もあったので、まずはそれから書いていこうと思う。

特筆すべきは、戦闘シーンにおける作画であろう。戦闘機の細部にも
手を抜かない徹底ぶり。空中で武器が飛び交う場面は正に
戦場と呼ぶにふさわしい。
音のこだわりも素晴らしい。劇場で見れば、確実に
臨場感を味わえるはずだ。

押井作品の中では、比較的内容が分かりやすく、メッセージ性も強い。
ただし、それが判明するのは終盤間際になってからなので、かなりの
忍耐力を要求されるのはつらい。そのため、
テンポ重視の人は見ないことを推奨する。

一番気になったのは、物語のペース配分が非常に悪いことだ。
序盤と中盤のストーリー展開はとても退屈だ。その上、
前にも観たことのある光景を、ちらほら出してくるので
睡魔が顔を覗かせてくることもしばしば。
横断歩道を敢えて逆立ちしながら渡っていくような錯覚に陥った。

終盤になってやっと、物語の世界観や設定、用語が
説明されるのだが、余りにも遅すぎる。
確か、酒場において水素が優一に語るシーンだったような。
明かされないよりは一向にましだが、とにかくセリフが長い。
また、詰め込みすぎたのが災いして、ストレスを感じた。
既に踏切警報機が作動しているのにも関わらず、自転車あるいは
バイクで疾風のごとく通り過ぎるような感覚だ。
私が劇場で見ると確実に激昂するだろう。
もういっその事、作り直すべきではないかと一瞬思ってしまった。

草薙水素が、戦死したパイロットを「かわいそう」と
言った一般女性に対して、言い放った場面があるのだが、
原作の一部を省略したのだろう、かなり違和感を生じる
シチュエーションだった。彼女は常に冷静沈着ではない
ことを示唆する上での重要なシーンであるのは伝わるが、
明らかに説明不足だ。
傍から見るとただの危ない人にしか見えない。

この作品には、敵として登場するティーチャーがいるのだが、
彼について深く掘り下げていない。キーパーソン
のはずなのに。なぜなのか。
その上、ティーチャーが所属している組織の存在は一切明かされない。
物語の全体像を把握する上で重要だと認識しなかったのか。
気合を入れるべき箇所を間違えているとしか思えない。
無駄に、同じ映像を繰り返すくらいならこういう部分に尺を
使用すべきだろうに。思わず、溜息が出てしまった。

後、致命的だったのは声だ。谷原氏が演じた
土岐野尚史は特に違和感がなかったのだが、
草薙水素と函南優一の声を担当した二人にはかなり耳を傾けた。
耳をすませば聞こえるレベルなら良かったのだが、とても苦労させられた。
その上、演技も微妙なのでマッチングミスではないかと思われる。

天使のたまご程ではないが癖は強いタイプの作品だと
感じたのが私の感想だ。押井守ファンなら観る価値は
あると判断した。テンポ重視の人が見ると確実に
苦痛に感じるので無理してみる必要はないと思う。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
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