1994年度の実写アニメOVAランキング 1

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計測不能 1 1994年度の実写アニメランキング1位
疾風!アイアンリーガー 銀光の旗の下に(OVA)

1994年11月21日
★★★★☆ 3.9 (9)
28人が棚に入れました
ロボットたちが活躍するスポーツ「アイアンリーグ」の中で、リーグの弱小チーム「シルバーキャッスル」が強豪たちにフェアプレイの精神で挑む姿を描いた『疾風!アイアンリーガー』。本作はTVシリーズの後日談を描いたOVA。フェアプレイを掲げていたはずのシルバーキャッスルがUN社に買収され、ラフプレーを行うチームへと変貌してしまっていた。それに嫌気が差したウィンディは、チームを脱走、新生シルバーキャッスルを立ち上げる。開催されたUNシルバーキャッスルと新生シルバーキャッスルの試合。果たして、この大勝負の行方はいかに!?
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

テレビアニメ版から一歩踏み込んだ内容だと思う

1994年のOVAです。テレビアニメの続編で全5話。
OP曲は変わらず、映像は新規。2番の歌詞っていうのが好きですね。

シリーズ構成が変わっているためか尺不足のためか、ストーリーの完成度は失礼ながらテレビアニメ版には及ばず、癖の強いところもあります。テレビアニメ版が好きな人は抵抗がある人もいるかも。
完成度ではテレビアニメ版に軍配が上がりますが、個人的には見たかった要素を描いてくれているので、結構気に入っています。

【ストーリー】
シルバーキャッスルはUN社と合併したためにオーナーが交代し、ラフプレーを積極的に行うチームに変貌してしまっていました。
本来のメンバーは脇に追いやられ、その状況に我慢できなくなったマッハウインディはシルバーキャッスルを飛び出し、新しいチーム(真シルバーキャッスル)を作り、本来のシルバーキャッスルを取り戻すために勝負を挑みます。

既にワールドリーグでチャンピオンになっているわけですから、新展開としてはこれ以外やり方は無いかなと思います。テーマは一貫して変わらず、けれども少しだけ踏み込んだ描写も見られて、個人的には興味深い。
はぐれリーガー編でシルバーキャッスルと交流を持ったリーガー達が、王道かつテーマに沿った形で登場するのも楽しいです。
色んな要素を詰め込み気味で展開が走りすぎている印象もありますが、ボーナスステージみたいでとてもわくわくして見られました。

本作の大きなポイントは、チーム全体の勝利が強く描かれたテレビアニメ版とは違い、みんながそれぞれの考えと立場から自分にしか出来ない行動を起こす所だと思います。

{netabare}
ウインディが主人公のマグナムに比べ一歩退いた役割の多かったテレビアニメの時とは、二人の関係性が変わっているのは面白いですね。

マッハウインディはダークの最新型という話なのでおそらく若く、チームを出て、シルバーキャッスルを打ち負かしてでも取り戻そうとし、奇妙な境遇と豊富な経験を持つマグナムエースは、内側から瓦解しそうなチームを支えて守ろうとしました。
二人が対等な関係として描かれ、お互いの考えを理解しながらも敵味方になるという展開はテレビアニメ版では無かったと思います。けれども陣営が分かれたことが絆の崩壊ではないという点は、テレビアニメからの積み重ねがあるからこそでしょう。

「誰のためでもなく、自分のために良い試合がしたい」この言葉がマグナムエース自身の口から出た事がとても良かったです。マグナムが使命を持った戦士である前に、一人のリーガー(スポーツマン)であることがはっきり示された言葉だったと思います。

テレビアニメの時には皆に守られることの多かったルリーが、チームを取り戻すために自分から行動したことも良かったです。でもオーナーキーはどこかに隠しておいたほうがいいんじゃないかなw
ルリーが一人で頑張って、新オーナー・シーナと対峙したのは格好良かった。オーナーとしての責任をシーナに説いた言葉には、ずっとチームを精神的に支えてきたからこその説得力がありました。

シーナは父親が最強のアイアンソルジャーを開発しようとしていたと言っていますが、本当はそうではなかったのかも。アイアンリーガーを商品だと豪語していたシーナですが、最後にその事に気づいたのではないでしょうか。
技術者としての考え方も描かれたらさらに良いキャラクターになったと思うので、そこは少し残念。

アームがギャレットを攻撃しようとしたのは心情としては当然のことですし、状況的にも試合中とは言えませんでした。
けれども、どんな選手でもラフプレーに走るかはわずかな心の変化や、状況次第なのかもしれません。しかしその一線を超えれば相手との埋められない溝を作りかねず、そこまで自分たちが積み上げてきたものまで無に帰す可能性もある。
GZは過去の自分とギャレットを重ねて助けたいと思ったわけですが、無意識のうちにその場にいる全員をその状況から救ったのだと私は感じます。

その後、チームメンバーはそれぞれに新しい道を歩みます。きっとシルバーで経験したことを他の誰かに伝えていくのでしょう。
「彼らはこれからどうしていくのか」という想像の余地のある終わり方は、個人的にはとても好きですね。

シルバーキャッスルがここまでやってきたことも守らなければ失われてしまうもの。そういう意味で最後まで改心しないダイ・ミリオンはテレビアニメには存在し得ない、象徴的な存在だったと思います。
{/netabare}
テレビアニメはとても綺麗に幕を下ろしましたが、じゃあ優勝で全てが終わりなのか?というのがOVAで示されたことなのだと思います。


…ところでギロチ様、オーナー会議私物化は相変わらずなんですねwでもシルバーキャッスルに協力してくれて、とても頼りになりましたw
(2016.9.9)

投稿 : 2024/05/25
♥ : 4

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「何も考えないで見れる」には考えが必要。エンタメとは予想通り期待以上なり!。

 本編から変更点無しで、素直に上がりづらくなりがちな同じチームが敵味方に別れる展開を見事に捌いてるのが見事!。それにしても、どんどんゴールド三兄弟が輝いていくなぁ…。ということは本編と同じく最高!なので作品内容自体のレビューではなく、「何も考えないで見れる」的な言説に対するツッコミとエンタメについて。


 「何も考えないで見れる」的に言われるアニメや映画に批判的になると揚げ足取りだの素直に見ればいいのに…みたいな反発が生じがちな昨今だが、別に無理やり考えたくもないことを考えてるんじゃなくて、手際が下手くそだから気になってしまうだけなのだ。めちゃくちゃボケた事をしてれば、本人にそこ自覚なくてもツッコミ入れられるのは当然。エンタメとして上手くないのが悪い。


 では、何が問題なのか?というとまず初っ端のリアリティーラインやシリアス度の置き方を「脚本の人そこまで考えてないと思うよ…」by千代ちゃんだと失敗に陥りがちになる。それらを高めに設定しているのに細部にアラがあればそりゃあ気になる。考えさせないにためには考えが必要なのだ。見てる人を頭空っぽにさせるのは意義があるが、制作側も空っぽになっちゃアカン。シリアスぶってたり、リアルぶってたりするのに間抜けなミスが目立つんじゃ気になって仕方がなくなる。


 そこで、本作や実写映画だが公開中の「ゴジラ×コング」である。これらの作品にはありえないことのオンパレードだ。サッカーなのにダブルノックアウトみたいに敵味方全員がなったり、ゴジラとコングがウォ〜って擬音が見せそうなダッシュかましてきたり等々。


 しかし、そういう荒唐無稽さにいちいちツッコミ入れるのはどう考えてもナンセンスである。何故なら開幕、下手したらそれ以前からそういった馬鹿馬鹿しさまで含めた面白さを全力!で、なんの衒いも恥も外聞もなく正々堂々ぶち込んでくるからである。さらに、それによって心をガシっと掴むだけの演出力、キャラを描き込む筆力といった根本の底力が根底に流れている。細かいこと考えさせないためにはそれだけの力と配慮が、こちらの予想通りでありながら期待を超える、即ちエンタメ力が必須なのである。


 それらを備えてこそ「何も考えないで見れる」が成立する。「何も考えない」とは熱中させることであって、見てる先から頭から消えちゃうような中身スカスカの意では断じてない(もちろん日常系とかは一般的なエンタメの方式をそのままあてはめることはできない)。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 5
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