富山アニメOVAランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメOVAの富山成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月07日の時点で一番の富山アニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.4 1 富山アニメランキング1位
A.I.C.O. -Incarnation-(Webアニメ)

2018年4月1日
★★★★☆ 3.6 (236)
1022人が棚に入れました
2035年、近未来の日本。「人工生体」の研究中に起きた大事故“バースト”により、暴走した人工生命体“マター”が黒部峡谷一帯を侵蝕。 人類にとって希望の地と謳われた研究都市は、政府により立ち入りが禁じられた。 それから、2年後―。バーストで家族を失った15歳の橘アイコは、転校生の神崎雄哉から信じがたい事実を告げられる。それはアイコも知らなかった、自身の身体に隠された“秘密”だった。それを解く鍵は、バーストの中心地“プライマリーポイント”にあるという。アイコは、案内人の神崎雄哉と護衛部隊のダイバーたちと共に、封鎖されたエリアへの侵入を決意するが。人類の未来を背負う少年、少女が出会った時、明らかになる真実とは?

声優・キャラクター
白石晴香、小林裕介、古川慎、村田太志、名塚佳織、M・A・O、竹内良太、茅野愛衣、大川透、子安武人、田中敦子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

黒部に大量

オリジナルアニメ NETFLIXのお下がり


ネトフリオリジナルを地上波で!ってパターン増えてますね。コロナ関係あるのかしら。全12話。
舞台は近未来2035年の日本。とある生体研究の成果物が暴走した後、あたり一帯封鎖されて早数年。
事態の解決に向けてその研究所を目指すことになるわけですが、人工生命体『マター』があたり一帯を侵食しており人間の侵入を阻みます。なかなかのサバイバルですね。そして明らかになってくる謎。

サスペンス・ミステリ色が強めのシリアス仕立て。キャラ原案:鳴子ハナハル氏ということで見た目は推して知るべし。面白かったです。ただ先に文句だけは言っとく。

■シリアスを削ぐもの①
{netabare}危険いっぱいの侵入作戦でボディスーツとか着てるわけですよ。で途中のチェックポイントで一休みする度に{netabare}なぜか“セーラー服”。{/netabare}
そんなに鳴子氏に気を遣わなくてもいいのに。いや視聴者サービスせんでもいいのに。バランスとるために♂に詰襟の学生服着させて笑いを獲りにいかなくても良かったのに、と残念でした。{/netabare}

■シリアスを削ぐもの② ※作品中盤のネタバレ
{netabare}詰襟が逆効果だったと思うのが、この主人公くんのクールで冷静沈着風設定でしょう。後にわかる諸事情のため、高校生らしからぬ佇まいを醸し出す神崎雄哉(CV小林裕介)クンその人です。そしてこの彼。顔色一つ変えず行動がへんちくりんだったりシリアスものにあるまじきブレブレさ。

どう考えても危険な作戦を課されるパーティメンバーにそれくらい言っとけよなリスクを伝えずに窮地に陥るある種の自傷行為。道中ばれてそこを質されると「バーストを収束させる為だ!(キリッ)」。いちおう前後関係あることなんですけど…回答になってません。しかしまわりはなんとなく納得してる。{/netabare}

これ、シリアスもので一番見たくない「キメたつもりがなんかギャグみたいになってますよ」パティーンです。興を削ぎますなぁ。

{netabare}そういったちぐはぐなのがいい感じで詰め合わせになってたのが第8話。
先述のリスク周知しとけよシーンもこの回。仲間が死んで悲しさのあまり嗚咽してと声優さんも演技素晴らしかったりするのですがいかんせん抗戦中。伏して泣くとか思いっきり仲間の足を引っ張ってます。これ戦い終わってからやれよと誰も突っ込まない優しい世界。{/netabare}

真面目な作風で心の機微に疎い作品は大きくマイナスです。おそらく嫌気さす方もいると思いますよ。


それでは一転して残りは褒めます。
目的の研究所のあるエリアは黒部峡谷内。場所的に黒部第四ダムに近接してるところ。ダムにピンとこない方も聞いたことあろうフレーズ“立山黒部アルペンルート”。そう風光明美な場所が舞台でロケハンがしっかりしてました。景色が綺麗。本社がご近所だし富山のP.A.Worksさんだったら面白いなと思いましたが制作はBONESです。
この景色をうまく活かしたのがEDですね。毎話飛ばさずクールダウンに利用してました。OPはTRUEさん。作品世界をうまく表したアニメーション。珍しくOPED飛ばさず堪能しておりました。

自然の美しさと対極にあるのは人工物の美しさ。黒部に点在する複数のダムは壮観です。その最奥に鎮座する第四ダムは壮観通り越して人間ってスゲーなと感動しますよ。難工事+ダムで検索すると真っ先に挙がってくるであろう黒部第四ダム(通称“くろよん”)。完成までに171人の殉職者を出した難工事でプロジェクトXにも取り上げられました。資材運搬のためのトンネル掘削も軟弱地盤やら破水帯やら困難がこれでもかと。なんでそこまでしてやるのか?

 関西の電力事情が逼迫

してたから。停電上等な大阪圏で安定した電力供給は至上命題。時代も時代ですから、戦争で死んでった者達のためにも/あいつらの想いに較べたら、と使命感に燃えてたわけです。石原裕次郎と三船敏郎とが組んだ映画『黒部の太陽』は大ヒットしました。


奇しくも“だいよん”にとある目的をもって向かう本作の主人公らパーティの苦難と“だいよん”に資材を運ぶためのトンネルを掘る漢達の物語が重なります。
『七人の侍』と『荒野の七人』の関係みたいなもんかしら。


なお、あれだけ足を引っ張る要素から視聴モチベーションを保てたのはどこかしら黒部にまつわる現実の物語と被るものがあったことが理由。それに加えてヒロイン橘アイコ(CV白石晴香)の熱演も。『ゴールデンカムイ』アシリパ役でも感じましたが抑えめトーンの時の白石さんはヤバいですね。
そんなこんなで最終12話まで完走。明かされる謎は納得感や驚きのあるもの。終わらせ方も良かったと思います。期待してなかったわりには前のめりで視聴できました。掘り出し物・良作です。



※ネタバレ所感

■南原顕子(CV田中敦子)

人工生体汚染災害対策庁(CAAC)対策局の局長。ブルゾンちえみをしゅっとしたような感じの役人です。

{netabare}すごい複雑な気分にさせられるお役人さん。
エリア内の人口生体“マター”をどう捉えるか南原と中央とで開きがありました。キーポジションのキャラなこともあり作品としては彼女サイドに寄ってます。どういう二項対立か?

【対マターへの態度】 

 偉い人:安全保障上の脅威
 南原:富を生み出す金の卵

チェックポイントは複数あるダム。第四ダムを起点に“マター”は増殖しながら下流にまで浸食してきて、最後の壁(ダム)を突破されて日本海へと流出してしまえば世界規模でのハザードへと発展してしまう局面です。とっとと駆逐する。“結晶化”壊死させる技術もあるにはあるが、殲滅できるか確証がない。むしろ逆に“活性化”させてさらなるハザード範囲の拡大にならんとも限らない。
要は決め手にかける状態。となると事態は膠着するものです。一方で“マター”は最先端技術の徒花のようなもんで研究開発用のサンプルを大量に保有しているとも考えられる。科学技術発展のアドバンテージを日本が有していると固く信じているのが南原の立場です。

 安全保障 VS 経済

迷うことなく前者なはずですが、南原は思いっきり後者に軸足を置いた行動をとります。またそれがかっこよく見えるんだな、これが(笑)
この二項対立の結末はエンタメらしく両者取りでしたが、安全保障を重視するお偉いさんの影がとーっても薄かったのが気になりました。{/netabare}

{netabare}安全保障軽視の風潮。根拠なく自分は大丈夫!ってクセがついてないか怖くなりますね。
決断遅くて逃げ遅れたりしませんように…{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.29 初稿
2021.06.19 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

NETFLIX恐るべし…1クール(仮)オリジナルSFとしての完成度はかなり高い

B:THE BEGININGに引き続き発表されたNETFLIXオリジナル作品、ボンズ制作 全12話。

B:THE BEGININGで圧倒的なクオリティの高さをまざまざと見せつけられ、
度肝を抜かれたのは記憶に新しいが、
個人的には視聴後の余韻や感動、斬新さを感じる結末という点に於いては、本作が上回ったと感じる。
立て続けにこれほどの作品が出てくるとは、純粋に驚きを隠せない。

☆物語☆

TVアニメで言うところの1クール12話で構成された、
(元々TVアニメ向けに制作していた作品らしい)
ジャンル的には近未来バイオSFアクション。
1クールのオリジナルSFと言えば昨年のID-0を想起させるものの、
ID-0にも全く引けを取らない本格ハードSFと言っても差し支えない内容となっている。

昨今はIPS細胞を始めとする遺伝子工学やクローン、
バイオ工学関連のニュースを耳にすることも多くなったが、
現在では臓器提供や骨髄移植等に頼るしかない治療も、
将来的には体の殆どのパーツを人工的に制作し、
ダメなところを自由に入れ替えたりすることも可能になって、
あらゆる疾病も治療できるようになる?かも知れない、とか。。
そんなバイオテクノロジーが進化した近未来(2035年)を描いており、題材としてとても興味深い。

乱暴過ぎるあらすじとしては…日本の黒部峡谷で研究されていた、
医療目的の人工細胞(人工生体)が暴走(バースト)を起こし、
マター(触手みたいなグニョグニョの奴)となって覆い尽くされ封鎖された地点の爆心地
(プライマリーポイント)へ行ってバーストを終息させる話笑
夏休み前に転校してきた神崎雄哉という謎多き人物やマターの正体は一体何なのか。
主人公アイコを突然拉致し、バーストを終息させるにはアイコをプライマリーポイントへ連れて行く必要がある、
と神崎は説得を試みるが…

物語の後半~終盤にかけて明らかになっていく謎と真実、
そして真実と向かい合った時のメインキャラ達の揺れる心境、決断~結末に至るまで、
9話以降EDにかけてどんどん引き込まれ、
同様に真実を知らないで観ていた此方側も、何ともやり切れない複雑な心境にさせられる。。
(神崎、マターの正体などを匂わせる伏線は各所にきちんと張ってあるのである程度想像できる)
もしアイコと自分が同じ立場だったらと考えると…

OP曲冒頭の歌詞「誰も知らない物語を始めようか」という文字通り謳い(歌い)文句は、
決して大げさではなく、ハッピーエンドともサッドエンドとも受け取れ、
やり切れなさ、考えさせられつつ、それでいて大きな感動を与えてくれる、
昨今なかなか観ることのない(自分の予想が裏切られた)斬新な結末は、物語として高く評価したいと思う。
自分が感じた視聴後の余韻は、作風自体は異なるものの、
「シリアルエクスペリメンツレイン」や「魔法少女まどか☆マギカ」に通じるものがあった。
いや、最終話ラストにかけてはマジで泣けました。。

ネタバレ無しで作品の魅力を伝えるのは難しい…
SFドラマ系が好きな方には特にオススメしたい作品だが、アクション面でも見どころはある。
ただ、本格SF作につきものの、やや取っ付きにくいSF用語が少々出てくるのと
(HPの用語解説は事前に目を通した方が良い)
状況を把握するのに少し頭を整理する必要があるので、
惰性でボーっと気楽に作品を楽しみたいという人には向かないかも知れない。

☆声優☆

主役のアイコ役に抜擢された(と言っても過言ではないでしょう)
白石晴香さんの演技は、人気&実力揃いのキャストの中、
声で選ばれたんだなと納得できるドンピシャのハマり役。
マッドサイエンティスト化した典型的なテラ子安っぷりが、キャラまんまID-0を思わせるのが何とも笑
ネタバレになるので書きませんが、何気に由良役のキャスティング、演技は見事で、
いい伏線になってたと思います。思わずエンドクレジットを確認しましたよ笑

☆キャラ☆

結末に至るアイコの苦悩、葛藤と決断には心を打たれる。
1クール尺で掘り下げ自体はそこまで深くないながらも、
各キャラの動機~行動へ至る経緯はきちんと描かれていると思う。
子安氏演じるキャラが終盤とことん間抜け&哀れで思わず笑ってしまうが、
もはやこれもお約束というか王道にまでなってきた感もある笑

☆作画☆

翠星のガルガンティアを担当された方によるキャラ原案で特に不満なし。
ガルガンティアを担当したI.Gの作画の方が同監督作としては、よりスマートな印象で好みですが、
ボンズの方が何となく無骨さのような癖は感じますね。
特筆すべきは、やはり豊富な予算と充分な時間がかけられているせいか、
昨今の作品であればCGに頼りそうな部分であろうマター描写等は、見る限りほぼ作画によるもので、
この部分はかなりの労力が掛かったでしょう。
メカの方はCGを活用してますが、デザインも良く作画との相性も自然な仕上がりでした。

☆音楽☆

OP,ED共に曲を売るためのものではなく、
作品のためだけに作られたであろうものであることはすぐ判る歌詞で、
特にアイコ本人が歌うEDは彼女の決断、心情を考えると涙なしには聴けない。。
如何にもな名作臭の漂う荘厳な曲調も、内容が伴ってこそ。
EDアニメーションは最終話ラストシーンを観て振り返ると、なるほどと納得できるもので感慨深い。
作中BGMもチープさを感じること無く、シリアスな場面&バトル時の緊迫感を煽る聴き応えのあるもので、
予算をかけて抜かりなく作っているのが判る。

NETFLIXに関しては、潤沢な予算と余裕を持った製作期間で、
日本のマニア向けだけではなく、普段実写ドラマや映画を観ている層、
全世界同時配信に相応しいものを作るという制作テーマ、
恐らくクリエーター魂に大いに火をつけるであろう円盤売上を度外視できる自由な制作環境は、
国内のアニメ業界にとっては大きな変革であり、
より優れた質の高いオリジナリティに溢れた作品が生まれる土壌&可能性としては、
今後TVアニメ以上に極めて有望ではないかとさえ思えるもので、
個人的には大いに期待&歓迎したい。
本作はそう思わせるに充分な力作だった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

君は今…人間じゃない

この作品はBONESさんのオリジナルアニメだったみたいですね。
Netflixが独占して全世界に発信した作品です。

まず、3/9(金)に放送が開始された作品であるにも関わらず、この時期に「観終わった」レビューが書ける事にビックリしています。
なぜなら、最新話の視聴は1週間指を咥えてじっと待ち続けるのがこれまでの常識でした。
でも、でもこの作品は放送開始と同時に全12話が一挙に公開されたんです。

それは、この作品の1週間前に放送が開始された「B:the Beginning」も一緒でした。
私はつい最近加入したばかりなので「DEVILMAN crybaby」がどの様に押送されたかは分かりませんけれど…
この放送構成って…かなり斬新であると共に、今後のアニメ放送にも多大な影響を及ぼすのではないでしょうか?

一番大きいのは、「TV枠の確保」と「尺の制限」が無くなる…という事ではないでしょうか。
放送枠が確保できずにアニメ化が見送られた作品…
或いは大人の事情である尺の制約によって、原作から大幅な改変やカットを余儀なくされた結果、視聴者の期待から逸れた作品に仕上がってしまう…こういう作品があったのは否めない事実だと思います。

ですが、Netflixの様なネット放送なら枠を気にする必要はありませんし、尺の長さに自由度が生まれるので、作り手が本当に伝えたいことを残らず作品に盛り込めるようになるのではないでしょうか。
必ずしもCM含めて30分の枠内に収める必要がありませんから…
だから話の展開によっては45分になったり…はたまた15分で終わる回があっても、それで作品のクオリティが向上するなら、きっとそれを拒む視聴者も多くないと思うんです。

それに予約が重複して視聴を断念する必要もなくなりますから…
でも視聴者にとっては決して良いことばかりではないと思います。
作品数が爆発的に増えた時、どのように取捨選択するのか…難しい問題だと思います。
まぁ、結果的には嬉しい悲鳴でしかないのかもしれませんけどね…

それではこの作品はどうだったか…というと、総じて面白いと感じられる作品だったと思います。
この物語の主人公は、15歳の橘アイコ…彼女は2年前に突如として発生した「バースト」と呼ばれる人工生体の暴走事故に巻き込まれ、車椅子での生活を送っていました。
その事故は彼女の足を痛めただけではありません…家族みんなを失ってしまったんです。

そしてバーストは今も収まっておらず活性化を続けている事から、バーストが発生した現場近辺は幾重にも巨大なゲートによって隔離されています。
だからバーストの発生した場所は「誰をも寄せ付けない場所」となっているんです。
バーストに巻き込まれて取り残された人だっているというのに…

人々がバーストの恐怖に怯えながら日常を過ごす…という環境にようやく私たちが適応し始めた矢先、アイコの通う学校に神崎雄哉という転校生がやってくるんです。
しかも夏休みの1日前というとても中途半端なタイミングで…

詰襟の似合うイケメン風の神崎雄哉はとある意志の下、この学校にやってきたのでした。
そしてそれはアイコを巻き込む大事件に発展し…物語が動いていきます。

この作品の見どころは、丁寧に描き込まれた作画、迫力のある戦闘シーン、可愛らしいキャラデザと挙げれば沢山あるのですが、何よりとても大切に作り込まれた「人の命」というテーマそのものだったと思います。

人間は有限で、当たり前ですが代わりはありません。
そして脆く…弱い存在です。
だから危険を察知する本能が人間には備わっていて、その本能と理性が組み合わせた集合体が「チーム」だと思います。
お互いを守り合うことで危険に対するリスクを軽減することができる…
その絆や団結力は私たちが生きていく上で欠かせないファクターだと思います。

一方、人間が有限であることを望まない人がいても決しておかしくありません。
最愛の人や大切な人との時間は少しでも長く…と思ってしまうのが人情だと思います。
上述した有限の密度を高める生き方と比べると、こちらの方は少し歪みを感じるかもしれません。
でもそんな風に簡単に割り切れないのが人の心で、その連鎖の先にあるのが人工生体…
そんな思いに技術が追従するなら僅かな可能性や希望に縋らずにはいられません…
もし私が同じ立場だったら、私も同じ選択をしていたと思います。

ここからがこの作品の真骨頂…
大切な人の代わりとして作り出された人の思いはどこへ向かえば良いのでしょう…
こういう時、望んだ人の目線での物語が数多く描かれていると思いますが、
望まれた人の気持ちに焦点を当てて丁寧に心情を描いた作品はそう多くないと思います。
この作品はそんな気持ちもしっかり物語の中に織り込んでいます。

最初は右も左も分からなくて、ただ付いていくだけだった…
様々な人の感情に触れて沢山の思いを知って…
大切な人の役に立ちたいと思って…
そんな思いの先で何が待っているのか、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
12話の尺の中で綺麗に物語が纏まっていた作品でした。

オープニングテーマは、TRUEさんの「A.I.C.O.」
エンディングテーマは、白石晴香さんの「未知の彼方」

1クール12話の物語でした。
主人公のアイコ役は白石晴香さん、神崎雄哉役は小林裕介、その他かやのん、M・A・Oさん、名塚さんなど出演されている声優さんも豪華でした。
放送がNetflix独占じゃなかったら、今以上に視聴数の伸びる作品だと思いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

63.3 2 富山アニメランキング2位
恋旅~True Tours Nanto~(OVA)

2013年4月28日
★★★★☆ 3.7 (78)
508人が棚に入れました
富山県南砺市が、同市に拠点を置くアニメ制作会社ピーエーワークスに委託して製作されたアニメ。
いわゆる聖地巡礼を目的とした観光客を誘致するため、南砺市の利賀・福野、井波・平・上平、福光・井口・城端の各地区を舞台とした3話が製作され、また作品は市内に訪れないと見られない仕組みとなっており、視聴目的の観光客の誘客も図られている。
現在では公式Youtubeチャンネルにて視聴が可能になっている。
ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ナントっ!

富山県南砺市が舞台の
ご当地PRアニメ作品です

一話約6分の全6話
3組の男女の恋愛ストーリーが各2話づつの構成です

・耀司と千晶編
 {netabare}大人(25、6歳くらいでしょうか?)の恋愛のお話
 耀司くんの転勤話で二人の揺らぐ恋心が描かれています{/netabare}

・晴喜と葵編
 {netabare}高校生で幼なじみの二人のお話
 若い二人の純情なお話です{/netabare}

・匠と夏子編
 {netabare}二十歳くらいのちょっと大人の恋のお話
 夏子ちゃんの片思いからお話がはじまります{/netabare}

どのお話も人物の感情がうまく表現されていて
お話に入り込みやすいのですが
時間が短いということもあり
ストーリーはとても
"ベタ"なものになっていることは否めません

でも
ひとつのお話で10~12分の枠で
とても効率よく内容が盛り込まれていると思います

特に
耀司くんと千晶ちゃんのお話
最後はウルっと来ましたよ
{netabare}自分の過去を重ねてしまって^^{/netabare}


背景のデザインはとてもよく出来てました
現地で色々見比べたのですが(後述)
さすがご当地PR作品です

そして
さすが P.A.WORKSですね
画がとても綺麗です
地元の地の利というのもあるのでしょうか
細かな部分まで観察されてて
とても丁寧に描かれてました

私はiphoneで視聴したのですが
スマホのディスプレイで観てても
充分
満足できるほどのクオリティです


話は大きく逸れますが
この作品の
それぞれのお話は
南砺市が合併する前の
旧市町村ごとに
舞台が設定されています

お話に出てくる町は全部で8つなのですが
実は
3つのお話全てに
スキー場のある町が出てくるんです

耀司と千晶編・・・利賀(とが)
晴喜と葵編・・・・たいら
匠と夏子編・・・・福光(ふくみつ)

匠と夏子編では
実際に福光にあるIOX-AROSA(イオックスアローザ)
というスキー場が舞台となっています

ちなみに
利賀は「スノーバレー利賀」
たいらはそのまま「たいら」
(名前は"たいら"ですがコースはかなり"タイト"です^^)
という名前のスキー場
です

自慢じゃありませんが
(自慢にもなりませんが)
わたくし
これら3つのスキー場全て
滑りにいったことのあるのですが

なぜか
いっしょに行ったのは
全て違う人・・・

どのような関係の人かは
おいといて・・・(^^!

南砺は私にとって波乱にとんだ地なのです^^

思い出の地
恋多き南砺のお話なのでした~

一度遊びに来てみられ~^^


余談で
(長文注意)

{netabare}実は
この作品を知ったのは
あにこれサイトの「TrueTears」のレビューを
見たのがきっかけです

レビューを読んで
興味を持ち
「TrueTears」でググったら
この作品に偶然
行き着いてしまったのです

タイトルを見て
最初は

パクり?

って怪しんだのですが
南砺市がPR作品として
まじめに(?)製作されたということが分かり

しかも
「アニメーション制作は当市に拠点を置くP.A.WORKS 主な制作スタッフ・キャスト・アーティストには 南砺市城端地区を主に舞台にしたTVアニメ 『true tears』を手掛けたメンバーが集結し 南砺市各エリアの美しい自然・風土・文化・などとともに 3つのオリジナルラブストーリーを描き出す(ばぁぁん!)」
(作品サイトからコピペしました・・・"ばぁぁん!"は私が勝手に付けました^^)

のうたい文句に
期待が膨らみ
視聴を決意しました!(そんなに重大なことでもないのですが)



しかし
あらためて
サイトの内容を読んでいくと
ナントッ(洒落じゃないよ^^)
この作品
現地に行かないと観られないということを知りました

視聴は
ワンセグか
スマホに専用アプリをインストールして観るという
方法があるのですが
スマホはGPS機能を使っていて
そのエリアに行かないと視聴できない仕組みになっているのです

その他には
南砺市の旧自治体ごとの施設に行って
その庁舎内にあるモニターで
視聴できるということです

詳細は作品の公式サイトをご覧ください(宣伝かよ!)

いずれにしても現地に赴くしかないのですが
コレはナントしても(何回も言いますが洒落じゃないよ^^)
観てみたい
という欲望が膨らむ一方
富山の道よくわかんね~しな~
という葛藤に陥り

しょ~がない^^
富山の道に詳しい
友人"M"を道連れにすることに・・・

5月のゴールデンウィークの最終日

連休の無駄な時間をつぶすため
買い込んだ小説(古典部シリーズだよ^^)も早々に読み終えてしまい
休日が1日余ったので
急遽
当日の朝早くに"M"に電話しました(迷惑なヤツだ)

朝6時・・・^^!

("M":"M"、シ:シス子)
電:プルルルル・・・プルルルル・・・(×10回)
  ・・・ガチャ(やっと出た^^)
M:もしもしぃ
  (私からの電話だと知ってやる気のない声)
シ:ぐへへ~
  おネエちゃん今どんなパンツはいてるのw
M:朝はよからなにふざけとるんや~!
  死ね!
  ボケ!
  (かなり眠そうでご機嫌斜め)
シ:(素に戻って)
  いや~
  天気がいいから
  ドライブにでも行きたいかな~って・・・
M:はぁ
  どこにぃ
シ:福光・・・"のほう"・・・
M:ふくみつぅ?
  な~んでそんなとこにぃ
シ:ん~アニメでも見に行こうかな~って^^
  ・・・てへぺろ^^
M:ぜんっぜんっかわいくね~しぃ
  っていうかなんでアニメなん?
  意味わかんね~しぃ
  っていうか福光って遠いしぃ
  あんたっ
  この前もむりやんこ山に引っ張り出して・・・
  ("イニD"レビュー参照)
シ:(話を聞かずに)
  往復で2時間くらいやし~・・・いいやろ~
  お昼ラーメン奢るし~
M:行こ(即答)
シ:(ふっふ~ん尻の軽いヤツだ)
  じゃあとで迎えに行くね~

(方言が入り分かりにくくなってしまってスイマセン(^^!)

っていうか
実際には
福光はまだ近い方で
一番奥の利賀ともなると片道で軽く2時間くらい掛かるんですが・・・

バカめ!
悪徳訪問販売みたいな
胡散臭い話に
まんまと引っかかりやがったぜ^^

朝9時・・・

なにも知らない
ナビ女"M"を
文字どおりナビシートにしばりつけ
南砺市に向けレッツゴー!(お~!)

ゴールデンウィーク最終日の朝早くに
叩き起こされ
ご機嫌ちょ~ワルな友人に構うことなく
私だけノリノリ絶好調で
南砺市に到着

でも・・・

ま~
とにかく
大変でした

視聴できるエリアまで移動して作品を視聴して
また
次のエリアまで行って視聴しての繰り返しで

専用アプリには地図機能もあって
視聴エリアに入ったら
知らせる機能も備えているのですが
どこがどのお話のエリアなのかいまいち分かりにくくて
車のナビと
ナビシートのわがままナビ女を巧みに"操作"しながら
1日中走りまわってました

途中で視聴しながら
「わ~みてみて・・・意外と画が綺麗や~・・・」
って・・・あれ?
ナビ女にガチ無視されてヘコんだり

お話にプチ感動して
涙してたら
「あんたなぁに涙流しとるん?はよラーメン食べにつれてけや!!」
って速攻で現実に引き戻されたり

せっかくこんな山奥まで来たんだから・・・

世界遺産の「五箇山合掌集落」を
にわか観光したり

やっていることのスケールが
大きいのか
せこいのか
自分でもよく分からなくなるくらい
いろいろ
紆余曲折しながら

ようやく帰路についたのが
夕方の5時ごろ

ナビシートのナビ女は
車のナビとスマホを見ながら道案内をして
しかも
作品の舞台はほとんど山あいにあり
タイトなワインディングロードと
私の"イニシャルD"張りの派手なドラテクの煽りをもろにうけ
車に酔ってしまい
ヤバイ状態になってました

ごめんねナビ・・・じゃなかった^^・・・"M"
私の奢ったラーメンはちゃんと完全消化してね^^{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

“ご当地”でしか観れんという正真正銘の“ご当地アニメ” 短いながらも良く出来ていてビビる

P.A.WORKSのお膝元でもある富山県南砺市を舞台にした3組のカップルによる6つのオムニバスラブストーリー
現地の観光名所で直接アプリを立ち上げて位置情報を認識させるか、お役所等の公共施設で限定的にワンセグ配信されているものを受信するかの2通りのみで視聴可能
とまあ、観光誘致のためのかつてない【超ローカルアニメ】


『Ture Tours』などという“超ダサい”タイトルはともかくとしてw
ちゃんと『Ture Tears』のスタッフとキャストを再集結させている気合の入れっぷりは凄いです
だからちゃんと西村純二が監督、岡田麿里が脚本、音楽はeufonius、彩陽も井口さんも名塚も出ている
強いて言うなら上田夢人や関口可奈味(ネ申)が不在なのは痛いところでしょうか
1話約5分×6話、とまあかなり短いながらも現地観光名所の魅力をちゃんと盛り込みつつ、普通にラブロマンスとして良く出来ているのだから拍手モノ
遥々東京から富山へと出向いた甲斐もあったってもんですw


現地でアプリ起動→オリジナルアニメ視聴→(ここまでの流れが最もな特色、以降の機能についてはガルパンの聖地巡礼アプリなんかでも実装済み)→観光名所でキャラクターカメラ起動→ツーショット撮影→キャラクターボイスで観光案内→役所などで現地へ行ったことを写真で証明→(ハイパー晒し者タイムw)→オリジナルポストカードが貰えます→全6枚中3枚以上集めるとポストカードブックが貰えます


☆晴喜と葵☆
幼馴染が故に距離が近すぎてお互いの気持ちが見えなかった高校生カップルのお話
後編はこれまでの「友達以上、恋人未満」な関係が心地良すぎたと苦悩する後日談
3組の中では王道、良い意味でベタな展開
吉野裕行さんの下手っぴな歌が聴けるのはコレw

舞台は北陸の小京都とも呼ばれる町並みと圧巻の彫刻が息づく『井波』
そして国重や世界遺産に指定されている合掌造り集落が残る『平』、『上平』


☆匠と夏子☆
スキー場で初めて出会ったはずの草食系な匠とアウトドア派の夏子
でも夏子は匠を以前から知っているような素振りを見せる・・・
ちょっと凸凹気味だけども、いつの間にか惹かれあっていく二人のお話
残り2組はマリーの脚本だがこの二人だけジュンジの脚本
なので「夏子があざとい」とか「匠がHENTAI」とまあ他の2組よりラブコメ風味で毛並みが違うw

舞台となるのは日本最大のゴンドラ設備を持つスキー場、IOX-AROSAのある「福光」
それと「井口」、P.A本社もある「城端」
桜ヶ池のサービスエリアにある馬鹿デカいボルタリング施設も出てきます
ホントにデカいですw
赤祖父湖の円筒分水槽は個人的にツボ


☆輝司と千晶☆
転勤の話が一転、別れ話になってしまった倦怠期のカップル
最後の旅行先は思い出の地、富山へ・・・
3組の中で最も賞賛したいお話です、出来れば一番最後にチェックしてほしい
「夢の中では王子様と王女様なんだ」という、マリーの脚本ではお馴染みの乙女チック妄想タイムが炸裂しているのもポイント
前編は輝司視点、後編は千晶視点で進むので二人の気持ちのすれ違いを感じ取ってほしいですねぇ

舞台となるのは蕎麦が美味かったりギリシャ風劇場があったりで大自然とのギャップがそそられる「利賀」
そして喧嘩神輿が有名な夜高祭で賑わう「福野」
夜高祭は是非一度リアルタイムで観てみたいです


ショートショートながら、P.Aはかなり良い仕事をしたと思います^^b
ただしこの企画、一度視聴すれば半永久的に動画が解禁されてしまうのでほぼ一回訪れるだけで終わってしまうのが少し寂しいところ
何か今後に繋がるものをこれから模索していって頂きたいですね
もちろんtrue tearsやAnotherの聖地巡礼も忘れてはなりませんw


最後になりましたがこれから南砺市を訪れる、って方へのワンポイントアドバイス
最初からアプリに入っている動画の画質はかなり酷い(笑)
ですのでオプションの「高画質動画ダウンロード」機能を用いてあらかじめ動画を落しておくことをオススメします
一度ダウンロードすれば位置情報認識後に解禁される動画は画質MAXのモノになります
これオススメ

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

地物アニメ

ご当地のなかのご当地アニメ。
富山県南砺市は、かの作画職人製作会社P.A.Worksのお膝元になります。
富山県の西部に位置し、岐阜県や石川県と隣接する山間の地区が多い地域。雄大な自然と昔ながらの文化を残すのが自慢ですが、観光名所としての知名度は今一つ。
有名じゃないだけで、世界遺産(合掌造り集落)も有しており観光資源や見所は結構豊富なんですけどね。
お隣の白川郷や金沢といったメジャーな観光地の陰に隠れてしまうのがなんとも惜しい。

そんなワケで、かの南砺市をアニメで世間にアピールしよう!というのが本作。
アニメ制作はもちろんP.A.Works、お金を出すのは行政です。


内容はというと、5分程度のショートで6本。
前後編に別れた3つのお話。少し年代の違う3組のカップルを描いた群像劇で、胸の奥をくすぐるような恋物語となっています。
南砺市のあらゆる名所旧跡を背景にして、甘酸っぱいやりとりが行われている会話が中心のお話。
まぁ、「リア充爆発しろ!」
と、僻みで言ってしまいたくなるような内容です(^。^;)
観光誘致のためのアニメですが、P.A.Worksを目当てに訪れたオタク達に反感買わないかなぁ~、と超余計なお世話な心配をしてみたりしなかったり・・・TARITARI


お話そのものは無難なもの。
アニメの出来も、背景こそ多岐にわたり綺麗に描かれていますが、P.A.Worksの仕事にしては並の出来です。
私個人としては、昔から行ったことのある場所・見覚えのある場所が多数登場しているので、結構胸を弾ませて視聴することができましたが、この地に縁のない人の目にどう映るかは正直なところ未知数。
ですが、落ち着いた雰囲気で旅情を楽しみたい、まさに本作の登場人物のような恋人同士での旅にはマッチしてる南砺のいい所はアピールできていると思います。
まぁ、それが目的のアニメなので当然といえば当然ですが(^_^)b


ともかく、
南砺に訪れて、スマホアプリでダウンロードして視聴するという方式は面白い試み。
スマホがなくても、道の駅などの要所でテレビ視聴できるようにもなっています。
面倒ではありますが、旅に出かけるなんてのは、こういうキッカケや動機が必要なもの。
近隣には聖地巡礼スポットも多数あり、温泉も豊富で山の幸のみならず北陸の海の幸も美味しく楽しめる好条件な立地。

訪れて損はありませんので、機会があれば是非お越しくださいませ(^_^)ノ

・・・と、地元興しに協力してみるw

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19
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