平行世界で戦いなおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの平行世界で戦いな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月09日の時点で一番の平行世界で戦いなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.4 1 平行世界で戦いなアニメランキング1位
100万の命の上に俺は立っている 第2シーズン(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (177)
615人が棚に入れました
合理的で単独行動が好きな中学3年生四谷友助は、
ある日ゲームじみた異世界に転送された―。

すでに転送されていたクラスメイトの新堂衣宇、箱崎紅末とともに
3人目のプレイヤーとなった彼は、命を懸けたクエストに挑むことに。

感情論を排してすべての要素をフラットに、
時には仲間の命すら駒として扱う冷酷な四谷。

襲い来る魔物、厄介な事件、そして暗躍する強敵からパーティの全滅を防ぎ、
このゲームをクリアすることができるのか?

声優・キャラクター
上村祐翔、久保田梨沙、和氣あず未、小市眞琴、斎藤千和
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

あれ?100万ってこんなに面白かったか

一期は酷いアニメも多かった秋アニメの中で個人的ワースト2位(1位はシグルリ)でとんでもないクソアニメだと思っていたのだが、なぜか2期は普通に楽しめてしまった。
勿論酷いところは酷いけど
単純に話が面白くなったのかそれとも期待値が低かったからなのか。

{netabare}
1期の時はよくある痛いなろう系(実際はなろうじゃないが)と思ってたけど、よくよく考えると主人公達めっちゃ弱くて全然なろうじゃないなと。
戦闘も真っ向からじゃなくてどんな手を使ってでも勝つという俺YOEEE系の良さもかなりあった2期だった。
テンポが良く話が動くので先の展開も気になって飽きずに見ることができた。

痛い主人公だと思ってた四ツ谷もちゃんと見れば、全然そうじゃないなと感じた。
一期の時はなろうだという色眼鏡をかけて見てしまっていたのかもしれない
例えば最終話のもう一人殺しているから人を殺していいのか葛藤するシーンなどは良く出来てたと思う。
決して人の感情がない主人公ではない。
要するに心の中では不要な人はいなくても大丈夫だと思いつつ、実際にその場面がくると人を殺すことを戸惑う主人公、と意外としっかりと心情描写が出来てる気もしてきた。
それにだんだんと主人公がこの思想はよくないと矯正されて行くような物語にも感じて、最終回のビルの上でのシーンは良かった。
一期の時は心情描写がなってないアニメだ、と思ったけど、決してそうではないなと感じた。

それと、クエストごとに向こうの世界だと年数がかなり経過しているという設定も、具体的にそういうことを表現するシーンはなかったとはいえ、カハベルさんの辺りとか、やるせなさを感じられて良かった。

まあ、逆に駄目だった点というと展開がガバガバなことかな。
津波回や戦闘にたまにご都合だなぁと感じてしまうぐらい。

正直、作画がもうちょっとよければここまで駄作のように言われることはなかっただろうなとも思える作品。

{netabare}
13話 9/10
何でこのアニメが2クール放送されるんだw
主人公こんな能力あったっけ。なろうタウン。
カハベル15年たってるけどかわいいな。むしろ今の方が。
この金髪明るすぎる。
主人公こんなまともな奴だっけこのアニメ。
思いっきり不倫してるカハベルw
主人公がゲームマスターに疑問を持つところも良かった。
カハベルに対して子供老けすぎだろw
あれこんな面白かったっけこのアニメ。
熊本城か?w 面白そうなミッション。

14話 6/10
主人公らめっちゃ弱いイメージあったけど以外と戦えるのか。
別アニメが始まった。
挿入歌良いじゃん。紫髪男かよw
オーク強すぎる。
けどこれが残り14体ならすぐ倒せそうw
サンザの演説シーン良かった。
これ主人公裏方に回るのかな?
ネーミングセンスが。
たまに主人公が痛くなるのやめてくれや。 

15話 7/10
銃有能。ライスの死雑すぎだろw
ほんとにゴブリン計15体って余裕そうw
クイーンも可哀想だな。人間が悪と言われると微妙。
ほんとに普通に面白くなってきたな。

16話 2/10
手抜き作画。この紫髪男かよ。
これ全滅することはもうなさそう。
謎津波。シュールギャグアニメか?
災害も利用しようとしてるのはこの主人公らしくていい。
目的を達成するために手段を選ぼうとしないのも
謎ドラゴン 今回酷い

17話 9/10
人間が悪系? もう主人公側の全滅の恐れはなさそう。
は? なにこれ。謎ピー音といいえ、私はすね毛です。
唐突な下ネタいらねえw 人質か?
ドラゴン空気。
アニメで腹筋ちゃんとある女キャラ珍しいw
唐突に感動要素的なの出されても笑うわ。
オークを殺すところの何とも言えない雰囲気は良かった。
女王じゃないほうのオークがマグマに沈むところはちょっと感動した。

18話 7/10
この主人公達だとあのレベルの強敵出てくると立ち向かうすべがないよなぁ。
唐突にギャグアニメが始まった。
なんであおゆはあいつが黒幕ってことわかってるんだよw
アニメないのキャラだけが状況を理解してる。
あのハゲは放置? アイツって1クール目のラストの人? 

19話 8/10
なんだこれw
ぼくリメが始まった。
他にもプレイヤーいるのか、この展開は面白い。
カハベルさんの話儚いな、時の進みがこっちの世界だと早いの。
やっと主人公まともな職w 
20話 今度はゾンビか。お前一期で人殺して狼狽してたじゃん。村もう滅んでそうだな。どう考えても閉じ込められるだろw 地下牢に閉じ込めたこと喋るなやw 6/10

21話 7/10
作画が死んでる 勇者とはw
てか結局このアニメ俺YOEEE系だし魔物全然倒せないもんな。
これこの狭さなら全然間に合わんだろw
このおじさん結局いい人じゃないか
こいつら村長に追い出された元人間ってオチ?
山ちっさくなりすぎやろ。

22話 7/10
これ村人に殺されたんかな?
まあそりゃ恨み買ってるしな
死んで変にお涙頂戴しないのはいい。
テンプレ推理だけどたんもしよりは推理してるw
その発言をした証拠がないけどw
これが雛見沢症候群ですか

23話 7/10
子供を殺すのは良くない
こいつ生きとったんか。 
年数経過してるのなんかやるせないんだよなぁ。
こいつら強い。に比べて主人公達は... 
魔力設定こんなふうに活きるのか
デスルーラか?w 
入れ替わってるから偽物言われたってことか?
本物殺されてる?

24話 8/10
たんもしよりは探偵してる。
こういう荒唐無稽なオチ嫌いじゃないよ。
村長優秀かよ。
ほんとなろうっぽいのに俺YOEEEだなこれ
めっちゃ痛そう。
魔物不通に倒すじゃんw
あの紫の子は殺したのにこいつは殺さんの?
こういう人を殺すか殺さないかで結構葛藤するのはいいな。
ここ結構テーマになってるのか?
結局死ぬんか。
ザグロスだとニューエデンがザグロスに乗っ取られたみたいじゃんw
なんか期待値低いからか二期面白く感じたわ。
1期OP好き
100万以上いるだろw 
{/netabare}

曲20段階評価
OP「Baddest」4.5/10
ED「Subversive」7.5/10
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

・・・ガバガバでグズグズでグダグダ・・・でも、いいポイントもある。

いやー、実際私は評価は甘い方だと思うんですよ。
よっぽど合わないと思われる作品、興味のない作品は回避することはもちろんあるのですが、見始めたものは最後まで観ようと努める方だと思います。

で、こちらの作品。
1期もちゃんと見ましたよ、ええ見ましたとも。
そして、確かに「むむっ・・・。」と思う点も少しはありました。
いろいろと言いたい点もあったのですけどね。

2期決まっていたという事で、少しはリソースが増量され、良くなっている点が増えているのではないかと期待をしてみたのですが。。。
いやぁ、悪いとこばっかではないのですけれども、ですねぇ。
う~む。

評価項目順に書いてみるとすると・・・。

物語:ガンツ系と言ってすべての人に伝わるかどうかは解りませんが、そのために究極的な「謎」は「なんじゃらほい?」のままです。
ただし、物語自体は今まで通りのパターンで進捗していきます。
2期の第1話の入り口「ほー、ここから入りますか」と正直、少しセンスの良さを感じたのですけれども・・・。
今期は大まかに2エピソードでしたね。
これが、いたるところがグズグズ、グダグダ、ガバガバなんですよねぇ。
雑というか、無理やりというか、適当と言うか、なんて言えばいいのかなぁ。
ただし、セリフ回しや、展開に「おっ!」とか「ほー」とか、琴線に触れるポイントがある事も事実なんです、ありがちなパターンも多いのですがね。
こういうムラのある作品というか、これって、誰の責任なんでしょうかねぇ。脚本の方なんでしょうか、監督さんなのでしょうか。
よくわかりません。
あとは、この作品の個性と言えばそれまでなんですが、主人公たちがよく〇んじゃいます。
全員同時じゃなければ、何とかなる的設定で、割と雑に〇んじゃうので、なんだかなぁ、です。
それに、サブキャラ的な皆さん他も、割とアッサリ〇んじゃいます。
「えええぇ~~~っ!!」と骨折を知らされたテイオーのようになってしまいますが、そうなんです。
そして、さも悲しげに・・・。
いや、確かに当事者になればそうだとは思うんですが、あれだけあっさりと〇んじゃうと、感情移入も忘れてしまいます。
まぁ、リアルでも人の〇っていうのは、そういうものかもしれませんけどね。。。逆にリアルなのかも・・・。

作画:まぁ、普通ですねぇ。
あえて言えば、普通よりちょい悪でしょうか。
キャラクターがえらく小綺麗に描かれている時と崩壊とは言いませんが雑に描かれている時の差がはっきりと感じ取れますねぇ。
モンスター系の作画は「リトライ並み」ですねぇ、誉め言葉にはならないかなぁ。
まぁ、こちらも「えらくムラがありますねぇ」と言うのが率直な感想です。
これって誰の責(ry

声優:まぁ・・・これも大多数はフツーですかねぇ。
ただし、一部「不通」の方もおられましたねぇ。
ああ、意味のない、訳の分からない表現をしてしまった。
こちらも、あえて言えばムラがありましたねぇ。
これって(ry

音楽:まぁ、普通でしたねぇ。
ただ、合う人にとっては、悪くないという評価にもなりうるとは思いましたねぇ。
主にOP/EDのお話なのですが。

キャラクタ:まぁ、これは、これとして受け入れましょうかねぇ。
なんか唐突に新キャラが仲間に入ってきた感もありましたが、どうですかねぇ。
仮に続くとして、さらにキャラインフレしていくのでしょうかねぇ。
丁寧に描かれている時の女性キャラはまぁまぁ魅力的に見えることもあるので、そこは狙っているんでしょうかねぇ。
百合的キャラも登場しましたし。


さてと、総合的な評価なんですが・・・。

何でこんなに全体的に「ムラ」が目立つ作品作りになっているのかがわからない。
せっかく、ちゃんと琴線に触れるような、ポイントがあったりするのにもったいない。
メイン主人公の四谷友助のヒネタ個性はなかなかにユニーク、また、たまに自問する問いはなかなかに哲学的というか深いものもある、なのに活かし切れていない。
ゲームの時間とリアル時間のズレなんていうのはアリがちだけれども、今作の中でも感情が動くいい設定だったし、ショートレンジだけど伏線の回収もちゃんとできてたりで、いいポイントも間違いなくあるのに・・・。
2エピソード目のラスボス系も、私は少しびっくりしたし、上手なポイントもあるんだよなぁ。

と、まぁ。
全体的には「惜しい」とも言えないようなレベルであることも事実なんだけど、一応、最後まで観ることはできました。

あ、タイトル回収的なものはオーラスにありました。
少々、ボヤんとしていたけれどね。

はて、さて、こちら3期、続きは作られるのでしょうか。
できるとすれば、観ることもあるかもしれないけれども、ダラダラ系になりそうなので、どこかで線を引かないとダメかもね。
あとは、大化けするか・・・。

興味のある方はご覧になってみて下さい。
いろいろな「ムラ」に耐えられればいいポイントも見えてくるでしょう。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

あれ? 面白い? いや、そうでもないか。ん? なんか面白い、、、ような気がしないでもない気もするけど勘違いなのかもしれない(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ああ、1期よりは確実に面白くなりましたよ(笑)

ただ、本当に面白いんだか面白くないんだかが、実に微妙な作品で(笑) グッと惹き付けられる展開が続いたと思ったら、パッと手放されるような、ツンデレ感(笑)

作画がな~。いや、作画が大事な作品ではないんですが、ここまで酷いバトルシーンが続くと、シリアスが薄れるんですよね。ギャグになっちゃうというか。

1期から2期と、キャラクターも成長してストーリーもきちんと流れているので、これは続編を観たいと思える作品でしたね。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず、1話目の掴みはとても良かった。1期の中で最高のキャラだったカハベルさんを、こういう形で使ってくる(あえて、「使い潰してくる」と表現しても良い)のは予想外だが、素晴らしい。切なさと深み、つまりは説教力が一気に増した。

そこから続くオーク編。何が正義なのかという問いかけ。

作中にあった「自分の無力さを自覚すれば、手段は正当化される」という言葉。なるほどとも思うが、そうは生きたくないなとも思った。つまり、考えさせられる話。

他にも、バトルそのものの面白さや予想を裏切られる展開など、面白さは散見されていた。

ただ、熊本城、地震、噴火、津波。あからさまな日本のオマージュ。そう考えると、オークは外国(アメリカ)の比喩か。

作中では、村人もオークも、ともに悪の部分が描かれた。村人は、自ら保護を申し出ておいて供物を渋り、裏切る存在として。オークは家族(同種)は無条件に大切にするが、異種は自らへの供物が切れた瞬間に滅ぼす存在として。

このアニメに限らないのだけれど、アニメを現実逃避の手段(ゲームとか遊園地、小説なんかと同じモノ)として楽しんでいる身からすると、政治的な意味合いやメッセージが強くなりすぎると(その主張がどんなものであれ)、シンプルに楽しめなくなる。異世界ファンタジーみたいな作品だと、なおさら嫌かな。少しここで評価を下げた。

中間、地元の話で主人公のキャラクターに味が出たし、世界の謎も少し明かされる。

後半は、ちょっと流し見てしまった部分もあったけど、残酷さが際立ち、騙しの要素もありながら楽しめた。カハベルさんとは違う形で、前回のキャラを出すのも上手い展開かと。

最終盤はやや駆け足かと思ったが、じゃあこれ以上どこを削れたってわけでもないんで、キリよく終わらせるにはしょうがなかったのかなと。

良さと悪さがハッキリし、好き嫌いもハッキリ分かれそうな作品だけど、個人的には、☆3.5くらいつけても良いくらいには楽しめた。

3期への期待も膨らむラストでしたから、物語の結末まで観たいと思います。。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
あれ? 面白い? 15年か。やや深みが出てきた。

2話目 ☆3
たしかに、このシステムでの鍛冶屋スキルは強いな。

3話目 ☆3
なんか、構成おかしくない? ライスの回想は、もっと前でしょ。死亡フラグ甚だしい。

4話目 ☆2
熊本城、地震、噴火、津波。難しい話だな。頭を上げないメリットは分からないが。自分の無力さを自覚すれば、手段は正当化される。なるほどとも思うが、そうは生きたくないなとも思う。日本に対するメッセージがやたらに強いな。オークは外国人なわけだ。こういう、政治色が強すぎる話は、難しいな。アニメはシンプルに楽しみたいのだけど。

5話目 ☆2
あまりオーク側を美化すると、それも違うよ。オークだって、数増やしすぎて自滅しているわけだし。共生大事ってことだな。

6話目 ☆3
なんかこう、色々が大雑把なんだよな。

7話目 ☆3


8話目 ☆3
作画は相変わらず。んで、色々陰謀?

9話目 ☆3


10話目 ☆3
魔法剣士、強そうだ(笑)

11話目 ☆4
なんとなく、面白い気がしないわけでもない。

12話目 ☆3
100万の命の上って、そのまんまの意味なの? ていうか、東京とかだと「たった100万?」と思っちゃうけどね。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

71.1 2 平行世界で戦いなアニメランキング2位
Fate/Apocrypha(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (541)
2471人が棚に入れました
かつて、冬木と呼ばれる街で執り行われていた、 七人の魔術師と英霊たちによる「聖杯戦争」。しかし第二次世界大戦の混乱に乗じて、"とある魔術師"が聖杯を強奪する――。
数十年が経ち、その聖杯を象徴に掲げたユグドミレニア一族は、魔術協会からの離反、独立を宣言。怒れる魔術協会は刺客を送り込むが、 彼らが召喚したサーヴァントによって返り討ちに遭う。
――サーヴァントに対抗するにはサーヴァント。
「聖杯戦争」のシステムが変更され、七騎対七騎というかつてない規模の戦争が勃発。かくして、ルーマニア・トゥリファスを舞台に空前絶後の規模の戦争――「聖杯大戦」が幕を開ける。

声優・キャラクター
花江夏樹、坂本真綾、内山昂輝、沢城みゆき、早見沙織、遊佐浩二、古川慎、稲田徹、鶴岡聡、真堂圭、諏訪部順一、武内駿輔、置鮎龍太郎、大久保瑠美、宮本充、野中藍、丹下桜、乃村健次、檜山修之、赤﨑千夏、小林裕介、大川透、石上静香、加藤英美里、中原麻衣

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

それぞれの願いの果てに”外典”が紡がれる。

この作品の原作は未読です。
Fateの冠名を踏襲しているものの、前作との繋がりはほぼありません。
聖杯戦争の細かいルールや、聖杯戦争のこれまでの歴史を紐解きたいという方は前作からの視聴をお勧めしますが、そうでなければこの作品から視聴しても問題は無いと思います。

まぁ、これまでのFateは「聖杯戦争」でこの作品で扱っているのは「聖杯大戦」なので、位置付けと進め方が微妙に違うんですけどね…

ざっくりとしたルールは、これまで7人のサーバントで聖杯戦争は繰り広げられてきましたが、今回は7人同士のチーム戦なんです。
そして聖杯が願いを叶えるのは最後まで生き残った1組のマスターとサーバント…
だからこれまでの聖杯戦争より幅も厚みも増えるので、戦いが重厚になるのは必然…

違いといえば、これまで聖杯戦争は冬木市で行われていましたが、この対戦はルーマニアが舞台だったことも違いの一つかと思いますし、聖杯大戦の審判者として15体目のサーヴァントであるルーラーが召喚されたのも違いだと思います。

思い返せば2016年の大晦日に、『Fate Project大晦日TVスペシャル -First & Next Order-』の放送がこの作品との出会いでした。
長編アニメの放送と合わせた番宣で紹介されたので、初見は長編アニメの放つ熱量を消化する前…
だから半端ない盛り上がりを示唆するような作品紹介にただ痺れていたような気がします。
いずれにしても私の中で本作が刷り込まれてから視聴を楽しみにしていた作品でした。

こうしてFateの冠名を踏襲した本作の視聴に臨んだ訳ですが、まず気持ちを一気に持っていかれたのが主題歌でした。

オープニングテーマは、EGOISTの「英雄 運命の詩(うた)」とLiSAさんの「ASH」
エンディングテーマは、GARNiDELiAさんの「Désir」とASCAさんの「KOE」
特にオープニングはアニメともマッチしていて毎回痺れまくりでした…

本丸周辺の牙城は鉄壁を彷彿とさせるほど完璧な布陣だたと思います。
それでは肝心の物語がどうだったか…というと、個人的には若干微妙というのが素直な感想です。
勝手にハードルを上げ過ぎたのでしょうか。

別に面白くなかった訳ではありませんし、毎週の視聴を楽しみにしていた作品でした。
戦闘も迫力ありましたしね…

何でこんな心象になったのか考えてみました。
するとやはりいくつか引っかかる点があるのです。

まず一つは、14騎のサーバントを持て余していた感が否めなかった点です。
もちろん、物語の核となるキャラとの軽重は必要だと思います。
でもそれ以前に彼らは英霊なんです。
どんな思いで召喚されてきたか…

そしてサーバントと対をなすのがマスターの存在。
サーバントと同じ数だけマスターがいる…という事は、それだけ今回の対戦はもっとたくさんの願いに溢れていなければいけないと思うんです。
だって、聖杯大戦と言いながらやっているのは聖杯戦争なのですから…

サーバントとマスターの関係は、これまでの作品で山ほど見てきています。
切っても切れない関係…自分の全部で守る存在…絶対に生き残って願いを成就させる存在…
単にギブアンドテイクの間柄ではない…深い繋がりが脈々と流れていました。

その繋がりは14組全てに通じていて、一つとして欠けさせちゃ駄目だと思うんです。
だから2クールでは明らかに尺が足りなかったのだと思います。

もう一つは、戦う理由、若しくは自らの義を通す理由をもっと大切にしたかった…という点です。
彼らがいま、どんな思いで聖杯大戦に参加しているのか…どれほどの大きな叶えたい願いを宿しているのか…じゃないと参戦することすら叶わない訳ですから…

争いを続けていると、引きに引けない状況が出てくることもあると思いますし、争いの中で本懐を見いだす事の出来たサーバントもいたのも事実です。
ですが、そもそもそんな事で揺らぐほど、彼らの願いは軽くないはずなんです。
どんな手段を使っても願いを手にするのがサーバントとマスターではなかったのでしょうか。

そして最後の一つはラストシーンです。
確かに綺麗でしたし、感動もさせて貰いました。
でも、この結末は今回の聖杯大戦にマッチしているのか、と考えると途端に分からなくなります。
そもそも聖杯戦争って、もっと人間臭くてドロドロした思惑の中に蠢くモノ、と思っていました。
全てを投げ打って聖杯戦争に参加する…聖杯を手にするという事はその覚悟の成れの果ての姿を晒してこそ手にできる権利であり栄光なのだと思います。

でも、今回の結末はそういう聖杯戦争の持つ泥臭い部分がすっ飛ばされているような気がしてならないのです。
キャラもしっかり動いていましたし、声優さんの仕事っぷりも心底凄いと思いました。
だからこそ、この大戦のラストシーンとして本当に相応しいのか考えてしまいました。

私にとってFateシリーズは大好きな作品です。
大好きであるが故、シリーズを重ねるごとに見方も要求も変わっていると自覚しています。
でも、これまでのシリーズは圧倒的な存在感でその期待に応えてくれてきました。
今後もこのシリーズは続いていくと思います。
視聴者の目も期待も確実に肥えてきています。
それらを凌駕する作品に出会えることを期待しています。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

英霊やマスターに集団行動なんて出来るわけないだろうw

原作スピンアウト小説は未読。

実は私にとって『Fate』本伝アニメ化作品は
高評価ですが一方で苦手意識もあるシリーズ。
重厚な物語、世界観に一度入ってしまえば堪能できますが、
それまでに費やす視聴エネルギーが膨大。
スタジオディーン版の『~/stay night』もufotable版の『~[Unlimited Blade Works]』も
初見時は序盤で挫折して、後年、仕切り直したりしています。

よって、こんなの『Fate』じゃない……。との批判も見受けられたこの外伝アニメ。
私にとっては、重厚さに欠けると言う部分も、
気軽にラノベファンタジーバトルでも楽しむノリで行けば、結構イケるのではないか?
と妙な自信を持っての?後日動画配信視聴と相成りました。

狙い通り?多種多様な能力バトルをド派手なエフェクト&音楽と共に満喫できた。
その点では楽しめた作品でした。


ただ、それでも、事前に私が抱いていた「聖杯大戦」という集団戦設定への懸念……。
赤VS黒、各7組のマスター&サーヴァント(+α)が大聖杯を巡って戦争を繰り広げる!?
そもそも、各マスター&サーヴァントは、因果を覆すほどの願いを掛ける故に、
時空を越えて英霊召喚されたり、聖杯争奪の殺し合いを繰り広げていると言うのに……。
統率されたチーム戦など果たして成立するのだろうか?

その不安は、私の想像を遙かに超える聖杯大戦ルール崩壊となって的中しましたw

例えば……{netabare}己の信念故、自ら命を差し出すサーヴァントとか、
ドヤ顔で傍観者を宣言する劇作家の英霊とか、
最初からチームに参加せずに猟奇殺人に勤しむアサシンとか。
切り札「令呪」の使用法すら感情的な傾向で、
高度な軍略など差し挟む余地が見出せません。{/netabare}

当初、覚悟していたバトルマニアによるチームワークの放棄や、
裏切りによる戦線崩壊など、軽く超越するワンマンプレーの連続w
え~いwまるで戦にならぬわ~~(ノ`m´)ノ ~┻━┻

大戦の体を保つ名目で、一応、調停者役を担う15騎目のサーヴァントとして、
ルーラーが新設されたようですが、焼け石に水。
「今回の聖杯大戦は何かおかしい」とルーラーは訝しみますが、
ハッキリ申し上げて、この聖杯大戦は最初からどこもかしこもおかしいと思いますw
まぁ、この違和感も伏線ではあるわけですが……。

特に序盤は調停とか無茶振りするくらいだったら、
もういっそルーラーを天に還してあげてと何度も思いました。
願わくば……{netabare} 黒のアサシンによる連続猟奇殺人はイレギュラーとして、
真っ先に止めて頂ければ、聖杯に無関係な地域住民にとっては
有り難かったな?とも思いました。{/netabare}


もっともシリーズ通じて「聖杯戦争」と言うガチガチのルール設定は、
参加者による常識を逸脱するほど強烈な宿願に叩き壊される物。
願う故に世界を鳴動させてしまう、人間の業の大きさを表現する、
言わばサンドバッグみたいな存在だと私は捉えてもいます。

本作の「聖杯大戦」も、そういう意味では『Fate』らしい末路を辿ったとも思われますが、
サンドバッグにしたって、流石にもう少し耐久性がないと、張り合いがないと感じます。

私にとっては願う故、自他を傷つけてしまう人間の性と葛藤を表現したという点で、
本作もまた『Fate』でしたが、
加えて堅牢な秩序の中の重厚さがあってこそ『Fate』という方にとっては、
大英雄の野望が巻き起こす波乱と共に、自分たちの『Fate』が壊されてしまった。
こう悔恨する方がいても否定はできないと思います。

マスター&サーヴァントたちの野心激突に一定の秩序をもたらしていた、
元祖「聖杯戦争」を考えた人って偉かったんだなぁ~と
逆説的に本伝の緻密さを再認識しました。


散々愚痴も並べてしまいましたが、
それでも、英雄たちがチームも世界も薙ぎ倒す勢いで己の生き様を貫く様は、
観ていて何かキモチヨカッタです。

そう言えば、この『Fate』に関しては、
私は視聴中、一度もリタイアしたいとは思いませんでした。

ヒーローがルール無用で暴れまくる。
本作はある種のアニメの王道を歩んだ作品だったのかもしれません。

私にとっては、評点は凡庸になってしまいますが、
余韻はそんなに悪くない。満足度はまずまずの作品でした。


好きなキャラは黒のライダー。
荒れた展開の中、割と大変な目にも、変態な目にも遭っていて、
普段、割とヘッポコで自虐的なことも言っているのに、
終始ポジティブな雰囲気に元気付けられました。
因みに決め台詞?は{netabare}「僕が来たからには泥船に乗った気分でいていいよ!」{/netabare}

頼りねぇ~~(笑)


せいぜいふるい落とされないように、しっかりしがみ付いて行きたい。
『Fate』の名を冠した暴れ馬みたいなヒーローアニメです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 25

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

これは、暗闇を自らの剣で照らし突き進んだ時代の覇者たちの『外典』

原作は「Fate/stay night」のスピンアウト小説。
「Fate/stay night」とは異なる世界線のストーリーで、本作内の世界では、第三次聖杯戦争の後、何者かによる聖杯の強奪が発生し、第四次聖杯戦争は起きなかったとされています。
「Fate/stay night」が第五次、その前日譚となる「Fate/Zero」が第四次なので、基本的には関連しない別個のものとなりますが、そもそも第三次とか第四次とか以前に"聖杯戦争って何よ?"となるのが当然だと思うので、Fateシリーズをある程度知っている状態で視聴することをおすすめします。
また、本作で過去作と同一個体のサーヴァントの召喚は無いですが、伝承、あるいは歴史的事実から過去作のサーヴァントと関連するキャラクターが登場するため、過去作を先に視聴していた方が楽しめると思います。

第三次聖杯戦争でアインツベルンはルール外のサーヴァント・アヴェンジャーを召喚するも四日目で敗退、最終的に聖杯は混乱の中で破棄され、聖杯戦争は無効になりましたが、アヴェンジャーは聖杯に吸収され、聖杯は汚染されることになります。
本作ではアインツベルンはアヴェンジャーを召喚しておらず、代わりにルーラーと呼ばれる聖杯戦争の審判役のクラスを召喚したとしており、そこで歴史が分岐します。
第三次聖杯戦争後、聖杯が何者かに奪われ、結果、世界中で小規模な亜種聖杯戦争が繰り広げられる。
本作はその亜種聖杯戦争として開催される、2チームに分かれた聖杯戦争、"聖杯大戦"が描かれるものとなります。
通常、Fateのサーヴァントといえば、"セイバー"、"アーチャー"、"ランサー"、"キャスター"、"ライダー"、"アサシン"、"バーサーカー"の7騎のサーヴァントが戦いますが、本作の聖杯戦争では、赤の陣営、黒の陣営でそれぞれ7騎のサーヴァント、合計14騎のサーヴァントにプラスルーラーを加えた15騎のサーヴァントが登場します。

冬木の聖杯戦争を強奪し、保持している魔術師の一門"ユグドミレニア"と、それを討伐する魔術協会の戦いとなります。
スピンアウトであり、それほど有名タイトルではないのですが、はっきり言って、ストーリーはめちゃくちゃ深いです。
TYPE-MOON作品に親しんでいない方は、この聖杯戦争がどういった意図で開催されていて、キャラクターたちがどうつながっているのか、わからないと思います。
2クール作品ですが、大量のメインキャラが登場して繰り広げるバトルロワイヤルのため、ストーリーはぎゅうぎゅうに詰め込まれています。
なお、Fateシリーズにおいてサーヴァントの真名は最も秘匿すべき重要な情報なはずで、stay nightでは真名が最後まで明かされないまま廃退したサーヴァントも多くいましたが、本作は登場早々にサーヴァント同士、真名で自己紹介を始めたのでびっくりしました。
テンポよく進めるためだと思うのですが、元作品の伝奇的な雰囲気は本作には無く、いろんな伝説の英雄たちが戦うおもちゃ箱のようなアニメになってしまっているのは残念に思いました。

また、ストーリーの根っこや、登場キャラクターのバックボーンはしっかりしていますが、肝心の本作品のストーリーが薄い感じがしました。
マスターに勝利をもたらすため、悲願の成就を聖杯に託すため、あるいは、武人として強いものと戦いたいからといった、ちゃんとした目的があって戦うサーヴァントもいるのですが、全体的に戦う理由が薄いと感じます。
特に中盤からは一部サーヴァントのマスターが強制的に変更されてしまうのですが、それでも指示に従って命を賭し戦っているのは不自然に思いました。
また、マスターとサーヴァントでイチャイチャし始めるペアが多いのも気になりました。
お前ら一体何のため現界したんだと、思わず私もドスケベサーヴァントを聖杯の寄るべに従い召喚したくなりますね。天秤の守りてよ!

大勢のサーヴァントとマスターが登場するのですが、単純に多過ぎる感じがありました。
ただ、観終えてみると、なんだかんだ個性的で、戦闘シーンも多く迫力もあり、楽しく見れました。
個人的には良作だと思いますが、賛否が出る作品だと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2

79.3 3 平行世界で戦いなアニメランキング3位
スパイダーマン:スパイダーバース(アニメ映画)

2019年3月8日
★★★★★ 4.3 (88)
441人が棚に入れました
ニューヨーク、ブルックリン。マイルス・モラレスは、頭脳明晰で名門私立校に通う中学生。彼はスパイダーマンだ。
しかし、その力を未だ上手くコントロール出来ずにいた。そんなある日、何者かにより時空が歪められる大事故が起こる。
その天地を揺るがす激しい衝撃により、歪められた時空から集められたのは、
全く異なる次元=ユニバースで活躍する様々なスパイダーマンたちだった――。

声優・キャラクター
《日本語吹替版》小野賢章、宮野真守、悠木碧、大塚明夫、吉野裕行、高橋李依、玄田哲章
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

【辛口コメント】多様だね。で、何がしたいの?→続編の解答に期待大♪

原作アメコミは未読。映画鑑賞はサム・ライミ監督の3作くらい。

【物語 3.5点】
NYブルックリン。
黒人少年・マイルス・モラレスが、スパイダーマンことピーター・パーカーの遺志を継承し、新たなスパイダーマンとして覚醒するまでの物語。

多元宇宙(マルチバース)間の転移により過去を取り戻したい黒幕。
それに伴い各宇宙から迷い込んだ、様々な形態のスパイダーマンたちと共に野望の阻止と、各々の世界への帰還を目指す。


別次元のスパイダーマンこと、くたびれたメタボおっさんのピーター・B・パーカーと主人公少年との先輩後輩関係。
その他のスパイダーマンたちと、正体を明かせない孤独なヒーロー同士、
腹を割って語り合うことで、ヒーローの宿命の描写を深化。
多様なスパイダーマンを生かしたテーマ提示には成功している。


ただ、私は納得しきることはできませんでした。
本作は2019年の第91回アカデミー賞・長編アニメ映画賞受賞作。
前年のアカデミー賞では“#Me Too”運動の一環として俳優たちが黒ドレスでセクハラ問題に抗議。
同賞も、年々、政治色、社会問題提起への傾倒を強めていく中での受賞。

もはや映画その物の出来よりも、差別問題など、リベラルが掲げる政治・社会課題解決に寄与するか否かで評価される風潮になってはいまいか?
本作は私のポリコレアレルギーが急速に強まっていった時期の作品。
(因みに『グリーンブック』や『パラサイト』などこの頃のアカデミー賞・作品賞は映画としてはとても素晴らしい作品だとは思っています。)

よって私は本作に対しても、黒人少年のスパイダーマンを主役にした意義。
スパイダーマンに多様性は必要なのか。
どうしても手厳しく追求してしまいます。

結果、マイルスもスパイダーマンやって、たった2日では主役として私を納得させるだけの信念までは見えてこない。
色んなスパイダーマンわらわら出して来たけど、それで「誰でもマスクをかぶれる。」と結論付けられても、
結局ヒーローになるには身近な幸せが犠牲になるのを諦観しなきゃならないんでしょ?
誰でもマスクはかぶれるのだろうけど、俺はかぶりたくないね。
などと捻くれてしまう自分がいたのです。


このままだと私の中で記憶に残らない作品で終わってしまうこの『スパイダーマン』ですが、風向きが変わったのは続編PV。
来月公開の『~アクロス・ザ・スパイダーバース』、来年予定の『~ビヨンド・ザ・スパイダーバース』の2作。

高校生スパイダーマンを続けるマイルスが「愛する一人を救うか?世界を救うか?」との問いに対して「俺だけは全員救ってやるよ」と力強く宣誓。
捻くれた私を修正するだけの信念を持ったヒーロー像確立の予感。
スパイダーマンも幸せになっていいのか?俺もマスクかぶれるかも?
続編2作と合わせた三部作の序章『~イントゥー・ザ・スパイダーバース』としての本作の存在感も増している所です。


【作画 4.5点】
CG映画の中に画面分割によるコミックレイアウト表現、吹き出し風のレタリングなどアメコミ要素が落とし込まれ見ていて楽しい。
手描き感を損なわずに成立させたCG映像としては今なお世界最高峰。

その上で、日本の二次元ロボアニメも感じさせるペニー・パーカーのアニメ調。
戦前アメリカを思わせるスパイダー・ノワールの白黒フィルム調。
児童向け動物キャラ世界の豚、スパイダー・ハムのカートゥーン調。
多彩な表現が混在しても破綻しない統率力は見事。

クライマックス、背景にも惜しげもなく作画を入れ構築したマルチバースの混沌。
そこをかいくぐるスパイダーマンの立体アクションも圧巻。

色彩では黒より白の眩しさが鮮烈。
光の強さが、スパイダーマンのマスクの白い目にこもった意志とリンクする演出がグッと来ます。
是非コントラストの表示幅の広い環境で鑑賞したい映像美です。

ただ、それでも満点まで突き抜けないのは、まだ完全に確立されていないマイルスのスパイダーマン像ゆえ。
凄い映像技術で色々表現したのには感心したけど、
結局マイルスはこのマルチバースで何を成したいのか。
信念と映像が一体となった瞬間が、私が作画5点を付ける時なのだと思います。


【キャラ 3.5点】
主人公マイルスが出会う少女・スパイダーグウェン。
一応のヒロインポジションだが、たった2日のボーイミーツガールでは萌えもデレも不完全燃焼。
その無念を晴らすのも私が続編鑑賞したい主要な目的の一つ。
その他のスパイダーマンたちも軽く半生を紹介した程度に終わっており、今後の解像度アップに期待したいです。

時にスクリーンの過半を埋め尽くす黒い肩幅(笑)が特徴の黒幕・キングピン。
悪を貫く最中に失われた幸福奪還への執念が次元に穴を穿つ。
ヴィラン(敵役)だが彼もまた幸せになれないアメコミキャラの悲哀を体現。
あと私もキングピンの肩幅に{netabare} 「HEY~!」とショルダータッチ{/netabare} したいですw

{netabare} パトカーで送った学校入り口で「愛してる」と言わせるw{/netabare} 過保護、過干渉な父を煙たがったマイルスが懐くのはアーロンおじさん。
グラフィティや{netabare} ショルダータッチによる女の子の口説き方{/netabare} でアンダーグラウンドな文化の洗礼を与え、
(※核心的ネタバレ){netabare} ヴィランとしてマイルスと対峙し、スパイダーマンの悲哀の洗礼も浴びせる。{/netabare}
今後、マイルスが世界の敵になってでも愛する人も救うのかと葛藤する際、
ダークサイドの発端として回顧されそうなキャラです。


【声優 4.0点】
日本語吹替版を配信視聴。

メインキャストはアニメ声優陣を中心に固める。
ひと昔前まではアニメ中心の声優が映画吹替となると、
リップシンクの取り方も独特な中で、吹き替え声優と比べて、もうひとつ声が張れない場面も散見されましたが、
近年はアニメ声優も健闘されてますね。
アニメ声優の芸域拡大と、役者としての進歩を実感します。


なりたてヒーローの戸惑いを演じるマイルス役の小野 賢章さんを、
色々すり減ったピーター・B・パーカー役の宮野 真守さんが励ます構図。

グウェン役の悠木 碧さん。マイルスと好ムードになるもまだまだ勝ち気なツンボイス中心のヒロイン。
変幻自在な声質による真価発揮はまだ先の話か。
なので本作ではジャパニメーション的ロリ成分を供給するペニー・パーカー役の高橋 李依さんで萌えを代替w


【音楽 4.0点】
黒人主人公ということもあり、HIPHOP中心の楽曲群が壮大なオーケストラとも融合しムードを演出。
ポスト・マローン&スウェイ・リーの主題歌「サンフラワー」はビルボードチャートでも首位を奪取したメガヒット曲。
私が印象に残ったのはマイルスが再起する際に挿入されたブラック・キャビア「ホワッツ・アップ・デンジャー」

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

lll1 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

こりゃアカデミー賞とるわ

 今作を観る前までは、『犬ヶ島』が長編アニメーション賞を取るだろうと思っていました。
 『犬ヶ島』も非常に新しく、挑戦的なことをした映画でしたが、今作も今まで観た事もないようなアニメーションを作ってきた。
 

 もう"圧巻"でした。ここまで完成された映画を観たのは久しぶりのような気もします。

 物語に感動したとかではなく、「なんて素晴らしい映画なんだ」と思い、観賞中涙ぐんでしまいました。

 
 以下の3点が高評価に繋がった点です。

 〈カメラワークがイカつい〉
 〈全く新しいアニメーション〉
 〈緊張と緩和〉


 〈カメラワーク〉
 スパイダーマンといえば、スパイダーウェブ(クモの糸)を使用しビル群を滑空するというイメージを持たれる方が多いと思います。今作はこれの魅せ方が抜群に上手い。

 言ってしまえば非常にマンガ的なんです。マンガは要所要所の大切な部分を描きますが、今作もその要所を印象的に描きながらも匠に繋げている。一瞬何が起きたのか分からなかった、ただただ圧倒された。
 
 アクションシーンや逃げ惑うシーンのカメラワークも素晴らしいんですけど、それ以外のシーンも凝りに凝ってます。
マイルスの父がパトカーから降り、路地裏に行くシーン。ここのカメラワークといい、彼の不安さ等を実に上手いこと表現できていて、思わずため息がこぼれました。


 〈アニメーション〉
 以前サンジゲン代表取締役の松浦裕暁著「アニメを3Dに!」という本を読みました。
 その中でかれは、サンジゲンのアニメーションを3DCGでありながら、セル画の様にも見える"セルルック"というアニメーションを目指しているといった記述をされてました。


 『スパイダーマン:スパイダーバース』は3DCGでありながらマンガ調のアニメーションの原点でありながら完成形であると言える。

 映像では省きたくなってしまう、マンガ的表現をマンガ調のアニメーションにしたことにより、何の違和感もなくそれを実現させている。
 
 今作は3DCG、マンガ的、この2点を完璧に実現させた全く新しいアニメーション映画。
 松浦裕暁はこれを"コミックルック"とも呼んでいる。(Twitterより参照)。便利なのでこの先も"コミックルック"と呼ばせて頂きます。
 観賞中に私は松浦裕暁は「やられた!」と思ってるんじゃないかと思ってしまった。

 
 NETFLIXで配信されている『ラブ、デス&ロボット』の第3話「目撃者」はコミックルック的な表現を使用した、大人向けアニメーションになっていますので、興味のある方はそちらも是非。
 (『ラブ、デス&ロボット』のレビューも書く予定です。)


 〈緊張と緩和〉
 アニメを観ているときに多くの人が、緊張感はあまり持たないと思う。全年齢向けともなればなおさら。「どうせ勝つ」といった安心感があり、緊張することはなかなかない。

 予告編でも公開されているので書きますが、スパイダーマンが序盤で死にます。緊張感を生む要因として、ここもとても重要なんだけど、その後の敵に追われるシーンなどに緊張感がちゃんとある。映像や色味のバランス、明るいシーンとの対比により実現させている。

 敵と対峙しているシーンでも、安心感はもちろんあるんだけど、アメコミ好きの私からすると、"これぞ待っていたモノ"だった。緊張感と安心感と求めていたモノの融合。「あぁ~、これだよ、これを求めてたんだよ」と。

 作戦がどうせ成功することは分かっている、逃げ切れることも。だけど、このコミックルックのアニメーションであったことで、そこから違和感や雑念が無くなる。本当に奇跡の作品だと思う。

 その緊張と緩和を生み出しているのは、ラップやヒップホップ音楽の使用であったり、キャラクターが支えているところもある。キャラクターについて書くのは、長くなるので割愛します。

 そして、言っておきたいのが、やはりこれは実写では出来なかった。アニメならでは、マンガならではの表現といい、ラップやヒップホップ音楽及びグラフィックアートやステッカーボムなどのヒップホップカルチャーの挿入。実写でこの表現は無理だった。

 
 これからソニーがこのコミックルックのアニメーションをどれだけ生み出すかは分からない。他会社が真似るかもしれない。

 NETFLIXは日本でのオリジナルアニメは3DCGを主としているし、3DCGの未来は明るい。
 ポリゴンピクチュアズはエミー賞を受賞しているので、いずれアニメ映画にも参入しアカデミー賞を狙ってもらいたい。サンジゲンはアカデミー賞を最終的な目標にしている。

 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

スパイダーマンファンは必見のCGアニメ映画

この作品は、マーベル・コミックの中でも知名度が高いヒーローもの
スパイダーマンを原作としたCGアニメ映画である。スパイダーマン
の映画としては初となるアニメ作品であり、主人公が従来の
ピーター・パーカーではなく黒人のマイルス・モラレスと
なっているのが大きな特徴だ。また、複数のスパイダーマンが
登場するという設定も付与されている。

全体を通した感想だが、沢山の受賞・ノミネートを獲得するのも
納得の出来だった。特にアニメーションの出来が凄く、スタッフ
からスパイダーマン愛を心の芯から深く感じられた。誠に感服した。
但し、全てが良いとも言い切れなかったように感じたので、
それも踏まえたうえで書いていきたいと思う。

主人公にきちんと焦点を当てており、変にだれることはなかった
ように思う。従来のスパイダーマンと同じような展開では
あるものの、必要な要素の一つだと確信していたため
私はそこまで気にならなかった。

また、比較的テンポもいいので、途中で眠くなるようなことは
起きなかった。映像も目を見張るものがある。色だけに留まらず、
演出や音といった部分まで徹底されているのは素晴らしい。

個人的なお気に入りは、夜の街並みをスパイダーウェブ
で操作しながら、駆け巡るシーンだ。臨場感に溢れた光景を
劇場で見られて本当に良かったと思っている。

今作も、他のマーベル作品と同じようにスタン・リーがゲスト
として登場する。細かい部分は省略するが、違和感を感じること
なくうまい事登場させる場面は毎度毎度感心させられる。

ちなみに、キャプテンマーベルだとオープニングロゴが全部
スタン・リーVerに刺し変わっているため、そういう意味でも
違った楽しみ方ができるかと思う。

主人公である、マイルス・モラレスやピーター・パーカーには
きちんと焦点を当てられているが、彼ら以外のスパイダーマン
への掘り下げは足りなかったように思う。ただ、
スパイダーウーマンに関してはマイルスとのやりとりが事前
にあったのでまだ納得できるが。

問題は残りの3人。戦闘シーンや紹介以外でのピックアップは
全くと言っていいほどされてない。モブキャラと化
してしまっているのだ。まあ、マイルスの引き立て役として
作品に大いに貢献したと考えれば、問題はないか。

敵キャラに魅力を感じられなかったのは致命的だ。プラウラー
を登場させたことに異論はないが、なぜ悪の道に進んだのか
という動機が不十分だった。キーパーソンとして重要なキャラ
であったのは明確に書かれていたので、彼についてもっと
掘り下げるべきだった。非常に勿体ない。

勘がいい人なら物の数分で正体に気づいてしまう恐れが
あるが、そこは伏線回収に繋がるという理由で自らを
納得させることにした。

キングピンに関しては言わずもがな。ぶっちゃけ、只の
でくの坊と化している。動機の説明はされているのが
唯一の救い。もういっそのこと、ドクター・
オクトパスでいいんじゃないかなと思ったのは私だけではないはずだ。

書いていて思ったのだが、アベンジャーズを意識した作り
にしたかったのではないかと考えるようになった。

なんせ、今年の4月末にはアベンジャーズ:エンドゲーム
が公開されるのだ。詳細は省くが、アベンジャーズの
4作目という位置付けになっている作品だ。

前作の戦いから、ヒーローたちが再集結し、サノスに
再度戦いを挑むというシナリオになっている。心の底から
待ちわびているといっても過言ではない程
私が楽しみにしている映画だ。恐らく、劇場での視聴になるだろう。
どのような出来になるか気になって仕方ない。

また、夏にはスパイダーマン:ファー・フロム・ホームの
公開も予定されている。但し、これに関しても言い出すとキリが
ないので、wikiを参照してもらいたい。(許して)

スパイダーマン好きの人向けに制作されているのも相まって、
スパイダーマン入門作品としては適さないのは間違いない。
スパイダーマンシリーズが好きな方、あるいはマーベル作品が
好きな方ならば見る価値はある。
個人的には間違いなく良作だと思う。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16

72.0 4 平行世界で戦いなアニメランキング4位
劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い(アニメ映画)

2017年8月26日
★★★★☆ 3.8 (140)
796人が棚に入れました





「話をしようと思う。俺と、美遊の……これまでの話を」

世界は滅びに向かって進んでいた。
その歩みを止められるのは、〝聖杯〟たる美遊の犠牲のみ。
世界か、美遊か——。
〝世界の救済〟を掲げるエインズワースが突きつけられた問いに対し、
イリヤが出した答えは、両方救うという単純な〝ワガママ〟だった。

戦いは小休止を迎え、一行は美遊と士郎が育った家に身を寄せる。
団らんのなか、士郎は、美遊との過去を話し始めた。

あらゆる願いを無差別に叶える神稚児だった美遊。
士郎は、切嗣と暮らしていた家に、身寄りのない彼女を引き取った。
それから、5年。二人は本当の兄妹のように平穏な暮らしを送ってきた。

しかし、そんな日常は突如として終わりを告げる。
美遊の生家へと訪れた二人。その前に、美遊を“奇跡”として希求する樹里庵が姿を現し——。

美遊と士郎、エインズワースの因縁が、ここに語られる。


声優・キャラクター
杉山紀彰、名塚佳織、門脇舞以、花江夏樹、下屋則子、小山力也

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

彼の口によって語られる美遊とエインズワース家との因縁とは!?

劇場でこの作品が上映されたのが2017年の8月…
視聴したいと思っていながら中々機会がなく、ようやく視聴に漕ぎ付けることができました。

劇場版だから短期決戦…
これまで極力この作品の情報に触れないようにしてきたので、ほぼ白紙の状態で視聴に臨むことができました。

この物語の舞台は、これまでのイリヤたちの世界から5年9ヶ月ほど遡った時代…
ここでいきなり衛宮切嗣と幼い頃の士郎が登場したのでビックリ…
二人はやがて訪れる人類滅亡から人々を救済する方法を探して各地を旅していました。

そんな折、二人は冬木市に訪れました。なんでもここには天正の時代から続く神稚児伝説が語り継がれた場所でもあったとか…
そんな話をしていた矢先、街を飲み込もうとする謎の闇と、闇を消し去った光を二人は目の当たりにしたのです。
光の発信源に向かった二人は、崩れ落ちる家屋の中から一人の少女を救い出しました。
その少女の名前は美遊…身寄りを失った彼女は、切嗣に引き取られ士郎と一緒に暮らすこととなり、物語が動いていきます。

幼い頃の美遊…って、テレビアニメ版でも十分幼かったですが、それよりもっと幼い頃の美遊…
可愛いですねぇ~
家の中では士郎にべったり…ずっと後を付けたり物陰から覗き込んだり…
色んなことが分からないから本能で行動しているんですよね。
切嗣は部屋に閉じ籠りっ放しなので、相手をしてくれるのは年の近い士郎だけ…
もともと士郎って優しいじゃありませんか…
だから優しく接してくれる士郎が、きっと美游にとっての全てだったんだと思いますし、懐くのも無理ないと思います。

ちっぽけかもしれないけれど、そんな幸せは長く続かないのが世の常…
ある日、美遊のことをずっと探していたエインズワース家の連中に連れ去られてしまうのです。
切嗣は目的を成就させるため、美遊を引き取った…
士郎は切嗣の思いを受け継ぐ筈だった…
けれど、美遊はとても良い子なんです。
一緒に積み重ねてきた時間が人の思いを変えるのは決しておかしい事じゃありません。
士郎がずっと言いたかったこと…
士郎が言えなかったこと…
美遊を攫われて大人しくしている士郎じゃありません。
大きなうねりの中にその身を投じて…物語は一気に激しさを増し加速していきます。

本作品の登場人物は決して多くありません。
けれど、その中でも間桐桜の存在は一際輝いていたと思います。
そこには私たちの良く知っている桜がいました。
物腰は決して強くありませんが、士郎を慕っているのはぱっと見で分かる位に反応が素直…
そして彼女の一番の大切は…やっぱり自分じゃないんです。

どの様な形であれ美遊も桜も…士郎のことを慕っていました。
そして士郎も嫌じゃ無かったからお互いを大切にし合えたんだと思います。
それなのに二人とも士郎の目の前で…

士郎の怒りに我を忘れる姿…きっと初めて見たのではないでしょうか。
基本的に彼はいつも冷静でしたから…

イリヤシリーズはスピンオフなので、独自の世界観を持っていましたが、この作品に関してはこれまでの…とりわけFate本編との繋がりが強かったです。
士郎が身を投じたのが、そういう世界だった…というのも理由なのでしょうけれど、お馴染みのキャラにお馴染みの場面…Fateシリーズを視聴した方なら、この接点は嬉しいご褒美だったのではないでしょうか。

エインズワース家が美遊に目を付けた理由と目論み…
その身を投じた戦いの果てで、士郎は何を願うのか…
伝えたかったことを士郎は美遊に伝えられたのでしょうか。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

完走して振り返ってみると、これまでの点と点が線で結ばれて腑に落ちたような作品…
本編さながらの熱いバトルシーンと、これまで耳にしてきた懐かしい台詞の数々…
そして原点に回帰する作品だったのではないでしょうか。

もう一つ…この作品の冠名は「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」であるにも関わらず、主人公であるイリヤが登場したのは、ほんの少しだけでした。
登場しないので「扱いが雑」というレベルにすら到達していません。
でも、劇場版の限られた尺の中で士郎と美游の物語を描き切るためには、その位の大英断が必要だったのかもしれませんね。

主題歌は、ChouChoさんの「kaleidoscope」と「薄紅の月」
お気に入りは「薄紅の月」
これは士郎の歌ですね。歌詞が胸に染み入ります…

上映時間90分の作品でした。
圧巻…この一言に尽きる気がします。
気になるのは続きです。
物語としては綺麗に纏まっているのですが、まさかここで終わらないですよね。
原作の連載は続いているみたいですし…
この後もこのシリーズが続いてくれることを期待しています。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

離れていてもいつもそばにいる運命に引かれるように二人が出会う物語

プリズマイリヤ劇場版一作目。
ある日突然、魔法少女になってしまった普通の小学生イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
カード回収の使命を帯びて、友達の美遊、クロエと共に、元気いっぱい銀幕デビュー!と思いきや、イリヤの登場ほぼ無し、タイトルに反して主人公はまさかの衛宮士郎というロリコン大激怒の劇場版です。

プリズマイリヤ1期の前日譚となっており、プリズマイリヤ/Zeroというべき内容です。
イリヤの存在する世界とは異なる並行世界での出来事が描かれていて、カードが作られた理由、カード回収において美遊が最初から事情を知っている風だった理由が明かされます。
時系列的には1期より前ですが、4期まで観た後でないと意味が通じないと思います。
本作を観たあとでまた1期から観ると、また違った印象を持つことと思います。

「神稚児」と呼ばれる人の願いを叶える力を持つ存在として冬木市に生まれ、結界の中で過ごしてきた美遊は、巨大な爆発の影響で結界が解け、衛宮切嗣に目をつけられ、衛宮家で過ごし始めます。
切嗣を養父に持つ衛宮士郎と共に屋敷の中で過ごすのですが、やがて、切嗣が病で亡くなってしまう。
その後、ふとしたことで美遊は、聖杯戦争を取り仕切るエインズワース家に見つかってしまうという展開です。

プリズマイリヤというよりは、スピンオフ元のFate/stay nightやFate/Zeroに近い内容です。
その世界では、エインズワース家による、カードを用いた第四次聖杯戦争が開催されており、衛宮士郎はその戦いの渦中に飛び込んでゆきます。
ただ、7人のマスターと7人のマスターによる聖杯戦争がメインというわけではなく、戦い自体はダイジェストとなっています。
カードの出所と美遊の正体、今後、イリヤは何と戦わなければならないのかということが明らかになる劇場版でした。

ただ、田中やベアトリスが登場しなかったり、ラーメン屋だった言峰綺礼がちゃんと教会の代行者をしていたりと、謎はまだまだ多く残っています。
本作で完結ではなく、4期目の続きであり次回に続く、間のストーリーということを前提に見る必要があります。
とはいえ、本作まで観ている方は、引き返せないイリヤ沼にハマった方々だと思うので、そんなことは承知の上ですね。

4期まで視聴済みであれば知っている通り、最後はハッピーエンドとは言えない終わり方になります。
ただ、マジカルサファイアと出会い、そしてイリヤと出会ったこと自体が奇跡であると考えると、本作はハッピーエンドの始まりへ至るための、奇跡へ繋がる物語と言えるのかもしれないと思いました。
最初は「なんだよイリヤちゃん出せよ。っざっけんな」と思わなくもなかったですが、結論としてとても良い作品でした。
2021年8月27日には劇場版第2作目公開予定なので、劇場に観に行くかは考え中ですが、続編も楽しみです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

涙なしでは語れないプリズマ☆イリヤ始まりの物語

この劇場版は全編シリアルタッチで描かれています。
そして最後はとても感動します。
こんな素晴らしく温かい映画を制作された監督さんに感謝します。


この物語の主人公は、衛宮 士郎。そしてヒロインは、美遊。
イリヤはエキストラ程度にしか登場しません。
そしてこの場所は、パラレルワールドのFateの世界

士郎と衛宮 切嗣は、人類救済の方法を求めて各地を回っていました。
そして冬木市に着いたとき、街が崩壊する瞬間を目撃します。
ここで士郎は、崩れ落ちる家から美遊を救い出すのです。

やがて切嗣は亡くなり、士郎は美遊と兄妹のように暮らします。
士郎は、美遊がこの世界での聖杯だと知っていました。
実遊は、生まれたときから聖杯として死ぬ運命にあったのです。
でも、人類を救済するために美遊を犠牲にすることなど、士郎にはできません。

しかし、エインズワース家のジュリアンが美遊を奪います。ジュリアンは美遊を聖杯として利用するつもりです。
そして、ここでも聖杯戦争が始まるのです。

士郎は、さくらが残してくれたカードを使って聖杯戦争に参加します。
そして…
{netabare}
苦難の末に士郎は勝者となります。

聖杯戦争の勝者は、自分の欲望をかなえるために聖杯を使いますが、
士郎の願いは、たった一つ とてもささやかな願いでした。
{netabare}
美遊を幸せにすること、美遊が笑顔になること。たったそれだけです。
{/netabare}
この士郎の願いにより。美遊はイリヤたちが住む世界へと旅立つのでした。
そう、これはプリズマ☆イリヤの始まりの物語だったのです。

こんな願いならば、神様はきっと喜んでかなえてくれると思います。
この願いのために全身傷だらけで戦いぬいた士郎の優しさに感動します。
士郎は人間として素晴らしく温かい人でした。
こんな優しさに満ちたFateならば、私は大好きです。
{/netabare}

この映画を最後まで見て、ふと思ったことがあります。

もしかして私は、大きな勘違いをしていたのかもしれません。
プリズマ☆イリヤシリーズの4期 42話の壮大な物語は、実は美遊の成長を描いた物語なのではないでしょうか。
もちろん主人公はイリヤですが、美遊が笑顔になるための物語なのかもしれません。

だから、あんなに無駄なように思えたテレビシリーズのドタバタ騒動も、実は美遊が笑顔になるために仕組まれたことのように思えてきました。
現に、プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツのオープニングの映像は、美遊に焦点を当てて制作したものです。
そう考えると、監督の大沼心さんは物語の本質を熟知された方のように感じます。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
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