takato さんの感想・評価
4.3
日本アニメCGの革新。透き通った煌めき、成長の痛み。
CGは題材によって向き不向きがあって柔らかい物より固い物のほうが表現しやすい。
そのことをわかってない作品が多いなか、本作とプリキュアだけは使い方をわかってる。
どちらもキラキラな質感と色彩、一枚絵としての美しさというCGモデルを使うのに最適な題材である(何度も推すのはアレだが、プリキュアのCG表現の驚異的な到達点はオールスターズメモリーズ後半を見て頂きたい)。
ビジュアル、キャラは最高!。ただ、ストーリーが少々緩い。
この物語は、色んな要素があるけど、一番興味深くて一番上がるのは一話でもう示されてること、即ちフォスとシンシャの自己肯定だろう。それ以外はマクガフィンと言ってもよかろう。
フォスは自分の無力に対するコンプレックスがあり、シンシャは自己肯定不能な存在をそのままキャラクターにしたような悲しすぎる存在だ。
この二人は如何に生きればよいのか?。
一話で作者にずばっと問い掛けられたように始まった本作だが、フォスはともかく、シンシャは最後に激萌シーン(いやぁ、危うく死ぬとこだった)があるとはいえ出番少なすぎた。二人の両輪で話を進めるくらいなほうが軸がしっかりしたろう。
ただ、フォスの成長を単なる良いこととしてじゃなく痛み無しには成長はない!って描いたのは本当に素晴らしい。
最後のブックエンド方式で終わるところで、一話と最終回のフォスが対比で描かれるシーンは作中の白眉だろう。