無声アニメ映画ランキング 4

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の無声成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月31日の時点で一番の無声アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.6 1 無声アニメランキング1位
つみきのいえ(アニメ映画)

2008年10月4日
★★★★☆ 3.7 (219)
954人が棚に入れました
海面が上昇したことで水没しつつある街に一人残り、まるで「積木」を積んだかのような家に暮らしている老人がいた。彼は海面が上昇するたびに、上へ上へと家を建て増しすることで難をしのぎつつも穏やかに暮らしていた。ある日、彼はお気に入りのパイプを海中へと落としてしまう。パイプを拾うために彼はダイビングスーツを着込んで海の中へと潜っていくが、その内に彼はかつて共に暮らしていた家族との思い出を回想していく。

声優・キャラクター
長澤まさみ

メア さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

つみきのいえ。それは人生と思い出の・・・・・

アカデミー賞を受賞した加藤久仁生監督による作品。

作画は小さな絵本のようで見やすく、また、セリフというセリフが無いために少し考えなければならないかもしれない。

何故かはわからないが海面が上昇し、水没していく町の老人が、海面が上昇するたびに上へ上へと家を、まるで「積み木」のように大きくしていくお話。

彼はふとしたことで下に落としたパイプを拾いに行くのだが、そのとき下に行くにつれて、昔住んでいた部屋を見ることで昔の記憶、思い出を思い出していくのです。
それはこの話の主人公のおじさんの妻から子供たち、孫たち、結婚式、それに出会いの日々、何気ない日々までもと多くの人生を振り返ったおじいさんは最後に最下層、つまり玄関につき、そこから出て「いえ」を眺めたのです。あたりにある水没した「いえ」を含めて。そこで思い出す(恐らく)妻との幼少期からの思い出。走り回り、笑い、家をともに建て、最後にグラスを・・・。
このときおじいさんはグラスを拾い上げたのでしょうか。
また、最後に注いだ2杯のグラス。
彼はどのような気持ちで「乾杯」をしたのでしょうか?
きっと今までの記憶の懐かしさと、一人でいることの寂しさをともに味わったワインだったのでしょう。

上映時間は12分と少し。
短くないかときかれればとても短い作品ですと答えます。
しかし、とても多くのことを考えることの出来る作品でした。

切なくなり
 悲しくなり
  そこまではいったものの、結局涙を流さない今の僕の人生はまだまだ小さく、たいしたことの無いものでしょう。
いつか、また、このアニメを見たときにもっと深く感じられるような人間に・・・・・・・・・

つみきのいえ。
それは記憶を積むことで出来た家なのかもしれない。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 17

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

言葉など必要ないんだ。充分伝わるから。

静かに流れる時間、
ときどき流れる穏やかな音楽。
海の底に沈んだ、おじいさんの深い思い出と家族の歴史。
積み木を積んだような家は、人生そのもの。


2008年に発表された加藤久仁生監督による日本の短編アニメ。
音と映像だけでじっくり魅せる12分間。

日本語版では長澤まさみさんのナレーションが入るようだけれど、
正直言うと、ナレーションは必要ないんじゃないかと。
(もちろん、世界に伝えるためには必要な部分もわかりますが)


実はこの作品、自分の場合は絵本が先で。
だけどアニメーションで観たこの物語のほうがずっと、
心に深く刻み込まれている。
言葉がなくても充分、伝わるものがあるんだなって思った。

とても短いし、レヴューもあれこれ書かないほうがいいほどで。
ぜひ、まだ観てない方は一度ご覧になってください。

セピア色の濃淡、明暗が懐かしく、せつなく、
そしてやさしく包んでくれます。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 40
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

12分で語る「人生」

2008年、加藤久仁生監督による短編アニメーション作品。
「La maison en petits cubes」というフランス語のタイトルがついています。

水に沈みゆく町に住む一人の老人。
彼は、レンガを積み重ねることで生活空間を作っていくが、あるとき、お気に入りのキセルを落としてしまう……。

同じ短編アニメーションの「rain town」と、似たような雰囲気があります。

「rain town」のレビュー → http://www.anikore.jp/review/404459/

CGで描かれた美術的な美しさや、臨場感が「rain town」の特徴。
色鉛筆で手描きしたかのような味のある動き、また、内容のわかりやすさが「つみきのいえ」の特徴。

{netabare}
キセルを拾ったあと、2番目の扉を見つけた時に「あっ!」って声が出ちゃいました。
これから人生を遡っていくのだなと。
{/netabare}
過去を思い出すきっかけは、ふいに訪れるんですね。
そして、思い返し始めたらたら止まらない。
{netabare}
海底についたときに見えた、海の中に沈んだたくさんの家。
過去の暖かい思い出と、失ってしまったものへの悲しさが同居した、切なくも美しい風景でした。

その上に成り立つ、いびつながらも高い「つみきのいえ」。
老人の過ごしてきた、長くてたくさんのことがあった人生がうかがえます。
{/netabare}

わずかな時間で表現する「人生」がテーマの作品。
短くも濃い12分間でした。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 30

61.3 2 無声アニメランキング2位
注文の多い料理店(アニメ映画)

1993年8月3日
★★★★☆ 3.3 (19)
123人が棚に入れました
 童話作家・宮沢賢治の同題作品をおよそ20分弱の短編アニメ化。アニメーション作家・岡本忠成が5年の歳月をかけて製作し、その途中で急逝したため、美術作家の川本喜八郎らが岡本の意思を継いで完成に至らせた。 猟に出たのはいいが、山奥で道に迷ってしまった二人のハンター。霧の中、二人は「山猫軒」という西洋料理店にたどりつく。これで一息つけると安堵した二人だが、店内に入るや「身なりをきれいにしてください」や「銃と弾をおいてください」などの細かい注文を次々と要求されることに。さらには「牛乳のクリームを体に塗ってほしい」と注文される二人だったが。 本作は全編を通じて絵画を思わせる陰影の濃密なアニメーション映像を創造。文化庁優秀映画作品賞をはじめ多くの賞を獲得している。その作画には奥山玲子や泰泉寺博ら古参のアニメーターが多数参加した。

68.9 3 無声アニメランキング3位
スノーマン(アニメ映画)

1987年7月25日
★★★★☆ 3.8 (19)
95人が棚に入れました
イギリスの絵本作家レイモンド・ブリッグスの原作を映像化したファンタジー・アニメーション。雪の降ったある日のこと。少年が1日がかりで作ったスノーマン(雪だるま)が真夜中に突然動きだし、少年と遊び始める。胴長短足のゆかいなスノーマンと少年の行動が幼い頃の思い出を思い起こしてくれたり、中盤に流れる主題歌の物悲しい歌声やラスト・シーンなど、子供よりは大人向けに作られたような作品で、クリスマス・イブに恋人同士で見るにはうってつけの1本。同原作者の「風が吹くとき」の主題歌を担当したデヴィッド・ボウイが本作を大変気に入り、案内役として登場するバージョンもある。

ビアンキ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

最高の…

数年前にNHKで視聴。

同名タイトルの絵本のアニメ化作品
1982年製作。
日本では1986年にOVAとして発売された。


本作の魅力を書いてみる。


まず
アニメーション。
原作の絵本をそのままアニメ化したようなアニメーションは、チラチラして少々見づらいものの、
作画クオリティ、色使い、光の表現、
全てが丁寧で繊細で優しい。
作品にあった最高のアニメーションだった。

作品中ほぼずっと出てくる雪や、
ほんの少しだけ出るオーロラ等の描き方は特に目を引いた。

何よりも、これが1982年制作というところが一番の衝撃である。
この凄さは是非ご覧になって確かめていただきたい。



本作にはセリフがない。
その代わりに、常に音楽が流れている。
音楽は作品全体を色付けするとともに、作品中の効果音の役割も同時に果たしている。
どの曲も「音楽」としても「効果音」としても素晴らしかった。
セリフがないというのも、またいいものだとも思った。

そして忘れてはいけない
スノーマンと少年が空を飛ぶシーンで流れる
「ウォーキング・イン・ジ・エアー」

完璧だ 。もう完璧にマッチしている。
最高の演出だった。



シナリオ
単純なシナリオだが、上記のアニメーションや音楽も相まって、
凄まじい感動をもつものになっている。

夢のように見えて、夢ではない。
主人公の少年にとって、そしておそらく視聴者にとっても、最高の思い出。

夜に出会い、夜が明けて朝になり別れを描く。

この単純だが素晴らしいシナリオは、
たった26分で完全に完結する。

この続編など作らず、引き伸ばさない、
26分間に全力投球した当時のクリエーターの情熱。

作品と同じぐらい、この情熱も評価されるべきものだと思う。

(ちなみに最近30周年記念として続編が作られたようだけど、そちらも良かった。
まぁ30年も経てば新作のひとつも… ね?)


誇張抜きで、全ての人に一度は見てほしい名作です。
是非ご覧ください。
できれば冬にね。

下手くそな文章、お読み頂きありがとうございます。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 11
ネタバレ

ねここ時計 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ひと晩の奇跡

幼い頃絵本で読みました。その後、視聴しました。
大人になってしまってからみるよりも、
まっさらな子どもの心でみたほうが絶対に良いです。
私は、雪だるま…スノーマンは本当にいるのだと信じていました。

少年の作ったスノーマン。
部屋の窓ガラス越しのから眺めたときのスノーマンの後姿、
哀愁があってなんとも言えず好きでした。
大人になった今でも、あの後姿は焼きついています。

空を一緒に飛ぶ場面、印象的です。
一面 雪、雪、雪、まるで世界の行き止まりのその向こうまで雪なのです。

終わりがくることなんてないような、雪のようにひそやかな、、
たったひと晩のふたりきりの冒険。
{netabare}
最後スノーマンは溶けてしまう。。{/netabare}
切ない。けれど少年にとっては大切なひと晩でしたね。

少女の頃、私のためだけのとびきりな物語なんだ そう思い込んでました。

挿入歌
Walking in the Air
雪だるまと少年が空を飛ぶ場面で流れます。幻想的…!
この場面だけでも是非みてほしいです。
素敵です。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 19
ネタバレ

前田定満 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

美しい!

1982年に公開された、イギリスのアニメーションです。
自分はこの独特の画のタッチは大変好きです。
色鉛筆で描いたような画に引き込まれてしまいます。
もともとは絵本が原作なので、それを意識したのでしょう。
映画の演出は音楽と画だけで、台詞はありません。

絵本は読んだわけではありませんが、調べたところ本編に文字はなく絵のみだそうです。
そのため他言語版を発行しやすかったそうです。


{netabare}あらすじは少年が雪の日に雪だるまを作ります。
夜になり少年は寝る時間でしたが、
なかなか寝付けず深夜0時に外を見ると、
突然雪だるまに魂が宿ります。
少年は親を起こさないように、
家の中で遊んだり、雪のなかを駆け抜けたり、
雪だるまといろいろなことをして遊びます。
そしてお話の中盤から2人は雪だるまのパーティーに向かいます。
北極圏に行くため海を渡ります。
この海を渡るシーンはスノーマンの中では非常に有名なシーンです。
この時に流れる挿入歌は「Walking In The Air」という曲で、
アレッド・ジョーンズという当時有名だった、天才的美声を持つ少年が歌っています。
その後パーティーで楽しむ二人はいろいろな雪だるまと出会います。
そしてサンタクロースと出会い、青いマフラーをプレゼントに貰い帰宅します。
そして朝を迎え外に出ると雪だるまは無くなり、残骸だけが残っていました。
夢かと思いポケットを見ると、青いマフラーが入っていました。{/netabare}

結末は悲しいです。これぞバッドエンド。
しかし大変美しい終わり方だとも思います。
自分が一番好きなシーンは空を飛ぶシーンでクジラが出てくるシーンです。
その尾びれの動きが大変リアルで凄いです。
子供のころははっきり観ていませんでしたが、
大人になってその事に気付きました。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 4

63.6 4 無声アニメランキング4位
紙ひこうき(アニメ映画)

2013年3月23日
★★★★☆ 3.7 (61)
339人が棚に入れました
ある日、駅のホームで偶然出会った女性にひかれた男が、職場の向かいのビルにその女性の姿を見つける。男は紙ひこうきを飛ばして女性を気づかせようとするが、なかなかうまくいかない。そんな時、男の折った紙ひこうきに不思議なことが起こり……。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

全くもってやはりディズニーには敵わない、アカデミー賞とはこーゆー作品を讃えるためにある場なんだと再認識した珠玉の1作

第85回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞
わずか7分の短編映画
日本では『シュガーラッシュ』の同時上映として公開されました


若い男女の出会いと奇跡的な再会を描いた心ときめく1作です


3DCG作品ながら往年のディズニー作品を思わせるアニメーターによる手描きのドローイングによって豊かな表情を見せるキャラクター達の躍動感が素晴らしい
そう、CGになってディズニーが失った伝家の宝刀を、今作で遂に取り戻したのです


全編に渡ってモノクロなのにヒロインの口紅だけが鮮やかな真紅なのは、恐らくかつての名作『白雪姫』から習った演出ではないかと思われます


全編セリフ無しのサイレントながら、物語の展開に合わせて高揚感を沸き立たせるBGMも秀逸


全くの偶然ながら今作が公開された翌年、宮崎駿監督の『風立ちぬ』の主人公とヒロインが再会するシークエンスが今作と丸被りしていたのには思わず苦笑いしてしまいましたw


いやはや全く;
CGになってディズニーは死んだ、と思っていたのですが・・・
とうとう獅子が眠りから目を覚ます時が来たようです

投稿 : 2024/05/25
♥ : 19

おなべ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

想いは中々伝わらない

上映時間約7分のモノクロサイレントショートストーリー。


主人公はプラットホームで一目惚れした女性を、会社の向かい側のビルで発見します。なんとか彼女に思いを告げようと紙飛行機を飛ばすのですが、あっちやこっちやに飛び、彼女の元に中々届きません。しかし主人公が折った紙ひこうきには不思議な事が起きるのでした…。


単純なお話でありながら、そんなシンプルな話を短い時間の中でギュッと凝縮して洗練されているのがこの作品の魅力。起承転結が出来ているので、短編作品のお手本になります。サイレントで台詞もないのですが、キャラクターが生き生きとしているので、物語に支障は何らありません。
製作会社ディズニーの毎度ながらの表情の豊かさはもちろん、細かい仕草や微妙な視線の移動等、キャラクターのモーションが本当に丁寧なんですね。また、登場人物が可愛過ぎず格好良過ぎない等身大のキャラクター像なのも私が感情移入しやすい要素の一つかもしれません。


多くの方のツッコミ所としては、何しろ会社の書類で紙ひこうきを折ってるので「仕事しろよ!」と思わず彼の今後の就業状況が心配になってくるのですが、そんな現実的な要素はこの際ちょっと傍らに置きまして。主人公が想いを必死で伝えようとしても中々上手くいかない、想いを伝えることの難しさを「紙ひこうき」で描いていました。ロマンチックなだけではなく、人並みで共感出来る物語の過程もちゃんと抑えているのが良かったです。


モノクロの世界も場面を盛り上げてくれる音楽も静かで綺麗で美しい。モノクロCGアニメっていうとフランスアニメ映画「ルネッサンス」を思い起こさせましたが、あちらはバリバリなシャープSF様式に対して、こちらの作品は柔らかな曲線で温かい印象があります。また違った表現方法があるんだなあふむふむと感心しました。閑話休題であります。


とても心温まるピュアな作品なので、ドロドロ愛憎人間ドラマにお疲れの方は是非ご覧になっては如何でしょうか。モノクロの美しい世界覧に短い時間ながら浸ってみて下さい。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 17

さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

紙ひこうきはいいぞ

女性に一目ぼれをしたサラリーマンを意志をもった紙ひこうきが応援するという物語。
7分ほどのモノクロ・無声映画なので、ちょっとした一時に観れるのが良いですね。物語がシンプルなので繰り返しみられるし、観る側のちょっとした気持ちの変化で感じ方が変わるのも面白い。

無声映画なら、いっそ音を消しても観られるかな?と思ってやってみたけれど、さすがに音と音楽が無いと味気ないね。
無声映画だからこそ音と音楽が活きるのだということがわかった。


作画
新しい技術をつかって、手書きの良さとCGの良さを上手く出しているということは分かりましたが、メイキングを拝見しても、説明文を読んでも、漠然とすごいねえ。という感想しか出てこない。
Wikipediaには
"まず、3DCGのモデルによるアニメーションを作成し、これに後からアニメーターが2Dの輪郭線などのドローイングを描き重ねる。追加描写された線はベクタ形式で処理され、3DCGモデルのアニメーションに合わせて動いていくことになる。"
なんてざっくり書かれているけれど、そんな簡単な事じゃないはず。
勉強して出直して来よう。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 10
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