秘密基地で夏休みなおすすめアニメランキング 3

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早速見ていきましょう!

75.5 1 秘密基地で夏休みなアニメランキング1位
ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)

2018年8月17日
★★★★☆ 3.8 (262)
1212人が棚に入れました
小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。

声優・キャラクター
北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

この小四男子が大人になるのが楽しみでなりません

原作SF小説は劇場鑑賞後に購読。

ボクは大人になったら保母さんと結婚するんだ。
或いは先生と、或いは看護婦さんとか……。

幼少期の園児、児童の中には、時折、
こうした未来を語るナマイキな小僧がおりますがw
あれは果たしてどういった心情なのでしょうか?

年上の女性に甘えているようで母性依存とは少し違う。
だからと言って恋愛のいろはを知っているわけでもない。
大人になってから初恋の相手は先生だったなどと吹かす人もいますが、
あれは恐らく初恋の域には達していなかったと見るのが妥当でしょう。

そして、思春期を経て、恋を知っていく中で
母性依存以上、初恋未満の経験は、いつの間にか霧散してしまう。
その時、少年の心や周囲に何が起こったのか?
についてはあまり語られることもありません。


本作はそんな幼少期から思春期に差し掛かる少年と年上お姉さんの青春を
生命進化史や宇宙観に絡めたジュブナイルSF作品。

歯科医院に勤務するお姉さんを結婚相手に決めている主人公少年。
彼がまた只者ではありません。

“人類代表”就任を企てる少年の野望は、
夢物語にとどまらず、形にすべく既に計画的に動き出している。

ノートに自身の課題と研究テーマを列記。
(しかもジャポニカ学習帳などのお子様向け文具ではない。
論理的思考やスケジューリングに最適な大人向けの外国製方眼ノート)
解決のためのPDCAサイクルを回して、
日々、着実に“エラく”なっている自負を得ているのです。

けれど、宇宙物理学の知見に触れたり、
一流のビジネスマン、研究者に匹敵する
メソッドを体現した天才児をもってしても、
ようやく知りつつある恋の甘酸っぱさについては、認識しきれない。

知識だけでは感じ切れない。
成長や性徴を経ねば分らない感情が確かにある。
少年の知的生活を強調することで
浮かび上がって来る青春という構図が誠にこそばゆいです。


鑑賞された方の中には、というより多くの方が、
こんなすました主人公少年なんているわけないだろうw
と思われたのではないでしょうか。

ただ、私の場合は、自分も幼少期、ろくに方程式も解けないクセに、
舌で乳歯をグラつかせつつ、
NHKでアインシュタインの業績を優しく解説する番組などを見て、
宇宙の真理を知った気になっていたナマイキなガキだったのでw
本作の主人公少年の言動には共感できる点も多々ありました。
(但し私も流石に、{netabare} 怒りの感情を和らげるために、おっぱいを妄想して幸せになる{/netabare}
などということはなかったと弁明はしておきますw)

SF展開も私好みで思索も捗り、久々に幼少期に戻った気分になりました。
嬉しさの余り……また、劇場版の説明だけでは納得できないこともあって、
鑑賞後、原作購入して延々と考察に耽っている内に、
この夏も終ろうとしていますがw後悔などは全くありません。
脳に清々しい汗をかくこともできた素敵な夏でした。


それにしても、この主人公少年は
これからまさに恋を知り、青春を知ることになるのでしょうが、
別次元とも言える思春期の純情を経た時、さらに大人になった時、
この夏の思い出はどう自己解釈されるでしょうか?
未熟だった自分にのたうちまわったりもするのでしょうか?
今から反応が楽しみでなりませんw


その他、主人公少年だけでなく、同級生の男子一名と女子一名もまた、
初めて知ってしまった恋の感覚に戸惑いながらも成長していく。
三者三様の青春も実にくすぐったかった。良作青春SF映画でした。


以下、ネタバレかつ超絶ロングな考察。

一応ノート形式を気取ってはいます。
眺めていても大した「エウレカ!」も来ない半端な代物ですがw
鑑賞後の思索等にお役立て頂ければ幸いです。

{netabare}
□ブラックホールとワームホール仮説と“世界の果て”

劇場版では、“世界の果て”は遠い宇宙の外ではなく、内側にあるかもしれない。
と示唆された程度でしたが、原作では、かなり多岐に亘る思索があります。

例えば、恒星が死を迎える際に重力で自壊するなどして
空間に穿たれるブラックホール。
光も音も時間や空間さえも飲み込まれ押し潰されると言うこの穴については、
その出口が別の宇宙へ通じているという仮説が提唱されています。

この場合“世界の果て”は外側の辺境ではなく、
内側のブラックホールに存在することになるのです。


□始まりと終わりを繰り返す万物

無から生じた宇宙の膨張と収縮。
混沌と秩序、生と死、進化と絶滅、眩しい朝昼と静寂とした夜、
輝かしい夏も四季が巡れば秋を経て、命が眠る寂れた冬を迎える。

全ては始まり、やがて終わり、また混沌とした始まりへと回帰していく。
本作では盛衰を繰り返す森羅万象という宇宙観が、
少年が知覚する周囲のあらゆる事物、体験にあてはめられます。


□宇宙と海の共通点

原作では海の神秘についても、さらなる言及があります。
深海に至っては並の探査船は圧壊する程の高水圧。まるでブラックホール。
そこにすら棲息する生命体は、宇宙のエイリアンを思わせるグロテクスクな外観。

光や音が地上と異なる性質を見せる水中においては、
さながら宇宙空間を想起させる不思議な非日常的な環境を与えてくれます。
宇宙飛行士も水中で訓練に励むのです。

劇場版では、さらりと流されたプールのシーン。
あのカットだけだと全裸で女子の前に浮上する
少年の奇行を強調するだけのネタシーンと化していますがw
原作だと、あの場面に宇宙と海をつなぎ合わせる感覚を読者と共有する、
貴重な水中体験の描写があります。

後で原作を読んでいて、一番これは映像化して欲しかったなと思ったシーンです。


□コーラと多元宇宙論

お姉さんが投じたコーラからペンギンが発生する。これも含蓄に富んだ表現です。

原始の海から発生した生命が鳥類まで到達する生命進化史の早回しとも解釈できますし、
私の場合は幼少の頃見た多次元宇宙論の泡宇宙のイメージ映像を思い浮かべました。

宇宙は単一ではなく、無数に存在していて、炭酸の泡の如く生まれては消えている……。
コーラの漆黒の液体に泡立つそれらがペンギンへと到達し、また元のコーラ缶に回帰していく……。
一連の描写は宇宙の性質も示唆しているように感じました。

いずれにせよ、ペンギンの発生と消滅もまた、万物の盛衰を暗示しているものと思われます。


□<海>とは何か?

ハマモトさんが発見した膨張と収縮を繰り返す不思議な浮遊球体<海>
この世界に開いた塞ぐべき“穴”との指摘からも、
また上記の考察からも、ブラックホール?と推測したい所ですが、
重力による星の潰滅に由来しないためか、万物を吸い込み圧壊する性質はない模様。

一方でワームホールの如き異次元空間への転移機能は有していて、
<海>の中では物理法則や時空も混沌としています。
劇場版でも“世界の果て”と形容された<海>
原作では加えて「カンブリア紀」の海とも再三強調されています。
多種多様な海洋生物が爆発的進化を遂げては消えていった……。
地球生命史でもっとも多くの可能性が繚乱した時期。

<海>はかの時代の如き混沌への回帰をもたらすのです。


□ペンギンの役割

ペンギンと言う鳥類はまさに生命進化史の天邪鬼。
海の生命が数億年かけて上陸を果たし、翼を獲得し、大空に羽ばたいた……。
その進化に逆行するようにペンギンは、空を飛ぶことをやめ、
翼をフリッパーに変え、生命の故郷である海に舞い戻り、生き生きと泳ぎ回る。
そのクセ、かつての陸棲から海の主と化したシロナガスクジラと異なり、
ペンギンは完全に海棲生物にはならない。
「ペンギン・ハイウェイ」と呼ばれるルートを通って
彼らは海から陸の浜辺へ帰って行くのです。

お姉さんが出すペンギンたちもまた、混沌たる<海>と呼応しながら、
完全に混沌に回帰することはない。
それどころか混沌を振りまく<海>を、
残された鳥類としてのアイデンティティたるくちばしで突いて消してしまうのです。

混沌に最接近しながら、秩序へ舞い戻って来る。
「ペンギン・ハイウェイ」は混沌に背を向ける者たちの進路でもあるのです。


□ジャバウォックの役割

……これには参りました。なにぶん『鏡の国のアリス』の記憶がないものでして……。
こんなキメラみたいな怪物いましたっけ?

で、結局、ウィキペディアなどを当てにする羽目になったわけですがw

その中で使えそうかな?と思ったのはジャバウォック退治が、
「言語の存立」を脅かす混沌を両断する比喩であるとの解釈。

陸に出張って来たクジラの如き風貌のそれは、
混沌から秩序を構築する営みを妨害する<海>からの使者。
混沌の穴を塞ぐペンギンにとっては
やはり天敵となる存在だと思われます。


□少年の成長に待ったをかける、混沌回帰の誘惑

少年はお姉さんを未来の結婚相手と決めている。
けれどそれは恋慕の感情を理解できていない、
母性依存以上、初恋未満の幼少期の未熟である。
少年が幼少期を脱し恋とは何かを知れば、
お姉さんとの関係は成立し得ない幼少期の夢想として霧散する運命にある。

生まれて成長していっても、人はやがては死に絶える。
万物はどーせ原始の混沌に戻っていくと言うのに、
遠くの海辺の街など目指す必要はあるのだろうか?

このまま成長もせず、恋も知らず、
将来お姉さんと結婚すると無邪気に思えていた頃の
甘い夢に溺れていても良いのではないか?

混沌への退行という誘惑は、
成長し恋を認識しつつある少年を惑わせ続けます。


□新興住宅街と子供のセカイとお姉さん&ペンギンの行動可能範囲

原作では、主人公たちが暮らす新興住宅地についても多くの言及があります。
少年が引っ越して来た時は、誕生直後の宇宙や原始の地球の如き静けさだった街が、
人口増加と共に活気を得ていく……。

星や銀河が繁栄した宇宙史や、多様な進化が花開いた生命史と重ね合わされた、
ビッグバンのようなエネルギーで膨張を続けるこの街には
お姉さんが出すペンギンの素材ともなり得る特別な力が宿っているのです。

さらに“世界の果て”は内側にあるかもしれないという論理は、
子供たちが行動し、探検できる範囲内に
“世界の果て”はあるという幼少期にありがちな夢想とリンクします。

海辺の街を目指すためにはこの住宅街を、子供のセカイを出て、
外に踏み出さねばならない。

そして奇しくも子供のセカイはお姉さんやペンギンたちが存在できるエリア。
ペンギン・エネルギーが届く範囲ともリンクするのです。



□それでも少年は海辺の街を目指す

混沌への退行という誘惑を振り切って、
少年は秩序を阻害する<海>を終らせる決断をします。

それは恋と知ってしまったお姉さんとの関係。
でも現状では叶わない子供と大人の関係。
それらを一度精算する辛い判断でもあります。

例え、万物がやがて無に帰すものであっても、
少年は進化を続ける存在として、成長を選択し、
内側の“世界の果て”に籠もるより、遠く外側にある“世界の果て”を目指すのです。
子供のセカイを出て、海辺の街へ……。

幼少期を脱して思春期へと、街の安泰と共に、
少年の成長は健全性を取り戻すのです。


□お姉さんの体調と<海>の膨張・収縮とハマモトさん

<海>の拡大と相関関係にあるお姉さんの体調。

加えて私には少年と同級の少女ハマモトさんとの関係も
関連しているように思えます。

ハマモトさんは少年に思春期の健全な恋を体験させるキーになる登場人物。
ハマモトさんと<海>の研究を開始する前は拡大期にあったと言う<海>。
お姉さんも割と元気でした。

この辺りにの関連性についてもデータを整理すれば面白いのでは?と感じています。


□お姉さんの正体と役割

結局、私にとっては、これが一番の謎として残りました。

物体からペンギンを生成する人知を越えた存在であったお姉さん。

世界が混沌に飲み込まれるのを防ぐため生まれた異次元人か?
はたまた、主人公少年がお姉さんと結婚するという夢想が、
夏の終わりに彼女の引っ越しにより霧散する……。
という現実がまずあって、
そこからSFファンタジー方面へ派生した幻想がペンギンを出すお姉さんだったのか?
なかなか明確な答えが見出せません。

ただ、一つ思うのは、お姉さんは素敵な女性であったということ。
幼児、児童の結婚願望を向けられて、
軽くあしらうでもなく、中途半端に悪ノリするわけでもなく、
論理的に思考し研究する少年の可能性にかけて、
自身の謎を課題として提示するという形で、
少年が自力で思春期への成長へ踏み出す契機を与えた。

私は彼女の言動を好意的に受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 36
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』

アニメ化もされた『夜は短し歩けよ乙女』、『四畳半神話大系』などの森見登美彦による原作小説は、角川文庫(角川書店)で書籍化(原作未読)。第31回日本SF大賞受賞。
アニメ映画は、119分(2018年)。監督は、『陽なたのアオシグレ』、『雨を告げる漂流団地』などの石田祐康。制作は、同監督の作品の他に『泣きたい私は猫をかぶる』、『BURN THE WITCH』などのスタジオコロリド。
(2024.3.29初投稿、3.31一部推敲、「考察を踏まえた感想」を追記)

以前から気にはなっていたものの、感想が人によって結構違うし抽象的。こういう作品は、経験上、刺さる人にだけ刺さるものが多く、自分に刺さるかまで観る前にわからないので躊躇していた作品。が、某レビュアーさんの勧めもあって観始める。

観終わった直後の感想としては、確かに、これは感想が人によって結構違ってきそう。なぜなら、本作には、大きく分けると「現実の話」と「夢のような話」という柱が2つあると感じたからです。
(これを補強する劇中の要素としては、本作に登場する「ジャバウォック」がルイス・キャロル作『鏡の国のアリス』の中で語られる怪物であるということ。なので、本作は、意識的に『鏡の国のアリス』の「(アリスの)夢のような話」と「現実の話」がごちゃまぜになった感じを描いていると思われます。例えば、冒頭のシーンである近くに海のない閑静な住宅街に南極周辺にしか生息しないはずの愛らしいペンギンが群れているという景色も、そういう感じですよね。)

その柱の1つ目である「現実の話」の中心は、本作の主人公であるアオヤマ君の「ぐらつく乳歯」、「にがいブラックコーヒーを我慢して飲む」、「セクシーな年上のお姉さんに憧れる」といったアイコンが示す「大人になりかけの少年のちょっと背伸びした恋」。
おそらく、ここに関する感想が人によって大きく異なることはないでしょう。なぜなら、誰しもが多かれ少なかれ大人への通過儀礼として「現実」に通った「道」(一本道としての「ペンギン・ハイウェイ」)でしょうから。

問題は、もう1つのSF要素のある「夢のような話」の方。
「アオヤマ君は、“お姉さん”がふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』」(公式のSTORYから引用)という問いが、アオヤマ君と同時に我々にも投げかけられている。

そして、その謎については、劇中で明確な答えらしきものが提示されておらず抽象的な表現にとどまっている。
したがって、その解釈についての具体的なイメージや、そのイメージをどう具体的に説明するかは、その人の個人的な経験などが色濃く反映されることになるため、人によって大きく異なってくる。また、抽象的なだけに色々な解釈の余地があるとも思いました。


とはいえ、考察好きとしては、綺麗なお姉さんに挑発されたんじゃ黙っていられないということで(笑)、これから「ネタバレ全開で考察」していこうと思います(以下、興味のある方のみ、お付き合いいだだければ幸いです。)。


【「お姉さん」とは?】
{netabare}そもそも「お姉さん」には名前がないので、抽象的な存在であることが匂わされています(※マンションの表札も見えない)。
したがって、それだけでも「お姉さんは具体的な存在を持った人間ではない」といえそうです。

これを「現実の話」の文脈で考えるなら、特定されていないので、男の子の憧れの存在として、みんなが想像する「お姉さん」のアイコンという意味も含まれているのでしょう。

そうなると、問題は、やはり「夢のような話」の文脈における「お姉さん」の存在理由(正体)でしょう。


【「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」と「お姉さん」との関係】
これを考えるには、まず「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」と「お姉さん」との関係を解明する必要がある。

結論からいえば、これらはすべて「海」から生まれた存在(もしくは、結局のところ「海」と同じもの)だと考えます。

「お姉さん」は、「ペンギン」と「ジャバウォック」を生み出すことができる。そして、「お姉さん」は「ペンギン」をたくさん生み出すと疲れることから、「ペンギン」は、「お姉さん」自身がエネルギーを消費して生み出したことになります。また、「ジャバウォック」は、「お姉さん」が「この世界に未練があった」ことから無意識に生み出された存在でした。

さらに、「海」から離れると、「ペンギン」も「お姉さん」も存在できなくなるという描写、「海」の膨張と収縮に「お姉さん」の元気が連動しているという描写から、「お姉さん」は、「お姉さん」が「ペンギン」を生み出したのと同じように、「海」から生み出されたものだという推測ができます(もしくは、結局のところ、目的に合わせて形を変えて生み出されただけであって、本質的にはすべて同じものなので連動しているとも考えられます。)。

加えて、2002年にスティーヴン・ソダーバーグ監督によって映画化された、ポーランドのスタニスワフ・レムによるSF小説『ソラリス』に「海」が出てくる(ここで『ソラリス』がいきなり出てきますが、劇中でアオヤマ君がスズキ君をからかうためについた嘘が「スタニスワフ症」でした。)。

この『ソラリス』、簡単にいうと、惑星ソラリスの衛星軌道上にあるソラリス・ステーションで、そこにいないはずの人間が現れるという奇妙な現象が起こり、その謎を主人公が解明していくというお話。そして、その謎の人間は、{netabare}そこにいた研究員の記憶をもとに「海」が生み出した人間のコピーでした{/netabare}。

という本作の元ネタから考えても、「お姉さん」は、「海」が生み出した存在だといえそうです。{/netabare}


【「海」ってなに?】
{netabare}じゃあ、「海」ってなに?って話になると思うわけですが、結論からいえば、元ネタの『ソラリス』から考えても、「海」とは、我々では完全に知覚・認識できない「未知の存在」(高次元の存在、地球の意志、ライフストリーム(FF7)、神、宇宙人、オーバーロードなど)なのだと思います。


もっとも、「未知の存在」では説明になっていないので、もう少し考察を進めるなら、劇中で、アオヤマ君は、「海」について、時空を歪めるので、この世界に存在してはいけない「穴」みたいなものだと言っています。

また、物語の終盤に、お姉さんとアオヤマ君が「海」の中に入ると、そこには我々の世界と似てはいるものの違っているようにも見える異世界が広がっていました。

そうすると、この「穴」は、SFでは定番設定ともいえる「ワームホール」ということになりそうです(そんなものをアオヤマ君が生身で通過できるのかについては、真面目に考察しない方向で(笑))。


【「穴」の存在理由】
では、そんな「穴」がなんであるのかという話になってくる。

「穴」を修復するために「お姉さん」によって生み出された存在が「ペンギン」でした。だから、「ペンギン」は「海」を破壊しようとする。

もっとも、「お姉さん」が生み出した「ジャバウォック」は、「ペンギン」を食べる。これは、「お姉さん」がペンギンを生み出す理由と矛盾するのですが、「お姉さん」がこの世界に未練があり、修復が完了すると目的を果たして消えてしまうため、無意識に生み出されてしまった存在のようです。
(また、「お姉さん」が「ペンギン」や「ジャバウォック」を生み出せることは、「海」と同じ存在としての「生命の母」のメタファーということになりそうです。そうすると、いやらしい意味ではなく、母性のアイコンとして「お姉さんのおっぱい」を強調することにも意味が出てきます。)

じゃあ、「ペンギン」・「ジャバウォック」と「穴」はどういう関係なのか。

ヒントは「ジャバウォック」にありそうです。なぜなら、こいつは怪物なんですが、実は『鏡の国のアリス』では存在が語られるだけで実際に出てこない。だから、形が決まっていない。そこで、本作のジャバウォックをみると、異形ではあるものの、その原型は「クジラ」だと思われます(実際、一部の歯クジラはペンギンを捕食します。)。

そして、先程の「ペンギン」。実は、クジラとペンギン、この2種には共通点がある。

それは、進化の過程で、海から陸に上がって、再び海に戻ったというところ(劇中でも、終盤でそういった内容がイメージされるシーンがある)。また、ペンギンは海から餌をとり、クジラはペンギンを食べるという食物連鎖がある。
さらに、「海」のあった森は、円循環するように空間が歪められていました。あと、「海」にあたると人工物が自然に戻されるような描写がある。

そこで、これらは、あえていうなら「全ての生命はその母である海に戻る」、「円循環」、「万物の流転」のアイコンといえるでしょうか。

そうすると、上で書いたように、結局のところ、「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」は本質的に全部同じものだと考えられるので、これらは、「海」という1つの意志に従っていると考えられる。
そして、上で導いた「全ての生命はその母である海に戻る」が「海」の普遍的な意志なのだと推測できます(「海」に意志がないとみるなら、「相対性理論」のような普遍的な法則でしょうか。)。

したがって、「未知の存在」である「海」は、人類が円循環から外れそうなので、「穴」によって人類を「海」の普遍的な意志である「全ての生命はその母である海に戻る」を強制実行(人類にとっての、終末思想、地獄、最後の審判、終わり、死、世界の果てなど)しようとしていたと考えられます。


【「穴」と「お姉さん」との関係】
その強制実行に際して、「お姉さん」は、その「海」の意志を地球で実現するための「代行者」、「天使」、もしくは、その判断の正しさを担保するための「審判者」として「海」に用意された存在だったといえそうです(なぜなら、「海」を消滅させる能力、すなわち、強制実行を中止する能力を持っていた。)。

そうすると、「お姉さん」は、人類代表の賢いアオヤマ君が円循環の「道」(「ペンギン・ハイウェイ」)から外れることなく、破滅の道を選ばないと判断したことになりそうです。

もっとも、今後、アオヤマ君が努力を怠れば、再び「穴」があくかもしれないですし、ペンギン・ハイウェイの先にいるはずの「お姉さん」をどう解釈するかは、「海」を具体的にどう解釈するかによっても変わってきそうです(例えば、「海」を神と考えるのか、宇宙人と考えるのかなど)。

このあたりは、個人の宗教観なども関わってきそうですし、これが正しいなどと言うつもりもないので、参考までに見ていだければ幸いです。{/netabare}


【「お姉さん」の記憶は本物か?】
{netabare}あと触れておきたい謎としては、「お姉さん」がもっていた記憶の謎でしょうか。

まあ、「お姉さん」自体が人間ではないので、彼女自身が経験した本物の記憶ではないでしょうね。

もっとも、元ネタである『ソラリス』で「海」が他人の記憶をコピーして人もどきの存在を生み出していたことから考えると、別の誰かの実際の記憶のコピーである可能性が高い。例えば、かつて海に飲み込まれてしまった人の記憶などでしょうか。{/netabare}


【考察を踏まえた感想】
{netabare}劇中で、唐突にアオヤマ君の妹がお母さんが死んでしまうと泣いていたり、お父さんが「世界の果ては意外と近くにあるかもしれない」(つまり、「海」の存在の暗示)といっていたりするので、何か意味があるんだろうとは思ったんです。

しかし、抽象的な話なのでそもそも難しいとは思うのですが、他の劇中の要素をあわせても「穴」の存在理由を導くには、「未知の存在」に対する興味といった正の要素が強く恐怖といった負の要素が弱いと感じたので、ちょっと遠いかなあというのが率直な感想です。文字では気にならなかったであろう部分も、映像として解像度があがると、その分の情報量を足す必要が出てくる。

出しすぎるのも論争のもとになるのですが…、もう少し映画監督として色(自己流の解釈)を出しても良かったのかもしれませんね。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

世界は研究すべき”不思議”で満ちている!

原作:「ペンギン・ハイウェイ」既読
 著:森見登美彦
  (代表作「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「有頂天家族」等々)

『他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことである。一日一日、ぼくは世界について学んで、昨日の自分よりもえらくなる。…今日計算してみたら、ぼくが二十歳になるまで、三千と八百八十八日かかることがわかった。そうするとぼくは三千と八百八十八日分えらくなるわけだ。…えらくなりすぎてタイヘンである。…結婚してほしいと言ってくる女の人もたくさんいるかもしれない。けれどもぼくはもう相手を決めてしまったので、結婚してあげるわけにはいかないのである。
 もうしわけないと思うけれども、こればかりはしょうがない。』(原作抜粋)

毎日学ぶことをモットーに、日々ノートを片手に世界に対する研究を重ねている優秀だけどちょっとスケベな愛すべき阿呆小学生の主人公と、謎多きお姉さんを中心に据えた、不思議なファンタジーSF作品。

森見作品にあるまじき優秀な小学生が主人公であるが、内在する阿呆さは”らしい”主人公でもある。美しい「お姉さん」の不思議な力に関する研究を進めていく中で生まれた謎が謎を呼ぶ作品であり、青春を感じさせる爽やかな作品でもあった。

途中冗長気味で、退屈に感じられる部分もあったが、総じて森見さんの描き難いオリジナリティーあふれる不思議な世界観を、精一杯うまく映像化していることに大変満足できた作品であり、面白さ、熱さ、美しさ、そして切なさが見事に融合された良作であったと思われる。
(ちなみに自分は泣きました。アオヤマくんは泣かないことにしているのに…。)

森見ファンはもちろん、ちょっと変わったアニメ映画が観たいなら、ぜひともチャレンジしてみてほしい作品である!

以下項目別ネタバレ付き感想
{netabare}
物語:4.5
 森見×上田誠は心配の必要なし。
 謎が謎のまま残ったことを残念に思う意見が散見されるし、その意見には大いに共感できるが、この不思議な世界を説明するのに十分な言葉はこの世に存在しないと思うし、誰もが納得する答えはきっとない。
 世界に空いた穴である<海>”広がる世界の果て”を埋めるためのペンギンであり、そのペンギンを生むお姉さんはきっと人間ではなかった。<海>がなくなれば<海>エネルギーで存在しているペンギンやお姉さんは消えてしまう…。主人公が立てた仮説はこんなところであろう。そして、主人公以上にお姉さんの真理に近づいた人間もまたこの世にはいない、とどまるところ現状人知では手には負えない問題なのである。
 これらは原作において”素敵な”父の言う「解決しないほうがいい問題」であり「理不尽なこと」であった。

 ただし、ぼくは決してあきらめていない。

『ぼくは世界の果てまでたいへん速く走るだろう。みんなびっくりして、とても追いつけないぐらいの速さで走るつもりだ。世界の果てに通じている道はペンギン・ハイウェイである。その道をたどっていけば、もう一度お姉さんに会うことができるとぼくは信じるものだ。これは仮説ではない。個人的な信念である。』

声優:3.5
主人公「アオヤマくん」を演じたのが北香那。演技がぶれずに想像以上にフィットしたキャスティングであった。
お姉さんは蒼井優。こちらは評価が分かれるかもしれない。演技力は流石であったが、アニメ声に毒された自分には、もう少し綺麗な声であててほしかった気がする…。
ウチダくんは釘宮であったこともあり、可愛すぎかよ!もしかしてヒロインよりも…なんて思ってしまったり。
その他お父さんを演じたのが西島秀俊…!棒演技ではあったものの、暖かい声はやはり素敵であった。

キャラ:4.0
アオヤマくんとお姉さんは安定として、脇を固めるキャラ達も素敵であった。ハマモトさんなんて可愛いじゃないか!
個人的には原作からお父さんがお気に入りだったりする。
いじめっ子のスズキくんと一緒に遊べるようになったのも良かった。

作画:4.5
素晴らしい。難しい世界観を見事に映像化しているし、演出も申し分なし。

音楽:4.5
主題歌は宇多田ヒカルの「Good Night」。最高にマッチしていて、エンディング中に席を立つ人が極端に少なかったように感じた。

最後にぼくとお姉さんに明るい未来があることを祈って、原作の最後の素敵すぎる文を引用したい。

『ぼくらは今度こそ電車に乗って海辺の街に行くだろう。
 電車の中でぼくはお姉さんにいろいろなことを教えてあげるつもりである。ぼくはどのようにしてペンギン・ハイウェイを走ったか。ぼくがこれからの人生で冒険する場所や、ぼくが出会う人たちのこと、ぼくがこの目で見るすべてのこと、ぼくが自分で考えるすべてのこと。つまりぼくがふたたびお姉さんに会うまでに、どれぐらい大人になったかということ。
 そして、ぼくがどれだけお姉さんを大好きだったかということ。
 どれだけ、もう一度会いたかったかということ。』

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17

81.7 2 秘密基地で夏休みなアニメランキング2位
のんのんびより のんすとっぷ(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (464)
1745人が棚に入れました
「旭丘分校」の生徒はたった5人。学年も性格も違うけれど、野菜を作ったり、虫捕りをしたり、楽器を練習してみたり・・・春夏秋冬の変わりゆく田舎生活はワクワクが止まりません。のどかでいつも通りだけど、くすっときて、ちょっぴり沁みて、心がほっこりする。まったりゆるゆるなメンバーが送る日常が、またまたはじまります。

声優・キャラクター
小岩井ことり、村川梨衣、佐倉綾音、阿澄佳奈、名塚佳織、佐藤利奈、福圓美里、新谷良子

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

1年がループして続いていくと見せかけて

今までと同じなのかと思いきや、れんげちゃんがしおりちゃんとの出会いを通してお姉ちゃんになっちゃうし、一言もしゃべらないお兄ちゃんの受験話とかあって成長を感じる。卒業式もやるわけだし。
ごちうさの如く成長を感じてしまうのは少し寂しいけれども、またそこに喜びがある。夏海は相変わらず色々やらかしているのも乙である。ひかげが割を食うのも変わらずでそういうところにも注目。かず姉は少しは先生ぽくしてほしいななんて思ったり。生徒を心配しても自分が心配されるようだと思いやられる。

成長関係ないけど、一番印象に残っているのは蛍のこまちゃん愛が高じすぎて「こまぐるみ」という凄い怖い物体を作り上げてしまったことかな。笑わずにはおれん。


OP
つぎはぎもよう nano.RIPE
ED
ただいま 宮内れんげ(小岩井ことり)、一条蛍(村川梨衣)、越谷夏海(佐倉綾音)、越谷小鞠(阿澄佳奈)
OPをnano.RIPEが担当、EDを作詞・作曲をZAQでというのは変わらず。
毎回良曲をありがとうございます。作品の雰囲気にもしっかり合っている。OPで登場人物たちがぐるっと回る演出は結構好きだった。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
「旭丘分校」の生徒はたった5人。学年も性格も違うけれど、野菜を作ったり、虫捕りをしたり、楽器を練習してみたり・・・春夏秋冬の変わりゆく田舎生活はワクワクが止まりません。のどかでいつも通りだけど、くすっときて、ちょっぴり沁みて、心がほっこりする。まったりゆるゆるなメンバーが送る日常が、またまたはじまります。


第01話 カエルの歌を吹いた
ある春の日、早起きした宮内れんげはリコーダーを吹きながら学校へ向かっていました。今日は音楽の授業でリコーダーの合奏があるようです。途中、バスで出会った高校生の富士宮このみに、ドの音がうまく出ない事を打ち明けると、今度一緒に練習する事になりました。れんげが旭丘分校に到着すると、他の生徒たちも登校してきて…。まったりゆるゆるなメンバーが送る日常が、またまたはじまります。

第2話 蛍が大人っぽかった?
日曜日、宮内れんげに「野菜の苗を植えるので、手伝って欲しい」と声をかけたのは姉の一穂。れんげはやる気満々で分校の皆も誘います。一穂がれんげをからかって「ピーマンの苗を植える」と嘘をつくと、ピーマンが嫌いなれんげは逃げ出そうとします。越谷夏海と越谷小鞠も、ピーマンは苦いので実は苦手だと打ち明けますが、一条蛍は大丈夫とのこと。皆、「蛍は大人だなぁ」と納得するのですが…。

第3話 昔からこうだった
夏、居間で越谷夏海がくつろいでいるとチャイムが鳴りました。玄関を開けると、そこにいたのは宮内ひかげ。夏休みになって東京から帰ってきたようです。「さっきまで新幹線に乗っていたから、体を動かして遊びたい」というひかげに、夏海はノリノリでボール遊びを提案します。ひかげがいない間に考案した「必殺確殺シュート」を披露すると言って、夏海は勢いよくボールを投げたのですが…。

第4話 トマトを届けるサンタになった
春に植えたトマトがたくさん実り、収穫の季節がやってきました。自分で作ったトマトを食べた宮内れんげは、あまりの美味しさに感動し、皆へ配りに行く事にしました。真夏のサンタクロースになってトマトを配り歩くれんげは、最後に駄菓子屋へ向かう途中、泣いている見知らぬ女の子に出会います。近付いて話を聞いてみると、どうやら迷子のようです。泣き止まない女の子に困ったれんげは…。

第5話 ものすごいものを作った
越谷小鞠は、夏休みの自由研究で妹の夏海からロボットに仮装させられて困った様子。それを電話で聞いた一条蛍も、留守番をしている今日中に作りたい物がありました。それは、『おしゃべりロボ』と『歩行ロボット工作キット』。父親から借りたパソコンでしゃべる内容を入力し、その2つのロボットを動物にまたがったこまぐるみの中に入れます。広いリビングに移動して、スイッチをオンにすると…。

第6話 みんなでキャンプに行った
夏休み終盤、宮内れんげは旭丘分校の皆と一緒にキャンプにやってきました。早速テントを張り終わり、ボール遊びや釣りなど、思い思いに楽しむ一同。夕方になりバーベキューの準備が整いました。肉や野菜の美味しさについ食べ過ぎてしまった子供たちですが、引率の教師でもある宮内一穂は、お酒を飲みすぎて酔い潰れてしまいます。夜も更け、カブトムシの蜜を塗りに行く事になったれんげと越谷夏海ですが…。

第7話 ハラハラする秋だった
宮内一穂は終わりの会で、明日は授業参観だと生徒たちに告げます。越谷夏海は、いつもの体たらくが母の雪子にバレる事に絶望していました。「勉強していなかった夏海が悪い」と笑っていた一穂ですが、夏海は「一穂が自習中に居眠りしている」事も雪子に伝えている様子。授業参観の内容次第では自分にも被害が及ぶと焦った一穂は、必死になって夏海に勉強を教え始めるのですが…。

第8話 先輩はもうすぐ受験だった
篠田あかねは、先輩から「受験の為に部活を辞める」と告げられます。富士宮このみのおかげで友達が出来て、フルートも上達したと感謝しているあかねは、このみも部活を辞めるのではないかと寂しくなりました。帰り道、駅に着くと偶然このみが現れます。これから越谷家に遊びに行くので、駅前商店街のお祭りで手土産を買っていこうとしているようです。このみと一緒にお祭りをまわる事になったあかねは…。

第9話 おいしいごはんを作った
部屋でくつろいでいた越谷小鞠は、妹の夏海からデパートに誘われますが、乗り気ではない様子。「ひとりで留守番をするとおばけが出る」と夏海に言われますが、小鞠は「おばけなんて作り話だし、昼には出ない」とムキになって否定します。留守番中、小鞠はお腹が減ったので台所にお菓子を取りに行きました。すると突然、背後で小さな物音がします。焦った小鞠が視線を向けると、そこには…。

第10話 寒くなったりあったかくなったりした
お正月、宮内れんげは玄関に飾られた門松を見て「かっこいい」とご満悦の様子。ふと郵便受けを確認すると、年賀状が届いていました。分校の皆からの年賀状を確認したれんげですが、なぜか少し残念そうな表情で…。その後、家族にも届いていた分の年賀状を手にして茶の間に戻ると、姉のひかげがお年玉を貰おうと一穂にしがみついていました。あまりにも必死なひかげを見たれんげは…。

第11話 酔っぱらって思い出した
加賀山楓が駄菓子屋の店番をしていると、宮内れんげが店の前を通り過ぎて行きました。れんげはどうやら、しおりのところに遊びに行くようです。合流したれんげは、元気に走り回るしおりに「ちゃんと周りを見て気を付けて歩くよう」に伝えます。しかし突然、しおりは何かに気付いて駆け出しました。それはカマキリの卵。しおりは、今度産まれる妹へのプレゼントにできないかとれんげに聞くのですが…。

第12話 また桜が咲いた
朝、宮内れんげが窓の外を眺めていると、姉の一穂が「そんなとこでぼーっとしてどうしたの?」と声をかけます。れんげの視線の先では、庭の梅の花が咲いていました。季節はもうすぐ春、今日は越谷卓の卒業式です。在校生や保護者も見守る中、一穂から卒業証書を受け取った卓。式の終わりに、在校生の皆で歌を贈ることになったのですが…。旭丘分校にまた新しい季節がやってきます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

何気ない日々が、特別な思い出だった

のんのんびより3期。

1期も2期も、
同じ学年で1年間をループしていました。

3期もまた同じ1年を…と思っていたら、
新しいキャラの登場があったりと、これまでとは少し違う1年でした。
(学年はこれまでと同じ)

でものんのんびよりな空気は変わらない。
今回も癒されました(´;ω;`)

全12話です。


● ストーリー
旭丘分校は、全校生徒5人の学校。

小学1年生の宮内れんげ(みやうち れんげ)、
小学5年生の一条蛍(いちじょう ほたる)、
中学1年生の越谷夏海(こしがや なつみ)、
中学2年生の越谷小鞠(こしがや こまり)、
中学3年生の越谷卓(こしがや すぐる)。

自然がいっぱいの田舎で、
今日は何をして遊ぼうかな?


旭丘分校の女の子4人がメインとなって、
一緒に遊んだりおしゃべりしたり、わちゃわちゃと何かしている。

たったそれだけなのに、
田舎の風景の中で思いっきり遊ぶ姿で、
こんなに癒される…!

今回は新しいキャラが2人登場。

サブキャラの登場も多く、
4人だけという場面はぐっと減っていました。

ネタ切れ?と感じる場面も多く、
この作品もキャラも好きなんだけど、
つまらないと感じてしまうエピソードも…。

原作は連載が終わったので、
おそらくアニメもこの3期で終わりなのでしょう。

最後はちゃんと締めてくれたので、よかったです。


《 れんちょんの成長 》

1期や2期でも触れましたが、
3期もここが大きかったなあ。

メインの4人それぞれに個性があるのですが、
私はれんちょんの話が一番好きで。

1年生のれんちょん。
成績優秀で器用なしっかり者ですが、

まだまだ幼くて、
毎日の中で新発見も成長もいっぱい。

たぶん私がれんちょんを見る目は、
駄菓子屋がれんちょんを見る目に近いと思う。笑

れんちょんを赤ちゃんの頃から見守り続けている駄菓子屋は、
れんちょんの成長をもっともっと感慨深く見ているのでしょうけど…。笑

ベビーれんちょん、可愛かったな(*´ω`*)

でも1番のお気に入りは、
4話のトマトのサンタさんなのん♪


● キャラクター
メインの4人は安定しています。

それに加え、
今回はサブキャラと新キャラの登場も目立ちました。

やっぱり4人が好きだからか、
4人のキャラと比べると弱く感じちゃって…。

たまに登場する分には気にならないんだけど、
もっと4人でのわちゃわちゃを見ていたいと思っているから、

サブキャラ達がずっと登場していると「こうじゃないんだよなあ…」と感じてしまいました。

もうネタ切れで、
4人だけでエピソードをつなぐのは難しかったのかな…。


● 音楽
【 OP「つぎはぎもよう」/ nano.RIPE 】

これまでと同様、nano.RIPEによる主題歌。

私はこの3期のOPが一番好きでした♪


【 ED「ただいま」/ 宮内れんげ(小岩井ことり)、一条蛍(村川梨衣)、越谷夏海(佐倉綾音)、越谷小鞠(阿澄佳奈) 】

のんのんびよりのEDは毎回「これで終わりか…」と現実に引き戻されるため、“ウェルカム現実ソング”と名付けています。笑

今回も見事なウェルカム現実ソングで…。
4人が紡ぐハーモニーが最高すぎて…。

大好きなEDでした。


● まとめ
都会育ちの自分にとっては、
たくさんの人の中で過ごすのが当たり前になってるけど、

こうして田舎の分校で、歳関係なく仲良く過ごしてて、
なんだかいいなあと思う。憧れます。

ここは同じ日本ですか?笑
ほんわか、のんびりした時間の流れがまるで別世界でした。

今回も癒しの時間をありがとうございました^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 24
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

THe 安定感

原作未読。最終話まで視聴。
第1期、第2期、劇場版とも視聴済み。

安定感。
この作品の評価はこの一言につきると思います。

日常ほのぼの系の最高傑作と言っても過言ではないでしょう。
物語良し。
作画良し。
声優&キャラ良し。
OP&EDとも相変わらず良い。
これ以上ない最高評価。

第3期。
新キャラが登場し、「メガネ君」は影がますます薄くなっている(笑)。

新しいTRYをしつつ、抜群の安定感。
大満足です。

《以下、メモ代わりの各話レビューです》
{netabare}
【第1話】
前半は4人の日常。
今期の掴みはこれでバッチリでしょう。
後半は新キャラ登場。
れんちょんとの絡みが笑える。

で、「メガネ君」は出番無し!?

【第2話】
ほたるん回。
序盤はトマト畑づくり。
4人の日常。
第1話と違って「メガネ君」が時々見切れている(笑)
中盤は新キャラ・あかねが4人と初絡み。
終盤はほたるんとこのみ。

ほたるんが可愛い回。

【第3話】
ずっこけコンビ・ひかげ&夏海回。
とにかく笑える前半。
笑いと感動の後半。

これぞ日常ほのぼの系。

【第4話】
駄菓子屋、第3期初登場ですね。
この人、本当にれんちょんのこと好きだよなぁ。
後半、さらに新キャラ登場。
れんちょんのことを「お姉ちゃん」と慕う、しおり。
「お姉ちゃん」と呼ばれて嬉しそうなれんちょん。

物語に新しい風を吹き込む存在となるか?

【第5話】
何気にほたるんがスゴい回。
こまぐるみは驚いた。
中盤以降はあかねがおかしな事に・・・。

もはや第3期の中心的存在ですね。

【第6話】
キャンプでかず姉が気の毒なことに・・・。
後半はズッコケコンビ・ひかげ&夏海。
夏休みの宿題をするために集まったひかげと夏海は・・・。

本当に良いコンビです。

【第7話】
授業参観日。
夏海ってこんなにおバカでしたっけ?
夏海につられて、かず姉もおかしなことに・・・。
後半、しおりちゃん再登場。

第3期、かず姉はかなり気の毒な展開が多いような(笑)

【第8話】
あかねちゃん再び。
本当にこのみのことが好きだよね。
夏海はふすまを破っちゃった!?

日頃の行いだよね

【第9話】
こまちゃん回。
一人で留守番。
ほたるとプレゼント交換。
そして、晩御飯の準備。

こうやって少しずつ大人になっていくんだ。

【第10話】
ひかげは一人でもパワー全開ですねぇ。
まあ、最終的にこのみにやっつけられちゃいましたけどね。
ズッコケコンビ・ひかげ&夏海にれんちょんを加えたトリオコントはなかなか秀逸。
後半は、ほのかちゃん再び。
第1期以来ですね。
れんちょんは、ほのかちゃんから年賀状が届かなかったので微妙だったのね。

ラストの一言は泣けた。

【第11話】
第1期、第2期とも感動回の、駄菓子屋×れんちょん回。
しかし、今回は一味違う。
ひかげがいるせいか?
かず姉のせいか?
それともお酒のせいか?

ほんと、駄菓子屋とれんちょんは感動させてくれます。

【第12話】
第3期にして、ついに時間軸が動いた最終話。
梅の季節。
卓の卒業式。
そうだよね。
卒業式が梅の時期だよね。
たまに、卒業式=桜満開なんて演出を見かけるけど、やはり、違和感があるもん。
やっぱり、卒業式は梅だよね。

そして再び桜の季節へ。
しおりちゃんを加えた、新たな5人組の誕生。{/netabare}

ああ、これで終わりかぁ。

いつまでも見ていたい。
そんな素敵な作品でした。

いつか、続きも・・・。
なんて期待しつつ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 38

66.4 3 秘密基地で夏休みなアニメランキング3位
ガンダムビルドダイバーズ(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (75)
336人が棚に入れました
電脳仮想空間(ディメンション)内で、ガンプラを使用したさまざまなミッションを楽しめる最新ネットワークゲーム“ガンプラバトル・ネクサスオンライン(GBN)”。中学生のミカミ・リクと親友のヒダカ・ユキオは同級生のヤシロ・モモカを巻き込んで、その広大な世界へと飛び込んだ。GBN内の住人“ダイバー”となった彼らは、ガンプラに対する不思議な感性を持つ少女サラと出会い、彼女とともに行動することになるが……。リクにとって憧れのチャンピオン“クジョウ・キョウヤ”を始めとした有名ダイバーの存在。複数のダイバーで構成された部隊システム“フォース”の結成。非公式ツール、ブレイクデカールを扱う“マスダイバー”たちによる妨害。多くの出会いと経験を経て、リクたちはガンプラだけでなく、自らの冒険をもビルドしていく!

声優・キャラクター
小林裕介、藤原夏海、稗田寧々、照井春佳、笠間淳、速水奨
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

濃い物語と販促を両立する難しさ

2018年春アニメ。全25話。
ガンダムビルダーズ、ガンダムビルドファイターズの流れを汲むガンプラアニメの新シリーズ。
キャラクターデザインのシンプルさ、すっきりした絵柄が凄く好みです。作画・演出や音楽もとても好きです。OPとEDは前半の方が好きだったかな。

今回長いので、ネタバレ内は興味のある人だけどうぞ。

【最終話まで視聴しての総括】
不満はちょいちょいありましたけど、概ね楽しめました。
最終バトルでサブキャラクターの扱いにもう少し気を遣ってもらえたら、駆け足になっても描写不足があっても、もっと評価が上がったとは思います。
とりあえず終わりよければすべて良しという所でしょうか。

全体のテーマは本当に良かったと思いますし、和やかな作風も見ていて楽しかった。
「何かを好きという気持ちを肯定する」…強さも憧れも楽しさも否定される苦しさもすべてを内包するもので、私が最初に感じたよりずっと大きな主題だったと思います。

個人的には脚本家によって各回好みが分かれてしまいました…。
ですが屋台骨であるシリーズ構成の木村暢さんが概ね私が好きな方向性で脚本を書いてくれたのはありがたかったです。

ガンプラ販促アニメとして、新規ファンを獲得しようとする姿勢がとても良かったです。序盤では特に初心者が興味を持ってもらう努力が多くて楽しく見られました。
ですが、後半では尺配分の難しさも露わになったように感じました。


【キャラクター】
やっぱりキャラクターの魅力は大きなポイント。
{netabare}
リクを始めとした子ども達が見ていて本当に和んだし、チーム内の描写もとても良かった。
あらゆる点で優秀なコウイチさんががっちりサポートしてくれ、でもちょっと押しに弱いのに対して、リクやモモが積極的に動くので、主人公たちの活躍を喰うこともありませんでしたし。
後半でドージとユッキー・サラの交流が描かれたのは本当にうれしかった。17話大好きです。

オーガにはもう少し活躍が欲しかったなあ…ドージとの関係も少しで良いから描いてほしかったのですけど。
リクの「サラも助けてGBNも守りたい」気持ちを引き出してくれたのはとても良かったと思います。ただ、個人的にはライバル役としてはチャンピオンよりオーガに注目していたんだなと、最後まで見て自覚しました。
最終戦はオーガ自身の戦いたいという欲求と一緒に、サラを助けたいというドージの思いを汲んでリクたちに味方してくれたら、兄弟両方の人間関係を多少なりとも補強して描けてさらに良かったのかも。

シバさんとても好きなキャラでした。
強い思い入れが歪んでしまうことは誰にでもあるし、私も強く共感した心理です。
人間は広い視野を持とうとしてもなかなか難しい生き物で、主観を廃して物事を見ることは出来ないものです。本作の「全ての人の好きという気持ちの肯定」は、主観と共感(客観ではなく)が必要となる。だけど、それは誰も彼もが同じ気持ちになればいいわけじゃないし、マイノリティを否定すれば成立しないことです。本作はマイノリティを掬い上げる展開が多かったのがとても良かったですし、それを最も体現した人物となりましたね。

あとやっぱりマギーさん!子ども達を常に見守ってくれるマギーさんが居てくれて良かったです。
最終戦で私が思ったこと全部言ってくれたマギーさんに感謝。{/netabare}


【「新しい自分」を作り上げ、「新しい世界」へ】
{netabare}
この作品て自分の分身はダイバーではなくて本来はガンプラなんでしょうね。
だから、新しいガンプラを作り上げるということは新しい自分を作り上げるということ。
とは言ってもダイバーに意味がないわけではないことは、サラや、ガンプラを持たないユーザーがいることが証明しています。そういう意味ではガンプラを持たないユーザーの回も見たかったなあ。

14話のプチ総集編を見ていて思ったのは、原点に返ろうという時に、GBN内で出会った「人に会いに行く」のが象徴的だということ。
ネットワークの世界であるGBNでは互いに認識しあうことが新しい何かを作る原点です。チャンピオンやマギーが受け入れる側として初心者ユーザーに関わり、時に助けようとするのもそうですね。
シャフリのインスピレーションはGBNの世界を見てさえ得られるものと語られます。
「作り物の世界」で得た感動をリアルでガンプラにアウトプットしていく、というのが面白いですよね。

リクはアヤメのガンプラを取り戻すために自身のガンプラをボロボロにしながらシバと戦い、自分と相手のガンプラを傷つける痛みを知ります。
GPDでは自分のガンプラは自分と一心同体。ガンプラとは別にダイバーというもうひとつの姿があるGBNとはその点が最も違うのでしょう。

壊れたダブルオースカイの胸の傷はリクの心の傷でもあり、過去・経験・リアルとの繋がりでもある。
サラが自身の目でリアルを知ることはありません。すべて仲間を通して、あるいは13話でリクの所在を知った時のようにガンプラの心を通して、リアルを知っていく。
「リクが大変な事わかるのに、会いに行けない。何もできない。何も届けられない」とサラは言います。ですが生まれ変わったダブルオースカイの傷はサラとリクの繋がりであり、サラとリアルの接点にもなっている。ダブルオーダイバーの傷がダブルオースカイ…リクの「新しい自分」の土台を作っていて、その土台にはサラとの出会いも含まれています。

シバは傷を傷と自覚しないために、ずっと新しい自分を作り出せずにいたのかもしれません。GPDでの人との繋がりが断たれたことによって、ガンプラ(自分)を作り直す機会をも失っていた。
シバの言う通りGBNは作り物なんだけど、シバは自分から「作り物の世界」を壊そうとして逆に繋がりを持ったようなものです。リアルには存在しないサラと出会い、新しい時代しか知らないリクと出会い、過去を知るコウイチと再会し、自分の心が傷付いていたことを自覚し、それをサラとリクとコウイチが受け入れたことがシバの再生につながる。

「作り物の世界」からアウトプットしてリアルに構築する…シバがGBNから構築したのはサラなのですね。
サラとシバの接点は本当に少なくて、「ならどうして泣いているの?」って言われたことだけ。でもシバが自分の心が傷付いていると初めて意識したのはこの時で、サラはその気持ちも受け入れていたのだと思います。

ブレイクデカールに拒絶反応を起こしていたサラはある意味でシバに傷つけられてもいたし、ビルドデカールによって救われてもいる。そしてサラのリアルのボディを作ったのもシバ。
シバにとってGBNは「作り物の世界」だったけど、逆にサラにとってはリアルが触れられない世界でした。それが受け入れる誰かの存在によって「新しい世界」になる。
最後にはシバが「受け入れる側」としてサラを新しい世界に招いたことがとても良かったと思います。{/netabare}


【気になった点】

{netabare}
カツラギさん(ゲームマスター)はもう少し良い描き方があったんじゃないか、というのが正直な感想です。
泥をかぶる役回りになるのは仕方ないとしても、サラを消去してでも確実にGBNを存続させようとする理由付けが弱いなあと。「有志連合不参加のプレイヤーのため」という視点もあったら良かったかも。有志連合に参加したプレイヤーは勝負が着けばある程度納得するだろうけど、それ以外のプレイヤーはそれで納得できるのかな?と私は見ていて感じたので。
最終話で味方してくれた流れからして、本来なら「いろんなキャラクターのそれぞれの立場と対立と想い」を描きたかったのでしょうけど、描写が良くなくてちょっと勿体なかったな、と。
正直フォローが全然足りないよ…(切実)

あと、チャンピオンにあまり良い印象は残りませんでした。
ブレイクデカールの件でGMを頼るのはわかるし、旧知の仲だからサラの件でGMに協力するのも理解はできるけど、リクを焚きつけて決闘による解決に持ち込む流れはGMや有志連合のメンバーに対して不誠実だと思う。なら最初からGMに義理立てなどせず、リクとGMの橋渡し役になった方が良かったのではないかと思います。

ミス・トーリはメインシステムの開発者(で良いんですよね…?)なら運営に全面的に協力すべきではないのかなあ…。こちらも、リク達とGMの橋渡し役になれる立場だったと思う。

あと、ロンメルさんとシャフリさんが主人公チームに敵対する理由付けにちょっと無理を感じました。
全体的に話の流れありきでキャラクター描写が歪んだ印象でした。
{/netabare}


【販促アニメとして】
{netabare}
私はガンプラに全く触れたことが無い人間ですが、本作は玩具販促アニメであるという視点を無視して評価することは出来ないと痛いほど感じました。(私自身が最近玩具販促アニメを多く観ているせいもあるかもしれませんが…)
後半でメインのストーリーが尺不足のために上手く回らなかった印象があって残念でした。本筋のボリュームは、最序盤でやったようなガンプラとその楽しみ方の紹介を含めて、2クールで少し話数が残るくらいだったと思います。
だけど玩具販促って意外と尺が取られちゃうので、さらに話数がかさんでラストが巻き気味になってしまったのかな…なんて私は感じたのですけど。

昔の子ども向け販促アニメによくあった一話完結形式は尺の融通が利きやすかったですが、現在の販促アニメは一部のカードゲームアニメなどを除き一話完結形式はあまり使いませんね。2000年代初め頃から2010年代半ばまでは長期販促アニメが激減していたので、現在では一部のベテランや決まった制作会社のスタッフしかこういう作品の経験が無いのかも…。もちろん一話完結形式が必ずしも最適なわけじゃないですけど。

本作の場合、ガンプラにはダイバーがいるのでその掘り下げが必要になるし、それに加えて連続性の強いストーリーを2クールで両立するのは実はかなりしんどかったのではないかな、と。
販促アニメで今回くらいのボリュームの物語をやるなら4クールくらいが適切に見えます。
ただ根本的な問題は販促の大変さと尺の兼ね合いなので、本作に限った問題でもないんですが。

少なくとも、ビルドダイバーズは個人的にはこのシリーズの中では一番好きだし、ガンプラ未経験者として置いてきぼりに感じなかったことに好感を持ちました。
本作は子どもも視野に入れて新規ガンプラファンを増やしたり、視聴者層を広げようとする努力をしていたのだと思います。
本作のみならず現在展開中のシリーズもの全般が新しいファンを獲得しようと試行錯誤していることは、もっと前向きに捉えられるべきだと思います。

…とは言っても単純に好きじゃない作風だと見るのやめちゃうんだけど(爆)
{/netabare}


【SDガンダムフォースファンとして】
私はSDGFもビルドダイバーズも、ガンダイバーもカツラギさんも好きですが、GM(カツラギさん)のアバターにガンダイバーが採用されている点について思ったことを率直に書いておきます。
{netabare}
カツラギさんというキャラクターは憎まれ役になるのはしかたがないんですよね。もっと良い描き方があったとは思うけど。
ただ、SDGF知らない人は元々のガンダイバーの「ガンダムフォースの新人・頑張り屋・健気・献身的で可愛らしい」キャラを見たら驚くと思うw

正直、GM登場当初から「ああ、これアカン奴や…」とほぼ諦めモードではあったんですが…(苦笑)
元のキャラと違い過ぎて早いうちに別キャラとして割り切れてしまったのも本当のところなんですけど。

ただ、こういった作品でSD作品のキャラを搭乗機体以外の形で出すのであれば「意思のあるキャラクター」として扱うのが妥当ではないかと。
同じガンダイバーだとしても、「本作のオリジナルキャラクターが搭乗するMS」として登場するならパイロットが悪役でも憎まれ役でも全然良いんだけど、「GMのカツラギさん」という別キャラクターにしてしまったのは最初はちょっと抵抗感がありました。
(本作ではダブルオーのコーラサワーも同じように台詞ありで登場していますが、そちらは楽しく見られました。でもそれは性格付けがはっきりわかるような台詞がほぼ無かったからです。)

それに繰り返しになりますが、ガンダイバーのこととは別にカツラギさんが結構一方的な憎まれ役になってしまったのは好きなだけにちょっと複雑…。

とはいえ、15年も経って手描きのガンダイバー・ガンチョッパーが見られるとは思わなかったなあ。本当にありがとうございました。
受付嬢や運営スタッフのアバターがSDGFのオペレーター衣装だったり、運営の管理室がSDGFの秘密基地の指令室だったりするのも嬉しかったです。
あと20話でジム顔のタライのオバケみたいなの1カットいたけど、あれ2004年のイベントのSDGFの短編アニメに出たタライゴーレムっていうののジム版…?さらに元ネタがあるのかな。SD系はSDGFと三国伝しかわからない。にわかでごめんなさい。とりあえずインパクトはあったねw
{/netabare}
(2018.10.11)


【2話視聴時点での感想】{netabare}
この時点では純粋に子ども向けになりそうな雰囲気ですね。どちらかと言えばガンダムファン向けであったビルドファイターズの第一話よりもガンダムパロ台詞はかなり少なくなってます。
純粋なガンプラの楽しさと憧れ、それを糧に強くなっていくことを最後まで一貫して描いてくれたら良いなと思います。

正統派ボーイミーツガール(友達)のような始まり方がまた良いですね。
サラはガンプラに込められた気持ちがわかるという設定で、ガンプラを作品の中でただの道具にしないために存在するキャラクターかな。そういう所も良い意味で子ども向けホビーアニメらしい。

マギーさんの言ったガンプラバトルで強くなる三つの要素…ガンプラ作りの腕、高い操作技術、愛というのが良いですよね。
リクはまだオーガに歯が立たず彼の言葉に反論はできませんでしたが、「強さ」と「楽しさ、憧れ」が対比してしっかり描かれれば上手く話が回りそう。これがひとつの愛と言えますしね。

キャラクター造形もかなり好きですし、全体的に配役も好みです。リク、ユッキー、サラの可愛らしさと集まった時のバランスの良さとか。
個人的にはドージがとても良いですね!愛嬌たっぷりの悪い子で良い感じに憎めなくて。今まで見た松岡さんのキャラクターの中で一番好きかもしれません。よく合っていますし何より楽しそうで、幅広い演技を披露していて本領発揮という印象です。

個人的にとても嬉しかったのが、オペレーターの衣装がSDガンダムフォースオマージュなこと。パロ・オマージュが少ない(利権関係のためと推測されていますがどうなんでしょうね)SDGFなのでファンとしては嬉しいです。フォースの説明の時のコラサワさんとか各作品の舞台とか、絵的にわかるパロは楽しいですね。

子どもの可愛らしさ、童心に返る作風で今後も楽しみです。{/netabare}
(2018.4.16)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

プ・ラ・モ・じ・ゃ・な・い!! プラモジャナイ……否、プラモである!

ビルドファイターズ、ビルドファイターズトライと続いた、ガンプラを題材にしたアニメの第三弾。

前2作を経て心機一転、※1プラフスキー粒子などのファンタジー寄りの要素は影を潜め、よりリアルな、ネットワーク内の仮想空間を舞台にした物語が展開されます。キャラの引継ぎも今のところなし。惜しむらくはシリーズ屈指の名物キャラ、ラルさんが登場しない事(笑)

1期ではブレイクデカール(チート行為)、2期では近年話題沸騰中?の人工知能と、いずれも現実から地続きの問題を扱っている所に、これまでのシリーズとの方向性の違いを見ました。

チート行為は※2ネトゲ黎明期から存在する問題で、これでゲームをやめてしまった人をわたしは何人も知っています。クラッカーがツールをアップすれば、運営が一歩遅れて修正パッチを出すという、正にイタチごっこ。

本作中でも描かれている様に、強くなりたい、勝利したいという気持ちは、ゲーマーなら誰しも持っているものなので、それが不健全なものだとは思いませんが、不正行為までして勝とうとする人は、それで目的が達成出来て、本当に嬉しいのか?と常々疑問に思う事があります。わたしには、ただただ楽しみを棒に振っている様に見えます。

過程よりも結果を欲する短絡思考、焦燥にも似た競争心、そんなものが原因なのでしょうけど、例えば、夏休みの宿題を誰かにやってもらったり、丸暗記の勉強をしてテスト結果ばかり気にしたり、※3ゆうていみやおうきむこうほりいゆうじとりやまあきらぺぺぺ…とか打ったり、すごくつまらないですよね…(笑)

人から見下されたくない、一目置かれたい、必要とされたい、尊敬されたい、こんな感情が人を不正行為へと走らせるならば、人口過密の競争社会って、犯罪の温床なんじゃないかって、わたしは時たま思います。

作中では、上で挙げた様な、現代病の一種と言っても言い過ぎではないノイローゼ的思考に、リク君を中心とした主人公勢が、友愛と許し、※4スポーツマンシップでストレートに対抗します。これが清清しくも美しい! でも、どうなんでしょう…冷静に考えてみると、最後のにはちょっと無理があるんじゃなかろーか?

愛と友情で仲間の目を覚まさせるというのは理想的だし、手段としても大いに賞賛したいんですが、チート行為をスポーツマンシップで打ち負かすという点についてだけは、どうしても疑問を覚えてしまうのです。これが辛うじて通用するのは、アナログ的なものに限ってでは?と指摘出来るからです。

アナログのスポーツではドーピング使用がチート行為の代表格に挙げられると思いますけど、デジタルの世界では数値が全て。不正プログラムを使えばアナログには存在する物理的制約を無視して、どこまでもプレイヤーの数値を操作出来るので。これと真っ向から戦って勝利するというのは、はっきり言って不可能に近い事なので、ゆえに、古くからある少年漫画の筋書きを、ただ安直に貼り付けただけという印象が拭えないのです。※5せめてリク君(がダメなら、いわゆる噛ませとしてユッキーとか)の敗北シーンを早々に描いて、チート行為の卑劣さをもっと強調してくれても良かったんじゃないかと思いました。

ブレイクデカール事件の収束のさせ方については、前半のガッツで押す展開とは一味違って、合理的な説明があり、2期への伏線もしたたかに張り巡らせており、お見事でした。手放しで高評価したいです。


そして2期、※62045年問題という言葉が、そこかしこで囁かれる様になった昨今ですが、このテーマを扱うアニメは急速に増えていますね。記憶に新しいものを挙げてみると、プラスティック・メモリーズ、planetarian、beatless、遊戯王vrains、 STEINS;GATE 0辺りでしょうか、私的にとても興味のあるテーマなので俄然目が離せなくなりました。
{netabare}
未知なる生命の誕生を祝うか、GBNへの脅威と見なし排除するか? 安堵の時も束の間、先のブレイクデカール事件に連なる新たな問題の発生。運営、システム開発者、クラッカーを巻き込んだ、二つに割れた勢力の主義主張がぶつかり合う緊迫の展開に至ります。
{/netabare}
と、ここまで書いてきて思ったんですが、このアニメ、ガンプラアニメ? MMORPG的なものに、そっくり首を挿げ替えても、普通に通用するお話だったりして?(笑)

シナリオ、演出ともに秀逸だし、女子キャラがとてもかわいい。バトル作画もかなりスゴイ!

でもそこじゃないんですよ! モデラーが一番注目しているところは。削り出しや表面処理、塗装とかの、ガンプラ製作風景なんですよ!!

なので、わたしの一押しキャラは、サラちゃんでもアヤメさんでもなく、ケイワン先輩!

ガルバルディβを"リベイク"する渋さ、1/144MSキットを3機収納出来る大型シャトルを、短期間で、箱組み、パテ盛り、フルスクラッチし、可動部分や内部メカまで完璧に仕上げた手腕…この青年、化け物かッ!?(池田秀一さんの声で、笑)


24話まで見終えて
{netabare}
2期クライマックスの、"フライング抱っ転がり"は、空から降ってきた少女を機械工の少年がお姫様抱っこ!を越えるインパクトがありました(笑)憧れのチャンプへの挑戦、ライバルとの共闘、幾多の試練(王道展開とも言う)を乗り越えて、辿り着いた大団円。リクとサラ、幸せそうな二人の溢れる愛に、感極まってもらい泣きしてしまいました。

と思ったら、唐突に新たなる敵の出現!? うーむ、いい最終回だったのに(笑)蛇足的な展開にならない事を祈りつつ、最後まで見届けたいと思います。
{/netabare}
※1:ビルドファイターズ、ビルドファイターズトライでは、この謎の粒子を介して、ガンプラそのものを自由に動かせるという設定の元にガンプラバトルが行われていた。

※2:ハックアンドスラッシュ系ARPG「ディアブロ」で良く見かけられた。続編の「ディアブロⅡ」に至って、サーバーがセーブデータを管理するシステムが一部導入され、ネトゲ全般に徐々に定着し始め、今ではそれがスタンダードとなっている。でもイタチごっこは終わらない(汗

※3:ファミコン版ドラクエⅡの、ほぼ無敵状態でスタート出来るパスワードの一部。子供時代は無節操なんで、わたしもこれでやった事あるんですけど、はっきり言ってつまらない。普通にプレイした方がずっと楽しいです。

※4:スポーツマンが模範となっていないので、わたしはこの言葉があまり好きではありませんが、便宜上(汗)gentlemanshipもChivalry(騎士道)も似たり寄ったりですし…。

※5:強キャラには結構負けてるリク君ですが、小者にやられてしまっては、さすがにガンプラ売れ行きが怪しくなるので、無理に決まってますけど(笑)

※6:AIがヒトの知力を超える(かも知れない)とされる、技術的特異点のこと。

最終話まで見終えて

ガンプラ(玩具)がテーマという事で、軽い気持ちで視聴し始めたアニメでしたが、内容は、ネットワーク、ゲーム及び仮想現実との向き合い方、モノ造りの楽しさ、友情の芽生えと崩壊、再生、AI問題と、多岐に渡り、捨て回無しの密度の濃い作品として最後まで楽しませて頂きました。

それと(タイトルの)お詫びも兼ねて付け加えておきたいのが、ガンプラ要素の有無。製作風景の描写は乏しいものの、モブキャラ描写、台詞の端々のそこかしこに、一周しただけではとても拾い切れない小ネタが満載でした。{netabare}「コンパウンドで合わせ目が見えなくなるぐらいピカピカに磨いてやる!」とか、「ハハハハハ!(中略)お前達の頑張り過ぎだ!」とか、{/netabare}プラモ好きやガンダムファンなら、もれなくニヤリとしてしまうのではないでしょーか(笑)

因みにわたしの琴線に最も響いたシーンは{netabare}「あなたもゲーマーなら、トゥルーエンドを目指すべきだと思いますよ?」「世界の命運がかかっている…遊びではないのだ!!」「いいえ、遊びよ❤」の3強の台詞の応酬です。ネトゲはもちろん人生もまた遊びという事を、実にスマートに表現した楽しい掛け合いでした。

それとお気に入りキャラのK-1兄さんの「へぇ。各関節を最新のKPSにしてるのか。ノズル系も金属パーツに変わってる。しかも色を塗り替える際に表面処理を一からやり直してエッジを効かせて…」なんかも、地味ながらツッコミが鋭過ぎて、思わず笑いが出てしまいました。愛がある!(笑){/netabare}

物語のキーとなるELダイバー(電子生命体)の設定については、現在進行形で発展途上の技術、クラウドAIを髣髴させるものがあり、その存在の相が、ネットワーク上に散らばった情報、わたし達一人一人の選択―人体における細胞の如きちっぽけなものの意思―の累積によって決定されるという事を、簡潔に説明しており、ネット社会における責任の不在の危険性、転じて、個々の行動の重要性を暗に示している様でもありました。

個々の行動の重要性と言えば、先日あにこれ内で誹謗中傷を受けているレビュアーさんに多数のレビュアーさんが助け舟を出し、ついには運営さんを動かしたという、とても感動的な出来事がありまして、個々が孤立し、見て見ぬ振りやコトナカレを通していては、決して目にする事の出来ない結束の大切さを、リアルで(敢えて言わせてもらおう。リアルであると!笑)垣間見させてもらった次第。

人と人とが絆を結び成し得る事の大きさ、※7見利忘義がもたらす不利益、個性の尊重、遊ぶ喜び、大人になると言葉に慣れ過ぎて、徐々に忘れていってしまう大切な事、たくさん思い出させて頂きました。


ありがとうビルドダイバーズ!!


※7:読んで字の如し、利益に目が眩んで道義を忘れること。


付録・プラモ作りについて
{netabare}
ガンプラのみならず、プラモ全般の改造に欠かせないのが、プラ板やプラ棒。でも模型店で買うと、これがなかなか値が張ります(汗)そこで代替品のご紹介をば。

ずばり豆腐パック! トタンの様な凹凸にも使い道はありそうですが、フラットなものが普通のプラ版として利用できます。それとアイスの容器とかも。透明プラ板が欲しければ、電気機器とかのパッケージを利用するのが吉。割としっかりとした厚みがありますので、クリアパーツの製作に役立ちます。そしてプラ棒の代わりに使えるのは※aランナーと、プラスチック製のハンガー。ハンガーにはH型鋼みたいなのとか丸棒とか、色んな形のがあります。服をクリーニングに出すと大抵付いてくるので、家の押入れとかに眠っているかも…。お母さんに聞いてみましょう(笑)

他にも、ビーズ、ケーブル、ペットボトルなど…。わたし達の身の回りには、沢山のプラモパーツが眠っています。プラ回収を徹底している地域は、残念ながら多くはないと思いますので、ただ捨ててしまうのはもったいないとばかりに、じゃんじゃん使いましょう。

プラモ狂四郎だって、ガラクタ同然の腕時計のバンドをプラモパーツとして採用している! かの※メイジンカワグチだって「ガンプラは自由だッ!!」とおっしゃっているのだから!!(笑)

※a:プラモパーツがくっついている枠部分の事。キットと全く同じ素材なので、削りやすく、接着剤の食い付きも◎。ポリキャップとの相性も良し。パーツ作成、製作道具(以下参照)としても幅広く活躍します。

※bビルドファイターズ、ビルドファイターズトライに登場した"アメイジング"という言葉が大好きな凄腕ビルダー3代目メイジンカワグチのこと。なお本シリーズにおける"ビルダー"の呼称は"モデラー"とほぼ同義。ボディビルダーの略ではない(笑)

追記:段ボールとランナーを利用した塗装台もオススメです。スプレーした後や、筆塗りした後、パーツを干す時に重宝します。ダンボールを使いやすい形にカッターで切って、台座も同じくダンボールで作って、断面の所にランナーを差し込んで利用します。手間は掛かりますが、水で薄めた木工用ボンドや糊などを使ってダンボールを猫の爪研ぎみたい加工しても○
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 31
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

マスコットキャラは「ユイ」ちゃん・・・ではなく「サラ」ちゃんです。

◆西暦2000年代ガンダム(00、SEED)の事前視聴が前提のファン向け作品?

地球圏周辺の宇宙空間や地球上で、生きるか死ぬかの激しいメカ&ロボット・バトルが繰り広げられる通常の《ガンダム・シリーズ》ではなく、「ガンプラ」(ガンダムのプラモデル)ホルダーたちが特殊な装置を使って、あくまで趣味としてのバトルを繰り広げる《ガンダム・ビルダー・シリーズ》のTV企画第3弾です。

但し、前々作『ガンダムビルドファイターズ(GBF)』、前作『ガンダムビルドファイターズトライ(GBFT)』が「対面型テーブル・ゲーム」の体裁を取っていたのに対して、本作は、大ヒット作『ソードアートオンライン(SAO)』の仕組みとよく似た「フルダイブ型オンライン・ゲーム」の体裁へと変化しており、登場キャラも一新されています。

そして、
(1) GBF・GBFTが、ラルおじさんが解説役を務めるなど、どちらかというと『機動戦士ガンダム(初代ガンダム)』を始めとする「U.C.(宇宙世紀)シリーズ」の諸作品('80年代ガンダム)の事前視聴が前提とされていたのと比べると、
(2) 本作の方は、“トランザム”というパワー・ブースターの発動が戦況を左右する点などから、西暦2000年代ガンダム、つまり『機動戦士ガンダム00』及び『機動戦士ガンダムSEED』の事前視聴が前提とされている感じがしました。
(※この他、'90年代ガンダム(Gガンダム、∀ガンダム)に出てきた機体も幾つか出てきたような・・・←曖昧で済みません)

・・・ということで、私が個人的に高く評価している『機動戦士ガンダムAGE』『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』といった西暦2010年代に入ってからの作品の事前視聴は残念ながら特に期待されてないみたいですね。

で、肝心のシナリオは・・・キャラデザが『ログ・ホライズン』と同じハラカズヒロ氏(原案)だったので、同作みたいに最初は余り面白くなくても徐々に盛り上がって熱くなっていくかも?と淡い期待をもって見続けていたのですが、全体の折り返し点の第12-13話の結末の安直さに結構ガッカリ。
その後は“ながら視聴”になってしまい、結局《ガンダム・ビルダー・シリーズ》の中では一番低い評価になりました。

《結論》
「ガンプラ」マニアの人、あるいは『00』『SEED』のファンの人ならまずまず楽しめる作品でしょう。
(※あと『SAO』のマスコットキャラ=ユイちゃんが好きな人も?)。
そのどちらでもない私には、ちょっと厳しい作品でした。
(※それでも『ログ・ホライズン』のシロエ&アカツキちゃん&ニャン太さんが割と好きだったので何とか完走できました←キャラデザの力は意外と大きいのかも?)


◆視聴メモ
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・第2話視聴終了時点
“トランザム”バリバリ起動させるらしいので『機動戦士ガンダム00』の事前視聴は必須みたいだね。
・第3話視聴終了時点
今度は『新機動戦記Gガンダム』由来の機体が登場。
・第13話視聴終了時点
本作の折り返し地点だが、マスダイバー事件の解決が安直過ぎる・・・ここでとうとう「本作は真面目にシナリオを追いかけていく作品ではないな」と見切りをつけて後は“ながら視聴”に切り替えてしまいました。{/netabare}


◆制作情報
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原作           矢立肇、富野由悠季
監督           綿田慎也
シリーズ構成      木村暢
脚本           木村暢、黒田洋介、野村祐一、むとうやすゆき
キャラクターデザイン ハラカズヒロ(原案)、戸井田珠里
メカニックデザイン   大河原邦男他
音楽           木村秀彬
アニメーション制作  サンライズ{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================= ガンダムビルドダイバーズ (2018年4-9月) =================

 - - - - - - - - - OP「Diver's High」、ED「明日へ」 - - - - - - - - -
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第1話 Welcome to GBN ★ リク&ユッキー(中2・14歳の同級生)のGBNデビュー、謎の少女(サラ)と初心者狩り(ドージ)、リクのフリーバトル初勝利
第2話 百鬼オーガ ☆ フォース結成、リクvs.オーガ、初めての敗戦
第3話 守る者 ☆ モモのゲスト参加、キョウヤ(現役チャンピオン)との出逢い、マスダイバー乱入事件
第4話 霊山の虎狼 ☆ アジアン・サーバーへ、近接格闘術修行、流れの賞金稼ぎ来襲・撃退
第5話 聖地・ペリシア ☆ アヤメ接近、ビルダーの聖地、シャフリアールからの勧誘、リクのフォース結成宣言
第6話 過去と未来 ☆ 腕利きビルダー(ナナミの兄コーイチ)、ビルドダイバーズ結成
第7話 フォース戦 ★ デビュー戦(対ロンメル新人隊)、サラへのプレゼント
第8話 フェス! ★ ベアッガイフェス参加、マスダイバー化した女性ダイバー(ステア)
第9話 オーガ再び ☆ バトランダムミッション参加、対百鬼戦、ドージ機暴走、不正コード(ブレイクデカール)蔓延
第10話 有志連合 ☆ チャンピオンの呼びかけ、初心者用サーバー(エリア11)の戦(有志連合vs.マスダイバー軍、アヤメ裏切り)
第11話 アヤメの涙 ☆ 続き(アヤメの過去、回心、黒幕)
第12話 光る翼 ☆ 続き(巨大ビグザム出現、GBN崩壊の危機、トランザム発動)
第13話 デュエル‐決闘‐ ☆ アヤメ音信不通、GPデュエル(リクvs.シバ・ツカサ){/netabare}

 - - - - - - - - OP「Infinity」、ED「スタートダッシュ」 - - - - - - - -
{netabare}
第14話 新しい力 ☆ フジサワ・アヤ(アヤメ)との対面、00ダイバーの代替わり
第15話 ロータス・チャレンジ ☆ 
第16話 再会、友よ ☆ 対SDガンダム・フォース(le chat noir)戦、アライアンス締結
第17話 共同戦線 ★ 新フォースネスト完成、ドージ&ユッキーの成長 ※もう一人のサラ登場回
第18話 男の意地 ★ リクTOP10入り、リクvs.タイガー(リクの必殺技、タイガー勝利)
第19話 ナデシコアスロン ☆ GBNイメージガール選手権(ナミ参戦)
第20話 真実 ☆ ナミのフォース参加、GBNメイン開発者(鳥アバター)の依頼、新種のバグの原因(電子生命体(Lダイバー))、サラ抹消の危機、サラ逃亡
第21話 君の想い ☆ サラ捜索、ツカサへの依頼、リクvs.オーガ、有志連合再結成・Lダイバー確保
第22話 誓う心 ☆ コーイチのサラ救済策(ビルドデカール)、サラの消滅志願、サラ救出戦開始(有志連合vs.ビルドダイバーズ+アライアンス)
第23話 宿命の二人 ☆ 続き(ビルドダイバーズ苦戦、ツカサの技術支援開始)
第24話 決戦 ☆ 続き(チャンピオンvs.リク、オーガ割込み参戦、ビルドイバーズ勝利)、変異体レイドボス出現
第25話 新しい世界 ☆ レイドボス討伐戦、サラ実体化(※ほぼSAOのユイだな笑){/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)5、☆(並回)30、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.5


※この他に、第2話と第3話の間の出来事を描いたOVA(プロローグ・・・13分40秒)が配信されています。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10
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