週刊少年マガジンでシリアスなおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの週刊少年マガジンでシリアスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月29日の時点で一番の週刊少年マガジンでシリアスなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.8 1 週刊少年マガジンでシリアスなアニメランキング1位
ヴィンランド・サガ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (417)
1623人が棚に入れました
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。最強と謳われた戦士の息子トルフィンは、幼くして戦場を生き場所とし、幻の大陸"ヴィンランド"を目指す――激動の時代で巻き起こる、本当の戦士の物語(サガ)。

声優・キャラクター
石上静香、上村祐翔、松田健一郎、内田直哉、小野賢章、大塚明夫、安元洋貴
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ヴァイキングの壮大な物語

名作プラネテスと同じ原作者ということで、見ることにしました。原作未読です。
ヴァイキングの子トルフィンの復讐のお話。
途中、残虐なシーンがあったりして視聴をやめようかなと思ったこともありましたが、最終話まで見て、なかなかの良作だと思いました。
とにかく物語がとても丁寧に語られていて、良質な本を読んだ時のような昂揚感も感じます。
人物の描き方も豊かで、簡単な善悪では判断できない深みがありました。
その筆頭はアシェラットです。最初はただの残虐な悪党だと思っていましたが、彼の複雑な生い立ち、想いなどが語られ、やさしい面も覗かせます。
トルフィンが主人公ですが、もう一人の主人公はアシェラットだと思いました。
最終話のタイトルが「プロローグの終わり」なので、これからがトルフィンの物語の本番ということでしょうか。
終わり方も半端な感じでしたし、これ絶対2期ありますよね?
以下、各話のレビューです。
1-12話
{netabare}1話
ヴィンランドってアメリカ大陸のことなのかな?
バイキングってノルウェーってイメージだったけど、北に移住してきた人たちなんだね。
トルフィンって金髪の少年が主人公かな。
雪に埋もれていた奴隷の男を助けるトルフィンの父親のトールズ。
この奴隷の男が話のキーになるのかと思ったら、あっけなく死んじゃうし。。
トールズが優しい男だということを言いたかったのかな?
まだ話がどう転がっていくのかよく分からない感じです。
2話
海の向こうからデンマーク軍の小隊長フローキがやってきて、トールズにイングランド攻めに加わるように言われて、村人が殺されるのを恐れて戦争に加わることにするトールズ。
戦争の話に湧く村人たち。トルフィンも戦争に行きたいと気がはやる。
フローキが部下?にトールズを殺せと命令してたけど・・
次回、話が動き出すのかな?
3話
フローキに暗殺を依頼された男は凄腕みたい。
アイスランドから出航するトールズ一行。あんな巨大なオールで漕げるってどんだけバカ力なのよ。
船に密航していたトルフィン。このままイングランドに向かって大丈夫?足手まといになりそう。。
途中で立ち寄ったフェロー諸島で襲撃されるトールズたち。
武器を持った相手を素手で倒していくトールズ。強すぎでしょ(゜o゜)
でもこのまますんなり終わらないような感じが・・・
4話
素手だけで相手のほとんどを倒すトールズ。
敵の首領アシェラットと決闘することになってなんとか勝つんだけど・・
アシュラットを殺せないトールズ。そのうちにトルフィンが人質に取られてしまって形勢逆転。
トルフィンの命を助けるために自分の命を差し出すトールズ。
あんたが弱いのに前に出てるからこうなったんじゃん!ってトルフィンにムカついてしまった。。
それだけ私がトールズというキャラに魅力を感じてたからなんだろうけど。
これからトルフィンの復讐の物語が始まるのかな・・
5話
アシェラットたちに捕えられたトルフィン。
途中立ち寄った村で略奪と暴行を行うアシェラットたち。
トルフィンはアシェラットに決闘を申し込むけど、簡単に負けて・・
殺されずに放置されるトルフィンは必死に生きて、再びアシェラットに決闘を申し込むけど・・
・・アシェラットはなぜトルフィンを殺さないんだろう・・優しいから?略奪とかしてるし優しい男とも思えない。
たぶん、子供を殺すこと自体、戦士としての自分のプライドが許さないからなのかなって思った。
トルフィンはこんな環境で生き延びても、歪んだ成長をしそうで心配です。
今後、トルフィンを導いてくれる大人が現れるんだろうか・・現れて欲しいけど。。
6話
結局アシェラットたちと一緒に船に乗ってイングランドの戦地に行くトルフィン。
成り行きでトルフィンも戦い、そして・・人を殺してしまう・・
時は流れ、数々の戦場で戦い続け、多くの敵を殺していくトルフィン。
川に流されて気を失っているところをイングランド人のおばさんに拾われて。
小屋に火をつけ合図をし、仲間を呼ぶトルフィン。でも助けてくれたおばさんは逃げなくて・・
最後、おばさんが持ってたくしが壊れてたのは殺されたって暗示?
今回とても気が重くなる話で、父親の敵討ちのためには他人をたくさん殺してもいいって考え方は嫌だ。
7話
イングランドから撤退して今度はフランスが舞台?
トルフィンの復讐の炎は消えてないけど、アシェラットにいいように使われてる感じが(-_-;)
敵の大将のカブト首を取ってきたら戦ってやると言われて本当に大将の首を取るトルフィン。
あらためて決闘を申し込むけど、はぐらかされて・・
8話
拠点にしている村に久々に帰ってきたアシェラットたち。
そして再びトルフィンとアシュラットが決闘するけど、また負けてしまう。。
1人船に残るトルフィンはトールズの幻を見る。父親の前では子供の頃に戻るトルフィン。
元貴族の奴隷の少女との出会いがトルフィンにどう影響していくんだろう・・
奴隷商人も戦もないはるか西にあるヴィンランド。トルフィンは昔聞いた話を思い出す。
デンマークとイングランドの戦い。そして舞台はロンドンへ移る。
9話
デンマークとイングランドの激戦がロンドンで始まる。
イングランド側に寝返ったトルケルとトルフィンが戦うけど、負けてしまう。。
トルフィンの勇猛さに感心したトルケルが名前を聞くと、トールズの子トルフィンと名乗る。。
トルケルはトールズのことを知ってるみたいだったけど・・
10話
トルケルすごい腕力。砲丸投げとかさせたら金メダル取れるかも(゜o゜)
夢の中のトルフィンは子供なんだね。トルフィンの心はトールズが殺されてから時間が止まったままなのかな。
アシュラットはトルフィンにイングランドの、ヨーロッパの血塗られた歴史を語る。
一方、トルケルは500人の精鋭で猛攻を始め、デンマークのクヌート王子が捕えられてしまう。
アシュラットはクヌート王子救出を決意する。
11話
クヌート王子を捕えたトルケル。
スヴェン王の本拠へと向かう途中でデンマーク軍との戦闘が始まる。
アシェラットたちは風上から火を放ち、トルフィンを向かわせて王子奪還を試みる。
そしてトルケルに再開し、トルケルはトルフィンに父トールズの話をする。
ただ1人俺より強い戦士だった、と。
火が大きくなり、その場を離れる2人。トルフィンは王子をアシェラットの元に連れ帰る。
12話
トルケルたち追ってから逃げるアシェラットたち。
ウェールズの助けを借りることに。
トルフィンはクヌート殿下の護衛に付かされる。
クヌート殿下、なんか弱弱しくて女の子みたいなんだけど、これから大化けするのかな?
歴史に名を残す王だし。{/netabare}
13話
{netabare}あ、歌変わった!んーでも普通。。
ウェールズの中でもデンマークと手を結ぶのを反対してる勢力がいるんだね。
クヌート殿下ヘタレすぎだけど、これからどう成長して大王になるのかな?
アシェラットの出自も明かされたけど、今後の展開に影響があるんだろうか。
無口のクヌートがトルフィンに挑発されてしゃべって驚く周りの人々。
なんとなく、クヌートとトルフィンは友達みたいになっていくような気がします。。{/netabare}
14話
{netabare}イングランドの寒村。貧しくも家族みんな仲良く暮らしていて。
そこに来るアシェラットたち。
そして食料をすべて奪われ、皆殺しにされる。
外に出ていて逃れた、たった一人の少女を除いて・・
彼女は天国に行けないと思ってる。指輪を万引してしまったから。
でも、その時と同じドキドキを殺された家族を見て感じている。
彼女はこの後悪党にならなければいいけど。。{/netabare}
15話
{netabare}本国ではクヌートが行方不明だということになって。
クヌート、ずいぶんしゃべるようになった!料理もしてるし。
トルフィンは久々にちゃんとした温かい料理を食べたのかな。
アシェラットの居所がトルケルにばれて追撃される。
クヌートにお付のおじさんがアシェラットに殺されて・・
やさしいおじさんだったのに・・なんかやりきれない。{/netabare}
16話
{netabare}クヌートの元へお付のナグナルの遺体がアシェラットによって運ばれる。
唖然とするクヌート王子。イングランド兵が殺したと報告するアシェラット。
イングランド兵を拷問してなぜ場所がばれたか情報を聞き出そうとする。
暴力と残酷な拷問。。リアルなんだろうけど、見ててつらいです。。
トルケルが追っていることに恐怖を覚え、あわてて逃げるアシェラットたち。
そして仲間に裏切られるアシェラット!{/netabare}
17話
{netabare} アシェラットが仲間たちに裏切られ囲まれて、トルフィンたちが味方して王子と逃げるけど・・
アシェラットはなぜか逃げないで大勢の裏切り者たちと戦い、傷つく。
アシェラットを救出しに戻るトルフィン。
父の敵としてアシェラットを憎むだけなら、同じように裏切ればいいのに。
それをしないのはトルフィンの戦士としての誇り?それとも・・
間一髪でトルケルが到着し、裏切り者たちを皆殺しにする。
そしてそこに来たトルフィンとトルケルの決闘が始まるけど・・{/netabare}
18-19話
{netabare}クヌート王子がナグナルの死を経て覚醒する話から、トルケル、アシェラット、そしてトルフィンがクヌート王子の家来となってスヴェン王を倒しにいくことになるまで、なかなかの見応えでした。次回が楽しみになってきました。{/netabare}
20-21話
{netabare}アシェラットがどんどん魅力的に思えてきます。
強くて、知恵もあり、そして仲間への思いやりもある。
でも一方、村人たちに対する残虐行為も見ているので、複雑な気持ちです。
そんなアシェラットがトルフィンと再度決闘することになるけど、アシェラットは足を悪くしているので負けてしまうような気が・・{/netabare}
22-23話
{netabare}トルフィンとアシェラットの対決はあっけなくアシェラットが勝利。
アシェラットは父を殺した自分の過去をトルフィンたちに聞かせる。
アシェラットはトルフィンに何を伝えたかったんだろう。
負けて意気消沈するトルフィン。ふらふらとうろつき回り、牢に入れられる。
そこに来たレイフから、一緒にヴィンランドへ行こうと言われ、心が揺れ動く。
一方、ウェールズを攻めるとのスヴェン王の言葉に激しく動揺するアシェラット。{/netabare}
24話
{netabare} ウェールズかクヌートのどちらかを選べとスヴェン王から迫られたアシェラットはスヴェン王を殺害。
それを見たクヌートはアシェラットの真意を知り、アシェラットを自ら成敗する。
一度はレイフの呼びかけに応え、船に乗るトルフィン。でも・・
死に際のアシェラットに「本当の戦士になれ」と言われるトルフィン。
激昂したトルフィンは、クヌートに危害を加えようとし、捕えられる。
トルフィンにとってアシェラットとは復讐の相手だったけど、いつの間にか大事な人になってたのかな。
最後の二人の会話のところでちょっとうるっときちゃいました。。
ラストの終わり方、どう考えても2期あるよねこれ。タイトルも「プロローグの終わり」だし。
これからがトルフィンの本当の物語が始まるのでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 34
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

2019年秋期マイベスト

原作未読 ※大作。まだ完結してないらしい


NHKでやる以上きっちり進行してくれそう。万策尽きるのを許されなさそう、と勝手に期待してます。
漫画原作。西暦1000年近辺のデーン人(北方ゲルマン人)をメインキャストとしてイングランド侵攻などを描いた歴史ファンタジー全24話。
北欧だからといって神話を絡めた異能バトルが展開されるということもなく、実在の人物や地名を登場させながら史実に寄せつつも創作に舵を切った物語です。

録り溜めていたのを観るにあたって最終話のサブタイが目に入ってきました。

{netabare}『END OF THE PROLOGUE』{/netabare}

心構えができたのでむしろ有り難かったです。

剣はあるが魔法は無い。神々が降臨することも妖精の力を借りることも萌え萌えきゅんもありません。


  歴史フィクション


『アンゴルモア 元寇合戦記』が近いかな。また『キングダム』『蒼天航路』『横山三国志』。男の子が好きそうな系譜です。あまり見かけない路線なのでせっかくなので堪能したい。
“サーガ”って中世アイスランドで成立した古ノルド語による散文作品群の総称らしいですね。こうした発見も面白い。

土地名、人物、年代やイベント。まっさらで臨むのも楽しい。
歴史にまつわる各人の知識との照らし合わせ作業も楽しい。この時代についてはせいぜい

【ふわっとイメージ】
・イングランド地方にヴァイキングが立てた王朝あったよな
・フランク王国ってまだあったっけ?
・ノルマンコンクエストってこの時期だったような

十字軍がイスラム世界からいろいろ持ってくるまで。大航海時代で富をヨーロッパに持ってくるまで。ヨーロッパ地域は地球儀見回しても後進地域。蛮族らが荒ぶってるイメージでした。アニメ作中で答え合わせしてもおおむねイメージ通りです。

【Wiki調べ】
・1016年デンマーク王クヌートによるデーン朝成立
・1066年ノルマンコンクエスト ※混み入るので各自調べて!
・フランク王国は9世紀には滅亡してたみたい


ん?クヌート?それは置いときます。
日本では紫式部が『源氏物語』、清少納言が『枕草子』を描きあげてる頃です。
世界史は縦と横で読み解くと面白いですが脱線が止まらなくなるためアニメに戻ります。



ほぼ馴染みのない時代とエリア。ふわっとした知識背景はあるもののほとんど知りません。

 まっさらで臨むのも楽しい

結果、めっちゃ楽しんでました。歴史ものが好きなら迷わず行けよ!
アニメ的にどうこうは他の方に譲りますが、一言で片付けると


 {netabare}濃ゆい{/netabare}


以上です。

後期OP「Dark Crow」イントロのバグパイプはとってつけた感ありだがMAN WITH A MISSIONはやはりかっこいい。
前期ED「Torches」Aimerさん好き。



2クール長丁場と思いきや、あくまでプロローグ。これで続編なければ詐欺ですよ。
最後に魅力と感じた点について触れておきます。


■死に方

濃い物語ではあるが深いのか浅いのか測りかねてることがひとつあります。

※ネタバレ閉じます

{netabare}トールズ(CV松田健一郎)とアシェラッド(CV内田直哉)の二人の男の死に様がよい。
「本当の戦士に剣などいらぬ」何故? 答えは私にもわかりませんが高潔な志は伝わってきます。
「母の地ウェールズ」執着なり生きる意味を故郷ウェールズに見出してます。
二人とも譲れないものがあって守りたいものがあります。

無駄死にはしません。譲れないものを守るための最善の策を導き出し即座に死ぬ覚悟を決めます。
トールズはアシェラッドに。
アシェラッドはクヌートに。
後続に託すに足る人物を見定め信頼します。トールズにとってアシェラッドは敵ですよ。数回のつばぜり合いと短い会話で相手の本質と意図を見極めてるから託せるのです。そして、アシェラッドが顔を見れば器が分かるとしたのは伏線です。クヌートの人相の変化をもって臣下として殉ずる覚悟をだいぶ前から持ってたのでしょう。

 常在戦場

ですね。二人とも守りたいものを守ることができました。{/netabare}


さてそうなると、釈然としないことがひとつ生じます。


■トルフィン(CV上村祐翔)

{netabare}“本当の戦士は剣を持たない”
この父トールズの教えを省みるシーンがただひとつもない。24話終わって未だ復讐の虜囚である。{/netabare}

{netabare}まだプロローグということで不問にしてますが、いつか向き合う日がやってくるんでしょうか?
最初の村でトールズは素手で短剣を握り血まみれになりながらトルフィンを諭そうとしましたが受け止めきれてなさそうでした。その短剣は父の形見として所持しつつも、父の教えが回想としても流れる場面はありませんでした。
命のやり取りをしたアシェラッドはトールズの意図を深い部分で理解してても不思議ではありませんし、トルフィンをあしらいながら、「お前、親父の気持ちわかってやれよ」の気持ちで接していそうな節もありましたが、明示するシーンはありませんでした。

『復讐からはなにも生まない。剣で生命を奪うのは戦士の務めに非ず。生かすんだ!』

みたいなありきたりでしょぼい結論にならないでほしいと思います。{/netabare}


1.{netabare}そもそも荷に隠れて航海についてきてしっかり足手纏いになった自覚ないだろう{/netabare}

2.{netabare}父をヘタレ戦士でないと確かめたくて戦場についてきたわけで前日夜の父の説教ガン無視じゃん{/netabare}

3.{netabare}青年期に至る長い期間で少しは考えなかったのかなぁ。彼を助けた母娘の悲劇とかに何も感じなかったのだろうか{/netabare}


今のところ致命的にオツムが不自由な男の子にしか思えないわけですが、それも自分が平和ボケして現代の感覚で彼を見てるか答えは出てません。
そしてしっかりサーガしてます。2期があるならきっと観ることでしょう。


占領した地での略奪・虐殺。そしてレ○プは常であったであろう時代の話。
直接描写は控えめなものの、エロとグロの後者の雰囲気は充分伝わってきました。前者はさすがにNHKじゃ無理だったのかもで皆無です。

下手に現代の価値観に寄せなくて成功した例ではないでしょうか。
おそらく原作がそうなんだと思います。
マイナーエリアのマイナー年代を題材にした良作です。



※オマケ

これくらいのキリスト教イジリは海外でもウケそうだが実際どうなんだ?



視聴時期:2019年7月~2019年12月   

------


2020.02.08 初稿
2020.02.27 タイトル修正
2020.07.19 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 58
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ヴァイキングの壮大な物語

プラネテスと同じ原作者ということで、見た作品です。原作未読です。
ヴァイキングの子トルフィンの復讐のお話。

残虐なシーンがちょっときついところもありましたが、最終話まで見て、なかなかの良作だと思いました。

とにかく物語がとても丁寧に語られていて、良質な本を読んだ時のような昂揚感も感じます。

人物の描き方も豊かで、簡単な善悪では判断できない深みがありました。

その筆頭はアシェラットです。

最初はただの残虐な悪党だと思っていましたが、彼の複雑な生い立ち、想いなどが語られ、やさしい面も覗かせます。

トルフィンが主人公ですが、もう一人の主人公はアシェラットだと思いました。

最終話のタイトルが「プロローグの終わり」なので、これからがトルフィンの物語の本番ということでしょうか。

終わり方も半端な感じでしたし、NHKだし、これ絶対2期ありますよね?
というか、絶対やって欲しいです!

4話、6話、14話、18話~24話あたりのお話が印象に残りました。

以下、各話のレビューです。

1-12話
{netabare}1話
トルフィンって金髪の少年が主人公みたい。
雪に埋もれていた奴隷の男を助けるトルフィンの父親のトールズ。
この奴隷の男が話のキーになるのかと思ったら、あっけなく死んじゃうし。。
トールズが優しい男だということを言いたかったのかな?
まだ話がどう転がっていくのかよく分からない感じです。
2話
海の向こうからデンマーク軍の小隊長フローキがやってくる。
トールズにイングランド攻めに加わるように言われ、村人が殺されるのを恐れて戦争に加わることにするトールズ。
戦争の話に湧く村人たち。
トルフィンも戦争に行きたいと気がはやる。
フローキがある男にトールズを殺せと命令してたけど・・
次回、話が動き出す?
3話
フローキに暗殺を依頼された男は凄腕みたい。
アイスランドから出航するトールズ一行。
あんな巨大なオールで漕げるってどんだけバカ力なのよ。
船に密航していたトルフィン。このままイングランドに向かって大丈夫?足手まといになりそう。。
途中で立ち寄ったフェロー諸島で襲撃されるトールズたち。
武器を持った相手を素手で倒していくトールズ。強すぎでしょ(゜o゜)
でもこのまますんなり終わらないような感じが・・・
4話
素手だけで相手のほとんどを倒すトールズ。
敵の首領アシェラットと決闘することになってなんとか勝つんだけど・・
アシュラットを殺せないトールズ。
そのうちにトルフィンが人質に取られてしまって形勢逆転。
トルフィンの命を助けるために自分の命を差し出すトールズ。
あんたが弱いのに前に出てるからこうなったんじゃん!ってトルフィンにムカついてしまった。。
それだけ私がトールズというキャラに魅力を感じてたからなんだろうけど。
これからトルフィンの復讐の物語が始まるのかな・・
5話
アシェラットたちに捕えられたトルフィン。
途中立ち寄った村で略奪と暴行を行うアシェラットたち。
トルフィンはアシェラットに決闘を申し込むけど、簡単に負けて・・
殺されずに放置されるトルフィンは必死に生きて、再びアシェラットに決闘を申し込むけど・・
・・アシェラットはなぜトルフィンを殺さないんだろう・・優しいから?
略奪とかしてるし優しい男とも思えない。
たぶん、子供を殺すこと自体、戦士としての自分のプライドが許さないからなのかなって思った。
トルフィンはこんな環境で生き延びても、歪んだ成長をしそうで心配です。
今後、トルフィンを導いてくれる大人が現れるんだろうか・・現れて欲しいけど。。
6話
結局アシェラットたちと一緒に船に乗ってイングランドの戦地に行くトルフィン。
成り行きでトルフィンも戦い、そして・・人を殺してしまう・・
時は流れ、数々の戦場で戦い続け、多くの敵を殺していくトルフィン。
川に流されて気を失っているところをイングランド人のおばさんに拾われて。
小屋に火をつけ合図をし、仲間を呼ぶトルフィン。でも助けてくれたおばさんは逃げなくて・・
最後、おばさんが持ってたくしが壊れてたのは殺されたって暗示?
今回とても気が重くなる話で、父親の敵討ちのためには他人をたくさん殺してもいいって考え方は嫌だ。
7話
イングランドから撤退して今度はフランスが舞台?
トルフィンの復讐の炎は消えてないけど、アシェラットにいいように使われてる感じが。。
敵の大将のカブト首を取ってきたら戦ってやると言われて本当に大将の首を取るトルフィン。
あらためて決闘を申し込むけど、はぐらかされて・・
8話
拠点にしている村に久々に帰ってきたアシェラットたち。
そして再びトルフィンとアシュラットが決闘するけど、また負けてしまう。。
1人船に残るトルフィンはトールズの幻を見る。
父親の前では子供の頃に戻るトルフィン。
元貴族の奴隷の少女との出会いがトルフィンにどう影響していくんだろう・・
奴隷商人も戦もないはるか西にあるヴィンランド。
トルフィンは昔聞いた話を思い出す。
デンマークとイングランドの戦い。
そして舞台はロンドンへ移る。
9話
デンマークとイングランドの激戦がロンドンで始まる。
イングランド側に寝返ったトルケルとトルフィンが戦うけど、負けてしまう。
トルフィンの勇猛さに感心したトルケルが名前を聞くと、トールズの子トルフィンと名乗る。
トルケルはトールズのことを知ってるみたいだったけど・・
10話
トルケルすごい腕力。砲丸投げとかさせたら金メダル取れるかも(゜o゜)
夢の中のトルフィンは子供なんだね。
トルフィンの心はトールズが殺されてから時間が止まったままなのかな。
アシュラットはトルフィンにイングランドの、ヨーロッパの血塗られた歴史を語る。
一方、トルケルは500人の精鋭で猛攻を始め、デンマークのクヌート王子が捕えられてしまう。
アシュラットはクヌート王子救出を決意する。
11話
クヌート王子を捕えたトルケル。
スヴェン王の本拠へと向かう途中でデンマーク軍との戦闘が始まる。
アシェラットたちは風上から火を放ち、トルフィンを向かわせて王子奪還を試みる。
そしてトルケルに再開し、トルケルはトルフィンに父トールズの話をする。
ただ1人俺より強い戦士だった、と。
火が大きくなり、その場を離れる2人。
トルフィンは王子をアシェラットの元に連れ帰る。
12話
トルケルたち追ってから逃げるアシェラットたち。
ウェールズの助けを借りることに。
トルフィンはクヌート殿下の護衛に付かされる。
クヌート殿下、なんか弱弱しくて女の子みたいなんだけど、これから大化けするのかな?
歴史に名を残す王だし。{/netabare}

13-24話
{netabare}13話
あ、OP変わった♫
ウェールズの中でもデンマークと手を結ぶのを反対してる勢力がいるんだね。
クヌート殿下ヘタレすぎだけど、これからどう成長して大王になるのかな?
アシェラットの出自も明かされたけど、今後の展開に影響があるんだろうか。
無口のクヌートがトルフィンに挑発されてしゃべって驚く周りの人々。
なんとなく、これからクヌートとトルフィンの関係が深くなっていくような気がします。
14話
イングランドの寒村。
貧しくも家族みんな仲良く暮らしていて。
そこに来るアシェラットたち。
そして食料をすべて奪われ、皆殺しにされる。
外に出ていて逃れた、たった一人の少女を除いて・・
彼女は天国に行けないと思ってる。指輪を万引してしまったから。
でも、その時と同じドキドキを殺された家族を見て感じている。
彼女はこの後悪党にならなければいいけど。。
15話
本国ではクヌートが行方不明だということになって。
クヌート、ずいぶんしゃべるようになった!料理もしてるし。
トルフィンは久々にちゃんとした温かい料理を食べたのかな。
アシェラットの居所がトルケルにばれて追撃される。
クヌートにお付のおじさんがアシェラットに殺されて・・
やさしいおじさんだったのに・・なんかやりきれない。
16話
クヌートの元へお付のナグナルの遺体がアシェラットによって運ばれる。
唖然とするクヌート王子。イングランド兵が殺したと報告するアシェラット。
イングランド兵を拷問してなぜ場所がばれたか情報を聞き出そうとする。
暴力と残酷な拷問。。リアルなんだろうけど、見ててつらいです。。
トルケルが追っていることに恐怖を覚え、あわてて逃げるアシェラットたち。
そして仲間に裏切られるアシェラット!
17話
アシェラットが仲間たちに裏切られ囲まれて、トルフィンたちが味方して王子と逃げるけど・・
アシェラットはなぜか逃げないで大勢の裏切り者たちと戦い、傷つく。
アシェラットを救出しに戻るトルフィン。
父の敵としてアシェラットを憎むだけなら、同じように裏切ればいいのに。
それをしないのはトルフィンの戦士としての誇り?それとも・・
間一髪でトルケルが到着し、裏切り者たちを皆殺しにする。
そしてそこに来たトルフィンとトルケルの決闘が始まるけど・・
18-19話
クヌート王子がナグナルの死を経て覚醒する話から、トルケル、アシェラット、そしてトルフィンがクヌート王子の家来となってスヴェン王を倒しにいくことになるまで、なかなかの見応えでした。
次回が楽しみになってきました。
20-21話
アシェラットがどんどん魅力的に思えてきます。
強くて、知恵もあり、そして仲間への思いやりもある。
でも一方、村人たちに対する残虐行為も見ているので、複雑な気持ちです。
そんなアシェラットがトルフィンと再度決闘することになるけど・・
22-23話
トルフィンとアシェラットの対決はあっけなくアシェラットが勝利。
アシェラットは父を殺した自分の過去をトルフィンたちに聞かせる。
アシェラットはトルフィンに何を伝えたかったんだろう。
負けて意気消沈するトルフィン。ふらふらとうろつき回り、牢に入れられる。
そこに来たレイフから、一緒にヴィンランドへ行こうと言われ、心が揺れ動く。
一方、ウェールズを攻めるとのスヴェン王の言葉に激しく動揺するアシェラット。
24話
ウェールズかクヌートのどちらかを選べとスヴェン王から迫られたアシェラットはスヴェン王を殺害。
それを見たクヌートはアシェラットの真意を知り、アシェラットを自ら成敗する。
一度はレイフの呼びかけに応え、船に乗るトルフィン。でも・・
死に際のアシェラットに「本当の戦士になれ」と言われるトルフィン。
激昂したトルフィンは、クヌートに危害を加えようとし、捕えられる。
トルフィンにとってアシェラットとは復讐の相手だったけど、いつの間にか大事な人になってたのかな。
最後の二人の会話のところでちょっとうるっときちゃいました。。
ラストの終わり方、どう考えても2期あるよねこれ。タイトルも「プロローグの終わり」だし。
これからがトルフィンの本当の物語が始まるのでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 27

88.8 2 週刊少年マガジンでシリアスなアニメランキング2位
聲の形(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★★ 4.1 (1496)
7401人が棚に入れました
聲の形」は、聴覚の障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の物語で、2人の衝突や再会を通して、孤独や絶望、愛などが描かれている。

声優・キャラクター
入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

障がい、いじめ、生と死、そして母の愛

原作未読。
劇場でも視聴しましたが、いろいろと考えさせられることの多い作品だったため、繰り返し視聴してからレビューしたいと思い、BD購入後のこのタイミングでレビューします。

【初めに】
この作品は多くの方に見て欲しい作品です。
高校生の恋愛物語なんかじゃありません。
障がい、いじめ、生と死、母の愛・・・。重いテーマを次々と投げかけてくる作品です。
そして、見終わった後、色々と考えさせられる作品です。

様々な思いの中で、少しずつ成長していく石田将也、西宮硝子、西宮結絃、そして植野直花が見どころです。

【物語】
これだけ重いテーマをよくも2時間の枠に収めたな!と感心するくらい良くできていると思います。
時間の都合上、少々強引な展開もありましたが、それをマイナス要素とするのは酷でしょう。

【作画】
京アニですからね、全く問題無いでしょう!(笑)
特に花火のシーンは鳥肌ものでした。

【声優】
なんといっても早見沙織さんでしょう。
硝子が言葉を発する度に鳥肌が立つほどの怪演。
{netabare}小学生のころ、将也と取っ組み合いの喧嘩をした硝子が発した言葉が、最初に劇場で視聴した時には理解できませんでした。
BDで繰り返し視聴をして、『頑張って!』と聞こえた時には感動しました。{/netabare}

将也の少年時代を演じた松岡茉優さんに賛否があるようですが、私はとても良かったと思いました。

【音楽】
THE WHOの「MY GENERATION」は良かった。
aikoの主題歌は好みが分かれるかも・・・。

【キャラ】
「植野直花」
一見、理に適っているようなことを言ってはいるが、実は一番自分勝手・・・に見えるキャラ。
高校生になった硝子の立場から見れば一番の敵キャラだし、『嫌い』って人が多いだろうな?
実は私もそうだったし・・・。
それだけに、最後の{netabare}手話{/netabare}には感動した。
良かった。ちゃんと成長してるじゃん!

「将也の母」
私の印象は、子供には甘いけど、責任感の強い母親。
{netabare}硝子いじめの謝罪の際、片耳から流血しながら、声も荒げずに「明日からいい子にするんだよ、ね」は衝撃的だった。
硝子の母と植野の喧嘩を止めたシーンも良かった。{/netabare}

「硝子の母」
私の印象は、子供に厳しく、だけど誰よりも子供を愛する母親。
{netabare}重度の聴覚障害のある硝子を普通学級に通わせるとか、小学生には酷なんじゃないかと思った。
しかし、硝子は聴覚に障害があるだけで、知能に障害がある訳ではない。
愛娘の将来の事を考え抜いて出した、苦渋の決断だったんだと思った。

それは、後半のシーンからもうかがえる。
高校生になった将也が硝子を一緒にいるところを見かけると問答用無用にビンタ。
そして、硝子を責める植野にも問答用無用にビンタ。
愛娘を守るためには手段を選ばずに全力で立ち向かっていく母親の姿だと思った。{/netabare}

【最後に】
極力ネタバレ無しでと思っていたんですけど、結局ネタバレだらけになってしまいました。スミマセン。
ネタバレついでに、最後に少しだけ付け加えたいと思います。

{netabare}この作品を視聴して、本当に色々なことを考えさせられました。

【障がいを持つ人とどう接するのが正解なのか?】
本作の硝子のように聴覚障害を持つ人との接し方。
将也や佐原のように手話を覚える?
  それができれば一番いいんだろうけど・・・。
  現実には、手話を知らない人が多いんじゃないかな?
  もちろん私もその一人。
「大きな声でゆっくり話せば分かるんだから」と言った植野。
  これも決して間違いではないと思っている自分がいる。

大事なことは相手の立場に立つことだと思う。
ただ、優しく接すればいいというわけでもないのだと思う。

【これって「いじめ」ですか?】
いじめがダメなんてことは、誰しも理解していることだと思う。
だけど、どうだろう?
『私の職場(学校)ではいじめなんてありません!」
そう断言できる人は少なくないと思う。だけど、
『誰かを無視したり、悪口言ったりとかありません!』 
そう断言できる人がどれだけいるだろう?
悪口・陰口くらいなら、恐らく多くの人が身に覚えがあるのでは?
『悪口・陰口くらい誰でもやってるよね?このくらいなら”いじめ”じゃないよ』

それではなぜ、佐原は不登校になったのだろう?

【母親の愛ってすごい】
将也の母、硝子の母。
タイプは全く違うけど、子供に対する愛情と責任感の強さは計り知れない。
謝罪のためにピアスを引きちぎった将也の母親。
同じく謝罪のために、公衆の面前で土下座をした硝子の母親。
どちらも本当に立派だと思った。

そして、何より、自分の身の回りの人に同じようなことをさせてはならないと思った。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 140

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

誰かが感動にむせび泣く涙は冷や汗になって流れ落ちる

聲の形を観るにあたって視点をどこに持っていき多数派が経験しない境遇を掴むかが難しいと思われるのですが、
自身に置き換えるとそれは“コンプレックス”。生きていれば誰にだって“当たり前”にあるものだと思います。
身体的特徴・肉親との関係・性への恐怖心・嗜好・学歴・人種・生まれ・性別、イジメや差別の行く末も然りです。

肉親や他人が“毎日自分のコンプレックスについて熱く口論している”そんな世界を想像してください。
目立つアナタは学校や会社、道行く人々から向けられる奇異の目、励ましや憐憫の言葉に晒されるでしょう。

「西宮は優しいからああしているわけでも、強いから、弱いから、といったわけでもないんです。
彼女は、彼女なりにたくさん考えた結果、ああするしかない、というだけなんだと思います。」

作者がインタビューでこう答えたそうです。これが彼女の当たり前だったのでしょうか。

実際にいろんなハンディキャップを抱える人達や高齢者を介助する人達がいる現場において人間を起こす方法や、
車いすの押し方、様々な器具の用途や正しい使い方など、最低限の知識を身につけるより最優先事項があります。
介護・介助において、まず彼らが学ぶことは相手を「お客様」では無く「利用者」と呼び、客として扱わない事。
他人に体を預ける利用者を不安にさせず寄り添いながら安心感を与えてコミュニケーションを取らなければならず、
マニュアル通りではなく個人個人に対し状況や状態を鑑みて、人としての尊厳を蔑ろにするような態度や行動を
取らないことが大前提であり小児科医や助産婦など、職業柄心構えを身につける方々も同じ雰囲気があります。

当たり前だと思うかもしれませんが、その当たり前が世間に浸透していないのは本作に対して議論が行われたり
特筆すべき事項だと取り上げ、感動できる作品と持ち上げられる現状を考えれば一目瞭然ではないかと思います。


難しい題材に焦点を当て一流の演出と人の心を揺さぶる手法を用いた映像作品は洗練され美しく彩られました。

“本作自体がコンプレックスになる”映画として。

気弱な少年がスパイダーマンに憧れるように、盲目の侠客がバッサバッサと悪を斬る姿を格好いいと思うような、
当事者側の人間が顔を曇らせず笑顔になれる映画ではなく、関係のない人間が感銘と感動を得る為の映画は、
原作を読んでいた時の感覚より数枚フィルターがかかり、メッセージ性や丁寧な音と画で美しく完成しました。
映画として完成度が高く年間で最高評価に近いことも納得です。多くの人が素晴らしいと感じたでしょう。
当事者たちの気持ちを置き去りにして。

聲の形を特筆すべき作品だと受け取られるのが今の現状で世間の認識なのでしょうが、映画の話でなく常識として、
“当たり前”に生きてる人に対し涙を流したり感動することが無いのと同じく、この気持ちは人を傷つけます。
本作は仕方有りません、メッセージ性と感銘を受けるよう作ってあるのだからそれは嘘でも非常識でもない。


他人の感動に水を差したくはないが綺麗な世界に冷や汗しか出なかった。机上の空論を言っても仕方ないけれど、
叶うならいつか本作に感動も感銘も無く、当たり前に捉えられるそんな世の中になればいいと願っています。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 50

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

天使じゃないキャラ達による視聴者が救われる物語

2016年公開の劇場版アニメ 129分

原作 大今良時 監督 山田尚子 脚本 吉田玲子 音楽 牛尾憲輔
総作画監督 西尾太志 音響監督 鶴岡陽太 制作 京都アニメーション

オープニングテーマ The Who 「MY GENERATION」
エンディングテーマ aiko 「恋をしたのは」

舞台は岐阜県大垣市 岐阜県養老町の養老天命反転地

繋がりたいけど繋がらない、伝えたいけど伝わらないというディスコミュニケイション。

全体を通して描かれるのは、主人公「石田将也」の心のさまよい。
道徳と言う現実を知る以前の幼き日に犯してしまった罪に対する葛藤はついには自分を押しつぶすが・・

能面の様に張り付いた笑顔の下に、障害を持って生きることに立ち向かい続ける少女「西宮硝子」。

社会的に難しいが、今描かなくてはならない重大なテーマに取り組んだスタッフの本気こそが見どころ。
普通はエンターティメント作品としては邪道ではあるが、
あえて、物語よりも前面に押し出すことで視聴者とのディスコミュニケーションを回避する。
これは間違って伝わってはいけない物語であるという決意が感じられる。

Shape of Voice と言うタイトルで全世界に発信する小さくとも揺るがない物語として、
自分も揺るがない満点評価としました。

この作品の最も重要な要素は音である。
前作「響けユーフォニアム」で音響監督の鶴岡氏と対立的な立場であったといわれる山田尚子監督は、
鶴岡音響監督を全幅の信頼の元、「聲の形」を名作に仕上げました。
声優に関しては吉田玲子氏と共に厳しい指導で一切の無駄な音を排除し形ある言葉だけを選びました。
そして、雑音と共に響くバッハのインヴェンション。
アンドレイ・タルコフスキーの作品にも迫るほどの完成度。

それ以上に重要かもしれない要素があります。
無表情で厳しい現実を甘くデコレートしたアニメ特有の技術。
これが、自分のタイトルにつながります。
救われるのは視聴者の魂であるのです。
「けいおん」「たまこラブストーリー」は「聲の形」に昇華されました。
まったく山田尚子さんという人はアニメ監督になるために生まれてきたような天才でした。

音響技術によって再現された「西宮硝子」に聴こえる異質の音。
これが優しい世界に触れたように感じられる演出は見事の一言です。

障害者は常に他人に傷つけられ続けているのです。
それならば、自分が選ぶべき行動は?
考えてみてください。本当に救われるのは誰なのかを。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 61

75.3 3 週刊少年マガジンでシリアスなアニメランキング3位
ドメスティックな彼女(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (470)
2022人が棚に入れました
幼いころに母を亡くした高校生・藤井夏生は、高校の教師・橘陽菜へ密かに想いを寄せていた。叶わぬ想いと心の中へ押し込み、ふと誘われた合コンに参加した夏生は、そこで出会った橘瑠衣と、なりゆきで初体験をしてしまう。そんなとき、父が再婚することに。父の再婚相手と一緒に夏生の目の前に現れたのは、なんと陽菜と瑠衣だった……。ひとつ屋根の下で暮らすことになった3人の、ピュアで禁断過激な三角関係がスタートする。

声優・キャラクター
内田真礼、日笠陽子、八代拓、佳村はるか、小原好美
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

昼ドラ好きでしょ?ほらほら認めちゃいなさいよ

原作既読


実は今期(2019年冬クール)で一番の期待株。ドロドロした恋愛ものを安定供給する週刊少年マガジンから旬な作品が届きました。
原作は20巻超え(2019年4月現在)で完結してませんので、区切りいいところで切り上げてくれりゃいいやと広い心で待機です。

高校生ナツオ♂くんは同じ学校の新任教師ヒナ♀先生に密かに恋心を抱いてる。
高校生ナツオ♂くんがその日合ったばかりの子ルイ♀と成り行きでヤっちゃう。
高校生ナツオ♂くんの父親が再婚相手として連れてきた相方さんの連れ子姉妹がヒナ♀とルイ♀でした。
かくして家族になった3人が平穏無事なわけもなく・・・ 

家庭内(ドメスティック)の彼女さんということで、どう転んでもドロドロの愛憎劇待ったなしの状況です。
恋愛ものは心情描写が肝だったりしますが、そこらへんはどうなんですかね。ある程度リアリティを担保しとけば残りは、

 荒唐無稽な設定に全力で踊るキャラ達

を堪能する。身も蓋もない言い方すれば、

 {netabare}昼ドラ act by 高校生{/netabare}

を満喫する。の心持ちで臨めばイケると思います。殺人なしの火サスと置き換えてもいいかもしれません。船越英〇郎氏の出番です。そこに元妻共演するくらいにとろみのある仕上がりでした。
渋谷・恵比寿を背景に椎名林檎リスペクト系と勝手に私が思い込んでいるOPが昼ドラ感に拍車をかけます。
{netabare}あのスクランブル交差点の真ん中でピアノを弾いてる唇が色っぽい女性はいったい誰だったんでしょう?{/netabare}


原作の一巻からわりと忠実に作られてたのは好感でした。
出合う女性けっこうな確率で主人公♂に好意を寄せる展開をハーレムと捉えるかはご自由に。繰り返しになりますが、昼ドラを高校舞台にやっちゃうところが面白い作品です。
ただし視聴者ウケはどうなんでしょうか?
{netabare}・主人公がどっちつかずで優柔なだけじゃん
・ヒナ生徒に手を出しちゃだめでしょ
・ルイ一緒に風呂入るとかエロ見せたいだけじゃね?
・シュウさん不倫野郎がなにいい人ぶってんだよ
・モモただのヤリ〇ンじゃねーか{/netabare}
一人くらいは「こいつダメ」と自分に合わないキャラ・不快なキャラを見つけられるのではないかと思います。
リアタイでのそこそこボロクソなつぶやきも肴にしながら全12話完走しました。私は満足してます。

不満があるとすれば、もっと“内面のドロドロとした心情描写”を期待してたこと。そこは原作よりパワーダウンしたかしら。
そのくらいで、『ただのエロ』ではない “どうしようもできない自己矛盾の言動” は描かれてたと思います。恋って愚かで素敵です。


■評価する理由
処女性を尊ぶアニメが多いのでたまにはこういうのもいいよね、が一点。
行動の不整合は「だってリアルだとそんなもんじゃん」を評価する、が一点。
設定は荒唐無稽な感じがしますのでフィクションと俯瞰して見ることができます。コッテコテの修羅場はノゾキ趣味に最適。艶っぽい描写もあるので下世話な視線で視聴するのも悪くないですが、描かれている人間は等身大です。

あり得ない行動にも背景がある
なんでそんなこと言っちゃうの?には心情が見える

「はあ?なんでそうなっちゃうわけ?」
キャラがおかしい言動をした時にその前後関係や人物相関で見えてくる部分はけっこうありました。こう見えて「惹かれる」「抑制する」「嫉妬する」「我慢できない」「傷つく」が丁寧に描かれた良作だと思います。



■ウケないキャラ造形
主要キャラだと、文芸部長の葦原美雨(CV小原好美)と夏生幼馴染の栗本文哉(CV江口拓也)くらいじゃないでしょうか。
藤井夏生(CV八代拓)、橘瑠衣(CV内田真礼)、橘陽菜(CV日笠陽子)、柏原もも(CV佳村はるか)らは済ませるものは済ませてます。

{netabare}「知ってる人は知らない人を見下すようなこと言うじゃん?」1話ルイ{/netabare}
{netabare}ルイが誘ったのもナツオが受けたのも元はと言えばヒナの煽りでした。二人が背伸びする気持ちわかるでしょう。{/netabare}

スタートラインに立ってからの物語です。済ませるもん済ませてるからこそ理性と欲望の揺れ動きに説得力が出てくる。
表面上のエロい部分は童〇ホイホイの側面があるし、一方で〇貞は直視できない男女のどうしようもなさの側面もあったり、パラドックスを抱えてたんじゃないかと思います。そういう背景もあって葦原さん、文哉、アレックスが安パイの憩い役として貴重な存在でした。


■ご都合展開カモン
気になったのはこれくらい
{netabare}・墓石に「南無阿弥陀仏」(笑) 原作では「藤井家」だったような気がするが。
・ヒナが一人ナニしてるのを目撃した翌朝。ヒナの左手のズームに顔を赤らめるナツオだが、そこは右手でだったような。
・修学旅行中なんだしカーテン閉めようよ。いや花火見ながらの魅力には敵わなかったか、無念。{/netabare}


■ラストはけっこう好き
ありきたりですが。
{netabare}絶望を創作に繋げ、魂削って小説を仕上げるのっていいですね。やっとナツオがひと皮むけた気がする。{/netabare}
{netabare}振り返ると最初の小説読んだヒナはナツオの想いに触れナツオに傾いてくし、ルイはナツオのヒナへの想いに打ちひしがれる。作品の重要箇所に小説あり。{/netabare}


愛憎劇昼ドラ系アニメって他にあるのかな?
ピュアっピュアなものの合間に箸休めで鑑賞したくなる作品でした。



※オマケ
その1 流されない男子は素直に尊敬します
{netabare}ナツオの理性の防波堤。モモの家で踏みとどまったのは偉いというか凄いな。{/netabare}

その2 脚本に渡航さん
{netabare}5.7.9話を担当されてたようです。回毎どうこうというよりもキャストに江口拓也さんがいる時点でもうねww 
祝!俺ガイル3期決定!{/netabare}



-----
2019.09.16追記


視聴時期:2019年1月~3月 リアタイ視聴


2019.04.06 初稿
2019.09.16 追記

投稿 : 2024/04/27
♥ : 57

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「少年漫画誌掲載でそこまでやりますか」的な、流石の流石景原作アニメ。

略称:「ドメカノ」。原作は「週刊少年マガジン」掲載で、2019年1月現在だとコミック単行本は21巻まで出ています。

原作未読で第1話冒頭をみると「???」な疑問符だらけの流れで本作品は始まります。少年漫画誌掲載作品では暗黙の禁忌とされているっぽい、現役高校生と現役教師の恋愛も扱う異色作品となっています。

本作品のポイントのひとつは主人公の藤井夏生(ふじい なつお)とヒロインである姉妹の橘陽菜(たちばな ひな)、橘瑠衣(たちばな るい)の一般的に見れば非常識な行動、そして夏生の父親である昭人(あきひと)や姉妹の母親である都樹子(つきこ)の倫理観とのギャップでありましょう。
(親世代目線で子供たちの行動を考えると、いろいろと頭おかしい作品です。)

おそらく今回のアニメ化範囲には含まれないであろう21巻の半ばくらいで、主人公の藤井夏生(ふじい なつお)はある女の子から「そんなの… そんなの不潔よー!!」と言い放たれていますが、実際夏生くんの行動遍歴をかいつまんで考えるとそう言われても仕方がない主人公なのであります(笑)。

本作品は、一応は「ハーレムラブコメ」になるんでしょうか。でも場面としてのコミカルな要素はあっても、ストーリー的にあまり「コメディ」要素は無いような気もするんですよね。

ナツオ視点で視ると特に序盤は少年漫画、中盤以降あるいはヒナ姉視点で視ると青年漫画っぽくもあり、ルイ視点で視ると少女漫画っぽくもあるハイブリッド作品と言えるかもしれません。

このレビューを書いている時点(第3話まで放送)では、原作コミックスでいうと2巻の冒頭1/5くらいのところまで進んでいる感じですね。ストーリーはこの第3話までほぼ原作準拠と考えて良いと思います。このアニメ化で原作をどこまで消化するかは不明ですが、おそらくは原作8巻あたりの区切りがよさそうなところで適当に終わるのではないかと思います。

なお、巷ではクズだのゲスいだの言われている気がする主人公の夏生くんですが、実は私は嫌いではないです。

というか、ストーリー自体を俯瞰してみるとそのように言われても仕方がないとは思うのですが、彼自身はきちんとモテ要素を備えているとは思います。

余談:
原作者の流石景先生は、同じく週刊少年マガジン連載作品を描いている瀬尾公治先生と並んで「少年漫画誌であるマガジンでメロドラマ的なドロドロの恋愛マンガを描く」という流れを担っておられる漫画家であります。

奇しくもお二人ともマガジン本誌で「袋とじ企画」として本編コミックス単行本には含まれないエロシーンを含む漫画を複数回掲載したという共通点がありますね。

余談その2:
原作は序盤が終わると以降は意外と「出版業界マンガ」でもあったりしますが、アニメの尺ではその辺はあまり描かれずにスルーされるような気もします。

2019.2.2追記:
第4話にて、原作でも笑ってしまった「あんパンと牛乳」がアニメでも再現されました。当事者が直接対面してしまうという意味では、実は意外にもドメカノ初の修羅場回。

2019.4.1追記:
第12話(最終回)まで視聴終了。

原作でいうと7巻までのエピソードを消化して、アニメの最終回をうまくまとめるために8巻からエピソードを拾ったという感じでしょうか。

たぶん続編は作られないとは思うのですが、この終わり方なら作ることになっても今回出さなかったキャラについて適当な登場エピソードを設けて、うまく軌道修正はできると思います。1クール作品としてはうまく纏めたのではないでしょうか。

ちなみに私は瑠衣派か陽菜派かでいうと、陽菜派です。(← たぶん少数派)
もしかしたら、私はけっこうダメ人間が好きかもしれません…。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 54
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

そのままゴール!!!ゴラッソォォォ!!!アニメ化も決まったぁぁ!!!

事前情報ほとんどなしで視聴

お話のざっくり概要
合コンで中抜け誘われてほいほいついてったら
「ここで私とHしてくんない」
いきなりの事後から始まる物語。そして二人は家族になる…
そんな感じ

開幕から飛ばしてる作品っすねw ブラつける所、妙にリアルでエロかった
タイトル名から察するに義姉、義妹と
すったもんだの末、最終的にどちらかと付き合う流れなのかなー。

ひなちゃんの方が好み。日笠のくせにかわいいとは生意気だ(ビクンビクン)
でも{netabare}あんなに大量にビール飲んでたら将来絶対デ…おっとこれ以上いけない、"わがままボディ"になってしまうと思うから{/netabare}将来性は、るいちゃんの方が良いかと。

登場人物について一話時点での感想
{netabare}
なつお…なんか小説書いてるのかな?なろう系なんかな?
ひな……泣いてたし、絶対付き合ってる彼氏に何かトラブルが出てるんだろうと思った。
るい……大人になりたいって言ってたのは、母親かひなに関連してるんじゃないかな
父親……いや相談の来週に中古家買うって、ちょっと息子の事ないがしろにしすぎなんじゃ…
母親……なんか元夫の文句ばかり言ってたってフラグ立ててたから、元夫が登場する流れかな?
メガネ…名前わかんないけど、たぶん説明役だね。ご愁傷様。君は一生女性に縁がないよw

性描写あるくせになんか淡泊な表現なのよね。
まぁその方が逆にエロく感じる不思議w
{/netabare}

2話感想
{netabare}
なつお…意外にめんどう見は良いっぽい。天パが悩みらしい。
ひな……なんかこじれてるっぽいね。相手の浮気とかかな?
るい……ぼったくりバーのキャバ嬢。お風呂一緒ってどんだけ自分の体に自信あるんだw
父母……なんでチャイム鳴らしてんの?23時なんだし鍵開けて入って来いよwおかしいでしょw

合コン抜けてヤってたのは友人連中にそのうちバレるんじゃないかなー
一緒に暮らしてるのもそのうちバレそうw
{/netabare}
3話感想
{netabare}
なつお…先週も思ったけど、ショートコントの才能あるよ。小説家やめて俳優なろうw
ひな……やっぱ不倫だったか。なんかそんな気はしてた。なんかその内、なつおとヤりそう…
るい……先週気づかなかった、玄関ではスリッパ脱いで。パジャマ姿かわいいけどくつろぎ過ぎぃw
メガネ…すげーいい奴。こんな出来た友達いないぞ。妄想では美化しすぎだけど、中身は確かに良い。
父母……あんたらギャグ要員なん?
津田……味のあるオカマ?インパクトあるw なんかオカルティックナイン思い出したw

メガネ家族すげー遺伝子だな。家族全員いい人。
あんなうざい友達の悩み相談に真剣に付き合ってやって、且つ家にも泊めてやるなんて
おいらだったら、女連れ込んだ時点で叩き帰すけどなーw
{/netabare}
4話感想
{netabare}
なつお…小説家ってやっぱなろうなのかな?問いただす時の言葉がかなり稚拙に感じた。
ひな……るいなつおの行動に感化されたんじゃなく、流れで別れてそうだからもう一波乱ありそ
るい……ナニコレ昼ドラみたいw 普段は表に出さないだけで感情の起伏が激しい娘なのね
しゅう…ゲスの極み的なすっごいクズ男。頑張って卒論書くからヨリ戻そうとか言ってきそう
津田……修羅場の見れる喫茶店www 商魂たくましすぎぃ! いくら払えば行けますか?
それにしてもナポリタンうまそうね。
{/netabare}
5話感想
{netabare}
なつお…あの状態から我慢するなんて、やるやん。もっと流されるダメ男かと思ってたから見直した。
るい……誰と付き合うかは私が決めるってスタイルかっこいい。なつおにも見習って欲しい
もも……すごい人数www 肉食系にもほどがある。ただかなり不安定な精神なのかも?

看病部分で理解不能な出来事が起こりました。
{netabare}
ヒロインが風邪で倒れる →ごく普通のイベント
それを主人公が看病する →定番だよね
なぜかその日に限って他の家族の帰りが遅い →よくあるよね
着替え&体拭くから手伝って →まぁここまでは良くあるパターンなので理解できる
{netabare}
座薬入れる → 理解不能wwwww 予想の斜め上どころか遥か上空の大気圏レベル
{/netabare}

なんだろう…んーと、とりあえず普通の予想は超えてくる作品だとはわかりました。
{/netabare}
{/netabare}

ギャグとしては面白いけど、恋愛ものとしてはまだいまいちわかんない。
まぁメインの3人も、今自分の気持ちが見えてない状態で、
新キャラのももが気づかせてくれる存在になるのかなと
細かい感情の動きよりは、インパクト重視な点が週刊連載物っぽいですね。
多分、次のページめくった時のインパクトとかを重視してるのかなと…
これが少年誌って事に戦慄を覚えますけどw

~8話まで
{netabare}
予想が外れて、ももはあんまり絡んでこない…

くずお…こんなやつもう名前で呼ぶ価値無し。絶対コイツ二股するよ!(断言)
るい……掌クルックルしちゃうけど、かわいいっすw正直ひなより好きになったw
ひな……ちょっと素直なった。一人暮らし始めたら、くずおとズブズブな関係なる
津田……キャーふんどし!サイコー!素敵☆ このアニメのメガネとの双璧の良心♪
{/netabare}
やっぱマスター出てくるとギャグとして面白いわぁー マスター観たいから観てるまであるw

~10話まで
{netabare}
浮気現場抑えられるの図
やっぱ、くずおだった。るいを泣かせるんじゃねー!グーパンものですぞ。

くずお…嘘ばれた際にさらにさらっと嘘重ねるこれぞくずおの鏡。そもそも嘘つくなら根回ししとこ。
るい……やっべ超かわいいです。メガネが「くずおなんかやめてさっさと俺と付き合えって」行くしか
ひな……食事の合間にキスするってどんだけー。なんか学校でもしてるし。バレる予感しかしない…

んー、そうだなぁ、るい、ひなは男を見る目が無い。
(母親も元夫はひどいやつだったらしいし、遺伝なのか?)
メガネにしとこ。絶対、大事にしてくれるよ。
くずおもすぐバレるような嘘つくんじゃないよ。あれ、ももにも根回ししてないでしょ?

自分だったらもう少しマシな嘘をつくよー
{netabare}
くず「実は今ヒナ姉の料理の味見に付き合わされてるんだ」
くず「ヒナ姉からは特にルイと月子さんに内緒にしといてって言われたんだけど、」
るい「どうして内緒なの?」
くず「隠れて練習して二人を驚かせたいんだとよ。だから俺から聞いたって事は内緒な」
るい「そっか…それなら仕方ないね。ヒナ姉の料理じゃ大変。胃腸薬用意しとこうか?」
くず「そこまではいらないよ。だからまぁちょくちょくそっちで食べるよ」
{/netabare}
ってな感じで嘘と真実を少しずつ織り交ぜた上で内緒にする事を相手にも同意させるんだよー
ん?くずお感がマシマシになったって? 大丈夫、どっちにしろくずおだからw
{/netabare}
るいちゃん、すごい可愛い…

最終話まで
{netabare}
え?これで終わり??2期こないの?
んー、原作買えって事なのかなぁ…でもこれをレジに持っていくのはへたなエロ本よりも恥ずかしいかもw

ラマンのマスターもこれが見納めかぁそれにしても入れ墨すごw 銭湯入れちゃうのかよ!
やっぱメガネすげーいいやつ。こんな親友なかなかいない…

くずお…受賞おめでとー(棒読み)
るい……嫌いになる言ってたのに、今度はそっちがずぶずぶなるんかぁぁい!(でもるい可愛いw)
ひな……やっぱりバレたね。フラグ立てまくってたし…、多分くずおが粘着ストーカーになりそう
父母……んーあんたら最後までギャグ要員の域を出なかったね。

ラマンのマスターが超お気に入りっす。今期1位のお気に入りキャラですw
おっさんのふんどし姿でテンション爆上げしたのは初めてかも?

座薬とか、女性のもなぴーとか中々無い所に突っ込んできている作品で
原作は少年誌だけど袋とじらしいっすw 一体どこにいくつもりだマガジンwww
でもこのチャレンジ精神は嫌いじゃない!
{/netabare}

OPの曲めっちゃ好きです。はよ買わないと…
それにしてもCMのインパクトが強すぎて大爆笑してしまったw

見終わっての感想としては明らかに物語は途中なので
2期欲しいなーと思った次第。もっと見たかった。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 38

77.1 4 週刊少年マガジンでシリアスなアニメランキング4位
不滅のあなたへ(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (431)
1584人が棚に入れました
フシは最初、地上に投げ込まれた“球"だった。持っていたのは「刺激を受けた物の姿へ変化できる能力」と「死んでも再生できる能力」。球から小石、オオカミ、そして少年へと姿を変化させていくが、赤子のように何も知らぬままさまよう。やがて出会う人々に生きる術を教えられ温かい感情を知り、人間を模して成長していくフシ。宿命の敵・ノッカーとの壮絶な闘い、大切な人との別れ…痛みに耐えながら自分の生き方を選びとり、力強く生きるフシの永遠の旅を描く。

声優・キャラクター
川島零士、引坂理絵、内田彩、愛河里花子、斎賀みつき、津田健次郎
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

フシの出会いと別れの物語

[2021.8.31]
1期見終わりました。
通してみると、やっぱりグーグー編が一番好きですね。
でも最終話もなかなか良い締め方だったと思います♪
2022年秋に2期の告知がありました。
1期はちょうど原作6巻までだったので、同じペースだと2期は原作12巻まで
で、ちょうど第1部の終わりまでになりそうです。
ここまできたら、第2部も見てみたいですねー。3期とかになるかもだけどw
最終話の感想は一番下に書きました。

[2021.4.14初投稿]
原作は、「聲の形」の大今良時さんということで読みました。現在は第二部連載中です。
手塚治虫の「火の鳥」を想起させるスケールの大きさを感じる物語で、これがマガジンで週刊連載で描かれていることに作者の凄さを感じました。

ただ、アニメ化して面白くなるかな、とちょっと不安なところもあって。
作品のテーマがぱっと見、掴みづらいので、他にも作品が沢山あって、飽きやすいアニメ視聴者にはなんだかよくわからない作品だなーと投げられちゃう可能性もあるのかなと。
好きな話はグーグー編です。

NHKでアニメ放映ということで、それなりのクォリティの作品になるのかなと思ってましたけど、期待通りの出来みたいでとりあえず嬉しいです♪
全20話みたいです。
第一部の最後までやってくれると嬉しいけど、話数的に大丈夫かちょっと不安。

お話が進んだらまた感想など追記したいと思います☆

【第1話 最後のひとり】
{netabare}レッシオオカミのジョアンがなぜあんなに離れたところで死んでしまったのかを考えてみました。
私の妄想ですけどジョアンは少年のために楽園の場所を探していたのではないかと。
その途中で足にケガをしてしまい・・と考えるとちょっとせつないですね。
「僕のこと、ずっと覚えていて」がずっしりときます。
結局あの少年の名前って不明なんだよね。{/netabare}

【第2話 おとなしくない少女】
{netabare}マーチ編が始まった。
アニメは丁寧に進めてるみたいで進行はゆっくり目っぽい。
これだと第一部の途中で終わりそう。
「それ」はマーチと出会って幸運だったと思う。
最初に自分に愛情を注いでくれる相手と出会えたんだから・{/netabare}・

【第3話 小さな進化】
{netabare}ラストのアリガトオの声、インパクトあって良かったです。{/netabare}

【第4話 大きな器】
{netabare}この作品、ひとつ残念に思うところはオッケーとかハッピーとかスケジュールとか言ってるところ。
現代が舞台ならいいんだけど、こういう世界観を大切にしてほしい作品でやられちゃうと萎えます。。
作品が軽くなっちゃう気がする。
連れてこられたヤノメから脱出するマーチたち。
そして次回・・・! {/netabare}

【第5話 共にゆく人】
{netabare}フシは「刺激」を受けて、「器」を獲得する。
そして今回も新たな「器」を獲得するんだけど、こういうのなんだかやりきれないです・・
でも、フシは出会った人や動物たちをずっと覚えててくれるんですよね。
フシの中で彼らは永遠に生き続けるのでしょう。
次回、いよいよ「敵」が現れます。
このあたりからわけわかんないって思われそうでちょっと心配。{/netabare}

【第6話 私たちの目的】
{netabare}ヤノメから一緒に逃げた老婆ピオランとの再会。
彼女はフシに言葉や知識を教える。
前半はそんな二人のやりとりやフシが成長していく様子が微笑ましいです。
後半はいよいよ「敵」が現れて物語の雰囲気も変わります。
これは賛否あるでしょうね。何このバトル?って。
次回はいよいよグーグー編が始まります!
原作読んでた時から好きな話だったので、とても楽しみです♡{/netabare}

【第7話 変わりたい少年】
{netabare}グーグーいいキャラしてますね。やっぱりグーグー編は面白いです。
グーグーもリーンも原作よりもコミカルな感じになったかな。
ピオランのアップの作画が気合入っててちょっと笑った。。
グーグーはフシの兄貴分として、フシにとって大切な存在になっていきます。
次回も楽しみです♡{/netabare}

【第11話 過去からの贈り物】
{netabare}今回の話は原作の時から好きで、アニメもうまく演出してたと思います。
夢桔梗の花から、グーグーとリーンのあの日につながっていくところ、じわっときます。
グーグー、フシ、リーン、ピオラン、酒爺。
彼らの平穏な日々がずっと続けばいいのに。
これを言ってもどうしようもないのだけど、ノッカーいらない。{/netabare}

【第20話 残響】
かなり久々の感想になりました。
というのも私ジャナンダ島編(トナリ編)があまり好きじゃなくて。。
今回のピオランの話、とても良かったですね。
フシと再開したときのピオランのとても嬉しそうな笑顔。
老いていくピオランの面倒を見続けるフシ。
二人の関係には愛情が感じられて、{netabare}最期のフシの号泣に{/netabare}ちょっとうるっときちゃいました。
1話の頃と比べると、フシの成長がとても感じられたラストでした。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 44
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

『死』と『永遠』

この物語のテーマは、『死』と『永遠』なのでは?
と感じました。

出会う人が亡くなるたびに、その人の容姿を真似ることができるフシ。
そのフシが少しずつ成長していく物語。

球の頃は何も感じなかったフシ。
それがやがて、暑さ寒さを感じ
視覚や嗅覚、聴覚、触覚を感じ、
言葉を覚え、文字を覚え、生きる術を覚え、
そして心を成長させていく。

フシにかかわりをもった人たちがフシを成長させていき、やがて亡くなる。
そして新たな出会いがフシに訪れる。そしてその出会った人もまた…


人間はいつかは必ず亡くなる存在ですが、その心は永遠に受け継がれていく。
それをうたった物語なのかもしれません。

この物語の主要な人物を紹介します。


マーチ:{netabare}
マーチは大人になることを夢見ていた幼い少女。
誰よりもお話するのが好きな彼女は、フシに言葉や木の実の取り方を教えてくれました。
体こそ幼いけど、フシにとってお母さんのような人です。
だけど彼女は、自分の夢をかなえることができませんでした。
{/netabare}

グーグー:{netabare}
あらゆる運から見放されていたグーグー。
だけど彼は心根の優しい立派な少年です。

グーグーには幸せになってほしい。
私はそう願わずにはいられませんでした。

でも、フシと出会う主要な人は…。それがわかっているので悲しくて悔しくて…
グーグーは今でもフシと共に旅をしている。そう思いたいです。
{/netabare}

ビオラン:{netabare}
ビオランは罪を背負っている老婆。
いつ亡くなってもおかしくない彼女は、フシに文字を教えます。
そして年老いて死ぬということがどんなことかを、フシに身をもってわからせてあげたのです。
人間はいつか必ず命が尽きる。フシはそれを理解します。
{/netabare}

トナリ:{netabare}
小説家になることを夢見ていた彼女。
彼女は、フシにみんなで戦うことの大切さを教えます。
小説家にこそなれませんでしたが、彼女は罪人の暮らす島で島長(しまおさ)として過ごします。
彼女は、いつか再びフシに再会するかもしれません。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 59
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ツンドラの白夜の森から

イワ…ンじゃなかった石からでしたね
原作未読


アニメを観るようになって再評価したものの一つがNHK。
定評ある残酷描写が柔らかくなるかもと危惧してた『進撃の巨人』はごりごりだったし、進撃だけが聖域というわけでもなく『ヴィンランド・サガ』もごりんごりん。
『ツルネ』は京アニ大賞特別賞かなんかで鳴り物入り感があったし、大作『ピアノの森』ではガチ世界的ピアニストからの音源でした。内容評価はともかく力の入れっぷりには信用を置いてます。

 不滅のあなたへ

ここでいう“あなた”は主人公。
ざっくり概要だと、死なない主人公が人間を見送っていく物語です。と同時に見送られる側は去り際に何かを残していくという意味でこのタイトルかもしれないたっぷり全20話。

NHKアニメ班にもガイドラインあると思うんですけど、生と死をわりかし真面目に扱ってる印象です。本作もその系統。
真面目に扱ってるが故か某民放を出汁にして感動ポルノ批判をしてたりもする最近のNHK。とある民放の24時間某番組で頑張る障碍者やってる裏番組で聾唖少女の厳しい現実を活写した『聾の形』ノーカット放送をぶつけたりするぐらい不真面目を許さない社風(適当)。
その『聾の形』作者大今良時氏の原作です。ナレーションにはこれまた朝ドラナレーション士の資格を持つ津田健次郎さんが担当します。ずぶずぶやんとツッコミがないのが不思議なくらいです。


そのNHKの次に関心をひいたのが宇多田ヒカルが唄う主題歌『PINK BLOOD』。ビッグネームなのはもちろんですが、作品と歩調を合わせた主題歌は好感度高しです。

 ♪ 自分の価値も解らないまま子供でいられない ♪

歌詞より一部抜粋しとります。そんなお話になってます。

主人公について
ツダケンさんが観測をすると決めて投げ入れた“球体”の特質“刺激を受けて変化する”が唯一のルールです。そう何もないところから。それが主人公だという冒頭。どう転ぶかわかりません。
球体はそのうち自我みたいなのが芽生えたり言葉を覚えたりとアップグレードしていきます。そこに適宜ツダケンさんが球体にアドバイスらしき助け舟を渡す描写が続くことから、なんとなく親子関係に近しい間柄を基軸にした成長物語に見えなくもないのですけどあくまで

 刺激を受けて変化する“それ”の観測

であります。刺激となりうるものは何か?とどのような変化がもたらされたか?との視点を外さなければ迷子にはならないでしょう。
どうも観念的な話ですみません。
一個人の成長物語としての見方を否定したいわけではなく、環境因子がもたらす進化の物語とやや壮大な仕掛けを堪能するがごとき全20話というのを言いたい私です。
人類の起源はアフリカとなってますがそれと対極にある酷寒の地からこれまた異なる進化の過程を追ってみるのも一興。

もちろん娯楽作品であるためドラマティックなエピソードもままありますよ。 



※ネタバレ所感

■フシとゆかいな仲間たち

フシ役の川島零士さんは初主演とのことですが好演されてましたね。どんどこアップデートされてく主人公に合わせて声優として成長してったというわけではなく第1話からして引き込まれる演技をされてたと思います。

この作品のユニークなところはフシが主人公ムーブ起こしまくらずむしろ控えめで周りを囲む人たちが話を進めているところでしょうか。フシは観察者(CV津田健次郎)の観察対象でありながら、我々視聴者にとってはゆかいな仲間たちに触れるための触媒役を担ってくれてました。
例えるならネイチャーサイエンス系番組で森の中に定点カメラ置いて場合によっては数か月単位で計測してレア動物の生態を探る的なアレです。

そこを通り過ぎる人たち↓
{netabare}・ニナンナとヤノメ
 マーチ:生贄にされそうだった幼女
 パロナ:マーチを気にかけてた戦闘力高めな少女
 ハヤセ:大国からの使者で後にフシをストーキング
 ビオラン:婆さん
・タクナハ
 グーグー:仮面被った不遇の少年
・ジャナンダ島
 トナリ:褐色の不遇の少女{/netabare}

{netabare}最終回まできて初めてフシが寿命による人間の死を知ることとなるのがなによりの驚き。殺されない=死なない…ってフシは思いこんでましたね。
フシに変化をもたらす“刺激”とやらがこれまで不幸一辺倒だっただけに

 「お前の夢は何だ?フシ。ワシみたいにやりたいことをやれ!」

未来を見据えたメッセージを最後にもってくるとこがよかったです。2期決定の報もあり新たな角度からフシの変化の旅に随伴できることが楽しみです。{/netabare}

今よりも自身を大切にできるのかどうなのか含みを持たせたヒッキーの歌詞も響きます。

{netabare}「私の価値がわからないような人に大事にされても無駄」
「自分のためにならないような努力はやめた方がいいわ」
「誰にも見せなくてもキレイなものはキレイ」{/netabare}


■不死を巡る思惑たち

不死身や不老不死に向き合うにあたってちょっと不思議に思ったことがありました。

{netabare}誰もこのチートスキルを自分のものとしようとしないのよね。ハヤセだって自らを不老不死にしようとしてなかったと思える。この後どうなるかはわからんけど今のところそうである。
不老不死を個性の一つくらいの感覚で受け入れてる世界観。これこそ真の多様性の受容かと思います。
始皇帝や徐福みたいにエターナルパワー獲得が目的じゃないところが極めて日本らしい。
島では「とりあえず不死身だからお前行っとけ」とならずに子供が身を挺す。
なんなら貨幣をささっと作り出すこともできるだろうにそれもしない。

ある意味それを突破しそうなのがハヤセだっただけに2期の注目点ですね。{netabare}※最終回にちらっとご存命カットあったような…{/netabare}
彼女もともと生贄制度も鼻で笑ってるなど信仰心に乏しく、それが尋常ならざるフシと出会ってしまってそこにある種の“神”を見出しちゃったんでしょうね。カルトにハマる過程と酷似してますがいかんせん教祖はいない。ピュアな信仰心で抱く“畏怖の念”と“帰依(執着)”の感情を自分なりに消化しようとしてこじれてあんな風になったのだと理解しております。

思いのほかハヤセへの言及が長くなりましたが、物言わぬノッカーの存在も示唆に富むと思いますよ。
不老不死/不死身なんてこの地球見回してもあまりにも異質。この星の白血球やキラーT細胞みたいな設定だったとしても驚きはしません。{/netabare}



視聴時期:2021年4月~8月 リアタイ視聴

-------


2021.09.05 初稿

投稿 : 2024/04/27
♥ : 39

62.9 5 週刊少年マガジンでシリアスなアニメランキング5位
アシュラ(アニメ映画)

2012年9月29日
★★★★☆ 3.6 (155)
576人が棚に入れました
15世紀中期、相次ぐ洪水、旱魃(かんばつ)、飢饉で荒野と化した京都。
それに追い打ちをかけるように始まった日本史上最大の内戦・応仁の乱。その死者数・行方不明者はあまりに膨大で、歴史のページには刻むこともできなかった。こんな時代に産み落とされたアシュラは、ケダモノとしてサバイバルを続けながら生き抜いていく。
 そんな時一人の少女・若狭の優しさと愛、そして法師の教えに触れ、アシュラは次第に人間性を備えていく。
言葉を覚え、笑い、喜ぶ日々。しかしそれは苦しみと悲しみの始まりでもあった。やがて天災と貧困が起こり、人間性を失っていく人々。ついには若狭さえも……。
果たしてアシュラの運命は?

声優・キャラクター
野沢雅子、北大路欣也、林原めぐみ、玄田哲章、平田広明、島田敏、山像かおり、山口勝平、水島裕

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ダークな情景とカニバリズムの中に確かに感じる“生きること”へのメッセージ・・・今こそ『まどマギ』以上の絶望へと目を向けよ

原作は1970年の週間少年マガジンにて連載されていたジョージ秋山先生のマンガ
その残酷な描写から有害図書指定され、当時は社会問題にまで発展したそうな曰く付きの問題作


というのも、物語のプロローグとなるのは大飢饉に見舞われた平安時代の京都
腹に子を宿しながらも貧困に喘ぐ妊婦が一人・・・
妊婦の周りでは飢えへの苦しみから、人を殺してその肉を食すことを覚えてしまった狂者が出る程の始末
いつしか妊婦も辺りに平然と転がる死体を喰らうことを意識しはじめる
やがて子は産み落とされ、一時は母性を目覚めさせるものの、飢えはすぐに女の理性を歪ませる
そしてとうとう我が子の肉を食さんと、焚き火の中に赤ん坊を投げつけてしまう・・・


このショッキングな幕開け、そりゃ問題作にもなるわな;


やがて顔の焼け爛れたその赤ん坊は、親の手も無しに育ち、人語も解さず、人を襲ってはその肉を喰らう、、、というまさに【ケダモノ】として生きていた・・・


さてさて、この物語の魅力はいよいよここからなんです
だいぶ原作とは異なる部分も多いようですが、この作品には強く“生きろ”というメッセージが込められているんです


【ケモノのような子】はある日に一人の屈強な法師と出会い命を救われ、『アシュラ』と名付けられます
しかしまだ満足に言葉も話せず、暴力を振るうことでしか感情を表現出来ないアシュラ
怒りに任せた結果、偶然にも地頭の息子を殺してしまうのです
追われる身となったアシュラを匿ったのは、貧しいながらにも慈愛に満ちた『若狭』という少女でした
法師から教わった道徳、若狭と触れて学んだ優しさ、、、やがて人間として感情豊かになっていくアシュラ
しかしそんなアシュラの成長とは裏腹に、天災と貧困が人々を徐々に追い詰めていくのです・・・










一見すると『ノートルダムの鐘』にも似た構図を持つ作品
ですが比較にならないほどあまりに過酷な世界観、過激な描写、そして終盤に押し迫る哀愁
どれをとっても一級品のシリアスドラマ


監督の『さとうけいいち』と言えばテレビシリーズ『タイガー&バニー』の監督でもありましたが、今年度のタイバニ劇場版の制作を、彼はあえて別の監督に託し、今作の制作に打ち込んだようです


昨年度の東日本大震災の影響からか、過激な描写をあえて避ける映画も多々あった傾向の中で、今作はあえてダークな世界観、シリアスなストーリー、過激な描写に挑戦し、最高潮の緊張感の中で改めて【命あっての物種】という言葉を思い出させようという明白な方向性が見て取れます


なにより、カニバリズムという非人道的な行為の裏に「食べなければ生きていけない」という切なくも力強いメッセージを打ち出していることに拍手したいです
特に「食べなければ・・・」のキーワードを全く偶然にも同時期に扱った映画『伏』と比較するとその差は歴然としていて、今作の説得力の強さに感服しますm(__)m
(そしてこの「食べなければ・・・」がラストシーンの悲劇を生む・・・)
また、『まどマギ』においての魔法少女の宿命の一つでもある「戦わなければ生きていけない体」と比較をしても、今作はより身近で深刻な問題として捉えることが出来ます










さとうけいいち監督作品らしく、全編はCGで描かれていますが、日本ならではの2D(作画)アニメの手法を欧米主流のCGアニメへと転用するべく、様々な新手法が今作のために発明されたのも見どころ


日本画のような毛筆タッチの背景画をパーツ化、立体化して動かす(細田守の『おおかみこども』でも近いことをやってました)
キャラの影にハッチング(斜線)を自動生成するソフトの新規開発
いわゆるアニメパース(遠近法のデフォルメ。近くの物を極端に大きく、遠くの物を極端に小さく描いて迫力を出す)をCGで作り出すために、カット毎に異なるキャラモデルを作成


これらに加え、CGアニメならではのカメラワークとエフェクトの自由度が駆使され、度々挿入されるアクションシーンを盛り上げています










そしてオイラが最も注目してほしいポイントなのが声優
今作の主人公、アシュラを演じるのは大ベテラン『野沢雅子』
物語の序盤でアシュラは人語もままならないというだけあって、前半のセリフが全て“雄叫びのみ”なのです
この難しい役どころを演じきれるのはやはり大ベテラン、全く持って御見逸れいたします;


さらに中盤から登場のヒロイン、若狭にはめぐさんこと『林原めぐみ』
実は中盤以降、ほとんどがこのアシュラと若狭の二人だけの会話で進むという昨今珍しい狭いやり取り
まさにこの二人のベテラン役者だからこそ成り立ったであろうレベルの高い演技は、アニメのみならず邦洋実写を問わずしても屈指の【魅せる演技】であったと思います!
とにかく凄いんです、是非ともチェックしていただきたい!


最後になりましたが、音楽はタイバニに引き続き『池頼広』さん
この劇伴がまた最高に素晴らしい!
ですが小南泰葉さんが歌うEDテーマにはちょっと疑問です;
キュートな魅力とダークネスな妖艶さを兼ね備えた小南さんのロックな楽曲は、実は個人的にもファンではあるのですが、今作の重すぎるテーマに対して少し前向き過ぎるし可愛過ぎたかな?と感じました;

投稿 : 2024/04/27
♥ : 30

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

真面目に感動しました。

いろんな方のレビュー拝見してて、偶然知りまして。
昔、マンガ夜話か何かでちらっと名が出たので、ジョージ秋山の古い漫画という事と導入部だけを知っておりました。
ただ、私世代でもジョージ秋山って人は浮浪雲の世代ですのでこの作品知ってるのは年上な方かマンガがホントに好きな方だけでしょう。

アニメ化されてたなんて露とも知らず見過ごしておりましたが、この度拝見しました。

有難う御座いました としか言いようがないです。
見た後のこの何とも言えない感覚。
私はしょっぱなから涙腺ウルウルで御座いました。

生きる為に食う事を是とするのか、人としての尊厳を守って果てるのか。
この物語の人々は快楽ではなく、究極の選択の上での事。
旅の僧も言います。誰も食べたくて食べる訳ではないと。
モラルの間で悶え苦しむのは心を持った人だからこそ。
80分弱に描かれる、獣のごとく人を食らう事で生き残って来たアシュラが"人"になってゆく過程での苦悩とラストの姿。
この作品見た後でも私は正直迷いますね。


けなすようで申し訳無いけど、グリザイアの果実のレビューでも書きましたが本来あんなに浅く描いてはいけないテーマです。あの3話を見る時間と同じ分数でこの素晴らしい作品が見れますので、ほんと見た方がいいです。

非常に重いテーマ故に軽い気持ちで見てはいけない代物ですが、出来ればお勧めしたい作品ですね。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 9

ahirunoko さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

5項目だけでは評価をしきれない。ホントの総合評価は下がって4.0で

原作ジョージ秋山氏のかなり古い漫画。未読。

作画が素晴らしく綺麗!そして良く動く。
でも時々荒い画がチョロッと入るのは演出上?

これだけ背景がキレイなのに世界観に入っていけなかった。
理由は不明だがそれで評価を下げた。自分にとってそこはとても大事!

しかしこの、生きるとは他の命を喰うこと!というテーマをブレずに最後まで通し切ったのは見事!
分かりやすいがオーバーにすることなくリアリティある命のやり取りの描写は、まさに理性なき人(ホモサピエンス)の生態だなと。
人肉を食べなければならない理由もしっかりしているし。

声優さんで固めたCVもイイね!俳優さんやアイドル起用しない方が自分は好みだし断然良いと思う。野沢雅子御大はさすが!
あ!坊主のCVで北大路欣也氏出てるけどスマホCM観ての通り上手なので特別(^^)

かなりキツイ映像もあるので万人にはお勧めできませんが、出来れば広く観てほしい作品だと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 16
ページの先頭へ