頭脳戦で漫画原作なアニメ映画ランキング 2

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86.4 1 頭脳戦で漫画原作なアニメランキング1位
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊-ゴーストインザシェル(アニメ映画)

1995年11月18日
★★★★★ 4.2 (1095)
6495人が棚に入れました
他人の電脳をゴーストハックして人形のように操る国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」が入国したとの情報を受け、公安9課は捜査を開始するが、人形使い本人の正体はつかむことが出来ない。そんな中、政府御用達である義体メーカー「メガテク・ボディ社」の製造ラインが突如稼動し、女性型の義体を一体作りだした。義体はひとりでに動き出して逃走するが、交通事故に遭い公安9課に運び込まれる。調べてみると、生身の脳が入っていないはずの義体の補助電脳にはゴーストのようなものが宿っていた。

声優・キャラクター
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、生木政壽、家弓家正

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

90年代後半を振り返る ~身体と心の乖離、そして電脳社会の到来~

1995年11月に公開されたアニメ映画。
2008年にはCG映像を中心にリニューアルされています。
監督は押井守監督です。
アメリカのビルボード誌のビデオチャート1位を獲得、
「マトリックス」を始め、様々なハリウッド映画に多大な影響を与えた超本格SF作品。

風の噂によると押井守監督は、熱海の自宅を建てる為にこの仕事を引き受けたとか何とか。
まぁ風の噂ですよw

簡単なあらすじを言うと、西暦2029年。
他人の電脳をハッキングして人形のように操る
国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」を
主人公草薙素子(くさなぎもとこ)が所属する公安9課が追っていくという話です。

電脳化というのは、脳にマイクロマシンなどを埋め込み、
そこからネットワークに接続できるといったようなもので、
主人公の草薙素子も電脳化、
さらには義体化(簡単に言うとサイボーグ化)している存在です。

もの凄くざっくりと本作の紹介をするとですね、
この人間と機械の中間のような存在の草薙素子が、
記憶すらもデータとして扱われる機械と人間のボーダーレス化が進んだこの世界で、
「本当に自分は人間なのか?」と
自己のアイデンティティを問うて葛藤していくという話です。

本作はよく、難解であるとか、哲学的である、なんて表現がされますが、
哲学的かどうかというのは一旦置いておいて、
少なくとも難解であるとは思いませんでした。
その当時観ていたら、難解だと思ったでしょうけど、
現在の視点から言えば、非常に馴染みの深いテーマなんですよね。
つまり、本作のテーマは90年代後半に、アニメだけでなく社会全体の問題として
再三再四に渡って取り扱われてきたということです。

では、ここで90年代後半とはどのような時代だったのかを
ちょっと振り返っていきたいと思います。


押井守監督作品によく見られるテーマ、
いや、ひょっとしたら押井守監督の哲学なのかもしれませんが、
「現実と虚構の境界線の曖昧さ」

90年代後半はまさにそのテーマを現実として目の当たりにした時代でした。
本作公開年である95年は、1月の阪神・淡路大震災の天災に始まり、
3月20日には、国内史上最悪の人災と言われたオウム真理教による地下鉄サリン事件発生。
これまでは、創作物の中の出来事と思っていたような事件が、
今現実に起こっていて、
TV画面越しにそのショッキングな映像が映し出されていたのです。
教祖の言うことならば、どのような凶行も実行してしまう心を失くした信者たち、
こういった側面からも盛んに議論が交わされていました。

1997年には、神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)が発生。
自らを「透明な存在」と表現した当時14歳の少年が、
残虐無比な殺傷事件を起こし、日本中を震撼させます。

そして、街では
「身体と心は別物だから」と言わんばかりに少女たちは身体を売って、
援助交際は社会問題として取り扱われていました。

極めて不安定な状況に置かれた価値紊乱の時代。

また、1995年11月23日Windows 95日本語版を発売。
これが爆発的なヒットを記録し、
これまで夢物語と思っていたネットワーク社会が
すぐそこまで迫っていることを、一般層も意識せざるを得なかった
過渡期を迎えていました。

当時、ネットワーク社会が本格的に到来したら
日本はどうなってしまうのかなんてことは誰にも分からないことでした。

分からないということは、それは不安であり、恐怖でもあるのです。
ましてや、この時代は上述したように
「身体と心の乖離性」が大きく取り扱われていたわけですからね。

1997年にリリースされたサザンの「01MESSENGER ~電子狂の詩~」という曲があります。
これはPCやインターネット社会に対しての歌なんですけど、
ちょっと聴いてみましょうかw

ジャッジャッジャッラチャ~(前奏省略)

「君はいったい誰なの?」

はい、ストップ!!
ね、端っからこれですよ。

ネットワーク社会=仮想世界=そこに本当の自分など存在しない(本当の自分とは?)
もうこういう論調が当たり前だったわけです。
そしてそれは本作のテーマでもありますね。

90年代後半のアニメ作品を見ても、
95年10月に放送開始された「新世紀エヴァンゲリオン」は、
「身体と心の乖離」「本当の自分とは?」
これがテーマになってますし、
98年7月に放送開始された「serial experiments lain」なんかは、
まさに電脳仮想世界と現実世界の狭間で「本当の自分とは?」を
問うていくような作品なわけです。
厳密に言えば、本作とこれらの作品は似て非なるものなのですが、
それはまた別の機会に語ることにしましょう。


さて、90年代後半を振り返ってきたわけですけど、
こういう時代に生き、その当時の作品に触れてきた私にとっては、
本作のテーマというのは、難解でも何でもなく、お馴染みのテーマでした。
「90年代後半なんてまだ自分は生まれてないよ!」という方でも、
おそらくこういったテーマを扱った作品に触れたことがあると思います。

じゃあ、総括していきますよ。
政治的亡命とかODA要請とかの外交問題は何となくの理解で結構です。
公安9課と6課の内部コンフリクトについても何となくの理解で結構です。
専門用語? もちろん何となくの(略)
これらは主テーマを際立てせる為の、物語に重厚さを持たせる為の
ただの舞台装置と捉えてしまいましょう。

そして主テーマは、今現在の視点で言えば、非常に分かりやすいと思います。

細部までこだわり抜いた躍動感のあるアクションを楽しみ、
当時の技術の粋を尽くした映像を楽しみ、
物語の結末はどうなるのかをワクワクしながら楽しむ。

難解だと思えば、難解になりますけど、
シンプルに捉えれば、決して敷居の高い作品ではないと思います。

ただ、レビューを書いている人だと特にだと思いますが、
作品を網羅的に、構造的に理解しようとする人は結構多いんじゃないですか?
けれでも難しい所は何となくの理解でいいと思いますよ。

本作を視聴して、「この作品はそんな単純なものではない!」と思ったのならば、
各種考察を是非楽しんでみて下さい。
哲学的な視点から、宗教的な視点から、
台詞回しから、香港という舞台1つとっても、
本作は、それができる作品です。

95年当時、間違いなく衝撃的な作品だったでしょうし、
現在の視点で言っても、アニメ史に残る名作として語り継がれていく作品だと思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 65
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界5分前仮説

押井守監督によるの攻殻機動隊シリーズ劇場版第1作。
劇場版は、テレビ版の「攻殻機動隊 Stand Alone Complex(http://www.anikore.jp/anime/475/)」のパラレルワールドという設定です。
世界観がよく似ているのでどちらから入っても大丈夫です。
しかし、テレビ版から見たほうがとっつきやすくていいと思います。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 → http://www.anikore.jp/anime/1798/

イノセンス -INNOCENCE → http://www.anikore.jp/anime/1864/


人間の脳が電脳化され、ネットワークで接続されるようになった時代。
人形使いと呼ばれるスゴ腕のハッカーが、次々と電脳をハッキング。
それを追う公安9課(攻殻機動隊)の物語。


ガッチガチのシリアスなストーリーです。
テレビのシリーズとは異なり、タチコマという癒やし要素が存在していません。
もともとの硬派なアニメがさらに硬くなりました。


目立つ特徴は独特な間。
多くの時間がBGMと動画だけで占められています。
映像と音楽で表現される「行間」です。

しかし、いったんしゃべり出すと嵐のようなテーマ展開。

キーワードは、

・全と個の境界
・生命の定義
・現実と夢の境界

といったところです。
見るだけでくらくらしますね。
でも、そんな哲学を上手に表現するのが、このアニメの持ち味です。


みなさんは、「世界5分前仮説」ってご存じですか?
文字通り、この世界は5分前に生まれたという話です。

「世界は5分前に、5分前の状態で作られた」

別に30秒でも1時間でもいいです。
要するに、「記憶」は本当にあったできごとなのか、それとも植え付けられたものなのか。
それは証明できないという理論です。

このアニメでも似たようなことを表現しています。

自分という個が昔から確かに存在し、今も存在している。
それを証明する手立てはあるのか?
また、これからも個を存続させることはできるのか?

それに対していろんなアプローチをしているのが本作。
テーマは「アイデンティティ」。
カギとなるのが先ほどのキーワードです。


何やら難しいことを書きましたが、簡単に言えば、
{netabare}
素子(もとこ)「機械化しすぎてワケがわからなくなったけど、自分って本当に人間として生まれてここにいるの?」
人形使い「記憶があるんだから自分は人間と変わりがない。でも、自分をコピーで増殖しても進化がない」

機械に近い人間と、人間に近い機械。
さーて、そんな2者が合体したら答えは出るのかしら?
{/netabare}
ということです。

なかなか面白いテーマだと思います。
2度、3度と見ると、テーマにつながる新しい発見があります。
余韻が残り、いろいろ考えをめぐらせてみたくなる、そんな作品でした。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 59

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「私」を規定するもの

押井守監督作品。

種としての生命は、
遺伝子という記憶システムを持ち、
人はただ記憶によって個人たり得る。

様々な外部装置の進歩により、
記憶の改ざんも可能な世界にいる人にとって、
「私」を他人に「私」であると、
証明できるものは驚くほど少ない。
「私」を規定するものは何だ?

混沌の世界に展開される、
押井守×士郎正宗の哲学、娯楽との邂逅。
当時の粋を尽くして描かれる虚構と現実、
現代もなお、この作品に追い付けてはいない。
私たちの自我に対する根源的な問いかけ。

人と機械の境界線が曖昧な時代。
原初の海から生命が誕生したように、
広大な情報の海は何を生み出し育むのか!?
正真正銘、傑作シリーズの始まりです。

もう一度問わねばなりません。
「私」を規定するものは何だ?
何を持って「私」であると証明できるのか?

投稿 : 2024/05/11
♥ : 57

64.6 2 頭脳戦で漫画原作なアニメランキング2位
名探偵コナン 天空の難破船(ロストシップ)(アニメ映画)

2010年4月17日
★★★★☆ 3.7 (264)
1644人が棚に入れました
世界中を股に掛けて宝石を狙う怪盗キッドのところに、彼との対決に執念を燃やす大富豪・鈴木次郎吉からの挑戦状が舞い込む。世界最大の飛行船ベルツリー号の宝石“天空の貴婦人”を盗んでみろという次郎吉の申し出を知らされ、コナンや蘭、小五郎も駆けつけるが……。

声優・キャラクター
高山みなみ、小山力也、山崎和佳奈、山口勝平、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、緒方賢一、松井菜桜子、堀川りょう、宮村優子、永井一郎、石塚運昇、優木まおみ、大橋のぞみ、大友龍三郎、中田浩二、大矢兼臣、小山武宏、小川真司、茶風林、井上和彦、湯屋敦子、千葉一伸

Baal さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

空での話です。

名探偵コナンの映画作第14作目として公開

された作品です。

鈴木財閥の飛行船でのキッドとの対決と

謎のテロリストとの二つの物語が交差していて

それを上手くさばいていくコナンが

良かったと思います。

空中での閉ざされた空間での

対決は面白かったと思います。

キッドはいつものように利用されたり、利用したり

と奔走していたように思いました。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 16

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

まじっく快斗ファンには嬉しい作品

一言で例えるならば、コナンに海外ドラマ「24」を取り入れたようなストーリーを展開した作品。

◆この作品のみどころは・・・
やはりコナンと怪盗キッドのコンビでしょう。
従来のコナンアニメに出てくる怪盗キッドはキザでクールな雰囲気を出していましたが、今回は本来の姿である「まじっく快斗」のコミカルなキッドが見られます。
キッドの描写シーンはかなり多めで、主要キャラとの絡みは思わずニヤリな展開。
コナンファンはもちろん、キッドファンには絶対楽しめる内容だと思います。

◆声優について・・・
劇場版の作品では、この作品から毛利小五郎の声優が「神谷明」から「小山力也」に変更されております。
「小山力也」といえば「24のジャック・バウアー」が真っ先に思い浮かびますが、やはり声優交代は違和感がありすぎます。
ただ、この作品ではその事を考慮してか毛利小五郎の出番をかなり少なくしてあり、「声優交代を徐々に慣れさせていこう」という配慮がされているみたいで良かったかと思います。
そういえば、この声優交代の理由って信頼関係を失うような事態が発生したという事らしいですが、こういう事情での声優交代は視聴者としてはやめてもらいたいものですね。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 15
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

怪盗キッド登場3作品目

本作は銀翼の奇術師以来3回目の怪盗キッド登場作品である。キッドが登場する作品は、ハングライダーを見せたいのか、空が舞台の映画が多い(とはいえ2/3だが)。
本作から毛利小五郎の声優が小山力也に変わった。また、著名人によるゲストは、大橋のぞみ、優木まおみが出演。
前作からの反省か重要な役は演じない。(優木まおみの役には名前も無い)
原作では自称怪盗キッドのライバルでお馴染みの鈴木次郎吉が映画に初出演。

以降の「ネタバレ」はWikiから引っ張ってきたあらすじです。
読みたい人は読んでください。核心には触れていません。
{netabare}
東京都西多摩市の国立東京微生物研究所が、7人組の武装グループに襲撃される事件が発生。武装グループは研究所に厳重保管されていた殺人バクテリアを強奪、研究所を爆破して逃走した。

翌日、警視庁での記者会見の最中にテロ組織「赤いシャムネコ」から「殺人バクテリアを手に入れた。7日以内に次の行動を起こす」との犯行声明がインターネット上に流される。

時を同じくして、鈴木次郎吉がまたもや怪盗キッドに挑戦状を叩きつけた。鈴木財閥が建造した世界最大級の飛行船「ベル・ツリーI世号」に収めたビッグジュエル「天空の貴婦人(レディー・スカイ)」を盗んでみろというのが今回の挑戦。制限時間は東京を出発する13時から大阪に到着する19時までの6時間。キッドからは「夕方、飛行船が大阪市上空に入ってから頂きに参ります」との返事が届いた。

赤いシャムネコの犯行予告期限の7日目、飛行船は次郎吉の招待を受けたコナン、蘭、小五郎、少年探偵団、さらに中森警部ら刑事と独占取材陣たちを乗せて離陸した。ところが、各々が遊覧飛行を楽しんでいた矢先、赤いシャムネコから「殺人バクテリアを船内にばら撒いた」との脅迫電話が次郎吉にかかってくる。喫煙所を調べると、ソファーの下に赤いシャムネコのアンプルが発見された。その直後、乗客と乗務員の2人に感染症状である発疹が発生。さらに船内に侵入した赤いシャムネコによって飛行船がハイジャックされ、船内に爆弾を仕掛けられてしまう。爆弾が爆発すれば乗客・乗務員全員が犠牲になる。そして、大阪上空で飛行船が爆発して細菌が飛散した場合、関西圏の1000万人の人々が感染の危機に晒されることになる。

テロリストたちの目的は一体何なのか? そしてコナンとキッドの対決はどうなってしまうのか。
{/netabare}

物語が飛行船内で展開され、ハイジャックのスリルが味わえる本作だが、キッドとコナンが仲が良すぎな気が・・・(戦略的互恵協定だろうけれども)
キッドが登場する作品はいつもキッドにオイシイ場面をもっていかれ、コナンは地団駄を踏むわけだが、本作はそんなキッドの「まじっく快斗」の顔である、少しドジな一面も伺える。
服部も2作連続出演し、3人が協力し活躍するのは私は好きである。また、最近あまり取り上げられない新一と蘭の色恋沙汰もきちんとあって、盛りだくさんな作品だ(相変わらずコナン無双のシーンは存在する)。

総評としてはコメディ要素が強く色々詰め込んでいて面白かったが、肝心の推理が今一つ。
犯行の動機も・・・{netabare}仏像盗む為に何をしているのこいつ等は{/netabare}

キッドが好きな人にはお勧めです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 13
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