鬱で残酷なアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の鬱で残酷な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月10日の時点で一番の鬱で残酷なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.0 1 鬱で残酷なアニメランキング1位
火垂るの墓(アニメ映画)

1988年4月16日
★★★★☆ 3.8 (840)
5518人が棚に入れました
1945年(昭和20年)9月21日、清太は省線三ノ宮駅構内で衰弱死した。清太の所持品は錆びたドロップ缶。その中には節子の小さな骨片が入っていた。駅員がドロップ缶を見つけ、無造作に草むらへ放り投げる。地面に落ちた缶からこぼれ落ちた遺骨のまわりに蛍がひとしきり飛び交い、やがて静まる。太平洋戦争末期、兵庫県武庫郡御影町に住んでいた4歳の節子とその兄である14歳の清太は6月5日の神戸大空襲で母も家も失い、父の従兄弟の未亡人である西宮市の親戚の家に身を寄せることになる。当初は共同生活はうまくいっていたが、戦争が進むにつれて諍いが絶えなくなる。そのため2人の兄妹は家を出ることを決心し、近くの池のほとりにある防空壕の中で暮らし始めるが、配給は途切れがちになり、情報や近所付き合いもないために思うように食料が得られず、節子は徐々に栄養失調で弱っていく。

声優・キャラクター
辰巳努、白石綾乃、志乃原良子、山口朱美
ネタバレ

◎TARGET さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

戦争の悲しみを疑似体験できる映画

❏高畑勲と宮崎駿

高畑勲監督は宮崎駿監督と違って説教臭くて理屈っぽい
映画が多く、他の作品はそれほど好きじゃないのだが、
この作品は説教や理屈という感じは全くない。

宮崎氏はアニメ監督だけあって、脚本やセリフだけに頼らず
絵(映像)で伝えようという意気込みと熱意がどの作品も
ひしひしと伝わってくるのだが、高畑氏の作品はどうしても
絵よりもセリフや言葉で伝えようとする感じを受けてしまう。
しかし、この「火垂るの墓」は絵でも伝わってくるものがあった。


❏総評

戦時下の理不尽な運命に翻弄された2人の不幸な兄弟の
生き様が、切々と描かれており、視聴者はそれをただただ
受け入れるしかない映画。それはまるで戦時下の不幸な
感情を疑似体験してるかのような非常につらいものである。
(人生経験、年齢、世代によって人それぞれだと思うが…)

昔見たときはあまり感情移入できずに、
「辛気臭くて悲しい映画だなぁ」でオシマイだったが、
今見たら色々想うところがあり涙が止まらなかった。


❏ネタバレレビュー

以下、ネタバレレビュー
{netabare}
清太と親戚の叔母さんの関係がギクシャクしだしたのが
不幸の始まりだが、私的にはどちらも責められない。

清太はお兄さんに見えてまだ14歳だし、親しくない叔母さんに
あれだけ嫌味を言われたら、出てくしかなかったんだと思う。
妹と自分の命を最優先に考え、プライドを捨てて叔母さんに
ゴマを擦りながら、うまくやってくような処世術は14歳の子には
まだまだ難しいのではないだろうか。むしろ思春期で自我が出始める
時期なので自分一人で全部しょいこんでしまって
裏目に出ちゃったのでしょう。

親戚の叔母さんに関しては言い方が少々キツメだったが、
言ってることは全て正論だ。運良く、叔母さんの性格が
穏やかで懐が深い人間性だったら清太をやさしく導いていく
ことも可能だったのかもしれないが、戦時中の余裕が無い中で
そこまで悠長な事ができるような人は、そう居ないのではないだろうか。

だからこれは誰が悪いとかっていうよりも
戦争は人間をこのように不幸にする理不尽なものなのだ
というのが私の感想。

節子はまだ4歳で、色々とわがままを言いたい盛りだろうし、
お母さんにもまだまだ甘えたかったはずなのに、作中では
わがままも言わずに、健気にお兄ちゃんと2人で生きてる様が
描かれていて泣かずにはいられなかった。

フィクションなのはわかっているが、
節子が死ぬのはどうにもやりきれない。

人生は時に理不尽なものだが、
幼い子がこのように死んでいくのは正直きつい。(泣)

(無理だけど)作品の世界に入っていってご飯を食べさせて
医者につれてってあげたい気持ちでいっぱいだった。
{/netabare}


❏戦争と飢餓

原作は事実を元に脚色したフィクションだが、
実際このような話や、もっと悲惨で壮絶な話は
当時いくらでもあったのではないかと思う。
だとすれば、なんか心が痛む。
(靖国神社にお参りに行こうかな。)

ちなみに我々日本人にとっては随分昔の話だが
世界中では現在進行形で同じような目に会ってる子が
たくさんいるんだよね。

イスラエル周辺、中東、ロシア国境沿い、アフリカ等
戦争や内戦で多くの子供達が死んでいってるし、
第三世界では戦争に関係なく飢餓で多くの子供が死んでいる。

でも今すぐ自分でどうにもならないし、どうにもできないけどね。
日本を含む先進国は幸せだね。ただ今の平和を満喫したい。とそう思う。

一個人で戦争は避けることはできないけど、
いざ戦争や災害になった時に、彼らのような子供達を
助ける事ができるような力を持った人間になりたい。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

暗く救われない物語

世界観:5
ストーリー:5
リアリティ:9
キャラクター:4
情感:6
合計:29

終戦間近の神戸に突然B29の大編隊が襲いかかった。清太と節子の兄妹は空襲の混乱の中、母親を亡くし、家を焼け出される。路頭に迷った兄妹はやむなく小母の家へ身を寄せることにするが、そこでも生活が苦しくなるに従って小母とのいさかいが絶えなくなり、清太は家を出る決心をする。荷物をリヤカーに積み込み、横穴壕でままごとのような二人の新しい生活が始まるが、やがて食糧も尽き…。
(Amazonより)

先の戦争を市民の視点から描いたアニメ映画として「この世界の片隅で」と比較されていたり、外国人のLive Reactionでもいくつか見たことと、ちょうど8月ということもあり、この機会に視聴してみました。

冒頭から、{netabare}主人公兄妹(清太と節子)が死んでしまうことがわかり、開始早々、戦争末期の本土空襲を受けて母親が死亡。父親は出征中という状況でしたが、その後、艦隊とともに沈んでしまった模様。兄妹はおばの家に世話になりますが、生活が苦しくなるにつれ、ぞんざいな扱いを受けることとなり、兄弟は他にあてもなくその家を出て防空壕で自活を始め、栄養失調による病気で亡くなるという、何とも暗く救われない話です。{/netabare}

しかしながら、敵国に関するエピソードはほとんどなく、直接の反戦的表現はありません。淡々と、苦しい生活を営む人間を描いています(この点、リアリティが高く感じられます)。

外国人のLive Reactionで泣いたり絶賛している人を見て、感動する前提の心持ちで視聴したのがいけなかったのかもしれませんが、終わりまで大きな感動の波は訪れなかったです。

{netabare}冷たい視点かもしれませんが、私はこの兄妹の年で家を出て自然の中で生活することの難しさを痛感しました。おばの態度は確かに悪いものですが、おばの理性に基づく言動の範囲であり、清太は自分のプライドのために、節子(結局自分も)を犠牲にしてしまったのではないか、と。おばの家の仕事の手伝いをするとか、何か食べ物を探してくるとか、家計の足しになる努力はできなかったのでしょうか。住まわせてもらえることの感謝を、伝えなかったのでしょうか。清太も小さいので、そこまで考えが及ばないというのもリアルと受け取れますが、節子のために、おばとうまくやってほしかった(作品としては、そこまでやって駄目だったというシーンを入れてほしかった)と、思ってしまうのでした。

清太らは何も悪いこともしていないのに理不尽な環境に陥り、やるせない気持ちになったと思います。そういう状況で、腐らない気持ちを持つことができるか、自分に置き換えると自信はないのですが、自分のプライドを守ろうとした結果、他人の畑を荒らし、捕まれば妹の病気のせいにする、弱く醜い人間となってしまい、結末も完全なバッドエンドとなってしまったのは非常に重いですね。

他者への隣人愛は、衣食住の環境が整ってはじめて与えることができるものであり、自分が生きるのに精一杯という場合にはなかなか難しい、ゆえに、人々の基本的生活を窮地に陥れる戦争はいけないものだというメッセージでしょうか。言外に教訓が盛り込まれた作品だと思いました。{/netabare}

無論、希望があり、主人公らに親しみを持てる「この世界の片隅に」のほうが好きですね。

北朝鮮と米国の緊張関係が続いており、いつ、私たちもこのような事態に巻き込まれるかわかりませんが、どんな状況に追い込まれようとも、死ぬまで精神を腐らせずに生きたいと願うばかりです。

(参考評価:3.6)
(2017.8視聴)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19
ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

一度は見ておきたいと思わせる名作アニメだが、普通ならば二度目を見る必要はないし、見たいと思うことになる筈もないだろうと思われる作品で、

ひとことで言えば、高畑勲氏の、世間的に最も知られた、という意味での名作にして、最大の失敗作。

私自身が原作の野坂昭如氏の著作のファンであったこともあり、
こういう形で映像化されたことが悔しくてならない。
野坂氏は、はじめ映像化を拒んでいたが、
鈴木プロデューサーから、おそらくは近藤喜文氏の手になる、戦時中の野菜畑になる胡瓜の花のデッサンを見せられて、
そのあまりの見事さに涙が止まらなくなり、結局、映画化を了承したと、自身のエッセーでつづっていたが、
このような主観要素で充ちた作品になるとは思ってもいなかっただろうし、
自身の体験に基づいた小説の映像化作品であるならば、これを否定することは野坂氏本人には出来ないだろう。

が、一読者としては、
同じエピソードではあっても、
野坂氏独特の、饒舌で濃密にして洒脱な関西弁の文章があってこそ、
そして {netabare}兄妹二人それぞれの死という悲劇さえもさらりとした戯作に化けさせてしまう語り口の上手さがあってこそ、読んで面白い、成功した小説であったので、
野坂氏の弾むような文体を失ったうえに、亡霊と化した清太と節子を再三再四に亘って登場させては、まったく異質な作品になってしまったと、残念だがそう断じるほか、ない。{/netabare}

これは反戦思想のプロパガンダと被害者意識の押し付けであり、見ていて嫌悪感しか感じられない。
つまるところ高畑氏は、自らの思想を観客に押し付けることしかできていない。

最終盤のワンカット、 {netabare}繁栄する神戸の街並みが一瞬うつるが、勿論この映画のつくられたほんの7年後、神戸は大震災によって壊滅的な打撃を受けることになる。
結果論に過ぎないが、悲劇は人災だけではないという厳然たる事実を、無視したからこそ作れた、人の営みに対する攻撃精神に満ちた作品なのだ。{/netabare}


物語について言うと、
一般に、叔母の家を出奔する清太の選択肢を非難する意見が、映画公開当時から多かったが、
{netabare}私が、見ていていちばん嫌だったのが節子の、幼児特有の身勝手さ加減。

実は原作では、叔母の厭らしさを上手に笑い話めいて書いていて、
兄妹で出奔し、二人で横穴暮らしをすることを選ぶとき、
この兄妹の気持ちは、それまでの、叔母からの嫌味やしがらみから逃れることに成功した、解放感・至福感に満ちていた。
映画ではその部分も含めて、楽しい、とか、嬉しい、とかの描き方が弱いから、観客は、清太にも節子にも感情移入が出来ない。

辛い苦しい暑い痒い痛い腹が減った居心地が悪い、の連綿たる繰り返し。

おまけに節子を救われるすべなき、最大の被害者として描くから余計に気持ちが悪い。{/netabare}

これは脚本の非力以外の何物でもない。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

65.3 2 鬱で残酷なアニメランキング2位
劇場版 selector destructed WIXOSS(アニメ映画)

2016年2月13日
★★★★☆ 3.8 (69)
438人が棚に入れました
希望、願望、欲望……それぞれの想いを胸に、少女たちが危険なゲームの渦に飲み込まれていく物語が描かれる。

声優・キャラクター
加隈亜衣、久野美咲、佐倉綾音、茅野愛衣、釘宮理恵、赤﨑千夏、瀬戸麻沙美、種田梨沙

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

痺れろ!震えろ!!恐れ慄け!!!これぞselectorの完成形だーっ!!!!

凄い、これは本当に良い映画です
完全に甘く見てました、ダークホースです;
「WIXOSS」という実在のトレーディングカードゲームを題材にしつつも、サスペンスな展開が連続する【鬱アニメ】として人気を博した『selector』シリーズ
2014年の春期に『infected』全12話が、秋期に『spread』全12話がテレビシリーズとして放映されたシリーズを総集編として再構成しつつ、新規シークエンスの挿入によって結末を大きく変えた【新訳】とした90分の劇場版です


巻き込まれたら逃げれない、願いを叶えるために戦いの無限ループへと身を投じる少女達を描いた所謂『まどマギ』系アニメ、、、というところにあらすじは留めておきましょうか?
可愛い女の子達がトコトン酷い目に遭う!
仄かに描かれる友情を超えた女の子同士の(百合的)愛!
そういう作品です、察してくださいw


最大の観どころは女性声優陣による鬼気迫る演技
それが劇場版総集編ってことでこれでもか!ってぐらい盛り沢山です
加隈亜依さん、赤崎千夏さん、釘宮理恵さん、、、っていうか全員凄すぎる;
魂を削って演じてる感やばい
これぞプロ、これがプロ
ただ豪華、ってわけでなくこのキャストでなければイケナイ感強いですね


基本的にテレビシリーズ2作を順に追っていくのですが、セレクターバトルの真相に関わりの無いちよりとエルドラはほとんど出番が無い
また、セレクターバトルの真相は繭やイオナの口から直接語られる為に、中盤の解説役だったふたせ文緒に至ってはその存在すら無かったことになってます
少しセレクターバトルの真相の説明に関しては急ぎ足になってますね
オイラはこれで十分だと思いますが初見イッパツ観ただけでは理解出来ない人もいるかもしれません


また、唯一気になってしまった点としてはるう子がイオナに「ユキ」という名を授けるシークエンスが丸々削られてしまっているので、目的が不一致してたるう子とイオナがいつの間にか和解してしまっているのが残念でした


さて、その逆に最も大きな新規挿入シークエンスとなるのが序盤早々からラストに至るまでたっぷりと尺を割いてウリスの過去が明らかになることです
なぜウリスが戦いに身を投じ続ける歪んだ性格になってしまったのか?
そのバックボーンの部分を描くことにこの映画は一番注力しています
これが本当に良かったですb
ウリスがただのキ○ガイでないことがよくわかります
また、彼女の出生にまつわる新キャラも登場します


そして物議を醸し出した‟あの”テレビシリーズラストシーン
これもかなり具体的な描写に差し替えられており、ルリグとなってしまった少女達のセレクターバトル終了以後の姿なども克明に描かれていました
前述した過去をしがらみに持っている為、全てが終わった世界にも希望を持てなかったウリスを‟含め”【本当のハッピーエンド】が鑑賞者を待っています!
素直に涙が出ました、拍手です


でも!
この映画を是非劇場でチェックして欲しいポイントはもう一つあるんです!
それが井内舞子さんによる劇伴です!
音圧たっぷり、ノイジーかつキャッチー、ダンサブルでいてメロディアスな井内さんの電子音楽
これが劇場の音響だと全然迫力が違う
ほんま痺れます
最近だと『ガルパン』の音がすげぇ、って言いましたがそれに並び立つ作品ですよコレは
立川シネマシティでの極上爆音上映もやってるんですけど『ガルパン』は人気なのに『selector』はガラガラって・・・勿体無さ過ぎる!
機会があれば極爆行きたいですぅ・・・皆さんにも是非劇場でチェックして欲しいです

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

恐ろしく怖いウリスです!+ 演技力

 初日0:00からの最速上映、見てきたです。このアニメというと深夜放送されていた闇のアニメという印象だったので、深夜見た方が世界観にあっているのかと思ったです。
 これの劇場CNを見ていたときTV放送の続きの話なのかと思っていたけど、繭目線、特にウリス目線の強い総集編に新作カット+αのアニメだったです。

{netabare} 序盤でウリスの人間だった時(留未)のお話があるですけど、幼い頃から人として悪い言い方をすると狂っているような恐ろしさが、すでにあったでしたです。一緒にいる幸に対し「幸は、棒を一本取ると辛になる・・・」だとか言って、信号無視して飛び出すシーンは、性格の歪んでいるようにしか見えなかったです。
 タマの名前の由来も、その後分かるです。{/netabare}最初からドス黒いとでもいうのか?楽しいカードバトルでなく、暗黒の展開にしか見えない印象だったです。
 でも、前半などTV総集編の映像まんまみたいなところが、オリジナリティに欠けていると思えたのは、残念だったかなぁです。

 ウリスが伊緒菜になったときなど、さらに邪悪さが増したとことが見どころだと思ったです。{netabare}病院で意識のない幸に会いに行ったのだが、気遣って話してきた婆さんに対し、邪悪そのものとしか思えない対応に{/netabare}私とは全く違う次元の人間なので恐怖を見たです。

 るう子がユキと共に繭の世界に乗り込む展開に変わり、ウリスが伊緒菜でなく繭のルリグとしていつの間にか登場するのだが、ウリスの気が狂っているキャラ全開だったです。

 ルリグは、元の少女達に戻った。TV放送では描かれなかった{netabare}花代、緑子の触れ合いやるう子が、人間になったタマに再開できたのは{/netabare}劇場版ならではでしたです。
 肝心のウリスは、地獄に落ちればいい{netabare}と思っていたけど、ルリグの姿として再開した幸が手を差し伸べた展開は、意外性があるというのかウリスも救われたんだなぁ{/netabare}と見てしまったです。
 るう子、タマ、繭の霞む劇場版だったです。

2016 2.13 +

 再び見てみて感じたのは、TV放送を見ないで劇場を見たとすると、この部分が理解できるのかなぁ?と思ったです。

{netabare} 最初に観たときにすぐわかったウリスがいきなり繭のルリグ登場する所、イオナが突然ユキの名前になった所、繭の謎にあまり触れられていない所、ちよりが一瞬みたいで何だったの所など・・・・。まだ他にもあるかもしれないけど。{/netabare}

 この劇場版WIXOSS、やはりTV放送の捕捉と新作カットとかのウリス視点を表しているように見えるです。

EDの歌、同じ人が歌っててもどこか激しさとでもいうのか?、今までのWIXOSSの歌と違った良い歌でしたです。

役とはいえ、ウリス、晶が少女らしさのない言葉を堂々と話すのを再び劇場で聞くと、声優さんの凄さを改めて感じたです。
 それとは別にるう子、タマも役にあってたと思ったです。それでも断トツは、やはりウリスだと思うです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「絶対に叶えたい、その願い―」。

この作品は、TVアニメ版第1期「selector infected WIXOSS」と第2期「selector spread WIXOSS」の総集編に、ウリスの後日譚と、朧気な記憶ながらラストのシーンにこのゲームの顛末も一部追加されていたと認識しています。


都会に引っ越してきてから、友人もなくなだ毎日を特に不満もなく過ごしていた女子中学生、小湊るう子。
そんなるう子を気遣う祖母をみかねて、兄がるう子に買い与えたものは、中高生の男女を中心に人気の
WIXOSS(ウィクロス)というカードゲームであった。

るう子が渡されたカードゲームを開け、プレイヤーの分身であるルリグカードを見ると、
突然カードの中に描かれたルリグカードの少女が動き出した。

不思議に思うるう子をよそに、その少女あるう子にバトルがしたいと言い続ける。
その少女の事をタマと名付けつつ、不思議な事態に困惑している彼女の前に、
るう子の事をセレクターと呼ぶ同級生の紅林遊月から突然カードバトルを挑まれる。

彼女によると、"意志を持ったルリグカード"を手に入れた選ばれた少女は
"セレクター"と呼ばれ、そのセレクター少女同士のバトルを制した者は
最終的に自分の望んだ姿「夢限少女」となれると…
タマは何者か?セレクターとは?夢限少女とは一体…?


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

TVアニメ本編全24話に追加映像を含め、これらが90分前後に纏められているのですから、相当バッサリ切り落とされています。
約550分相当の尺を90分に短縮ですから、約16.3%と本編の8割以上がカットされていることになります。
従って、物語の核の部分を繋ぎ合わせている感じなので、この物語の全容を知りたければ、劇場版を視聴する前にTVアニメ本編の視聴をお勧めします。

ですが、劇場版はスルーして良いかというと、決してそういう訳ではありません。
私は、TVアニメ版第1期のレビューを2014年6月24日に、第2期のレビューを2014年の12月23日に投稿しているので、視聴したのはもう6年前になります。

ですが、一度TVアニメ本編を視聴していると劇場版を見ていても内容が頭の中で繋がりますし、何よりこのWIXOSSゲームの顛末が追加で描かれているんです。
TVアニメ本編のその先が描かれているとあっては、やっぱり気になりますよね。
しかも、そこまで尺は取れていないものの、内容は結構濃密でしたし…

声優陣では、るう子とタマを演じた「くまちゃん、くのちゃん」コンビもさることながら、ウリスを演じたくぎゅの演技が特に印象に残りました。
今回のウリスはヒール役に徹していましたが、同じくぎゅボイスを耳にするならシャナとか、ルイズとか、ナギっぽい役どころの方が良かったな…なんて思っているのはただの贅沢なんでしょうね^^;

この劇場版を視聴してるう子たちのWIXOSSに纏わる一連の物語に決着がついた気がします。
久々のWIXOSSだったので懐かしさも相まって、しっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5

63.8 3 鬱で残酷なアニメランキング3位
地下幻燈劇画 少女椿(アニメ映画)

1992年5月2日
★★★★☆ 3.4 (61)
224人が棚に入れました
浮世絵のような作風で国内外で人気を博す漫画家・丸尾末広の『少女椿』を原作にした劇場用アニメーション。物語は、両親の死により行く宛がなくなった少女・みどりが主人公。彼女は、手のない者や両手足がない者などが出演する見世物小屋で働くことになる。そこで西洋マジックの使い手・正光と出会い、二人は惹かれ合うようになり、見世物小屋の団長が夜逃げしたことをきっかけに、みどりと正光は再出発をしようとする。しかし、正光が通り魔で刺されてしまい、一人残されたみどりは……。 本作は児童ポルノおよび児童わいせつに関する法律に触れ、東京国際ファンタスティック映画祭2004を最後に、8年間は上映禁止となった問題作。過激な内容と映像表現が特徴の伝説的な作品で、地下上映などの特設会場を設けて公開してきた。

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

カフカ的不条理を昭和カストリ誌的に表現しました…かな?

 本作は不条理系の実存主義的な話…なんでしょう。カフカの田舎医者がショートアニメで作られていて比較的簡単に視聴できるのでそちらも本作を読み解くには参考になるかもしれません。

 こういう訳のわからない作品に出合ったときに注目すべきポイント。主人公は、死を考えているか。神や祈るべきものか規範を持っているか。不幸の原因をどう考えているのか。どういう生き方を選択しているのか、を見ればいいと思います。

 本作は、不幸の連鎖でどん底に堕ちている少女の話です。この時に彼女は自殺を考えません。そして、神にすがりません。この点は重要かな、と。この2つは精神的な死とみなすとしているんだと思います。

 神あるいは超常の絶対者の意思や死後の世界を前提にすると、救済はありますが、人間の生き方としてどうなのか。不条理を受容し、生きている意味を見出すことは出来るかもしれません。が、それは現実から目を背けた逃避であり、この人は主体的に生きていると言えるのだろうか?
 これは自殺とは表裏ですが、一方で同じことだと言えなくはないでしょう。スピリチュアルや心霊に傾倒することは回りまわって、自分の死による断絶の否定です。

 少女は生きようとします。劣悪な環境でも、花を売り母を助けようとします。犬を愛し男を愛し、逃亡を企てます。結果として男は殺されます(ちょっと「君の膵臓が食べたい」を思い出します)。この理不尽な仕打ちに少女は絶望します。家族の団欒を夢想します(ここは「クラナドアフター」を思い出します)。最後は暴れます。このワーっという爆発は「この世界の片隅で」の玉音放送を聞いたすずさんでもあります。

 さて、彼女は死を選ぶでしょうか?多分、理不尽なまま生きて行くでしょう。宗教に傾倒するのではなく、おそらく身体を売ってでも、生に固執する気がします。この見世物小屋の団員たちと将来は同じになるかもしれません。

 この少女は不幸を他責にしていません。自分のせいにもしません。それが世の中だと自然と受け入れます。そして、誰かの施しをプライドで拒絶もしません。幸運として受け入れます。

 本作は原作者の趣味で12歳の少女を使ったこと、実存主義と相性がいいエログロ、レイプ、身体障碍と組み合わせたことで、不遇の作品となりました。ただ、創作物のロリって描き方によっては意味が生まれてくるですけど、とにかく欧米のポピュリズムは形式で見ますから。ケッチャムの「隣の家の少女(閲覧注意)」はOKで本作が駄目というのも解せませんけど。

 本当に人間とは何かを考えるなら、表現の規制があっては絶対描けないものはありますからね。ある歌のフレーズですが「表現を自重する芸術家」というのがあります。少なくとも本作とは無縁でしょう。

 ただ、人の目に届かないと主張はできない、という考えもありますけどね。

 私としては面白くはありましたが、ただ考えるべきことは上で書いたようなカフカ的不条理主義です。見せ方や視点はありますが課題は決まってますからね。その点で新しい考えが私の中で生まれたかというと、ちょっと自信はありません。再考するきっかけにはなりましたが。

 それと、ガロ的なというか昭和初期のエログロナンセンス的なカストリ誌的イメージを作りすぎている気がしました。コミック版だといいんですけど、アニメとの相性はどうなんでしょうか。実写版があるそうでそっちも機会があれば確認したいですね。

 万人にお勧めしませんが、たまにはこういう作品で気持ち悪くなるのも、良いかもしれません。プラスの感情にせよ、マイナスの感情にせよ時間の無駄ではないと思います。


追記 ヒロインが社会の中で生かされていて、彼女の選択は主体的に見えて主体的ではない。戦後の資本主義…民主主義の中で生まれた最下層だという見方をすれば構造主義的な見方ですがこっちの感じでもない気がしました。
 ただ、ヒロインは選択しているか…といえば選ばされている気もします。

 作家の意思で構造主義、実存主義というのが使い分けられるのかは私はまだ理解できていません。例えばカフカを構造主義的に読むことが可能で、構造主義の中に実存主義は包含されていると考えるのか、実存主義的な創作や読解は既にできないですべては構造主義なのだ、と考えるのかは勉強中です。



 

 

 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5

あぱぱ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

不幸と闇

ご存知ある方は年配であると思いますが、児童文庫版の江戸川乱歩や
横溝正史の小説表紙、楳図かずおの単行本の表紙を見た時と
同じ感覚になる作品。

推測ですが、最初は怖いもの見たさから戻れなくなってしまうような
不思議な世界です。

物語は全体を通して少女ミドリの不幸と、ささやかな幸せが描かれています。

昭和初期の時代設定なので「見世物小屋」という、今のご時勢では
明らかに規制がかかる舞台が取り上げられている。

この物語から何を感じるのかと言いますと

「不幸を抱えた者同士が、さらに不幸な人から幸せを奪いあう」

というような、人間の闇を感じられます。

人の不幸を見るのが好きな方には興味あるかもしれませんが
歪んだ人間像になりかねないのでオススメはしません。

個人的ですが作画や世界観は気に入っています。
中途半端に作り上げた安っぽい暗さより、生々しい暗さは評価できます。

実写映画もR-15でありますので、興味があればそちらも
視聴されてください。

(余談)

児童が読むグリム童話でもありますが
「怖い」「見たくない」「気分が滅入る」
といった感情は過剰に受け入れる必要もないのですが
受け入れることを拒むと気持ちの耐性がつきません。

綺麗な絵空事ばかり受け入れても、恐怖は現実に存在します。

現実で怖い事件などがあっても、真実味(危機感)を
感じなくなってしまったら、恐怖から逃避しているかもしれません。

恐怖という感情は積み重なることが難しいと感じています。
機会があれば適度に恐怖を味わうことも必要かもしれないですね。

恐怖を感じられる人は、自分以外が感じる恐怖を理解できるのでは
ないかと私は思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

ぴろむー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

はまる人ははまる!

人に勧められて観ました。


観始め→え・・・何これ、なんかおどろおどろしい雰囲気で怖そう(・.・;)

中盤→なんか気持ち悪いけど惹かれる・・・!

観終わって→なんかボーっとする(;´Д`)


とにかく世界観に圧倒される!ストーリーは至ってシンプルな気が・・もう一度観たらもっと理解できるのかもですが、観る勇気が出ない。でももう一回観たい、でもなぜか観れない!


エッチしてるシーンやグロい場面の記憶はあまりないのに、なぜかエログロの極みを感じました。
妖しい、艶かしい、生々しい、おどろおどろしい、そして吐き気を催す、なのに魅力的。理屈じゃなく五感に訴えてくるような作品。


顔を両手で覆って指の間から観るような、そんな怖いもの見たさみたいな気持ちで鑑賞しました。

気持ちわるいのになぜ惹かれてしまうのか未だにわからない。
はまる人は何度も観てしまうと思います!

もの凄い魅力あると思いますが、ものすごーーーい人を選ぶ作品です。


物語は☆4くらい、声優はヒロインみどりちゃんの声がかわいすぎ、キャラは好きなキャラはいません(;´Д`)
雰囲気・世界観が☆6くらいだったので、適当に上乗せしました(*´艸`*)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2
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