ChouChoで高校生なTVアニメ動画ランキング 5

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90.4 1 ChouChoで高校生なアニメランキング1位
氷菓(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★★ 4.1 (8341)
35307人が棚に入れました
何事にも積極的に関わらない奉太郎が、姉の命令で入部させられた古典部で、部員の少女の叔父が関わった三十三年前に起きた事件の真相に迫る。省エネ少年と好奇心少女が繰り広げる青春ミステリー。

声優・キャラクター
中村悠一、佐藤聡美、阪口大助、茅野愛衣、ゆきのさつき、置鮎龍太郎、ゆかな、小山茉美、早見沙織、悠木碧、川原慶久、浅野真澄、豊崎愛生、小倉唯、阿部敦、伊瀬茉莉也、入野自由、小清水亜美、広橋涼、秦勇気、山崎たくみ、小西克幸、こぶしのぶゆき、日笠陽子、伊藤かな恵、升望、近藤孝行、森川智之、進藤尚美、茅原実里、寺島拓篤、竹達彩奈、寿美菜子、福山潤、杉田智和、谷山紀章、杉山紀彰、平川大輔、吉野裕行、石塚運昇、永井一郎、西村知道、二又一成、田中正彦、千葉繁、諏訪部順一
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

青春がミステリー

原作既読での感想です。と、言うよりもアニメを見てから原作を買った口です。
加筆しすぎて、ネタバレのところは文体が統一されてないのでご容赦を。

2022年10月、愚者のエンドロール編について追記しました。

原作古典部シリーズは3つの主なストーリーがあり、
このレビューではわかりやすい順、時系列を遡る形で書いていこうと思います。
各話のあらすじを書かないことをご容赦ください。

【クドリャフカの順番編】
{netabare}
話の中にちょくちょく出てきた文化祭の話。個人的にはいよいよ文化祭だなと感じる構成だと思う。
(文化祭のために文集「氷菓」を作る→文化祭の為の映画を見る、の後の話になるので)

聡志の「期待とあきらめ」の発言を軸に見ると登場人物達が何を思ったのか良くわかると思う。
文化祭での聡志の折木への一方的な期待の感情の裏にある自分への諦めの感情は、
こうち先輩と「夕べには骸に」の作者にもいえる。
真犯人とは別の、もう一つの謎、登場人物の気持ちがわかるだろう。
高知先輩が何を思ったのか考えてみてほしい。

また、風紀委員会委員長と生徒会長の関係も、自分への諦めと期待の関係だと思われる。
委員長は生徒会長の才能を認めることで諦めを持ち、期待しているからこそ、
「夕べには躯に」の次回作を書かないこと、才能を持ちながら行使しない生徒会長に対して、
怒りのような感情を持っているのかもしれない。
登場人物が何を思ってそんな言葉を言うのか、それを解いていくのがこの作品だと思っている。

ちなみに聡志の「データベースは結論を出せない」という口癖は、
折木という才能をみて諦めの中からでた言葉なのだろう。
その道の才能が無いから、他の道を探す。それは逃げから来る言葉だが、
クドリャフカ編で犯人を暴こうとした聡志の行動からも、
聡志があきらめ切れないことがわかり、やりきれない。
こういった感情で行動方針を変えようとする辺り、
実に青春をしていて現実の人間らしいのが福部聡志なのだと思う。

また、「まわりがどうあれ基本属性が薔薇色なんだよ」という言葉もあったが、
これは他人から見れば、自分は薔薇色に見えるだろうという諦めが入った感じだった。
「誰かが薔薇色に染めようとしても駄目さ、染まってあげない」というのは、
中学時代の過去とは違い誰かが自分に勝負を仕掛けてきても、
自分は受け流すというスタンスを取りたかったのかなと思う。
聡志は人に流されず自分を見つけたかったのだろうなと思えた。

【伊原の涙について】
高知先輩の話を聞いて、なぜ伊原は涙を流したのだろうか?
「名作は最初から名作として生まれてくるんです」
「ボディトーク、やっぱりこれも良い」この言葉は「夕べには骸に」との比較。
「私のは100枚落ちる」この言葉が高知先輩を自分に置き換えたらどうなる?という意味として捉えてみた。
努力をしてきて生まれた「ボディトーク」という作品が、
努力の先に名作が出来るという気持ちの肯定をする作品なら、
「夕べには骸に」は伊原の「名作は最初から名作としてうまれてくるんです」という理想の肯定に見える。
「夕べには骸に」を肯定してしまえば、圧倒的な差に対して諦めを持ち、
他人に期待をするしかなくなる。
今までの努力はなんだったのかという無力感も感じるだろう。努力の否定になってしまう。
そのことがわかって、自身も努力していつか名作になる作品を書いてやろうと思っている伊原は、
自分の才能のなさへの自覚や自分の無神経さに涙を流したのだろうと思う。

【折木の推理に対する聡の怒りについて】

「どうやってさ!」
折木が真犯人を探し出す手がかりについて、聡の提示した被害にあった部室の共通点や、
十文字のミスでも見つけたかという事に対して、どちらも否定した時の聡の怒りの言葉。
そしてその後に「期待してるよ」

伊原の涙について考えてこの件も整理が出来た。聡が努力して探していた点に対して全く否定する折木。
聡志の努力が無駄であるかのような折木の主張に対する怒り。
そして気付く、圧倒的な視点の違い。才能の差。それを感じてしまったから「期待してるよ」ではないだろうか。
これは、高知先輩と「夕べには骸に」作者との関係とまるで同じではないだろうか。

【生徒会長陸山宗芳がクドリャフカの順番を読まなかった理由】

「おつかれ!」陸山は田辺に向かってわざわざなぜこのように声を掛けたのだろうか?
その言葉を掛けたときの陸山の笑顔からしても、
「クドリャフカの順番を読んだのか」という田辺のメッセージは届いていないように思える。
ただ、田辺が自分に対してメッセージを送ったことには気付いているようにも見える。

では、「夕べには骸に」は陸山にとって、遊びだったのだろうか?
折木の「(あれが遊び?)」という、
夕べには骸にが陸山にとって遊びだと主張した田辺の言葉への反応を見ると、よほどの作画だと想定してみる。

sideストーリーである伊原と高知先輩のラストの会話から、
陸山も高知先輩と同じ方向の事を考えたのではないだろうか?
陸山も高知と同じく漫画をよく読んで、漫画を描いていたのかもしれない。
そして、安城春菜の才能と出会ってしまい、諦めを覚えてしまったのだろうか。
陸山が「夕べには骸を」を読んで、届かない才能に諦めを持ち、さらにその作画を担当することで、
漫画を描くことをやめるほどの感情を持ってしまったとしたら。それは、友達という枠を超えてしまったのか?
友達の原作をほおりだしてまで描かない理由とは?それも原作を1ページも開きもしない理由とは?
とても気になるが、与えられたヒントでは答えの出ない疑問として残された物なのかもしれない。

だが、「おつかれ!」は原作にはないセリフだった。
ただ、「あれが遊び?」や、「原作を開いてもいなかった」というヒントから、
上記の推論も、多少は原作でも成立するのではないだろうか。


{/netabare}
【愚者のエンドロール編】
{netabare}
文化祭で上映するミステリー映画の犯人を当てる話。
今回の、ストーリーの正解を当てる⇔推理小説作家を実はやらされている、
というすり替えのトリックは多くの人がこれに気づいたとき、
自分は身勝手だなと思うかもしれない。
本郷という作り手の人間を無視して、
計算問題のように無機質に問題を回答しようとしたことに罪悪感を折木が感じたように。
(少なくても自分はそのすり替えに気づいたとき、初視聴時にひたすら密室のトリックを考え続け、
本郷の気持ちを考えていないというメッセージも受け取れなかったことに自分の浅はかさに悲しくなった)
千反田がトリック問題が解けない、人の気持ちを誰よりも思いやる心を持っていたからこそ、
折木はその過ちに気づけたのだと思う。

ちなみに折木が最初に出した「万人の死角」の結末(回答)が
「文章問題」と折木自身に言わしめた理由の裏づけとしてだが、
「カメラを気にしていたキャスト」という「オチがわかった行動」をしている人間がいるのなら、
キャスト達に結末を聞けばいい。
それが出来ないのは、結末をキャストが知らないためであり、
カメラを気にしていたのは、キャストが不慣れだったということだろう。

注意深く視聴していくと、イリスの「観方を変える」発言について気付くことができるだろう。
また、千反田がイリスの術中にはまらず、観方が変わっていないことも描かれている。
イリスと折木が対決する茶屋のシーン、そして今後持つ折木のイリスへの不信感は、
他人の気持ちをないがしろにするイリスに対しては当然といえばそうだろう。

だからこそ最後のシーンで自分の視点で動いたことにはしたくなかったイリスが描かれている。
全体のためという大義名分がなくなり、本当にエゴで人の気持ちを利用して、
使い捨ててしまった自分を肯定できないのだから。

イリスは、折木の姉に、クラスメイトが悪い、自分(イリス)は本郷を救ってやった立場という自分の主張を否定された。
「あなたの主観で判断した事に責任を持つ」という折木姉の言葉に、
自分が善か悪かで答えてしまうイリス。
「私はあのプロジェクトを失敗させるわけにはいかない立場でした」という正当化だったが、
「自分の所属するクラス出し物の成功」という自分の利益の為に本郷の脚本を切り捨てていたにもかかわらず、その業を自分で背負わなかったことへの責めは、どうしても自分の人間性の否定に繋がるので反論したかったのだろう。本郷を助けてやりたかったという善人的な目的ではなく、堂々と自身の利益を追求したといえないイリスを、折木姉は批判したのだろう。


【えるの本郷先輩への固執について】
「きっと志半ばで筆を折った本郷さんの無念が、叫びが、隠されていると思うんです」
川原での折木との会話のシーン。この「無念」と「叫び」は、
氷菓編でえるの叔父が文集「氷菓」に隠した思いと同じではないだろうか?
えるが本郷先輩の隠された思いを汲み取りたい理由は、
叔父の時のような悲しい「思い」をだれかが明らかにして、
当事者にとって良い方向に物事を持って行きたい、
もしくはその悲しい思いを供養するような、そういう感情が働いているのだと感じた。

【折木とイリスの対決について~折木の怒りについて】
「だれでも自分を自覚すべきだといったあの言葉も嘘ですか!」
折木はなぜここでこれほど激怒したのだろうか?
折木はイリスに乗せられて推理と称した脚本コンテストに乗せられてしまった。
名探偵を一瞬でも気取り、本郷の思いを無視してしまった自分に対しての怒りと、
そうさせたイリスに対して、あれほど怒るのは自責の念がそれほど強かったからではないだろうか。

2022.10.6 追記
上記レビューの至らなさに反省しきりです。
折木が起こった理由、それはシンプルに「あなたは特別よ」「だれでも自分を自覚すべき」」というイリスの言葉によって自分の器を特別なものと意識させられた、そしてその言葉が建前、嘘であったこと、嘘により利用されたことが理由でしょう。
返して言えば、折木を利用するために折木自身が自分の評価を「特別」であるように思いこませる嘘をイリスにつかれたわけです。
それは折木にとって、自分を自覚する、あるいは自覚した行動、それは自分というものをポジティブに再評価できた、人生の分岐点のようなものだったわけですが、イリスという標識は、折木の人生の利益ではなく、自分自身の利益の為に折木を誘導し、折木はそれにはまってしまった訳ですから、
その自身の利益をイリスに再確認(可能性はゼロでも)せずにはいられなかったのでしょう。イリスの回答がわかっていたからこそ、折木は問い詰めたときに激怒していた、それが私の今の感想です。


【聡志「それにしても、羨ましい限りだね、全く」について】
聡志のこの言葉は、折木に対して言われたものであるが、
探偵役として人に物を頼まれる折木が羨ましく見えた・・・だけではないだろう。
折木が聡志の才能に対するフォローをした後の言葉だったわけであって、
皮肉であると捉えるのもいいだろう。折木は持っている才能が発揮され、
活躍している立場からの聡志への言葉だからこそ、
聡志は自分が日陰者で折木が表舞台に立っているような状態を、
日陰者として皮肉っぽく言ったのではないだろうか。

【江波倉子は何を思った?】
「私は企画に参加していません 興味がなかったので」
「本郷は生真面目で注意深く 責任感が強くて馬鹿みたいにやさしく 脆い 私の親友です」

これが江波の人間性が見えるセリフ。このセリフから読み解けるように、
映画企画は自由参加であり、興味が無い人は参加しなくても良かった。
興味が無いからと参加しないのは、人の輪に交わる必要性を感じていない性格といえる。
エピローグでの本郷のチャットでのセリフからも、
江波と本郷は対照的な人物でありながら、親友であった。
二つ目のセリフは本郷の性格を示すことで脚本の正体を暗に示しているが、千反田の仮説と合わせて考えると、
江波が何を思って案内役を引き受けていたのか、謎が深まっていく。

そして千反田の江波に対する仮説がこうだ。
「本郷さんは脚本の見通しを最後まで持っていたと思うんです 
途中で倒れたとしても 聞くことは出来たと思います 
それすら出来ない容態なら 
親友といっていた江波さんは絶対にクラスの皆さんを許さないくらい怒ると思うんです 
案内役なんて引き受けないくらいに 」

江波倉子は一体どのような立ち位置にいたのだろうか?
本郷の本当の状態を知っていたのだろうか?
イリスによる台本作りに乗って、本郷をかばおうとしたのだろうか?
本郷の脚本の結末を知った上での行動だろうか?
だがその場合、本郷の脚本が出来ているのをもみ消すイリスに対して、江波はどんな感情を抱くだろうか?

そして、台本作りをさせていることをわかっていたなら、古典部にどんな気持ちを持っていただろうか。


江波が本郷に嘘をつかれていたとしたら?本郷は病欠が多かったが、
それがあったために、江波はいつもの事とあまり気にしなかった?本当に?
江波は本郷と親友だと言ったなら、倒れた後に連絡をするはずだろう。
そこで、親友とまで言っている二人の間に嘘が存在するだろうか?
原作者の作品は暗いオチが多いので、それも考えられるが・・・

他薦で脚本は本郷と決まったというが、それは参加不参加の前だったのか、
参加の表明をした後だったのか、それはわからない。
だが、そこの真実で江波の中で本郷の自己責任だったという気持ちがあったかなかったか、
そんな事も考えられるだろう。

【本郷の脚本とえるの結末への興味】
えるが本郷の脚本の結末で気になっていたところ、それは、犯人と被害者が、どういう関係性であったのか、という部分にある。
それは、えるが想像した、密室への回答も含めた本郷の脚本であり、人の心情を考える、というえるらしい興味だと思う。
そこには、なぜその人物がその行動をとったか、という行動の裏付けの動機、確かに感情が存在する。それをえるは考えていたんだと私が気付いたとき、私はまた、この作品に新たな新鮮さと胸いっぱいの暖かさを感じた。
私はまだまだ、この作品を読み解けていないのだなという悔しさも味わいながら。(2022.10.6追記)

{/netabare}
【氷菓編】
{netabare}
文集氷菓を読み解き45年前の真実を解いていくお話。
関谷純が千反田に残した言葉の意味、氷菓二号における文芸部員の言葉の意味から、
時間の経過によって古典になってしまった45年前の真実が解き明かされる。

最後の謎解きで折木がイラついた理由、それは氷菓の示す関谷の残した苦悩のメッセージを、
気づいてやるべき後輩達(自分達)が気づいてくれない事に対してだろう。
関谷の苦悩を知ったとき、叫びたくても叫べない、生きながら死ぬ、
その苦しさや無念に少しでも共感をする事ができたなら、この作品が好きになっていることだろう。

悲鳴も上げられず死ぬとはどういうことだろう。
周りが悲鳴を上げることも許してくれない。
周りがなんと言おうと悲鳴を上げる勇気も必要なのではないか。
だれかに弱いと思われたり、言われたりしても、叫んだり泣く事も自分を守るためには必要なのではないか。
千反田に対して「強くなれ、生きたまま死ぬことになる」といった、
関谷純のその時の感じた恐怖、悲しさ、無念さ、辛さを感じることができただろうか。
(私には、自分にはどうしようも出来ない物事の大きさに恐怖し、
自分が大きな流れに声も上げられず潰されていく苦しさ、
自分の全てが終わってしまったような無念さ、そのどれもが辛く、苦しく共感を覚えた。)

「全ては主観性を失って、歴史的遠近法の彼方で古典になっていく」
氷菓編にこんな言葉が出てくる。主観性とは、当事者の気持ちであり、
今伝えられているお話は当事者の気持ちが失われたお話であり、それを表面的に読んでも、
当時の人が何を思ったのかは分からないという事だ。
その言葉からも、関谷純の感じた感情が薄らいでいくことへの無常さ、
そういったものがこの作品の儚さに繋がっているのだと思う。

再度書くことになるが、
このアニメは提示された謎解き(氷菓、映画のストーリー、泥棒の犯人)だけが謎解きではない。
登場人物が何を思ったのかを考え、どんな気持ちだったかを考えることが視聴者に送られた謎なのだろうと私は思う。

【薔薇色について】
折木は自分の灰色の高校生活の中で薔薇色に憧れがあったのかもしれない。
そして45年前の真実は薔薇色だったのかに疑問を持つ。
つまり、45年前の事件の真実を知ることで、自分が薔薇色に対して憧れがあるのか?
自分がなぜ他の人間を見て落ち着かないのかに答えを出したかったのではないか?
それが折木を推理に向かわせた原動力ではないだろうか。
そしてその落ち着かなさの理由はは他人が感情に揺さぶられ一喜一憂している姿を見ているからだろう。
最終回でのエア告白では折木は感情に揺さぶられ薔薇色になっているのかもしれない。

【生きたまま死ぬ?について】
これがえるのトラウマになったか、元々死への恐怖が人一倍あったのかは分からないが、
「愚者のエンドロール」編のエピローグで、死ぬお話に抵抗があると打ち明けている。
えるが本郷先輩の脚本にこだわった理由がここからきているのかもしれない。

「今感じた私の気持ち、それが将来どうでもよくなっているかもなんて、今は思いたくないんです」
えるの、人の思いを大切にしたいという気持ちの現れだろう。
時間が惜しいという意味ではない。未来の自分に胸を張りたいという思いでもない。
恐らく、すべての事に意味があると思いたいのではないのか。
対立する2つの事があっても、
どちらにも言い分があるという考えをするのが千反田えるではないだろうか(「大罪を犯す」を見てほしい)。
なにであろうと、無価値と思うことに抵抗が有り、失われていく記憶の中にある思いも、
価値があったと送り出してやりたい、そういう気持ちがあるのではないだろうか。
折木の「お前の中で時効になっていくのかもな」という言葉に反応し、
恥や外聞を捨ててまで45年前の真実を明らかにしようとした事からも、
千反田の性格の根幹にあるものではないか。

{/netabare}

【折木の成長について】
{netabare}
では、折木はこの問題を解いていきどのように成長したのだろうか。
1話目では「保留」千反田という感情の塊のような存在に、
無機質な回答しか行ってこなかった折木は答えが出せず「保留」した。
この保留は「不慣れな者は奇をてらう」という事を身をもって実行したことについてだった。
現状の状態に変化を求めず、様子見をしたかった、という折木の気持ちを福部聡は保留という言葉で言い表した。
しかし、この屈託が高くつくと予想した聡の言葉通り、
千反田は折木の能力を買って折木に頼ることになり、折木は変化を求められることになる。

2~5話では姉に書いた手紙で自分の省エネ主義へ疑問を向けたことを明かした。
折木は自分が周りが青春を謳歌し、なにも楽しめない自分に違和感を感じていたが、
氷菓の事件を追求することで自分の主義は悪くないと確認し、今まであった居心地の悪さを解消した。
少なくとも折木の中で「変化」があったことは確かだろう。
薔薇色と呼ばれる青春時代は誰かの犠牲の上に成り立っているのかもしれない。
そう考えると灰色の青春を過ごす自分には、
薔薇色は誰かを犠牲にしてまで手にいれるものじゃないな、と思ったのだろうか。

折木が氷菓事件の最後にイラついたことからも、問題解決に客観性を持ちつつ回答していくが、
誰かの感情に気づくことが出来るようになったことは人間として、大切な成長を遂げたと思う。
だが、千反田が関谷純との思い出でなぜ泣いたのかが、千反田が4話で疑問を解消できず、
5話で謎が全て解けたときに千反田が思い出して折木はその泣いた理由を知る。
その事からも、折木にはまだ人の感情まで推理に組み込む力はまだないと思う。


8話から11話では自分の能力と向き合い始め、
初めて大きな挫折をすることで、折木が成長する糧になった。
この挫折には、自分が問題の答えを外したから悔しい、ということではなく、
自分が他人の思いを考えてやれなかった自責のようなものが折木の心に深く残ったのだろう。

12話から17話では福部のセリフにもあったように、折木の才能が遺憾なく発揮された。
これは、挫折(愚者のエンドロール編での挫折)を味わったことで折木に成長があったということだと思う。
その成長は計算問題のように謎を解くのではなく、
他人の思いを考えることがより出来るようになったことではないだろうか。

最終話では折木が省エネ主義から脱却しそうになる。
折木の中で少しずつえるの存在が大きくなっていき、
えるに関してのことは「やるべきこと」になっていくのが伺える。
それは、折木の「やるべきこと」が少しずつ見え始めているともとれる。
{/netabare}

以下、1話完結の話のレビューです。
【正体見たり】
{netabare}
1話完結。古典部員達がまやかのツテで温泉旅館に泊まりに行き、
まやかのみた幽霊の正体を解き明かすという話。

この話で何が枯れ雄花なのかというのは、折木からすれば、幽霊は枯れ雄花であり、
有りもしない幻想や妄想に入る。同じくして、折木にすれば仲の良い兄弟など枯れ雄花である。

つまり、折木達は幽霊など存在しないということを明らかにしながら、
仲の良い姉妹というえるの理想も枯れ雄花である現実も明らかにしてしまった。
ラスト前、真実を知ったときのえると夕焼けの空が、
現実を知ることで、大人になるような、儚い気持ちを思わせた。

実はこの話の最後のシーン、原作とは異なる。詳しくは原作を読んでほしいが、
個人的には(兄弟のいる身として)アニメ版は救いがあって良いと思う。
確かに幼い姉妹兄弟はケンカばかりするものだが、
根底では兄弟愛というものが存在しているかも知れないを思う良い改変だった。
{/netabare}
【連峰は晴れているか】
{netabare}
折木の中学の先生がふとヘリを見て「ヘリが好きなんだ」と言った理由を突き止める話。
私は結構人の気持ちがわからないんだなと、改めて思い知らされた話。
折木は、仲間の心配をした先生の気持ちを考えてやれた。
えるは過去の他人の気持ちを考えて上げられる折木に対して、言い表せない感情を抱いた。
(折木が優しいというのもおかしいと思ったのだろう、
あえて言うなら、人の思いを大切にしてくれる人、だろうか)
私は折木の言葉も、えるの気持ちも察することができなかった。
人の思い、その時の感情、それを大切にしたい、
それを考えてやれる人間になりたいと、またひとつ、この作品に教えてもらった。
この話、原作の書籍には載っていない話なので
(野性時代か何かに載っていたのみらしい)漫画での書籍化が非常に楽しみだ。

追記【千反田の興味が折木に向いた】
折木がなぜ小木先生のヘリ好きが気になったか、それが気になってしまった千反田。
それは折木が他人のためには頑張って頭を働かせ、いつも自身の事には無頓着だった折木が、
自発的に自分の疑問を解決する為に動いたように千反田には見えたからだ。
単純に折木が気になるからではなく、
折木という人間をよく観察して人間性を分析しつつ千反田は疑問をぶつけている。
だが、単純に異性に対して「あなたの事が気になるんです」といわれるシチュエーションに折木は何を思っただろう。

{/netabare}

【手作りチョコレート事件】
{netabare}
あらすじ
バレンタインの日、まやかが聡志にチョコレートを渡すつもりだったが、
部室に置いていたチョコレートが誰かに盗まれてしまう。
千反田はチョコレートを盗まれた責任を感じ、古典部男子二人と一緒に犯人を捜す。

この話に関しては、まだまだ、考察しきれていない。
特に折木と橋の上で話したときの聡志の思いが中々難解。
勝ちにこだわった中学時代は高校生になった聡志はつまらないと評した。

そして、こだわることを辞めて、こだわらないことにこだわるようになった1高校時代の今を毎日が楽しいと言う。
聡志に「つまらなかった」と評された中学時代は、他人と自分を常に比較し続け、
自分の価値が、他人より上か下かの判断しかなかった自分に「つまらなかった」といったんじゃないか
その中で、自分のアイデンティティが貧相なことを悟り、こだわることをやめたのではないかと思う。
では何にもこだわらない高校時代を毎日が楽しいと評しているのは、
勝ち負けの世界を抜け出して、他人のいい所を直視し、自分と他人の境界を引き始めたため、
今まで見えなかった世界が見えるようになった、
もしくは他人と自分を比較しない世界(オンリーワンでいられる世界)が気楽で、
「楽しい」という自己評価に繋がったのではないだろうか。

また、「僕はまやかにこだわってもいいのかな」というセリフからは、
勝ち負けの世界からフェードアウトした自分が、勝ち負けの世界がまやかの住む世界や社会だとしたら、
その世界のルールを外れた自分が、まやかを独占することは許されない事、
という思いを持っているんではないか。
まあそんな事(世界の誰かが許さない事なんて)はないと思うのだが・・・。
自分の行いを許さない人が見てるかもなんて、
それこそいるかわからない神様に遠慮してるようなものだろう。
だけどそういう部分に許せない部分(非合理的)があるのが青春っぽくもある。

「あとちょっとでわかりそうなんだ」
聡志が折木に言ったその言葉は、
こだわらないことにこだわることで、
自分のアイデンティティ、進むべき道のようなものがはっきりとわかりそうだと思っているのだが、
でも今はもやに包まれた感じがする。そのような思いなのかもしれない。


{/netabare}

【遠回りする雛】
{netabare}
折木は千反田に頼まれ、いき雛祭りで傘持ちの役をしにいく話。

「しまった…よくない、これはよくない。
多分なんとしても俺は、ここにくるべきではなかった。
俺の省エネ主義が、致命的におびかされてる…」

千反田のいき雛姿を見て、こんな事を思う折木。
折木は千反田の顔が見たくてしょうがなくなる。
ここで、折木は「顔がみたい」という「やるべき事」かわからないことに執着する。
折木の省エネ主義は「やらなくてもいいことはやらない、やるべきことなら手短に」という考え。
やるべきことじゃない事をやろうとしている折木は自ら省エネ主義を壊そうとしている。
それほどに千反田に気持ちが傾いていて、折木の中では1秒が1分にも感じるような緊迫感があり、
しかし期待のようなものを感じてしまうワンシーンです。

「見てください、折木さん。ここが私の場所です。
水と土しかありません。人も段々、老い、疲れてきています。
私はここを最高に美しいとは思いません。
可能性に満ちているとも思っていません。
でも、、、、、折木さんに紹介したかったんです。」

千反田が桜の下で折木に言ったこの言葉は誰にでもいえるものと受け取った。
自分が生まれ育ってきた風景を特別愛しているわけでもない、憎むわけでもない。
千反田は自分がうまれ、見てきた風景を折木知ってほしかった。
折木に自分の事を知ってほしかった。
それは自分の事を知ってほしい相手に対して誰しも思うことがある思いだと感じた。
これは千反田にとっての告白なのかもしれない。
遠回りしてしまった雛のように遠回りな告白。
いろんなしがらみを抱える世界にいる千反田が、
少しでも折木に自分を知ってほしいという気持ちが伝わり、
いじらしく、綺麗なシーン。

折木「・・・寒くなって来たな。」
 千反田「いいえ。もう春です。」

告白とも取れる事を言いそびれた折木は言葉に詰まってごまかす。
寒くもないのに「寒くなってきたな」。その返しが「いいえ。もう春です」。

折木がいつものような会話でごまかす。
それに対し千反田もいつものような会話で返す。
お互いがお互いを理解し、いつもの関係を維持しながらも少し関係が進んだような終わりかたが、
いじらしさと喜びのようなものを感じさせてくれた。

{/netabare}

【持つべきものは】
{netabare}
そもそも省エネ主義をモットーとする折木がバイトをするという時点で、
既に折木に変化があったと見ていいだろう。
このときの折木は省エネ主義がぼやけている。
「愚者のエンドロール編」でのイリスとのやりとりで自分の立ち位置が分からなくなったのだろう。
特別でもなんでもない自分が何か特別な主義主張があるのが嫌気が差していたのかもしれない。
それが自分がモットーにしてきた省エネ主義であったとしても。
特別を気取ってしまった自分に対する嫌気が
「どちらにしろ俺は普通だ」なのではないだろうか。

「(大丈夫だ)」という折木の確認は、自分の気持ちに折り合いをつけたのだろう。
その気持ちは、「めんどくさ」という最後の言葉からも省エネ主義に立ち返ってはいるのだろうが、
「たまに頼られるのもいいな」という言葉からも多少灰色からの脱却も入っている。
頼られることで救われたのは折木だった。
それは折木が特別だとか普通だとかの非日常的な憂鬱な考えにとらわれていた所を、
古典部の面々に頼られることにより日常に戻れたことからの発言ではないだろうか。



{/netabare}

全体の感想として、日常的な青春の感じだけど、非日常な青春も交じり、
非常に羨ましく思う部分もあり、共感できるような出来事や人物の立ち位置、
登場人物に対する感情移入が多く、楽しめた作品でした。

未だに氷菓の本当の魅力を伝えきれずむずむずしています(笑)。
私が氷菓に心を打たれた理由が未だに伝えられない。
今のところ、「人の感情や思いを考えることの素晴らしさ」を気づかされた、
という感じにしか書けませんが、私のレビューで、
氷菓という作品に込められた思いを少しでも感じ取って下さる方がいれば嬉しく思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 215
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

控えめで遠まわしの告白

名作は、筋書きが頭に入った後の2回目の鑑賞時が一番面白い、といいますが、このアニメはその典型であるように感じました(もちろん1回目から安定して面白い作品も沢山あります)。
以下、1回目と2回目に分けて、視聴後の感想をまとめていきます。

=================== 1回目視聴後の感想 ==================

推理ものアニメという事前情報を多く聞いており、自分が特に進んで見たい分野ではないので、視聴前の期待値はそれほど高くはありませんでした。
ただし、この作品を高評価する方が多く、自分もexperienceとして一度は視聴しておくべき有名作品とは思っていました。

視聴を開始して、すぐに作画・演出のレベルが最高度に高いことはわかりました。
しかしストーリーは・・・謎解きが面白くないことはないが、やはり・・・と斜に構えて眺めていました。
俺も、何とかして省エネ視聴したいよ、と。
まるで奉太郎のように(←ココが肝心)。

そしてようやく迎えたラスト3話。
ヒロイン=千反田えるのキャラクターがはっきり描き出され(※注釈)、それまで微温状態で密かに進行していた心理関係の変化が少しずつ顕在し始める。
ここまで我慢して、視聴して良かったと思います。

もう一度、一話一話を注意深く視聴し直したら、きっと、さらに好きになる作品だと思いました。

(※注釈)千反田えるの好奇心と諦観

「好奇心少女」と公式サイトでも紹介されている千反田えるの本質について。
第1話で、千反田家は神山市きっての豪農という説明がある。
反(たん)というのは田圃(たんぼ)の面積の単位のことで、一反=300坪=約991平方メートル=田圃1つのこと。
それが千反だから、うがった見方をすれば「千反田える」とは「田圃を千反える(=相続する)娘」という意味になる。
実際に作中では、 {netabare} 千反田家の豪邸ぶりが描かれ、第20話(荒楠神社に初参りする話)では彼女が地元の人たちに悪い噂が流れることを極端に怖れる描写があり、そして第22話では彼女が毎年4月の雛行列で生き雛の役を演じることが描出されている。 {/netabare}
そして、フワフワした好奇心の強い少女という描かれ方をずっとされてきた千反田えるが、 {netabare} 奉太郎と二人で歩きながら自分たちの進路を話し合う本編ラスト近くで、「私はこの土地が最良とは思っていません」と前置きしながらも、「ここが私の生きる場所である」こと、そして、そのことを奉太郎に知ってほしかったこと、を唐突に告げるシーンが描かれる。 {/netabare}
これは、言葉や行動は全然激しくはないけれども、{netabare}背負うものが多くそれゆえに控え目で古風な彼女にとっては全身全霊を込めたはずの重い「告白」であって、{/netabare}彼女の、奇矯と思われた好奇心が、 {netabare} 実は彼女の深い諦観の上に成り立っている装いに過ぎないことが、 {/netabare} ここでようやく明らかになる。

おそらくここで視聴者が、ああ成る程・・・と納得するかどうか、がこの作品を評価する場合の分かれ目となると思う。
私は、このラストがとても良いと思ったので、元から高評価していた作画と演出に加えて、ストーリーやキャラクターもかなり高く評価する結果になりました。


※以下は個人的なメモ書きです。

【主要キャラ、時間・期間】

{netabare}
古典部部員=神山高校1年生4人(男2×女2)
時代設定 =現代
期間設定 =高校入学のしばらく後~高校2年の4月までの約1年
{/netabare}

【作品の構成】

本編22話+OVA1話=全23話
本編は以下の4部構成と考えると分かり易い。

{netabare}
====================================================
第1話「伝統ある古典部の再生」 古典部の謎を解く話
第2話「名誉ある古典部の活動」    "
第3話「事情ある古典部の末裔」    "
第4話「栄光ある古典部の昔日」    "
第5話「歴史ある古典部の真実」    "
----------------------------------------------------
第6話「大罪を犯す」    数学教師の勘違いの謎を解く話
第7話「正体見たり」    夏合宿先での幽霊の謎を解く話
第8話「試写会に行こう!」 映画シナリオの謎を解く話
第9話「古丘廃村殺人事件」      "
第10話「万人の死角」        "
第11話「愚者のエンドロール」    "
------------ OP / ED 変更 ---------------------------
第12話「限りなく積まれた例のあれ」学園祭で進行する盗難事件の謎を解く話
第13話「夕べには骸に」       "
第14話「ワイルド・ファイア」    "
第15話「十文字事件」        "
第16話「最後の標的」        "
第17話「クドリャフカの順番」    "
----------------------------------------------------
第18話「連峰は晴れているか」  遭難事故にまつわる思い出を考える話
第19話「心あたりのある者は」  生徒呼び出し放送の謎を解く話
第20話「あきましておめでとう」 荒楠神社の蔵に閉じ込められる話
第21話「手作りチョコレート事件」ヴァレンタイン・チョコが紛失する話
第22話「遠まわりする雛」    水梨神社の旧暦の雛行列に参加する話
----------------------------------------------------
OVA  「持つべきものは」    ※ファンサービスの水着回  
====================================================
{/netabare}

【その他メモ書き】

※『氷菓』というタイトルにも謎が仕組まれている(第一部で解消)。
※第18話のラストの会話はまだ理解できていない(次回視聴時の最重要課題)。
※神山市は原作者の生地である岐阜県高山市がモデル(高山市の「山」と隣りの神岡町(現在は飛騨市に合併)の「神」を組み合わせて「神山」)
※第18話に出てくる3,000メートル級の山々は飛騨山脈(北アルプス)の穂高連峰。
※ただし、作中の45年前の学生運動の描写や登場人物たちの行動パターンはかなり都会的であり、その点でモデル地域と幾分齟齬が生じている。
※ベナレスはインドのガンジス河畔にあるヒンドゥー教の聖地の以前の表記。現在ではバナラシに統一されている。
※プリシュティナはコソボ共和国(旧ユーゴスラビアの一部)の首都。
※第20話・第22話の神社や祭典の作画・演出のディテールが特に秀逸。
※第22話の生き雛祭りは、実際に「飛騨生きびな祭り」として地元の水無神社で4月初めに催行されている。
※第1~5話の終わりに出るテロップ「The niece of time」(邦訳:時の姪)は、英国の推理作家ジョセフィン・テイ著『時の娘(The Daughter of Time)』をもじったもので、時が事件を解決する、という意味。
※第20~22話の終わりに出るデロップ「Little birds can remember」(邦訳:雛は忘れない)は、アガサ・クリスティの推理小説『象は忘れない(Elephants can remember)』のもじりで、わずかな言葉や動作が忘れ難いものとなる、という意味。

=================== 2回目視聴後の感想 =================

推理アニメという先入観があった最初の視聴時と違って、2回目はもっと素直に作品内容を楽しめたと思う。
結局、このアニメは、ミステリーものという表看板の裏で、高校生の少女2人が同級生の男子2人(の心)を「逮捕する」物語だったらしい。

こうした制作者の意図する裏テーマは、次のEDで明確に表現されていると思う。

※ED1(まどろみの約束)は、少女たちが幸福な恋の成就を夢見る歌詞
※ED2(君にまつわるミステリー)は、少女たちが探偵役となって怪盗役の少年たちを追いかける歌詞

★ED1(~11話まで)
まどろみの約束
http://www.youtube.com/watch?v=65LOib5_-d8
{netabare}
歌:佐藤聡美/茅野愛衣
作詞:こだまさおり
作曲:岡本健介

今夜恋にかわる しあわせな夢で会おう
きっと ねえ 見つけてね
まどろみの約束

芽生えてたぬくもり あたたかくて戸惑う
こんな気持ちをまだ あなたはわからないの

その視線には意味なんて別にないはず
だって友だちにしてるのと同じ

明け方に消えてく ちいさなねがい星
夜のあいだだけの魔法 …気づいてほしい
今夜恋にかわる しあわせな夢で会おう
きっと ねえ 見つけてね
まどろみの約束

放課後はいつでも 特別な空間で
一緒にいなくても 隣にいる気がする

このままふたり何気ない時を過ごそう
もっとふさわしいはじまりの前に

瞬く星たちに あなたを探してた
すぐに出会えると信じて …ここにいるよ
いつか恋にかわる あたらしい朝が来ても
きっと ねえ 消えないで
微笑みに祈るの

このままふたり何気ない時を過ごそう
そっと胸の中やさしさが満ちる

明け方に消えてく ちいさなねがい星
夜のあいだだけの魔法 …気づいてほしい
今夜恋にかわる しあわせな夢で会おう
きっと ねえ 見つけてね
微笑みをかわそう

瞬く星たちに あなたを探してた
すぐに出会えると信じて …ここにいるよ
いつか恋にかわる あたらしい朝が来ても
きっと ねえ 消えないで
まどろみの約束
{/netabare}

※ストーリー的には、第11話までは、{netabare}千反田えるが古典部で出会った折木奉太郎の意外な問題解決能力の高さと控えめな優しさに次第に惹かれていく過程を地味に描いたもの、と見ることができる(=千反田えるの恋心が、まどろみの中から次第に芽生えてくる{/netabare}→ED1の歌詞そのもの)。

★ED2(12話~)
君にまつわるミステリー
http://www.youtube.com/watch?v=OgunBNQSAqY
{netabare}
歌:佐藤聡美/茅野愛衣
作詞:こだまさおり
作曲:高田暁

状況は非科学的に 感情のモンタージュ
誰が誰を呼んでる?
振り向けば逃げてく視線 感じる
気のせいじゃつれないよ
アンテナは才能って言うでしょ

だってだって 知りたい 君は違うの?
青春の温度差 今のうち正してあげるよ
明日解決するなら 今でもよくない!?

君のミステリー 解いてみたい
少年のヒミツめいた背中探せ!
今日も君はファンタジー 惹かれていくよ、ずるい
ふくらんだ好奇心 トリックはないのに
気になるよ興味深い どうして?

見えているコトじゃ半分?
なんだって話して やっぱどこかシャイなんだ
目があえばヘンな違和感 ちくちく
恋なんて正解じゃ 君はまだ腑に落ちないね

だけどだけど 聞きたい ホントのこと
難しい顔して 単純なかけひき 教えて
笑い飛ばせば心外? きっと待ってる!

君とシンパシー つかまえたい
届きそうですぐに消えてしまう不思議
だから君にテレポート いちばん傍にいくよ
お手あげの好奇心 バカみたくはしゃいで
ごまかした好きな気持ち 認めよう

ムキになってたのはわたし? 意識されたいくせに
ゆれてる未来 自分次第だけじゃヤダよ

君のミステリー 解いてみたい
少年のヒミツめいた背中探せ!
今日も君はファンタジー 惹かれていくよ、ずるい
ふくらんだ好奇心 トリックはないのに
気になるよ興味深い どうして?
{/netabare}

※ストーリー的には、第12話以降は、{netabare}千反田えるが折木奉太郎に対して抱いた恋心を、遠まわしに少しずつ形に表していく過程を描いたもの、と見ることができる(=千反田えるが、慎重に、しかし用意周到に、奉太郎の心の中に忍び寄ろうと画策する{/netabare}→ED2の歌詞そのもの)。


さて、1回目視聴後に一番気になっていた第18話である。
おそらく、ここでの会話が、第22話での千反田えるの控え目で遠まわしな告白につながっているはずである。

第18話「連峰は晴れているか」ラストの奉太郎×えるの会話
{netabare}
「折木さんは他の人のためには色々力を尽くします。私も何度も助けてもらいました。」
(独白)「とんでもない誤解だ」
「でも折木さんて、自分のことには無頓着ですよね。それなのに、どうして今日だけは、自分の疑問を調べたんですか?」
「う・・・ん」
「済みません。私、どうしても気になるんです。」
「ああ・・・里志から雷のことを聞いて、嫌な連想が浮かんだんだ。」
「はい。そう言ってましたね。」
「その連想が当たっているか、はっきりさせたかった。だから、調べに行こうと思った。それで図書館さ。一週間もかかる大調査だったら別だが、古い新聞をめくるだけのことなら、大したことじゃない。手伝いもいたし、(嫌な)連想が当たっていたら、気をつけなきゃいけないことだからな。」
「気をつける、ですか?」
「実際は、ああいうことがあったのに、小木は、ヘリが好きだったなあ、なんて気楽には言えない。それは無神経ってことだ。そりゃ、さすがに気をつけるさ」
(驚いて)「は・・・」
「ん?分かりにくかったか・・・無神経というか、あれだ。人の気も知らないでっていう感じだ。多分二度と小木には会わないから、人の気も何もないけどな」
「折木さん」
「ん?」
「それって、とっても・・・・あ・・・上手くいえません」
(独白)「こいつは何を言おうとしたんだ?まあいいか。上手く言えないことなら、上手く聞き出せないだろうし」
「じゃあ、ここで。今日は手伝ってくれて助かった。」
「どういたしまして。今日は、折木さんの意外な一面が見られて、よかったです。」
「もう勘弁してくれ」
「あ、済みません。・・・・ではまた。」
{/netabare}

第21話「手作りチョコレート事件」では、
{netabare}
(1)摩耶花は、手作りチョコを渡すことでストレートに里志に自分の恋心をぶつけようとするが、
(2)千反田えるは、摩耶花とは対照的に、奉太郎に通学途中に「私の家では、本当に親しい人にはお中元などの贈り物をしません」と俯き加減に告げて、彼の心を困惑させてしまう。
{/netabare}
このように、えるは、自分の持つ価値をさりげなく(しかし用意周到に)小出しにしながら、奉太郎に遠まわしに自分の希望を伝えようとする(第20~22話)。
そうした過程が新鮮で、興味深い作品でした。

※(5/22)評価点数微調整

投稿 : 2024/06/01
♥ : 151
ネタバレ

くろゆき* さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ごく簡単な物理的解決はごく簡単な心理的側面から否定される。

「けいおん!」、「CLANNAD」の京都アニメーション新作TVアニメの「氷菓」。
米澤穂信の推理小説・古典部シリーズを原作とする青春ミステリ作品の本作です。


第1話 「伝統ある古典部の再生」
{netabare}
本作第1話は、省エネ主人公・折木奉太郎と好奇心旺盛のお嬢・千反田えるの邂逅物語となっています。
京アニクオリティで描かれる可愛すぎる千反田える嬢が気になって古典部の活動に巻き込まれて行く折木奉太郎の心情が丁寧に描かれる良い感じの導入エピソードとなっている今回です。
{/netabare}

第2話 「名誉ある古典部の活動」
{netabare}
第2話は、古典部部員候補の新キャラ・伊原摩耶花(いばらまやか)登場回。
そんな伊原麻耶花の登場と共に、気になる千反田えると折木奉太郎の古典部での活動が描かれる今回です。
そんな気になる二人の活動は、第1話に続いて面倒なことが嫌いな折木奉太郎を好奇心旺盛の天然お嬢様の千反田えるが薔薇色の高校生活に巻き込むというような内容になっていて、第2話もえる嬢の可愛さが炸裂する二人の掛け合いが楽しい本作です。
さらに、新キャラの伊原麻耶花のえる嬢に負けないミステリ好きなところも描かれて、古典部女子組がついに始動している今回です。
二人のセクシーなEDも初登場です。
{/netabare}

第3話 「事情ある古典部の末裔」
{netabare}
第3話は、千反田えるの一身上の都合で古典部に入部した理由が明かされるエピソード。
そのことで初回にいきなりえる嬢が古典部に居たことや、折木奉太郎の推理能力にやたらと食いついて来た理由が繋がる今回です。
そして、その気になる一身上の都合とは、7年前に失踪した元古典部の伯父さんに言われたことを思い出したいという、これまた謎だらけで一身上の都合すぎるものだったわけで、そんな千反田えるの気になること探しを手伝うことになった折木奉太郎の古典部での活動がついに始まる今回です。
そんな中、今回も折木奉太郎のキレキレの推理能力が披露されて、失踪した伯父さんの謎に迫っていくお話が面白くなっている本作です。
{/netabare}

第4話 「栄光ある古典部の昔日」
{netabare}
今回は、千反田える邸での古典部4人の伯父さん考察エピソード。
登場人物が古典部の4人だけという、45年前の伯父さんの英雄譚を探る会話劇エピソードとなっている今回です。
そんな動きのない会話劇回のため、初披露の千反田える邸をみんなで周りながら豪邸散策をして、飽きさせない画作りで楽しませてくれます。
お話の方は、持ち寄った文献から仮説を立てて検証するという文字満載の内容だったわけで、初見で検証内容や4人のやり取りの流れを完璧に掴むのは大変なことになっていますが、じっくり観直して、折木奉太郎の推理能力の高さを堪能したいお話となっている今回です。
{/netabare}

第5話 「歴史ある古典部の真実」
{netabare}
第5話は、関谷純の「氷菓」編完結エピソード。
45年前の古典部の真実、文集「氷菓」の名前の謎、千反田えるが子供時代に流した涙の理由が全て明かされる今回です。
そんな中描かれる折木奉太郎の灰色と薔薇色の青春話も綺麗にまとめられて、良い締めくくりエピソードとなっています。
また、今回は堀口悠紀子さんの作画監督担当回となっていて、いつも以上の耽美な人物作画を堪能できる内容にもなっている今回です。
{/netabare}

第6話 「大罪を犯す」
{netabare}
第6話は、折木奉太郎を惑わす千反田えるの大罪エピソード。
前回、文集「氷菓」のことで子供の頃に泣いてしまった謎が解けてスッキリした千反田えるさんですが、今回は授業中に自分が怒ってしまったことの謎を折木奉太郎に解かせるというムチャぶりエピソードとなっています。
そんなお話の中見せる千反田えるの天使っぷりが可愛くて最高な今回です。実際に天使チタンダエルも登場しますw
そんな無意識で折木奉太郎を惑わす天使チタンダエルの小悪魔っぷりが楽しい今回となっています。
{/netabare}

第7話 「正体見たり」
{netabare}
第7話は、千反田えるのエロスな入浴シーンもある温泉回!
夏休みにそんなえるちゃんと古典部のメンバーが温泉宿に泊まりに行くという薔薇色すぎるお話の今回です。
温泉宿では、千反田えるの浴衣姿や一緒に温泉へ行くシーンなど、千反田えるとのドキドキ小旅行アニメが最高です。
また、「けいおん!」の唯役でおなじみの豊崎愛生キャラも登場するなど、見所満載なサービス回の今回でした。
{/netabare}

第8話 「試写会に行こう!」
{netabare}
今回から試写会エピソードの原作2巻「愚者のエンドロール」が描かれる新章がスタート!
ゆかなさん演じる新キャラの「女帝」入須冬実(いりすふゆみ)が登場して、千反田える達古典部メンバーが踊らされようとしています。
そんな今回のお話は、犯人が分からない未完のミステリー映画を入須冬実に観させられた古典部のメンバーが、その犯人究明に挑むことを決意するお話となっています。内容的には、入須冬実の狙いなど、まだまだ謎だらけの導入エピソードとなっている今回です。
{/netabare}

第9話 「古丘廃村殺人事件」
{netabare}
愚者編2話目となる今回は、千反田える死亡回。
殺人事件のサブタイトルとは関係なく、ウィスキーボンボンを食べ過ぎてえるちゃんが自滅する今回です。
お話の方は、映画の犯人を推理する探偵役の3人を招いて未完成の脚本を探るものとなっていましたが、結局3人の案は却下され、物語の真相には全然たどり着けない、まだまだネタフリ段階のエピソードとなっています。
そんなわけで、お楽しみ要素でえるちゃんを酔っ払わせて遊んでいる感じになっている今回ですw 
絵コンテ・演出は、「けいおん!」監督の山田尚子が「氷菓」初登場。
{/netabare}

第10話 「万人の死角」
{netabare}
今回は、折木奉太郎の浮気回。
二日酔いの千反田えるちゃんが不在の間に、入須冬実先輩にたぶらかされて調子に乗ってしまう今回です。
お話の内容は、美人の先輩に「特別」だと言われてしまった折木奉太郎が、モットーの省エネ主義を返上してまでいいところを見せようとするわけですが、そこには何か青春の落とし穴がありそうで…さらに、運悪く一緒に考えてくれる古典部の仲間たちも不在で、なにか悪いことが起こりそうなフラグが立ちまくりの今回です。そんなわけで、えるちゃんの出番も殆ど無く、次回の愚者編完結編?に続く本作です。
{/netabare}

第11話 「愚者のエンドロール」
{netabare}
第11話は、「愚者のエンドロール」編完結エピソード。
入須冬実に踊らされていた折木奉太郎の真実が明かされると共に、本郷の脚本の謎がついに解ける今回です。
入須冬実黒幕の物語の流れはチャットシーンなどで明かされていましたが、ようやく今までの謎が繋がってスッキリできました。
第8話冒頭のチャットシーンの意味もようやく理解できました。
というわけで、折木奉太郎さんには少し痛い薔薇色デビューとなった愚者編となりましたが、次の文化祭エピソードに続く本作です。
{/netabare}

第12話 「限りなく積まれた例のあれ」
{netabare}
第12話は、文化祭編スタートエピソード。
前回までの「愚者のエンドロール」編で打ちのめされた折木奉太郎でしたが、先日先行配信されたTV未放送の第11.5話の水着エピソード(氷菓コミックス3巻ブルーレイディスク付き限定版に収録)にて、えるちゃんの水着を見て復活したという流れでの新章突入の今回です。
その新章のお話が、えるちゃんの伯父さんの名(関谷)から付けられたカンヤ祭話なわけで、文化祭が盛んで有名な神山高校のそのカンヤ祭を楽しむ千反田えるちゃんほかの古典部メンバーの姿が楽しく描かれて見所が満載すぎる今回です。アッカリ~ンも登場。
{/netabare}

第13話 「夕べには骸に」
{netabare}
第13話は、文化祭編2話目エピソード。
前回のえるちゃんが撮られてしまったコスプレ写真に折木奉太郎が食いついてしまうというドキドキの今回です。
その他、前回に引き続きカンヤ祭初日の模様が楽しく描かれ、古典部が発注しすぎた氷菓の問題や、謎の窃盗事件のミステリー、漫研での伊原摩耶花の憂鬱展開、お姉ちゃんから貰った万年筆のわらしべ長者物語なども上手いこと絡まって面白いことになっています。文化祭編がいい感じです。
{/netabare}

第14話 「ワイルド・ファイア」
{netabare}
今回は、古典部参加の文化祭お料理対決エピソード。
古典部メンバーそれぞれの活躍が描かれる美味しいエピソードの今回です。
内容も山田尚子絵コンテで、かわいすぎる魔女っ子の伊原摩耶花や、千反田えると入須冬実の百合展開などが、サービス過剰とも言えるほどのお遊び満載で描かれております。さらに、折木奉太郎さんまで萌えキャラ化してしまっていますw
そんな感じで、ミステリーは少し一休みのサービス回となっている今回です。
{/netabare}

第15話 「十文字事件」
{netabare}
今回は、文化祭編も中盤に差し掛かって古典部のミステリ展開が本格スタート。
文化祭のお楽しみ展開もようやく一段落して、折木さんが活躍?の本編とも言える謎解きミステリ展開がようやく動き出します。
その解決すべきミステリは、もちろん例の各部活で多発していた盗難事件の謎だったわけで、折木奉太郎の元に情報が集まりだしております。
しかし、当の折木奉太郎はあまりやる気がなかったわけで、そんな折木さんとは正反対に事件解決に燃える福部里志や千反田える嬢、また、漫研でのゴタゴタがまだ続いている伊原摩耶花など、古典部メンバーのドラマがどのように十文字事件を通して転がって行くのかが非常に気になる本作です。
{/netabare}

第16話 「最後の標的」
{netabare}
今回は、文化祭の十文字事件の佳境展開エピソード。
前回から本格的に十文字事件のミステリ展開に突入している本作ですが、今回は文化祭も最終日に突入し、大分長いことやっている文化祭編も終盤へと差し掛かっています。
その最終日では、ついに「夕べには骸に」も登場して、十文字事件も最後の標的の古典部?を残すだけの展開に。
そんな中、えるちゃんのエロ可愛いシーン、福ちゃんの奉太郎への嫉妬、伊原摩耶花の漫研修羅場シーンと、見所満載な今回となっています。
そして、次回の折木奉太郎さんキレキレ活躍?の「クドリャフカの順番」エピソードに続く本作です。
{/netabare}

第17話 「クドリャフカの順番」
{netabare}
第17話は、学園祭「クドリャフカの順番」編完結エピソード。6話かけた学園祭編がついに完結する今回です。
その完結編の内容が、謎解決と学園祭編のテーマを見事にまとめた素晴らしいものになっていたわけで、青春の痛さが見事に詰まった完結編に相応しい神回となっています。
お話の方は、予期していた通り折木奉太郎が真犯人をキレキレの推理で暴くところを福ちゃんに見せつけてしまったり、伊原摩耶花が「夕べには骸に」への河内先輩の想いをを知ってしまったりと、すべての謎の解決が持つ者と持たざる者の痛い青春のお話に収束してみせた今回となっています。
{/netabare}

第18話 「連峰は晴れているか」
{netabare}
今回は、折木奉太郎と千反田えるの放課後図書館デートエピソード。
前回で文化祭編「クドリャフカの順番」が完結して、短編エピソードが登場の今回です。
お話の内容は、珍しく自分の気になることを調べたくなった折木さんと千反田えるちゃんが、放課後に二人きりで図書館に行くというラブラブな内容となっています。その図書館デートで見せる二人の微妙な距離感がたまんないことになっています。
また、折木奉太郎が気になることがあると言ったときの古典部メンバーのリアクションも面白い今回です。えるちゃんの食いつきっぷりがパないですw
{/netabare}

第19話 「心あたりのある者は」
{netabare}
今回は、前回と同じく折木奉太郎と千反田えるの放課後短編エピソード。
原作的にも第22話の最終話まで、各話短編エピソードでまとめてきそうな本作です。
お話の内容は、前回よりもさらに二人の距離が縮まった会話劇エピソードになっていたわけで、お互いに意識しあったりするシーンもある、二人の放課後の推理ゲーム会話劇がいい感じに描かれている今回です。だいぶラブラブになってきている二人です。
{/netabare}

第20話 「あきましておめでとう」
{netabare}
第20話は、折木奉太郎と千反田えるのお正月エピソード。
終盤に入って、この二人のラブラブ日常アニメが展開している本作ですが、今回も初詣での二人の初々しいカップル模様が描かれます。
そこで折木奉太郎の目を疑う千反田える嬢の着物姿が素晴らしすぎる今回です。
というわけで、ミステリー作品というよりは、折木さんとえるちゃんの萌えキャラぶりを堪能するエンタメ度の高めな作品になってきている本作です。
楽しく観られるので全然いいんじゃないのでしょうか。残り2話もそんな感じ?
{/netabare}

第21話 「手作りチョコレート事件」
{netabare}
第21話は、福部里志&伊原摩耶花のバレンタインデーエピソード。
昨年、チョコを受け取るのを拒否した福部里志と伊原摩耶花の青春のほろ苦さ全開のバレンタインデー話が描かれる今回です。
そんな昨年の事情を知らずに伊原ちゃんのために熱くなる千反田えると、そんなえるちゃんのための優しい嘘をついて事件を解決しようとする折木さんの二人もこれまたいい感じになっています。
そして、一騒動を起こしてえるちゃんたちを騒がせた福部里志の伊原摩耶花に対する心の整理の行方も気になる今回です。
{/netabare}

最終話 「遠まわりする雛」
{netabare}
最終話は、折木奉太郎と千反田えるのひな祭りエピソード。
桜の季節の二人の出会いで始まった本作ですが、ラストも同じ桜の季節のお話で綺麗に締められた本作です。
そんな最終回は、本作らしく質寄りな内容になっていて、この一年間を一緒に過ごした省エネ少年と豪農の家の娘の一年間の成長と未来が描かれる素晴らしい青春ストーリーの締めエピソードとなっていました。観終わった後の余韻が本当にたまらない最終回です。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19

65.4 2 ChouChoで高校生なアニメランキング2位
グラスリップ(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (1164)
5334人が棚に入れました
ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしている。高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆は、透子に、自分には未来の声が聴こえると語りかける。もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう? 感じたことのない動揺を覚えながらも、透子は胸の中に、放っておけない感情が生まれていることに気が付く...。

声優・キャラクター
深川芹亜、早見沙織、種田梨沙、逢坂良太、島﨑信長、山下大輝、東山奈央、茅野愛衣
ネタバレ

アガパンサス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

グラスリップ解説最新版・分かりました

ネット上では「分からない」としか言われていない本作品。
いくつかの話をピックアップして見ていこう。ただし最終回の伏線になっているところは途中でも解説してしまうので、一通り観てからこのレビューを読んでくださいです・・・

1話のポイント
{netabare}
1話は最終話への伏線が沢山あるので重要。
・ヤナが「先のことは分からない」と言うが、透子は「ずっと友達でいたい」と言う。
→ヤナの「不吉な」セリフが、話数の進行に伴い、従来の友達関係が壊れていくことの伏線になっている。
・透子は「何があっても全部未来の自分が解決してくれますように」と言う。
→このとき、目をつぶって手を合わせている点に注目。最終話で同じセリフが言われるが、その時は手を合わせないし目をつぶることもない。より前向きになっていることが分かる。つまり、1話の時点で、透子は未来を他人任せというか「なんとなく」しか意識していなかったが、最終話で「はっきりと」意識して「自分で切り開く」ことを決心したのだと言えるだろう。
・ジョナサンが浮いている。残りの名前にフッサールとか出てくる
→間違いなく、「浮いている」ジョナサンとカケルが対応している。
→最終話でユキが「ジョナサンは冒険者だが、残りの名前はみんな哲学者だよな」と言うのに注目。
・透子は「放し飼いがいい」と言うが、カケルは「猫に襲われるだろ」と言う
→自由がいいか、守られているけれど不自由なのがいいか?とも解釈できる。カケルが自分自身の殻にこもっている証拠ともいえる。これを補足するものとして、透子の家でジョナサンが暴れまわるが、これは自由への欲求とも受け取れる。
{/netabare}
2話のポイント
{netabare}
・カケルは透子と会って、初めて映像と声の両方が合わさった欠片を見た。
→カケルは音の欠片を聞き、透子は映像の欠片を見ている
・透子が4人の友達から離れて電車がドン!な欠片
→これは、4人が死ぬという意味ではない。この時点でも想像はできるが、12話で透子が「私がみんなと過ごした忘れられない場所をもっていない」と言うことによって、はっきりと伏線が回収される。つまり透子は4人と親しい友達でいるつもりだったが、それは表面的なもので、実は透子自身は浮いた存在であり、次第にそれが明らかになっていく、ということ。今後の話で、まさにこの映像のようなストーリー展開がなされていく。
・ユキとヤナの恋愛感情が露呈して、5人の友達関係が崩れていく
→カケルは5人にとって「部外者」。しかし部外者の登場によって5人の表面的な関係が崩れていくのである。
{/netabare}
3~6話は、あまり重要ではない。未来の欠片をめぐって視聴者はじらされる。その中で、次第に5人の中の恋愛感情が育っていく回だとみておけば、大きな間違いではないだろう。一応5、6話だけ少し。
5話のポイント
{netabare}
・ヒロの恋愛感情がサチに向いている
・ヤナがユキに棒読みな告白をする
→これで5人の友達関係は完全に崩れてしまった。5人の人間関係はヤナが1話で予言したように「変わって」しまったのである。
{/netabare}
6話のポイント
血なまぐさいケンカがあるが、それ自体はあまり重要ではない
{netabare}
・透子がカケルとのキスシーンの欠片を見る
・カケルが「透子に味方してほしかったのかな」と言う
→透子とダビデの心理的な距離は近づきつつある
{/netabare}
7話のポイント
未来の欠片の正体が判明したり、カケルの今までの人生がどういうものだったかが明確になる非常に重要な回である。
{netabare}
・3人のカケル
→カケルは常に自分を冷めた目、つまり第三者的な目で見ている。これはすべてのことについてもそうである。
・テント暮らしの象徴するもの
→カケルは常に世界の「外」にいる。透子達5人に対しても、輪に入ることはなく「外側」にいようとする。
・透子が「高いところに登っちゃダメ」と言うが、カケルは「少しでも落ちる可能性のある所には登れない」と言う
→カケルは「挫折に対する恐怖」を感じている。だから何事も夢中になることがなく、冷めた目で外から見つめている。このことが、1話で透子に「そんなのお前の価値観でしかないだろ」というセリフにつながる。つまりカケルにとって「価値観」はすべて相対化されており、「カケル自身が何をしたいのか」という部分が気持ちの中に全くないのである。
・最後の砂浜でのシーン。ヤナの後ろ姿から鳥(後にトビと判明する)が沢山飛び出してきて「お似合いカップル」と憎らしくつぶやく「映像と声があわさった欠片」を透子が見る
→「未来の欠片」は、タイムマシン的なイメージで捉えた未来の予測ではなく、その人が抱えていたり自分が遭遇している現実に隠された「本質的なもの」と考えられる。これは最終話で透子が「未来ではなく、まだ起こっていない、でもきっとこれからおきること」という言い方もしている。「未来の欠片をみる力」というのは、「現実に表面的に存在しているわけではないが、そこに潜む本物をみる」能力と言ってもよい。「本当の想いや本音、隠しているもの、隠されているものを見る力」と言ってもよい。少なくとも、「ふつうの意味での未来」とは別の意味が「未来」に隠されていると考えないと、このアニメのストーリーが意味不明になってしまう。透子とカケルは未来予知能力者では全くない。
・9話の伏線として、サチが透子への好意をヒロに打ち明けるシーンがある。その打ち明け方がドロドロしているためか、ヒロはサチと一定の心理的な距離を置くようになった。これを、「ヒロはサチの友達でしかないと悟った」と解釈する人がいる。そうも読めるが、後で二人は登山デートをして、ついにヒロがサチを背負うところまで仲が発展していくのだから、「単なる友達」ではない。10話でヒロがサチへ読書感想をメールで伝えるというシーンからも、やはり二人の関係は特別なものになっているのである。ヒロがサチから一度心理的な距離を置いて冷静になったからこそ逆に本物の愛につながっていくのではないか。
{/netabare}
8話のポイント
カケルと透子の関係が重要な段階に入る。
{netabare}
・透子の欠片:二人の女性の会話中に窓ガラスが割れる→表面的な二人の関係を見破ったということではないのか。
・雪が透子の欠片の中で降り始める
→欠片の中に透子とカケルがキスをするシーンがあり、「やはり二人は両想いであることがはっきりしていくのかな?」と予想することは簡単である。では、雪の正体とはいったい何だろうか?これは、12話で透子が見るカケルの「唐突な当たり前の孤独」のシーンにつながる。つまり、キスをするだけでなく、カケルが抱える本当に重大な問題を透子が理解することによって、二人の関係は単なる肉体関係としての恋愛ではなく「本物の関係」になるのである。
{/netabare}
9話のポイント
{netabare}
・サチが透子とヒロの二人に告白する。
・透子がスケッチに描いた鳥を消している→これがトビの姿なので、7話でヤナから飛び出した鳥はカラスではなくトビではないかと思われる。あまり本質的ではないが・・・
・サチの言う重要なセリフ:「明日のために」→最終話への伏線。明日のために今日を一生懸命生きよう、ということ。
{/netabare}
10話
{netabare}
・ヒロが読書感想メールをサチへ送る。ようやく気持ちが通じ合ったかなと言う感じがする。
・カケルが欠片を見ることができなくなった
→次第に自分自身の「外」から「内側」へカケルの気持ちが移ってきていることの証。平たく言えば、カケルの「自分自身」が「覚悟を持って生きる」決心がつき始めている、ということ。
・「唐突な当たり前の孤独」
→「自分に友達が出来ても、自分が引っ越しなどでいなくなったらその友達は自分のことを忘れてしまう」経験のこと
{/netabare}
11話
{netabare}
・透子とカケルが一夜を過ごすが、カケルは「一緒にいるのが怖い」と言う。カケルは転校しようとしていたが、母に「一緒に世界を回らないか?」と誘われてしまう。だから、せっかく透子と仲良くなったのにまた別れる羽目になってしまい、やがて透子に自分が忘れられてしまうのではないか。また唐突な当たり前の孤独を味わってしまうのではないか。だったらやっぱり透子との仲は無かったことにしよう・・・というカケルの気持ちが読み取れる。
・サチがヒロに「また山に歩いて登りたい」と言う
→そういえば3話では車で登っただけだった。より二人の仲は親密になっている。
・サチが「近くにいるのに相手が見えないって不思議じゃない?」とヒロに言う
→二人の仲はまだ本物になっていないことを想起させる。雪はその象徴であると考えれば、透子の欠片がどういう意味かも説明できる。つまり、カケルがこの孤独についての問題を解消できない限りは、カケルと透子が本物の関係になることはできない、ということ。ただしカケルと透子は二人で花火の欠片を見ることができているので、二人の世界を共有し始めているのは確かであり、本物の関係になっていくと期待できる。もしかしたら、サチも「唐突な当たり前の孤独」を感じていたのかもしれない。病弱で学校にあまり行かないから友達が出来なくて・・・そうした中で透子は大切な存在だったと・・・
・カケルの母のピアノ演奏が始まり、カケルと透子は手をつないで聴き始める。
{/netabare}
12話のポイント
2話の重要な伏線が回収される回である。
{netabare}
これは並行世界でも未来の世界でもない。カケルの感じていた「唐突な当たり前の孤独」を透子が感じるシーンが大半を占めている。透子が「私がみんなと一緒に過ごした忘れられない場所をもっていない」と言うことで、2話の欠片についての説明がなされ、伏線が回収される。最後に、透子は現実の世界に引き戻される。

※補足
「これは単純に透子が友達を失う苦しみじゃないか」という意見がある。そうではない。冒頭のシーンで透子は4人に喫茶店で会っている。でも4人はいまひとつ透子のことを見てくれていないし、花火大会で挨拶しても「覚えていない」。たぶん、カケルもこういう感覚を味わっていたのだろうなと想像できるのだ。さらに、前述したように、このシーンは透子と4人の関係が露呈するという二重の意味もある。失うのではなく、「元々本当は」友達ではないのだ。

※補足2
したがってこれは透子が4人に対して感じた疎外感でもある。その中でカケルだけは「本物」だった。カケルが透子にとって本当に大切な人になった瞬間である。

{/netabare}
13話のポイント
この回ですべての重要な伏線が回収されると言ってよい。
{netabare}
・4人が喫茶店に集まる。ヤナが「偶然5人集まること、前はよくあったよね。」と言う
→やはり2話で透子が見た欠片につながっている。やはり5人の関係は変わってしまい、透子は4人から離れてしまった。これは見方を変えれば、5人の仲は「本当は友達ではなかった」と露呈したともいえる。残る4人の関係も変化しているためヒロが言うように「何かキンチョーする感じ」である。
・カケルが山歩きをしていたのは父の影響と判明する
・透子の母も欠片を見ていたと判明。しかし「思いもしなかったことばかり起きた」と言う
→「未来の欠片」は、やはり普通の意味での未来ではないことは明らか。母は「今、精いっぱいやらないと」とも言う。これが、このアニメで最も重要なテーマと言ってもよい。
・流星には「星に願いを」と言うように、「願い事」の意味が隠されていると言える。将来への希望である。
・「ジョナサンは強いて言えば冒険者」とユキが言う
→カケルは「放浪」ではなく「冒険」を始めた、と読み取れる。前向きに生き始めた、ということ。
・透子は「何があっても全部未来の自分が解決してくれますように」と言う。
→1話の花火大会で言った時よりもかなり前向きな言い方になっていることに注目。すでに解説済み。
・テントはもうない。だからカケルはもういない。しかし一人で登校する透子には「透子」と呼びかけるカケルの声が聞こえる。
→カケルと透子は別れてしまった。二度と二人が会うことはないのかもしれない。しかしカケルのことを透子は覚えているし、二人の想いは通じ合っているのである。だから、「友達ができても自分はやがて忘れられる」ということはもうない。カケルは「唐突な当たり前の孤独」を感じて苦しむことはもうなく、人生の意味を見出して前向きに進み始めているのである。そして、二人をつなげているのが、山で投げたビー玉?のうち、拾い忘れた一粒(最後に出てくる青い玉)、ということになっている。さらに、この山が二人にとっての「一緒に過ごした忘れられない場所」なのだ。また、透子は4人から離れて一人になってしまった(やがて4人からは忘れ去られるかもしれない)が、それは「唐突な当たり前の孤独」ではなくもっと力強い孤独である、という意味も込められている。
{/netabare}
<まとめ>
グラスリップは、要約すれば「カケルが透子と出会うことによって人生の意味を見出した」アニメと言えるだろう。
<感想>
ここまでメモを取りながら「読む」アニメは初めてだった。何度一時停止をしたか分からない。でも「分かった」時の感動はすごいものがある。いやー感動しますよ。TARITARIをはるかに超える、爽やかな美しい感動ですよ。

<補足>
OPで少し幼い透子たちが描かれている意味
→この時点でヒロがサチに好意を抱いている。つまりこのころから5人の関係は変わり始めていたが、表面的には今まで通りのつもりだった・・・と解釈できる。ちなみに、サチと透子が親しかったらしいこともわかる。
ジョナサンがカケルならニワトリが5羽しかいないのは何故?
→ジョナサンはカケルだけでなく透子も象徴しているのではないか?二人とも最後は唐突な当たり前の孤独を共有し、最後はそれを振り切って前へ進んでいくという共通点がある・・・トビはもちろん、カケルのように「世界を外から見る冷めた視点」のようなものを表している。
「グラスリップ」の意味
→グラスとトリップ(旅)と西山監督が言っている。個人的にはこちらの方が好みですね。透子がガラスのようにキラキラしたものの向こうに「未来の欠片」を見る。これを「未来へ飛ぶ=トリップ」と捉えたイメージ。しかしそれではスペルがGlassripにならなければならない。
→Glass+slipで「ガラスが滑る」という意味もある。ガラスが滑ると割れる=5人の人間関係が壊れる、ということ

<日本アニメの終焉について>
 こういう難解なアニメが受けなかったということは、もう日本のアニメは終わりに来たのかなと思えてくる。
 ざっくりと日本のアニメ史を分けるとするならば、昭和世代と平成世代に分けることができるだろう。昭和時代の作品は「何かが起きて」物語の進行とともに大きな山「クライマックス」ができる、という素直で爽快な「格好いい」ストーリー性があった。
 しかしこうしたストーリー性のネタが次第に切れてきた。それが平成時代である。ここで登場したのが「何ですかこれ」的な作品である。それは例えばセーラームーン(ただしTV版、原作は根本的にテーマが異なる)のようなパロディ性のあるものであったり、エヴァンゲリオンや少女革命ウテナのようにストーリーの軸を視聴者の予想を「あえて」裏切る形で完結させようとする作品であった。これは、ネタ自体の新しさを追求するのに限界が生じたために、その構成の仕方について新しい手法を提案したためである。これは、ストーリーにいくつかの解釈の可能性をもたせるものであるため、「考察厨」の間で論争が起き、「話題」になることによって作品が売れる、というビジネスモデルであった。しかし視聴者はすぐにこのモデルに順応してしまい「慣れて」しまった。こういう作品を苦労して作っても、「要するにいろいろな解釈をすればいいのだな」「考えるのではなく感じろ」という風に「冷静な」感想しか出てこない。
 視聴者にインパクトを与えるにはどうしたらいいのか?昨今のマンガ作品は「どれも似たようなもの」や「既に観たことがあるもの」になってしまっている。萌えに走るとただのエロアニメとして批判され、ギャグはネタが古いorひねりすぎとして批判される。SFは既に科学の世界で実現しつつあるものか、既に実現したもののデフォルメでしかない。「技術」に走ってグラスリップのような作品を作ると、「どう解釈することもできない」意味不明な作品と受け取られてしまう。だから、新しいものを作っても新しさが今一つだし、ウケないのだ。
 どこの世界でも、最近「イノベーションの重要性」が叫ばれつつあるが、これはイノベーションが困難になってきている証拠だと思われる。
 ホント、これからのアニメ界、どうしたらいいのでしょうね。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 57
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ガラスを透かして見た世界の向こうは、あやふやなれど美しい

この作品、皆さんの評判がすごく悪かったので逆に見てみたくなりました。
いえただ単に評判が悪いだけならスルーするところなのですが、皆口をそろえて「意味が分からない」との感想ばかりで。
何がそんなに意味不明なのだろうと見始めたのが経緯です。


結果として、確かにむず痒い感覚の残る作品でした(笑)

でも悪い作品かというと個人的にはそう思いません。
グラスリップを見ている間は色んなことが頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・意味は全て理解できなくとも心を満たしてくれました。

こういう作品なので、たまには足りない頭を絞って少し考えてみたいと思います。
一応本編及び『true tears』のネタバレを含むことをご承知の上でお読みください。



ものすごく長い{netabare}
この作品を語るときしばしば西村監督の前作『true tears』の話が出てきますが、比較すべきは恋愛要素ではないと思います。(厳密には前作ではありませんが同制作会社の同監督作としてよく比較されるため)

多分true tearsといえば‘主人公の眞一郎はどのヒロインとくっ付くのか?’という部分が最も面白くて作品の肝になっていると考えている方多いと思います。

自分も昔はそう考えていたんですが、グラスリップを見てみた結果監督の最も見せたかった部分はそこではないんじゃないかと思い直しました。

肝心なのは、眞一郎が誰と付き合うかではなくこの先どう生きていくか。

恋愛の中で彼の選び取った未来、その結果として誰がパートナーとしてふさわしいか。そんなストーリー。

岡田麿里さんが絡んだことで恋愛要素がマシマシになり、そちらばかり注目されますが、監督のやりたかったことはもっと素朴でいて広いテーマだったのかなと・・・。
(岡田さんのシナリオのおかげで面白さが増して現在の高い評価があることは異論の余地もないです)

今もう一度true tearsを見ると評価も変わってくる気がします。



ですから、おそらくtrue tearsからグラスリップのテーマ自体は一貫して『未来』だったと思います。

今回は監督色が強まった分恋愛色は薄まり、それぞれのキャラクターの行く末に目が向けられています。

恋愛アニメとして期待して見ると、消化不良でもの足りなさを感じます。

告白シーンの淡泊さ、その後の経過のあっさりさ。


恋愛モノで面白いところといえば、「誰と誰がくっ付くか」「いつくっ付くか」そして「共感できる心情なり台詞」にあると思います。

ところがこの作品はそのどれもイマイチ当てはまっていません。

誰と誰がくっ付く、の面白さは既に六人の中でカップリングがほぼ出来上がっているのでドキドキはあまりありません。

いつくっ付く、の面白さも序盤で告白を済ませて関係に破たんも見られないため特に高揚感も無し。

そして視聴者の共感、ですね。これが上手く行かなかった要因は、やはり透子と駆の複雑な心情描写に限ります。

複雑なことそれ自体が問題とは思いません。
true tearsでは乃絵の複雑な感情表現を、眞一郎が視聴者の声を代弁する形で問答し乃絵の真意を引き出していたため、全くもって理解不能とはなりませんでした。

グラスリップではその代弁者や仲介役が存在せず、二人の意味深な会話が視聴者にダイレクトに伝わる形でした。

視聴者の「どういうこと?」の疑問に応えてくれるキャラは強いて言えば透子の母である真理ということになるでしょうが、それでも分かりづらかったですね。そういえば、名前がそのままですね(笑)



まあそういうわけで、恋愛アニメとして見るべきではないと解釈したのです。

主軸となるのは「なんだか分からない、不確定なもの」。

これは前述の「未来」であったり、はたまた自身の「居場所」であったり。

それぞれが分からないなりに求めているものを見つけていく物語。


‘未来が読める=超能力者’や‘光の欠片=ファンタジー要素’との見方もあるみたいですが、思春期の不安を目に見える形で表した心象風景と言うやつであると思います。
駆くんが三人に分裂するのも、実際に彼が特殊な能力を有しているとかではなく彼の中で意思が分裂しているだけ。「現在・過去・未来」だったり?

まあ説明不足というか描写不足は否めません。
オカルトめいたお話に見えてしまってもそれは視聴者に非があるのではなく、制作者の力量不足ということでしょう。


未来が見えている駆が求めているのは居場所で、居場所のある透子は未来を見たがっています。

透子が11話「ピアノ」で駆に向かって‘ここがきっと私の場所なの’と呟いたのは美術準備室でした。
準備室というのは、その意味の通り不確定なものを表していると分かりますね。

六人の中で透子と駆だけが異質なのはEDの映像からも明らかで、駆を除いた五人は一緒に居て透子だけが駆のことを気に掛けている。

これは、やなぎ・幸・雪哉・祐の四人が見据えているのは今(現在)で、駆と透子だけが未来を見たがっているということでしょうか。

そうです、多分四人はきちんと未来が見えていて、自身の居場所もちゃんと見つけているようです。
未来が見えているというよりかは、大切な人がいることで不安を感じることがなくなった感じかな?


駆と透子が求めているものは異なっているようで、実は似たようなものであったのかも。

12話「花火(再び)」で二人の関係がちょうど逆転する形となったとき、透子は実は四人との居場所は自分の居場所ではなかったことを自覚してしまいます。

逆に居場所のなかったはずの駆はあっさりとその輪に入っていきます。

これってつまり、二人に欠けているもの・求めているものは「よく見えない、分からない」だけで同じようなものなのかなーと。
言い換えれば両方とも「未来の欠片」だと思います。


13話「流星」で流れて行った星々は二人の未来の欠片、あのとき初めて二人の想いが共有されて唐突な当たり前の孤独から解放された、のでしょうね。



正直僕もちゃんと理解はしてません(笑)
細かい所(例えば幸ちゃんの読んでる書物の意味とか)までカバーしきれませんし、12話での冬景色もイマイチ分からないんですよねー・・・。

あと、やなぎ達は哲学者が由来の鶏、透子は冒険者を由来とした鶏(ジョナサン)、翔はどうやら鷹?鳶?がそれぞれ比喩的に用いられているようです。
が、それらの表す真意は果たして。。。?

そこら辺は賢い方にお任せします(笑)
{/netabare}



あと、当たり障りない印象として
{netabare}
舞台を彩る夏景色が大変美しかったです。
青春を描くとき一番映えるのはやはり夏だと実感。


それからこの作品は音楽が素晴らしい!!

BGMって「視聴者の気分を盛り上げるため」と「登場人物の心情を表すため」と二通りの使い方があると思うのですが、この作品は全て後者でした。

本当に音楽の果たす役割が大きいですね。明るい音楽は前向きな、暗い音楽は後ろ向きな感情を表していました。

クラシックがメインで、個人的に好きなのは‘Nocturne In E Flat Major, Op.9 No.2(ショパン)’。
クラシックに関しては無知ながら、これは昔から好きで聴いていました。
これが流れるときはキャラも穏やかな気分でいる日常シーンです。

主題歌、OP「夏の日と君の声」が気に入りました。Chouchoさんの曲で一番好きです。
イントロから爽やかな雰囲気で夏らしく、これだけは本当リアルタイムで聴いておけばよかったと後悔・・・。

ED「透明な世界」は歌詞がグラスリップのことを見事に表現していると思います。
透明なガラスの向こう、カタチのない世界、透かして見えた景色、世界が生まれる。。。
印象的な歌詞ばかりです。これを聴いてから物語に入ると没入感が違うかもしれません。(あえて、EDです)


好きなキャラクター。これは断然で駆(ダビデ)くんです!
皆が恋愛に恋い焦がれている中で一人別の方向を向いていて、孤高の男という雰囲気が好きです。
それでいて哲学的な感性が素敵です。アダ名も気に入ってます。
彼を演じた逢坂良太さんも凄いですね。どこまでもブレずに淡々としゃべり続ける姿に惚れました。

ヒロインだと幸(さち)ちゃんです。文学少女+眼鏡娘萌え!って感じです。
眼鏡だから地味なキャラかと思いきやパンチの利いた一面もあり、そこも好きです。
{netabare}
最初は透子ちゃんに片思いしていたという、まさかの百合少女!
それでいて幸なのに薄幸扱いされる不憫さ。
色々美味しすぎます。
{/netabare}


最後に、グラスリップの意味について。
グラス+スリップで欠片を表すみたいです。
他にもグラス+タイムスリップやグラス+トリップで「旅」を表すという解釈もあるみたいなので、どれが正解か分かりませんが、自分は上のグラス+スリップ説を推します。
{/netabare}



いや~~・・長い。長すぎる。
グラスリップとこのレビュー、どっちが分かりづらいか良い勝負ですね(笑)

考察を要する作品が必ずしも良い作品となるとは限りません。
でも僕はこうやってグラスリップについて考えて想いを馳せている時間がとても楽しかったです。

もちろん皆さんのレビューを見た上で、ある程度の覚悟と知識をもって臨んだから今の感想があるのだと思ってます。

だから、どんな酷評でも全員のレビューにサンキューを付けたいほど感謝しています。

ありがとうございました。

僕から言えることは、恋愛に囚われず広い目線で物語を眺めて下さいということです。

あ、ネタバレ部分の解釈は全部自己流の解釈なのであまり参考にはならないかもしれません。ごめんなさい(笑)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 36

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

惜しい感じがする

福井県坂井市が舞台だったかな。
ガラスを通して不思議な感情だったり、未来予知だったりを主人公の深水透子が経験して不思議な体験をするお話だったような。

ラブストーリーな展開もあるのかなと思ったけど、もう終わり?という感想だった。もうちょっと掘り下げてほしかったかな。
早見沙織さん演じる高山やなぎは良かったンゴ。
キャラソンも

キャラクターが魅力的で主題歌もガールズアンドパンツァーや氷菓などで波の乗っていた?ChouChoと花咲くいろは絡みもあるnano.RIPEでよいし、P.A,WORKSだけあって作画もよかったのですが、物語の内容が惜しかったと感じました。2クールやれば、面白くなったかも。

OP
夏の日と君の声 ChouCho
ED透明な世界 nano.RIPE
イメージソング
ルーセントアイズ ChouCho


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしている。高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆は、透子に、自分には未来の声が聴こえると語りかける。もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう? 感じたことのない動揺を覚えながらも、透子は胸の中に、放っておけない感情が生まれていることに気が付く...。

1. 花火
大勢の人で賑わう花火大会会場。深水透子と高山やなぎは、やなぎが輪投げで手に入れた不思議メガネをかけてはしゃいでいた。透子がメガネをかけると、ぼんやりとした風景とともに「やっと見つけた」という声が聴こえてくる。一瞬戸惑ったものの、親友幸へのプレゼントにぴったりなノアベルを見つけたこと、また井美雪哉と白崎祐が屋台で大量に買ってきた食べ物の前に、その出来事は忘れてしまう……。後日、学校でにわとりのジョナサンをモデルにしてクロッキーをする透子に、ひとりの男子生徒が声をかけてくる。その優しい声音はどこか聞き覚えがあった。

2. ベンチ
いつものように祐の祖父が経営するカフェ「カゼミチ」に集まった透子たち。そこに現れた沖倉 駆は「俺はあの日、君と同じものを見た」と透子に告げる。いきなり来て馴れ馴れしく話す駆を警戒する雪哉たちだったが、駆は気にせず透子に待ち合わせ場所と時間を伝え立ち去ってしまう。微妙な空気が残る中、幸は戸惑う透子を見て彼女に同行することを決める。翌日、駆は幸がいることに特別驚く様子もなく、「透子には何かきっかけがあると、幻覚のようなものが見えるんじゃない?」と、彼女たちしか知らないはずの事実を口にするのだった。

3. ポリタンク
駆と一緒にいる時、きっかけがあれば“未来の欠片”がはっきり見えること。そして、やなぎのことを好きだと思っていた雪哉からの突然の告白。今までの日常が大きく変わろうとしていることへの不安と、親友たちが離れ離れにならずにすむ方法を考えた末、透子は駆に頼み“やなぎと雪哉の未来を見る”ことを決意する。自宅に隣接する工房でガラスを吹きながら駆を待つ透子は、おぼろげな“欠片”を見はじめる。そして突如それは鮮明になり、やなぎの泣き顔が映し出される……。一方、祐もある想いを胸に秘め、明日行われる登山に備えていた。

4. 坂道
登山の帰り、幸が入院しているイメージを見た透子は、彼女からの着信に慌てて出るも、予想とは違い、やなぎがレッスン中に右足を怪我したと聞かされる。急いで病院に向かった透子だが、右足に包帯が巻き松葉杖を使うやなぎと、肩を貸す雪哉の姿を見て、微笑みながらそっとロビーを後にするのだった。一方、ケガもなく無事に帰宅した幸は、登山の時に祐と交わした会話、「俺、幸って名前……好きだな」という言葉を思い出していた。そんな時、借りた本を返しに祐が幸の家を訪れる。玄関先でいつもより緊張している祐に対して、幸は「あがる?」と声をかける。

5. 日乃出橋
怪我から復帰して初めての記録会に向かう雪哉と、それに付き添うやなぎ。雪哉は緊張はしていないつもりだったが、やなぎが持つ動画用のビデオカメラからは自然と視線を外していた。一方、カフェ「カゼミチ」をひとり訪れた透子は、祐の祖父から祐は今日デートで店にはいないと聞かされる。思わず携帯で幸の番号を呼び出そうとして思いとどまるが、その足は自然と幸の家に向かっていた。透子の訪問に慌てた祐は見つからないよう幸の部屋から脱出。だが幸は、付き合っているわけではないが、つい先ほどまで祐が部屋にいたことを透子に伝える。

6. パンチ
まだ薄暗い早朝から工房に入りガラスを吹く透子。同じく朝早くから目覚め“未来の欠片”によって透子の声を聞いてしまう駆。“未来の欠片”のせいで駆を意識してしまう透子は、駆から電話があってもろくに話さず切ってしまう。午後、祐からの電話でカフェ「カゼミチ」にいつもより早く呼び出された透子は、幸とのことを打ち明けられ、また後から来たやなぎからは、雪哉に告白したことを聞かされる。これまでの関係が徐々に変わり始めるなか、祐から幸へのサプライズ花火大会が提案される。

7. 自転車
自宅前の海岸でやなぎと話す透子。雪哉と駆の勝負にやなぎが平手打ちで割って入ったこと、幸と祐の関係、そして幸の検査入院について話していると、波のきらめきをきっかけにして“未来の欠片”が見えてしまう。それは病室で横になっている幸の笑顔、そして傍らには祐の姿があった。嬉しくなった透子は思わず「やっぱり幸、大丈夫」と口にしてしまい、いぶかるやなぎに対して、慌ててごまかすのだった。一方、幸の病室を訪れた祐は、初めて幸の母親に出会う。緊張する祐だが、幸に「ボーイフレンド」と紹介され、さらに身体を強張らせるのだった。

8. 雪
夕暮れの波打ち際で見た“未来の欠片”は、透子が倒れ込むほど強烈なものだった。駆は「きっちり説明してもらうから」というやなぎの台詞を聞きながら、彼女に連れ帰られる透子を見守ることしかできなかった。後日、幸のお見舞いに訪れたやなぎは、雪哉が自分に黙って陸上部の夏合宿に行ったこと、幸と祐のこと、海での出来事と透子と駆の関係を彼女に話す。そして透子と駆の間に何か秘密があるのではないか? もし知っているなら教えてほしいと頼むが、幸は、どこか悲しそうな表情を浮かべながら「特別な関係なのかも……」と答えるのだった。

9. 月
雪……そしてキス。そんな駆との“未来の欠片”を見た透子。いつもなら聞こえてくるはずの“未来の欠片”が聞こえない駆。合宿に行った雪哉にメールを送るやなぎ。メールの送信者を見て朝練に向かう雪哉。祐に「夢十夜」というメールを送る幸。幸からのメールの内容が夏目漱石の小説だと知る祐。お互いどこかギクシャクしているものの、それぞれの未来が少しずつ動き始めていた。そんな中、透子は幸から「約束の場所に行きたい」と連絡を受ける。少しとまどいつつ待ち合わせの時間と場所を決めるのだが、その後祐にも、幸から、同じ時間と場所のメールが届く。

10. ジョナサン
麒麟館の展望台。“約束の場所”で透子と祐に告白した幸。驚く2人を見てどこか吹っ切れた様子の幸は、3人で月を見上げていることに嬉しさを感じる。その夜、自宅で妹の陽菜から、やなぎが“新しい自分になる”と言っていたと聞かされた透子は、自分も前に進むべく駆との関係をあらためて考えることに。翌日、駆の家を訪れた透子は、駆の母から、ピアニストとしての母の仕事の関係で転校を繰り返してきたこと、そのことによって感じる孤独を、駆が「唐突な当たり前の孤独」と呼んでいたことについて聞かされる。

11. ピアノ
美術準備室の壁に寄りかかり静かに座る透子と駆。以前見た未来の欠片が現実となったことに困惑しながらも嬉しく思う透子だったが、「駆君、私のこと本当に好きなのかな?」「私たち何もわかり合ってない」と心に引っ掛かっていた思いを口にする。自分の気持ちを見透かされた気がした駆は、自分が未来の欠片を見るきっかけでもあった母が弾くピアノを聴きに来てほしいと、透子に伝えるのだった。一方、幸は祐に、また山に登りたいと告げ、雪哉は初めてやなぎのレッスンを見学しに行くことを決める。それぞれがそれぞれの明日のために動き出した。

12. 花火(再び)
父がガラス工房を持つことになり、東京を離れ家族で引っ越してきた深水透子は、慣れない土地でうまくやっていけるか不安を感じていた。そんな時、駅で偶然出会った沖倉 駆。彼に連れられカフェ「カゼミチ」を訪れた透子は、井美雪哉、高山やなぎ、永宮 幸、白崎 祐たちと出会う。小学校の時からずっと一緒だという彼らに誘われて、透子は花火大会を見に行くことに。雪哉とやなぎ、祐と幸、そして駆と透子。それぞれが楽しそうに花火を見上げている風景。それはもしかしたらあり得たかもしれない、透子の未来の欠片が紡ぐ世界だった――。

13. 流星
透子が見た世界。彼女にとってその衝撃は大きく、駆の母のピアノ演奏が終わると同時に気を失ってしまう。透子が目を覚ますと、そこには心配そうに彼女を見つめる駆の姿があった。自分のせいで危険な目にあわせてしまったと感じた駆は自らを責めるのだが、透子はもう少し駆の家にいたいと言う。心配する家族を帰してひとり残った透子は、もう一度ピアノが聴きたいと駆の母に願いでる。そして曲を聴きながら透子は駆が居なくなると感じるのだった。その頃「カゼミチ」には雪哉、やなぎ、祐、幸が偶然集まっていた。長く短い夏がもうすぐ終わりを迎える。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

69.9 3 ChouChoで高校生なアニメランキング3位
ハイスクールD×D BorN(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (643)
4579人が棚に入れました
私立駒王学園に通うバカでスケベな男子高校生イッセーこと兵藤一誠は、その身に強大な神器(セイクリッド・ギア)を宿していたがために命を奪われてしまうが、学園一の美少女にして、憧れの先輩であったリアス・グレモリーの手によって、悪魔として転生を果たす。しかしその代償はリアスの下僕悪魔として生きることだった!エロいけど、ポジティブで真っ直ぐな一誠が、ご主人様にして上級悪魔のリアスとその眷属の美少女悪魔たちに囲まれながら、いつの日か自らも上級悪魔となり、ハーレムを築くという夢を叶えるため、様々な敵を打ち倒していく努力と友情と熱血の学園バトルエンターテインメント!

声優・キャラクター
梶裕貴、日笠陽子、浅倉杏美、伊藤静、竹達彩奈、野島健児、種田梨沙、内田真礼、佐倉綾音、小山力也、逢坂良太、加隈亜衣、高橋未奈美、中村悠一
ネタバレ

ココ吉 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

3度目のおっぱいのお味はいかに?(酷評です)

原作既読◆全12話◆

『2度あるおっぱいは3度あるっ!』を
キャッチフレーズに制作されたシリーズ第3弾にあたる
作品で個人的に楽しみにしていた春アニメの一角
『ハイスクールD×D BorN』

深夜アニメで3期まで駒を進める事ができるのは
100作品の中で1作品あるかどうかと言われている
昨今で,3期の制作が決定した時は飛び跳ねるぐらい
嬉しかったのがまだ記憶に新しいです。

ストーリーは繋がっていますので1期または2期を
未視聴の方はまずそちらから視聴して下さいまし★


【感想】
{netabare}
ハイスクールD×Dシリーズ(OVAを除く)と言えば
原作ストーリーと世界観をほぼ忠実に熱いバトル描写と
主人公イッセーを取り囲むヒロイン達のエロ可愛さを
あます事なく巧みに映像化できていて世の紳士達を
魅了してきたハーレム作品の代名詞。
僕の大好きなシリーズだったりします♪

今回、個人的に楽しみ,
というか事前に注目していた事は。。。

■イッセーの完全なる禁手(バランスブレイカー)
■ひそかにお気に入りキャラのレイヴェル再登場
■イッセーの新必殺技 乳語翻訳(パイリンガル)
■新キャラのロスヴァイセのお披露目
■イッセーとアーシアのキスシーン
■シャルバ戦での覇龍(ジャガーノート・ドライブ)
■シリーズお馴染みの素敵すぎるアイキャッチ♡
■「おっぱいドラゴンの歌」が,ついに…ついに聞ける!

取りあえず,上記の注目していた項目を
フルコンプできた事はとても嬉しいです♪
特にイッセーとアーシアのキスシーンは
グッとくるものがあり,アニメならではの良さが
たっぷり詰まった感慨深いシーンでした。


さてさて,そんな風に当初から期待に胸を
膨らませていた今回のストーリー面に関して
なのですが序盤から所々でアニメオリジナル
(原作改変)を入れてきていると思っていたら
終盤は完全にオリジナル展開でかなり雲行きが
怪しくなってきてしまいました。。。

※ここから酷評が入りますので,
あくまで一人の原作厨のつぶやき程度と
思って読んで頂ければ幸いです。

この作品に限らず,
物語を大きく改変してしまうとファンからは

『これはこれで良いアニメオリジナルだった』
 もしくは
『このアニメオリジナルはチョット無い・・・』

と,このような2つの意見で
賛否が大きく分かれてしまいがちです。

僕個人の意見としては
作品の“らしさ”を保った改変ならむしろ全然OK!
でも、それを欠く改変はアウト。。。

厳しい言い方になるかもしれませんが
今回の後半オリジナルストーリーは完全にアウト。

いくつか例を挙げるなら
第9話 シャルバにアーシアを殺されたと勘違いをし,
激怒により覇龍化したイッセーがシャルバを屠った後に
自我を欠いた状態のイッセーを元に戻すくだりで
白龍皇ヴァーリの「半減の力」と最後にリアスの
思いの丈が彼の心に届いてようやく解除する事ができて
ホッコリする描写もありましたが,何処と無くシリアスな
印象が拭えないままこのシーンが終わってしまいました。

ちなみに原作ではヴァーリが「半減の力」を使うくだり
までは同じなのですがこの後に満を持して現場に
駆けつけたイリナが『おっぱいドラゴンの歌』を
流してイッセーの気を逸らし,最後はリアスの乳首を
つついて解除,という何ともおバカな流れになるのですが
アニメではこの部分を丸々カットして前述したとおり
若干シリアスなオリジナル展開になっています。

禁手(バランスブレイカー)に至る事ができたのもリアスの乳首をつついてならば,覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を解除するのもリアスの乳首をつついてなんて。。。
 ↓
『赤龍帝の兵藤イッセーはどこまでいっても
 おっぱいが大好きな乳龍帝だったんだな』
 ↓
『リアス・グレモリーの乳首は兵藤イッセーの
 制御スイッチか何かなのか?』
 ↓
『まさにスイッチ姫ww』

と,この流れで今回最大級の美味しいオチに
繋がるはずだったなのに…はずだったのに。。。
それを丸々カット…だとっ!?

責任者出てk… (自重♡)

この作品をよく知らない人からしたら
「バカじゃないの?」と鼻で笑われてしまいそうに
なるこのノリこそがD×D本来の真骨頂であり,
これこそ主人公のイッセー“らしさ”なんですよね。


そして第10話から最終話までは
完全アニメオリジナルのストーリー展開でした。

ロキの策略で偽イッセーに騙されたリアスが
連れて行かれるくだりがありましたが,
ここでまた脳裏に疑問がよぎりました。

リアスが自らの悪魔の駒(イービルピース)を
与えた自分の眷族を見間違えるなんて事が
あり得るのだろうか?
ましてや最愛の想い人であるイッセーを
見間違えるなんて事が?

たとえ心に隙が生じていたという理由が
あったとしても…ちょっとあり得ないかと(^o^;)

そして極めつけはリアスの赤龍帝化…
これはもう…絶対あり得ないですね。

正直,彼女のこんな姿なんて見たくなかった。
責任者出て来いや! (あっ,言っちゃったw)

そもそも神器(セイクリッドギア)は
元人間の悪魔,ハーフ悪魔,転生天使,人間
この中から選ばれた者だけに与えられるもの。

それにつけ加えてイッセーの神器は
神器の中でも13種しかない神滅具(ロンギヌス)の
1種で赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)と
呼ばれるものでレア中のレア。

それをロキの呪いと言うだけで“純血悪魔”で
あるリアスが赤龍帝化できてしまうとなると,
誰でもなれる事を意味してしまって赤龍帝(神滅具)の
バーゲンセールになりかねません。


ここまでくると
「1期,2期のクオリティは一体何処へいったの?
作品設定や物語まで変えてこのまま3期で
終わらせるつもりなのか!?」と,邪推してしまう程に
強引なストーリー展開と言わざるをえないです。

後半アニメオリジナルの脚本を練る段階で
もう少し作品の世界観や設定を意識して書いて
欲しかったなと。正直言って後半から“らしさ”が
全くと言っていいほど感じられなかった。

当初の期待値が高かった事,そして1期2期の
ストーリーに定評がある作品だけに今回の
オリジナルストーリーに不満が残る結果に。。。

以上の理由から物語の
評価は低くなってしまいました。

1期の頃とは比較にならないぐらいに予算を多く
使えるはずなのに作画等も少し乱れてキャラの顔が
繋がらなかったり演出面も手抜きに感じられました。
特にバトル時の演出で“間”と“カット割り”をもっと
増やしてドキドキ感を与えて欲しかったかなと。


ともあれ、可愛いヒロイン達の大中小さまざまな
おっぱいと色とりどりのパンツ…もとい,ショーツに
癒しと元気をもらえたのも事実です。

ここまで清々しいエロを放り込めて前屈みスタイルを
維持できる作品はやっぱり素敵ですよね。

お気に入りキャラは1期の頃から
ず~っと朱乃お姉さま推し(*´ω`*)アラアラウフフ♪


最終話ではドライグから
「覇龍とは違う別な成長の可能性」という
セリフで続編への伏線が張られましたね。
続編(4期)の制作は円盤の売上げ次第ですが,
この後のストーリーがめっちゃ熱い展開に
なって面白くなるので,4度目のおっぱいを
リクエストせずにはいられないです。
{/netabare}


◆OP曲 「BLESS YoUr NAME」
 歌 : ChouCho

◆ED曲 「ギブミー・シークレット」
 歌 : StylipS

OP,ED共にシリーズ通してOPはカッコイイ感じの
曲調を,EDは可愛くポップな曲調をチョイスする
傾向にある事がわかりました♪
StylipSは1期ED「STUDY×STUDY」以来の
起用だったので久しぶりに彼女達の歌声が聴けて
嬉しかったです。


【最後にハーレムなにがしを検証】
※この作品にまつわる妄想話をただ語っているだけ
なので興味がある方のみ読んでいって下さいまし。
{netabare}
ある日,珍しく考え込んでる自分がいました。
その内容はと言うと...

人間の平均寿命は80歳前後,
長く生きられる人でも100歳前後
※作中のイッセー達悪魔の平均寿命は約1万年

そんな人間の限られた時の中で
「リアルでガチにハーレムを
形成する事は可能かどうか?」

このレビューをお読み頂いている紳士の皆様も
『一度でいいから可愛いおにゃのコ達に囲まれた
ハーレム性活…もとい,生活を体験してみたい』と,
思った事はないでしょうか?

ありますよね?

ほら、恥ずかしがらずに(小声w)


うん、あるに決まってますよね♪


でも,リアルで実際にハーレムを築いて
いる人と言えばアラブの石油王ぐらいのもの。
(おヒゲもお金もたっぷり♡)

次いで
ハーレム形成とまではいかないものの
愛人契約を交わている政治家のオジサマ方
(シワの数は働いた悪事と抱いてきた女の数♡)

そして,年俸数十億超えのスポーツ選手など。
(夜のバットも火を吹くZE♡夜のハットトリック♡
夜のホールインワンでタイガー・〇ッズ超え♡
夜の違う意味での“3P”シュート♡)
※あくまで個人の勝手なイメージですw


これらの方達に共通するものと言えば富や名声,
社会的に高いステータス,そしてある程度の権力が
あると言った所でしょうか。

これらの要素を親の七光りではなくイチから
自分自身で集める為には圧倒的な生まれもっての
“才能”と他者をよせつけない“カリスマ性”と“運”
それに加えて血の滲むような“努力”が必要。。。
そして何より“おにゃのコが大好き!”である事。

ヤバイww
どうやら僕には最後しか該当していない模様。
まさに無理ゲーって事ですよねわかります..orz

超絶イケメン√に生まれかわっての
ハーレム形成って考え方もアリですが
上手くやらないと,
おにゃのコにすぐに刺されてしまって

『中に誰もいませんよ・・・?』

「あっ、いや…僕、男の子ですからぁ…」

なんて,某作品のパロディみたいな
BAD END直行が目にみえてます。。。
(想像するだけならこれはこれで面白いw)

以上の事から凡人が100年ポッチで
穏便なハーレム形成なんて絶対不可能・・・orz


んっ? や、ちょっと待てよ?

じゃあ,作中の悪魔達と同じく1万年という
果てしない悠久の時を生きられるとしたらどうだろうか?
容姿や頭脳,体力がずっと衰える事がないとしたら?

人間の脳みそなんて頭脳明晰でどんなに博識な人でも
100年くらいでは全て知層で埋め尽くす事なんて不可能。

そんな空き容量たっぷりの脳みそに何百年
何千年単位でお金儲けのノウハウと雑学,
そしておにゃのコの喜ばせ方と悦ばせ方を
詰め込んでいけば希望はみえてくるのでは
ないでしょうか?

そこに千年単位のどデカイ“ツキ”が噛み合えば…
あれれ? 何だかイケそうな気がするゾ☆
もしかして、ハーレム√のワンチャンくる~??
(意味不明な)やる気出てきたあああああ!!!


PiPiPiPiPiPiPi…
↑と、ここまで妄想していた所で目覚ましの
アラームが鳴って強制的に起床モードへ(´つω・。)
え? これ、夢の中の話だったのかって?
はい、まさかの妄想夢オチです(実話)

「夢の中まで妄想を繰り返す
自分ってどうなんだろう?」と,
軽く羞恥に悶えながら朝の身仕度開始。

まぁ,変態紳士の職業病みたいなものです。キリッ★

やっぱり,ハーレムの形成手段に限らず
人生ってヤツは昨日より今日,今日より明日への
1つ1つの積み重ねが大事なんだなと,至極当たり前な
事を洗顔しながら徐々に覚醒してくる頭の中で再度実感。

でもそれと同時に
妄想する事も時として大切なのかなと。
多種多様なシチュでの自分や様々な未来の自分を
思い描く(妄想する)事により明日への活力や
自分の理想像に近づく為の努力に繋がります。

まさに妄想にはあらゆる夢が詰まった無限と夢幻の
可能性が秘められていると言っても過言ではないの
かもしれません。

それに妄想はいくらしても無料っ!
コスパに優れているなんてレベルでは
ありませんw 超ォ~お得です♪


結論として...



  エッチな妄想したっていいじゃない

  だって男の子だもの Ψ(`∀´)Ψグヘヘ

             by ココ吉



あっ、何かコレ,台無しになった感がありますよねw
でもまぁ,これもまた僕“らしさ”だったりするのです♪


今回は夢の中で妄想している自分の話を
断片的に覚えている部分だけ語らせて頂きました。

長々と駄文を綴ってしまったのにも
関わらず最後までお付き合い下さった
紳士淑女の皆様方に感謝申し上げます★

ご清聴ありがとうございました(*^_^*)♪
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 33
ネタバレ

うち. さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

エロと熱さをブースト!終盤のオリジナルは賛否あり

夏休みに入り冥界で修行兼とある会議に出席することになったオカルト研究部。
新キャラ続々登場で新たな波乱が始まりそうです。
噂によると原作5巻6巻7巻をアニメ用に編集したような内容になるそうですね。

新キャラ紹介とか
◯サイラオーグ
このキャラが一番好きというファンも多いのでは?というくらい良いキャラ。
とある理由により自分を鍛えまくっているのでめちゃくちゃ強い悪魔。
鍛錬とかそれほどしない傾向にある悪魔にしては珍しく鍛錬を怠らない。

◯黒歌
最強の猫又で小猫(白音)の姉。
行いは褒められたものではないがすべては妹の為にやりました

◯タンニーン
イッセーの修行相手。
主に命がけの鬼ごっこなどでイッセーを鍛える(手付かずの山で火炎を吐くドラゴンに追いかけられる)
イッセーと仲良くなります。原作を読んだ時は四足歩行だと思っていましたがアニメでの二足歩行表現も有りだと感じました。
生身があるドラゴンの中で転生悪魔になったのはこの人のみという変わり種。

◯ミリキャス
サーゼクス(リアスの兄)の息子であり順当にいけば魔王になる少年。
両親の才能を受け継いでいれば才能に溢れている…はず。

◯ディオドラ・アスタロト(若手悪魔)
一期以前にアーシアが助けた重傷だった悪魔。
アーシアに助けられた恩を返すべくアーシアと婚約したがる。

◯オーフィス
ウロボロス・ドラゴン
「グレート・レッドを倒して静かに暮らしたい」というアレな願望を持ったドラゴン。
「蛇」と呼ばれる強化アイテムを作り旧魔王達や各悪魔に配った張本人。
幼女の姿はオーフィスの姿の一つに過ぎず、これといった拘りはない(乳首に黒いテープを付けるという拘りはある)
途方もなく強い、しかし戦うことはないキャラ。

◯グレート・レッド
次元の狭間で暮らしているドラゴン。
オーフィス以上に途方もなく強いが意外と単純な性格。


□用語
△フェニックスの涙
フェニックス家が作った万能治癒薬。
カオスブリゲードが活動している現在はますます需要が高まっている。
アニメでも原作でもちょいちょい出てくる万能の秘薬だが敵も使う厄介な物。

△ロンギヌス(神滅具)
イッセーの「ブーステッド・ギア」ヴァーリの「ディバイン・ディバイディング」の二つがロンギヌスに当たる。
特徴としては神を倒せるくらいの強さで装着者の種族を問わないという点。
イッセーの場合は悪魔に転生してからロンギヌス所有者と判明した、所有している本人ですら所有していることに気づかないパターンがある(セイクリッド・ギア所有者も含む)

△セイクリッド・ギア
グレモリー眷属の木場、アーシア、ギャスパーはこれにより人生の歯車が狂ってしまったと言ってもおかしくはない代物。
能力そのものを指していたり、実体があるものまで様々。いずれも強力であったり、特殊な能力を持っている。
アーシアの「トワイライト・ヒーリング(誰でも治す)」木場の「ソードバース(魔剣、聖剣のコピー品を作る)」等がこれに当たる。

△オーフィスに貰った蛇
アスタロトが言っていた単語。
要は格段に強くなれる薬みたいなもの。

△旧魔王、新魔王
過去の大戦で旧魔王達(伝説の悪魔達の子孫)は新魔王達(旧魔王達の先祖の名前を借りた悪魔達)に負けて燻っていました。
そこでまさかの三大勢力の協定という話が舞い込んで旧魔王達は激怒して、新魔王達を倒すべくカオス・ブリゲードとして妨害工作を色々としてきました。

△ジャガーノート・ドライブ
「ブーステッド・ギア」「ディバイ・ディバイディング」共通の奥義。
絶大な力を解放出来るが、同時に命を消費するのでかつての所有者達はこれにより死亡することが多かった。
ヴァーリでさえ使い熟すのが難しい形態。


追記予定…
四話感想
ロキと言えば人によっては映画『アベンジャーズ』の悪役であるロキを思い浮かべる人も居ると思います。(一部ではロキ(笑)とも言われている)
ラノベ版アベンジャーズという見方をすると楽しめるかも?
仲間の想いや夢と理想が熱くて良いですね。

七話感想
ゼファードルについて
{netabare} サイラーグとのレーティングゲームでサイラオーグとの「とある一撃」により精神的に再起不能になりました、「とある一撃」というのは原作を読むことをオススメします。 {/netabare}

そういえばアザゼルの左腕は義手でロケットパンチが出来る代物でしたね(ロケットパンチはおそらくアニメオリジナル)

八話感想
フリードのあっけなさは原作でもあんなものです。
彼は天才肌だったのですが昨今の戦闘力インフレに付いてこれず脱落したという感じです、木場も修行して強くなったというのも理由の一つですが。
ゼノヴィアは弱いのではなく「火力が高すぎる剣士」なので木場のように俊足で動きチクチク攻撃するタイプではないのです。

しかしアーシアは可哀想ですね映像で観ると益々可哀想です。
アスタロトが「寵愛だけが取り柄のグレモリー」とか言っていましたがアーシアに必要なものだったのは教会の視野の狭い人々ではなく、上級悪魔の中では例外的に優しいグレモリー家だったのが皮肉だと思いますね。

□最終回まで観た感想

オリジナルって難しいよね!
本音を言うと良くも下手なオリジナルをやってくれやがりましたねと監督に言いたいです、さぞや高尚な理由や根拠があるんでしょうね。
イッセーがリアス部長を「リアス」と呼んだところだけは褒めたいのですがハイスクDxDのいつもの「おっぱい(性的部分)」関連の解決方法を自ら手放したのはどんな判断だったんですかねぇ…

別にオリジナルを否定している訳ではないのですが作品に沿わないオリジナル展開は観ていて悲しいものがあります。熱意の空回りとも言えます。

結局アニメシリーズというのは一期が一番出来が良くてスタッフの愛情が伝わることが多いです。このアニメもそうだっただけの話です。

誤解してほしくないのは原作はちゃんと面白いということです、それだけは解ってほしい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ブレない作風に拍手喝采(๑≧౪≦)

この作品は、ハイスクールD×Dの3期目に相当する作品です。物語に繋がりがあるので、1,2期を未視聴の方はそちらからの視聴をお薦めします。

この作品もいよいよ3期を迎えました。2012年1月に1期が放送されてから3年と少し・・・振り返ってみるとあっという間だったような気がします。
その間、オカルト研究部の姿もだいぶ変わり、今では当初の部活動の面影をうっすら感じるほどで、方向性は大きく変わってしまったようにも思いますが、物語の熱さ・・・次々に襲いかかる危機に立ち向かう眷属の絆の固さ・・・回を増すたびに大きくなる一誠の意志・・・そこに登場人物のお互いへの思いやりも相まって、この作品の面白さ・・・正直半端ありませんでした^^

今回の物語は、これまでの「悪魔」「堕天使」「天界」といった舞台に北方神話系の神々が加わり、物語のスケールは更に拡大しています。
もうこの世界観の中にはオカルト研究分の「オ」の字も見えませんね^^;
ディアスら眷属の前に立ちはだかる相手も格段に強さを増すので、その強大な敵にどの様に立ち向かうのか・・・など見どころが満載です^^

これまで培ってきたディアスら眷属の絆の強さは伊達じゃありません・・・
駒が一つ・・・そしてまた一つと増えてきましたが、ディアスの眷属に対する大きな包容力と無償で注ぎ込まれる愛情・・・
これらをしっかり感じる事ができるから、ディアスは全ての眷属のため・・・そして全ての眷属はディアスのため・・・といった図式が成立し、ディアス部長のために・・・そして仲間を守る強さをその身を挺しながらその絆を掴み取ってきました。

中でも、右手に赤龍帝を宿す兵藤 一誠の一途な想いは賞賛に値する位ぶれることなく真っ直ぐで全力・・・
彼のその想いは触れて初めてその強さを実感できるのでしょう・・・
部長と同じように・・・例えばアーシアや子猫ちゃんに対しても全力で守ろうとする一誠に好意を抱いてしまうのは仕方の無い事です・・・

ディアスを筆頭に決して離れ離れになることのない磐石な眷属・・・
有事の際には赤龍帝が真っ先に駆けつけて、仲間のピンチを助けてくれる・・・
そんな信頼と好意に満ち溢れる眷属であるが故・・・願ってしまったんだと思います。

それは普通の思考です。
もう少し・・・たった一つでいいから願いを・・・と考えて悪いことなんてある筈がありません。
でも、見方を変えると・・・それはほんの少し・・・針の穴ほどの小さな綻びだったようです。
その綻びの先にあるモノは・・・是非本編でご確認頂けたらと思います^^

オープニングテーマは、ChouChoさんの「BLESS YoUr NAME」
エンディングテーマは、StylipSさんの「ギブミー・シークレット」
BLESS YoUr NAMEは、春アニメの中で一番最初に聴いた曲でしたが、正直覚えるのが難しい曲でした^^
でも格好良い曲なので必死に覚えましたけれど(//∇//)

そして最終話特別エンディングは、兵藤一誠(CV:梶裕貴さん)の「おっぱいドラゴンの歌」です。
作詞:アザゼル、作曲:サーゼクス・ルシファー、振付:セラフォルー・レヴィアタンという超協力な布陣で製作されたこの曲と踊り・・・羨望の眼差しで見ていたのはアーシアだけでしたけれど^^;
この曲もカラオケで配信されるのでしょうか^^;?

1クール12話の作品ですが、この作品特有の熱い展開が大好きだったので、放送される週末が待ち遠しくて仕方ありませんでした。
物語の方も・・・続編がありそうな含みを残して終わったので今後の情報が楽しみです^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

67.6 4 ChouChoで高校生なアニメランキング4位
ハルチカ ~ハルタとチカは青春する~(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (709)
3237人が棚に入れました
青春にはいつも、解き明かせないたくさんの謎が溢れてる!

「原作シリーズ累計55万部突破」初野晴の大人気・吹奏楽青春ミステリ<ハルチカ>シリーズ、待望のTVアニメ化!
原作はシリーズ累計55万部を突破した大人気・吹奏楽青春ミステリ<ハルチカ>シリーズ。廃部寸前の弱小吹奏楽部で、吹奏楽の甲子園と呼ばれる"普門館"を目指す、幼なじみ同士のチカとハルタ。
部員集めに翻弄する日々と、仲間たちと交わす友情、そして次々に現れる謎(ミステリ)。チカとハルタの奏でる音楽がいま、遠く高らかに鳴り響く!

声優・キャラクター
ブリドカットセーラ恵美、斉藤壮馬、花江夏樹、山下誠一郎、千菅春香、島﨑信長、瀬戸麻沙美、岡本信彦、山田悠希
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ユーフォ以下の吹奏楽部を舞台に氷菓以下の謎解きをする。しかし、だからといって、つまらないアニメではないと思ふ。(レビュー最後に算数アリw)

【櫻子さんの足元には死体が埋まっている】【GOSICK】などが好きな方は合うかもしれません♪

どんなアニメかと問われれば、レビュータイトル通りです(笑)

《以下ネタバレ》
{netabare}
第1話
「響けユーフォニアム」系かと思ったら、「氷菓」系? てか、黒板の音符、「さよならドビュッシー(中山七里さんのミステリー小説)」まんまやん^_^; いきなり、普門館を目指す、って言っても、吹奏楽の知識が0の方にも通じるのかな? 個人的には、小見川さんの出る作品にほとんど外れなしなので、楽しみです♪

全話、視聴終了。

個人的に、P.A.WORKSさんは、京アニさんと双璧を成す、否、むしろ一番好きな制作会社さんですが、これは京アニさんに軍配ですね。(無彩限と比べると、辛勝かもw)

まず最初に思ったのは、「これ、吹奏楽部でやる必要あるか?」です。まあ、終盤に思い出したように吹奏楽をやってましたが(でも、県大会の描写くらい欲しかった)。

私の母校は吹部が強く(全国レベルで)、その吹部の友達から聞いた話ですが、

吹部あるある~♪
{netabare}
・練習の半分は(言い過ぎだけど)ミーティング(笑)
・楽器に名前をつける人がいる(主に外人名)。
・下手な運動部よりも体育会系な挨拶、礼儀。
・午前午後ぶっとうされる練習。
・編成によっては、希望しない楽器をやらなくてはいけない、葛藤。そしてそれを「違う楽器をやることで幅が広がる」と諭されること。
・オーディションのガチ感と、その後の人間関係の難しさ。
・はたから見るとユリすら感じる、同パートの先輩への敬愛(か、憎悪か恐怖)。
・顧問の影響力が異常にでかい。
・男子に発言権がない(カッコいい男子はすくないし、居たら居たで抜けがけできない)。
・楽器運搬がきつく、意外に腕力がある(この時だけ、男子がチヤホヤされる)。
{/netabare}
などです。「響けユーフォ」では、この辺を結構うまく押さえてた印象ですが、「ハルチカ」では、ほとんどなかったですね。

ミステリーと割りきっても、吹奏楽である必要はほぼなかったし。どうせなら(パクりですが)第1話の音符みたいに、音楽関連のミステリーが観たかったです。それに、謎解きも、あまりにもヒントが少なく、視聴者が考える間もなくハルタが謎をバンバン解いていくので、ミステリーの醍醐味である「謎解き→答え合わせの快感(や、一本とられた感)」がなかったです。草壁先生の謎解きスキルにいたっては、もう教師なんか辞めてFBIにでも就職したら? と思いました(笑)

んじゃ、キャラや、ラブコメか? と思っても、(悪くはないけど)秀でたものはなし。唯一、チカはウザイイ味w出してましたけど。もちろん、背景や楽器など、絵はきれいですね。
{/netabare}
さて、なんだかんだ酷評してますが、これはあくまで、「響けユーフォニアム」「氷菓」という名作が頭にあるから、ですかね。もし、上記の2作品を視聴していなかったとしたら……普通に、平均以上に楽しめる作品だと思うんです。私自身、少なくとも途中で切ろうとは思いませんでした。

あにこれでレビューを書く方は、かなりアニメ観てる方が多いから、(自分を含め)どうしても他作品と比べ、相対的に評価を下げるのはしょうがないけどね(^.^)

と、いうことで、作品単体としては、普通にそこそこ楽しいアニメですから、時間があるなら視聴をオススメしますよ♪

一番の好評価としては、OPが、大好きな「河合荘」を思わせる素敵なものだったことかな! {netabare}あと、花巻に来てくれたことかな、駅前だけだけど(笑){/netabare}

【蛇足】
第4話の500円玉の金額が気になったので、計算してみよう! 少なく見積もっての、概算だか。(私は文学部だったので、計算ミスがあったら指摘してほしい♪)
{netabare}
草壁先生の身長を180㎝とすると、画面上、縦に約4人分(720㎝)、横に約6人分(1080㎝)入るから、500円玉の全体の面積は777,600平方㎝。500円玉の面積は、5.5平方㎝(wiki調べ)。単純に割ると(円と四角形だから単純に割れないけど)、141,382枚の500円玉があることになるから、一面当たりの金額は70,691,000円。それが、登場人物(靴あり)の足首以上まで積まれている描写があるので、地上からの高さを10㎝とすると、500円玉の高さが1.8㎜(0.18㎝)だから、55枚重なっていることになる。ただ、隙間もあるだろうから、50枚にしよう。

結果、3,534,550,000円(約35億3455万円)。になりました。

計算、合ってるかな?(小学生レベルの公式しか使っていないから、馬鹿がバレたw)

ぱっと見、数億円かな? と思ったけど、意外と多かった(笑) ただまあ、完全に(相続税の)脱税ですから、税務署に追徴課税とられた後、(遺言に500円玉の表記がないので)親族で新たに取り分を決めるのかな? すると、甥っ子はさほど貰えないんじゃ? それとも、「家の一部」という解釈になるのかな? わかんないや。

誰か、法律か骨肉の争いに詳しい方、計算してみて下さい(笑){/netabare}

ちょっと、「空想科学読本」感を出してみました(笑)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 38
ネタバレ

❣ユリア❣ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

こんな三角関係絶対に認めな~い!!!!

☆原作未読☆

清楚で乙女なキュートガールの穂村チカ…
いえ、元気で運動神経抜群な天然な穂村千夏(チカ)と
天才と呼べるほど頭の回転がいい上条春太(ハルタ)の

吹奏楽×青春×ミステリーです

舞台は静岡県清水市、吹奏楽が背景となっていて
吹奏楽に関する謎や事件ををハルタ(と チカ)が解いていく…そういう物語です
なので、吹奏楽はメインではなく、オマケ?というような感じでしょうか?響け!ユーフォニアムとはまた違う感じになっています☆

絵がとってもキレイで目が特に
こってるなと思いました☆

{netabare}
チカwwww始めの登場、思わず笑ってしまいました(*´∀`)
{netabare}結局最後までキュートガールになれませんでしたねwwww {/netabare}

ってかネコ飼ってるのに好かれてないんですねw
千夏ちゃん可哀想w  
{netabare} 結局最後まで好かれなかったんですよねw  {/netabare}

…というか、なんですかあれ!
第1話の最後、ビックリでした!!!
{netabare}
チカが草壁先生のこと好きならまだ分かりますが
ハルタまで好きとか…
「男だからって手加減しないよ?」
って…え…
しかもなんかほんとに草壁先生のこと好きなんですね…(´д`|||)
こんな三角関係絶対に認めな~~い!
そりゃあそうだと思います…チカ…お気の毒に…(´;ω;`)

でも…ハルタとチカ、なかなかお似合いですよね♪
まあ草壁先生が好きということで最後まで二人がくっつくということはありませんでしたが…(´・ω・`)
ナイスコンビだなと思いますww
2人がくっつけばいいのにな~とも思います☆
まあその可能性は無さそうですが…(´・ω・`)
{/netabare}

第1話の1番始めの場面、いかにもミステリーですねw
本当に始めだけでしたがww
第1話はアニメオリジナルみたいですね☆
とってもよかったです♪

その他のミステリーも、とっても面白くて
あ~なるほど!と思えたところが多かったです
{netabare}特に、第5話の エレファンツ・ブレス
のミステリーがお気に入りです☆
{/netabare}
ってか、ハルタ頭良すぎじゃないですか?w
普通はあんな考え思い付かないと思いますw
{netabare}それに第2話のルービックキューブも一瞬で完成させちゃうし…w {/netabare}
ハルタすごいw

チカも鈍そうですがハルタにヒントを与えていてすごいなと思いました♪

{netabare}
第5話のお金、あれすごいですね!
大金ですね!物語ならではですごいなと思いました☆
一体いくらあるんでしょう…
{/netabare}
後、第9話の他校にお邪魔?する場面…
{netabare}あの制服かわいいですね♪
特にチカかわい~♡
レアですね♪
{/netabare}

そして次期部長… {netabare}チカになる!?と思ったらマレンでしたね☆
けっこう意外でした…
私はてっきりハルタかと思いました☆ {/netabare}
それで終わりって……
な~んか物足りない感じがしました(>_<)
最終回以外はすごくよかったんですが……なんか残念です(>_<)無理矢理終わらせた感がありました
でも、他の話を見直すとやっぱり面白くて何度も見たくなります!
{netabare}
金賞取れませんでしたね…
いつか金賞取れるといいですよね♪
{/netabare}
原作はまだ続いてるようなので
2期があれば絶対に見たいな~と思います♪
原作や2期に期待ですね☆
{/netabare}


~お気に入りキャラクター~
やっぱり、1番はチカです♪
なんと言ってもかわいい!特に目がお気に入り♡
それに、超運動神経バツグン!
羨ましいです♪

芹沢さんもお気に入りです♪
何だかんだ言って…チカとすごい仲いいですよね♪
{netabare}最終話では芹沢さん、吹奏楽に入ってくれましたね♪よかったです(*´∀`)♪
{/netabare}
成島さん、第2話では正直嫌いでしたが…
第3話ではすごくチカと仲良くなっていたし、明るくなっていたのでよかったです♪

部長wwww
キレイな人好きとかwなんかアニメキャラに1人はいそうなキャラですよねw

双子の朝比奈 香恵&紗恵
最後まで見分けはつきませんでしたが…w
(一応、ピンとゴムの色が違います)
二人がハモるところとかかわいくてお気に入りです♪

あれ?ハルタは?
と思った人もいるでしょうかw
正直ハルタはなんか生意気?であまり好きじゃないかもです…(>_<)

界雄(かいゆう)はラジオのパーソナリティーやっていて、すごいなと思いました☆
声が意外と好きです☆


~オープニング曲~
歌の最後は部員の集合写真で部員が加入するたびに写真を撮り直していましたね
あそこはこってるなぁと思いました☆

この曲は、初めはBGMみたいに流れるような曲であまり頭の中に残らないような感じでしたが、何回も聞くとじわじわハマり
今ではお気に入りの曲です!
とってもいい曲なのでぜひぜひ聞いてみて下さいね♪

タイトル 虹を編めたら


アニメは全体的に見ると面白かったので
原作(小説)やオリジナルの漫画もぜひぜひ見てみたいなと思います(*´∀`)
オススメですよ♪

投稿 : 2024/06/01
♥ : 23
ネタバレ

アレク さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

素敵な回りくどさ

高校入学を機に心機一転フルートを買い清楚で乙女なキュートガールになるため
青春ポイントを稼ぎたくて吹奏楽部に入部しようとするが口を開くとすぐ地金を晒しちゃう元気いっぱいの
穂村 千夏と博識で冷静沈着、頼れるが社会的に公にできないある秘密を抱える
上条 春太の二人が中心となり部員達にかかわる様々な謎を解き明かしながら
普門館を目指す学園ミステリー。

{netabare}少し前にやっていた京アニのユーフォも吹奏楽を主題にしていたのもありやはり作画に定評のあるPA
ライバル的作品といいますかこちらも生々しく苦みを伴った濃密な青春が香る王道的な部活物を期待しましたが
いい意味で裏切られました、こちらは一話完結が多く謎解きミステリーを
主題としていて謎解きというと犯罪を隠すためとか物騒なイメージがついて回ったり
しがちですが本作は人情話が多く謎に込められた伝えたいが伝えたくない、矛盾する想いを主題とし
そんな素敵な回りくどさが謎という形に姿を変える、社会的マイノリティーや身障者など重めな話も多いけど
演出的にも工夫されていて後味がさわやかな印象。

春太が博識で老成すぎて学生離れしすぎてるような気がしないでもないが
千夏が視聴者と同じ視点に立ち疑問を投げかけたり持ち前の人懐こい性格で
一癖ある登場人物たちと絡みながら春太が締める、バディ物としてはありだと思います。

しかし見ていて惜しいと思う所も多々あり、まず人数の少ない吹奏楽部の仲間集め
謎解き、そして心棒として普門館を目指す、これを1クール中にやりきるには
窮屈すぎると感じたし1話1話見ても部員になるキャラたちの背景の説明と
謎解き、解決からの吹奏楽部入部といろんなことを並行してやりすぎ、あらすじをなぞっただけで
終わってしまう回もあった印象で話それ自体はもっとけれんみやタメを作って
じっくりやればもっと面白くなったのにな~と何度も思ったので実に惜しい!
9話の「初恋ソムリエ」の回にそれが一番顕著に出てておばあさんの年代を鑑みるに
多分関わってた組織は左翼とかアカだったのかな?思い出となり輪郭がぼやけていたとしても
デリケートな問題だと思うしそれを学生がしかも30分1話完結でやるには
あまりに手に余る主題。

それに二人の目標であり吹奏楽部での目標でもある普門館を目指すための練習パートも
仲間集めと謎解きに忙殺されていて描写不足な印象、これは自分がもっと見たかったという
好みの問題でなく作中で何度も普門館や練習に言及されていたのでやっぱりちぐはぐに感じてしまうし
各話導入も少々強引すぎな印象、謎解きミステリーならそこらへんはご愛敬と思いたいんだけど
誰もが学生である、あった学校を舞台にするのであれば共感を感じる要素を盛り込まないのは
惜しいと思ったし自分はミステリーの魅力って日常から徐々に非日常へと足を踏み入れるときの
ゾクゾク感も大事だと思ってるので導入が強引だと最初から非日常に思えてしまうんですよね

好きなアニメのはずなのに文句が多めになってしまいましたが素材はいいはずなんだけどな~
今度原作読んでみようかな
{/netabare}

以下特に好きな回を書いていきます

第1話「メロディアスな暗号」
{netabare}凄い良かったです
知られたくない、でも想いを届けたい、そんなもどかしさが謎という形に変わって
それを解いた瞬間醸成された想いがふわっと花開く、生徒の姿かたちはおろか性別さえ
わからないですが強烈に記憶に焼き付かれました、そして音になったラブレターが
そのまま2人の草壁先生の恋心とリンクする、オチはちょっとどういうテンションで
見たらいいか戸惑いましたがやっぱりいい話だしよくできてたと思います。
{/netabare}

第3話「脱出ゲーム」
{netabare}マレンの誰にも言えない悩みをもっとじっくりなぞって前後編に分ければもっと
よかったのにな~ダイジェスト気味でもったいない{/netabare}


第5話「エレファンツ・ブレス」
{netabare}一つ目の謎の奥にもう一つ謎がある二重底の構造、孫娘に誤解されながらそれでも明るくふるまう祖父。
重い話ですが像の親子の物語が現実の2人にもなぞらえており最後祖父の姿をあえて映さない
倒置法的演出が余韻を誘いEDの入り方も素晴らしいです。{/netabare}


第7話「周波数は77.4MHz」
{netabare}無許可で老人ホームみたいなのをやってるのは設定的に非現実的かな
でも光の見え方に関するアドバイスが宝石とつながり彼女の生き方にもつながる
強引ですがそれでも伝えたい思いというのが伝わってきました。{/netabare}


ED「空想トライアングル」
ピアノの軽やかな独走がリズムを刻みボーカルのChouChoさんのさわやかで
学園を舞台にしたアニメにとてもあってる歌声が軽やかな余韻を一層高めてます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 28

70.5 5 ChouChoで高校生なアニメランキング5位
ツルネ ―風舞高校弓道部―(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (258)
1042人が棚に入れました
「弦音」=ツルネ。矢を放ったときに鳴る弦の音。射手にとって美しい弦音を響かせることは喜びであり、その美しい音は人の心をとらえて離さない。同一人物が、同じ道具を使ったとしても同じ弦音を発することはできず、まさに一期一会。一射一射が、一生に一度の<出会い>と<別れ>である。鳴宮湊にとって、弦音が全ての<出会い>の始まりとなった……。果てのない弓の道を歩み始めるのは、若葉のように瑞々しい高校1年生の少年たち。彼らは弓道を通して一生に一度、かけがえのない経験をし、<仲間>を手に入れていく。

声優・キャラクター
上村祐翔、市川蒼、鈴木崚汰、矢野奨吾、石川界人、浅沼晋太郎、小野賢章
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

弓道の良さとは・・・

【注意】これはアンチ専用レビューです

→→ 概要 →→
「ツルネ」は2018の秋クールにNHKで放送された弓道アニメです。制作は京都アニメーション。

 主人公の鳴宮湊は小さい頃から弓道の魅力に魅せられ、中学生時代は名門校で活躍していました。しかし中学最後の大会で彼は大きな失敗して自信を失い、早気(はやけ)に陥る。早気とは弓を放つタイミングを図れなくなる重度のスランプで、「会(かい)」という弓を引いてから矢を放つまでの動作ですぐに離してしまう状態を言います。

 それから転校をして弓から遠ざかろうとした彼が、立ち上がったばかりの弓道部で新しい仲間とともに再起を懸ける…というのがストーリーの大筋です。


→→ 葛藤を描くこと →→
 思うに、この作品は最初の設定で失敗しているのではないでしょうか。物語の開始時に主人公が心に鬱屈としたものを抱えているという設定は珍しくないし、傑作もあります。ただ問題は彼の抱える悩み、早気が弓道の中で閉じてしまっていることです。弓道は専用の道具と場所が必要であるため、弓道部に所属した人でない限り、視聴者にとって未知の世界です。そのため彼の苦しみを一緒に共有することはなかなか難しい。

 心理学者のアドラーは「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」という言葉を残しています。こういった一般の人があまり経験しない苦しみは、人間関係の悩みと重ね合わせるのが創作の基本ではないでしょうか。

 例えば将棋マンガ「三月のライオン」の主人公も神童、将来の名人と嘱望されておきながらプロ入りしてからはなかなか結果を出すことができず苦しんでいる青年です。主人公の設定はツルネと少し似ている。しかし「三月のライオン」は主人公の複雑な生い立ちを徐々に明かしていくことで、たとえ将棋を知らない読者であっても彼の苦悩を十分に分かち合うことができる構成になっています。

 登場人物の抱える苦悩や葛藤は友人・家族・恋人といった人間関係の悩みと一体化させなければ効果的ではないように思う。本作の早気は競技における苦しみであって、薄情なことを言ってしまうと視聴者からするとそれ以上でもそれ以下でもない。画面の中のキャラクターに視聴者が十分に共感ができてこそ、苦しみを乗り越えた後の「雨上がりの虹の美しさ」を表現できるのではないでしょうか。


→→ 弓道というテーマ →→
 正直言うとこのアニメを見ても弓道の魅力はあまり伝わって来なかった。繰り返しですが、弓道は知名度は高くても実際に経験したことのある人は少ない競技です。弓道をテーマに据えるのであれば、その良さを視聴者にプレゼンする人がある。でもこのアニメはどうもプレゼンに失敗しているように思えてならないのです。

 マイナースポーツをテーマにするとき無難なのは主人公を初心者にしてしまうことです。これなら主人公の目線と視聴者の目線がずれないため、作品への導入がスムーズに進む。競技カルタの「ちはやふる」、なぎなたの「あさひなぐ」などマイナースポーツを題材にした漫画の代表格も、主人公とその競技との出会いから物語が始まる。

 しかしこのアニメはほとんどが経験者。なんと初心者は小野木という男が1人を残して全員、部から追い出してしまう。「やった!モブキャラを描く手間が減った!」と作画スタッフは喜んだかもしれないがお話としてはまずい方向に進んでいる。視聴者のほとんどは弓道は未経験なのだから、弓道の道具に触れたときの戸惑い、的の前に立った時の胸の高鳴り、初めて的中させたときの感動などを味わえるシーンは必要でしょう。

 でもたった1人残った初心者の遼平クンはあまり目立たない存在で、小野木にガミガミ言われる子分キャラ。貴重な未経験者なのに彼の視点で先に挙げたようなフレッシュな感動を表現できている場面があったでしょうか。この扱いはあんまりじゃないかな。

 それにもう一つ、この作品は対立の構図が弱いんだよね。武道とスポーツ、名門校と弱小校、経験者と初心者、天才と努力家、男性と女性、若者とベテラン。どれでもいい。こういった二項対立を活用して、弓道という題材の魅力をアピールするべきだったと思う。「ツルネ」はどの要素を掘り下げることなく中途半端なまま13話という短いようで長い時間を使い切ってしまった。最終回は{netabare}個人競技と団体競技{/netabare}という対比をうまく表現していて面白かったです。最初からこのクオリティなら名作になる可能性も十分あったのにもったいないと感じます。


→→ ギスギス感 →→
 本作最大の問題が弓道部の空気の悪さです。早気に苦しんでいる主人公に、いつもイライラしている小野木という男が「足手まといは辞めてしまえ」とばかりにいちいち噛みついてくる。これだけでもかなりきつい。この小野木、弓道を愛しているとうそぶいているくせに元々は弓道部がなかった風舞高校に入学するという設定的矛盾を抱えている。作者は一体何を思って彼をこんな性格の悪い人間にしたのだろう…

 幼馴染みの竹早は陰湿で「湊を泣かすことなんて造作もない」などと暴言を吐く。おまけにストーカー体質。主人公の受難は続く。遼平は小野木にガミガミ言われてる不憫な子だし、ジャニーズ系の七緒はキャラが型にはまりすぎていて実際のところ何を考えているのかよく分からない。彼を掘り下げる回がないため、悪い奴じゃないんだけど言うことが若干嘘くさく感じてしまう。

 顧問のトミー先生はのほほんと見守るだけ。まさか平成の終わりだというのに「~じゃのう」などというジジイしゃべりをするキャラをアニメで見るとは思わなかったんですけど。イケメンコーチの雅さんは男子部員に罰ゲームとして「下僕」とデカデカ書いたシャツを着せて使い走りにするというパワハラを行う。彼の笑顔はなんだか作り物のようで怖い。

 このように風舞高校の弓道部はギスギスしていて非常に空気が重い。その元凶といえる小野木も、鳴宮が真摯に弓道に取り組む姿を見て態度を軟化させていくのだけど、息つく間もなく中盤にはなにかと因縁を付けてくる双子の超煽りキャラがライバル校に登場する。この双子の鬱陶しさは筆舌に尽くしがたい。小野木にしても噛みつく相手が身内からこの双子に変わっただけと言ってよい。青少年の健全な心を育成するのが武道だと思っていたのですが、みんな煩悩だらけじゃん。

 この淀みに淀んだ空気を変えてくれるのは女の子しかいない!という思いも空しく、風舞高校の女子弓道部員は可愛いことは可愛いのだけど、本作では完全に脇役扱い。「ツルネ」の公式ページを見ても、男子部員は1人ずつページがあるのに女子は「女子弓道部員」の項目で3人セットでの紹介。"何らかの大きな力"が働き、女子は個人戦で弓を引くシーンすらカットされる。お互い「男子」「女子」と呼び、ほとんど名前で呼び合うことがないから最後まで見ても女の子の名前を覚えられなかった人が多いのでは。極端な話、「弓道女子A」「弓道女子B」「弓道女子C」でも十分なレベル。

 このアニメを見て弓道をやりたいと思った人はどれだけいるのかな…


→→ 匂い系 →→
 さて、ここまでは通常の高校部活ものとして感想を書いてきたけれども、この話題に触れないわけにはいかないでしょう。ツルネは「匂い系」というジャンルに入る作品です。「匂い系」とはやおい用語で、はっきりボーイズラブだと描写しているわけではないのだけれども、そう受け止めてあれやこれやと腐女子に妄想させてしまう作品群を指します。(そもそもボーイズラブはイケナイ妄想を楽しむものらしい)

 別にBLそのものを否定するわけではないけれども、本作の欠陥はBLで全てが説明できてしまうのが悲しい。

 主人公の湊、彼が女の子だったらどうなるか。若いイケメンのコーチ雅サンにドキドキしてしまう女子高生で、それに幼なじみで密かに主人公(♀)に恋心を抱く竹早クンが雅サンをライバル視してしまうという構図になる。不愉快なキャラ小野木も仮に女の子だったなら雅サンと仲良くする主人公(♀)にジェラシーを感じているイヤなお嬢様キャラの立ち位置に落ち着く。まとめると、

・鳴宮 → 年上の男性に憧れてしまうヒロイン
・雅貴 → イケメンのコーチ
・竹早 → ヒロインが実は好きな幼なじみの男の子
・小野木 → コーチをGETしようと必死なお嬢様系ライバル

というベッタベタの少女漫画構図が浮かび上がります。これを全員男にしたのが「ツルネ」という作品の正体なのです。何のことはない。女を男にひっくり返した結果、破綻しただけのお話です。

 少年同士のカップリングを脳内でさせることばかり頭にあるからか、武道の奥深さ、思春期の複雑な心理、努力と友情の大切さ、何かを直向きに取り組む充実した時間などなどスポーツ青春アニメに本来あるべきものがこの作品には不足しているように感じました。こんな「少女漫画の下位互換」でしかないボーイズラブアニメをどうしてわざわざNHKでやろうと思ったのか。京アニさん、本当にしっかりしてくださいよ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 35
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

1枚の絵画たれ

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
弓道アニメは、初めて観ました。なかなか面白かったです。

あえて、弓道の(技術的な)マニアックな部分を省き、精神的な部分やキャラクターの成長に焦点を当てている感じがしました。よって、弓道若葉マークにとっては見やすくなっている気がします。

一方で、弓道経験者にとっては、物足りなさを感じるのかもしれません(いや、分かりませんが)。

あと、若干ホモホモしい感じもするので、嫌な人は嫌だろう(私は視聴断念するほどの不快感はなく、ギリ友情の範囲内かな)と思いました。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
武道を追求する上で、「勝つためにやるか」「武道の真髄を表現するか」というのは、多くの武道家が悩むこと。

「1枚の絵画たれ」というのは、私の恩師の言葉。曰く、「剣道を極めていくと、その立ち姿は1枚の絵画のように美しくなる。我々剣道家は、最終的にはそこを目指さなければならない」。

警視庁に出稽古に行った時に、警視庁の名だたる師範の先生を評して、「1枚の絵画」と表現していた(ちなみに私の恩師も、後に、剣道の最高段位、合格率0.1%と言われる八段を取得した名剣士です)。

本当は、「美しさ」と「強さ」は両立する。

理屈ではそう分かるものの、その領域にいけるのは本当にほんのわずかで、多くの選手はどちらかに傾倒していくことになる。剣道では、勝つことに特化して、形の美しさや礼節などを軽視した剣道を「当てっこ剣道」「スポーツ剣道」と揶揄することがある。

(弓道には詳しくないので、もし間違っていたら訂正してほしいのだが)弓道は剣道以上に「勝つこと」以上に「美しさ」を重視している武道だというイメージがある。

「射形」「弦音」ということが、本作ではかなりフォーカスされていた。

(詳しくないことに対してあまり偉そうに言うのもなんだが)アニメを観ている範囲では、確かに、鳴宮や藤原の「射形」は、「美しい」と感じた。その美しさはおそらく、(工芸品などにおける)「用の美」に近いのではないだろうか(用の美とは、機能美から合理性を引いたものという感じ)。

「美しくあるために美しい」のではなく、「的に当てる」ことを追求した「結果として生まれる、美しさ」。とはいえ、的に当たれば何でもいい(合理的なだけの)わけではなく。

私の師匠は、「剣道の試合とは、相手を打つのではなく、審判の心を打つもの」だと教えてくれた。剣道にも一応「一本の基準」はあるものの、そこまで厳密ではなく、ようは「審判が一本だと思ったら一本」なので、「審判を感動させられたら勝ち」とも言える。

弓道の試合で面白いと思うのが、ポイントが「1」と「0」しかないところ。もし「的に正確に当てる技術」を厳密に評価するなら、アーチェリーのように、的の中心ほど高い点数にするのが合理的である。しかし、弓道は、的に当たりさえすれば、中心だろうが端だろうが同じ点数。

もしかしたらこれは、「最低限的に当たる程度の技能」があれば、あとは「美しさ」を追求できるようにした、「あそび」なのではないだろうか(車のハンドルのあそびと同義)。

そういう意味で、「競技としての勝ち負け」と別のところで、「弓道としての勝ち負け」があるのでしょう(射形や弦音の美しさで感動させる)。だとすれば、素敵な武道だと思った。

さて、いくら雑談系だとしても、弓道の部分だけでなく、アニメの部分にも少し触れよう(苦笑)

私はスポ根好きなので、もっと熱い展開や、技術的にマニアックな部分を見たかった。あと、ヒロイン要素が欲しい(笑) だから、高評価はしていない。

けれど、今まで縁遠かった「弓道」の世界に触れさせて頂き、色々と考えることができたのは、ありがたかった。

ひとつ、「武道として共通点」を感じたのが、最終話で、「優勝したのに、会場を出るまでは喜びを表さない」風舞の面々。あれは、武道の描写として非常に正しい。剣道でもそうだけど、強いチームは、優勝を決めたその瞬間さえ笑顔を噛み殺す。ガッツポーズなんて、絶対にしない。喜ぶのは、少なくても会場の外。下手すりゃ、帰りのバスに乗ってから。それは、敗者への配慮。どこまでも、礼を尽くすのが、武道。

だから、(日本の武道で断トツの露出度を誇る)柔道の国際大会とかで、優勝した選手の決める派手なガッツポーズなど見てると、違和感を感じてしまう(学生の大会とかならまだしも)。未だに記憶にあるけど、北京オリンピックで負けた鈴木桂治選手が、帰り際に会場のパーテンションを帯で思いっきりぶっ叩いたのには、衝撃を受けた。それが、日本選手団の旗手を務めるほどの、超一流の武道家の振るまいか。本当に、風舞の選手達を見習ってほしいな。

あれ? やっぱり武道の話に(苦笑)

まあ、雑談系なんで許して下さいm(._.)m
{/netabare}

【余談~ 剣道部の弓遊びw ~】
{netabare}
昔、部活前の暇な時間に、部室で弓を射って遊んでいました。実は、竹刀に使われる材料だけで、簡単に弓を作る事ができますw

①(壊れた)竹刀をバラバラにする。
→竹刀は4本の竹が組み合い、1本になっているので、弦や柄といった装具を全部外してバラバラにします。

②そのうちの1本を弓にする。
→バラバラになった竹の上下に、錐で穴を空ける。竹をしならせ、空いた穴に弦を通し、竹の外側でたま結びにして固定する。

③余った竹で矢を作る。
→竹をノコギリで3分の2程度の長さにする。その際、竹の細い方を残す。切断面に切り込みを入れて、弦が掛かるようにする。場合によっては、竹を縦に割いて、ヤスリをかけると良い矢になる。

これ、結構殺傷力がエグくて、2~3mくらいからなら、ベニヤ板貫きます(笑) うちらは段ボールで的作って遊んでました。

余談ですが、日光江戸村の弓矢のアトラクションは全部当てて、マグカップもらいました(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
なんか、ホモホモしいな。イップスみたいなもんか。

2話目 ☆3
本気になったら泣かすなんて造作もない。特に、ドラマもなく戻るのは良いね。

3話目 ☆4
シンプルながら熱い展開。

4話目 ☆3
下僕ティー。個人攻撃かい(笑)? 武道にはこういう儀式的なやつはあるよね。

5話目 ☆3
ここまでやられたら、よほど信頼している相手以外だったら、ついていかないよな(まだ早い)。嫌味のない作画の良さ。

6話目 ☆3
復讐。守破離というやつだな。

7話目 ☆3
弓道って、競技人口どんなもんなのかね? 剣道も似たようなもんだよ、声援とか。

8話目 ☆4
的の先を見る。イップスの克服。弓を愛してない。

9話目 ☆3
なるほど、単なる友情(ホモ)ってわけじゃなく、事故に関わった、贖罪の気持ちもあるんだな。

10話目 ☆2
甲虫(笑) あまりにホモホモしい(汗)

11話目 ☆3
これでもかというくらい、順調にいかないな(笑)

12話目 ☆3
ホントに、メンタルメンタルメンタルメンタル、な。

13話目 ☆3
まあ、弓は竹刀よりもずっとシビアだろうな。まあ、メンタルの繋がりだよね。ここでもう、勝たしちゃうのか。負けた後の動作は、流石に武道。そうそう、ガッツポーズは会場を出てから。ちょっと桐裂の先輩、物分かりが良すぎ。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 37
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

弓道を求道するに能はず

2019.01.26記


原作未読 全13話


『進撃の巨人3期』⇒『ツルネ』⇒『ピアノの森』と連なるNHKアニメ放送リレー。
進撃の頃から災害報道・選挙特番といった公共放送らしい理由による放送回スキップの影響で、2018年10月22日 - 2019年1月21日と中途半端な日程での放送となりました。進撃観てなきゃ危うく見逃しちゃいますよ。一方で一通り他作品が終了してからクライマックスを迎えるのは悪いことではないかもしれません。


出身の高校に弓道部があったり、家内も高校では弓道部だったりとそれなりの縁を感じたことが視聴動機。なにより袴姿というものは美しい。

弓を引いた時の音“弦音(つるね)”を聞いて弓道を始めた少年が、中学時代に“早気(はやけ)”イップスの一種に罹り一時期は弓を置いてしまう。そんな青年鳴宮湊が、新設の弓道部の仲間たちと再生を図っていく友情物語です。

言うほど京アニ制作はトリガーにはなりませんでした。むしろ男子5人組が主軸で、武道を扱って『Free!』みたいなのを見せられたら敵わんな・・・という不安が強かったと思います。
どういうことかというと、男子同士のあっさりとした友情物語と、心・技・体の一致を目途とした武道の世界との相性の悪さを気にしてたのです。もちろん京アニが自身の過去作をトレースせずに、ユルめの友情物語とは一線を画す物語を製作するという選択もできたと思いますが・・・

その不安は的中します。

なお作品自体は“不可”ではありません。
・マイナースポーツを扱っている。ルール説明があり競技の理解に繋がっている。
・所作や型は綺麗。動作の前後含めて弓を引く姿に違和感がなくリアリティが保たれている。このへんはさすが京アニといえる。
・締めも前向きさを感じさせる良い纏め方。
小さく纏まった感じでした。実力者京アニが弓道をそれなりに取材をして持ってる引き出しを流用しただけ、といったところでしょうか。“型”を突き詰めた描写がないことで競技の根っこの部分が最後まで伝わらず、無難過ぎて“弓道である意味”を見出せませんでした。素材の物珍しさで興味を引いたはずなのにもったいないという印象です。


“弓道である意味”を作品に期待することは求め過ぎでしょうか?

武道(柔道、空手道、剣道、相撲、弓道、合気道、なぎなた)に共通するのは、単に技術を磨くだけでなく、人としての成長をめざすことにあります。“競技の勝敗だけではないよね~”自分が武道をしていなくても広く日本人に共有されてる概念になるでしょう。
なかでも弓道は相手との接触がなく、より自分の内面と向き合うことでの心の在り方に重きを置いてます。ここで見せられるはずだった凄味が決定的に足りない。具体的には、
1.弓道と一体化したようなキャラが不在
2.鍛錬している姿が欲しかったなぁ

Mr.弓道みたいな弓道と一体化したような超越キャラがいても良かったのに。候補となる藤原愁はそれに及びませんでした。{netabare}幼少期の湊との関係が伏線にはなってたものの、{/netabare}強さの源泉に触れる描写はなかったと思います。マサさんも初登場が悪くはないんですが、{netabare}主人公そっちのけで葛藤するキャラと化し、それが物語の肝だったりするためツッコむのも無粋な話と理解しつつ、{/netabare}もっと超然としていてほしかったなと思います。佇まいだけなら桐先高校の主将さんはいい雰囲気でしたね。むしろご老体3人組が最も具現化されていて、なんだかなぁといった感じでした。

鍛錬している姿も同様です。人間関係に重きを置き過ぎておざなりになっていた領域でした。
{netabare}部に入る入らない、弓道するしない、反目するしないの群像劇をやってるうちに6話から大会が開始して・・・{/netabare} 競技の魅力を伝える暇がありませんでした。競技の難しさを早気という素材を通じて訴えかけてくるものはあったものの、いかんせん“足りない”のです。


先入観が邪魔してる可能性はあります。ここまで全て、私の武道への期待値に対して“足りない”といっただけの話です。気にしなければ気にならないでしょう。
朝青竜の勝ち名乗り後の雄叫びや、柔道国際大会で優勝した日本人選手のガッツポーズやくだけたインタビューにひっかかりを感じなければ、全くの杞憂かと思います。繰り返しますが、全13話。ほどよく纏まっている佳作ではあります。

なまじクライマックスの攻防が良いだけに、そこまでの段階の踏み方に素材(弓道)を活かしきって欲しかった。
細かいところでは、小野木海斗のイライラ設定も底が浅いし、千一・万次兄弟も高校部活ではあるまじき悪態のつきっぷりと、武道を嗜む者のメンテリティとして私にとってはそうとう違和感があったのは事実です。キャラの良し悪しというよりも、「これだったら別に他のスポーツ例えば水泳でもいいじゃない」ってことなんだと思います。


会場に日本人が入ると空気が変わる。国際大会で畏敬の念を持たれる存在。それが柔道における日本人である。こう喝破したのはスポーツライターの金子達仁氏でした。
諸説あるものの、スポーツマンシップを超えた柔道家としての矜持あればこそ、ラシュワンは山下の右足を執拗に攻めることはしなかったのです。
競技は違えど、〇〇道と名のつくものに通じる精神の一端でも垣間見えればまた違った見方もできたでしょう。取材はしたけど表層しか見てなかったのか、またはエンタメする上で敢えて削ぎ落としたのかはわかりません。
道場に飾ってあった『礼記射義』に触れてくれても良かったのに。

なんか悔しい。もったいない。

実力者こそチャレンジャーでいてほしいと思う次第です。
期待の裏返しってやつですね。ちょっと概念的な感想でしたが読んでくれてありがとうございます。



※以下おまけ

■そっち方面に振り切っても良かったのに
弓道部の多くは先輩が後輩を一人面倒を見る“師弟子制度”を導入しています。新設で同級生同士の風舞高校は厳しいとしても、伝統校桐先高校では導入してても良かったのにそういった描写はありませんでした。
どうせ作風から腐だ腐だBLだ!言われるんだったら、そっち方面に振り切る材料があったのですが、さすがにそれはやり過ぎ?

■モブ?
白菊さん。
{netabare}下僕Tシャツの男どもへの頼み方が板につき過ぎてたり、大会での全外しや、不遇の女子部員のなかでは印象に残るキャラクターさんでした。{/netabare}

■弓道キャラさん
そういえば弓道部キャラって女子のイメージが強いですね。静謐さだったり凛とした強さを備えた子って感じ。

{netabare}『艦隊これくしょん -艦これ-』加賀、赤城
『アイドルマスターシンデレラガールズ』水野翠
『ラブライブ!』園田海未
『ちはやふる』大江奏(仮){/netabare}



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2019.07.03追記
《配点を修正》



視聴時期:2018年秋期(ややズレありのリアタイ視聴)

そういえばNHK放送リレーは『ピアノの森』⇒『進撃の巨人3期の後半』の進撃全10話をもって通常スケジュールに戻りそう。

投稿 : 2024/06/01
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