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「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎(アニメ映画)」

総合得点
計測不能
感想・評価
47
棚に入れた
95
ランキング
1715
★★★★★ 4.2 (47)
物語
4.2
作画
4.2
声優
4.2
音楽
3.9
キャラ
4.2

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鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

鬼太郎が誕生するまでの出来事

104分 Amazonプライムで視聴

タイトルの通り鬼太郎が誕生するまでの物語。冒頭に鬼太郎が出てきますが、主に鬼太郎の父と水木という人間が活躍します。

ミステリーホラーという感じですね。

ある目的のために訪れた水木、そして鬼太郎の父は行方不明なった鬼太郎の母親を探して訪れた村が舞台となります。

横溝正史の金田一耕助シリーズのような田舎の禍々しいお話が連続します。

酷く理不尽なことが多いですね。

見た目が怖くて酷い妖怪より、人間の心が如何に醜く酷い面があるのかとことん描いています。

テレビ版の鬼太郎より、大人向けでそして残酷なシーンも多いので、苦手な方は気をつけてください。

EDやEDの終わった後まで気が抜けませんので、最後まで観てくださいね。

最後に、鬼太郎は {netabare}幽霊族の生き残りなのですね。(幽霊族というのがよく分かりませんがw) {/netabare}目玉のおやじが野沢雅子さんというのは初めて知りましたw

投稿 : 2024/05/12
閲覧 : 49
サンキュー:

14

ネタバレ

fuzzy さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

人気タイトルなのでもう一本作っちゃえ。。

的な感じかなと。。

やっぱどうしても市川崑監督。。てか犬神家ちらつくよね
いっそネズミ男湖で逆さに浮いてれば良かったんに。。

鬼太郎は前後にちょこっとで
誕生の謎。。だと言われてもさほど謎解きもなく

で今のターゲット層の子供向けじゃないしね。。

せめて鬼太郎父がうっすら物に力を宿し攻撃できる、髪などを固めて武器にできるとか
つながりが少しでもあればまた。。でしたが

目玉の親父が昔の鬼太郎の声だったのだけ良かったかな
って鬼太郎声優は5代目なのね。。
それでまだ現役の野沢御大すごいなぁ

墓場鬼太郎な原作テイストなやつまた観たいなぁ


※※
というか
なぜ『鬼太郎』という事で観たのに
8割以上も馴染みもなにもないキャラや妖怪達のいざこざを観させられてたのだろう
というところが1番意味不明だったかな。。

投稿 : 2024/05/08
閲覧 : 26
サンキュー:

0

ネタバレ

アニメ好きなオタク さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

村の謎が解き明かされていくところが面白かった

ネットで話題になっていたので、amazonプライムで視聴しました。
ミステリーのような始まり方で、犯行は妖怪なので殺人事件のトリックなどは無いのですが、それでも実はあの人が◯◯…!?など、どんどん解き明かされていく謎に時間を忘れて見入ってしまいました。面白かったですが、評判の通りハピエンではなかった…。

エンディングロールの原作調の漫画の部分〜エンディングがイマイチわからなくて、原作に詳しい方の解説読みに調べにいったので、この部分もアニメとして描いてくれていたらなと個人的には思いました。

投稿 : 2024/05/05
閲覧 : 9
サンキュー:

2

セシウス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ゲゲゲの鬼太郎ゼロ・子供アニメの前日譚は超大人向けだった

原作漫画は小学生時代に古本屋で買って持っていました。一冊20円だったので小学生でも買えました笑 アニメは70年代にさかんに再放送されていた2期だけ見たことがあります。鬼太郎が原作よりもややヒーローっぽく描かれていて凄く違和感を感じた記憶があります。その鬼太郎が誕生する時の話を描いた作品で、珍しくカミさんが「見よう」と言ってきたので見てみました。

 ストーリーは鬼太郎が誕生する前の話がほとんどですが、冒頭鬼太郎と猫娘がちょっとだけ登場します。そして猫娘のキャラデザを一目見た瞬間、「この作品は自分の知っている鬼太郎とは異なった世界のものだ」と直感できるので先入観なく昭和31年の世界に入っていくことができました。ジャンルとしては怪奇ミステリーですかね。強力な精神系薬品の謎原料を独占的に生産している村を調査しに訪れる会社員が主人公で、現地で奇怪な連続殺人事件に巻き込まれ、やがて現地で出会った謎の人物と協力して村の怪異と戦う、というストーリーです。前半は主に人間の様子が描写され、当時の世相や価値観をリアルに描いています。後半は怪異とのバトルが中心で、鬼太郎が誕生するまでの流れが概ね悲劇として描かれます。子供向けの描写は全くなく、完全に大人が楽しむストーリーになっています。暗い話ですが、原作漫画との接点をより強く感じました。とても良いストーリーだったと思います。
 キャラクターについては、戦地から運よく復員できた主人公の言動に説得力があって良かったです。この主人公の存在がのちの鬼太郎の活躍の土台になっていると思うと更に好感度が上がりますね。また主人公の相棒ポジに収まる目玉親父も飄然として恰好良かったです。その他のキャラクターはストーリー進行のために配置されたようなありきたりのキャラクターが多かったですが、劇場版の尺の中では仕方ないという感じでしょうか。声優さんたちは役どころにピッタリとはまっていて良かったです。目玉おやじの声も田の中さんが刷り込まれている自分でもまあすぐ慣れました。

 作画は、人物キャラクターは丁寧に描かれていて良かったです。妖怪については元がコミカルな印象のキャラが多いのですが、今回はそういった仲間的な妖怪はほぼ排して狂骨という怨霊のような妖怪がメインで描かれていてこの作品の雰囲気が良く出ていたと思います。バトルシーンの迫力も十分でした。BGMは普通です。エンディングのアレンジバージョンは良かったと思います。

 事前の予想とは全く違った印象を受けました。救いのない話ですが、元々原作も終戦直後の暗い世相を描いたものだったので、前日譚としては受け入れやすいと思います。後味も話の割には悪くはなくて、素直に見て良かったと思える作品でした。

投稿 : 2024/05/02
閲覧 : 24
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2

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 2.0 音楽 : 2.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

「犬神家の一族」過ぎだし、水木氏の解釈が違う気がしました。

 市川崑監督の「犬神家の一族」(1976年)を映像的にも演出的にも舞台設定にしても、あまりに模倣しすぎてオマージュの域を超えている印象が最後までノイズになりました。
 私が邦画の中で非常に好きな作品の一つで十回以上見ている作品なのが大きなマイナスに作用しました。

 ここをどう見るかですね。はじめの鬼太郎・猫娘で期待を持ったのですが、数分後には水木作品というよりも横溝正史のアニメ化?と思うほどでした。

 犬神家の一族との類似点としては、製薬業であること、湖のほとり、葬儀の場面から始まること、ボートのシーン、島に秘密がある、遺産相続、弁護士が遺産を読み上げる場面や龍賀時貞の写真がずれる場面、死体発見の場面、布団の上でたばこを吸うシーンなど。
 キャライメージは、時貞=佐平、時麿=助清、沙代=珠代、乙米・丙江・庚子=松子・竹子・梅子、弁護士や猿蔵など…あげればきりがないくらいです。

 もちろん話は冒頭30分以降はずれて行くのですが、なんとなく時代考証をさぼるために、あるいは時代の雰囲気を出すために手抜きをしたのか?と感じてしまい、集中できませんでした。

 それと昭和31年の設定らしいですが、髪型が現代的すぎるのもメタ的な視点になる原因となりました。特に沙代の髪型は当時の雰囲気ではないです。

 それとM=ヒロポンだと思うのですが、そこまでオカルトにしなくても現実に出回っていた薬です。「サザエさん」のタラちゃんがキメてしまったシーンで有名です。これは題材としてどうなの?と思います。

 それが戦争の兵隊=企業戦士、戦争と高度経済成長という構造が、妻や子供=家族の犠牲の上にというテーマがあって、当時の時代性をしっかり描けているならまだわかるのですが、そこが非常にとってつけた感があります。薬を取りつつ戦う・働くこと、それで儲ける人間性…という部分が描き切れてないです。
 話としてはゲゲ郎の妻の話を持ち出しても、単なる復讐譚になってしまいました。
 沙代の素性もそれは必要な設定だった?と思わなくはないです。そこにストーリーやテーマと重なるものがあったでしょうか?

 水木という名前に故水木しげる氏の戦争体験を重ねようとして、どこか観念的な悲惨さで終わっているのも少し残念ポイントでした。水木氏はもっと戦争とか生死感を超越した達観があったからこそ、妖怪の世界に入り込めるある種のシャーマンです。主人公を水木という名前にしたのもちょっと解釈が違うんじゃない?という気がしました。

 ですので、ストーリーとしての評価は犬神家の一族すぎて手抜きか?ということと、水木氏という存在のとらえ方がちょっと私とは違う感じ、そしてとってつけたような話…というよりありきたりな話であまり評価できませんでした。

 映像はもちろん犬神家の一族で見た場面ばかりなので、目新しさはないです。ただ、アニメ映像のクオリティはすごかったと思います。

 うーん、無料サブスクで見たとはいえ、映画の評価は厳しめになります。ストーリー、キャラは2ですね。映像はアニメ技術はすごいですが、借り物なので3.5。音楽と声優は…うーん、まあ評価せずの3でいいですかね…やっぱり調整で2にします。
 点数はひどくないですが、私はこの作品の制作者のマインドがちょっと…という気がして主観的にはひどい印象でした。

投稿 : 2024/05/02
閲覧 : 43
サンキュー:

4

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「馬鹿が威張ってるのがムカツクんですよ」byてらさわホークさんな作品。どうしても「紅」を連想してしまった。

 評判だけどなかなか行けなかった本作がなんか新年一発目の作品となってしまいました。物語が動き出すまで少々タルいとか、内容に対してビジュアルが軽すぎるとか弱い点もありました。特に物語を積み上げる段階がそれほど上手くない…し、内容に対してキャラが類型を出ないとこがある。


 しかし、なまっちょろい綺麗事が多すぎる昨今のエンタメ状況の中でこういうダークな内容に突っ込んでいて現代にも通じるメッセージがある作品が出てきてくれたのは大歓迎です。物凄い大殺戮の果てに一筋の救いが示された時、年甲斐もなく何だがポロポロと頬を濡らしました。


 なにより映画評論家のてらさわホークさんも指摘していた「バカが威張っているからムカツク」日々をおくっている人間が快哉を叫べる終盤の展開はとても良かったです。タイトルの出方がちゃんと演出になっている部分もえらい。ただ、猫娘とかより目玉の親父に違和感が…。だいぶ前から野沢さんだったんだろうが近年のアニメ見てない私としては、田の中勇さんとも本作の親父とか全然ちゃうからどうにもねぇ。

投稿 : 2024/04/22
閲覧 : 73
サンキュー:

5

ネタバレ

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

「墓場鬼太郎」の方がおどろおどろしい。

ドラえもんや孫悟空の誕生秘話なら、おそらく日本国民の6割くらいは知っているだろうが、水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」はおそらくそんなに知られてないくらい、結構マニアックな部類に入ると思う。

もう10数年前に貸本漫画時代の「墓場鬼太郎」が完璧に「大人向け」のアニメとしてアニメ化されたので、それに比べるとやはり見劣りしてしまう。

一応、主人公の水木が太平洋戦争兵隊上がりの一般人という設定は、原作者の水木しげる本人の体験談ではあるものの

いくら「アダルト向け」に作ったとしても、物語を補完するには蛇足感が強いし、グロテスクであろうがものすごいアクションシーンの作画や美しい背景美術を描こうが、物語の本質は語っていない。

あの美しい顔立ちの幽霊族では、「イモリの干物」や「カエルの目玉」は食べないだろうし。。。語尾に「ひっひっひ。。。」と不気味な笑みはしないだろう。

水木しげるは幽霊族を本当に「不気味な存在」だからこそ、人間から差別され迫害されたのであり。。。だからこそ「人間の醜悪さ」を見いだせるのである。

作画は綺麗で物語はうまくまとまっていてそこそこ面白いが、「映画」としてはイマイチな出来だと思う。

投稿 : 2024/04/07
閲覧 : 122
サンキュー:

7

Lovesing さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

鬼太郎好きにはたまらない!

実は初日に観に行きました。
何よりなんとなくみんなが知っているであろう鬼太郎のお父さん、目玉親父の過去の話。
ストーリーは鬼太郎の世界観がモリモリで好き。
何より声優も作画も完璧。ストーリー構成も満足!
バトルシーンの迫力満点!
そして最後にタイトル回収。
この作品に原作者水木先生への愛が盛り込まれてます。
鬼太郎を少しでも知ってる方はこちらを見てほしい、そして墓場とか他の鬼太郎見ればもっと楽しい!
ホラーもあるけど予告以上に怖いシーンはなかったように思うから子どもでも問題ない気はしました!

投稿 : 2024/04/06
閲覧 : 14
サンキュー:

2

ネタバレ

ナルユキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

エグすぎる鬼太郎誕生譚

『第47回日本アカデミー 優秀アニメーション賞』ノミネート作。一応は『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズの第6期を基盤としており、冒頭では鬼太郎と共に成人女性の様な高い頭身とスレンダーな姿を得て話題となったねこ娘も登場する。しかし残念ながら(?)本作は彼女らが主役ではない。
タイトル通り、本作はシリーズ全般の主人公・鬼太郎が如何にして誕生したか。そして彼が生まれる前に一体どんな事件があったのか。鬼太郎の父・目玉おやじが体を喪った理由は?────これらを描くために物語の舞台は昭和31年に遡る。

【ココがすごい!:昭和時代の雰囲気づくり】
昭和31年────西暦1956年でもある当時の日本は、戦争の爪痕を復興という形でひたすらに覆い隠している最中だ。そんな日本を描く本作の雰囲気には現在は無い“倫理観の欠如”が多く目についてしまう。
「タバコ」が象徴の1つであることには間違いない。登場人物の多くは当たり前のようにタバコをふかしており、今では考えられないが電車の座席でさえもタバコを吸っている。煙たいのであろう女児の咳き込みが車内に響き続けても御構い無し。誰もが自分のストレス値を下げるために周囲に配慮せず黙々と煙を吸い続けている。それほどまでに当時の日本は、国の再建のために誰もが馬車馬のように働く「忙しない」雰囲気に包まれていたのだろう。
主人公である水木もその1人。戦争の影響を色濃く残す彼の野望や所作、そして勤め先である「血液銀行」の存在を許していた時代というのが「何をしてでもどん底から這い上がってやる」という人々たちの反骨心と何か大切なものを忘れかけているような様を表しており、そんな時代の雰囲気をアニメーションで如実に物語っていく冒頭が先ず素晴らしい所だと思う。

【そしてココが面白い:「スケキヨです」、そして「犬神家っ!」なミステリー】
こうしてハードボイルドな質アニメっぽさを演出した後、舞台は哭倉村{なぐらむら}という村へと移る。水木は日本の政財界を牛耳る『龍賀一族』の遺産を受け継ぎ十中八九、次の当主となるであろう『龍賀製薬』社長へ取り入るためにその村へ足を運んだ。
{netabare}ところが亡くなった当主の遺言状に入婿である社長の名が出ることはなく、次代当主は生きる時代を間違えたかのような白塗りお歯黒の男(その次は三女の息子)。さらに会社の決定権も一族の長女である社長の妻へ明け渡すよう書かれていた。
大混乱する遺産相続の場。我先に確かめてやる、と遺言状と公証人(弁護士)に掴みかかる社長と名も出ない他親族。あたかも自分の物が盗られたかの如く激昂した、それは醜い人間の姿を存分に拝むことができる。
莫大な資産と権力を引き継いた男。それに不満を持つ親族の数々。何も起こらないわけがない(笑) 翌日、当主は左目を貫かれた遺体となって発見される。シチュエーションは異なるもののこれは完全に『犬神家の一族』のオマージュだ。
一体誰が殺したのか、村民が疑心暗鬼になる中で、村唯一の出入口も崖崩れで封鎖されたという知らせも入る。殺人鬼を内包したまま外界との往来が断たれてしまう「クローズド・サークル」────ミステリーとしてこれほどワクワクする定番展開も中々、見られないだろう。{/netabare}
閉鎖的な村とそこに住まう一族の事情、そして起こる殺人事件。この作品は恐らく意識的に『金田一耕助シリーズ』などの著名な推理ミステリーの作風を取り込んでいる。

【ココも面白い:全盛期の目玉おやじ】
とはいえ、この映画最大の特徴はやはり鬼太郎の父・目玉おやじが「全盛期の姿」で妖怪絡みの難事件に挑むことであろう。本作は人間である水木と目玉おやじが手を組んだ「バディもの」として語られる。
嘗ては目玉おやじにも肉体があったことは初期から設定で明かされているが、初出は6期の第14話でオマケに夢世界で得たイメージという注釈付。真にその姿を描いたのは本作が初めてということになり、彼は便宜上、劇中でも『ゲゲ郎』と呼称される。
背は高いが白髪でひょろひょろに見える肉付きの悪さ。そんな姿からは想像もつかないほどの戦闘能力とアクションシーンを披露する。リモコン下駄や体内電気、髪を伸ばして敵に巻きつけるなど息子同様の能力を用いながら、時には「妖怪」ならではのパワーとスピードで取り囲む敵をなぎ倒していく。
作画は個人的にはちょっと崩し過ぎでは?と感じたが、最近の高クオリティなアニメーションに追随していく出来映えだ。画面奥から手前へ滑るように急加速する下駄の速度にフラッシュの明度、そして一対多の殺陣は往年、児童を相手にしてきたシリーズとは思えないほどの迫力がある。

【そしてココが怖い?:白骨妖怪・狂骨と龍賀一族のおぞましさ(1)】
ホラーの観点から見ると、残念ながら鬼太郎シリーズそのものが長年、著名な妖怪や怪異をマスコットに近い形で「キャラクター化」してきた作品のため、それらをどれだけ恐怖演出を加えて登場させてもあまり怖くないという域を出ない。そんな欠点を補うのが、物語を追うことで明かされる龍賀一族の凶行の数々と、その慰み物にされてきた龍賀沙代{りゅうが さよ}を依り代とする狂骨である。
{netabare}鬼太郎の種族『幽霊族』の血と人間を使って生み出される不死に近い妙薬『M』。この薬の売買で巨万の富を得るために龍賀一族は村ぐるみで多くの人間をさらい、また幽霊族を狩るために様々な邪法に手を染めてきた。そして本来は龍賀一族に牙を剥く筈の『狂骨』の怨念は呪詛返しによって操られ、さらに金の力で雇ったか鬼道衆(妖怪狩りを生業とする修験僧)すらも一族の配下に置いた。幽霊族と呼ばれる妖怪がゲゲ郎しかおらず、後に鬼太郎を生む筈の妻が行方不明であるのも全ては龍賀一族と哭倉村の村民が元凶だったのだ。{/netabare}
そんな一族から、沙代はより強い霊力を宿す子供を産ませるための「母体」として扱われていた。彼女はここで語るのも億劫になるほど吐き気を催すことをされている(観ていない人は『近親相姦』というワードで察してほしい)。そんな事情を感じさせず恋する乙女として描かれていただけに、彼女の事情がさらっと語られるだけで主人公である水木と同じ位にえずいてしまいそうになった。
そういうシーンが描かれるわけではない。飽くまでも「台詞」として語られるだけだ。しかし語られるだけでも想像できてしまう惨たらしく醜悪な行為は、聴くだけで顔をしかめる程度の反応は出てしまう。やはり真に恐ろしいのは幽霊でも妖怪でもなく、欲望に満ちた「人間」ということだ。
ただ、どれだけ人を「道具」として扱おうともその者には心が────確かな「意思」がある。
{netabare}沙代は一族のしがらみから逃れるため、血を分けた親族らを狂骨の力で次々に殺害する。目を貫く、高い木の天辺へ串刺しにする、斬った首を祭壇へ飾るetc.その方法はどれも残虐極まりない。彼女の操る狂骨は非常に獰猛であり、彼女自身が死なない限り止まることはないのだ。
そして彼女の背後には、これまで彼女が手にかけてきた者たちの怨霊が浮かんでおり、それはゲゲ郎との邂逅を機に妖怪や幽霊の存在を信じるようになった水木の眼に確りと映っていたのだった──。{/netabare}

【そしてココが怖い?:白骨妖怪・狂骨と龍賀一族のおぞましさ(2)】
一族の凶行はそれだけに留まらず、その中でも飛びきり外道なのが物語序盤で死去した龍賀時貞{りゅうが ときさだ}である。
{netabare}

『齢八十を超えて余は嘆いておった。時麿を始め余の子供たち────いや最近の若い者は皆なっとらん!これはまだまだ余が導いてやらねばならぬ』

勝手に日本の未来を憂い、勝手に自分がいないと未来は成り立たないと驕る。その挙げ句の果ては自らの魂を孫に移して身体を乗っ取るという愚行であった。
長田時弥{おさだ ときや}────幼い彼はまだ何も知らない。自分が何のために生まれたのか、一族が何をしているか。何も知らない純真無垢な子供は、純真無垢だからこそ水木にもゲゲ郎にも純粋に接してくれた。だが、そんな純真無垢な子供ですら時貞にとっては第2の人生を謳歌するための「器」でしかない。
魂を追い出され、老いた権力者にその体を奪われてしまう。もう取り戻すことはできない。傲慢な男の欲望のために女性子供が犠牲になっている世界だ。あまりにも醜悪な黒幕の行動に本気で嫌悪感を抱いてしまう。
ゲゲ郎の妻も、時貞の欲望のために搾取され続けていく。この作品に救いと言えるものは殆どない。人の欲望が惨劇を生み出し、女と子供が犠牲になり、誰も救われない。{/netabare}

【そしてココが熱い!:アンタつまんねぇな】
{netabare}そんな黒幕に「報い」を与えられたことだけが唯一の慰めになるのだろうか。
人間、誰しも自らの私腹を肥やそうと画策していくもので間違いなく水木もその1人であった。しかし黒幕・時貞の底抜けの業突張りが、短い間で心を通わせたゲゲ郎たちを絶望に突き落としていく。その一部始終を目の当たりにしてきた水木は人間でありながら、妖怪と同じ“人間への不信・軽蔑”を心に宿すことになる。

『どうじゃ!?余につけば会社を2つ3つ持たせてやろう!もっといい服を着ろ!御殿に住み、美女・美酒を味わえ!これぞ、人生ぞ!!』

『アンタ────つまんねぇな!!!』

限りなく無力であり、そうでなくても報奨を積んでいくらでも懐柔できる筈だった“人間”。その理から見事に外れた水木の一撃によって龍賀の呪詛返しは破られた。そして、死して狂骨に成り果てても龍賀一族に利用され続けてきた犠牲者たちは、その怨みを然るべき相手へようやく向けることができたのである。
時貞の末路は正に「因果応報」であり、「人の身体を乗っ取ってまで生き続けたいのならそれで良かったじゃないか(笑)」と言えてしまうような痛快さもあった。{/netabare}

【キャラクター評価】
水木{みずき}
ご察しの通り『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるがモデル。本作の基盤となっている6期でも、序盤で目玉おやじが『鬼太郎は水木という人間に育てられた』という旨の話をしているらしい。今回の話はその前日譚ということで、その事実に繋がるエンディングがどのようなものなのか。また、鬼太郎の育ての親がどんな人物なのか。その辺りに注目が行くため、新規キャラでありつつもかなり目を惹くキャラと言えるだろう。
{netabare}「昭和という時代に呑まれかけていた、元来は心優しい青年」という肩書きにひとまず落ち着く。最初期こそ『第二次世界大戦に参加した過去から、がむしゃらに富と栄光を求めている』『そのためには手段を選ばない』といった非常にストイックな性質の持ち主であり、タバコの吸い方もなんとなく荒々しい印象を抱いていた。
そんな青年がゲゲ郎や沙代との出逢いを機に少しずつ絆されていく。ありきたりと言えばありきたりだがこの部分に奇をてらう必要は全く無く、「結婚(=損得勘定を抜きにした男女の恋愛の終着点)」を意識し、そこに今、暗雲が立ち込めているゲゲ郎を助けようと奔走する内にかけがえのない「相棒」となっていく。人が思い出す様に愛と友情に目覚める姿を多くは語らずに描いており、そこが粋。
この段階で描いた、ゲゲ郎と墓場で煙草を燻らせたり天狗酒を飲んで語らう一時のシーン。これが現状とは裏腹の「まったり感」を持たせている。1本の作品でありながら“箸休め”としてきちんと機能していて私も好きな1シーンとなった。{/netabare}

ゲゲ郎
6期から絶妙にデザインを変えてより鬼太郎の父らしく、そして水木しげるキャラらしく。加えて声優を野沢雅子さんから関俊彦さんに変更する英断など、全てにおいて良調整が上手くいった様だ。
野沢さんはレジェンド声優ではあるのだけど何をやらせても『ドラゴンボール』の孫悟空orお婆ちゃんになってしまうから、もし「現・目玉おやじだから」って理由だけで本作のゲゲ郎役にもなっていたら本作への没入感が損なわれてしまう所だっただろう。関さんは人気作に出演し過ぎて逆にそういうのないからね(笑)
{netabare}ただ、肝心の主人公としての活躍はそれほど多いとは思えなかったかな。理性を失った妖怪の群れや鬼道衆と戦っている内は一騎当千の強さを感じられるけれども狂骨には敵わず。勝てなかった相手は狂骨だけなものの結局、劇中では狂骨を使役する人物が多いため、大事な勝負所では全部、負けっぱなしという展開に。
奥さんの情報を手に入れる際に紗代に口利きして貰って孝三と話す事ができたのは水木の働きによるものだし、幻治や時貞に捕まった際にも水木に助けられ、ラストの狂骨相手には妻のお腹にいた鬼太郎に助けられるというドラゴンボール超な展開。初めに不気味な様子で出てきたゲゲ郎であったが……かなり周囲に翻弄された印象すら感じた。
まあ良い風に書けば人間・水木とのW主人公モノとも言われる本作だけれど、そうではなく飽くまでも「水木とセットの主人公」と言った感じなのだろう。例えベタでも人と妖怪が友情を築き、共に困難に立ち向かう姿。そして種族分け隔てなく未来は未来へ生きる子供たちのものだと信じ、未来を守るために犠牲となる姿。それらがとても尊いのである。{/netabare}

【総評】
全体的に見て素晴らしい作品だった。
アニメで視聴者をしっかりビビらせるような「ホラー」を演出するのはとても難しいことであり、本作も純粋にホラージャンルに徹したとは言えないものの、時には金田一耕助シリーズ(アニメなら『ひぐらしの泣く頃に』)のような連続殺人事件のミステリーを描写し、人々から恐れられる筈の人外=妖怪を遥かに凌駕する「人間のおぞましさ」を徹底的に取り上げることで“ヒトコワ”的な恐怖と嫌悪感を確りと描いている。
アニメーションのクォリティも素晴らしく、戦後の日本の空気感、煙たくなるほどのタバコの描写、戦闘シーンではこれでもか!とゲゲ郎が動きまくり、キビキビとしたアクションで盛り上げてくれる。
{netabare}ストーリーも本当に容赦がない。殆どのキャラクターが死亡するか、何らかの酷い目にあっており、そんな惨たらしい展開の数々を見せることで、視聴者を精神的に蝕んでいく。
唯一の救いは本当に僅かなものだ。そんなたった1つの救いがあるからこそ、見終わった後の感覚も悪くない。だが女性にも子供にも本当に容赦がなく、神も仏も救いもないこの作品を見終わった後は思わず深いため息を付いてしまうほど重い作品だった。{/netabare}
飽くまでもゲゲゲの鬼太郎の前日譚であるが
、それでも和製ホラーが好きな人、ひぐらしやうみねこの雰囲気が好きな人には是非オススメしたい。良い意味で鬼太郎っぽさ・子供っぽさが無くアニオタなら全然楽しめる。ちょっと女性ファンの熱気が強くなり過ぎて一部、上映マナーに苦言が出るようなまとめ記事も掲載されたが、それが逆に私の主張を裏付けてくれるものではないだろうか。変にホモくさいわけでもない。何なら男性オタは沙代ちゃんの可愛さ目当てで視聴するのも良いだろう(尚その後、心に傷を追って帰る羽目になるだろうが責任は取りません笑)。
鬼太郎の知識は、有れば楽しめる部分はあるものの無くても楽しめる。私は6期をつまみ食いしたような状態で本作を観て十分に楽しめた。ラストは恐らく『墓場鬼太郎』へと繋がっており、確かにゲゲゲの鬼太郎の始まりを感じさせてくれる。それと同時に本作にしか登場しないキャラクターたちの「終わり」も大きく余韻に残す素晴らしい前日譚である。

投稿 : 2024/02/18
閲覧 : 148
サンキュー:

8

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

まるでヒューマンドラマのように感動します

この映画は、今日時点でおよそ3ヶ月間も上映しているようです。
何故、こんなに長い期間、上映されるのでしょうか?
おそらく、この映画で多くの人たちが感動したからだと思います。涙を流した方も沢山いたのではないでしょうか。
そして映画を見た人が、その感動を友達や家族に語り、来館者が少しずつ増えたからだと思います。

私は東京に来て数十年たちますが、映画終了の際に場内で多くの拍手が鳴るのを初めて聞きました。
かくいう私も、物語終盤には涙で頬を濡らしていたのです。

これは妖怪アニメというよりもヒューマンアニメ(?)といったほうが良いのかもしれません。
鬼太郎の父が涼やかで心地良い。それに彼の信念が素晴らしい。
たとえ自分がどうなろうと、妻やまだ見ぬ子を守るその姿に感動しました。
それとは対照的に、人間の欲深さや残酷さには、いたたまれない気持ちになってしまいます。

この物語の主人公は二人です。一人は水木という帝国血液銀行に勤めるサラリーマン、そしてもう一人が鬼太郎の父。
そしてこの物語の年代は昭和31年。
水木と鬼太郎の父が、外界から隔離された哭倉村(なぐらむら)で発生する事件に巻き込まれる形で物語は進行します。

そしてこの物語に欠かすことができない女性がヒロインの沙代(さよ)。
彼女は、いつも村から出たいと願っています。
私は、最初彼女を、どこにでもいるような『都会に憧れる田舎の少女』のように感じたのですが…
彼女が村から逃げ出したい本当の理由を知ったときは、心をナイフで突き刺されたようにショックでした。
彼女が今までどんな思いで生きてきたのか…。想像するだけで涙が出そうです。
そして人間は妖怪よりも醜い心を持った生き物だと、改めて感じました。

そんな醜い心を持った人間が世の中を動かしている(少なくともロシアを動かしている)世の中ですが、子供たちが希望の持てる世界にしていくのが、親の務めであり大人の務めなのでしょうね。

投稿 : 2024/02/17
閲覧 : 410
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21

ミュラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

鬼太郎だからと敬遠してはいけない、見るべきアニメ映画

ゲゲゲの鬼太郎の映画でありながら、本来の主人公である鬼太郎と
ヒロイン猫娘は、最初と最後に少し出るだけ。
いや、この内容なら出す必要もないだろう。
この映画は鬼太郎の父母の物語なのだから。

感想としてまず出てくるのは、鬼太郎のお父さん、カッコイイじゃないか!
ということに尽きる。
いろんなものを抱えながら、自分1人を犠牲にして世界を、
息子の生まれる世界を救おうとしたその心意気に感動します。

みんなが憧れる、安心して生きていられる世界を作れたのか?
戦後の日本、高度成長時代の昭和30年代の人たちから見たら、
どうなんでしょうね。
私は今の世界は好きですよ。
だってこんなアニメ映画が見られるのだから。

横溝正史のようなドロドロサスペンスの展開が続く映画ですが、
最後には感動して終わることができる。
見て損のない素晴らしい作品だと思います。

投稿 : 2024/02/02
閲覧 : 127
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9

ゆん♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

予想より面白かった!

公開後、すぐ観に行ったので入場特典が当たり前にもらえたんだけど(水木とバブ鬼ちゃんv)その後、第2弾とか即終了したって知って驚いた!

テレビアニメの鬼太郎はそこそこ見てたけど、今の子(笑)たちにどの程度受け入れられてるのかな~って思ってただけに

お話は鬼太郎っぽく昭和の泥くさい感じでおどろおどろしいプロローグで始まり、お家騒動からの妖しげな集団出てきーので面白かった!

相変わらず事前情報一切いれずに見に行ったので石田くんの登場に「はぅっ!!」ってなった。細目の悪役は石田君か遊佐さんしかできんな(笑)

ゲゲ郎も関さんで良かった。野沢さんかな?ドキドキ…とかしてたので(決して野沢さんがダメではないけど、細見イケメンはやはりそれなりな男性声優さんにやって欲しかったのでw)

とりあえず2回入村したけど、あと1回くらいは大きなスクリーンで観とくかな~


2024.1.27
3入村。特典ダブルでもらえたよ(ステッカー&第4弾鬼太郎ちゃんイラカ)
そろそろ落ち着いてるかと思ったけど案外入村者多くて、まだまだ人気だな~。
ラストのゲゲ郎が妻を必死で探すあたりからもううるうるしちゃいます。
エンドロールから、水木が鬼太郎ちゃんを抱き上げるあたりで号泣できます!
面白いよ~!!

投稿 : 2024/01/29
閲覧 : 39
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3

nyamu さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

1本の映画として楽しめる

評判が良いとの事で観てきました。

鬼太郎については普通に「知ってる」程度で全然問題ありませんし、別に知ってなくても楽しめるかと思います。
どれかが飛び抜けて良いという訳ではありませんが1本の映画としてまとまっており見応えがありました。

舞台は昭和30年だったかと思いますがあのころのガツガツした感じとか、どこでもタバコをスパスパ吸っているところとか時代を感じさせられましたね。

アニメではないですが、丁度同じ時代と帰還兵を描いているゴジラ-1もめっちゃオススメです。

投稿 : 2024/01/14
閲覧 : 34
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3

フェイルン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

絶望の反対は希望

会社でえらく本作で感動したと聞いて、滅多に褒めない人なので気になって遅くなりましたが観に行きました。

2024年1月9日(火)鑑賞済み。

殆ど予備知識無く行きましたが、PG12なだけあり本作はかなり攻めていて気に入りました。良い意味で予想とは違ってました。

鬼太郎は殆ど出て来ませんね。あと、猫娘かわいいね。

「ゲゲゲの鬼太郎」をベースに敗戦国日本が負けたところからのスタートしていく話だろうか。敗戦国ならでわの敗者復活戦のようなメンタルが作中に漂っています。音楽というのか音響も良いですね。どんよりとした雰囲気が漂っていて良いです。

キャラクターは割と現代風でかわいい娘も出てくるのだが、PG12なだけありキャラクターデザインをも裏切るかのような精神的プレッシャーを感じるように攻めている作品でした。
まあ、地上波での放送は無理でしょうし、BSも難しいでしょう。配信も恐らくは見放題にはならなさそうですし、映画館で観るのが良いかもしれません。

ゴジラ-1.0、窓ぎわのトットちゃん、鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎と戦中~敗戦後の日本を立て続けに観てきて、やはり日本の作品は敗戦国のメンタルに依存している。主人公視点で、何らかの大勢に抗う。
本作は今の政治にも繫がる政治批判にも思えてくる。某政治家はは禁忌を犯し、国民から血税を吸い上げ力を得ると繫がるではないか。

フィクションとは思えぬような、生々しい日本の悪しき習わしや血の呪い。やはり呪いを断ち切るには子を作らなければ良いのでは?なんてどうしようもない考えに至りそうな絶望と、鬼太郎という子への希望の相対したところがテーマだろうか。

投稿 : 2024/01/10
閲覧 : 38
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3

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

親子愛やら夫婦愛やら友情やら

生前の目玉おやじや
生前の鬼太郎ママがみれる
目玉おやじがイケおじだった

鬼太郎生誕迄描かれるのだけど
墓場鬼太郎と繋がっていて
鬼太郎ファンなら
見る価値があるかと

都市伝説だとランクSからA
に入るくらいには名作
鬼太郎パパママ最初はなんで
あんなにボロボロだったのか
謎だったけどこれ見て納得
愛情感じてちょっと泣いた

いつもの鬼太郎の曲ですら
スローで歌詞ないだけで
こんなに切なくなるものかと

見る価値ありです

投稿 : 2024/01/06
閲覧 : 69
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10

ネタバレ

移リ木うらら さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

噂に違わぬ面白さ

SNSでとんでもなく人気だったので、そんなに面白いのかーという気持ちで観に行きました。

結果。めちゃくちゃ面白かったです。

そもそもこういう話が好きなんですよ。
「金田一少年の事件簿」みたいな雰囲気がありつつ(仄暗さ漂うミステリー)、時代設定もしっかりしていて、陰陽師とか怪談ぽさとか90年代に跋扈していた感じの物語が令和で爆発的に人気になっているのにも驚いたし。またこういうのいっぱいみたいから復活してくれーってワクワクもしました!

男同士のバディ物なところも良いですよね。
女性キャラの使い方も、二点三点する展開もめちゃくちゃ面白くて!
実写映画でやっても違和感ない物語でした!
(ドラマとかのバディものぽさも感じるという意味で)


好きなキャラの話
{netabare}
紗代ちゃん本当好きです。あなた、昔の邦画のミステリーホラードラマに出ていてもおかしくないわよ!?あの感じ最高過ぎませんか。話し方から何から何まで。実は霊に憑りつかれて使役したとか最高設定すぎ。
でも幸せになって欲しかった~~!!

そして長田幻治。
今キャラクター相関の図見て気づいたんですけど庚子の夫なの!?!?
完全に、乙来とできてるじゃないですか!!
それは置いておいてあの悪役!って感じと、陰陽師です!って感じと、乙来さんめっちゃ守ってるところが刺さりました。好き。

最後に水木。
何から何までイケメンすぎる。声と話し方が本当に好きだし、行動の発端となる戦争の記憶を生かしているところも、性根の優しさを隠しきれないところもとっても好きでした。
{/netabare}

号泣したとこ
{netabare}
最後の時ちゃんと対峙するシーンです。
最初のあの振りからの最後の時ちゃんの言葉本当に泣いてしまう。ああいうのにめっぽう弱いです。
時ちゃんが夢見た良い世界を創って生きたいって号泣してしまいました。
今から見る人はちゃんとハンカチ持っていきましょう。
{/netabare}

映画館で見られて良かったです!本当に良い映画でした!

投稿 : 2023/12/30
閲覧 : 34
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2

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

戦争への怒りと心の貧困への嘆き。横溝サスペンスばりの狂気と怪奇ホラーも凄い

鬼太郎6期の前日談で、生前の目玉おやじ(イケメン)と水木(戦争帰りの会社員)が、因習と怨念渦巻く村の秘密に挑む。

【良い点】
横溝正史作品もかくやな閉鎖的村と一族の因習を追うミステリー、人間の醜い欲望と狂気が怨霊となって襲い来る恐怖感。
サスペンスとして見ても非常に怖く引き込まれる上に、怨霊ホラー系として見ても凄まじい内容で全く飽きさせず。
…放送中でそろそろ終盤?の「ダークザギャリング」を超凄まじくした感じ。
サスペンスと、妖怪物、怪奇系ならではの悍ましさあり、欲望の為に人間はここまで邪悪になれるのか。
中ボスの陰陽師、ラスボスの邪悪ジジイの極悪っぷりも王道を極めていて非常に良かった。
内容は悍ましいがバトルは王道で決着も友情の勝利なので割と清々しい。

昭和30年代や、因習村の描写も非常に良い。
喫煙シーンが昭和の分かり易い特徴として印象付けられる。
列車内で喘息の少女に全く配慮しない水木含めた大人たちのシーンは、時代性と風刺が効いていた。

人間の水木と幽霊族のゲゲ郎の友情も良かった。
当初は人間と妖怪反目し合っていたのがベストパートナーになっていく。
ゲゲ郎と共に人間の醜い狂気に抗いながら、ゲゲ郎との交流で水木の心境の変化が良かった。
戦争でお国から無駄死に強いられ戦後も変わらない不信感が、因習村の超濃密な欲望と狂気それに抗い愛を求める相棒との関わりで我武者羅に立ち向かう。
言下に水木作品の根柢に流れる戦争への怒りと戦後日本の心の貧困への嘆きあり、これを愛と友情で立ち向かう話にする事でエンタメ作品としても見やすかった。

生前目玉おやじの飄々としたイケメンぷり、水木の人間に絶望しつつも葛藤する人間らしさなどキャラも魅力的。
悲劇のヒロイン沙代もかなり可愛いく、陰惨なドラマに華を添えていた。
一族もすぐ死ぬ割に各キャラインパクトは強い。

いぶし銀のベテラン声優陣も素晴らしい。完璧な布陣。
特にラスボスの白鳥哲氏久々の怪演聴けたのは嬉しかった。

楽曲も雰囲気良く、またBGMが煩くない点も良かった。

【悪い点】
特に無し。
強いて言うと、おやじさんあんまり強くなかったような。

また作品への評価ではないが、戦後全否定な日本の心の貧困論もやや納得いかず。
祖父たちの世代が醜くても余裕が無くても頑張ったから今の物質的に豊かな日本があるわけで。
本当に完全に心が貧しいならば、今こうして沢山のアニメ作られて楽しめてないと思う。

【総合評価】9点
鬼太郎ファン必見、そうでなくても戦後日本人のアニメ好きならば見て損はしない傑作映画。
評価は最高でもいいんだけど「とても良い」

投稿 : 2023/12/20
閲覧 : 84
サンキュー:

9

Acacia さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「声優さん目当てで作品を観る」を初めてやってみた。

「ゲゲゲ~」は幼少期、放送を少し観ていた程度。
キャラクターのビジュアルが思い出せるくらいで、
用語や設定などは完全に忘れています。

自分は創作物の歴史に名を刻んだこういう「名作」より
その時代に流行した一過性の作品ばかり観てきたのだな。
と、改めて実感。

でも時代を築いてきたアニメ、
ガンダムやマクロスを観て感じたのですが、
70年代、80年代辺りで既に感性が合わないんですよね。
90年代辺りから、フィットし始めるのですが…。

では何故、劇場に行ったかと言うと、
「DARKER THAN BLACK」以来、声優の
木内秀信さんが大好きです。たまたま観ていた作品に
出演されていると、その声に耳が反応して
少し心地よい気分になるそんな中年の私。

今作がジワジワとヒット(興行収入しかり)している
情報と共に、木内さんの舞台登壇などの写真がSNS等で拝見する度
気になってしまい、物は試しに…。

で、ここまでは自分語りばかりで肝心の作品なのですが、
正直、前述の通り、世界観は理解できておらず、
キャラクターの台詞、アクションに流されるままでした。

絶賛すべき点は、主演「関俊彦」「木内秀信」お二人の
演技が素晴らしかった。

僕の耳では、二人とも最初から柔らかさ、生きようとする
演技は一貫されているのに、
出逢ったばかりの信を置かない二人から
バディとなり事件を追う道のりで

スクリーンのキャラクターの関係性の様に、
二人が掛け合う声の
「信頼」が滲み、耳に染み入る感覚。

本筋も心が温かくなるドラマで、
しっかりと骨組みされた物語(熱量)があるからこそ
演者さんが際立って視えたのも承知しています。

今まで観る作品は、監督、スタッフで決める事しかなく、
演者さんで観る作品を決める。なんてした事ありませんでした。

声優さんで観る作品を選ぶ人の気持ち、
今回の僕は作品に理解がなく、演者さんの声を注視して観て
初めて共感できました。

ゲゲゲの世界観を知らなくてもこれほど感動できるって
中々すごいと思います。ファンの方ならより感慨深いのでは。
おすすめです。

投稿 : 2023/12/16
閲覧 : 258
サンキュー:

15

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

全ての日本人に心の貧困という核心を突き付ける地獄の前日譚(プリクエル)

原作未読。TVアニメもまともに観たのは第3シリーズ(1985-1988)くらい。
最近のシリーズも6期で猫娘が随分と萌えキャラ化したなw以外は予備知識もほぼありませんでした。
ですが近年の『ゲゲゲ』の好評は聞き及んでいて興味はあったので、
入り込みやすくハズレがない前日譚である本作から、
30年ぶりにイマドキの『鬼太郎』をかじってみることに。


【物語 4.5点】
表層は昭和30年代。怪しげな因習が残る閉鎖された村・哭倉(なぐら)村にて、
地元を取り仕切る名家の相続絡みで起こる連続猟奇殺人事件という『八ツ墓村』型サスペンスのプロット。

が、そこで炙り出される人間の愚かさは、陰鬱とした田舎特有の物ではなく、
鬼太郎誕生に隠された、人間と妖怪にまつわる、えげつなさ過ぎる人の業の暴露と共に、
村境を越え、時代を越え、古今の日本全体に、
愛を捨ててまで欲望を追求する人間の狂気という重たいテーマを突き付ける。

(※核心的ネタバレ){netabare} 幽霊族の血液{/netabare} から生成する血液製剤“M”はかつて日清・日露でも使用され不死身の兵隊たちが日本を勝利に導き、
戦後の今また“企業戦士”に投与し日本復活を目論んでいるという件。

バブル景気の頃、24時間働けますか?とドリンク剤投与して過重労働でナンバーワンを目指すも幻に終わった、
あの徒労感を想起させるようで苦笑しました。

怖いと言うより核心を突く痛恨の一撃を受け呆然とする感じ。


原作者の故・水木 しげる氏は大戦中、南方戦線で左腕を失った帰還兵。
その原体験から、物質ばかり豊かになっても心が貧しいままでは人間は幸せになれない。
と作品内外で終世発信されて来たお方。

主人公視点を、東京・血液銀行社員で南方戦線帰りの水木に置き、
哭倉村に鑑賞者をナビゲートする役割を担わせる辺りにもリスペクトを感じました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・東映アニメーション

赤にカラーを絞って村の猟奇を表現したり、
時にはモノクロを基調に強調したい人や物をカラーにする演出を仕掛けるなど、
見応えがある絵作りで狂気に呑まれた村を好表現。
龍賀製薬社長・克典の金歯の強調にも成金趣味の末路を示すようで、こだわりを感じましたし。
何より鬼太郎の両親がデートで召し上がっていたメロンクリームソーダが美味しそうでした。

昭和30年代・白黒映画作品のエッセンスを意識したということもあってか、
喫煙率が高めなのも特徴的。
出世による生き残りの野心を抱く社畜・水木が、社長の葉巻にむせ返るカットには、
人の心を捨てて上へ行っても破滅するだけとの皮肉がこもっているようで印象的。
葉巻をカットする道具などプロップデザインのレベルから力が入っていました。

かつての小児喘息患者の私から見たら序盤、
ろくに分煙もされていない昭和の列車内で、
呼吸器疾患と思しき少女が咳き込んでいるにも関わらず、
煙草をふかす乗客たちの描写も示唆的でした。
ここも思いやりを忘れて高度成長へと猛進する日本の行く末を暗示しているかのよう。

昭和30年代を意識して制作してはいるが、決してノスタルジーには陶酔せず、突き放すべきは突き放す。
このバランス感覚が全世代の鑑賞に耐え得る作品を実現させていると感じました。

デザインの土台から意図があり、それでいてバトルシーンも、場合によっては線を大胆に崩す描画からスピード感が伝わり見応えがある。
総じて本年でも上位に入るリッチな作画でしたが、グロも容赦なくガードは必須。
と言うより、これでPG12指定で済ました映倫は冒頭10分しかチェックしていないのでは?との疑念を抱いてしまいますw


【キャラ 4.5点】
人間側の主人公・水木。
戦場で味わった人間への絶望から他者を打算でしか見れなくなってしまった哀れなサラリーマン。
本作は、“見えるように”なってしまった妖怪から、死相があると指摘されるほど終わってる水木が、
愛の価値を認識する物語でもあり、その筋書きが鬱展開が続く中でも一筋の光明となる。

「愛をとりもどせ!!since1956」
私がレビュタイに考えていたもう一つの痛いタイトルですw

水木の価値観を投影する合わせ鏡として重宝したのが、
村を束ねる龍賀家の娘・沙代。
閉塞した村から東京への憧れを抱き、水木に想いを寄せる。
水木が目的のため、乙女の純心を無下にしたり、思い直して拾い直してみたり。
愛を巡る主人公の心の揺れ動きを拡張する良ヒロインでした。

水木に愛に関する問答等をもたらすのが、妖怪側の主人公・鬼太郎の父(後の目玉おやじ)
要所で主人公心理の現在地を確認し合うチェックポイントがあり、
心の機微を捉えやすくて助かりました。

軽快なフットワークで展開を動かす役割を果たしたのが少年時代のねずみ男。
鬼太郎父の代から、付かず離れずの腐れ縁w


【声優 4.5点】
龍賀家のキャストには亡き当主・時貞役の白鳥 哲さん以下、
脂の乗り切った声優たちが固める盤石の布陣で、
愛蔵渦巻く伏魔殿ぶりを確立し、主人公らの前に立ちはだかる。

紗代役の種崎 敦美さん。
この秋アニメでも無双している種崎さんですが、
幅広い役柄に対応できる能力を本作でも遺憾なく発揮。

掛け合いでは水木役の木内 秀信さんと鬼太郎の父役の関 俊彦さんの墓場での酒飲み話が味でした。
人生走るのに疲れた時なんかに晩酌しつつ思い出して噛み締めたいと思います。

鬼太郎の母役には現・鬼太郎役の沢城 みゆきさん。
ここも愛の継承を印象付けられる粋なキャスティングです。


【音楽 4.5点】
劇伴担当・川井 憲次氏。
SF・ロボット作品での勇壮なコーラスによる戦闘曲が持ち味で、
本作のバトルBGMでも威力を発揮します。
一方で、伝奇・サスペンスでの川井氏のサウンドにも捨て難い魅力があります。
尺八の音色をアレンジした和風BGMが鑑賞者を魔境・哭倉村へナビゲートしてくれます。

そしてあらゆるジャンルで川井氏の音楽が心の琴線に触れるのは、
人情に寄り添ったピアノとストリングスの心情曲。
その意味でも本作の川井氏は上々でした。

EDも安直に宣伝用の歌手を起用したりせず、
往年のTVアニメ版・EDテーマ「カランコロンの歌」の川井氏によるインストverで締めくくったのも、
突きつけられたテーマを咀嚼して余韻に浸れる好判断でした。


【感想】
人の好みはそれぞれなので、これは観るべきとかあまり言いたくない私ですが、
本作は全ての日本人が観るべき作品だとの感想がまず浮かんで来ました。
鬼太郎なんて今更……と避けて通るのはもったいないです。

受け止める覚悟のある方には是非オススメしたい良作映画です。

投稿 : 2023/12/11
閲覧 : 597
サンキュー:

23

さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

興収20億くらい行ってほしい

鬼太郎誕生の前日譚。
原作との厳密な整合性はとられていませんが、結末は墓場鬼太郎とつながるように作られているアナザーストーリーとなっています。
墓場鬼太郎を知らないほうがより楽しめるかもしれません。

ゲゲゲの鬼太郎よりも大人向けで、墓場鬼太郎よりも大衆向けなアニメだと思います。
成り上がり目的の主人公水木は人間像が深く掘り下げられていましたし、剽軽で情に厚いもう一人の主人公鬼太郎父の行動も丁寧に描かれていました。

他にも言われているような八つ墓村や犬神家を彷彿とさせる物語になっていますが、妖怪を肯定する作品の気質からか、ホラーになりすぎていない温度感が素晴らしいです。これぞ和製ホラー。実写でもこれほどの雰囲気作りができているものはないでしょう。ゲゲゲの鬼太郎の世界観を上手くとりこみつつ、一つのミステリーホラー映画としても完成度の高いものとなっています。

劇伴はもう少しキャッチーな曲があっても良かった気がしますが、静かな展開は純粋に物語を楽しめる副産物もあり一長一短ありますね。成熟した職人技に感動するときのような気持になりました。

絵作り関しては現在の流行をしっかりとらえ、最近の作画のすごいアニメと比較しても全く見劣りしませんし、日常シーンの力の込め方も相当なものです。

感想書いてる時点で興行収入が5億らしいですが、ハサウェイ、ヴァイオレットエヴァーガーデン劇場版あたりまでは行ってほしいですね。
口コミが広がってもっと流行ってくれ。

投稿 : 2023/12/01
閲覧 : 176
サンキュー:

11

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:----

侮るなかれ!クオリティの高さが続く104分間!ゲゲゲの鬼太郎の父、目玉おやじの過去を描く傑作劇場版

2023/11/29 2度目の劇場視聴。加筆レビュー。
原作未読。SNSでの評判が良かったため劇場視聴。
PG12作品、上映時間104分。

日本人なら大人から子供まで、1度は耳にしたことのある作品、『ゲゲゲの鬼太郎』。主人公鬼太郎の誕生秘話、そして、鬼太郎の父についてが描かれる、原作者水木しげる生誕100周年記念作品。

正直なめてました。どうせ子供向けだろと、ド〇えもん、クレヨンしん〇ゃん、その辺と変わらんのだろという気持ちでしたが、正直凄かった、物語も作画もここ最近で見た中でも特別に素晴らしいアニメーション作品でした。

まず作画が素晴らしい。のどかな田舎の村の風景、緊迫感のあるおぞましいシーン、終始クオリティの高い画が続きます。ゲゲゲの父の戦闘シーンは瞬き禁止のスピード感と迫力のあるモーションで映画館で見る価値が間違いなくあります。

そして、物語。
メインの謎に包まれた一族の話は、しっかりとサスペンスホラーとして描かれ、飽きさせない展開が続きます。始まりから色々な伏線が貼られてますが、物語にのめり込むうちに自然と回収できるので、モヤモヤも残らずすっと繋がっていくのがなんともいい難易度で素晴らしい。

キャラクターも魅力的。主人公の水木は、根が真面目で優しさを捨てきれない苦労人なところがCV木内さんの好演もあって非常に良いし、飄々とした鬼太郎父とのタッグも最高の相性でした。腐った一族に囚われてるキャラ達もそれぞれバックボーンを考えるとまた沼が深そうで魅力的でした。もっともっと知りたくなる沼。

そして、今作の一番沼ったキャラ鬼太郎父。
鬼太郎作品には特に思い入れありませんでしたが、今回鬼太郎父(後の目玉おやじ)がメインとして活躍する姿を見て、まあ大好きになりました。愛でした。父から子への愛、夫婦愛、家族愛。
腐りきった一族の話がある一方で、鬼太郎父の生き物としての考え方がとても大人で優しく、深い愛で溢れていて、惚れるしかないキャラクターでした。見た目も抜群にオタクに刺さる。
本編のゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじはちょいキモのマスコットキャラクターと化してますが、なんとも深い、良いキャラクターな事が分かり大好きになりました。

PG12作品で、評判ではかなりエグイと聞いてましたが、グロさもエグさも個人的にはそこまで気分害するほどではなかったです。血が苦手な人は注意が必要です。

人気を得るための要らない楽曲コラボや、声優人気に媚びたキャスティングもなく、シンプルに作りたい伝えたいものをそれぞれのプロたちが制作し、磨かれ抜いた作品に感じました。
ゲゲゲ初心者でも充分に楽しめたし、なんなら昨今アニメで溢れる世の中ですが、作画も物語もメッセージ性も特段素晴らしい作品だったので、時間ある方はぜひ見て頂きたいです。非常にオススメです。

投稿 : 2023/11/29
閲覧 : 105
サンキュー:

15

ネタバレ

ドウ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「ゲゲゲの鬼太郎」をよく知らない人にも超オススメの傑作。

あらすじ
~{netabare}昭和31年。日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村(なぐらむら)。
血液銀行に勤める水木は一族当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。
人間も妖怪も何かを隠している呪われた村で、鬼太郎誕生に隠された秘密が明かされる。 {/netabare}~

作品タイトルでお察しの通り妖怪の世界の住人である鬼太郎の、誕生にまつわるエピソードが展開されます。
この過去エピソードが思いの外面白くて、内容的にはあるあると言えばあるあるなのですが。ベタながらも熱い展開がいくつも用意されていて、最後まで飽きる事なく視聴後には満足感に満たされた状態で劇場を去る事が出来ました。
(ちなみに内容的には『ゲゲゲの鬼太郎』を知らない方でも、ストーリー理解には特に問題ない内容でした。)

また原作者の水木しげるさんは戦争経験者で関連書籍も出ていますが、本作にも時代背景的に戦争を感じる演出が見られた点もあり、所々で水木しげるさんを感じるリスペクトがありました。
そしてただ過去の話しで終わらせるのではなく、いつの世にも現代にもはびこる人間の業や罪にも表現が及んでいる点も見事という他ありませんでした。

もちろん映像的にも戦闘シーン、ホラーな演出などなど見応えがあり引き込まれました。(なお本作はPG12の年齢区分あり。)
キャラクターもメインキャラがしっかり魅力的だったと思います。

ちなみに少し違和感のあった部分も挙げるなら。
{netabare}序盤に登場した興味本位に突撃したみたいな記者が、終盤立派な志ある記者みたいな感じにいつの間にかなっていたのは違和感がありました。{/netabare}
ただ些細な部分で、その違和感に対して不快感等マイナスな印象を感じる程でもなかったです。

この鬼太郎映画は、鬼太郎に全く触れてこなかった初見勢でも入れる内容なので、是非とも多くの方に観ていただきたいです。
自分は本当に楽しめた傑作でした。

(余談ですが、自分が水木しげるさんの漫画作品で一番好きなのは『猫楠、南方熊楠』のシリーズです。水木しげるさんは大好きな漫画家さんの一人で神。)

投稿 : 2023/11/23
閲覧 : 77
サンキュー:

8

ネタバレ

メガマインド さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

墓場の鬼太郎をベースにしたアニメエピソード0

墓場の鬼太郎をベースにしながらアニメ(6期)では描かれなかった主人公鬼

太郎の父親たち(目玉おやじ、水木)の物語と鬼太郎の誕生秘話が描かれ

た!!

原作でもやっているが本編でも目玉の親父がなぜ目玉なのかについても明かさ

れる。、

ドラえもんやアンパンマンといった、すべてのはじまりと呼べる誕生にまつ

わる話って何かと神回

になることが多い。この作品も例外ではない。


さらに犬神家の一族、八墓村、横溝正史もベースにしているかと思わんばか

りの田舎にいる者同士による遺産相続による

執念や妬み、殺人、人間の業がこれでもかいうくらいみせられる


若干ホラー要素強めで極めてダークな内容です。


登場人物の殺され方がどれもえぐすぎて、一般人ですらひどい殺され方する

し記憶に残るレベルのトラウマを味わった。


しっかり最近のアニメに負けないレベル(呪術廻戦)のバトルもあり、
盛りだくさんな一作だった。


トンネルを抜けて田舎に入る一連のシークエンスは映画館に来てよかったと

思えたくらい素晴らしい。

映画的で市川崑作品のような芸術美を帯びていた


なにより父親と水木のキャラがとにかくよかった

幽霊族と人間立場環境が違え、お互いいがみ合いながらも

同じ屋根の下で煙草を吹かせ、酒を飲みかわし

徐々に信頼関係が形成されていく

父ゲゲ郎と水木のコンビによる共闘はこの作品のMVP


の一つでしょう


父の妻、息子を思う気持ちや愛情は夫婦愛を感じさせて

ほっこりさせられました。







初めてこのシリーズを観る人でも楽しめると思うが
少なくともこの映画を鑑賞する際は墓場の鬼太郎1話(アニメか原作)を触れていたほうが
より観る前と観た後の印象がだいぶ違う作品となる。



衝撃のラストでした。


最近のアニメ映画で一番おすすめです!!
今すぐ観に行ったほうがいい

投稿 : 2023/11/22
閲覧 : 111
サンキュー:

11

しらす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/12
閲覧 : 1

RX-178 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/07
閲覧 : 1

ゆにこん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/05
閲覧 : 2

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/05
閲覧 : 2

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/02
閲覧 : 2

SrmNl23322 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/02
閲覧 : 2

ムラマサ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/04/29
閲覧 : 2
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鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のストーリー・あらすじ

詳細不明(アニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
公式サイト
www.toei-anim.co.jp/kitaro/news/2021030704.php

声優・キャラクター

沢城みゆき、野沢雅子

スタッフ

原作:水木しげる

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