「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(TVアニメ動画)」

総合得点
91.2
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ランキング
37
ネタバレ

ダレイオス さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

いい話なのでたまに見たくなんるんですよね。

主人公の仁太が自堕落な生活を送っている所から始まるのですが
なぜかヒロインにあたる女の子の、芽衣子(めんま)が仁太の自宅にうろついていて
いきなり状況説明がされない状況から始まるので、意味がわからないのですが
異様な光景なので視聴していて、興味が沸く展開で
視聴者の心をつかむ上では正解だと思います。
色々考えも浮かぶので、頭の中で状況を整理しながら見れるので
個人的には「おっ」面白いぞと思いながら見ることが出来ました。
この演出は見事だと思います。

そしてこの主人公の仁太は高校受験でいい所に入れず
比較的誰でも通える高校に通っている高校生である。
家も一階建てで古い、木造でよくある実生活が充実している
最近のよくあるアニメの主人公とは一線を引いていて、現実意的な主人公で
どちらかと言えばドラマに近い作りになっている。
しかも、高校には行っていなく登校拒否していて引きこもりである。
ハッキリ行って絶望的な状況だ、一度怠けると人間は明日頑張ればいいやと
思ってしまうもので(私も経験あり)抜け出すのは容易ではない。
また、留年すればいいも安易で一度でも留年すれば履歴書に一生ひびき
それだけでも人生にかなりのマイナスと崖っぷちに立たされた男である。
現に昔の友達で疎遠になってしまった高校生にたまたま会った時に
駄目出しをされ、当の本人は生きる気力もなくブラブラを遊び歩いたり
酷い状況である。
要するに1話の時点での酷い状況の高校生の見せ方と非常に上手くて
この高校生がこれからどうなるのか?と興味が沸く感じは凄くいい。
そして、その仁太に奇跡の現象が起きる。
なんと例の芽衣子は実はすでに亡くなった女の子だというのだ。
じゃあここいる芽衣子はなんなのかが本作の題材で
この芽衣子を巡っての青春物語です。

本作のメインキャラは仁太、芽衣子、安城鳴子、松雪集、鶴見知利子、久川鉄道の6人で
全員昔は独特のあだ名があり、昔はみんな仲が良かったんだなとわかる。
しかし現在では、たまたま会った時にそのあだ名を使うことすら拒絶されたり
たまたま会うしかない状況でみんな疎遠になっていたり時間の経過が
凄く良くわかる1話でした。
時間の経過は残酷だおそらく公立の小学校に通っていた時は
社会的なヒエラルキーなどは存在していなかったが今は差がついてしまい
その時間の経過は重い。
それを描写するために暗い展開や確執を感じさせるエピソードもあり
この辺の演出は中々良くて
視聴者にはその残酷さは痛いほど伝わり時間の経過が手に取るようにわかる。
もはや、普通ならこの5人は昔の関係には戻れない状況ではあるが
この、芽衣子の存在によって再びみんな関係を持つようになるのが作品のテーマように感じました。
で、芽衣子は仁太にだけに見えるので、妄想なのか実際に存在する幽霊なのかすら
仁太にすらわからない。
そのせいで存在しているのかどうかで仲間達と
それを巡ってストーリー展開が進むものになっています。

上に書いた通り、ギクシャクした関係だったけど
みんな5人が再び関係を持つのはかなり早い。
鳴子、鉄道、この2人はなぜか主人公に協力的である。
鳴子は1話から仁太に引きこもりを脱出させようと積極的だったので
この子だけ疎遠でないのはわかるのですが、鉄道は協力的で不思議でしたね。
「メンマを探す会」を提案しただけで
集、知利子もあれだけ避けられてたのに協力的になって意外でした。

その理由はストーリーが進むのつれわかるのですが
結局、芽衣子だったんですね。
5人が芽衣子が死亡してしまったことに対して
いまだに未練を残しているがために、集まって来たんだとわかりました。
みんなが「メンマを探す会」で言いやっている内に
コイツらみんな芽衣子のこと好きだったんだなと痛いほどわかります。
幽霊なんて存在するわけが無いのは今の世界の常識で
本気で信じている人は今となっては少数派でしょう。
そのため、最初はみんな信じないんだけど
存在しない、存在するともめている内に、みんな信じたいと心が変化していくんですね。
特に人物同士の心の変化はきっちり時間をかけてやっていたので
人間関係の変化は、かなり出来が良くて感心させられました。
チョット暗くて昼ドラぽく基本的には楽しいアニメではないが
ドラマ性は感じたので、そのドラマは見ていて心を踊らされる出来はあった。
またシリアスながらも、たまには笑えるネタもありで
シリアス過ぎないシナリオもバランスは良かったです。

後半はようやくここで主人公が引きこもりであることが生かされる展開でした。
芽衣子の願いを叶えるために行動を起こすことになるのですが
願いを叶えるためには主人公自ら行動しないと無理なので
ここから仁太を社会復帰させるためのシナリオになってて
成長物語になってました。
その過程はよく出来ていたと思います。
長らく休んでいた学校に再び通うのにビクついたり、登校途中で帰りたくなったり
学校に着いたら、自分は何か言われないのかを心配したり心理描写は丁寧でした。
願いを叶えるためにはお金も必要とバイトしたりと成長する姿もいいなとは思いました。
それで勘のいい人ならこの時点で気付いたかもしれませんが
もしかしたら芽衣子は仁太を社会復帰されるために幽霊となって現れたのかも知れませんね。
そう考えると、ここまでのストーリーの完成度はかなりのもので高評価出来ます。

ただ終盤のストーリーは無理やり視聴者を泣かせようとする
演出に見えたりで作りは癖が強い。
泣かせる場面が1話内に数回もあり10分に1度くらいはあるので
泣ける場面を連続で見せられると感動が薄れるかもしれません。
それでも、ストーリー自体はかなりいい話なので評価出来ると思います。

キャラについては脇役のキャラはドロドロしてましたね。
正直あまり好感は持てませんが引きこもりの仁太に対しての
態度が駄目な人間に対して、それ相当の態度を見せたのは自然で良かったです。
そういうリアルさは説得力はあった。
芽衣子は寝ている所、動き回る所と可愛らしい態度は良かったです。
鳴子も主人公が情けないのに見捨てずに見守る一途な幼馴染で
その点は可愛かったですね。一体主人公は今まで何を見て育ったんでしょうか
不憫でなりません。
鳴子の芽衣子に対しての思いは伝わってきたしキャラ同士の関係もいい話が多かったです。
キャラ立ちも、引きこもりだったり、働いてたり
主人公のことが気になる幼馴染だったり、幽霊だったり
設定的にあまり被りはなく個性的なのもあるのですが
設定的だけでなく、そういうキャラの描写的もかなりあったので
人間味溢れる感じが出ていたのは良かった。

作画はかなり安定してました。
2011年のアニメなんで今見てみると少し落ちるのではないと思ってみてましたが
そんなことはなかったです。
背景も綺麗なので1話から11話まで崩れることなく高クオリティーを誇ってました。
キャラの作画もいつも綺麗で崩れなかったのでストーリーに集中出来て良かった。
地味なんであまり目立たない作画なんですが
よく見ると丁寧に仕上げられた出来のいいアニメーションだったことがわかります。

声優さんはテレビドラマに近い作風なので、萌えアニメの演技ではないので
地味でしたが、感動の場面での感情がこもった演技力が凄くて
キャラの気持ちは伝わってきました。
演技力が高いがゆえ逆に引いてしまうくらいはありました。
演技は高評価出来ると思います。

音楽についても曲、歌の入り方が上手くて物語をかなり盛り上げてました。
1話、3話は上手くいっていて、これはいいなって思ってしまいました。
唯一の欠点は泣かせに来ているがゆえ引いてしまう所でしょうか

主人公の成長物語、かつての仲間との友情、そしてそのきっかけとなったのは
1人の少女の幽霊と見事なストーリーは良かった。
個人的には萌えアニメだのハーレムだの楽しいアニメ見てる方がいいので
実はそれ程、好きなアニメではないのですが
いい話なのでたまに見たくなるんですよね。
それだけ個人的にはいい話に思えました。

投稿 : 2016/03/01
閲覧 : 240
サンキュー:

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