どらむろ さんの感想・評価

3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

ソシャゲの王道冒険ファンタジー。好感が持てる佳作ではありますが、やや淡白。

通称「グラブル」、スマートフォンのRPG（ロールプレイングゲーム）が原作の冒険ファンタジー、全13話。
近年のソーシャルゲーム原作の強み、潤沢な予算で作られた良質な作品ではありますが、良くも悪くも王道、淡白な印象も。
冒険、ボーイミーツガール、剣と魔法、遺跡探索、飛空船、ドラゴン等々…
深夜よりも、朝夕に1年くらいかけて放送してほしい雰囲気かも。

{netabare}『物語』
空に浮かぶ島々から成り立つ世界（昔のRPG「バハムートラグーン」思い出す）で、主人公の少年グランと、追われる謎の少女ルリアが出逢い、その後も仲間たちが集まりつつ、飛空船（本作では騎空艇という）で大冒険をするのだった…

いや～、ザ・王道！
親方！空から女の子が！悪の帝国に追われるフシギな力持つ美少女、父の残した夢を追う少年、運命的な出逢い、そして冒険して、仲間も増え…王道！ラピュタかな？
目新しさは全く無いのですが、安心して見ていられる。王道って大好物です！
主人公がヒロインの為に命落とす→ヒロインの力の一部受け取り一心同体に
3×3EYES（サザンアイズ）思い出した（古い。いやラピュタよりは新しいけれど）

話の流れや、現在や次の目的が分かり易いのはRPG原作の良さ。
ルリア含めて仲間の個別エピソードも丁寧、バトル以外で、出会いと、共に冒険に加わる経緯が良い感じ。
3～5話の3話をかけた、飛べなくなった騎空艇乗り・ラカム（29歳）のエピソードは丁寧かつ本作の世界観が繊細に伝わり、この時点での評価は（地味だけど好感持てる良作）

次の仲間、魔道士少女イオちゃんの話も、世界観含めて良い感じ。
ただ、7話山場の機械巨人とのバトルがいまいち。
と思いきや、8話のダンジョン探索は、バトルとコミカルと萌え（ルリアかわいい）の配分が良くて楽しく、全編通しても一番面白かった。

9話以降、メインヒロイン・ルリアにスポット当たりシリアスに。
9話のグレンとのデート、ボーイミーツガール回が、ラブコメの波動を感じさせて微笑ましい。
この微笑ましさを踏まえての引き裂かれる展開は、王道ながら中々。
…ただ、最終的な盛り上がりは微妙に淡白に感じるのが難でした。
原作ファンには嬉しいであろうオールスター展開も、アニメ組にとっては感情移入しづらいです。

12話が実質的な最終話、13話はまさかの別主人公（ジータという女の子）の外伝でした。
完全にコメディー調、どうやら課金（ゲームにリアルマネー投入する行為。しないよりも当然強くなる）して強い武器とメンバー揃えているらしく、敵が可哀想になる程フルボッコｗ
ルリアとの関係は当然微百合寄り、ジータ版の話も観たかったですｗ

総じて、とことん王道なRPGファンタジーでした。
5話までは繊細で丁寧、以降もそこそこ面白いものの、やや盛り上がりに欠けた感。
グレンとルリアのボーイミーツガール回をもっと早く持ってくるとか、もっとあざとい見せ場が欲しかった。
（シータァァー！パズゥゥー！バルス！とか、エウレカレントン空中受け止めとか、ガロード私を見て！ティファ逢いたかった！とか、サラ好きだぁぁぁ食べちゃいたいくらい好きなんだ！云々…）
バトル面では、中盤のドラゴン相手に騎空艇も駆使しての空中戦が中々良い以外は、盛り上がらず。
…悪くはない。むしろ好感が持てる私好みな作品なのですが。
どうせ王道なら、もっとベタに揺さぶる展開あっても良かったような。
9話以降がそれなんでしょうけれど、他のメンバーのドラマに尺割いた分、ボーイミーツガールはあと一歩足りず。
もっと長期スパンで魅力が出てくる作風、1クールでは淡白さが先に出たかな～、と。
優等生たけど、もっと上を求めたくなるアニメでした。


『作画』
潤沢な予算故か綺麗で、冒険ファンタジーとしては申し分が無い。
騎空艇のメカニック描写が丁寧なのは地味に見所でした。
キャラデザ面も水準以上で可愛い（貧乳派なのでルリア好み）のですが、感情面が淡白に見える。
アクションも派手な割には燃える！という程ではなく。
演出が淡白かも。

『声優』
豪華。東山奈央さんの清純ヒロインは安定感あります。
沢城みゆきさん、田村ゆかりさん等々。三瓶由布子さんの冷酷ショタも良い。
釘宮理恵さんは同時期の「ツインエンジェルBREAK」と並び、マスコット。
男性陣ではラカムの平田広明さんが良い味出ていた。


『音楽』
良質だが地味なファンタジー、という本作の雰囲気が出ている感じの良曲多し。
聴いていて心地良い楽曲、BGMも良いです。
…来期には忘れてそうですけど。本作に限れば評価は落ちないです。


『キャラ』
グレンとルリアは主人公ヒロインとして優等生的。
グレンがリーダーとして仲間達に認められていくのは、分かります。
ルリアはヒロイン的にオイシイ立ち位置なんですが、更にあざといヒロイン力発揮してほしかった。

くぎゅ声のチビドラゴン・ビィは賑やかし役。

旅の仲間の方が魅力的、特にラカムが良いキャラだった。
29歳と年長者だが、上の世代から見るとまだ若造という立ち位置(エウレカセブンのホランドと同世代)、挫折と再起、船への愛着など良かった。
ボーイミーツガール物で、パーティーに大人も居るのは好印象。

女性騎士カタリナさんはポンコツ感出てくると可愛さ発揮。
ルリアとの絆は良い感じ。（グレンとのボーイミーツガールより目立っちゃいけないような）

勝気な幼女魔道士イオちゃんも可愛くキャラ立っている。
彼女が慕う大公も間接的にキャラ立つし、健気さ等の魅力発揮。

見た目幼いが中身海千山千の商人、シェロカルテも良いキャラしていた。

8話の少女ハンターたちの方がいいキャラしている、彼女たちの冒険ももっと見たかった。

敵はマッドサイエンティストタイプのポンメルン、見た目ショタだが冷酷傲慢なフュリアス。
どちらもありがちな敵な感じ。
敵サイドが地味なのがやや残念。{/netabare}