Ka-ZZ（★） さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

「そんな恥ずかしい名前の人はしらないっ」

この作品の原作は未読です。
正直タイトルを聞いた時、「こんなストレートなタイトルの作品ってテレビで放送できるの？」と思ったのは事実です。
しかも単語一つじゃ作品のジャンルだって良く分からない…
「エロマンガ先生と愉快な仲間たち」とか、「エロマンガ先生のことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」とか、「俺がエロマンガ先生に「庶民サンプル」としてゲッツされた件」なんて、もう少しエロマンガ先生の置かれている状況が分かるメッセージがタイトルに入っていれば、イメージもしやすいんですけどね…

でも、公式ＨＰを見ると「あれ、これどこかで見たような…」という感じがするんです。
特に本作の主人公である和泉 正宗を見ていると…直ぐにピンときました。
そう、著者：伏見つかさ先生、イラスト：かんざきひろさんの組み合わせは「俺妹」と一緒なんですよね。
ここで、本作の立ち位置が一気に身近に感じた様な気がしました。

物語の方ですが、主人公の和泉 正宗は高校1年生ながらラノベ作家として生計を立てていました。
そんな正宗には一人の義理の妹がいるのですが、その妹…1年間自分の部屋から一歩も出てこなかったんです。
それは物語が始まってからも一緒…
だから家事全般は実質正宗が一人で切り盛りしていたんです。

一方、正宗の小説には専属の挿絵師が付いていて、そのイラストレーターが「エロマンガ先生」という構図だった訳ですが、このエロマンガ先生…仕事は全てネットやメールでやり取りするので、誰も見たことも会ったこともないという全てが謎の人物だったんです。
ところが、ひょんなことからエロマンガ先生の正体が発覚し…物語が動いていきます。

エロマンガ先生の正体が気になる方は、是非本編でご確認頂くとして、正宗の義理の妹である紗霧がずっと部屋に引きこもっていたのには理由があったんです。

義兄の正宗が高校生…という事は、紗霧は中学生以下…つまりバリバリの義務教育期間中なんですよね。
日本に生まれたからには中学校までは教育を受ける義務があるんです。
そんな事は日本人なら誰もが知っています。
それはもちろん正宗や紗霧だって…
紗霧は学校が嫌いな訳では無いと思うんです。
時折窓のカーテンの隙間から、キャッキャ楽しそうに登下校する人たちを覗っていましたから…

でも、紗霧には部屋から踏み出す勇気が持てなかった…
それは「たったそれだけの事」すら拒ませる程の強烈なトラウマがあったから…
そして正宗と紗霧のどちらもがそれを受け入れていたから…
じゃなかったら1年間も自室に引きこもっている事を良しとはできません。

そんな紗霧ですが、これまでの様にずっと自室に籠りっぱなし…という訳にはいかなくなるような展開が物語の中で彼女を待っています。
きっと彼女にはこれまで1年かけて積み上げてきた「自分ルール」があるだと思いますが、そんなちっぽけなプライドにしがみついてばかりいたら、もっと大切なモノが遠くにいっちゃう…
これまで表現する必要がなかった…けれど、だからといってこれからも表現する必要が無い？
かと言うと、決してそんな事はありません。
そしてそれは紗霧も気付いています。
自分を部屋に縛り続けたトラウマに対して彼女がどう立ち向かっていくのか…
この作品の見どころの一つだと思います。
CVの藤田さんの声質も紗霧にピッタリだったのではないでしょうか。

でも、本作の見どころは紗霧だけではありません。
「俺妹」で黒猫やあやせが存在した様に、この作品でも黒猫やあやせと同格がちゃんと存在します。
それが正宗と同じ小説家の「山田エルフ先生」と「千寿 ムラマサ先生」
正直キャラ単独の魅力で比較すると紗霧のメインヒロインの地位が危ういと思えるほど、この2人の存在は輝いています。

合宿の夜、正宗を誘い出した時の決め台詞は「エルフ先生って最強…」って思うには十分過ぎるくらい爆発的な可愛らしさがありました。

まだ恥かしさが先行して二の足を踏んでいますが、奇をてらわず一つ一つ着実に進めていこうとするムラマサ先輩の考え方と、正宗の作品に対する情熱には激しく賛同でした。

どの様に物語が展開していくのか、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
舞台も展開も大きく動くことはありませんでしたが、安定した面白さがあったと思います。

オープニングテーマは、ClariSさんの「ヒトリゴト」
エンディングテーマが、TrySailさんの「adrenaline!!!」
ClariSは「俺妹」繋がりでもありますね。
どちらの楽曲も大好きです。
きっと今期のアニソンBEST10入りする楽曲だと思っています。

1クール12話の物語でした。
なんだかんだ言いながら紗霧にメロメロになりながら完走した感がいっぱいです。
結局年末に壽屋から発売が予定されている紗霧の1/7フィギィアもポチっちゃっいましたし…
気になるのは今後の動向だけ…
俺妹同様、是非続き制作して欲しいです。