「心が叫びたがってるんだ。(アニメ映画)」

総合得点
78.2
感想・評価
1198
棚に入れた
6266
ランキング
556
★★★★☆ 4.0 (1198)
物語
3.9
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.9

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MLK さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:----

無題

岡田脚本の特徴はこうだ。「登場人物が何らかのトラウマを抱えていて、本音を言うことで解決する」これさえ理解しておけば、岡田脚本がしばしば「尻すぼみ」だの「投げっぱなし」だの言われる理由も簡単に理解できる。


岡田脚本が最初に面白そうと思われる理由は、登場人物がトラウマを抱えているからである。
トラウマの提示から我々は、その話が典型的な克服の物語であることを予感し、昨今の起承転結の欠けたアニメにうんざりした我々はちゃんとした物語が語られることを期待するのである。これが、岡田脚本が序盤に期待される理由だ。


そして投げっぱなしといわれる理由は、物語におけるトラウマの克服が「自己の解放」で終わっているからだ。どういうことか。
例えば、幼少期に溺れて水が怖い人間が「水が怖い!」と叫んだところで解決になるだろうか。トラウマを克服したと言えるのは、泳げるようになってからである。
岡田氏の重視する「本音」や「真実」や「理解」はトラウマの過程で必要なことであっても、決して根本的解決にはならないのである。(あの花においては、直接干渉できないものをトラウマの原因に置くことで心理的葛藤を乗り越える以上のことができないようにしたため一応成立はしていたが個人的には欺瞞的であるとしか思えない)


今回のここさけもまさに同じ轍を踏んでいる。
主人公の成瀬が抱えた問題は「喋れないこと」であるからラストは当然「喋れるようになる」ことが解決であるはずなのに、結局彼女が舞台上で披露したのは「歌」である。舞台上で普通に台詞を喋ってこそ真の克服だと思えるが…。


幼少期のトラウマが原因で上手く喋れない人間がそれを克服するという物語では、「英国王のスピーチ」という映画がある。こちらも歌や怒りで本音を引き出してはいくが、最後はまさに「大舞台で喋れるようになる」ことでトラウマを克服したことを示している。
シナリオをオスカーを受賞するレベルに高めろとは言わないが、これを参考にすれば陳腐な恋愛模様(これがはいってこそ岡田脚本ではあるが)なんていれようとは思わなかっただろう。


こういった岡田氏の作家性はおそらく彼女自身の体験に基づくことなのでとやかく言いたくはないが、より良くなるための提言として、どうか岡田氏ならびにファンの方々にはご容赦いただきたい。

投稿 : 2017/08/03
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サンキュー:

8

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