「ラブライブ!サンシャイン!!(TVアニメ動画)」

総合得点
73.7
感想・評価
842
棚に入れた
3386
ランキング
969
★★★★☆ 3.6 (842)
物語
3.3
作画
3.8
声優
3.5
音楽
3.8
キャラ
3.6

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ネタバレ

MLK さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:----

無題

ラブライブ!シリーズに対する私のスタンスを説明しておくと、無印一期は大好き、二期もそれなりに好き、劇場版もちゃんと見に行ったがライブなどには興味なし、サンシャインの放送前には二匹目のドジョウをすくいに来ることは予測していたが、それでもいくらか期待していた、といった具合だ。

本放送、再放送と二度見たが、やはりこの作品はつまらない。前シリーズを踏まえた作り手側の意図は分かる。問題は見ている最中に意図が分かってしまう=すでに冷めているということだ。

前作(特に一期)では、良くも悪くも穂乃果をはじめとしたキャラクターたちが思うまま行動した結果による対立やすれ違いを含め、生き生きとした物語を作り上げていた。(にこのアイドルに対するスタンス、絵里の空回り、穂乃果の挫折、ことりの留学、いずれも彼女たちにはそれを選択するだけの理由があった)二期に入るとその傾向は薄まったものの、μ'sというグループの物語として楽しめる部分は大いにあった。劇場版は……まあおまけです。

それでは本作はどうか。我々が物語の流れや人物構成に既視感を覚えるのと同様に、主人公の千歌にはμ'sという目標が設定される。μ'sを目指して物語は中盤まで順調に進み、そこで挫折した主人公はそれをバネに理想と現実の間にあるなるべき自分に近づいていく――。というのは典型的な三幕構成(知らない人は調べてね)であり、テーマ的にはピクサー的な物語の作り方とも言える。おそらく、本作もこの流れを目指して作られたのだろう。だが、本作では物語として成功しているとは言い難い。

なぜなら、陽の理想と陰の現実のギャップ、つまりμ'sとaqoursの違いが明示されていないからだ。さらに言うなら、μ'sの物語を知っている我々はμ'sそっくりの話を見て「これμ'sよりイージーモードじゃないか?」という感想を抱かずにはいられない。(特に三話ラストにおける決定的な違い)

本来ならばμ'sよりはるかに弱小かつ環境的に厳しいはずのaqoursにおいてこれは致命的だ。これではターニングポイントとなるはずの東京でのライブの結果を受けても「まあそうだろうな」以上の感想を抱けない。しかも翌週には特に意識が変わった描写が出るでもなく三年加入の茶番が入る。目標達成の困難さとそれに対する姿勢が見られるでもなく、あげくこいつらは「輝きたい!」などという訳の分からない目標を掲げ始める。散々μ'sを追いかけた上で自分たちらしくするのが一番のパフォーマンスという結論に行き着くならまだ分かる(無印二期六話と被る)が、お前ら最初から輝いてただろ!結果が悪かったからって概念に逃げるな!あと廃校阻止はどこ行ったんだ!

正直後半は脚本が破綻しているために語ろうにも語れない。しいて言うならば、「μ'sとの決別」の問題と「普通の人間であるという自覚」と「輝きたい」と「0to1」などの絞り切れないテーマとアイデアをろくな伏線も用意しないままに描こうとしてだんだんとほころびが生じ、ついに終盤で大爆発を起こした、というのが後半の物語ではないだろうか。もちろん前半もひどいが、成立していない後半よりはマシだった。

ここまでボロクソに言ってきたが、はっきり言って評判の悪い最終回以外はある程度評価している人間がいるのも理解はできる。演出や作画でアニメを見る人にとっては、大仰ともいえる演出あふれる本作は及第点は与えられる作品なのだろう。(それだけに大げさな演出でも誤魔化しきれないほど狂った最終回の罪深さも推し量れるだろうが)

まあこの作品何が悪いって、アニメの骨格たるシナリオなんです。骨格が歪んでたらどうしようもない。シナリオのひどい日本アニメって山ほどあるけど、誰が悪いんだろうか。

投稿 : 2017/08/23
閲覧 : 229
サンキュー:

6

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