「うらら迷路帖(TVアニメ動画)」

総合得点
73.2
感想・評価
524
棚に入れた
2555
ランキング
1020
★★★★☆ 3.5 (524)
物語
3.2
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

もうすこし、がんばりましょう。

アニメーション制作:J.C.STAFF
2017年1月 - 3月に放映された全12話のTVアニメ。

原作は、『まんがタイムきららミラク』に連載されている、原作者:はりかも による漫画作品。
監督は、鈴木洋平。

【概要/あらすじ】

とある朝、五殿山の森の木の上で動物や小鳥たちに囲まれて目覚める少女が一人。
彼女の名は千矢。地面に届く程に髪を無造作に伸ばしてる野生児。15歳。
一応は人間の女性に育てられてはいる。

千矢の向かう先は、人生の迷い人が道標を求めて「うらら」と呼ばれる占師たちを訪れる迷路町。
住人は皆が着物を纏い木造家屋は高さが低く、古めかしい佇まいの町全体が占師で成り立っている。
まさしく占いを生業としている者のために存在している町であり「うらら」を養成する学校がある。
「うらら」を目指す少女たちは15歳になると夢をかなえるため門をくぐる。

主人公の千矢の目的は、『お母さんに会いたい』
千矢は母親の名前も顔も知らずに、母の友人に育てられた後に迷路町に行くように言われた。
行き先は「棗屋」まずは、そこに弟子入りして占師になる勉強をするようだ。
占(うらら)は15歳以上の女性専用の職業。見習いは十番占(うら)から始まり、
修行を積んで試験に合格することで位が上がっていく。
最上位の一番占(うら)の実力になると、わからないことがないらしい。

千矢の目的は、一番占になってお母さんを見つけること。
「棗屋」のニナ先生のもとで同じく見習いである15歳の少女の紺・小梅・ノノの三人との出逢いと寝食を共にする日々。
そういった、彼女たちの修行と日常の物語なのである。

【感想】

原作単行本は四巻まで既読。

「タモリ倶楽部」のように尻を振りまくるOPアニメ。四人娘の合いの手の『るんるん♪』が耳にこびりつく主題歌。
開始数分で無知・非常識系の主人公の千矢がお腹を丸出しにしての『ごめんなさああああい!!』
↑千矢は謝罪する時は服をはだけて、お腹を丸出しにして相手に見せるルールがあり他人にも強制するのである。

萌え媚びにしても程度ってものがあるよ!女同士でお風呂場で、もしくは脱がして下着姿でペロペロ・イチャコラ。
その手のサービスが好物の人には良いかもしれない。私はまっぴらごめんですけどね!
萌え媚びアニメにしても「ご注文はうさぎですか?」はセーフだったのだが、こっちはアウト。
露骨に媚びるにしても限度があるってことですな。

占師の仕事、棗屋以外の十番占の少女たち、迷路町で何十年も生活している住人がストーリーに絡むと思いきや、
占師を訪ねてくる客が出てこないから、客の願いを叶えて占うことでのうららの仕事の良さが見えないし、
壁で遮られて通行できない迷路町は行動範囲が狭くて新たな出会いや発見も限定されて魅力を感じない。
四人と付き合いのある先輩うららもニナ先生だけであり、
他の現役うららから学ぶという話の広がりが予め閉ざされている。
固定メンバーでのドタバタと百合イチャばかりで千矢たちの交友関係は特定の仲間内のみで完結していて、
千矢たち四人と同じ境遇であり他の店で修行している十番占と接することもなく、
とにかく話を作る上で視野が狭いのである。それは日常を描く作品としては欠点になる。
某アニメの名作回の“トラゲット”を知っているので、尚更に私の思いは顕著である。
そもそもが迷路町自体が千矢の目的の舞台装置でしか無く、そこに生活している人たちの匂いが存在しない。
他の作家のきらら系作品との差別化のために、特殊過ぎる歪な町が出来上がってしまった。
要するに、迷路町という環境に魅力が全く存在しない。

迷路町には本当に男が存在しないし、男を排除した設定環境で同性愛ギャグ塗れが媚び寄り過ぎて笑えない。
それでもニヤニヤ出来る人も世の中にはいるし、趣味なんて個人の自由なのだが。

ストーリーは4コマ漫画形式の原作に忠実。テンポを詰めて原作のエピソードを惜しげなく消化するスタイル。
ギャグがつまらないのは既に述べたが、このアニメには怪異モノと感動系要素もある。

しかし、その感動要素がちっとも感動できないという致命的な欠陥が存在している。

これは原作者の文才?良いこと言ってるつもりのシーンでも心に響かない。
“言葉の力”というのは案外バカにできないもので、胸に刺さる訴えかける台詞が無し。
作者的には“いい台詞”のつもりでも、その言葉が喉から出るまでの感情の機微と積み重ねがおざなり。
登場人物の悩み、心のわだかまり。この人にはこれまでこういう人生があって、
こうしたいという土台の上での言葉じゃないから、心に染みてこない。

観ていても勝手に悩んで勝手にキャラ同士で喋って、なんとなくで解決してるだけで、
視聴者的にキャラの心境に心重ねるといった共感を呼べない。
多分それは、このアニメのタイム管理や演出の問題が大いに絡んでいる。

コメディもシリアスも同じテンポでサクサク進むのが悪いのかも知れない。
ギャグを面白く見せかけるためにアップテンポで畳み掛けるのは理解できる。
でも、シリアスに語り合ってるシーンも同じ調子で台詞が流れてるってのはどうなのか?

無言の間をつくって、ためてためて、表情芝居をして、
本当にキャラが言いたかった言葉を絞り出す。

といった緩急をつけることが全く出来てないために、声優の芝居にまで影響している。
場合によっては沈黙がたくさんの言葉に勝ることを知らずに、台詞を絶え間なく垂れ流してるのがこのアニメ。

このアニメでは全てが均等にセッカチセカセカと話が進むために余韻に浸る暇もなく、
良いシーンを描いたつもりであっても、結果的には視聴者的には『あれ?そうなの?』としか、思えない。

ピアノだって演奏する曲目によってテンポを変えるでしょうに。
メトロノームの設定を変えずにジャンルの違うあらゆる曲を同じリズムで弾いても情感こもらないでしょ?
緩急をつけずにベルトコンベアみたいに一本調子にシーンを垂れ流している弊害で、
真面目なシーンまで軽くなってるのは、原作エピソードを切りの良いところまで消化し尽くしたかったのか?
ラノベ原作だと膨大な文章を切って詰めて切って詰めてのギュウギュウのスシ詰めなのは、よくあることだが、
それでは、ワンシーンワンシーンに情感を込めた演出は出来なくなる。
近頃はラノベアニメが多いのではあるが、漫画をアニメ化するのにも似たような余裕のない組み立てにするのには疑問。
漫画の情報量なので切らずにいられるが、原作の中身を全部放り込んで余裕なく詰め込んでいるのがこのアニメである。

実のところ、原作にも原因が存在する。原作の台詞量が無駄に多いのである。
このアニメでは赤尾でこがシリーズ構成なのだが、
この方は日常アニメの分野では実績のある佐藤順一総監督と「あまんちゅ」で一緒に仕事をした経験がある。
日常芝居を大事にする気があれば、その時の経験を活かすなり、
別にアニメにも限らずドラマでも映画でもなんでも参考して間の工夫が出来たはずだが?
しかしながら、アニメ台本に原作台詞を並べる作業に終止して、
後はきらら系の演出テンプレに則って原作を予定通りに消化して映像化しさえすればいい!みたいな印象を受けた。
工夫をすれば原作からの引用を減らすか?という問題が出てくるが、そこはプロとしても悩みどころなのかもしれない。

このアニメで良かったところ、お狐さまゴロゴロで笑えた。あと11話が面白かった。
それと、キャラデザは可愛く作画は安定していて良かった。安定性は、ごちうさも見習って欲しいぐらいに!

しかしながら、
感動させたいなら感動アニメの演出方法を適切に扱うべき。
百合ギャグを売りにしたいなら、おバカ方面に徹するべき。
怪異系にしたいなら、そッち方面の演出を重視すべき。
色々欲張った結果としてストーリーの鍵となる部分の印象が薄くなってしまい、
何をやりたいのか理解しづらくなってしまった残念なアニメというのが正直なところであった。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/09/29
閲覧 : 429
サンキュー:

35

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