「劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~(アニメ映画)」

総合得点
87.5
感想・評価
408
棚に入れた
1882
ランキング
148
★★★★★ 4.3 (408)
物語
4.1
作画
4.5
声優
4.3
音楽
4.4
キャラ
4.3

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ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

尺がぁぁぁぁ!

この場を借りて謝罪します。
私もめんどくさい1年生でした。
かつての先輩方大変心労おかけしまして
申し訳ありませんでしたm(_ _)m

で、原作未読です。

【作品概要】
 響けユーフォ1,2で主人公久美子たちが
 1年生の間の物語が描かれました。
 今度は2年生の物語。
 

【作品に対する感想】

 素晴らしい音楽、作画、熱い物語、
 リアリティのあるキャラ。
 劇場版としては期待通りの
 秀作だったと思います。
 高校の部活ゆえの上級生と下級生の
 力量逆転現象も含め、
 先輩になったことによる苦労談が
 余すことなく描かれていました。
 
1)物語
 しかし!
 人間関係のドラマがどうしても尺不足
 で浅くなってしまいました。
 もっと時間をかければ、涙腺やばかった話に
 なったであろう素材もあったんですけどね。
 こればっかりは劇場版だけにしょうがないです。
 でももったいないと思ってしまいます。
 せめて1クールくらいは欲しかったorz。

2)作画
 時々唐突に挿入されるスマホで撮ったような動画、
 あれって何なんでしょうか?

3)声優
 久美子・秀一カップルまったりしすぎて熟年夫婦みたい。
 まあ、幼馴染なんでしょうがないですかね。

4)音楽
 冒頭のこれが私の生きる道の緩さに噴きました。
 去年の暴れん坊将軍とは
 けた違いにうまくなってるのが印象的。

 奏や美玲が口にした代表メンバーの
 「本当に実力順か?」
 に関しては、本気で戦いたい
 1年生にとっては重要で、聞かざるを得ないですね。
 曲や指揮者の好みにもよりますが55人編成の場合の
 大まかなパートの人数と、
 状況からの推定力量順(学年)を書きますね。

 ➀Tuba
  3~4人
  後藤・梨子(3)美玲(1)>>葉月(2)=さつき(1)
  4人選ばれた場合、揉めることはないんですが、
  3人だった場合、揉めるパターンです。
  葉月は美玲が選ばれても背中を押すタイプと思いますが、
  (実際背中押してましたし)
  人をあまり信用しないタイプの美玲は怖いでしょうね。 

 ➁Euph.
  2~3人
  久美子(2)>奏(1)>>夏紀(3)
  3人なら問題なしですが、2人だった場合、奏は副部長を
  蹴落とすことになります。


5)キャラ
 経験者1年生は大なり小なり
 「実力がない上級生は許せない」タイプですね。
 大体どこの部活でも衝突の原因となるのでは
 ないでしょうか?
 「全国行った部なんだから、ねじ伏せてみろよ」
 と言いたげですね。

 強い集団であるには個々の力が必要ですが、
 それだけではだめで
 やはり相互の信頼が必要だと思います。

 ➀久石奏(Euph.)1年
{netabare}
  冒頭あまりにいい子ちゃんな言動だったので、
  「絶対裏に何かある娘」という印象でした。
  で、やっぱりそうでした(笑
  他人を信用できないため、
  鋭い人間観察眼で防衛線を張り、
  当たり障りのない程度の距離感を保つタイプ。
  かなり歪んだじゃじゃ馬ですが、
  一度信頼されると裏切らないタイプと思います。
  「いい音楽を作るより全員が納得できることが大事」
  一理あるんですが、
  勝負に勝つための考え方ではないですね。
{/netabare}

 ➁鈴木さつき(Tuba)1年
  人懐っこく、裏表がない素直なマスコットキャラ。
  悪く言えばおバカタイプ。
  小柄な娘なので、Tuba担当というのは結構意外です。


 ➂鈴木美玲(Tuba)1年
{netabare}
  もう一人のTubaの鈴木さつきと対照的に描かれています。
  この娘の人となりや信念、
  苦悩とそこから立ち上がってくる姿を
  もっと時間をかけて描いてほしかったです。
  やる気がないくせに口だけうるさいと印象付けるような
  ミスリードが前半に散見されました。
  真面目なんでしょうね。
  力量がないのに楽しそうに、へらへらできる意味が解らない。
  高校吹奏楽でよくある衝突ですね。
  不器用なこの娘、結構好きです。 
  葉月やさつきと信頼関係を築いていく様を
  もっと見たかったなと思います。

{/netabare}
 ➃月永求(St.Bass)1年
  元の意味での中二病発症中?の少年。
  何が地雷かよくわからないので、扱いが難しそうです。
{netabare}
  緑信者になったのもきっと何かきっかけがあったと思うので、
  そういう話を見てみたかったです。
  私的には捨て猫よりも捨て犬のほうがよりあってる気がします。
  来年あたりには緑を好きになって告白しそうな気がします。
{/netabare}
 ➄加藤葉月(Tuba)2年
  高校スタートなので、初心者の1年生よりは上手いですが、
  経験者の1年生の大半よりは下手という微妙な立ち位置。
  まだまだ自分のことでいっぱいいっぱいなので、
  組織の潤滑剤としては機能していない印象です。
  後輩二人の話をもっと聞いて、
  均等な立ち位置から扱うべきですが、
  自分のことでいっぱいいっぱいなので
  ほんっと仕方ないと思います。
  その辺は周りが見えているTubaの3年生後藤先輩や梨子先輩
  もしくは同期の久美子や緑が
  もうちょいフォローすべきだったかなと。

 ➅高坂麗奈(Tp.)2年
  なんと人間関係のアドバイスやフォローをするほどに成長した
  カリスマトランぺッター。

 ⑦黄前久美子(Euph.)2年
  1年からことごとく揉め事に絡む体質だっただけに、
  2年になっても面倒ごとに絡まざるを得ない娘。
  でも今度は自分で後輩に答えを示さなければいけない立場。
  あすか先輩ならどうするか…尊敬する先輩がいたなら
  誰もが一度は考えることでしょうね。
  でも久美子は自分の弱さを受け入れたうえで、
  後輩をちゃんと導きました。
  それで最後は{netabare}部長{/netabare}に抜擢されたんでしょうね。

 ⑧ダブルリードの方々(2020/4/4追記)
  鎧塚みぞれ(Ob.)
  剣崎梨々花(Ob.)
  兜谷える(Fg.)
  籠手山駿河(Ct.Fg)
  見えないところで遊んでる原作者さんに拍手!

 ⑨川島緑輝(St.Bass)2年
  マイペースの象徴という印象の彼女ですが、
  ちゃんと2年生やってたのが意外でした。
  後輩を諭したり、叱ったり、指導したり。
  求の謎行動の原因も最初から分かってる風でした。

6)印象深いシーン
{netabare}
 ➀奏「なかなか策士ですね」 
  奏の斜めからの視点を見事に表した一言。
  同一楽器の中で異なる譜面を吹く場合、音が高いほうから
  1st,2nd,3rd…って呼ばれるんですが、
  1stに一番上手い人が入ることが多いです。
  奏は力量が一番上の久美子に1stを譲って、
  夏紀と奏を同列の2ndに並べることで、
  3人の自尊心を満足させたと思ったんでしょうね。
  
  と、同時に感じたのは奏は「自分の思いが正しい」ことを
  共感してほしい・理解してほしいと
  強く感じているということです。
  劇中わざわざ角が立つようなことを口に出してます。
  また、久美子が自分と異なる考えをしたときは
  不機嫌そうにしています。
  あすか先輩の言葉を借りると「賢いのに愚か」ですね。
  見えてる、分かってるのに上手く立ち振る舞えない。
  自分の正しさや感情が優先してしまってます。


 ➁奏 手抜きオーディション
  自分を守るために、去年の麗奈逆のことをやろうとした奏。
  中学時代同じようなことを経験した久美子でさえ、
  手を抜こうとまではしませんでした。
  奏がどれだけ繊細で臆病かわかるシーンです。
  久美子は去年の件で夏紀を信頼しています。
  しかし奏は信頼していませんし、数の怖さを知っている娘。
  「守る」と言い切った久美子が彼女の心を溶かした
  いいシーンです。

 ➂麗奈 プールで哲学を語る
  楽器を奏でることにここまでの意味を見出しているのは
  すごいと思いました。
  生きた成果、生きていく意味…。

 ➃リズと青い鳥
  やっぱり関西大会はノーカットですか。
  覚醒したみぞれのソロいいですね。
  硬い太っとい音で好みです。
  滝先生がob.を信頼していないと絶対選べない曲ですね。

  結果はとても残念でしたがこれもやはり勝負の世界。
  大黒柱の3年生が2年前の事件で
  半減してるのは痛いでしょうね。

 ➄優子部長 関西大会後の演説
  数カット前に泣き崩れてたのが、あれだけの言葉を後輩に
  投げかけました。普通出来ないことだと思います。
  どれだけの悔しさを飲み込んで
  あの笑顔と言葉を発したのかと思うと
  涙腺やばかったですね。
  決して「上っ面の贈る言葉」ではないことが解ります。

  
{/netabare}
 
7)原作を読んで(2020/4/10追記)
 久美子が2年生の間の話は2巻にわたって書かれており、
 リズと青い鳥と誓いのフィナーレの話が同時並行で
 進んでいく感じです。
 
 劇場版に圧縮する関係で改変されたり、
 カットされているところも多々ありで、
 原作を読んで情報を補完できて
 よかったなと思っています。
 逆に言えば制作陣が圧縮するために
 頑張ったところがよくわかります。
 美玲の過去や求の謎行動の動機の部分も
 言及されていますよ。

{netabare} 
 奏は原作のほうが、
 上記の「愚か」な面が多々描かれていて
 演じていてもやっぱり年相応という風に感じました。
 ある種、劇場版よりも可愛げがあるように感じました。

 奏だけでなく登場人物皆さんに打算や裏があったりで、
 清濁含めてリアリティがあっていいです。
{/netabare}
 ユーフォ作品群が好きであればおすすめですね。
 ただし、ロケーションが京都だけに
 登場キャラが皆さん関西弁なのは
 許容してあげてください。
(各キャラ言い方がきつく感じます)
 私は関西弁でのcv脳内再生余裕でした(笑。
  

8)飛び立つ君の背を見上げる を読んで(2021/3/10追記)
 えーと、開始2ページで涙腺やばかったです。
 
 みんな大好き夏紀先輩視点の外伝ですね。
 私は購入して大満足でした。
 
 吹奏楽部からちょっと離れた日常の
 夏希、優子、希美、みぞれの物語。
 
 アニメとちょっと異なった4人の距離感や
 心の内が補完されてて良かったです。
 なかよしかわ♪

投稿 : 2021/12/05
閲覧 : 526
サンキュー:

39

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