「東京24区(TVアニメ動画)」

総合得点
60.5
感想・評価
129
棚に入れた
362
ランキング
5706
★★★☆☆ 2.9 (129)
物語
2.7
作画
3.0
声優
3.1
音楽
3.0
キャラ
2.8

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

管理社会アンチテーゼの青春劇として悪くないが、真価発揮が遅過ぎる

【良い点】
設定とテーマと大筋のストーリーはかなり良い線突いていた。
治安の悪い特区で「PSYCHO-PASS」のシビュラシステムの黎明期初期段階めいた管理ディストピアシステム構築されようとしている舞台背景、
タイプの異なる主人公トリオが各々のやり方や正義に葛藤し衝突する過程を青春劇にしつつ
「トロッコ問題」というAI社会で避けては通れぬ問題提起。

話が進むと過去に死去した筈のヒロイン(トリオの一人の妹、他二人の幼馴染)がカナエシステム(本作でのシビュラ)の中枢と判明、三人は彼女とも向き合っていく。
個々の要素は過去作で使い古しているネタだけど(サイコパス、フロントミッションのカレンデバイス等)、それを2020年代のトレンドであるAIとトロッコ問題、正義の在り方、民主主義か管理社会か?
といった今日的なテーマを描こうと試みた意欲は評価したい。
2020年から世界的流行病への対処失敗で民主主義国家の自信が揺らぎ、管理統制国家が対処に成功(したかに見えた)事で、自由意志よりもAIなどシステムの管理統制重視の気風が出てきた時代に、
カナエシステムに向き合う各々の群像劇と回答は、
今日的なテーマをちゃんと描けていたように思う。
過去の過ちは取り返しがつかないし、これからも何度も間違うだろう。けれど可能性を恐れず自分たちで選んでいく。
やや青臭くはあるけれど、回答としては申し分ないと思った。

全12話を通しての伏線や回収は良く出来ている。
前半は分かりづらいが通してみれば、
こういう事だったのかとちゃんと分かる。
どちらかというと現在進行形の話よりも過去回想の方が良かった。

主人公トリオの性格や立ち位置は明快だったし(タクティクスオウガ風に言えば、アーティストでハッカーなアウトローのランがカオス、市長の子息でエリートのコウキがロウ、そしてメイン主人公のシュウタがニュートラル)、ラスボスの市長も妻と娘を愛するが故に道を踏み外した哀しき人であったり、秘書とコウキなど過去の掘り下げが進む後半のキャラドラマは良い。

【悪い点】
中盤から後半の過去掘り下げや真相判明するのが遅く(9話前後)、
序盤から前半の話が分かりづらい上にフラストレーション溜まりがち。
謎の状況で延々とトロッコ問題の悪意強いられる展開に辟易。
テーマ上必要な過程なのは通してみれば分かるが、個々のトロッコ問題エピソードがチープで白けてしまう。
トロッコ問題がチープなのは、折角の良きテーマも浅く感じさせる。
後半の過去回想は良いが、序盤から頻繁に回想入れられても未だ視聴者がキャラ掴めていない時点では話が散漫に見えてしまう。
その時点から話が複雑になっていく、そのためか前半が面白くない。
9話前後から割と面白いんだけど、大方の視聴者はその前に脱落しそう。

キャラが個性的に見えて弱い。
主人公トリオの性格付けはテンプレの域を出ないし、
生きてる幼馴染は空気だし。
主に大人たちに魅力出てくるのが中盤以降の過去回想からで遅い。
カナエシステムに囚われたアスミの存在の大きさは過去回想見れば分かるが、逆に言うと単発の過去回想に依存する構成では足りない。
三人の友情やアスミの存在という軸は良かった、
そこを終盤無理矢理盛り上げてはいたが全体的にはイマイチだった。
もっとアスミちゃんを掘り下げるべきだった。

アクションは部分部分では外連味があるが、チープなシーンも多い。
キャラデザもあまり魅力がない。

【総合評価】4点
管理社会アンチテーゼの青春劇として悪くないんだけど、
飽きさせず見せる構成が拙かった。
微妙に惜しい要素が重なって、良作から脱落した感じ。
評価は良い未満だけど酷評はしたくない「普通」

投稿 : 2022/04/10
閲覧 : 199
サンキュー:

6

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