「秒速5センチメートル(アニメ映画)」

総合得点
87.0
感想・評価
3988
棚に入れた
18435
ランキング
173
★★★★☆ 3.9 (3988)
物語
3.9
作画
4.3
声優
3.5
音楽
4.1
キャラ
3.6

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ネタバレ

ギータ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

何回見ても新しい発見が見つかる細かいところまで凝縮された作品

映像が信じられないくらい綺麗、それでいて細かいところまで描写されています。例えばコスモナウトで雨の中カブで帰るところですが、その前の丘で二人が会話しているとき、画面の奥の方で雷が鳴っています。それは、これから雨が降るぞというような全面的にアピールしているようなものではなく、とてもさりげないものです。なかなか気付かない、もしくは気にしないところまで描写されています。コンビニ商品も特にBDでは、一個一個の商品がはっきり分かるくらい細かく描かれています。今までそれだけ細かく描写されたアニメ作品を私は知りません。

そして、細かいのは背景や物だけでなく、人の表情にも同じことが言えます。そして、そこに注目したおかげで、私はこの物語の終わり方に納得が、貴樹と明里がどんな想いを持って過ごしてきたのか少しわかったような気がします。

この作品は賛否両論であり、人によって様々なとらえ方ができる作品です。「これはBADエンドだ」「二人には報われてほしかった」「貴樹、花苗がかわいそう」という意見もあれば、「この終わり方でいいんだ」「これから始まっていくんだ」という意見もあるように、意見が真っ二つに分かれるほどの作品です。それはタイトルにもあるとおり、この作品が細かく凝縮されているからです。細かいからこそ、人それぞれで注目するところが違ったり、色々な考えができるのだと思います。私は最初見たときは、あの踏切のシーンで「なんで明里いなかったんだよ」と思い、その後EDが終わって、タイトル画面になってBGMが流れ、それを聞きながらしばらく放心状態になりました。しかし、何回か見ていくうちに、色々なところに気付くうちに、自分の感想は全くの逆のものになっていることに気がつきました。

この作品は賛否両論のままで、人それぞれで違うとらえ方をするままでいいんだと私は思います。しかし、出来れば一回だけでなく、何回かこの作品をみてもらいたい。そうすれば、この作品に対する評価、そしてとらえ方が少しでも変わると私は思うのです。

最後に私から見てですが、私がこの物語に対してどのようなとらえ方をしたのか、どんなところに注目して考えたのか少しだけ書いて終わりにしたいと思います。


では、一番賛否両論であろう3話について、また、その中でも何故最後明里が待っていなかったのかについて私の考えを述べたいと思います。私もこのシーンは最初納得がいかなかった。山崎まさよしの主題歌を流しながら主に二人の生きてきた過程を見せて、あれだけの演出をしておきながら、最後に二人を会わせないという終わり方には衝撃すら受けました。しかし、今ではあの終わり方でよかったと思えるようになったのですが、それはなぜか。まず1つ注目したのは、3話の二人の視線です。二人は曲の最初の方では、互いに互いのことを想い焦がれている描写がありました。しかし、途中から明里は貴樹のことを見なくなります。貴樹は最後まで明里の姿を追い続ける描写がされています。つまり、貴樹はひたすら過去にとらわれ、明里はその間、前に進んだのだと私は思います。その結果が明里の結婚、貴樹の自暴自棄な生活なのだと思います。そして、最後のあの踏切のシーン、私はその時貴樹が思っていたこととして、「これが最後のチャンス」または「これで最後にしよう」というような感じではないかと推測しています。結果は明里は前に進み続け、待つことはなかった。だから、二人は会うことはなかった。そして、貴樹はそこから前に進んだのだと思います。「貴樹くんは、この先もきっと大丈夫」、この言葉を思い出したかどうかは分かりませんが、私は最後に貴樹が少し笑みを浮かべた瞬間、この言葉は間違いではなかったなぁというように感じました。

追記で
最後のあの踏切が過去と未来の境界線なのかなと思います。明里を諦められなければ明里を追いかける、つまり過去と決別できないままだったと思います。追いかけなかったからこそ前に進んだと、過去に決別したと言えると思います。

あと前に書いた時、貴樹の踏切の時の心情として「これがラストチャンス」といった推測をしていましたが、そんなことないかなと思えてきました。理由は3話冒頭「今振り返ればあの人も振り返ると強く感じた」というセリフからです。この時点で私の考え全くの逆ですよね…
しかし、それが一つの疑問へとつながったのです。すれ違った時にそんなことを思っていたのに、なぜ最後は笑顔で立ち去ったのか?
そして、正直これといった答えがまだ見つかっていません。ただ一つ言えることはやっぱりこの作品はすごいということです。これだけ考察してもまだ疑問が見つかる、まだ分からないところがあるというのは本当にすごいと思います。
何個か予想していることはありますが、あまりにも自信がないので、もう少し考えてから次の機会に書きたいと思います。

投稿 : 2013/02/25
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サンキュー:

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