Lovin さんの感想・評価

4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

見た感じ

■概要

　レンタルDVDで視聴。原作四コマは未読。仲の良い友人四人と学生らしく授業を受ける話。

　主人公達が高校の美術科に通うシーンから始まるが、その高校の美術科を受験するに至った経緯については本編で語られるとしても、友人達が出来たエピソードについては語られることが無い。原作を読めば分かるのだろうか。

　本編序盤は仲良し五人組の話を中心に描かれ、中盤からは美術部の面々の話が少しずつ展開されるようになる。何でも美術科のある学校では授業で美術をするため、美術部があることは少ないんだとか。

　本作品は１クール１２話＋ＯＶＡ１話で構成されている。


■主な登場人物
＜１年生五人組＞
　主人公
　　真面目で一生懸命な普通の女子高生。受験前に購入した鉛筆を使い切る程の努力家。

　姫
　　おしゃれ好きの元気娘。同じ高校の普通科に通う姉が雑誌の読者モデルをしている。

　乱暴者
　　ガサツで少し乱暴な少女。鉛筆デッサンの濃淡は筆圧で調節する腕力至上主義者。

　暗黒少女
　　黒のみの折り紙セットをダースで講習するほどの黒好き。密かに許婚が居るらしい。

　しっかり者
　　若干太めなのを気にしている。ツッコミ役で心配性なのでお母さんと呼ばれる。

＜美術部関係者＞
　生活環境部部長
　　主人公より一歳上の幼馴染。主人公が入学に至る理由に関連している。

　美術部部長
　　美術が好きで入部し先輩から部の未来を託される。中部弁（微妙な関西弁）を使う。

　ガリ勉
　　普通科特別進学クラスに通う美術部副部長。色弱で美術科を諦めた過去があるらしい。

　熱血初心者
　　自動車整備クラスに通う二年生男子。部長の勧誘で入部したが全くの素人。

　薄幸の少年
　　美術科に所属してはいるが病弱なため保健室登校に近い状態。乱暴者の兄。


■感想

　視聴前の期待度は３段階で★★と普通。見るべき作品が見つからなかったときに人に奨められて見た作品。そのときの候補の中では一番面白かった。

　高校、学園といえば普通科を描くのが暗黙的になっているが、本作品は芸術科を中心に描いた作品となっている。設定の近い作品として「ひだまりスケッチ」を知っているが、「ひだまり～」は帰宅後の日常生活が中心に描かれるのに対して、本作品は授業風景が中心に描かれる。

　なのでスケッチ、デッサン、クロッキーといった使い分けられているのかも分からない専門的な単語が飛び交うが、予備知識が無くても画面を見れば「絵を描いているんだな」や「レポートを書いているんだな」等と理解でき、またその程度の理解でも全く問題はない。

　だから「ひだまり～」では殆ど見かけないイーゼル？を入れるケース？（ＯＶＡを見直したら大判紙を入れるケースだった）が登場したり、宿題が出る度に学校から大荷物を持って帰るシーンの描写があり、本作品のほうが美術科選択者あるある的な要素が多いのではないかと思う。必然的に同意できる人間の幅は狭まるとは思うが。

　ピクトグラムとは、シュルレアリズムとは、トロンプルイユとは、といった日常生活では抱かないような疑問に関して、言葉に表せなくとも感覚的に理解させる方法をとっているように思う。小学生の頃、図工の教科書にあったトロンプルイユにワクワクした記憶を思い出した。勿論当時はトロンプルイユどころか騙し絵という単語すら知らなかったが。

　美術部関係のエピソードでは部活自体も描かれるが、部活をするための活動、過去の洗礼、部活以外の活動についても多く描かれている。部長が部を託されたシーン、副部長が手荒い歓迎を受けたシーン、一年生五人組と美術部部員がニアミスするシーン等、長らく見ていないが記憶には残っている。

　本作品のＯＰ、ＥＤ共に、作中の設定や台詞が不断に盛り込まれておりネタバレの危険性がある。ＯＰは一年生五人組の合唱？で、メロディーは結構気に入っている。ＥＤは一年生五人組のキャラソンのような局になっており、それぞれの個性に合わせた歌詞とアレンジになっている。

　個人的にはもっと評価されて欲しい作品だが、ジャニーズＪｒの青田刈りのようなもので、余り有名になると寂しい気持ちになってしまう、そのくらい気に入った作品だった。


■作品の傾向

　芸術科が描かれる作品はそれ程多くは無いので類似作品はあるが、その殆どは授業または学校外での話が多く、専門的な単語が飛び交う授業風景が描かれた作品は他に知らない。だが本作品はそういった知識が無くても十分楽しめる仕上がりとなっている。

　芸術科繋がりで言えば「ひだまりスケッチ」辺りが類似作品に該当する。

　それ以外は・・・今はちょっと思いつかない。


■蛇足：{netabare}

　読者モデルをしている野田ミキの姉の声は、キョージュの声をしている名塚佳織さんの実姉の名塚雅絵さんが担当。

　名塚雅絵さんの本職は雑誌編集者で声優としては素人で、桜井弘明監督の要望で出演することになったらしい。

　そしてＧＡラジオにゲスト出演までしたらしい、という情報はネットで検索すれば直ぐに手に入る。
{/netabare}