「未来少年コナン(TVアニメ動画)」

総合得点
76.9
感想・評価
444
棚に入れた
2296
ランキング
651
★★★★☆ 4.0 (444)
物語
4.3
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
4.2

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

『冷たい現実の中で苦悩するハイジ』的なものより好き

1978年の【未来少年コナン】と、1979年の【ルパン三世カリオストロの城】は、宮﨑駿の冒険活劇の頂点だと思います。
この二つの作品は、どちらも宮﨑駿のTVシリーズと映画における初監督作品で、それまでは【アルプスの少女ハイジ】にしても、【母をたずねて三千里】にしても、高畑勲の陰にいたような印象を受けます。
そして高畑勲の堅実な演出に反発するかのように、未来少年コナンやカリオストロの城では、良い意味での漫画映画的な、ワクワクする冒険活劇が展開されます。
私はこれこそが宮﨑駿の本来の持ち味ではないかと思います。
しかし宮﨑駿がこの持ち味を発揮しのは、1984年の【風の谷のナウシカ】までではないかと思っています。
1986年の【天空の城ラピュタ】では、相変わらずヒロインのシータは未来少年コナンのヒロインであるラナと同じくらい内面が強いのですが、主人公のパズーは普通の少年です。
普通の少年が制約の中で精一杯頑張る物語です。
そう、宮﨑駿は未来少年コナンやカリオストロの城以降、ナウシカやラナの系統の強い女性は描いても、コナンのように苦悩しないヒーローを描くことがないんです。

これは未来少年コナンでも、既に萌芽が見られると思います。
コナンと、親友のジムシーと、男のロマンに生きるダイス船長とは、ある意味神話的なヒーローでしたが、無秩序の中で自分のルールで生きてきた彼らは、農業、漁業、結婚、等、ルールのある社会の制約を受け入れ、自ら神話的なヒーローであることをやめます。
このフォーマットはアルプスの少女ハイジを思い出させます。
ハイジは冷たいイメージのドイツの都市に連れ去られて苦しみ、最後はアルプスの山を降りて村人達の中で生活します。(ペーターにコナンのような力と行動力があれば、ドイツまで助けに行ったことでしょう。)
ラナは冷たいイメージのインダストリアに連れ去られて苦しみ、助けに来たコナン達と共に脱出しますが、最終的に彼らはラナの故郷ハイハーバーの村人達の中で、社会のルールに従った生活を受け入れます。
そしてこの瞬間、彼らは『山を降りて共同体のルールの中で暮らすハイジ』のように、それまでの魅力を失います。
私は『冷たい世間や冷たい現実の中で苦悩するハイジ』的なものより、インダストリアの三角塔から飛び降りたって平気、カリオストロの城の屋根から飛び出したって平気な、守るべき対象の前では決して弱さを見せずに笑っていられる、そんな強さを持った宮﨑駿の主人公(男でも女でもいい)がまた見たいです。

投稿 : 2014/02/25
閲覧 : 206

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