STONE さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
粘着キャラ達による異世界ファンタジーバトル
原作は未読。
主人公が異世界に飛ばされたりする作品は結構多いし、逆に異世界から現代社会にやってくる
作品も多いが、その両方を同時に展開するというのはちょっと面白い。
ただ、実際の描写は天和国がほとんどで、時折描かれる現代日本の出来事もほとんどは
天和国でのストーリーを動かすためのものになっているのがちょっともったいない感じが
あった。
天和国での経験が日ノ原 革を変えたように、現代日本での経験がアラタをどう変えるのかが
見たかったかなあ。
最初にこの作品は観た時、「原作者は女性かな?」と思ったのだが、調べてみたらやはりそう
だった。
あまり性別で分けてしまう考え方は好きではないのだが、女性が描くバトル要素のある
ファンタジーものは、男性が描く同系のものよりキャラの内面描写に比重を置いていたり、話
自体も捻りがあるものが多い傾向にあるように思える。主軸のバトルにしても敵に勝ったら
解決とはいかず、場合によってはより根が深くなったり。
全体的印象はドラマ性は増すけど、ストレートじゃない分バトルものにおけるカタルシスは
得にくかったりするみたいな感じ。
で、この作品もそんな傾向にあるように思えたがが、どちらかと言うと悪い方に働いて
しまった感じがした。
設定自体は鞘と呼ばれる存在が、大王の座を目指すバトルロイヤル形式の展開となっており、
それ自体は嫌いではない。しかし、それに臨む主人公である日ノ原 革の態度が・・・。
とにかく戦うことにやたらと躊躇。主人公が戦いを望まないというスタンスは他作品でもよく
あるが、それでもどこかで腹を括ったりする。
しかし、この作品では、途中で決心をしたかと思われる描写があっても、次の展開ではまた
足が止まるといった感じの繰り返しで、正直イライラしてくる。
争いごとが嫌いで、ひどいいじめにあっていたという過去から、そう簡単に変われるわけでは
ないのは判るし、そういう意味ではキャラ設定がぶれていないとは言える。
ただ、娯楽作品の主人公としてはどうなんだろう? 目の前で妊婦が殺されても、助けに
行かない主人公って、さすがにまずいんじゃないかって。
ライバルキャラ?である門脇 将人も印象は似たような感じで、日ノ原 革への激しい憎悪から
「よっぽどのことがあったのだろう?」と思っていたら、部活で手を抜かれて走られたのが
理由って・・・。
実際、些細なことがきっかけで相当険悪になることって現実でもあるわけで、展開的には
無理はないとは思うんだけど、ライバルキャラとしては器が小さいと言うか。
結局はかまってちゃんだったのか。
この門脇を始め、主要キャラはやけに後ろ向きで粘着質なのが多く、おまけに敵ポジションに
いてもいわゆる悪的な存在ではなかったりするために、余計に面倒くさい。
こういったキャラが中心に話が回るために、バトルものの爽快感みたいなものはほとんど
感じられなかったなあ。
こうなるとあまり何も考えてないアラタや、革及びアラタを信じるというシンプル思考(盲信
とも言えるけど)のコトハに好感を感じてしまう。